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JP3889229B2 - 渦電流センサ及びこの渦電流センサを用いたディスク装置 - Google Patents

渦電流センサ及びこの渦電流センサを用いたディスク装置 Download PDF

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JP3889229B2
JP3889229B2 JP2001018001A JP2001018001A JP3889229B2 JP 3889229 B2 JP3889229 B2 JP 3889229B2 JP 2001018001 A JP2001018001 A JP 2001018001A JP 2001018001 A JP2001018001 A JP 2001018001A JP 3889229 B2 JP3889229 B2 JP 3889229B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性部位を含む被検査体までの距離、前記被検査体の厚さ等を測定する感度特性の優れた磁気センサを用いた渦電流センサ、並びにこの渦電流センサを用いて、ヘッドとディスク型記録媒体との距離又はディスク型記録媒体の傾きを検出するディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の渦電流センサは、空心コイルに交流電流を与えて交流磁界を誘導し、導電性部位を含む被検査体にこの交流磁界を印加して渦電流を発生させ、この渦電流によって生じる反磁界による空心コイルに鎖交する磁束変化の減少をコイル電圧の減少として検出することによって、金属の有無を検出したり、空心コイルから被検査体までの距離、被検査体の厚さ、または被検査体の透磁率を測定するものであった。
【0003】
また、ディスク型記録媒体を記録・再生するディスク装置では、ディスク(ディスク型記録媒体)を記録・再生する際に、ディスクが記録面垂直方向に面振れすること、または記録面水平方向に偏心することがある。ディスクが面振れ・偏心を起こした場合でも、常に記録・再生ヘッドがディスクの記録トラック上を走行するようにトラッキング制御を行なう。光ディスク装置の場合には、さらに、ディスクの記録面に再生ヘッドのレンズ焦点が常に合うようにフォーカス制御を行なう。
【0004】
しかし、ディスクは、面振・偏心以外の挙動を示すことがある。また、ディスク成形時に、そりが生じる。特に、DVDは、CDなどの光ディスクに比べて、ディスク基板の厚さが薄くなっているのでディスクのそりが生じ易い。また、高記録密度化に伴って記録トラック幅が狭くなっているので、波長の短いレーザ光を用いるととともに、対物レンズの開口数NAを大きくするなどして、レーザビームのスポット径をCDなどを再生するときよりもかなり絞り込む必要がある。このため、正常に再生するためのディスクの傾き角(チルト角)の許容量が小さくなっている。そこで、記録・再生時にディスクのそりなどによって生じるディスクの傾き角を検出して、記録・再生ヘッドの角度を調節する必要がある。
【0005】
従来のディスク装置では、記録・再生ヘッドとディスクとの距離或いはディスクの傾きを検出するときに、光学的手段を用いて検出していた。例えば、ディスクの傾きを検出するものとして、ディスクの記録面に向き合わせてLEDを配置し、さらにこのLEDの左右両側に2個のフォトディテクタを配置したものがある。前記LEDからディスクの記録面に向けてレーザ光を照射したときに、前記ディスクが傾いていると、2個のフォトディテクタが検知する反射光の強さに差を生じるので、2個のフォトディテクタの受光信号の差分をとることにより、ディスクの傾きを検出する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の渦電流センサは、空心コイルを交流励磁し、被検査体に渦電流を発生させ、この渦電流によって生じる反磁界によって空心コイルのインダクタンスの減少を検出するものである。
【0007】
しかし、この方法では、渦電流センサと被検査体のある1点との距離をピンポイントで正確に測定することが困難である。また、被検査体の浅い表面を検査する場合には渦電流の表皮深さを浅くするために、交流電流の周波数を数KHz〜数十MHz帯の高周波領域にする必要があるが、コイルの浮遊容量による変位電流のため、検出精度が低下するという問題が生じていた。
【0008】
また、従来のディスク装置のように、記録・再生ヘッドとディスクとの距離或いはディスクの傾きを検出するときに、光学的手段を用いて検出するものでは、前記距離及び傾きを検出するための装置の組付けに高い精度が要求され、調整工程を含むディスク装置の製造工程が複雑になるという問題や、ディスク装置が故障した時の修理が困難になるという問題が生じていた。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、磁気センサを用いることによって、測定精度を向上させることのできる渦電流センサ、及び、この渦電流センサを用いて記録及び/又は再生ヘッドとディスク型記録媒体との距離或いはディスク型記録媒体の傾きを検出することにより、前記距離及び傾きの検出精度を向上させることができ、製造・修理が容易なディスク装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の渦電流センサは、交流電流 ac1 が与えられて交流磁界を誘起し、この交流磁界によって、被検査体の導電性部位に渦電流を発生させるための所定の巻数にて巻回されたコイルと、前記コイルから所定位置離れた場所に設置された磁気センサとが、前記被検査体の同一面側に設置されており、
前記磁気センサは、磁気インピーダンス効果を有する軟磁性体を含む感磁部と、前記感磁部の素子長手方向の両端部に、駆動交流電流を与えるための電極部を有する磁気インピーダンス効果素子であり、
前記磁気インピーダンス効果素子の感磁部の素子長手方向に直流バイアス磁界を印加するための直流電流I dc を供給する直流電源と、前記交流電流I ac1 を供給する交流電源とが一つの前記コイルに接続されて、前記コイルには、前記交流電流I ac1 と、前記直流電流I dc とが重畳された電流が与えられることを特徴とするものである。
【0011】
本発明では、交流磁界を発生させる手段と、被検査体からの反磁界を検出する磁気センサとが独立している。
【0012】
従って、被検査体の浅い表面を検査する場合に、渦電流の表皮深さを浅くするために交流電流の周波数を数KHz〜数十MHz帯の高周波領域にしたときでも、コイルの浮遊容量による変位電流のため検出精度が低下する、という問題を低減することができる。
【0013】
気インピーダンス効果素子は、薄膜プロセスを用いて製造することができるので、磁気センサの大きさを非常に小さくできる。従って、被検査体表面の狭い範囲で発生する反磁界を正確に測定することができ、渦電流センサと被検査体のある1点との距離、被検査体の厚さ、または被検査体の透磁率などをピンポイントで正確に測定することが可能になる。
【0015】
また、前記コイルの巻き中心と前記磁気インピーダンス効果素子感磁部の中心とが同一線上に位置していると、渦電流センサと被検査体のある1点との距離、被検査体の厚さ、または被検査体の透磁率などを正確に測定することが容易になるので好ましい。このとき、前記磁気インピーダンス効果素子が、前記コイル内部の巻き中心に設置されていることがより好ましい。
【0017】
磁気インピーダンス効果素子は、軟磁性材料を用いて線状または略長方形の薄膜状の感磁部を形成し、この感磁部の素子長手方向に駆動交流電流を与え、感磁部両端の電圧変化を測定するだけで、外部磁界を測定することができるので、小型化が非常に容易である。すなわち、渦電流センサの小型化が非常に容易になる。
【0018】
また、磁気インピーダンス効果素子は、小型化が容易であることに加えて、磁界検出感度が、例えば磁気抵抗効果素子の数十倍〜数百倍と、高感度である。
【0020】
磁気インピーダンス効果素子には、素子長手方向に一定の大きさの直流バイアス磁界をかけることにより、外部磁界の変化に対する出力電圧変化の直線性を確保でき、磁界検出感度の向上を図ることができる。この直流バイアスは、例えば、磁気インピーダンス効果素子の感磁部の周囲に巻回されたコイルによって供給することができる。
【0021】
前記磁気インピーダンス効果素子が前記コイルの巻き中心に設置され、前記コイルには、前記被検査体の導電性部位に渦電流を発生させる交流磁界を誘起させるための交流電流に、前記磁気インピーダンス効果素子の感磁部に対し素子長手方向に印加される直流バイアス磁界を発生させるための直流電流が重畳された電流が与えられると、被検査体に渦電流を発生させるためのコイルと、前述の磁気インピーダンス効果素子にかける直流バイアス磁界を誘起させるためのコイルを一つのコイルで兼用することができるので、渦電流センサの小型化が可能になる。
【0022】
なお、前記コイルに与えられる前記交流電流 ac1 の周波数と、前記磁気インピーダンス効果素子に与えられる駆動交流電流の周波数が異なることが必要である。
【0023】
また、前記磁気インピーダンス効果素子の前記感磁部は、略長方形の軟磁性薄膜あるいは軟磁性薄帯を含むものであると製造が容易になるので好ましい。
【0024】
また、本発明は、導電体層を有するディスク型記録媒体の記録、あるいは再生、又は、記録及び再生を行なうディスク装置であり、前記ディスク型記録媒体を前記被検査体とする前述した渦電流センサが、一個又は複数個、記録ヘッド、あるいは再生ヘッド、又は、記録ヘッド及び再生ヘッドに対して所定の位置において前記ディスク型記録媒体に対向して設置され、前記ディスク型記録媒体の導電体層に発生させた前記渦電流による反磁界の大きさを前記磁気インピーダンス効果素子によって測定することにより、前記ディスク型記録媒体と前記記録ヘッド、あるいは再生ヘッド、又は、記録及び再生ヘッドとの距離を検出することを特徴とするものである。
【0025】
本発明では、前述した磁気センサを用いた渦電流センサによって、記録ヘッド、あるいは再生ヘッド、又は記録及び再生ヘッドとディスク型記録媒体との距離を検出するので、従来のように光学的手段を用いて前記距離を検出するものに比べると、装置の組付けに高い精度が要求されず、また、調整工程も、基本的に、基準となる距離を測定したときの磁気センサの出力強度を調節するだけでよい。
【0026】
従って、本発明では、製造工程を簡略化できる。また、ディスク装置が故障したときなどには、設備の整った工場以外の場所で修理をすることが多くなるが、本発明では、調整工程が簡略化されているため、修理が容易になるという利点も有する。
【0027】
また、本発明では、前記渦電流センサが、前記ディスク型記録媒体の半径方向、あるいは、タンジェンシャル方向、又は、前記半径方向及び前記タンジェンシャル方向に所定の距離を開けて複数個設置され、前記複数個の渦電流センサと前記ディスク型記録媒体の距離の差を測定することにより、記録中あるいは再生中の前記ディスク型記録媒体の傾きを検出することができる。
【0028】
なお、本発明では、前記複数個の渦電流センサの全てが、前記記録ヘッド、あるいは再生ヘッド、又は、記録及び再生ヘッド上、または、前記記録ヘッド、あるいは再生ヘッド、又は、記録及び再生ヘッドが搭載されたキャリッジを有するピックアップ装置上において、前記ディスク型記録媒体に対向するように固定されていてもよいし、または、前記複数個の渦電流センサの全てが、前記記録ヘッド、あるいは再生ヘッド、又は、記録及び再生ヘッドが搭載されたキャリッジを有するピックアップ装置と接触しない場所において、前記ディスク型記録媒体に対向するように固定されていてもよい。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施の形態の渦電流センサを示す斜視図である。
【0030】
図1において本実施の形態の渦電流センサ10は、交流電源13から交流電流Iac1が与えられて金属板である被検査体11に交流磁界H(x)を誘起し、この交流磁界H(x)によって被検査体11に渦電流Ieを発生させる交流磁界発生手段であるコイル12と、前記コイル12の内部において中心軸(巻き中心)Ca上に設置された磁気センサである磁気インピーダンス効果素子15とを有している。なお、図1では、コイル12の中心軸Caを点線で示し、コイル12の中心軸Caの同軸線Cを一点斜線で表している。
【0031】
コイル12には、交流電流Iac1を供給する交流電源13と直流電流Idcを供給する直流電源14とが直列に接続されている。なお、Rは抵抗成分である。また、磁気インピーダンス効果素子15には、交流電源16から駆動交流電流Iac2が供給され、出力電圧Emiが取り出されている。
【0032】
なお、図1に示した一つの実施例において、コイル12は絶縁材料で被覆された銅線を所定の巻数にて巻回して形成されたものである。
【0033】
また、被検査体は全体が金属によって形成されている必要はなく、渦電流が発生する導電性部位があればよい。
【0034】
図1に示した渦電流センサの作用原理を説明する。
コイル12に与えられた交流電流Iac1の角周波数をω、コイル12と被検査体11との距離をx、被検査体11の電気抵抗率をρ、被検査体11の面垂直透磁率をμとする。
【0035】
まず、交流電源13から交流電流Iac1が与えられて交流磁界が誘起される。
被検査体11における交流磁界H(x)は、(数1)で表される。
【0036】
【数1】
Figure 0003889229
【0037】
被検査体11における交流磁界H(x)は、被検査体11に渦電流Ieを発生させる。渦電流Ieによって、被検査体11の表面から垂直に磁気インピーダンス効果素子15に向って、反磁界Hdが発生する。ここで、渦電流Ieによる磁気双極子が面垂直に現れると考えると、その磁極の強さはμIeに比例し、長さは被検査体11の厚さdが、渦電流Ieの表皮深さδより薄い場合はd、厚い場合はδと考えられる。
ここで、渦電流Ieの表皮深さδは、(数2)で表される。
【0038】
【数2】
Figure 0003889229
【0039】
ただし、ρは被検査体11の電気抵抗率、μは被検査体11の面垂直透磁率、ωはコイル12に与えられた交流電流Iac1の角周波数である。
この磁気双極子の双極子モーメントmは(数3)又は(数4)で表される。
【0040】
【数3】
Figure 0003889229
【0041】
【数4】
Figure 0003889229
【0042】
磁気インピーダンス効果素子15に印加される反磁界Hdは(数5)または(数6)で表される。
【0043】
【数5】
Figure 0003889229
【0044】
【数6】
Figure 0003889229
【0045】
ここで、Nはコイル12の巻数、aはコイル12の半径である。
【0046】
本発明では、(数5)または(数6)を基礎にして、渦電流センサと被検査体との距離xを求めるときには距離xのみを、被検査体の厚さdを求めるときには厚さdのみを、変数とするようにして渦電流センサを設計する。
【0047】
また、非接触型トルクセンサや応力センサを構成するときには、μのみを変数とするようにして渦電流センサを設計する。
【0048】
磁気インピーダンス効果素子とは、微小交流電流をワイヤー状、リボン状、または薄膜状に形成された磁性線に印加することによって生じるインピーダンスによる出力電圧が外部印加磁界によって変化することを基本原理としている素子である。
【0049】
図2は、図1で示された渦電流センサに用いられた磁気インピーダンス効果素子15の斜視図である。図2の磁気インピーダンス効果素子15は、結晶化ガラス、Al23など絶縁性の非磁性材料からなる基板21上に、軟磁性材料をスパッタ法や蒸着法などによって、薄膜形成することにより形成された感磁部22、および感磁部22の両端部にCuなどの導電性材料により形成された電極部23,23によって構成されている。感磁部22は、一つの実施例において、略長方形状または線状にパターン形成されている。或いは、感磁部22は、出力を大きくするためにU字型またはジグザグ状などにパターン形成されてもよい。
【0050】
感磁部22は、例えば、組成式がFe71.4Al5.8Si13.1Hf3.34.5Ru1.9(at%)で表される、bcc−Feの結晶粒を主体とし、bcc−Feの周囲にHfCの結晶粒が存在する結晶粒径5〜30nmの微結晶軟磁性合金薄膜である。この軟磁性合金は、透磁率が高く、外部磁界に対する感度も良好であり、また耐環境性にも優れるものである。
【0051】
なお、基板21は結晶化ガラス、Si、SiO2、Al23、ホウケイ酸ガラスなどで形成されている。
【0052】
電極部23はCu、Al、Ni、Ti、Crなどの導電性材料からなる。
なお、本実施の形態では、感磁部22は単層の軟磁性薄膜として形成されているが、感磁部22は図2の形態に限るものではなく、例えば、絶縁層を介して複数層の軟磁性薄膜が積層されたものでもよい。また、感磁部22は、軟磁性薄帯を含むものでもよい。
【0053】
図2の磁気インピーダンス効果素子15に電極部23,23から素子長手方向(X方向)に駆動交流電流Iac2を与え、感磁部22を素子幅方向(Y方向)に励磁する。
【0054】
この状態で、外部磁界Hexが素子長手方向に印加されると、駆動交流電流Iac2が感磁部22の表面近くを流れようとする「表皮効果」が変化し、感磁部22のインピーダンスが変化する。感磁部22のインピーダンス変化を、電極部23,23間の電圧の変化として取り出す。
【0055】
図2に加えて図1を参照して磁気インピーダンス効果素子15の作用を説明する。コイル12の内部において中心軸(巻き中心)Ca上に、感磁部22の中心が位置している。図1において、磁気インピーダンス効果素子15に交流電源16からMHz帯域の交流電流Iac2を印加している状態で、磁気インピーダンス効果素子15の感磁部22の素子長さ方向に外部磁界Hexが印加されると、感磁部22の両端に素材固有のインピーダンスによる出力電圧Emiが発生し、出力電圧Emiの振幅が外部磁界Hexの強度に対応して数10%の範囲で変化する。出力電圧Emiは、電極部23,23を介して取り出される。
【0056】
本実施の形態の渦電流センサのように、磁気センサとして、感磁部22の素子長手方向の延長線上に被検査体11が位置するようにコイル12の中心軸C上に設置された磁気インピーダンス効果素子を用いると、感磁部22両端の電圧変化を測定するだけで、反磁界Hdを測定することができるので、渦電流センサの小型化が非常に容易になる。
【0057】
また、磁気インピーダンス効果素子15は、10-5Oe程度の高分解能を有する微弱磁界センサが得られるという特性や、数MHz以上の励磁が可能であるために数百MHzの高周波励磁を振幅変調のキャリアとして自由に使用でき、磁界センサとして使用するときに、遮断周波数を10MHz以上に設定することが容易であるという特性や、消費電力を10mW以下にすることができるという特性を持つ。
【0058】
磁気インピーダンス効果素子15の磁界検出感度は、例えば磁気抵抗効果素子の数十倍〜数百倍と、高感度である。
【0059】
なお、磁気センサとして磁気インピーダンス効果素子15を用いて反磁界Hdの大きさを測定するときには、コイル12に与えられる渦電流発生用の交流電流Iac1の周波数と、磁気インピーダンス効果素子15に与えられる駆動交流電流Iac2の周波数が異なることが必要である。
【0060】
また、磁気インピーダンス効果素子における、外部磁界依存性のインピーダンス変化の直線性を向上させるために、磁気インピーダンス効果素子の感磁部に直流のバイアス磁界を与えることが有効である。
【0061】
図3は、磁気インピーダンス効果素子の磁気インピーダンス効果特性を示すグラフである。
【0062】
磁気インピーダンス効果素子を用いて感磁部に駆動交流電源から駆動交流電流を与えた状態で、外部磁界Hexを、磁気インピーダンス効果素子の素子長手方向に印加する。印加した外部磁界Hexの大きさを変化させつつ、出力電圧Emiを測定すると図3のようなグラフが得られる。
【0063】
図3の磁気インピーダンス効果特性を示すグラフは、外部磁界Hexの大きさがHp+あるいはHp-であるときの出力電圧Emiの値を示す点を頂点とする双峰形状をなしている。また、Hp+とHp-の絶対値の大きさは、ほとんど等しい。
【0064】
図3をみると、外部磁界Hexの大きさがHp+、あるいはHp-に近づくにつれて、出力電圧Emiの変化率が大きくなっている。すなわち、外部磁界Hexの検出感度は、外部磁界Hexの大きさがHp+あるいはHp-付近にあるときに良好になる。一方、外部磁界Hexの大きさが0付近であるときの、出力電圧Emiの変化率は小さく、外部磁界Hexの検出感度が低い。
【0065】
したがって、磁気インピーダンス効果素子を磁気センサとして用いるときには、外部磁界Hex=0付近における外部磁界Hexの検出感度を良好にするために、磁気インピーダンス効果素子の感磁部の素子長手方向に、例えば、大きさHB1あるいは、HB2の直流のバイアス磁界を印加して、磁気インピーダンス効果特性を示すグラフを、外部磁界Hexの軸方向にシフトさせ、出力電圧の変化率が大きい部分が、外部磁界Hex=0の軸上に来るようにすることが好ましい。
【0066】
磁気インピーダンス効果素子の感磁部に直流のバイアス磁界を印加する方法として、本実施の形態では、図1のように、磁気インピーダンス効果素子15の周囲に巻回されている、被検査体11に渦電流Ieを発生させる交流磁界Hを発生させるためのコイル12に流されている交流電流Iac1に、直流電流Idcを重畳させることにより、直流のバイアス磁界HBを発生させて、磁気インピーダンス効果素子15の感磁部の素子長手方向に印加することができる。
【0067】
このように、本発明では、被検査体11に渦電流Ieを発生させるためのコイルと、磁気インピーダンス効果素子15の感磁部に直流バイアス磁界をかけるためのコイルを一つのコイル12で兼用することができるので、渦電流センサの小型化が可能になる。
【0068】
磁気インピーダンス効果素子の感磁部には、前述のような、軟磁性薄膜を用いることが好ましいが、Co−Fe−Si−B系のアモルファスのワイヤーを用いてもよい。しかし、アモルファスワイヤーは、交流電流を流すための配線材を接続するための電極部の形成が困難であること、数十μmの径のワイヤーは、曲がりやすく、素子の位置合わせが困難であること、または、壊れやすいことといった問題点もある。
【0069】
磁気インピーダンス効果素子の感磁部を、軟磁性薄膜や軟磁性薄帯で構成すると、前記感磁部を任意の厚さや幅、長さで形成することを可能にし、上記の問題点を解決することができるので好ましい。
【0070】
磁気インピーダンス効果素子15の感磁部22は、上述した軟磁性材料以外の軟磁性材料を用いて形成することができる。
【0071】
ただし、磁気インピーダンス効果素子15の感磁部22を、1MHz〜数百MHzの高周波領域における透磁率μが高く、磁歪定数λが小さい軟磁気特性を備えた強磁性体の薄膜を有するものとして形成するために、感磁部22は以下に示すような微結晶軟磁性合金薄膜を有することが好ましい。
【0072】
1.組成式が、T100-d-e-f-gdefgで表され、bcc−Fe、bcc−FeCo、bcc−Coの1種または2種以上の結晶粒と元素Mの炭化物もしくは窒化物の結晶粒を主体とした平均結晶粒径30nm以下の微結晶軟磁性合金薄膜。
【0073】
ただし、元素Tは、Fe、Coのうちどちらか一方あるいは両方を含む元素であり、元素Xは、Si、Alのうちどちらか一方あるいは両方を含む元素であり、元素Mは、Ti、Zr、Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wから選ばれる1種または2種以上の元素であり、元素Zは、C、Nのうちどちらか一方あるいは両方を含む元素であり、Qは、Cr,Re,Ru,Rh,Ni,Pd,Pt,Auから選ばれる1種または2種以上の元素であり、d、e、f、gはat%で、0≦d≦25、1≦e≦10、0.5≦f≦15、0≦g≦10の関係を満足するもの。
【0074】
2.組成式が、T100-p-q-e-f-gSipAlqefgで表され、bcc−Fe、bcc−FeCo、bcc−Coの1種または2種以上の結晶粒と元素Mの炭化物もしくは窒化物の結晶粒を主体とした平均結晶粒径30nm以下の微結晶軟磁性合金薄膜。
【0075】
ただし、元素Tは、Fe、Coのうちどちらか一方あるいは両方を含む元素であり、元素Mは、Ti、Zr、Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wから選ばれる1種または2種以上の元素であり、元素Zは、C、Nのうちどちらか一方あるいは両方を含む元素であり、Qは、Cr,Re,Ru,Rh,Ni,Pd,Pt,Auから選ばれる1種または2種以上の元素であり、p、q、e、f、gはat%で、8≦p≦15、0≦q≦10、1≦e≦10、0.5≦f≦15、0≦g≦10の関係を満足するもの。
【0076】
これらの軟磁性合金薄膜はスパッタ法や蒸着法などの薄膜形成手段によって好ましく形成されるものであり、等方的でかつ軟磁気特性の良好な軟磁性合金薄膜を提供できるので、磁気インピーダンス効果素子の小型化や高性能化を容易にすることができる。
【0077】
ただし、本発明に用いる磁気インピーダンス効果素子の感磁部をここに示した組成以外の軟磁性合金薄膜を用いて形成してもかまわない。
【0078】
気インピーダンス効果素子は、薄膜プロセスを用いて製造することができるので、磁気センサの大きさを非常に小さくできる。従って、被検査体表面の狭い範囲で発生する反磁界を正確に測定することができ、渦電流センサと被検査体のある1点との距離、被検査体の厚さ、または被検査体の透磁率などをピンポイントで正確に測定することが可能になる。
【0079】
なお、磁気センサは、必ずしも、図1のコイル12の中心軸Ca上に位置しなければならないものではなく、コイル12から所定位置離れた場所に設置されてもかまわない。
【0080】
たとえば、図1に示すように、磁気インピーダンス効果素子17をコイル12から所定位置離れた場所に設置したとする。図1では、磁気インピーダンス効果素子17の配線は省略している。
【0081】
磁気インピーダンス効果素子17は、コイル12に流されるコイル12の中心軸Caから被検査体11表面におろされた垂線(中心軸Caの同軸線C)との交点C1、すなわち交流電流Iac1によって被検査体11に誘起された交流磁界Hによって発生した渦電流Ieの中心からの距離がrで、磁気インピーダンス効果素子17と交点C1を結ぶ直線と同軸線Cとの角度がθとなる位置に設置されている。
【0082】
ただし、一つの磁気インピーダンス効果素子17からの出力のみで、距離rと角度θのそれぞれを正確に検出することはできない。したがって、検出誤差を小さくするためには、角度θはできる限り小さいことが好ましい。最も好ましいのは、θ=0度、すなわち磁気インピーダンス効果素子がコイル12の中心軸Ca上又は同軸線C上に設置されることである。
【0083】
磁気インピーダンス効果素子などの磁気センサが、コイル12の中心軸Caまたは同軸線C上に設置されると、すなわち、前記コイルの巻き中心と前記磁気センサの検出部の中心とが同一線上に位置していると、渦電流センサと被検査体のある1点との距離、被検査体の厚さ、または被検査体の透磁率などを正確に測定することが容易になるので好ましい。
【0084】
このとき、磁気センサが、図1の磁気インピーダンス効果素子15のように、コイル12内部の中心軸Ca上に設置されていると、コイル12から被検査体11までの距離と被検査体11から磁気センサまでの距離が等しくなるので、検出された反磁界Hdの大きさから、渦電流センサと被検査体のある1点との距離、被検査体の厚さなどを求めるための計算が簡易化されるのでより好ましい。
【0085】
または、2つ以上の渦電流センサを用いて、距離rと角度θを検出してもよい。
【0086】
本発明では、交流磁界Hを発生させるコイル12と、被検査体11からの反磁界Hdを直接検出する磁気センサとが独立している。
【0087】
従って、被検査体11の浅い表面を検査する場合に、渦電流Ieの表皮深さδを浅くするために交流電流Iac1の周波数を数KHz〜数十MHz帯の高周波領域にしたときでも、コイル12の浮遊容量による変位電流のため、検出精度が低下するという問題を低減することができる。
【0089】
図4(参考例)では、交流電源13から交流電流Iacが与えられて交流磁界Hを誘起し、この交流磁界Hによって金属板である被検査体11に渦電流Ieを発生させる交流磁界発生手段であるコイル12と、磁気センサである磁気インピーダンス効果素子15とが、被検査体11を介して対向している。なお、図1では、コイル12の中心軸Caを点線で示し、コイル12の中心軸Caの同軸線Cを一点斜線で表している。
【0090】
図4に示される本発明の一つの実施の形態においては、コイル12は絶縁材料で被覆された銅線を所定の巻数にて巻回して形成されたものであり、磁気インピーダンス効果素子15は、コイル12の中心軸Caの同軸線C上に設置されている。すなわち、コイル12の中心軸Caの同軸線C上に、感磁部22の中心が位置している。交流電源13からコイル12に交流電流Iac1が与えられて、交流磁界Hが誘起される。被検査体11における交流磁界Hは、被検査体11に渦電流Ieを発生させる。渦電流Ieによって、被検査体11の表面から垂直に磁気インピーダンス効果素子15に向って、反磁界Hdが発生する。磁気インピーダンス効果素子15に印加される反磁界Hdの大きさを検出し、反磁界Hdの大きさから磁気インピーダンス効果素子15と被検査体11との距離、被検査体11の厚さ、または被検査体11の透磁率などを求める。
【0091】
図4の渦電流センサにおいても、磁気インピーダンス効果素子15に交流電源16からMHz帯域の交流電流Iac2を印加している状態で、磁気インピーダンス効果素子15の感磁部(図4では図示せず)の素子長さ方向に反磁界Hdが印加されると、感磁部両端のインピーダンスが変化する。感磁部両端のインピーダンス変化を、感磁部両端に取付けられた電極(図4では図示せず)を介して出力電圧Emiの変化として取り出し、出力電圧Emiの変化から磁気インピーダンス効果素子15に印加された反磁界Hdの大きさを求める。
【0092】
なお、磁気センサとして磁気インピーダンス効果素子15を用いて反磁界Hdの大きさを測定するときには、コイル12に与えられる渦電流発生用の交流電流Iac1の周波数と、磁気インピーダンス効果素子15に与えられる駆動交流電流Iac2の周波数が異なることが必要である。
【0093】
前述のように、磁気インピーダンス効果素子15の感磁部には、素子長手方向の直流のバイアス磁界を印加することが好ましい。本実施の形態では、図4のように、磁気インピーダンス効果素子15の周囲に巻回されているコイル19に直流電源18から直流電流Idcを流すことにより、直流のバイアス磁界を発生させて、磁気インピーダンス効果素子15の感磁部の素子長手方向に印加することができる。
【0094】
図5は、本発明のディスク装置の実施の形態を示す側面図であり、光ピックアップ装置に搭載された光ヘッドがディスクの最外周に位置している状態を示している。
【0095】
光ピックアップ装置31には、キャリッジ32上にDVD用の光ヘッド33が設けられている。なお、図5には図示しないがキャリッジ32上にはCD用の光ヘッドも設けられている。キャリッジ32は、光ディスクDの径方向へ延びる駆動軸34とガイドバー(図示せず)によって光ディスクDの径方向に移動自在に支持されている。駆動軸34とガイドバーは平行に設けられ、駆動軸34の両端とガイドバーの両端は、支持体35a,35bによって支持されている。支持体35aは光ディスクDの回転中心よりもX軸方向でキャリッジ32と反対側へずらして設けられ、支持体35bは光ディスクDの外周縁部近傍に設けられている。また支持体35a,35bは、光ピックアップ装置31の図示しない機構シャーシ上に固定されている。
【0096】
前記駆動軸34の一端にはスレッドモータ36が設けられており、スレッドモータ36の回転駆動力によってキャリッジ32がディスクDの半径方向へ移動させられる。このとき光ヘッド33は、光ディスクDの内周と外周との間を前記ガイドバーに支持されて光ディスクDに対して水平状態を保ちながら移動させられる。
【0097】
支持体35aには、光ディスクDの回転中心側へ突出する固定部37が設けられ、この固定部37には光ディスクDを回転駆動させるためのスピンドルモータ38が設けられる。スピンドルモータ38には、垂直上方へモータ軸39が突出して設けられており、このモータ軸39の先端に光ディスクDを載置するターンテーブル40が設けられる。
【0098】
これにより、光ピックアップ装置31にDVD用の光ディスクが装填され、ターンテーブル40に載置されると、光ヘッド33側が作動し、またCD用の光ディスクが装填され、ターンテーブル40に載置されると、前述した図示しないCD用の光ヘッド側が作動する。
【0099】
なお、それぞれのDVD用の光ヘッド33とCD用の光ヘッドには、それぞれの対物レンズをディスク面に平行な方向へ微動させるトラッキング補正手段と、前記対物レンズをディスク面と垂直な方向へ微動させるフォーカシング補正手段が設けられている。
【0100】
図5に示された本発明の一つの実施の形態では、図1に示された直流電流Idcが重畳された交流電流Iac1が与えられるコイル12とコイル12の中心軸Ca上に設置された磁気インピーダンス効果素子15を有する渦電流センサ10a、10bを、ディスクDの記録面D1に対向させ、かつディスクDの半径方向(X方向)に所定の距離を開けて設置している。なお、本実施の形態では、渦電流センサ10a、10bは光ヘッド33上に搭載されている。
【0101】
ディスクDには、レーザ光を反射するために金属層が形成されている、この金属層は例えばAlを用いて厚さ100〜200nmで形成されている。従って、ディスクDに、渦電流センサ10a、10bから交流磁界が与えられると、前記金属層に渦電流が発生し、さらに反磁界が生じる。すなわち、渦電流センサ10a、10bを用いて、渦電流センサ10aとディスクDとの距離Z及び渦電流センサ10bとディスクDとの距離Zとをそれぞれ測定することができる。さらに距離Zと距離Zの差の変化を検出することにより、記録中、又は再生中のディスクDの半径方向の傾きを検出することができる。
【0102】
また、渦電流センサは、ディスクDの記録面D1側に対向する位置ではなく、図5に示される渦電流センサ10c、10dのように、ディスクDの記録面D1の反対面D2に対向させられ、かつディスクDの半径方向(X方向)に所定の距離を開けて設置されてもよい。なお、本実施の形態では、渦電流センサ10c、10dはそれぞれ固定支持部41及び42を介して図示しない機構シャーシ上に固定されている。渦電流センサ10c、10dを用いて、渦電流センサ10cとディスクDとの距離Z及び渦電流センサ10dとディスクDとの距離Zとをそれぞれ測定することができる。距離Zと距離Zの差の変化を検出することにより、記録中、又は再生中のディスクDの傾きを検出することができる。
【0103】
渦電流センサ10c、渦電流センサ10dは、それぞれディスクDの最外周部付近、最内周部付近に設置されている。渦電流センサ10cと渦電流センサ10dとのディスクDの半径方向の距離が大きくなると、ディスクDの半径方向の傾きを精度よく検出できるようになる。
【0104】
図5では、渦電流センサをディスクDの記録面D1側に2個設けているが、3個以上の渦電流センサが、ディスクDの半径方向(X方向)に所定の距離を開けて設置されてもよい。また、渦電流センサをディスクDの反対面D2側に3個以上の渦電流センサが、ディスクDの半径方向(X方向)に所定の距離を開けて設置されてもよい。
【0105】
また、渦電流センサは、キャリッジ32上に設置されてもよいし、また、キャリッジ32の移動を妨げない場所であれば、ピックアップ装置と接触しない任意の場所においてディスクDに対向するように固定されていてもよい。
【0106】
また、複数個の渦電流センサの全てをディスクDの記録面D1側に対向させて設置してもよいし、また、複数個の渦電流センサの全てをディスクDの反対面D2側に対向させて設置してもよい。
【0107】
或いは、複数個の渦電流センサのうち一部をディスクDの記録面D1側に対向させて設置し、残りの渦電流センサをディスクDの反対面D2側に対向させて設置してもよい。
【0108】
図5では、渦電流センサ10a及び10b、又は渦電流センサ10c及び10dは、ディスクDの記録面D1又は反対面D2に対向させられ、かつディスクDの半径方向(X方向)に所定の距離を開けて設置されている。
【0109】
本発明では、渦電流センサを、ディスクDの半径方向(X方向)に所定の距離を開けて設置するだけでなく、図6に示される渦電流センサ10e及び10fのように、ディスクDのタンジェンシャル方向(Y方向)に所定の距離を開けて設置することができる。渦電流センサ10eとディスクDとの距離及び渦電流センサ10fとディスクDとの距離をそれぞれ測定し、その差の変化を検出することにより、記録中、又は再生中のディスクDのタンジェンシャル方向の傾きを検出することができる。
【0110】
渦電流センサ10e及び10fは、キャリッジ32の移動を妨げない場所であれば、任意の場所においてディスクDに対向するように固定されてよい。
【0111】
また、ディスクDの半径方向(X方向)に所定の距離を開けて設置された渦電流センサ10c及び10dによって検出されたディスクDの半径方向の傾きの値と、渦電流センサ10e及び10fによって検出されたディスクDのタンジェンシャル方向の傾きの値とをベクトル的に組み合わせることによってディスクDの全ての方向の傾きを検出することができる。
【0112】
また、図5において、渦電流センサ10a、10b、10c、または10dを設置する位置を、光ヘッド33に対して所定の位置とすると、渦電流センサ10a、10b、10c、又は10dとディスクDとの距離を測定することによって、ディスクDと光ヘッド33との距離Z5を検出することができる。
【0113】
本実施の形態のディスク装置では、磁気インピーダンス効果素子を用いた渦電流センサ10a及び10b、10c及び10d、又は10e及び10fによって、ディスクDとの距離を検出し、さらにディスクDの傾きを検出するので、従来のように光学的手段を用いてディスクDの傾きを検出するものに比べると、装置の組付けに高い精度が要求されず、また、調整工程も、基本的に、基準となる距離を測定したときの磁気インピーダンス効果素子の出力強度を調節するだけでよい。
【0114】
従って、本発明では、製造工程を簡略化できる。また、ディスク装置が故障した時でも、本発明では、調整工程が簡略化されているため、修理が容易になるという利点も有する。
【0115】
また、渦電流センサとディスクDとの距離を測るときに、ディスクDに交流磁界を印加して渦電流を発生させ、反磁界を測定するという非常に単純な工程しか含まれないので、ディスクDとの距離及びディスクDの傾きの測定精度が上がる。
【0116】
また光ヘッドは、上記のように2つに限られるものではなく、光ヘッド33のみを1つだけ搭載してもよくあるいは3つ以上搭載してもよい。
【0117】
本実施の形態では、本発明の一例として、DVD用光ヘッドとCD用光ヘッドとを搭載しているディスク装置について説明した。CD用光ヘッドには、再生専用タイプのCD−ROM用再生ヘッド、追記タイプ又は書換タイプのCD−R又はCD−RW用再生及び記録ヘッドなど、DVD用光ヘッドには、再生専用タイプのDVD−ROM用再生ヘッド、追記タイプ又は書換タイプのDVD−R又はDVD−RAM用再生及び記録ヘッドなど様々なタイプのものがあり、これらを適宜組合わせて構成することができる。
【0118】
またCDやDVDに対応したディスク装置に限らず、MO、磁気ディスクに対応したディスク装置など、金属層や磁性層などの導電体層を有するディスク型記録媒体に対応したディスク装置に本発明を適用してもよい。
【0119】
なお、図1や図4に示された実施の形態の渦電流センサでは、磁気インピーダンス効果素子12の感磁部の素子長手方向に印加する直流のバイアス磁界として、コイル12に流される交流電流Iac1に重畳された直流電流Idcによって誘起される直流磁界や、コイル19に流された直流電流Idcによって誘起された直流磁界を用いている。
【0120】
このほかに、図7(参考例)に示されるように、磁気インピーダンス効果素子15の感磁部の素子長手方向にバイアス磁界Hが印加されるように、硬磁性材料からなるハードバイアス用磁石50,50を設置してもよい。
【0121】
なお、ディスク装置の光ヘッド33に設けられているトラッキング補正手段と、フォーカシング補正手段は、例えば、巻線コイルの内部或いは周辺に硬磁性体が設けられ、巻線コイルに電流を流して、巻線コイルと硬磁性体の相対位置を変化させるフォーカスアクチュエータである。上述した磁気インピーダンス効果素子のハードバイアスとして、フォーカスアクチュエータに用いられている硬磁性体を用いることもできる。
【0122】
【実施例】
本発明の一つの実施例として、図1に示された渦電流センサ10を形成し、渦電流センサ10の磁気インピーダンス効果素子15と、被検査体11として用いたDVDとの距離を変化させたときの磁気インピーダンス効果素子15の出力電圧Emiの変化量を調べた。
【0123】
コイル12の半径aをa=0.7mm、コイル巻数NをN=1200ターン、交流電源13が供給する交流電流Iac1の大きさをIac1=2.2mA、交流電流Iac1の周波数fをf=4MHzとした。また、DVDの導電体層であるAl層の厚さdはd=0.15μmであり、Al層の透磁率μをμ=4π×10-7(=μ0)、電気抵抗率ρをρ=2.5×10-6Ω・mとした。
【0124】
初期状態として、渦電流センサ10の磁気インピーダンス効果素子15とDVDのAl層までの基準距離を1.65mmとした。DVDでは保護層の厚さが0.6mmであるので、磁気インピーダンス効果素子からAl層までの距離が1.65mmであるとき、磁気インピーダンス効果素子とDVDの保護層表面までの距離は1.05mmである。
【0125】
磁気インピーダンス効果素子15とDVDのAl層との距離xを基準距離から変化させたときの、磁気インピーダンス効果素子15の出力電圧Emiの変化を調べた。結果を図8に示す。
【0126】
DVDの規格では、そり角で±0.4°の許容範囲が与えられる。DVDの半径は60mmなので、DVDをターンテーブルに設置したとき、DVDの中心と最外周の高さ位置の差は、最大で約60×tan0.4°=0.4(mm)である。従って、渦電流センサをDVDの傾きを検出するために用いるときには、基準距離から±0.4mmの範囲の距離の変化を検出できればよいと考えられる。
【0127】
図8から、磁気インピーダンス効果素子15とDVDのAl層との距離が、基準距離1.65mmから±0.4mmの範囲では、磁気インピーダンス効果素子の出力電圧の変化量が求められると、磁気インピーダンス効果素子15とDVDのAl層との距離の値が一義的に求められる。すなわち、本発明の渦電流センサを用いて、DVDなどのディスク型記録媒体の記録時、又は再生時にディスク型記録媒体の傾きを検出するディスク装置を構成することができることがわかる。
【0128】
実際のディスク装置において、磁気インピーダンス効果素子とDVDのAl層との距離の値を求めるときには、図8のグラフに示されたような、磁気インピーダンス効果素子とDVDのAl層との距離と磁気インピーダンス効果素子の出力電圧の変化量との関係をテーブル化したものを用いてもよいし、磁気インピーダンス効果素子の出力電圧の変化量から反磁界の大きさを求め、前述した(数5)または(数6)を用いて求める距離を算出するなどの方法がある。
【0129】
図9は渦電流センサを用いたディスク装置に搭載される第1の光ピックアップ装置の実施の形態を示す斜視図、図10は図9に示す第1の光ピックアップ装置の平面図、図11は第1の光ピックアップ装置の動作を示しており、図9の矢視AA方向の正面図、図12は第2の光ピックアップ装置の実施の形態を示す斜視図であり、図5のディスク装置をより具体的に示すものである。図13は第2の光ピックアップ装置の動作を示しており、図12の矢視BB方向の断面図である。
【0130】
図9ないし図11に示す第1の光ピックアップ装置60では、前記キャリッジ32に設けられた支持ベース61上に前記光ヘッド33が設けられている。前記支持ベース61は、前記キャリッジ32とともにターンテーブル40に載置された光ディスクDの半径方向(図9ではX1−X2方向)に自在に移動できるように支持されている。なお、図9においては図示Z1方向に光ディスクDの記録面が位置する関係となっている。
【0131】
前記支持ベース61上には、固定部側となる基台62が固設されている。前記基台62には、図示Y1−Y2方向に平行に延びる4本の弾性支持部材63,63,63,63が片持ちはり状態で固定されており、その先端にはレンズ64を有する光学支持体65が設けられている。すなわち、前記各弾性支持部材63は、主として図示X方向(ディスクの半径方向)及びZ方向(フォーカシング方向)に弾性変形可能であり、光学支持体65は各弾性支持部材63によって弾性的に支持されている。よって、光学支持体65は、ディスクの半径方向及びフォーカシング方向に可動することが可能である。
【0132】
前記基台62と光学支持体65との間には、2つのボビン66,67が図示X方向に並設されている。ボビン66,67の周囲(図示Z軸回り)には、被覆銅線を所定の巻数にて巻回したフォーカス用の駆動コイル68,69が形成されている。またボビン66,67の図示Y2側の側面には、所定の巻数で巻回されたトラッキング用の駆動コイル70,71が固設されている。なお、前記ボビン66,67は、支持ベース61に固設されており固定部側を成している。
【0133】
前記光学支持体65の図示Y1側の面には、ヨーク部材72,73が固設されている。したがって、光学支持体65は、前記ヨーク部材72,73とともに図示X方向およびY方向に可動することができ、MM(movinng Magnet)方式のピックアップ装置として駆動する。
【0134】
前記ヨーク部材72,73は、例えば鉄などからなる薄板状の磁性体を折り曲げ又は接合などの手段により、4面を囲うように設けられた磁性体によって磁気回路(閉磁路)が形成されている。前記ヨーク部材72,73を形成する4面の磁性体うち、図示Z方向に延びる一方の磁性体(図示Y1側の磁性体)72a,73aが、前記フォーカス用の駆動コイル68,69の内部に貫通させられており、且つその内面には永久磁石74,75が固設されている。
【0135】
前記永久磁石74,75の図示Y2側の磁極をN極とすると、このN極と、前記前記ヨーク部材の一方の磁性体72a,73aと対向する他方の磁性体72b,73bとの間がギャップであり、このギャップを介して磁気回路(磁路)が形成されている。そして、前記N極から生じた磁束は、前記ギャップ内を通り前記他方の磁性体72b,73bからその内部に入り込み、キャリッジ32と平行に延びる上部側の磁性体および下部側の磁性体の内部を通ってヨーク部材72,73の前記一方の磁性体72a,73aに達し、ここから永久磁石74,75のS極に戻るという経路をたどる。
【0136】
前記トラッキング用の駆動コイル70,71は、駆動コイル70,71を形成する4辺のうち、ともにZ方向に延びる内側の一辺70a,71aのみが前記ヨーク部材72,73の内部に位置し、これに対向する外側の一辺70b,71bは前記ヨーク部材72,73の外部に位置するように配置されている。
【0137】
上記光ヘッド33では、ギャップ内を通る磁束が、フォーカス用の駆動コイル68,69ではボビン66,67の図示Y2側の側面の被覆導線のみを鎖交し、トラッキング用の駆動コイル70,71では、前記内側の一辺70a,71a側の被覆導線のみを鎖交するように設定されている。
【0138】
また前記支持ベース61上には、上述の渦電流センサ10a,10bが前記レンズ64を挟みその両側に設けられている。そして、渦電流センサ10aと渦電流センサ10bとを結ぶ仮想線L1−L1上にレンズ64の光軸O−Oが位置するように設定されている。
【0139】
なお、渦電流センサ10a,10bの近傍には、上記図1や図4に示すような磁気インピーダンス効果素子15の感磁部の素子長手方向に直流バイアス磁界を与えるコイル12やコイル19などが設けられていたり、あるいは図9に示すように磁気インピーダンス効果素子15の感磁部の素子長手方向にバイアス磁界HBが印加するハードバイアス用磁石50,50が設置されている。
【0140】
第1の光ピックアップ装置60では、前記渦電流センサ10a,10bにより、レンズ64と記録中、又は再生中のディスクDとの距離(ディスクDと光ヘッド33との距離Z)が測定される。
【0141】
各弾性支持部材63には、光学支持体65およびヨーク部材72,73の重量が作用しているため、非駆動状態においては各弾性支持部材63の先端が図示Z2方向に撓んだ状態にある。よって、予めディスクDの傾き角度に対する渦電流センサ10a,10bの出力差と、フォーカス用の駆動コイル68,69に流す電流の差に対するレンズ64の光軸O−Oの傾き角度とを調べ、初期状態としておくことが好ましい。
【0142】
ディスクDに面振れが生じて傾いた場合には、前記渦電流センサ10a,10bからは、その傾き角度に比例した出力電圧がそれぞれ出力され、この間の差電圧を得ることができる。よって、ディスクDの傾きは、前記初期状態からの変化量として把握することができ、フォーカス用の駆動コイル68,69には前記変化量に比例した電流が与えられる。
【0143】
これにより、磁界中のフォーカス用の駆動コイル68,69の被覆導線には、フレミングの左手の法則に従う力が、前記駆動電流の向きに応じて図示Z1又はZ2方向に生じる。
【0144】
そして、図11に示すようにフォーカス用の駆動コイル68,69に異なる向きの電流を与えると、例えば一方の駆動コイル68(ヨーク部材72)側では、図示Z1方向の力が働き、他方の駆動コイル69(ヨーク部材73)側では、図示Z2方向の力が作用するため、光学支持体65にその重心Gを中心とする偶力が作用するため、レンズ64の光軸O−Oを傾かせることができる。そして、光学支持体65のねじれは、4本の弾性支持部材63との釣り合う位置に設定される。なお、フォーカス用の駆動コイル68,69に与える電流と光軸O−Oの傾き角度は、4本の弾性支持部材63のねじれ剛性によって決定される。したがって、予め与える電流の大きさ及び向きとレンズ64の光軸O−Oの傾き角度を測定しておき、比例係数を求めておくことが好ましい。
【0145】
また、ディスクDの傾斜角度と、レンズ64の光軸O−Oの傾き角度との差が0になるようなフィードバック制御を行うことが好ましい。これにより、外乱の影響を受け難くすることができる。さらには、キャリッジ32が半径方向に移動するときの振動などに起因するレンズ64の傾き角度のずれを補正することもできるようになる。
【0146】
そして、キャリッジ32が半径方向に移動しディスクDの傾斜角度が変化しても、これに追従してレンズ64を傾かせてディスクDの傾斜角度とレンズ64の光軸O−Oの傾き角度との差を0とすることができる。
【0147】
なお、前記第1のピックアップ装置60の実施の形態では、渦電流センサ10a,10bが光ヘッド33上に搭載されているものを示したが、これに限られるものではないことは上述の通りである。すなわち、図5に示すように、渦電流センサ10c、10dがそれぞれ固定支持部41及び42を介して図示しない機構シャーシ上に固定されており、渦電流センサ10cとディスクDとの距離Z3及び渦電流センサ10dとディスクDとの距離Z4とをそれぞれ測定するものであってもよい。
【0148】
図12および図13には、光ディスクDの半径方向(図示X1−X2方向)に延びる駆動軸34とガイドバー80および光ヘッド33を搭載したキャリッジ32などから構成される第2のピックアップ装置90が示されている。
【0149】
前記駆動軸34の軸回りには螺旋状の送り溝34aが形成されている。またキャリッジ32のY2側には、軸受穴32a,32bが穿設されており、前記駆動軸34が挿通されている。前記軸受穴32a,32bの内面には、前記駆動軸34の送り溝34aに噛み合う雄ねじ部(図示せず)が形成されている。またキャリッジ32の他方のY1側には、U字形状の軸受部32c,32dが形成されており、この軸受部32c,32d内に前記ガイドバー80が入り込んでいる。すなわち、前記キャリッジ32は、駆動軸34とガイドバー80に支持されており、前記駆動軸34がスレッドモータにより回転駆動させられると、前記送り溝34aと雄ねじ部との間に生じる送り力により、光ディスクDの半径方向に自在に移動することが可能とされている。なお、前記キャリッジ32には、レンズ92などを搭載した光ヘッド33が設けられている。
【0150】
前記駆動軸34とガイドバー80の図示X2方向の端部は、機構シャーシ上に設けられた支持受け部材81,82に支持され、且つ図示しない弾性部材により図示Z2方向に加圧されている。よって、駆動軸34およびガイドバー80は、常に支持受け部材81,82に圧接させられている。
【0151】
一方、前記駆動軸34とガイドバー80の図示X1方向の端部は、支持手段83により支持されている。前記支持手段83の図示Y1−Y2方向の端部の下面には、図示X1−X2に延びるU字溝83a,83bが形成されている。前記駆動軸34とガイドバー80の図示X1方向の端部は、前記U字溝83a,83bに挿通されており、且つ図示しない付勢手段によって常に図示Z1方向に付勢されている。またU字溝83a,83bの両側部には、取付け穴83c,83cが穿設されている。前記取付け穴83cの板厚方向の中間には段差部83dが設けられており、段差部83dより下側(図示Z2側)の取付け穴83c2が、段差部83dより上側(図示Z1側)の取付け穴83c1よりも細い内径寸法で形成されている。
【0152】
前記支持手段83の取付け穴83cには、取付けねじ85が挿通される。取付けねじ85の外径寸法は、前記下側の取付け穴83c2の内径寸法よりも細く形成されており、その長さ寸法は支持手段83の板厚寸法よりも十分に長いものが使用されている。そして、取付けねじ85の外周面と下側の取付け穴83c2の内周面との間にはわずかな隙間余裕が設けられており、前記支持手段83は取付けねじ85に沿って図示Z1−Z2方向に移動可能とされている。
【0153】
前記取付けねじ85は、その先端に形成された雄ねじ部85bが機構シャーシ上に形成された雌ねじ穴89にそれぞれ螺着固定される。この際、前記取付け穴83cの段差部83dと取付けねじ85のフランジ部85aとの間にスプリングコイル86,86が介挿される。よって、支持手段83は、常に図示Z2方向に付勢された状態で取り付けられている。
【0154】
図12に示すように、前記支持手段83の下面(Z2側の面)には、切欠き部83eが形成されており、前記切欠き部83e内には自在に回転するギヤ歯車87が設けられている。前記ギヤ歯車87の中心には軸が設けられており、この軸には、図示Z1方向に延びる雄ねじ部87aが形成されている。そして、前記雄ねじ部87aは、前記支持手段83の中心に穿設された軸受孔83fの内部に挿通されている。前記軸受孔83fの内面には、前記雄ねじ部87aに噛み合う雌ねじ部が形成されており、前記雄ねじ部87aと雌ねじ部とのねじ送り作用により、前記支持手段83が図示Z1−Z2方向に昇降移動させることが可能とされている。よって、前記駆動軸34とガイドバー80とは、互いの平行状態を維持したまま支持受け部材81,82側を中心として傾斜させることが可能となっている(図13参照)。
【0155】
前記ギヤ歯車87の近傍には、昇降用の駆動モータ88が設けられている。前記ギヤ歯車87は、この駆動モータ88の駆動力により正転及び逆転方向に回転させられ、これにより支持手段83が図示Z1−Z2方向に昇降移動させられる。
【0156】
なお、第2のピックアップ装置90における渦電流センサ10の配置は、上記図5と同様であり、例えば機構シャーシ上に固定されていてもよいし、図13に示すようにキャリッジ32上に設置されてもよい。
【0157】
渦電流センサを用いることにより、渦電流センサとディスクDとの距離Z及び距離Z、あるいは距離Z及び距離Zをそれぞれ測定することができる(図5参照)。そして、前記距離Zと距離Zの差の変化、あるいは距離Zと距離Zの差の変化を検出することにより、図13に示す記録中、又は再生中のディスクDの半径方向の傾斜角度αが検出される。さらにはディスクDと光ヘッド33との距離Z(図5参照)が検出される。
【0158】
そして、前記駆動モータ88に駆動電流を与え、支持手段83を図示Z1−Z2方向に昇降移動させることにより、駆動軸34とガイドバー80の傾斜角度がディスクDの傾斜角度αと一致するように移動させられる。これにより、第2のピックアップ装置90に搭載されているレンズ92の光軸O−Oの傾き角度をディスクDの傾斜角度αに一致させることができる。よって、ディスクDの記録面に光ヘッド33のレンズ92の焦点が合うフォーカス制御を行なうことが可能である。
【0159】
なお、ディスクDの傾斜角度αとレンズ92の光軸O−Oの傾き角度との差が0になるようなフィードバック制御を行うことが好ましいことは、上記第1のピックアップ装置60の場合と同様である。
【0160】
【発明の効果】
以上詳細に説明した本発明の渦電流センサでは、交流電流が与えられて交流磁界を誘起し、この交流磁界によって被検査体の導電性部位に渦電流を発生させる交流磁界発生手段と、前記コイルから所定位置離れた場所に設置された磁気センサとが独立している。
【0161】
従って、被検査体の浅い表面を検査する場合に、渦電流の表皮深さを浅くするために交流電流の周波数を数MHz〜数十MHz帯の高周波領域にしたときでも、コイルの浮遊容量による変位電流のため、検出精度が低下するという問題を低減することができる。
【0162】
また、前記磁気センサとして磁気インピーダンス効果素子を用いると、渦電流センサの小型化が非常に容易になり、また、反磁界の検出感度が良好になり、被検査体までの距離や被検査体の厚さなどを精度よく測定できる渦電流センサを形成することができる。
【0163】
また、本発明では、被検査体に渦電流を発生させるためのコイルと、前述の磁気インピーダンス効果素子にかける直流バイアス磁界を誘起させるためのコイルを一つのコイルで兼用することができるので、渦電流センサの小型化が可能になる。
【0164】
また、前記磁気インピーダンス効果素子の前記感磁部を、略長方形の軟磁性薄膜あるいは軟磁性薄帯を含むものとすることにより、渦電流センサの製造が容易になる。
【0165】
また、本発明のディスク装置では、前述の磁気センサを用いた渦電流センサによって、記録ヘッド、あるいは再生ヘッド、又は記録及び再生ヘッドとディスク型記録媒体との距離や記録中、又は再生中の前記ディスク型記録媒体の傾きを検出するので、装置の組付けに高い精度が要求されず、また、調整工程も、基本的に、基準となる距離を測定したときの磁気センサの出力強度を調節するだけでよくなるので製造工程を簡略化できる。
【0166】
また、本発明の渦電流センサは小型化が容易なので、ディスク装置内に渦電流センサを設置するときに、設置場所の制限を少なくすることができる。
【0167】
また、渦電流センサとディスク型記録媒体との距離を測るときに、ディスク型記録媒体の導電層に交流磁界を印加して渦電流を発生させ、反磁界を測定するという非常に単純な工程しか含まれないので、測定精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の渦電流センサの第1の実施の形態を示す斜視図、
【図2】図1の渦電流センサに用いられる磁気インピーダンス効果素子の斜視図、
【図3】磁気インピーダンス効果素子の磁気インピーダンス効果特性を示すグラフ、
【図4】参考例の渦電流センサの形態を示す側面図、
【図5】本発明のディスク装置の実施の形態を示す側面図、
【図6】本発明のディスク装置の実施の形態を示す平面図、
【図7】参考例の形態の渦電流センサを構成する磁気インピーダンス効果素子の回路図、
【図8】磁気インピーダンス効果素子とDVDのAl層との距離と、磁気インピーダンス効果素子の出力電圧の変化量との関係を示すグラフ、
【図9】渦電流センサを用いたディスク装置に搭載される第1の光ピックアップ装置の実施の形態を示す斜視図、
【図10】図9に示す第1の光ピックアップ装置の平面図、
【図11】第1の光ピックアップ装置の動作を示しており、図9の矢視AA方向の正面図、
【図12】第2の光ピックアップ装置の実施の形態を示す斜視図、
【図13】第2の光ピックアップ装置の動作を示しており、図12の矢視BB方向の断面図、
【符号の説明】
10、10a、10b、10c、10d、10e、10f 渦電流センサ
11 被検査体
12 コイル
13、16 交流電源
14 直流電源
15 磁気インピーダンス効果素子
32 キャリッジ
33 光ヘッド
40 ターンテーブル
60 第1の光ピックアップ装置
90 第2のピックアップ装置
Ie 渦電流
Hd 反磁界
D ディスク

Claims (9)

  1. 交流電流 ac1 が与えられて交流磁界を誘起し、この交流磁界によって、被検査体の導電性部位に渦電流を発生させるための所定の巻数にて巻回されたコイルと、前記コイルから所定位置離れた場所に設置された磁気センサとが、前記被検査体の同一面側に設置されており、
    前記磁気センサは、磁気インピーダンス効果を有する軟磁性体を含む感磁部と、前記感磁部の素子長手方向の両端部に、駆動交流電流を与えるための電極部を有する磁気インピーダンス効果素子であり、
    前記磁気インピーダンス効果素子の感磁部の素子長手方向に直流バイアス磁界を印加するための直流電流I dc を供給する直流電源と、前記交流電流I ac1 を供給する交流電源とが一つの前記コイルに接続されて、前記コイルには、前記交流電流I ac1 と、前記直流電流I dc とが重畳された電流が与えられることを特徴とする渦電流センサ。
  2. 前記コイルの巻き中心と前記磁気インピーダンス効果素子感磁部の中心とが同一線上に位置している請求項記載の渦電流センサ。
  3. 前記磁気インピーダンス効果素子が、前記コイル内部の巻き中心に設置されている請求項記載の渦電流センサ。
  4. 前記コイルに与えられる前記交流電流 ac1 の周波数と、前記磁気インピーダンス効果素子に与えられる駆動交流電流の周波数が異なる請求項1ないし3のいずれかに記載の渦電流センサ。
  5. 前記磁気インピーダンス効果素子の前記感磁部は、略長方形の軟磁性薄膜あるいは軟磁性薄帯を含むものである請求項1ないし4のいずれかに記載の渦電流センサ。
  6. 導電体層を有するディスク型記録媒体の記録、あるいは再生、又は、記録及び再生を行なうディスク装置であり、前記ディスク型記録媒体を前記被検査体とする請求項1ないしのいずれかに記載の渦電流センサが、1個又は複数個、記録ヘッド、あるいは再生ヘッド、又は、記録ヘッド及び再生ヘッドに対して所定の位置において前記ディスク型記録媒体に対向して設置され、前記ディスク型記録媒体の導電体層に発生させた前記渦電流による反磁界の大きさを前記磁気インピーダンス効果素子によって測定することにより、前記ディスク型記録媒体と前記記録ヘッド、あるいは再生ヘッド、又は、記録及び再生ヘッドとの距離を検出することを特徴とするディスク装置。
  7. 前記渦電流センサが、前記ディスク型記録媒体の半径方向、あるいは、タンジェンシャル方向、又は、前記半径方向及び前記タンジェンシャル方向に所定の距離を開けて複数個設置され、前記複数個の渦電流センサと前記ディスク型記録媒体の距離の差を測定することにより、記録中あるいは再生中の前記ディスク型記録媒体の傾きを検出する請求項に記載のディスク装置。
  8. 前記複数個の渦電流センサの全てが、前記記録ヘッド、あるいは再生ヘッド、又は、記録及び再生ヘッド上、または、前記記録ヘッド、あるいは再生ヘッド、又は、記録及び再生ヘッドが搭載されたキャリッジを有するピックアップ装置上において、前記ディスク型記録媒体に対向するように固定されている請求項またはに記載のディスク装置。
  9. 前記複数個の渦電流センサの全てが、前記記録ヘッド、あるいは再生ヘッド、又は、記録及び再生ヘッドが搭載されたキャリッジを有するピックアップ装置と接触しない場所において、前記ディスク型記録媒体に対向するように固定されている請求項またはに記載のディスク装置。
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