JP3902652B2 - シールドガス混合物及びステンレス鋼加工物のアーク溶接方法 - Google Patents

Description

本発明は、ＴＩＧ又はＧＴＡＷ（気体タングステンアーク溶接）と呼ばれるアーク溶接技術を用いるオーステナイト系ステンレス鋼のアーク溶接のためのシールドガス混合物に関し、より詳しくは、二相鋼又は超二相鋼(super duplex steel)と呼ばれる窒素含有オーステノ−フェライト系ステンレス鋼の溶接のためのシールドガス混合物に関する。
本発明の目的は、ステンレス鋼の溶接を改良することのできるシールドガス混合物を提供し、特に、良好な腐食耐性特性を保証し、引張強度の値を増加させ、有毒物放出を減らす一方で同時に、すべての位置、特にいわゆる「上向き(overhead)」又は「水平−垂直(horizontal-vertical)」溶接姿勢における手溶接のための良好な取扱いと溶接棒の低い消耗とを保証し、良好なアーク安定性を保つことである。
これを達成するために、本発明の１つの特徴によれば、ガス混合物は、３ないし１８％、典型的には５ないし１５％、好ましくは８ないし１０％のヘリウム、及び１ないし３％、典型的には１．５ないし２．５％、好ましくは１．５ないし２％の窒素を含有し、残りはアルゴンである。
本発明の主題は、非溶極と加工物との間にアークを形成する工程、及び上で規定したシールドガス混合物によりアークを保護する工程を具備するステンレス鋼加工物(workpiece)を溶接するための方法である。
いわゆる二相及び超二相ステンレス鋼は、それらのオーステナイト／フェライト二相微細構造、及びそれらの窒素並びにクロム及びモリブデンのような他の元素の含有量故に、他のグレードのステンレス鋼と比較して、孔食に対する優れた耐性を示す。ＧＴＡＷプロセスを用いて溶接する場合、このプロセスに起因する高い希釈並びに母材及び溶接ワイヤーの組成により、例えば、溶接ワイヤーが母材に比べて超過のニッケル濃度を有する場合を除いて、フェライト含有量が超過している点でバランスを欠いた体積比がもたらされ得る。しかしながら、溶接金属は、溶接部の良好な腐食耐性を確保するために、窒素で十分に超合金化されていない。これが、５％よりも大きい比較的大量の窒素をシールドガスに添加することが予見されてきた理由である。しかしながら、これにより、手溶接としてまったく許容できないアーク安定性への望ましくない影響、さらには溶接部の固さの問題及び著しい溶接棒消耗の問題が生じる。
本発明のガス混合物は、１組の有利な特徴を示し、特に、適正なオーステナイト／フェライトバランスの達成、すべての姿勢における良好な取扱いの保証、及び溶着金属の良好な腐食耐性と、溶接部の許容し得る固さと、低い溶接棒消耗と、改良されたビードの外観と、さらには低減されたオゾン放出との間の最適な妥協を確かにする。
本発明の好ましい３成分混合物は、約８８％のアルゴン、１０％のヘリウム及び２％の窒素からなり、二相及び超二相鋼の溶接に特に許容され得るこの混合物は、窒素ドープされたオーステナイト系ステンレスグレードの溶接にも完全に好適であり、シールドガスの窒素含有量に関連する濃縮度(enrichment)は、この低含有量にもかかわらず、溶接ワイヤーによる窒素の添加の不足を埋め合わせるために十分である。

Claims (5)

1. ステンレス鋼の手動又は自動アーク溶接のためのアルゴンに基づくシールドガス混合物において、前記ガス混合物が
   ３ないし１８％のヘリウム、
   １ないし３％の窒素
   を含有し、
   残部がアルゴン
   であることを特徴とするガス混合物。
2. 前記ガス混合物が、
   ５ないし１５％のヘリウム、
   １．５ないし２．５％の窒素
   を含有することを特徴とする請求の範囲第１項のガス混合物。
3. 前記ガス混合物が、
   ８ないし１０％のヘリウム、
   １．５ないし２％の窒素
   を含有することを特徴とする請求の範囲第１項のガス混合物。
4. 前記ガス混合物が、約１０％のヘリウム及び約２％の窒素を含有し、残部がアルゴンであることを特徴とする請求の範囲第３項の３成分ガス混合物。
5. 非溶極と加工物との間にアークを形成する工程及びシールドガス混合物によりアークを保護する工程を具備するステンレス鋼加工物を溶接するための方法において、前記シールドガス混合物が、請求の範囲第１項ないし第４項のいずれかであることを特徴とする方法。