JP3877827B2 - 超高純度球状シリカ微粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、球状シリカ微粒子の製造法に関し、更に詳しくは、ゾルゲル法により超高純度球状シリカ微粒子を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
超高純度のシリカは最先端分野において開発要求が強く、例えば光通信用ファイバー、ポリシリコン引上げ用ルツボ、半導体用治具、フォトマスク用ガラス基板、光学材料、半導体用封止材料、ウエハー用研磨剤等の製造原料として有望視されて来ている。特に球状シリカは充填性や分散性等に優れ様々な用途に使用でき、その有用性が高い。しかしながら、現状の技術は純度面や価格面での要求を十分には満足せず、画期的で効率的な新規技術の開発が望まれている。
【0003】
従来、破砕状のシリカは、天然の石英を粉砕することにより、あるいは一旦溶融した後に粉砕することにより製造されてきた。しかし、これらは天然物を原料とするため電解性物質や重金属等の不純物を含んでおり、高純度を要求される用途には使用できなかった。
【0004】
天然物を精製し高純度化する方法、例えば、珪酸ソーダ等の水ガラスを水溶液状にした後、イオン交換により精製し、次いで焼成粉砕する製法が検討された。しかし、粉砕工程での不純物の混入、あるいは加工工程及び廃液処理に多額の費用を要すること等から超高純度の分野には適していなかった。
【0005】
更なる純度向上を目的として、合成原料や酸触媒類を用いた化学反応によるブロック状シリカが製造されたが、適当な寸法調整に粉砕工程を要し、結果的に不純物で汚染されるため、超高純度化にはやはり限界があった。
【0006】
粉砕工程を避けるためにスラリー状シリカを合成する方法が種々提案されている。しかし、原料が限定されたり、あるいはシリカの収率が低い等の重大な欠点を有するために工業的ではない。例えば、特開昭58−176135号公報には、ケイ酸エチル等のシリケート類と水と酸とを添加して加水分解反応を行い粉粒状ゲルを生成させ、次いで、該粉粒状ゲルを分離、精製する方法が開示されている。しかし、シリカの収率は70〜80%と低く、また、未反応原料の回収が困難でありコスト高となる。また、得られたシリカは軟質であり、硬質化するためには多額の加工費用を更に要する。特開昭58‐190831号公報には、酸触媒として硼酸を使用する方法が開示されており、また、特開昭61−14144号公報には、ケイ酸エステルに酢酸を含有する水の所定量を加えて粉粒状シリカゲルを生成させ、次いで、該ゲルを分離、乾燥、焼成する方法が開示されている。これらの方法は、上記の特開昭58−176135号公報に記載された方法の改良法であるが、未反応物除去のために洗浄等の工程を要し実用的ではない。従って、やはり不純物の含有等が避けれ得ない。即ち、高価で有用性の低いシリカの製造法と言える。
【0007】
市場での要求度の高い球状シリカの製造法としては、天然の石英を粉砕後熔射する方法があるが、天然物を原料とするため高純度品が得られない(特開昭58−145613号公報、特開昭62−241541号公報)。水ガラスの精製物を熔射する方法もあるが、焼成工程を経て熔射しないとガス発生のため空洞品となったり、粉砕しないと微粒子が得られない等のコスト的又は純度的な問題を抱えている。また、乳化重合法による球状シリカの製法も公知であるが、特殊な界面活性剤を使用するため複雑な精製工程を必要とし工業的ではない(THE CHEMISTRY OF SILICA, Solubility,Polymerization,Colloid and Surface Properties,and Biochemistry, RALPH K. ILER, A Wiley-Interscience Publication, JOHN WILEY & SONS) 。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、最先端分野で要求されている超高純度球状シリカ微粒子を、最適な水溶媒系でゾルゲル反応を行わしめることにより、安価に製造する方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく種々の検討を行った。その結果、安価で硬質の超高純度球状シリカ微粒子を得るためには、反応が理想的に高収率で進行し、かつ生成物の精製が容易であることが必須条件であることに着目し、該条件を達成するためには、加水分解反応を有機溶媒に分散した水滴中で行わせしめ、かつ該反応中に副生したアルコールを反応系外に除去しながら反応を行うことが必要であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、
(1)アルキルケイ酸エステルを水及び有機溶媒の混合媒体中で加水分解及び縮合して球状シリカ微粒子を製造する方法において、加水分解反応中に副生する上記アルキル基のアルコールの沸点より高い沸点を持つ水と相溶しない有機溶媒を使用し、かつ仕込み水と仕込み有機溶媒の体積比が1:1〜1:10となる量の該有機溶媒を仕込み、アルキルケイ酸エステルを水及び有機溶媒の混合媒体中に滴下添加して分散せしめ、加水分解反応中に副生するアルコールを反応系外に除去しながら加水分解反応を行うことを特徴とする方法である。
【0011】
本発明の方法によれば、加水分解反応系内に副生アルコールが存在しない。従って、加水分解反応系内に副生アルコールが存在することにより生ずる種々の弊害、例えば反応速度の低下、水と有機溶媒の相溶化による柔軟なシリカの生成等を防止し得るのである。
【0012】
好ましい態様として、
(2)加水分解反応における温度が、副生アルコールの沸点以上であり、かつ水又は使用する有機溶媒の沸点のいずれか低い方の温度未満である上記(1)記載の方法、
(3)仕込み水の量が、使用するアルキルケイ酸エステルのアルコキシ基1当量に対して1〜10当量である上記(1)又は(2)記載の方法、
(4)仕込み水の量が、使用するアルキルケイ酸エステルのアルコキシ基1当量に対して3〜8当量である上記(1)又は(2)記載の方法、
(5)仕込み水と仕込み有機溶媒の体積比が1:4〜1:10となる量の有機溶媒を仕込む上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の方法、
(6)仕込み水と仕込み有機溶媒の体積比が1:4〜1:8となる量の有機溶媒を仕込む上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の方法、
(7)使用するアルキルケイ酸エステルが、メチルシリケート、エチルシリケート及びイソプロピルシリケートからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の方法
を挙げることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において使用する有機溶媒は、加水分解反応で副生するアルコールの沸点より高く水と相溶しないものであればいずれのものであってもよい。例えば、脂肪族炭化水素系のものとしてデカン(沸点:約174℃)、ドデカン(沸点:約216℃)等、芳香族炭化水素系のものとしてベンゼン(沸点:約80℃)、トルエン(沸点:約111℃)、o,m,p‐キシレン(沸点:約138〜144℃)、ドデシルベンゼン(沸点:約180℃)等、ハロゲン系のものとしてトリクロロエチレン(沸点:約87℃)、テトラクロロエチレン(沸点:約121℃)等、エーテル系のものとしてアニソール(沸点:約154℃)、ジブチルエーテル(沸点:約142℃)等を挙げることができる。該有機溶媒は、仕込み水と仕込み有機溶媒との体積比が1:1〜1:10、好ましくは1:4〜1:10、特に好ましくは1:4〜1:8となるように加水分解反応系中に仕込まれる。有機溶媒の使用量が上記上限を超えてもあるいは上記下限未満でも反応効率が悪くなるため好ましくない。更に、上記下限未満では、球状シリカ塊状物が生成する等の問題も生ずる。上記の好ましい範囲において、シリカの球状化をより良好に達成せしめることができる。
【0014】
アルキルケイ酸エステルとしては、公知のものを使用し得る。加水分解反応中に副生するアルコールが、反応中、反応系外へ容易に除去し得るものであることが好ましく、この観点から、メチルシリケート、エチルシリケート及びイソプロピルシリケートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。該アルキルケイ酸エステルを使用すれば、メチルアルコール、エチルアルコール又はイソプロピルアルコールが副生され、これらのアルコールはその沸点が水より低く蒸留による反応系外への除去がきわめて容易である。従って、加水分解反応中の反応系の相状態を崩さず、有機溶媒及び水を反応系内に残したまま、副生するアルコールを常時反応系外に除去することができる。
【0015】
加水分解反応における仕込み水の量は、アルキルケイ酸エステルのアルコキシ基1当量に対して、好ましくは1〜10当量、特に好ましくは3〜8当量である。上記下限未満では、加水分解が困難となると共に、生成したシリカの凝集が強くなり強固な塊が生成する。上記上限を超えると、シリカ収率の低下及び反応後の廃液の処理に費用を要する等の問題が生じる。
【0016】
また、本発明の方法において、加水分解を促進するために触媒を使用することができる。該触媒として、塩基若しくは酸を使用することができる。ここで、塩基としては、例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)の水酸化物、有機アミン類(トリエチルアミン等)、アンモニア及びその誘導体等を挙げることができる。酸としては、鉱酸(塩酸、硫酸等)、有機酸(蟻酸、酢酸、蓚酸等)を挙げることができる。シリカの超高純度化を達成するためには、反応後の除去が容易な触媒、例えば蟻酸、酢酸、アンモニア又はその誘導体が好ましく、また、シリカの球状化を達成するためには、塩基を使用し、かつバッファー剤を併用することが特に好ましい。触媒の量としては、好ましくは反応を効率的に起す最小量が使用される。
【0017】
本発明においては、加水分解反応は反応中に副生するアルコールを反応系外に除去しながら行うことが必要である。従って、加水分解反応は副生したアルコールの沸点以上の温度で行う必要がある。しかし、水及び有機溶媒は反応系内に残し副生したアルコールのみを常時系外に除去することが好ましいことから、上記温度は、好ましくは副生アルコールの沸点以上であり、かつ水又は使用する有機溶媒の沸点のいずれか低い方の温度未満である。これにより、反応系の相状態を崩さずに副生アルコールを反応系外に除去するすると共に、水及び有機溶媒の蒸発を最小限にし、加水分解反応を理想的に高収率で進行せしめることができる。また、本発明の方法においては、アルキルケイ酸エステルは、攪拌しつつある水及び有機溶媒、更に必要により触媒との混合媒体中に滴下して分散せしめることが好ましい。これにより、アルキルケイ酸エステルの凝集を防止することができる。滴下速度は、アルキルケイ酸エステルの凝集が生じない程度であれば特に制限はなく、反応装置の規模あるいは攪拌速度等に依存して決定される。
【0018】
上記の加水分解反応で硬質で球状のシリカ微粒子のスラリーが得られるが、必要により分離精製、更に乾燥焼成してより超高純度で高密度の球状シリカ微粒子の粉末を製造することができる。例えば、スラリーを濾過した後、純水による洗浄を繰り返し、110〜250℃で乾燥した後、400〜800℃で数時間加熱し、更に1000〜2000℃の温度で数時間加熱することにより製造し得る。このように加熱することにより、シリカ粒子に空洞の発生を防止でき、かつシリカ粒子の硬度向上を図ることができる。
【0019】
以下、実施例、比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0020】
【実施例】
下記の実施例及び比較例における各特性値は以下のようにして測定した。
<真比重>
JIS K 0061に準拠し、ワードン比重瓶を使用して測定した。
<平均粒径>
1μm以上の粒子については、レーザー回折式粒度分布測定装置を使用して測定した。使用した装置は、島津製作所製SALD‐2000J(商標)である。1μm以下の粒子については、レーザー散乱式粒度分布測定法を使用して測定した。使用した装置は、Coulter社製コールターカウンター モデルN4(商標)である。
<シリカ粒子の形状>
シリカ粒子100個を任意に抽出し電子顕微鏡により観察して評価した。
【0021】
【実施例1】
攪拌機、滴下口、温度計、及び凝縮装置が接続された留出液出口が備え付けられている2リットルのガラス製フラスコに純水200g、p‐キシレン600g(沸点:約138℃)及びアンモニア水5gを入れ攪拌しながらテトラエチルシリケート208gを滴下口より60分間かけて滴下添加した。添加終了後、フラスコの加熱を開始した。加熱開始30分後に液温が78℃に達しエタノールを主成分とする共沸物が留出し始めた。更に、加熱を継続して共沸物の留出を続行し、加熱開始1時間後、液温が96℃に達した時点で加熱を停止し、冷却を開始して室温まで液温を下げた。次に、生成した固形物を濾別し、純水で数回洗浄した後、200℃、400℃、700℃、そして1000℃で順次1時間づつ空気中で加熱して焼成した。その後、自然放冷して室温まで冷却し、白色の粉末(シリカ)56gを得た。その収率は93%であった。
【0022】
得られた白色粉末は真比重2.02、平均粒径2μmの球状シリカ微粒子であった。本品5gを純水45gを用いて121℃で2時間抽出した後、抽出液中のイオン性不純物量を測定(イオンクロマトグラフ、DX‐AQ2211(商標)、日本ダイオネクス株式会社製)したところ0.1ppm以下であった。また、抽出液の電気伝導度(電気伝導度計AB‐7(商標)、オルガノ株式会社製)は1μS/cm以下であり、該シリカが超高純度品であることが確認された。
【0023】
【実施例2】
テトラメチルシリケート152g、純水100g、ドデシルベンゼン(沸点:約180℃)500g及び酢酸2gを使用し、テトラメチルシリケートを30分間かけて滴下添加した以外は、実施例1と同一条件で反応、焼成した。本実施例においては、メタノールが副生するため留出開始温度は65℃であった。白色の粉末(シリカ)56gが得られた。その収率は93%であった。
【0024】
得られた白色粉末は真比重2.02、平均粒径10μmの球状シリカ微粒子であった。実施例1と同様にしてイオン性不純物量及び抽出液の電気伝導度を測定したところ、イオン性不純物量は0.1ppm以下であり、抽出液の電気伝導度は1μS/cm以下であった。得られたシリカが超高純度品であることが確認された。該シリカは、実施例1のシリカに比べ、真球度の点ではやや劣ったが、留出物中の水が非常に少なく、その処理が容易であるという利点があった。
【0025】
【実施例3】
テトラメチルシリケート152g、純水100g、p‐キシレン(沸点:約138℃)600g、アンモニア水5g及び炭酸アンモニウム1gを使用し、テトラメチルシリケートを60分間かけて滴下添加した以外は、実施例1と同一条件で反応、焼成した。留出開始温度はメタノールが副生するため実施例2と同じく65℃であった。白色の粉末(シリカ)58gが得られた。その収率は98%であった。
【0026】
得られた白色粉末は真比重2.02、平均粒径0.5μmの球状シリカ微粒子であった。実施例1と同様にしてイオン性不純物量及び抽出液の電気伝導度を測定したところ、イオン性不純物量は0.1ppm以下であり、抽出液の電気伝導度は1μS/cm以下であった。得られたシリカが超高純度品であることが確認された。該シリカは実施例1及び2のものに比べて、真球度がより優れており、更にその廃液の組成が簡単でありその処理もより容易であった。
【0027】
【実施例4】
テトラエチルシリケート208g、純水100g、ドデカン(沸点:約216℃)600g及び蟻酸2gを使用し、テトラエチルシリケートを30分間かけて滴下添加した以外は、実施例1と同一条件で反応した。平均粒径0.05μmの球状シリカスラリーが得られた。本品は高純度研磨剤等への用途に有効である。例えば、スラリー濃度を所望の値に調節して、又は更に加工促進剤等の添加剤を加えて使用され得る。
【0028】
【実施例5】
ドデカン200gを使用した以外は、実施例4と同一条件で反応させた。その結果、平均1次粒径1μm、平均2次粒径50μmの球状シリカ凝集体のスラリーが得られた。ここで、平均2次粒径はそのまま上記レーザー回折式粒度分布測定法により測定した。平均1次粒径は、超音波処理してシリカ粒子を単離した後、上記レーザー回折式粒度分布測定法により測定した。本品の凝集は弱く、例えばテフロン球ボールミル、ジェット水流等で解砕して簡単に1次粒径品を単離できたが、実施例4に比べて真球度が劣っていた。
【0029】
【比較例1】
溶媒(ドデシルベンゼン)を使用せずに実施例2と同一の反応を行ったところ、シリカの塊状物が生成した。該塊状物を実施例1同様に加熱処理したところ、シリカブロック48gが得られた。その収率は80%であった。次いで、該シリカブロックをボールミルで3時間粉砕し実施例2と同等の平均粒径(10μm)を持つシリカ粒子を製造した。
【0030】
得られたシリカは破砕状であり、その真比重2.02であった。また、実施例1と同様にしてイオン性不純物量及び抽出液の電気伝導度を測定したところ、イオン性不純物量は8ppmであり、抽出液の電気伝導度は11μS/cmであった。このように、実施例2に比べてシリカ収率が悪く、かつ得られたシリカの純度、品質が劣る。更に、微粒子状のシリカを得るためには粉砕工程を要するため製造費も増加する。
【0031】
【比較例2】
溶媒として使用したドデカンの量を50gにした以外は、実施例4と同一条件で反応させた。その結果、平均1次粒径2μm、平均2次粒径100μmの球状シリカ塊状物が得られた。本品の凝集は強固なもので、微粒子化には粉砕を必要とした。また、シリカ粒子の凝集間に空間が生じるために、入り込んだ不純物の除去が難しく、更に見掛け比重が小さくなるという欠点も有していた。
【0032】
【比較例3】
特開昭58−176135号公報に記載の実施例3を追試実験した。即ち、テトラエチルシリケート450ml(2モル)をポリプロピレン製三角フラスコに採り、酒石酸30ミリモル/lを含む水216ml(12モル)を加え、該三角フラスコの口をアルミ箔で覆って温度65℃に保ちつつ、4時間テフロンコートしたマグネチックスターラーで激しく攪拌を続けた後、生成した粉粒状ゲルの沈殿物を母液より分離してポリプロピレン製ビーカー(内容積300ml)に移し、100mlの水で3回洗浄後、該ビーカー毎100℃のオーブン中に18時間保持して乾燥した。乾燥した粉粒状ゲルを石英ガラス製ボートに入れ、電気炉中で150℃/時の速度で昇温し、1050℃にて1時間加熱して85.7gの粉粒状焼成物(シリカ)を得た。その収率は70%であった。このように該公報記載の従来法では、シリカ収率が著しく低く工業性がない。
【0033】
【比較例4】
温度を60℃一定に保持した以外は、実施例1と同一に実施した。白色の粉末(シリカ)47gを得た。その収率は78%であった。得られた白色粉末は真比重1.97の軟質シリカであった。該シリカ粒子の形状は一定でなく、なすび、ひょうたん、へちま等の形状を持ち、従って、粒子径は測定毎に数値が異なり、4〜20μmの範囲であった。また、シリカ粒子分離後の廃液は、溶媒、水、エタノール、未反応テトラエチルシリケート等の混合物であり、その処理が容易ではないという欠点もあった。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、最先端分野で要求されている超高純度球状シリカ微粒子を、最適な水溶媒系でゾルゲル反応を行わしめることにより、安価に製造する方法を提供する。
Claims (4)
- アルキルケイ酸エステルを水及び有機溶媒の混合媒体中で加水分解及び縮合して球状シリカ微粒子を製造する方法において、加水分解反応中に副生する上記アルキル基のアルコールの沸点より高い沸点を持つ水と相溶しない有機溶媒を使用し、かつ仕込み水と仕込み有機溶媒の体積比が1:1〜1:10となる量の該有機溶媒を仕込み、アルキルケイ酸エステルを水及び有機溶媒の混合媒体中に滴下添加して分散せしめ、加水分解反応中に副生するアルコールを反応系外に除去しながら加水分解反応を行うことを特徴とする方法。
- 加水分解反応における温度が、副生アルコールの沸点以上であり、かつ水又は使用する有機溶媒の沸点のいずれか低い方の温度未満である請求項1記載の方法。
- 仕込み水の量が、使用するアルキルケイ酸エステルのアルコキシ基1当量に対して1〜10当量である請求項1又は 2記載の方法。
- 使用するアルキルケイ酸エステルが、メチルシリケート、エチルシリケート及びイソプロピルシリケートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
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