JP3891099B2 - ピストン式圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピストンの往復動によってガス圧縮を行うピストン式圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、ピストン式圧縮機の吸入弁には、リード弁タイプのものが用いられている。この吸入弁は、ピストンの吸入行程において圧縮室の圧力が低下することで、この圧縮室と吸入圧力領域との圧力差によって開放されて、吸入圧力領域から圧縮室へのガスの吸入を許容するようになっている。
【0003】
しかし、リード弁タイプの吸入弁は自励振動に起因した異音を発生し、圧縮機の静寂性が阻害される問題がある。従って、従来においては、自励振動を生じることのないロータリバルブを吸入弁として用いることが提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0004】
すなわち、特許文献1の技術においては、圧縮機のハウジングに、駆動軸が転がり軸受を介して回転可能に支持されている。ハウジングの一部を構成するシリンダブロックにおいて駆動軸と同軸位置には、ロータリバルブを回転可能に収容するバルブ収容室が形成されている。バルブ収容室の内周面には、圧縮室に連通する吸入連通路が開口されている。駆動軸にはロータリバルブが一体回転可能に固定されている。ロータリバルブの外周面には、吸入圧力領域に常時連通する吸入案内溝が形成されている。
【0005】
そして、ロータリバルブは、その回転位置に応じて吸入案内溝と吸入連通路とを接続又は遮断可能となっており、特にピストンが吸入行程の時に吸入案内溝を吸入連通路に接続して吸入圧力領域から圧縮室へのガスの吸入を許容する。
【0006】
また、特許文献2の技術において特許文献1の技術との相違点は、駆動軸の端部にロータリバルブが一体形成されているとともに、バルブ収容室の内周面にはすべり軸受が配設されている点である。つまり、シリンダブロックによる駆動軸の支承は、ロータリバルブ及びすべり軸受を介してなされている。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−312146号公報(第3−4頁、第1図)
【特許文献2】
特開平7−63165号公報(第4頁、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1の技術においては、駆動軸が高価な転がり軸受を介してハウジングに支持されている。従って、圧縮機のコストが上昇する問題を生じていた。また、バルブ収容室の内周面と、ハウジングにおいて転がり軸受を収容する収容室の内周面との間に位置精度の誤差による心ズレが生じると、ロータリバルブの外周面とバルブ収容室の内周面との間でかじりが発生する問題があった。従って、バルブ収容室及び転がり軸受の収容室をそれぞれ高精度で加工しなくてはならず、圧縮機のコストが上昇する問題を生じていた。
【0009】
なお、ロータリバルブの外周面とバルブ収容室の内周面との間のクリアランスを大きく設定しておけば、このクリアランスつまり遊びによって前述した心ズレを吸収することができ、かじりの問題を解消することができる。しかし、ロータリバルブとバルブ収容室との間のクリアランスを大きく設定すると、このクリアランスを介したガス漏れによって圧縮機の圧縮効率が低下する問題を生じてしまう。
【0010】
また、特許文献2の技術においては、ロータリバルブの外周面とバルブ収容室の内周面との間、言い換えればロータリバルブの吸入案内溝とシリンダブロック側の吸入連通路との間にすべり軸受が介在されている。従って、圧縮機の圧縮効率を向上させるためには、ロータリバルブの外周面とすべり軸受との間、及びすべり軸受とバルブ収容室の内周面との間でのガス漏れをそれぞれ防止する必要がある。このため、すべり軸受が挿入されるバルブ収容室と、すべり軸受においてロータリバルブが挿入される内周面をそれぞれ高精度で加工する必要があり、圧縮機のコストが上昇する問題を生じていた。
【0011】
本発明の目的は、静寂性に優れてなおかつ圧縮効率が良好なピストン式圧縮機を安価に提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明では、吸入弁としてロータリバルブを用いている。ロータリバルブは、その外周面とバルブ収容室をなすシリンダブロックの内周面とですべり軸受面を構成する。駆動軸は、ロータリバルブを介することでハウジングに回転可能に支持されている。つまり、ロータリバルブを収容するバルブ収容室が、シリンダブロックの軸受収容室を兼ねている。従って、バルブ収容室のみをシリンダブロックに高精度で加工すれば、従来技術で述べた、バルブ収容室と軸受収容室との心ズレによりかじりが発生する問題や、ロータリバルブの外周面とバルブ収容室の内周面との間のクリアランスからのガス漏れの問題を解消することができる。よって、静寂性に優れてなおかつ圧縮効率が良好なピストン式圧縮機を安価に提供することが可能となる。
【0013】
請求項2の発明は請求項1において、ロータリバルブの外周面及びバルブ収容室をなすシリンダブロックの内周面が駆動軸の軸線方向に傾斜されている。従って、これらすべり軸受面においては、駆動軸に作用するラジアル荷重のみならずスラスト荷重も受承可能となる。
【0014】
請求項3の発明は請求項1又は2において、ロータリバルブ(すべり軸受)は駆動軸よりも大径とされている。大径なロータリバルブは、その外周面の面圧を低くすることができる。また、ロータリバルブの周速を高めることができ、ピストン式圧縮機が高負荷でかつ低回転速度の状態においても、ロータリバルブの外周面とバルブ収容室の内周面との間の油膜切れを防止することができる。
【0015】
請求項4の発明は請求項1〜3のいずれかにおいて、駆動軸とロータリバルブとを別体とした。従って、例えば、ロータリバルブの形状寸法や材質が、駆動軸の加工上や機能上の都合により限定されることを防止でき、ロータリバルブの機能(すべり軸受としての機能も含む)を優先した、形状寸法や材質の選択が可能となる。
【0016】
請求項5の発明は請求項1〜3のいずれかにおいて、駆動軸とロータリバルブは一体形成されている。従って、ピストン式圧縮機の部品点数を低減することができ、組み立てが容易となる。
【0017】
請求項6の発明は請求項1〜5のいずれかにおいて、コーティングの介在によってロータリバルブとバルブ収容室との接触摺動性が良好とされている。従って、例えば、ロータリバルブとバルブ収容室(シリンダブロック)の材質を同じに設定しても、両者間の接触摺動による凝着を防止することができる。ロータリバルブとシリンダブロックの材質を同じとすれば、熱膨張率の差に起因した両者間のクリアランスの拡大を防止することができ、このクリアランスを介したガス漏れを防止できて、ピストン式圧縮機の圧縮効率を良好に維持することができる。
【0018】
なお、ロータリバルブの外周面とバルブ収容室をなすシリンダブロックの内周面との間にコーティングが介在されていても、「ロータリバルブの外周面とバルブ収容室をなすシリンダブロックの内周面とですべり軸受面を構成する」ことに含まれる。
【0019】
請求項7の発明は請求項1〜6のいずれかにおいて、ロータリバルブの外周面とバルブ収容室をなすシリンダブロックの内周面との間には、ロータリバルブの回転によって両周面間でポンプ作用を奏するポンプ溝が配置されている。従って、ロータリバルブの外周面とバルブ収容室をなすシリンダブロックの内周面との間のクリアランスを、例えばガス及び/又はガスに含まれる潤滑油が、ポンプ溝のポンプ作用によって積極的に流動される。よって、ロータリバルブの外周面とバルブ収容室をなすシリンダブロックの内周面との間の接触摺動性を良好とすることができる。
【0020】
請求項8の発明は請求項1〜7のいずれかにおいて、過給手段がガスを積極的に圧縮室へ供給するため、ピストン式圧縮機の圧縮効率が良好となる。また、ガスの圧縮室への積極供給により、このガスが横断されるロータリバルブとバルブ収容室との間の接触領域に、例えば、ガス及び/又はガス中に含まれる潤滑油を好適に供給することができる。従って、ロータリバルブの外周面とバルブ収容室をなすシリンダブロックの内周面との間の接触摺動性を良好とすることができる。
【0021】
請求項9の発明は請求項1〜8のいずれかにおいて、圧力供給路は、導入室をロータリバルブとバルブ収容室との間のクリアランスに連通させる。従って、ロータリバルブの回転に基づく遠心力の作用により、導入室内の例えばガス及び/又はガス中に含まれる潤滑油が、圧力供給路を介してロータリバルブとバルブ収容室との間のクリアランスに圧送供給される。その結果、バルブ収容室内においてロータリバルブは静圧受けされることとなる。よって、ロータリバルブの外周面とバルブ収容室をなすシリンダブロックの内周面との間の接触摺動性を良好とすることができる。
【0022】
上記請求項3及び4並びに請求項6〜9の発明によれば、ロータリバルブの外周面とバルブ収容室をなすシリンダブロックの内周面とですべり軸受面を構成することが容易に具体化可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、車両用空調装置に用いられるピストン式容量可変型圧縮機において具体化した第1〜第5実施形態について説明する。なお、第2〜第5実施形態においては第1実施形態との相違点についてのみ説明し、同一又は相当部材には同じ番号を付して説明を省略する。
【0024】
○第1実施形態
(ピストン式容量可変型圧縮機)
図1に示すように、ピストン式容量可変型圧縮機(以下単に圧縮機とする)は、アルミニウム系の金属材料よりなるシリンダブロック11と、その前端に接合固定されたフロントハウジング12と、シリンダブロック11の後端に弁・ポート形成体13を介して接合固定されたリヤハウジング14とを備えている。これらシリンダブロック11、フロントハウジング12及びリヤハウジング14が圧縮機のハウジングを構成する。なお、図面の左方を前方、右方を後方とする。
【0025】
前記シリンダブロック11とフロントハウジング12とで囲まれた領域にはクランク室15が区画されている。クランク室15内には駆動軸16が回転可能に配設されている。駆動軸16は鉄系の金属材料により構成されている。駆動軸16は、車両の走行駆動源である図示しないエンジンに作動連結されており、エンジンから動力の供給を受けて回転される。
【0026】
前記クランク室15において駆動軸16上には、ラグプレート21が一体回転可能に固定されている。クランク室15内には、カム体としての斜板23が収容されている。斜板23は、駆動軸16にスライド移動可能でかつ傾動可能に支持されている。ヒンジ機構24は、ラグプレート21と斜板23との間に介在されている。従って、斜板23は、ヒンジ機構24を介したラグプレート21との間でのヒンジ連結、及び駆動軸16の支持により、ラグプレート21及び駆動軸16と同期回転可能であるとともに、駆動軸16の軸線方向へのスライド移動を伴いながら駆動軸16に対し傾動可能となっている。
【0027】
複数のシリンダボア11a(図1においては一箇所のみ示す)は、前記シリンダブロック11において駆動軸16の後端側を取り囲むようにして貫通形成されている。片頭型のピストン25は、各シリンダボア11aに往復動可能に収容されている。シリンダボア11aの前後開口は、弁・ポート形成体13及びピストン25によって閉塞されており、このシリンダボア11a内にはピストン25の往復動に応じて体積変化する圧縮室26が区画されている。各ピストン25は、シュー27を介して斜板23の外周部に係留されている。従って、駆動軸16の回転にともなう斜板23の回転が、シュー27を介してピストン25の往復動に変換される。
【0028】
前記リヤハウジング14内には、吸入室28及び吐出室29がそれぞれ区画形成されている。吸入室28はリヤハウジング14の中央部に形成されているとともに、吐出室29は吸入室28の外周を取り囲むようにして形成されている。弁・ポート形成体13には、圧縮室26と吐出室29とを連通する吐出ポート32、及び吐出ポート32を開閉するリード弁よりなる吐出弁33が形成されている。シリンダブロック11には、ロータリバルブ41を備えた吸入弁機構35が設けられている。
【0029】
そして、前記吸入室28の冷媒ガスは、各ピストン25の上死点位置から下死点側への移動により、吸入弁機構35を介して圧縮室26に吸入される(吸入行程)。圧縮室26に吸入された冷媒ガスは、ピストン25の下死点位置から上死点側への移動により所定の圧力にまで圧縮され、弁・ポート形成体13の吐出ポート32及び吐出弁33を介して吐出室29に吐出される(吐出工程)。
【0030】
前記圧縮機のハウジング内には、抽気通路及36び給気通路37が設けられている。抽気通路36はクランク室15と吸入室28とを接続する。給気通路37は吐出室29とクランク室15とを接続する。ハウジングにおいて給気通路37の途中には、電磁弁よりなる制御弁38が配設されている。
【0031】
そして、前記制御弁38の開度を調節することで、給気通路37を介した吐出室29からクランク室15への高圧な吐出ガスの導入量と、抽気通路36を介したクランク室15から吸入室28へのガス導出量とのバランスが制御され、クランク室15の内圧が決定される。クランク室15の内圧変更に応じて、ピストン25を介してのクランク室15の内圧と圧縮室26の内圧との差が変更され、斜板23の傾斜角度が変更される結果、ピストン25のストロークすなわち圧縮機の吐出容量が調節される。
【0032】
(吸入弁機構)
図1及び図2に示すように、前記圧縮機のハウジングには、シリンダブロック11においてシリンダボア11aに囲まれた中心部からリヤハウジング14の中心部にかけてバルブ収容室42が形成されている。バルブ収容室42は、円柱状をなすとともに後方側で吸入室28に連通されている。バルブ収容室42と各圧縮室26とは、シリンダブロック11に形成された複数(図3参照)の吸入連通路43を介してそれぞれ連通されている。
【0033】
前記バルブ収容室42内には、ロータリバルブ41が回転可能に収容されている。ロータリバルブ41は、吸入室28側に開口する有底円筒状をなしており、その底部の中心部には取付孔41aが貫通形成されている。ロータリバルブ41は、アルミニウム系の金属材料により構成されている。駆動軸16の後端はバルブ収容室42内に配置され、その後端の小径部16aには、ロータリバルブ41が取付孔41aを以って圧入固定されている。従って、ロータリバルブ41と駆動軸16とは一体化されて一軸様をなしており、ロータリバルブ41は駆動軸16の回転、つまりはピストン25の往復動に同期して回転される。
【0034】
図3に示すように、前記ロータリバルブ41の筒内空間は、吸入室28と連通する導入室44をなしている。ロータリバルブ41の外周面41bには、導入室44と常時連通される吸入案内溝45が周方向の一定区間に形成されている。この吸入案内溝45と前記吸入連通路43とが、吸入圧力領域たる導入室44と圧縮室26との間の冷媒ガス通路をなしている。この冷媒ガス通路をロータリバルブ41がその回転によって開閉する。
【0035】
すなわち、前記ロータリバルブ41は、ピストン25が吸入行程に移行した場合に、バルブ回転方向に関して先行する吸入案内溝45の底壁の先行端面45aが、シリンダブロック11の吸入連通路43を開放する方向に通過される。従って、吸入室28の冷媒ガスは、ロータリバルブ41の導入室44及び吸入案内溝45、並びにシリンダブロック11の吸入連通路43を経由して圧縮室26に吸入される。
【0036】
前記ピストン25の吸入行程の終了時には、ロータリバルブ41の回転方向に関して吸入案内溝45の底壁の後行端面45bが吸入連通路43を閉鎖する方向に通過して、圧縮室26内への冷媒ガスの吸入が停止される。ピストン25が吐出行程に移行されると、ロータリバルブ41の外周面41bによって吸入連通路43が閉鎖状態に保持され、冷媒ガスの圧縮及び吐出室29への吐出が妨げられることはない。
【0037】
(駆動軸の軸受構造)
図1に示すように、前記駆動軸16の前端側は、転がり軸受よりなるフロントベアリング47を介してフロントハウジング12に回転可能に支持されている。駆動軸16の後端側は、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとの直接摺動によって、シリンダブロック11に回転可能に支持されている。つまり、ロータリバルブ41は、その外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとで、駆動軸16の後端側を支持してラジアル荷重を受承するすべり軸受面を構成している。
【0038】
前記駆動軸16に作用する軸線前方側へのスラスト荷重は、フロントハウジング12の内壁面とラグプレート21との間に介在された、転がり軸受よりなるスラストベアリング17によって受承される。また、駆動軸16に作用する軸線後方側へのスラスト荷重は、ロータリバルブ41の後端面41fがリヤハウジング14の内壁面14aに摺動することで受承される。なお、駆動軸16の軸線方向前後への移動可能距離(クリアランス)が100μm以下となるように、駆動軸16に対するロータリバルブ41の圧入位置(圧入距離)が調節されている。
【0039】
図示しないが、前記ロータリバルブ41の後端面41fには、両者14,41間の接触摺動性を良好とするためのコーティング(例えば後述するコーティング48と同様)が施されている。なお、このコーティングは、ロータリバルブ41側ではなくリヤハウジング14の内壁面14a側に施されていてもよいし、ロータリバルブ41の後端面41f及びリヤハウジング14の内壁面14aの両方に施されていてもよい。また、コーティングに代えて、ロータリバルブ41の後端面41fとリヤハウジング14の内壁面14aとの間に、転がり軸受よりなるスラストベアリングを介在させてもよい。
【0040】
さて、前記バルブ収容室42の内周面42aは、シリンダブロック11の強度詳しくはバルブ収容室42とシリンダボア11aとの間の部位の強度が許す限り大径に設定されている。従って、バルブ収容室42に収容されるロータリバルブ41にも大径のものが用いられており、本実施形態においてロータリバルブ41は駆動軸16よりも大径とされている。
【0041】
図2に示すように、前記ロータリバルブ41の外周面41bの全体には、バルブ収容室42の内周面42aとの間の接触摺動性を良好とするためのコーティング48が施されている。なお、図面にはコーティング48の一部のみを網線にて示している。このコーティング48は、例えば、フッ素樹脂からなっている。フッ素樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)或いはPCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)等が挙げられる。
【0042】
前記ロータリバルブ41の外周面41bには、駆動軸16の軸線を中心とした螺旋状にポンプ溝49が形成されている。従って、ロータリバルブ41が回転することで、ポンプ溝49がバルブ収容室42の内周面42aとの間でポンプ作用を奏する。その結果、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとの間には、両周面41b,42a間に存在する冷媒及び冷媒中に含まれる潤滑油が積極的に流動されることとなる。なお、ポンプ溝49の螺旋方向つまり冷媒及び潤滑油の流動方向は、クランク室15方向(図面左方)又は吸入室28方向(図面右方)の何れに設定されていてもよい。本実施形態においてポンプ溝49の螺旋方向は、クランク室15方向に設定されている。
【0043】
上記構成の本実施形態においては次のような効果を奏する。
(1)吸入弁機構35にロータリバルブ41を用いている。ロータリバルブ41は、その外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとですべり軸受面を構成する。駆動軸16は、ロータリバルブ41を介することでハウジング11,12,14に回転可能に支持されている。つまり、ロータリバルブ41を収容するバルブ収容室42が、軸受収容室を兼ねている。従って、バルブ収容室42(内周面42a)のみを高精度で加工すれば、従来技術で述べたバルブ収容室42と軸受収容室との心ズレによるかじりの問題や、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとの間のクリアランスからのガス漏れの問題を解消することができる。よって、静寂性に優れてなおかつ圧縮効率が良好な圧縮機を安価に提供することが可能となる。
【0044】
(2)ロータリバルブ41(すべり軸受)は駆動軸16よりも大径とされている。従って、ロータリバルブ41の外周面41bの面圧を低くすることができるし、ロータリバルブ41の周速を高めることができる。従って、圧縮機が高負荷でかつ低回転速度の状態においても、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとの間の油膜切れを防止することができる(一般的に、すべり軸受は、高負荷でかつ低回転速度時に油膜切れが生じ易いとされている)。よって、すべり軸受41,42の耐久性を向上させることができる。
【0045】
また、ロータリバルブ41を大径とすることはバルブ収容室42の内周面42aを大径とすることにつながり、シリンダブロック11においてバルブ収容室42とシリンダボア11aとの間の部位を薄肉とすることができる。従って、吸入連通路43を極力短距離とすることができ、圧縮室26のデッドボリュームを減少させて圧縮機の体積効率を良好とすることができる。
【0046】
(3)駆動軸16とロータリバルブ41は別体に構成されている。従って、例えば、ロータリバルブ41の形状寸法や材質が、駆動軸16の加工上や機能上の都合により限定されることを防止でき、ロータリバルブ41の機能(すべり軸受としての機能も含む)を優先した、形状寸法や材質の選択が可能となる。
【0047】
つまり、駆動軸16は、加工性を良好とする場合にはストレートな(外径変化のない)形状が好適であるし、耐久性を考慮すれば鉄系の金属材料により構成することが好適となる。一方、ロータリバルブ41は、その耐久性を向上させるために極力大径とすることが好適である。また、ロータリバルブ41は、バルブ収容室42(シリンダブロック11)との熱膨張率の差に起因した両者11,41間のクリアランスの拡大を防止するために、同じアルミニウム系の金属材料により構成することが好適である。なお、シリンダブロック11をアルミニウム系の金属材料により構成するのは、圧縮機の軽量化のためである。
【0048】
(4)ロータリバルブ41の外周面41bに施されたコーティング48により、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとの接触摺動性が良好とされている。従って、ロータリバルブ41とバルブ収容室42(シリンダブロック11)の材質が同じアルミニウム系の金属材料であっても、両者11,41間の接触摺動による凝着を防止することができる。
【0049】
(5)ロータリバルブ41の外周面41bには、その回転によってポンプ作用を奏するポンプ溝49が形成されている。従って、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとの間のクリアランスを、例えば冷媒及び/又は冷媒中に含まれる潤滑油が、ポンプ溝49のポンプ作用によって積極的に流動される。従って、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとの間の接触摺動性を良好とすることができる。
【0050】
なお、前記ポンプ溝49の螺旋方向をクランク室15方向に設定すれば、クランク室15に潤滑油を供給することができる。従って、特に潤滑的に厳しいとされる、斜板23とシュー27との間の潤滑状態を良好とすることができ、圧縮機の耐久性が向上される。逆に、ポンプ溝49の螺旋方向を吸入室28方向に設定すれば、吸入圧力領域(吸入室28や導入室44等)からクランク室15に冷媒ガスが漏れることを防止でき、圧縮機の圧縮効率をさらに良好とすることができる。
【0051】
(6)前記(2)〜(5)の効果を奏せられることは、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとですべり軸受面を構成することを容易に具体化可能とする。
【0052】
○第2実施形態
図4に示すように、本実施形態においては、ロータリバルブ41において吸入案内溝45の先行端面45aと後行端面45bとの間に、過給手段としての過給羽根51が配置されている。過給羽根51は、先行及び後行端面45a,45bとほぼ同じ傾角をもって複数箇所(本実施形態は3箇所)に設けられている。
【0053】
従って、前記駆動軸16の回転に応じてロータリバルブ41が図4の矢印方向に回転されると、導入室44から吸入案内溝45に供給された冷媒ガスは、吸入案内溝45の端面45a,45bとそれに隣接する過給羽根51間と、或いは隣接する過給羽根51間と、バルブ収容室42の内周面42aとの間で形成された移送空間によって、吸入連通路43に対応する位置まで移送される。吸入連通路43に対応する位置まで移送された冷媒ガスは、過給羽根51或いは端面45a,45bの旋回によって付与された遠心力によって、吸入連通路43に向けて送出されることとなる。
【0054】
本実施形態においては第1実施形態と同様な効果を奏する他、ロータリバルブ41に過給羽根51が設けられており、この過給羽根51によって冷媒ガスが圧縮室26に積極供給される。従って、多量の冷媒ガスを圧縮室26に吸入させることができ、圧縮機の圧縮効率が良好となる。
【0055】
また、この冷媒ガスの過給により、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとのクリアランスに、そこを横断する冷媒及び/又は冷媒中に含まれる潤滑油を好適に供給することができる。従って、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとの間の接触摺動性を良好とすることができる。よって、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとですべり軸受面を構成することを容易に具体化可能となる。
【0056】
○第3実施形態
図5に示すように、本実施形態においては、前記ロータリバルブ41がバルブ収容室42内において静圧受けされている。すなわち、ロータリバルブ41の周壁には圧力供給路としての圧力供給孔55が貫通形成されている。圧力供給孔55は、駆動軸16の軸線周りにおいて吸入案内溝45とは反対側の領域に配置されている。
【0057】
前記圧力供給孔55は、導入室44をロータリバルブ41とバルブ収容室42との間のクリアランスに連通させている。従って、ロータリバルブ41の回転に基づく遠心力の作用により、導入室44内の冷媒及び/又は冷媒中に含まれる潤滑油が、圧力供給孔55を介してロータリバルブ41とバルブ収容室42との間のクリアランスに圧送供給される。よって、バルブ収容室42内においてロータリバルブ41は静圧受けされることとなる。
【0058】
本実施形態においては第1実施形態と同様な効果を奏する他、ロータリバルブ41がバルブ収容室42内において静圧受けされている。従って、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとの間の接触摺動性を良好とすることができる。よって、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとですべり軸受面を構成することを容易に具体化可能となる。
【0059】
ここで、前記ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとの間において吸入案内溝45が通過中の付近は、吸入案内溝45を介した冷媒及び/又は冷媒中の潤滑油の適度な漏れ、つまり良好な接触摺動性を期待できる。ところが、吸入案内溝45が通過中以外の部分はそれを期待できない。
【0060】
しかし、本実施形態においては、圧力供給孔55が、駆動軸16の軸線周りにおいて吸入案内溝45とは反対側の領域に配置されている。従って、吸入案内溝45が通過中以外の部分も圧力供給孔55からの冷媒及び/又は冷媒中の潤滑油の供給により、良好な接触摺動性を得ることができる。これも、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとですべり軸受面を構成することを容易に具体化可能とする。
【0061】
○第4実施形態
図6に示すように、本実施形態においては、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとが、圧縮機の後方側に向かうに連れて駆動軸16の軸線に近接する方向に傾斜するテーパ形状をなしている。駆動軸16の軸線後方側へのスライド移動は、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとの当接により規制される。つまり、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとからなるすべり軸受面は、上記第1〜第3実施形態で述べた駆動軸16に作用するラジアル荷重の受承のみならず、駆動軸16に作用する軸線後方側へのスラスト荷重も受承可能となっている。
【0062】
なお、前記すべり軸受面41b、42aは、駆動軸16に作用するラジアル荷重の好適な受承及びスラスト荷重の好適な受承を高次元で両立するために、駆動軸16の軸線に対するテーパの傾斜角度が、0°を超えてなおかつ10°以下の範囲に設定されている。この範囲は、0.5〜1°がより好ましい。図面には、理解を容易とするために、すべり軸受面41b、42aの傾斜角度を誇張して描いてある。
【0063】
本実施形態においては、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。その他にも、すべり軸受面41b、42aによって、駆動軸16に作用するスラスト荷重も受承可能となっている。従って、ロータリバルブ41の後端面41fとリヤハウジング14の内壁面14aとの間に、スラスト荷重を受けるための配慮が不要となり(上記第1〜第3実施形態では、コーティング或いは転がり軸受等の配慮が必要)、圧縮機の構造を簡素化することができる。
【0064】
○第5実施形態
図7に示すように、本実施形態においては、抽気通路36が、駆動軸16の軸心位置及びロータリバルブ41の前端側の軸心位置に設けられているとともに、該抽気通路36の下流側が、固定絞り36aを介して導入室44に接続されている。従って、クランク室15の冷媒ガスは、抽気通路36及び該通路36の一部たる固定絞り36aを介して導入室44に導出される。抽気通路36内を流動される冷媒ガスからは、該通路36の通過断面積が固定絞り36aによって急激に縮小される効果や、駆動軸16の回転に伴う遠心力の作用等によって、該固定絞り36aよりも上流側において潤滑油が分離される。
【0065】
また、本実施形態においては、ロータリバルブ41の前端側が駆動軸16よりも小径とされている(41gで示す)。ロータリバルブ41は、小径部分41gを以て、駆動軸16の後端部に形成された取付孔16bに圧入固定されている。そして、ロータリバルブ41の小径部分41gと駆動軸16の後端部とが重なる部分には、抽気通路36(固定絞り36aよりも上流側)とクランク室15とを連通するオイル戻し孔57が、駆動軸16の径方向に貫通形成されている。従って、抽気通路36内において固定絞り36aの上流側で冷媒ガスから分離された潤滑油は、遠心力の作用等によって、オイル戻し孔57を介してクランク室15に戻されることとなる。
【0066】
本実施形態においては、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。その他にも、クランク室15から冷媒ガスとともに排出された潤滑油を、抽気通路36内において冷媒ガスから分離して、直ちにクランク室15へ帰還させることができる。従って、クランク室15内の潤滑油量を多く保つことができ、クランク室15内に配置される各摺動部分(例えば、斜板23とシュー27との間や、シュー27とピストン25との間)の接触摺動性を良好とすることができる。
【0067】
なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で例えば以下の態様でも実施できる。
・図8に示すように、上記第4実施形態(図6参照)を変更し、ロータリバルブ41の外周面41b及びバルブ収容室42の内周面42aの一部分41c、42bのみをテーパ状とすること。このようにすれば、ロータリバルブ41及びバルブ収容室42のテーパ加工が容易となる。
【0068】
また、図8の態様は、ロータリバルブ41において外周面41bのテーパ部分41cが、吸入案内溝45の開口部よりも後方側に設定されている。また、バルブ収容室42において内周面42aのテーパ部分42bが、吸入連通路43の開口部よりも後方側に設定されている。つまり、ロータリバルブ41の外周面41b及びバルブ収容室42の内周面42aのテーパ状41c,42bは、ロータリバルブ41によるガス通路の開閉位置を避けて設定されている。
【0069】
従って、駆動軸16の軸線方向前後へのスライド移動によっても、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとの間のクリアランスが、吸入案内溝45と吸入連通路43との接続部分付近で変化することを防止できる。よって、例えば、このクリアランスの増大に起因したガス漏れ、つまりは圧縮機の圧縮効率の低下を防止することができる。
【0070】
・図9に示すように、上記第4実施形態(図6参照)を変更し、ロータリバルブ41の外周面41b及びバルブ収容室42の内周面42aの少なくとも一部を、圧縮機の後方側に向かうに連れて駆動軸16の軸線に近接する方向に傾斜する曲面状41d,42cとすること。
【0071】
特に、図9の態様は、ロータリバルブ41において外周面41bの凸曲面部分41dが、吸入案内溝45の開口部よりも後方側に設定されている。また、バルブ収容室42において内周面42aの凹曲面部分42cが、吸入連通路43の開口部よりも後方側に設定されている。つまり、ロータリバルブ41の外周面41b及びバルブ収容室42の内周面42aの曲面状41d,42cは、ロータリバルブ41によるガス通路の開閉位置を避けて設定されている。
【0072】
従って、駆動軸16の軸線方向前後へのスライド移動によっても、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとの間のクリアランスが、吸入案内溝45と吸入連通路43との接続部分付近で変化することはない。よって、例えば、このクリアランスの増大に起因したガス漏れ、つまりは圧縮機の圧縮効率の低下を防止することができる。
【0073】
・上記第4実施形態(図6参照)においてスラストベアリング17(図1参照)を削除する。ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aのテーパ状を、圧縮機の前方側に向かうに連れて駆動軸16の軸線に近接する方向に傾斜する設定とする。そして、このすべり軸受面41b,42aにスラストベアリング17の役目を代替させること。この場合、ロータリバルブ41の後端面41fとリヤハウジング14の内壁面14aとの間には、駆動軸16に作用する軸線後方側へのスラスト荷重を受けるための配慮(例えばコーティング)が必要である。
【0074】
・上記1〜第5実施形態を変更し、ポンプ溝49を、ロータリバルブ41の外周面41bではなくバルブ収容室42の内周面42aに形成すること。このようにしても第1実施形態の(5)と同様な効果を奏する。なお、狭いバルブ収容室42内に工具を挿入してその内周面42aにポンプ溝49を形成するよりも、上記各実施形態のように、ロータリバルブ41の外周面41bにポンプ溝49を形成する方が、その加工作業が容易である。
【0075】
・上記第1〜第5実施形態においてポンプ溝49は螺旋状をなしていた。しかし、それに限定されるものではなく、例えば、駆動軸16の軸線方向に対して傾斜した単なる斜め溝であってもポンプ作用を奏することは可能である。
【0076】
・コーティング48をバルブ収容室42の内周面42aにのみ形成すること。又は、コーティング48を、ロータリバルブ41の外周面41b及びバルブ収容室42の内周面42aの両方に形成すること。
【0077】
・ロータリバルブ41を構成する材料としては、アルミニウム系の金属材料(シリンダブロック11)と同じ又は近傍の熱膨張率を有する合成樹脂、又は真鍮等のように熱膨張率がアルミニウム系の金属材料と近く、アルミニウム系の金属材料と凝着しない他の金属材料であってもよい。このようにすれば、ロータリバルブ41の外周面41bとバルブ収容室42の内周面42aとの間は異種材料の接触摺動となり、外周面41b及び/又は内周面42aに対するコーティング48は不要となる。なお、ロータリバルブ41を合成樹脂により構成した場合、ガラス繊維を補強材として用いるとよい。
【0078】
・ロータリバルブ41及びシリンダブロック11を、耐久性に優れる鉄系の金属材料により構成すること。
・ロータリバルブ41を駆動軸16に一体形成すること。この場合、駆動軸16においてロータリバルブ41部分をその他の部位よりも大径に設定すると、上記第1実施形態の(2)と同様な効果を奏する。なお、請求項3における「ロータリバルブは駆動軸よりも大径とされている」とは、本態様のようにロータリバルブ41が駆動軸16と一体形成されているなら、駆動軸16においてロータリバルブ41部分がその他の部位よりも大径であることを意味する。
【0079】
・上記第1〜第5実施形態においては、片頭ピストン式の圧縮機において具体化されていた。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、図10に示すように、両頭型のピストン25を備えた固定容量型圧縮機において具体化してもよい。この両頭ピストン式圧縮機においては、駆動軸16の後方側のみならず前方側にもシリンダボア11a群が配設されているため、図10の態様のように、前方側の吸入弁機構35にもロータリバルブ41を適用することができる。
【0080】
また、両頭ピストン式圧縮機において具体化した場合、図10の態様のように、フロントベアリング(転がり軸受)47を削除し、駆動軸16の前端側の支持にもロータリバルブ41をすべり軸受として用いるとよい。このようにすれば、駆動軸16の全てのラジアル軸受に高価な転がり軸受を用いる必要がなく、圧縮機のコストをさらに削減することができる。なお、図10中において上記第1実施形態と同一又は相当部材には同じ番号が付してあり、従って当該部材の詳細な説明は省略する。
【0081】
・上記第1〜第5実施形態においては、駆動軸16とロータリバルブ41とが別体とされていた。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、図10に示すように、駆動軸16とロータリバルブ41とを一体形成してもよい。このようにすれば、圧縮機を構成する部品点数を削減することができ、組み立てが容易となる。なお、駆動軸16とロータリバルブ41とを一体形成する手法としては、削り出しや、鋳造や、鍛造(例えば冷間鍛造)等が挙げられる。
【0082】
・図11においては、図10の態様の変更例を示す。すなわち、図11の態様においては、中実の駆動軸16と中空(パイプ状)のロータリバルブ41とが別体とされている。なお、これら別体の駆動軸16とロータリバルブ41との一体化は、上記第1〜第5実施形態のように圧入によるものであってもよいし、溶接によるものであってもよいし、圧接によるものであってもよい。この「圧接」とは、例えば、図11の態様であるなら、駆動軸16の小径部16aをロータリバルブ41の取付孔41aに遊び無く挿入するとともに、駆動軸16とロータリバルブ41とを相対回転させて、小径部16aの外周面と取付孔41aの内周面とを摺動熱により溶着する手法である。
【0083】
・斜板23に換えてウエーブカムをカム体として用いた、ウエーブカムタイプのピストン式圧縮機において具体化すること。
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0084】
(イ)前記シリンダブロックとそれに摺動するロータリバルブは熱膨張率が同じか又は近傍の材料により構成されている請求項1〜9のいずれかに記載のピストン式圧縮機。
【0085】
(ロ)前記ロータリバルブの外周面及びバルブ収容室の内周面は、少なくとも一部がテーパ状をなしている請求項2に記載のピストン式圧縮機。
(ハ)前記ロータリバルブの外周面及びバルブ収容室の内周面は、少なくとも一部が曲面状をなしている請求項2に記載のピストン式圧縮機。
【0086】
(二)前記ロータリバルブの外周面及びバルブ収容室の内周面において軸線方向への傾斜は、ロータリバルブによるガス通路の開閉位置を避けて設定されている請求項2又は前記(ロ)或いは(ハ)に記載のピストン式圧縮機。
【0087】
【発明の効果】
上記構成の本発明によれば、静寂性に優れてなおかつ圧縮効率が良好なピストン式圧縮機を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ピストン式容量可変型圧縮機の縦断面図。
【図2】 ロータリバルブの側面図。
【図3】 図1の1−1線断面図
【図4】 第2実施形態を示すロータリバルブ付近の横断面図。
【図5】 第3実施形態を示すロータリバルブ付近の縦断面図。
【図6】 第4実施形態を示すロータリバルブ付近の縦断面図。
【図7】 第5実施形態を示すピストン式容量可変型圧縮機の縦断面図。
【図8】 別例を示すロータリバルブ付近の縦断面図。
【図9】 別の別例を示すロータリバルブ付近の縦断面図。
【図10】 別の別例を示す両頭ピストン式圧縮機の縦断面図。
【図11】 別の別例を示す両頭ピストン式圧縮機の縦断面部分図。
【符号の説明】
11…ハウジングを構成するシリンダブロック、11a…シリンダボア、12…ハウジングを構成するフロントハウジング、14…同じくリヤハウジング、16…駆動軸、25…ピストン、26…圧縮室、41…ロータリバルブ、41b…すべり軸受面を構成するロータリバルブの外周面、42…バルブ収容室、42a…すべり軸受面を構成するバルブ収容室の内周面、43…ガス通路を構成する吸入連通路、44…吸入圧力領域を構成する導入室、45…ガス通路を構成する吸入案内溝。
Claims (9)
- ハウジングには駆動軸が回転可能に支持され、ハウジングの一部を構成するシリンダブロックにはシリンダボアが形成され、駆動軸にはシリンダボアに往復動可能に収容されたピストンが作動連結され、駆動軸の回転によってピストンが往復動され、シリンダボア内にはピストンの往復動によって体積変化することでガス圧縮が行われる圧縮室が区画形成され、シリンダブロックに形成されたバルブ収容室内にはロータリバルブが収容され、ロータリバルブは駆動軸に一体的に設けられ駆動軸と同期回転することで圧縮室と吸入圧力領域との間のガス通路を開閉可能な構成のピストン式圧縮機において、
前記ロータリバルブは、その外周面と前記バルブ収容室をなすシリンダブロックの内周面とですべり軸受面を構成し、駆動軸はロータリバルブを介することでハウジングに回転可能に支持されていることを特徴とするピストン式圧縮機。 - 前記ロータリバルブの外周面及びバルブ収容室をなすシリンダブロックの内周面は駆動軸の軸線方向に傾斜されており、これらすべり軸受面によって、駆動軸に作用するスラスト荷重も受承可能となっている請求項1に記載のピストン式圧縮機。
- 前記ロータリバルブは駆動軸よりも大径とされている請求項1又は2に記載のピストン式圧縮機。
- 前記駆動軸とロータリバルブとは別体に構成されている請求項1〜3のいずれかに記載のピストン式圧縮機。
- 前記駆動軸とロータリバルブは一体形成されている請求項1〜3のいずれかに記載のピストン式圧縮機。
- 前記ロータリバルブの外周面及びバルブ収容室をなすシリンダブロックの内周面の少なくとも一方には、両者間の接触摺動性を良好とするためのコーティングが施されている請求項1〜5のいずれかに記載のピストン式圧縮機。
- 前記ロータリバルブの外周面又はバルブ収容室をなすシリンダブロックの内周面には、ロータリバルブの回転によって両周面間でポンプ作用を奏するポンプ溝が形成されている請求項1〜6のいずれかに記載のピストン式圧縮機。
- 前記ロータリバルブには、その回転力を利用してガスを積極的に圧縮室へ供給する過給手段が設けられている請求項1〜7のいずれかに記載のピストン式圧縮機。
- 前記ロータリバルブの周壁には、ロータリバルブ内部に形成された導入室を、ロータリバルブとバルブ収容室との間のクリアランスに連通させる圧力供給路が形成されている請求項1〜8のいずれかに記載のピストン式圧縮機。
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