JP3902391B2 - 駆動車輪用軸受装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は駆動車輪用軸受装置に関し、詳しくは、自動車の駆動車輪を車体に回転自在に支持する駆動車輪用軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の駆動車輪用軸受装置には、その用途に応じて種々の形式のものが提案されている。例えば、図3は重量の嵩む自動車用として好適な駆動車輪用軸受装置で、内方部材であるハブ輪1および内輪2、複列の転動体(円すいころ)3,4、外方部材である外輪5、等速自在継手6を主要な構成要素としている。
【0003】
前記ハブ輪1は、その外周面にアウトボード側の軌道面7が形成されると共に、車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ9を備えている。この車輪取付フランジ9の円周方向等間隔に、ホイールディスクを固定するためのハブボルト10が植設されている。このハブ輪1のインボード側端部の外周面に形成された小径段部11に内輪2を嵌合させ、この内輪2の外周面にインボード側の軌道面8が形成されている。
【0004】
内輪2は、クリープを防ぐために適当な締め代をもって圧入されている。ハブ輪1の外周面に形成されたアウトボード側の軌道面7と、内輪2の外周面に形成されたインボード側の軌道面8とで複列の軌道面を構成する。この内輪2をハブ輪1の小径段部11に圧入し、ハブ輪1のインボード側軸方向から挿入される等速自在継手6の継手外輪21をハブ輪1に締着することにより、その継手外輪21の肩部28により内輪2の抜け止めと予圧の付与を行っている。
【0005】
外輪5は、内周面に前記ハブ輪1および内輪2の軌道面7,8と対向する軌道面12,13が形成され、車体(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ14を備えている。この車体取付フランジ14は、車体の懸架装置(図示せず)から延びるナックルにボルトで固定されている。
【0006】
軸受部15は、複列の円すいころ軸受構造で、ハブ輪1および内輪2の外周面に形成された軌道面7,8と外輪5の内周面に形成された軌道面12,13との間に転動体(円すいころ)3,4を介在させ、各列の転動体3,4を保持器16,17により円周方向等間隔に支持した構造を有する。
【0007】
軸受部15の両端開口部には、外輪5とハブ輪1および内輪2との環状空間を密封する一対のシール18,19が外輪5の端部内径に嵌合され、内部に充填されたグリースの漏洩ならびに外部からの水や異物の侵入を防止するようになっている。
【0008】
等速自在継手6は、ドライブシャフト39の一端に設けられ、内周面にトラック溝20が形成された継手外輪21と、その継手外輪21のトラック溝20と対向するトラック溝40が外周面に形成された継手内輪41と、前記継手外輪21のトラック溝20と継手内輪41のトラック溝40との間に組み込まれたボール42と、継手外輪21と継手内輪41間に介在してボール42を支持する保持器43とからなる。
【0009】
前記継手外輪21は、継手内輪41、ボール42および保持器43を収容したマウス部22と、そのマウス部22から軸方向に一体的に延び、外周面にセレーション部24が形成された軸部23を有する。この軸部23をハブ輪1の貫通孔に挿入し、前記軸部23の外周面および貫通孔の内周面に形成されたセレーション部24,25により両者を嵌合させ、その軸端に形成された雄ねじ部26にナット27を締め付けることによって、等速自在継手6をハブ輪1に固定している。
【0010】
従来の駆動車輪用軸受装置には、ハブ輪1の小径段部11、つまり、インボード側端部と継手外輪21の軸部根元部位29との間にパイロット部30を設けているものがある。このパイロット部30は、ハブ輪1の小径段部11の内径をセレーション部25よりも拡径させることにより形成されている。このようにパイロット部30を形成してそのパイロット部すきまAを設けることにより、等速自在継手6の組み付け時、継手外輪21の軸部23とハブ輪1とを芯合わせし、その軸部23をハブ輪1の貫通孔に挿入しやすくしている。なお、前記パイロット部すきまAとは、ハブ輪1の小径段部11の端部内径と継手外輪21の軸部根元部位29の外径との差を意味する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、転動体3,4に円すいころを使用した図3の駆動車輪用軸受装置では、転動体にボールを使用した構造の駆動車輪用軸受装置に対して接触角が小さい。ここで、前記接触角とは、軸受中心軸に垂直な平面(ラジアル平面)に対して、軌道面7,8によって転動体3,4へ伝達される力の作用方向がなす角度を意味する。
【0012】
一般的に、転動体にボールを使用した駆動車輪用軸受装置では、接触角が35°程度であるため、内輪2の接触角方向に作用する荷重は、図3で言えば、継手外輪21の肩部28と内輪2との突き合わせ面方向に向いている。
【0013】
これに対して、転動体3,4に円すいころを使用した駆動車輪用軸受装置では、一般に高負荷容量を得るために接触角が16〜18°程度と小さく設定していることから、接触角方向に作用する荷重は、ハブ輪1の小径段部11と継手外輪21の軸部根元部位29との間のパイロット部30の方向に向かう。
【0014】
従って、前述したようにパイロット部すきまAが大きいと、組み付け性は向上するが、接触角方向の荷重によりハブ輪1の小径段部11および内輪2の軌道面8の変形量が大きくなる。つまり、内輪2の軌道面8の変形量が大きくなると、転動寿命の低下、軌道面8での温度上昇、内輪2と継手外輪21の肩部28間でのフレッティングによる軸力(予圧)抜けが発生し易くなる。
【0015】
また、ハブ輪1の小径段部11の変形量が大きくなると、ハブ輪1の割損、ハブ輪1と内輪2間でのフレッティングが発生し易くなる。このようにハブ輪1の小径段部11および内輪2の軌道面8が変形し易くなると、軸受内部が歪んで軸受装置の寿命低下を招来する可能性がある。
【0016】
そこで、本発明は前記問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、接触角方向の荷重によるハブ輪および内輪の変形がもたらす軸受内部の歪みを抑制して寿命向上を図り得る駆動車輪用軸受装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための技術的手段として、請求項1に係る発明は、複列の軌道面を内周面に形成した外方部材と、その外方部材の軌道面と対向する軌道面を外周面に形成し、車輪取付フランジを外周面に有する内方部材と、前記外方部材と内方部材のそれぞれの軌道面間に介装された複列の円すいころと、前記内方部材の端面に突き合わせ状態に衝合された肩部を有し、前記内方部材にトルク伝達可能に内嵌する軸部を設けた継手外輪を備えた等速自在継手とからなり、車体に対して車輪を回転自在に支持する駆動車輪用軸受装置において、前記内方部材は、車輪取付フランジと一方の軌道面および小径段部を外周面に形成したハブ輪と、前記小径段部に嵌合し、他方の軌道面を外周面に形成した別体の内輪とからなり、前記継手外輪の軸部根元部位の外径と前記ハブ輪の小径段部の端部内径との間に設けられたすきまであり、かつ、接触角方向の荷重が作用する方向に位置するパイロット部の半径方向すきまを0.4mm以下とし、前記継手外輪の肩部と突き合わされた前記内輪の端部内径と前記継手外輪の軸部根元部位の外径との間に設けられたすきまからなり、接触角方向の荷重が作用する方向に位置するパイロット部を形成し、前記継手外輪の軸部根元部位の外径とハブ輪の小径段部内径および内輪の端部内径との間に形成された二つのパイロット部のうち、内輪とで形成されるパイロット部の半径方向すきまを、ハブ輪とで形成されるパイロット部の半径方向すきまよりも小さく設定したことを特徴とする(請求項1)。
【0018】
この請求項1に記載した発明では、前記内方部材は、車輪取付フランジと一方の軌道面および小径段部を外周面に形成したハブ輪と、前記小径段部に嵌合し、他方の軌道面を外周面に形成した別体の内輪とからなり、前記継手外輪の軸部根元部位の外径と前記ハブ輪の小径段部の端部内径との間に設けられたすきであり、かつ、接触角方向の荷重が作用する方向に位置するパイロット部の半径方向すきまを0.4mm以下とし、前記継手外輪の肩部と突き合わされた前記内輪の端部内径と前記継手外輪の軸部根元部位の外径との間に設けられたすきまからなり、接触角方向の荷重が作用する方向に位置するパイロット部を形成し、前記継手外輪の軸部根元部位の外径とハブ輪の小径段部内径および内輪の端部内径との間に形成された二つのパイロット部のうち、内輪とで形成されるパイロット部の半径方向すきまを、ハブ輪とで形成されるパイロット部の半径方向すきまよりも小さく設定したことにより、接触角方向の荷重によりハブ輪の小径段部および内輪の軌道面の変形を抑制することができ、軸受装置の寿命向上を図ることが実現容易となる。
【0019】
本発明は、その内周面に複列の軌道面を、かつ、外周面に車体取付フランジをそれぞれ一体に有する外方部材を具備した構造の駆動車輪用軸受装置に適用可能である(請求項2)。
【0024】
前記車輪取付フランジの基部から内方部材の端部に及ぶ領域に表面硬化層を形成し、この表面硬化層を内方部材の端面近傍で止めた構造とすることが望ましい(請求項3)。このようにすれば、内方部材の軌道面を含む表面硬度を上げることにより、転動疲労寿命の向上、フレッティング低減が図れる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明に係る駆動車輪用軸受装置の実施形態を以下に詳述する。なお、図3と同一部分には同一参照符号を付す。
【0026】
図1に示す実施形態の駆動車輪用軸受装置は、例えば、内方部材であるハブ輪1および内輪2、複列の転動体(円すいころ)3,4、外方部材である外輪5、等速自在継手6を主要な構成要素とする。
【0027】
前記ハブ輪1は、その外周面に一方の軌道面、つまり、アウトボード側の軌道面7が形成されると共に、車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ9を備えている。この車輪取付フランジ9の円周方向等間隔に、ホイールディスクを固定するためのハブボルト10が植設されている。このハブ輪1のインボード側端部の外周面に形成された小径段部11に内輪2を嵌合させ、この内輪2の外周面に他方の軌道面、つまり、インボード側の軌道面8が形成されている。
【0028】
内輪2は、クリープを防ぐために適当な締め代をもって圧入されている。ハブ輪1の外周面に形成されたアウトボード側の軌道面7と、内輪2の外周面に形成されたインボード側の軌道面8とで複列の軌道面を構成する。この内輪2をハブ輪1の小径段部11に圧入し、ハブ輪1のインボード側軸方向から挿入される等速自在継手6の継手外輪21をハブ輪1に締着することにより、その継手外輪21の肩部28により内輪2の抜け止めと予圧の付与を行っている。
【0029】
外輪5は、内周面に前記ハブ輪1および内輪2の軌道面7,8と対向する軌道面12,13が形成され、車体(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ14を備えている。この車体取付フランジ14は、車体の懸架装置(図示せず)から延びるナックルにボルトで固定されている。
【0030】
軸受部15は、複列の円すいころ軸受構造で、ハブ輪1および内輪2の外周面に形成された軌道面7,8と外輪5の内周面に形成された軌道面12,13との間に転動体(円すいころ)3,4を介在させ、各列の転動体3,4を保持器16,17により円周方向等間隔に支持した構造を有する。
【0031】
軸受部15の両端開口部には、外輪5とハブ輪1および内輪2との環状空間を密封する一対のシール18,19が外輪5の端部内径に嵌合され、内部に充填されたグリースの漏洩ならびに外部からの水や異物の侵入を防止するようになっている。
【0032】
等速自在継手6は、ドライブシャフト39の一端に設けられ、内周面にトラック溝20が形成された継手外輪21と、その継手外輪21のトラック溝20と対向するトラック溝40が外周面に形成された継手内輪41と、前記継手外輪21のトラック溝20と継手内輪41のトラック溝40との間に組み込まれたボール42と、継手外輪21と継手内輪41間に介在してボール42を支持する保持器43とからなる。
【0033】
前記継手外輪21は、継手内輪41、ボール42および保持器43を収容したマウス部22と、そのマウス部22から軸方向に一体的に延び、外周面にセレーション部24が形成された軸部23を有する。この軸部23をハブ輪1の貫通孔に挿入し、前記軸部23の外周面および貫通孔の内周面に形成されたセレーション部24,25により両者を嵌合させ、その軸端に形成された雄ねじ部26にナット27を締め付けることによって、等速自在継手6をハブ輪1に固定している。なお、セレーション部24,25と称するものには、セレーション以外のスプラインも含むものとする。
【0034】
転動体3,4に円すいころを使用した実施形態の駆動車輪用軸受装置では、接触角が16〜18°程度と小さいことから、接触角方向に作用する荷重は、ハブ輪1の小径段部11および継手外輪21の軸部根元部位29の方向に向かう。そこで、この実施形態では、継手外輪21の軸部根元部位31とハブ輪1の端部である小径段部11との間にパイロット部32を設ける。
【0035】
このパイロット部32は、ハブ輪1の小径段部11の内径をセレーション部25よりも拡径させ、かつ、継手外輪21の軸部根元部位31の外径をセレーション部24よりも拡径させることにより形成されている。このようにパイロット部32を形成してそのパイロット部すきまaを0.4mm以下とする。ここで、前記パイロット部すきまaとは、ハブ輪1の小径段部11の端部内径と継手外輪21の軸部根元部位31の外径との差を意味する。
【0036】
このようにパイロット部32を設け、そのパイロット部すきまaを0.4mm以下としたことにより、接触角方向の荷重によりハブ輪1の小径段部11の変形を抑制することができ、ハブ輪1の割損防止、ハブ輪1と内輪2間のフレッティング低減が図れ、軸受装置の寿命を向上させることができる。前記パイロット部すきまaが0.4mmより大きいと、ハブ輪1の小径段部11の変形を抑制する所期の効果が得られない。
【0037】
また、図2は本発明の他の実施形態を示し、この実施形態の駆動車輪用軸受装置は、前述したパイロット部32を、継手外輪21の軸部根元部位31とハブ輪1の小径段部11との間に形成すると共に、継手外輪21の肩部28と突き合わされた内輪2の端部と継手外輪21の軸部根元部位31との間にもパイロット部33を形成する。なお、後者のパイロット部33は、継手外輪21の軸部根元部位31を、ハブ輪1の小径段部11の端面と継手外輪21の肩部28との間隙まで延在するように拡径させることにより形成される。
【0038】
このように内輪2の端部と継手外輪21の軸部根元部位31との間にパイロット部33を形成したことにより、接触角方向の荷重により内輪2の軌道面8の変形を抑制することができ、転動寿命の向上、温度上昇の抑制、内輪2と継手外輪21の肩部28間でのフレッティング低減による軸力(予圧)抜け防止が図れ、軸受装置の寿命を向上させることができる。
【0039】
ここで、継手外輪21の軸部根元部位31とハブ輪1および内輪2の端部との間に形成された二つのパイロット部32,33のうち、内輪1とで形成されるパイロット部すきまbを、ハブ輪1とで形成されるパイロット部すきまaよりも小さく設定する。
【0040】
つまり、前述したようにハブ輪1の小径段部11と継手外輪21の軸部根元部位31との間に形成されたパイロット部すきまaを0.4mm以下とするのに対して、継手外輪21の軸部根元部位31と内輪2の端部との間に形成するパイロット部すきまbを0.05mm以下とする。このパイロット部すきまbが0.05mmより大きいと、内輪2の軌道面8の変形を抑制する所期の効果が得られない。二つのパイロット部33,32のうち、一方のパイロット部33により、内輪2の変形を抑制し、さらに大きな荷重が作用すると、他方のパイロット部32により、ハブ輪1の変形を抑制する。
【0041】
また、前述した実施形態において、車輪取付フランジ9の基部からハブ輪1の小径段部11に及ぶ領域に表面硬化層34を形成し、この表面硬化層34をハブ輪1の小径段部11の端面近傍で止めた構造とする。車輪取付フランジ9の基部は、外輪5のアウトボード側端部に装着されたシール18のシールリップが摺接するハブ輪1の外周面、つまり、シールランド部であり、そのシールランド部から軌道面7を経て小径段部11に及ぶ領域に表面硬化層34を形成する。
【0042】
この表面硬化層34の各部、シールランド部ではシール18のシールリップが摺接するため、耐摩耗性が要求され、軌道面7では転動体3が転動するため、耐寿命性が要求され、小径段部11では内輪2と嵌合するため、耐クリープ性、耐フレッティング性が要求される。
【0043】
前記表面硬化層34を形成するための熱処理は、高周波焼き入れが適している。表面硬化処理としての高周波熱処理は、誘導加熱の特色を有効に生かして表面硬化層34を自由に選定し、耐摩耗性を与えたり疲れ強さを改善することができる。誘導加熱は、電磁誘導現象を利用して金属内で電気エネルギーを直接熱エネルギーに変えて発熱させる方法で、これを利用した高周波熱処理には多くの特徴がある。特に、局部加熱ができ、硬化層深さの選定が自由であり、また硬化層以外には著しく熱影響を与えないように制御できるので、母材の性能を保持できる。
【0044】
【実施例】
例えば、パイロット部すきまの寸法違いによる旋回寿命試験を実施したところ、以下のとおりの試験結果が得られた。ハブ輪1の小径段部11と継手外輪21の軸部根元部位31との間に0.4mmのパイロット部すきまaを形成し、かつ、内輪2の端部と継手外輪21の軸部根元部位31との間に0.05mmのパイロット部すきまbを形成した実施例(図2参照)では、運転時間:165時間、温度上昇:50℃以下の寿命試験結果が得られた。
【0045】
これに対して、ハブ輪1の小径段部11と継手外輪21の軸部根元部位29との間に2mmのパイロット部すきまAを形成し、かつ、内輪2の端部と継手外輪21の軸部根元部位29との間に8.75mmのパイロット部すきまBを形成した比較例(図3参照)では、運転時間:52時間、温度上昇:72〜90℃の寿命試験結果しか得られなかった。
【0046】
この試験結果から、実施例の駆動車輪用軸受装置における運転時間が比較例のものの3倍以上となり、温度上昇も抑制されることから、軸受装置の寿命向上が容易であることが明らかである。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、前記内方部材は、車輪取付フランジと一方の軌道面および小径段部を外周面に形成したハブ輪と、前記小径段部に嵌合し、他方の軌道面を外周面に形成した別体の内輪とからなり、前記継手外輪の軸部根元部位の外径と前記ハブ輪の小径段部の端部内径との間に設けられたすきまであり、かつ、接触角方向の荷重が作用する方向に位置するパイロット部の半径方向すきまを0.4mm以下とし、前記継手外輪の肩部と突き合わされた前記内輪の端部内径と前記継手外輪の軸部根元部位の外径との間に設けられたすきまからなり、接触角方向の荷重が作用する方向に位置するパイロット部を形成し、前記継手外輪の軸部根元部位の外径とハブ輪の小径段部内径および内輪の端部内径との間に形成された二つのパイロット部のうち、内輪とで形成されるパイロット部の半径方向すきまを、ハブ輪とで形成されるパイロット部の半径方向すきまよりも小さく設定したことにより、接触角方向の荷重によりハブ輪の小径段部および内輪の軌道面の変形を抑制することができ、ハブ輪および内輪の割損防止、ハブ輪および内輪のフレッティング低減が図れ、軸受装置の寿命向上を図ることができて長寿命で高品質の駆動車輪用軸受装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態を説明するもので、駆動車輪用軸受装置の構造例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る他の実施形態の駆動車輪用軸受装置の構造例を示す断面図である。
【図3】従来の駆動車輪用軸受装置の構造例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 内方部材(ハブ輪)
2 内方部材(内輪)
3,4 転動体(円すいころ)
5 外方部材(外輪)
7,8 軌道面
9 車輪取付フランジ
12,13 軌道面
21 継手外輪
23 軸部
28 肩部
31 軸部根元部位
32,33 パイロット部
a,b パイロット部すきま
Claims (3)
- 複列の軌道面12,13を内周面に形成した外方部材5と、その外方部材5の軌道面12,13と対向する軌道面7,8を外周面に形成し、車輪取付フランジ9を外周面に有する内方部材1,2と、前記外方部材5と内方部材1,2のそれぞれの軌道面間に介装された複列の円すいころ3,4と、前記内方部材1,2の端面に突き合わせ状態に衝合された肩部28を有し、前記内方部材1,2にトルク伝達可能に内嵌する軸部23を設けた継手外輪21を備えた等速自在継手とからなり、車体に対して車輪を回転自在に支持する駆動車輪用軸受装置において、
前記内方部材1,2は、車輪取付フランジ9と一方の軌道面7および小径段部11を外周面に形成したハブ輪1と、前記小径段部11に嵌合し、他方の軌道面8を外周面に形成した別体の内輪2とからなり、前記継手外輪21の軸部根元部位31の外径と前記ハブ輪1の小径段部11の端部内径との間に設けられたすきまであり、かつ、接触角方向の荷重が作用する方向に位置するパイロット部32の半径方向すきまaを0.4mm以下とし、前記継手外輪21の肩部28と突き合わされた前記内輪2の端部内径と前記継手外輪21の軸部根元部位31の外径との間に設けられたすきまからなり、接触角方向の荷重が作用する方向に位置するパイロット部33を形成し、前記継手外輪21の軸部根元部位31の外径とハブ輪1の小径段部内径および内輪2の端部内径との間に形成された二つのパイロット部32,33のうち、内輪2とで形成されるパイロット部33の半径方向すきまbを、ハブ輪1とで形成されるパイロット部32の半径方向すきまaよりも小さく設定したことを特徴とする駆動車輪用軸受装置。 - 前記外方部材5は、その内周面に複列の軌道面12,13を、かつ、外周面に車体取付フランジ14をそれぞれ一体に有することを特徴とする請求項1に記載の車輪軸受装置。
- 前記車輪取付フランジ9の基部から内方部材1,2の端部に及ぶ領域に表面硬化層34を形成し、この表面硬化層34を内方部材1,2の端面近傍で止めたことを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動車輪用軸受装置。
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