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JP3886856B2 - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩化ビニル系単量体の重合反応終了後の重合体スラリーに中和剤としてアンモニア水を添加し、かつ未反応単量体を回収・精製して重合反応に再利用する工程を有する塩化ビニル系重合体の製造方法において、仕込み単量体ストレーナのフィルターの交換頻度を減少させ、高生産性を維持できる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニル系重合体の製造においては、重合反応に伴って生成する塩化水素を含んだ水が、各ラインおよび装置に使用される基材を腐食することを防止するために、重合反応終了後の重合体スラリー中に中和剤としてアルカリ性物質が添加される。このアルカリ性物質としては、通常、安価な苛性ソーダまたはアンモニア水が使用されている。そして、アンモニア水を使用することが、得られた重合体の帯電性および抗初期着色性を悪化させない点から、好ましいことが知られている。
【0003】
しかし、アンモニア水を使用した場合、仕込み単量体ストレーナのフィルターの目詰まりが生じて、仕込み単量体ストレーナのフィルターの交換頻度が多くなり、そのために重合反応開始前の単量体仕込み待ち時間が増加して、生産性が低下するという重大な問題が発生していることが判明した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、塩化ビニル系単量体の重合反応終了後の重合体スラリーに中和剤としてアンモニア水を添加し、かつ未反応単量体を回収・精製して重合反応に再利用する工程を有する塩化ビニル系重合体の製造方法において、仕込み単量体ストレーナのフィルターの目詰まりを低減し、仕込み単量体ストレーナのフィルター交換頻度を減少させ、単量体仕込み待ち時間を短縮することにより、高生産性を維持できる方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、仕込み単量体ストレーナのフィルターの目詰まりの原因およびその解決方法について鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、上記目的を達成するため、
(a) 水性媒体中で塩化ビニル系単量体を重合する工程、
(b) 重合反応終了後の重合体スラリーにアンモニア水を添加する工程、
(c) 重合体スラリーを単量体ストリッピング装置へ送り、気液分離する工程、
(d) 単量体ストリッピング装置以降の単量体ガス移送ラインの少なくとも一部に水を通水し、かつ排液することによりアンモニアガスを回収する工程、および
(e) 未反応単量体を回収・精製して重合反応に再利用できるようにする工程
を含むことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明方法について詳述する。
【0007】
[アンモニアガスの回収]
重合反応終了後に未反応単量体を回収・精製して重合反応に再利用する工程を有する、従来の一般的な塩化ビニル系重合体のバッチ式製造装置の概略図を図1に示す。
【0008】
重合反応終了後に、中和剤としてアンモニア水が重合器1に添加される。得られた重合体スラリーはスラリータンク2に送られ、次いで単量体ストリッピング装置3に送られる。この単量体ストリッピング装置3は、内部に複数の多孔板製棚段と底部に水蒸気噴出口を装着した処理塔を用いて、重合体スラリーから残留する未反応単量体を除去・回収する装置である。重合体スラリーは、処理塔の上部より処理塔内に供給される。処理塔に供給された重合体スラリーは、多孔板製棚段上の処理通路に沿って下方に流れる間に、多孔板の細孔を通じて底部より噴入してくる水蒸気に曝され、重合体スラリー中に含まれている残留未反応単量体が蒸発・分離されるようになっている。この単量体ストリッピング装置3における気液分離操作により、残留未反応単量体が除去された重合体スラリーは、処理塔底部より抜き出され、デカンター9に送られる。重合体スラリーは、デカンター9で脱水され、得られた重合体は乾燥機10で乾燥され、製品タンク11に送られて貯蔵される。
【0009】
一方、単量体ストリッピング装置3の処理塔内で重合体スラリーより分離された未反応単量体は、水蒸気を含有する未反応単量体ガスとして、処理塔塔頂部より単量体ガスホルダー4に導かれる。また、重合器1で回収された未反応単量体ガスも、排ガスライン12を経て単量体ガスホルダー4に導かれ、次いで、単量体蒸留装置5および精製単量体タンク6を経て、ライン8から供給される未使用単量体とともに、単量体計量槽7に貯蔵される。次回バッチの重合反応の際に、単量体は単量体計量槽7から仕込み単量体ストレーナ13を通されて重合器1に供給されるようになっている。
【0010】
本発明者等は、仕込み単量体ストレーナ13のフィルターに詰まった析出物の調査・分析を行ない、該析出物が塩化水素、アンモニアおよび鉄分から生成した無機化合物であることを確認した。
【0011】
また、仕込み単量体ストレーナ13は、円筒形の形状をしており、その底部にドレイン水が溜まる構造となっている。この仕込み単量体ストレーナ13の底部に溜まったドレイン水のpHが 7.8以下である場合には、仕込み単量体ストレーナ13のフィルターの目詰まり頻度が減少することも判明した。
【0012】
よって、中和剤として用いたアンモニア水由来のアンモニアガスが、各ラインおよび装置内を循環し、配管等から溶出した微量の鉄イオンおよび重合体由来の塩化水素と反応して無機化合物を生成し、最終的には該無機化合物が仕込み単量体ストレーナのフィルターに捕獲されて前記フィルターの目詰まりを引き起こすことが明らかとなった。
そこで、本発明者等は、前記フィルターの目詰まりを低減させるため、単量体移送ライン中のアンモニアガスを回収する方法を採用することとした。
【0013】
本発明の方法においては、単量体ストリッピング装置3において発生し未反応単量体に同伴するアンモニアガスを効率よく回収するために、単量体ストリッピング装置3以降の単量体ガスラインの少なくとも一部に、水を連続的に通水し、アンモニアガスを吸収させるとともにアンモニアガスを吸収した水は排液されるようにする。
【0014】
水の通水ポイントは、単量体ストリッピング装置3以降の単量体ガス移送ライン中であればよく、一ヶ所に限定されず、例えば、単量体ガスホルダー4以前と単量体ガスホルダー4より下流側との二ヶ所としてもよい。しかし、単量体ガスホルダー4より下流側に通水ポイントを設けた場合は、単量体ガスの流量が不連続で変動幅が大きく、同伴するアンモニアガスの回収効率にバラツキがでるため、あまり好ましくないので、通水ポイントは単量体ガスホルダー4以前とすることがより好ましい。特に、本発明においては、単量体ストリッピング装置3以降でガスホルダー4以前の単量体ガス移送ラインに真空ポンプを付設して、その真空ポンプのシール水として、連続的に水を通水し、アンモニアガスを吸収した水を排液することで、ガスホルダー4以降の未反応単量体に同伴するアンモニアガス量を低減させることが好ましい。
【0015】
アンモニアガスを吸収させるために用いられる水としては、仕込み単量体ストレーナ13の底部に溜まるドレイン水のpHを 7.8以下、好ましくは、7.8〜7.0の範囲に抑制することができる水を用いればよい。例えば、装置内で使用される脱イオン水、純水、濾過水、軟水等の水を転用すればよいが、排液中の無機物によるスラッジの生成を抑制できる点で、脱イオン水、純水を用いることが好ましい。このようにして、アンモニアガスを回収・排液することによって、仕込み単量体ストレーナ13のフィルターを詰まらせる原因物質である無機化合物の生成を抑制し、フィルター交換に要する生産上のロスタイムが低減でき、高生産性を維持することが可能となる。
【0016】
[単量体等]
本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法に用いられる単量体は、塩化ビニルまたは塩化ビニルを主成分とする単量体混合物である。単量体が塩化ビニルを主成分とする単量体混合物である場合、前記混合物は少なくとも 50重量%以上の塩化ビニルと、塩化ビニルと共重合可能な他の単量体とからなり、前記他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、またはメタクリル酸エステル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;無水マレイン酸;アクリロニトリル;スチレン;塩化ビニリデン等が挙げられ、これらは一種単独でも二種以上を組み合わせても使用することができる。
【0017】
本発明の方法において、上記塩化ビニルまたは塩化ビニルを含む単量体混合物を水性媒体中で重合する際に使用される分散助剤は、特に限定されず、従来の塩化ビニル系重合体の製造に使用されているものでよい。この分散助剤としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性セルロースエーテル、水溶性部分鹸化ポリビニルアルコール、アクリル酸重合体、ゼラチン等の水溶性ポリマー;ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレエート、グリセリントリステアレート、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体等の油溶性乳化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリンオレエート、ラウリン酸ナトリウム等の水溶性乳化剤等が挙げられる。これらは一種単独でも二種以上を組み合わせても用いられ、仕込み単量体 100重量部に対して 0.02〜1重量部添加される。
【0018】
本発明の方法において用いられる重合開始剤は特に限定されず、従来の塩化ビニル系重合体の製造に用いられているものでよい。例えば、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシカーボネート、ジ(エトキシエチル)パーオキシカーボネート等のパーオキシカーボネート化合物;t-ブチルパーオキシピバレート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシネオデカネート、α-クミルパーオキシネオデカネート等のパーオキシエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,4-トリメチルペンチル・2-パーオキシフェノキシアセテート、ビス(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド等の過酸化物;アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等が挙げられる。これらは一種単独でも二種以上を組み合わせても用いられ、仕込み単量体 100重量部に対して 0.01〜0.2重量部添加される。
【0019】
本発明の方法において用いられる酸化防止剤も特に限定されず、従来の塩化ビニル系重合体の製造に用いられているものでよい。例えば、2,2-ジ(4'-ヒドロキシフェニル)プロパン、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルヒドロキシアニソール、n-オクタデシル・3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、t-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、4,4'-テトラメチレン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、2,2'-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール・ビス〔3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリチル・テトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,6-ジ-t-ブチル-4-sec-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、t-ブチルカテコール、4,4'-チオビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、トコフェロール、ノルジヒドログアイアレチン酸等のフェノール化合物;セミカルバジド、および 1-アセチルセミカルバジド、1-クロルアセチルセミカルバジド、1-ジクロルアセチルセミカルバジド、1-ベンゾイルセミカルバジド、セミカルバゾン等のセミカルバジド誘導体、カルボヒドラジド、チオセミカルバジド、チオセミカルバゾン等のチオカルバジドの誘導体、フェニルナフチルアミン、N,N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、4,4'-ビス(3,5-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のアミン化合物;o-ニトロアニソール、N-ニトロソジフェニルアミン、o-ニトロアニリン、N-ニトロソフェニルヒドロキシリルアミンアルミニウム塩等のニトロまたはニトロソ化合物;トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4'-テトラメチレン-ビス[〔(3-メチル-6-t-ブチル)フェニル-ジ-トリデシル〕ホスファイト]、サイクリックソオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)等のリン化合物;ジラウリル・3,3'-チオジプロピオネート、ジミリスチル・3,3'-チオジプロピオネート、ジステアリル・3,3'-チオジプロピオネート、ドデシルメルカプタン、1,3-ジフェニル-2-チオ尿素等の硫黄化合物等が挙げられる。これらは一種単独でも二種以上を組み合わせても用いられ、仕込み単量体 100重量部に対して 0.0001〜0.01重量部添加される。
【0020】
上記例示酸化防止剤のうち、得られる重合体の抗初期着色性が良好で、重合器へのスケール付着が少ない点で、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、トリエチレングリコール・ビス〔3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、t-ブチルヒドロキシアニソール、t-ブチルハイドロキノン、2,6-ジ-t-ブチル-4-sec-ブチルフェノール、オクタデシル・3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。酸化防止剤は、重合反応の制御、生成重合体の劣化防止等を目的として、重合開始前、重合中あるいは重合終了後に重合系に添加することができる。
【0021】
本発明における工程(b) として、重合反応終了後の重合体スラリーに中和剤ととしてアンモニア水が添加されるが、そのアンモニア水の濃度は、通常、15〜30重量%であり、さらに、アンモニアとしての添加量は、仕込み単量体 100重量部に対して 0.0002〜0.02重量部の範囲の量である。
なお、本発明の方法においては、従来と同様に、重合器内圧が所定の値に低下した段階で重合反応が終了したものとみなしている。
【0022】
また、重合における他の条件、例えば、重合器への水性媒体、塩化ビニルまたは塩化ビニルを含む単量体混合物、分散助剤、重合開始剤等の仕込み方法、仕込み割合、あるいは重合温度等も従来と同様でよい。
本発明の方法においては、必要に応じて塩化ビニル系重合体の製造に一般的に使用されている重合度調整剤、連鎖移動剤、ゲル化改良剤、耐電防止剤等を適宜使用することもできる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0024】
[実施例]
図1に示す装置を用い、さらに、図1記載の装置の単量体ストリッピング装置3とガスホルダー4との間に、図2に示したように、新たに、コンデンサー14、ドレインタンク15、液封式真空ポンプ16、シール水タンク18、ドレインポンプ19等を付設した製造装置プロセスを用いた。
【0025】
図2の装置において、単量体ストリッピング装置3における気液分離操作により分離された未反応単量体は、単量体ストリッピング装置3塔頂部から水蒸気含有未反応単量体ガスとなりコンデンサー14へ送られる。水蒸気含有未反応単量体ガスは、コンデンサー14で、通常、40〜80℃に冷却され、水蒸気含有未反応単量体ガスに含有される水蒸気は水となってガス流から凝縮分離されドレインタンク15に送られる。
【0026】
単量体ストリッピング装置3の運転時に、液封式真空ポンプ16のシール水として、ライン17から供給される純水を用いて純水の連続通水を行う。コンデンサー14で水蒸気が分離された未反応単量体ガス流は、液封式真空ポンプ16内を通って液封式真空ポンプ16のシール水と混合され、シール水タンク18に送られる。
この過程で、未反応単量体ガスに含まれているアンモニアガスは、混合されたシール水に吸収される。
【0027】
シール水と未反応ガスとの混合物は、シール水タンク18内で、未反応単量体ガスとアンモニアを吸収したシール水とに分離される。分離された未反応単量体ガスは、単量体ガスホルダー4に送られる。
シール水タンク18で分離されたアンモニアガスを吸収したシール水はドレインタンク15に送られ、コンデンサー14で凝縮分離された水とともに、ドレインタンク15から、ドレインポンプ19により、直接、排液ライン20へ送られる。
【0028】
上記製造装置を用いて、下記に示す方法および条件で塩化ビニル重合体を製造した。
内容量 130m3のステンレス製重合器1に脱イオン水 56.8t、鹸化度 80.5モル%の部分鹸化ポリビニルアルコール 13.7kg、鹸化度 50.0モル%の部分鹸化ポリビニルアルコール 2.9kg、並びにメトキシ置換度 28.5重量%およびヒドロキシプロピル置換度 8.9%のヒドロキシプロピルメチルセルロース 5.6kgを仕込んだ。次いで、重合器1内を内圧が 8.0kPa・Gとなるまで脱気した後、塩化ビニル単量体 46.3tを仕込んだ。撹拌しながら、重合開始剤としてジ-2-エチルヘキシルパーオキシカーボネート 22.5kgを仕込み、重合器内が 57.0℃まで昇温したところで、その温度を保ち重合を続けた。重合器1内の圧力が 0.588MPa・Gに降圧した時点(重合率 90%)で、重合器1内にトリエチレングリコール・ビス〔3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕水性分散液(濃度:30重量%)を 44.7kg添加し、重合反応を終了し、かつ、重合器1内に残る未反応単量体をライン12を経て回収した。
【0029】
その後、得られた重合体スラリー中にアンモニア水(濃度:25重量%)17.9kgを添加しpHを調整した。その後、重合体スラリーをスラリータンク2へ送った。次いで、スラリータンク2より重合体スラリーをフィード量 20m3/hrで単量体ストリッピング装置3に送った。
【0030】
単量体ストリッピング装置3の塔頂部からコンデンサー14を経て、液封式真空ポンプ16へ送られる未反応単量体ガスの流量は、0.5t/hrであり、ライン17から液封式真空ポンプ16へ送られる純水の通水量は、0.5m3/hrであった。
一方、コンデンサー14で凝縮分離された水とシール水タンク18からのアンモニアガスを吸収した水との合計のドレイン水排液量は、1.0m3/hrであった。
【0031】
また、単量体ストリッピング装置3の塔底部より排出された重合体スラリーは、デカンター9および乾燥機10を通して、脱水・乾燥して重合度 1000の塩化ビニル重合体を得た。
【0032】
上記塩化ビニル重合体の製造は、バッチ式であり 100バッチ/月のペースで6ヶ月間、上記通水操作を行いながら塩化ビニル重合体の製造を行なった結果、図1記載の仕込み単量体ストレーナ13のフィルターが詰まった回数は1回であり、フィルター交換に要した時間の合計(即ち、単量体仕込みを待った時間の合計)は 10分であった。
また、仕込み単量体ストレーナ13の底部に溜まったドレイン水のpH値は、6ヶ月間、7.4〜7.8で推移した。
【0033】
[比較例]
実施例においては、図1記載の装置の単量体ストリッピング装置3とガスホルダー4との間に、図2に示したように、コンデンサー14、ドレインタンク15、液封式真空ポンプ16、シール水タンク18、ドレインポンプ19等を付設した重合装置を用いているが、その代わりに、図1記載の装置の単量体ストリッピング装置3とガスホルダー4との間に、図3に示したように、コンデンサー14、ドレインタンク15、液封式真空ポンプ16、シール水タンク18、ドレインポンプ19等を付設した重合装置を用いた。
【0034】
図3に示したように、単量体ストリッピング装置3の運転時に、図3記載の液封式真空ポンプ16のシール水として、単量体ストリッピング装置3塔頂部から導かれた水蒸気含有ガス流中からコンデンサー14で凝縮分離された水を、ドレインタンク15およびドレインポンプ19を経て供給し、シール水タンク18を経てドレインタンク15へ戻すようにして、ドレイン水を循環させ、ドレインタンク15のオーバーフロー分を排液ライン20を経て排液すること以外は、実施例と同様の条件で、6ヶ月間、前記ドレイン水の循環操作を行いながら塩化ビニル重合体の製造を行なった。
【0035】
その結果、図1記載の仕込み単量体ストレーナ13のフィルターが詰まった回数は 11回、フィルター交換に要した時間の合計(即ち、単量体仕込みを待った時間の合計)は 113分であった。
また、仕込み単量体ストレーナ13の底部に溜まったドレイン水のpH値は、6ヶ月間、7.9〜8.3で推移した。
【0036】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、塩化ビニル系単量体の重合反応終了後の重合体スラリーにアンモニア水を中和剤として添加し、かつ未反応単量体を回収・精製して重合反応に再利用する工程を有する塩化ビニル系重合体の製造方法において、仕込み単量体ストレーナのフィルターの目詰まりを低減することができ、前記フィルターの交換頻度を減少することができるため、単量体仕込み待ち時間が短縮され、高生産性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩化ビニル系重合体の従来の製造装置を示す概略図である。
【図2】実施例で用いた装置を付設した図1記載の装置の部分概略図である。
【図3】比較例で用いた装置を付設した図1記載の装置の部分概略図である。
【符号の説明】
1. 重合器
2. スラリータンク
3. 単量体ストリッピング装置
4. 単量体ガスホルダー
5. 単量体蒸留装置
6. 精製単量体タンク
7. 単量体計量槽
8. 未使用単量体受け入れライン
9. デカンター
10. 乾燥機
11. 製品タンク
12. 排ガスライン
13. 仕込み単量体ストレーナ
14. コンデンサー
15. ドレインタンク
16. 液封式真空ポンプ
17. シール水供給ライン
18. シール水タンク
19. ドレインポンプ
20. 排液ライン

Claims (2)

  1. (a) 水性媒体中で塩化ビニル系単量体を重合する工程、
    (b) 重合反応終了後の重合体スラリーにアンモニア水を添加する工程、
    (c) 重合体スラリーを単量体ストリッピング装置へ送り、気液分離する工程、
    (d) 単量体ストリッピング装置以降の単量体ガス移送ラインの少なくとも一部に水を通水し、かつ排液することによりアンモニアガスを回収する工程、および
    (e) 未反応単量体を回収・精製して重合反応に再利用できるようにする工程
    を含み、さらに、仕込み単量体ストレーナの底部に溜まるドレイン水のpHを 7.8 以下に保持することを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
  2. 上記 (d) のアンモニアガスを回収する工程が、前記単量体ストリッピング装置と、該ストリッピング装置で分離された未反応単量体を回収するガスホルダーとの間の前記単量体ガス移送ラインに真空ポンプを設置し、該真空ポンプのシール水として、脱イオン水、純水、濾過水、及び軟水から選ばれる水を連続的に通水し、アンモニアガスを吸収した水を排液することを特徴とする請求項1記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
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