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JP3874931B2 - 溶接部強度に優れた加工用鋼板及びその製造方法 - Google Patents

溶接部強度に優れた加工用鋼板及びその製造方法 Download PDF

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  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車用,建材用等に使用される溶接部強度に優れた加工用鋼板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車体や建材等に使用される鋼板には、プレス成形性,深絞り性を始めとして厳しい加工性が要求される。加工性は、C含有量の低減やTi,Nb等の添加によって改善されるが、C含有量を低減すると溶接熱影響部が粗粒化し易く、アーク溶接,スポット溶接等で組み立てられた構造体の強度が低下する。
溶接熱影響部の粗粒化による強度低下を防止するため、特開昭63−206451号公報では極低炭素冷延鋼板に含まれるTi量を規制している。しかし、強度低下の防止には、非常に多量のTi添加が必要とされ、製造コストの上昇を招く。多量のTi添加は、却って延性を劣化させる原因にもなる。
溶接熱影響部の粗粒化自体は、Mgを単独添加し、或いはMg,Tiを複合添加してMn−Si−Mg系酸化物やTi−Mg系酸化物を鋼中に分散させるとき防止されることが特開平8−232044号公報,特開平9−310119号公報,特開平9−310147号公報等に紹介されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
特開平8−232044号公報の鋼材は、大型建造物等に使用される熱延鋼板を対象としたC含有量が比較的多い鋼種であり、微量のMgを含ませ、Mn−Si−Mg系酸化物によって大入熱溶接時に熱影響部の粗粒化を抑制している。特開平9−310147号公報の鋼材も、同様に大型建造物等に使用される熱延鋼板を対象としたC含有量が比較的多い鋼種であり、Ti−Mg合金を溶鋼に添加してTi−Mgを主体とする粒径0.05〜0.5μmの複合酸化物を析出させることにより熱影響部の粗粒化を抑制している。
しかし、Ti−Mg系の酸化物は、単独での粒径が1μm以下であってもクラスターを生成し易い。クラスターが生成すると、結晶粒の粗大化を抑制する作用が弱くなる。この影響は、加工性改善のためにC含有量を低下した鋼種ほど顕著に現れ、スポット溶接やアーク溶接等の入熱量が少ない溶接による熱影響部を粗粒化し、溶接強度を低下させる原因となる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、微細なMgOを鋼中に分散・析出させることにより、C含有量が低い鋼種にあっても溶接熱影響部の結晶粒の粗大化を防止し、溶接部強度,加工性等に優れた鋼板を提供することを目的とする。
本発明の加工用鋼板は、その目的を達成するため、C:0.0005〜0.010重量%,Si:0.02〜1.0重量%,Mn:0.1〜2.5重量%,P:0.005〜0.1重量%,S:0.02重量%以下,Mg:0.001重量%以上0.01重量%未満,Al:0.02重量%以下を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成で、1μm以下の微細なMgOが均一に分散析出した組織をもつことを特徴とする。この加工用鋼板は、必要に応じTi及び/又はNbを合計で0.02〜0.10重量%含むことができる。更には、B:0.0005〜0.005重量%を添加してもよい。
この加工用鋼板は、前掲した組成をもつスラブを仕上げ温度850℃以上,巻取り温度600〜750℃で熱間圧延した熱延鋼帯として製造される。或いは、熱延鋼帯に酸洗,冷延率50〜85%の冷間圧延を施し、更に均熱温度650〜880℃で連続焼鈍することにより製造される。また、酸洗性を向上させるため、酸洗に先立って熱延鋼帯を高圧下冷延してもよい。この場合には、酸洗後の冷間圧延における冷延率と合わせた合計冷延率を50〜85%の範囲に調整する。
【0005】
【作用】
本発明者等は、溶接時の熱影響による結晶粒の粗大化に及ぼす酸化物系介在物の影響を調査・研究した。その結果、前掲のMn−Si−Mg系やTi−Mg系酸化物等は、比較的粗大な複合酸化物の形態をとり、C含有量を下げた鋼種では結晶粒の粗大化抑制に十分でないことが判明した。すなわち、本発明が対象としている薄鋼板をスポット溶接又はアーク溶接するとき、C含有量が0.01重量%を超える鋼種にあっては固溶Cの影響や低いγ→α変態温度の影響を受け、酸化物が分散していなくても、溶接強度に悪影響を及ぼす粗粒化が発生しない。
ところが、結晶粒は一般にC含有量が低いものほど粗大化し易く、C含有量が0.01重量%以下になると大入熱溶接だけでなく単純なスポット溶接やアーク溶接等によっても熱影響部の粗粒化が生じる。この粗粒化は、必然的に粗大な複合酸化物の形態をとるMn−Si−Mg系やTi−Mg系酸化物等では十分に抑制できない。そこで、本発明者等は、鋼中に微細なMgOを分散析出させることにより、入熱量が僅かな溶接法でみられる結晶粒の粗大化を防止することを検討した。その結果、各合金成分の含有量を特定し、更には製造条件を特定するとき、結晶粒の粗大化防止に有効に働く微細なMgOが鋼中に均一分散することが判った。
【0006】
以下、本発明の加工用鋼板に含まれる合金成分,含有量,製造条件等を説明する。
C:0.0005〜0.010重量%
C含有量の低減に起因する溶接熱影響部の粗粒化は、0.010重量%を超えるCを含む鋼種では発生しなくなる。しかし、本発明は、溶接熱影響部の粗粒化が問題となる低炭素鋼を対象としたものであることから、C含有量の条件を0.010重量%に設定した。C含有量の低減は、加工性を改善する上では有効である。しかし、C含有量を0.0005重量%未満にすることは、大量生産ラインでは非常に困難であり、製造コストを上昇させる原因になる。
Si:0.02〜1.0重量%
高強度化に有効な合金成分であり、0.02重量%以上の含有量でSiの作用が顕著になる。しかし、1.0重量%を超える多量のSiが含まれると、低温靭性を劣化させる傾向がみられる。
【0007】
Mn:0.1〜2.5重量%
高強度化に有効な合金成分であり、0.1重量%以上の含有量でMnの作用が顕著になる。しかし、2.5重量%を超える多量のMnが含まれると、延性や低温靭性を劣化させる傾向がみられる。
P:0.005〜0.1重量%
高強度化に有効な合金成分であり、0.005重量%以上の含有量でPの作用が顕著になる。しかし、0.1重量%を超える多量のPが含まれると、低温靭性が大幅に低下する傾向がみられる。
S:0.02重量%以下
熱間での延性を低下させる有害元素であり、低ければ低いほと好ましい。しかし、本発明の加工用鋼板にあっては、S含有量を0.02重量%以下にするとき、S起因の悪影響が現れない。
【0008】
Mg:0.001〜0.02重量%
1μm以下のMgOとして鋼中に析出し、溶接熱影響部の粗粒化を防止する作用を呈する合金成分である。1μm以下の微細なMgOを十分に析出させるためには、Mg添加量を0.001重量%以上にする必要がある。0.001重量%未満のMg含有量では、MgOの析出量が不足し、MgOに比較して粗大なMn−Si−Mg系酸化物,Al23 ,SiO2 等の酸化物が析出するため、十分な粗粒化防止効果が得られない。Mgの作用は含有量0.02重量%で飽和し、それ以上添加しても却って鋼材コストを上昇させることになる。なお、本願では、0.01重量%未満のMgを含有するものについてのみ、請求している。
Mgの添加形態は特に拘束されるものではないが、金属MgをCaOと混合して鉄皮に包んだMg含有ワイヤを溶鋼中に連続投入するワイヤフィード法によるMg脱酸で添加することができる。この場合、溶鋼中のフリー酸素が高い状態でMgが添加されるため、脱酸生成物としてMgOが得られる。
或いは、Al,Mn,Si等である程度脱酸した後、Fe−Si−Mg等の合金としてMgを添加することもできる。このMg添加方法は、ワイヤフィード法等による溶鋼の直接Mg脱酸に比較してMgの歩留が良いためコスト的に有利であり、Al,Mn,Si系酸化物として鋼中に存在していた酸化物のMg還元によりMgOが生成する。
何れの添加方法によっても、Mg添加量が本発明で規定した条件を満足するとき、約1μm以下の微細なMgOが鋼中に分散・析出したスラブが得られる。微細なMgO析出物は、結晶粒界の移動を阻止するピン止め作用を呈し、溶接熱影響部の粗粒化が抑制されるものと推察される。
【0009】
Al:0.02重量%以下
脱酸剤として添加される合金成分であり、Mg添加による脱酸量を調整するため0.02重量%以下の範囲で補足的に添加される。なお、Mg添加による脱酸が十分な場合には、Al添加を省略することも可能である。
Ti及び/又はNb:合計で0.02〜0.10重量%
必要に応じて添加される合金成分であり、鋼中の固溶Cを固定して鋼板の延性を改善する作用を呈する。延性改善効果は、Ti及び/又はNbの合計添加量が0.02重量%以上で顕著になる。しかし、0.10重量%を超える合計添加量でTi及び/又はNbを添加すると、延性の低下や鋼材コストの上昇等の原因となる。
B:0.0005〜0.005重量%
TiやNbを添加して加工性を改善した鋼板にあっては、固溶Cの減少に伴って粒界強度が低下し、過酷な条件下でプレス加工される用途等では加工後の耐二次加工割れ性が劣化する虞れがある。耐二次加工割れ性は、更に微量のBを添加することにより改善される。Bの添加効果は、0.0005重量%以上で顕著になり、0.005重量%で飽和する。Bを0.005重量%を超えて添加しても、却って鋼材コストを上昇させる。
【0010】
熱間圧延:仕上げ温度850℃以上,巻取り温度600〜750℃
以上のように成分設計された鋼材を溶製した後、連続鋳造で得られたスラブを熱間圧延する。熱間圧延では、仕上げ温度が850℃以上となる条件が採用される。仕上げ温度が850℃を下回ると、熱間変形抵抗が大きく変動し、ゲージハンチング等の形状不良や、場合によっては板切れ等の製造上のトラブルが発生し易くなる。熱間圧延された鋼帯は、AlNを十分に析出させるため600℃以上の温度で巻き取られる。巻取り温度が600℃未満では、AlNの析出が十分でなく、また微細なTiC等の析出によって冷延鋼板の延性及びランクフォード値が低下する。逆に、750℃を超える温度で巻き取ると、自重によりコイルが変形する虞れがあり、酸洗性も劣化する。
【0011】
冷間圧延:冷延率50〜85%
熱延鋼帯は、連続酸洗ラインで酸洗された後、冷間圧延される。或いは、酸洗に先立って熱延鋼帯を高圧下冷延するとき、酸洗工程の負荷が軽減される。
冷間圧延工程では、後続する焼鈍時に再結晶を促進させるため、冷延率が50%以上に調整される。50%未満の冷延率では、再結晶温度が上昇すると共に再結晶後の結晶粒が粗大化し、加工後の鋼板表面に肌荒れが発生し易くなる。
しかし、85%を超える高冷延率の冷間圧延は、タンデム式の圧延機においても1パス通板では困難であり、複数パスが必要になるため製造コストを上昇させる。
【0012】
連続焼鈍:均熱温度650〜880℃
冷延鋼帯は、連続焼鈍ラインに通板され、均熱温度650〜880℃で再結晶焼鈍される。均熱温度が650℃に達しないと、再結晶が十分に進行せず、得られた鋼板の延性が低下する。逆に、880℃を超える高温焼鈍では、極低炭素鋼であっても一旦はγ変態が生じるため、鋼板の延性が低下する。
焼鈍された鋼帯は、そのままでも使用されるが、溶融Znめっき,溶融Alめっき等による防錆処理を施しても良い。
【0013】
【実施例】
実施例1:
表1に示した組成のスラブを連続鋳造法で製造した。なお、Mgは、Mg+CaO含有ワイヤを取鍋中の溶鋼に連続投入するMg脱酸法で添加した。一部のスラブについては、Mg+CaO含有ワイヤの投入に先立ってAlで溶鋼を予備脱酸した。
【0014】
Figure 0003874931
【0015】
各スラブを1180℃まで加熱し、仕上げ温度900℃,巻取り温度650℃の条件で熱間圧延し、板厚2.3mmの熱延鋼帯を得た。
熱延鋼帯を酸洗した後、MAG溶接による突合せ溶接試験に供した。試験片の溶接部を中央にしてJIS5号引張試験片を切り出し、引張試験に供した。試験結果を溶接部のない素材鋼板の試験結果と比較することにより、溶接による強度低下の有無を調査し、引張試験による破断位置を調査した。
また、熱延鋼帯から圧延方向と平行にJIS3号サブサイズ衝撃試験片を切り出し、−10℃のシャルピー衝撃試験に供した。試験後の破面を観察し、延性破面が80%以上の場合を○,80%未満の場合を×として低温靭性を評価した。
更に、B添加が耐二次加工割れ性に及ぼす影響を調査するため、鋼種番号20〜23については、熱延鋼帯を総絞り比2.1でカップ成形した後、カップの耳を切断してバリを研磨,除去し、−30℃に冷却した冷媒中でカップを横方向から押し潰した。そして、カップが破壊することなく変形したものを○,カップの壁部が脆性破壊したものを×として、耐二次加工割れ性を評価した。
調査結果を、本発明の請求項1〜3に対応させて表2〜4にそれぞれ示す。
【0016】
Figure 0003874931
【0017】
各合金成分が本発明で規定した範囲にある鋼種番号1〜7の鋼板は、突合せ溶接部の引張試験でも強度低下がみられず、破断位置が何れも母材部になっていた。また、低温靭性にも優れていた。
これに対し、Mgを添加していない鋼種番号8では、引張試験の結果、母材部に比較して突合せ溶接部の強度が低下し、伸びも素材鋼板に比較して低い値を示した。破断位置も溶接熱影響部になっており、溶接時の入熱で結晶粒が粗大化した影響が窺われる。本発明で規定した範囲を超えるCを含む鋼種番号9では、Mg添加していなくても引張試験で強度低下が検出されず、破断位置も母材部になっていた。Si,Mn,Pの強化元素を本発明で規定した範囲を超えて含有する鋼種番号10〜12では、延性及び低温靭性に劣っていた。
【0018】
Figure 0003874931
【0019】
Ti,Nbを添加した本発明の請求項2に対応する鋼種番号13〜16の鋼板は、Ti,Nb以外の合金成分をほぼ同量含む鋼種番号2と比較して延性に優れており、鋼中の固溶C,Nを固定するTi,Nbの添加効果が窺われる。しかも、引張試験では母材部で破断したことから突合せ溶接部の強度低下がみられず、MgOの微細分散が熱影響部の粗粒化を有効に抑制していることが窺われる。
これに対し、Mg無添加の鋼種番号17では、Ti添加によって延性が良好となる傾向はみられるが、引張試験によって熱影響部が破断し、突合せ溶接部の強度が低下していた。Ti,Nbを過剰に添加した鋼種番号18,19では、延性の更なる向上はみられず、却って延性が若干低下していた。
【0020】
Figure 0003874931
【0021】
Bを添加した鋼種番号20,21では、優れた耐二次加工割れ性からB添加の効果が窺われる。また、突合せ溶接部も強度低下しておらず、低温靭性にも優れていた。
他方、Mg無添加の鋼種番号22では、B添加によって耐二次加工割れ性は改善されているが、引張試験により熱影響部に破断が生じ、突合せ溶接部の強度が低下していた。また、B無添加の鋼種番号23では、突合せ溶接部の強度低下はみられないが、耐二次加工割れ性に劣っていた。
【0022】
実施例2:
表1に示した組成のスラブを連続鋳造法で製造した。なお、Mgは、Mg+CaO含有ワイヤを取鍋中の溶鋼に連続投入するMg脱酸法で添加した。一部のスラブについては、Mg+CaO含有ワイヤの投入に先立ってAlで溶鋼を予備脱酸した。
各スラブを1180℃まで加熱し、仕上げ温度900℃,巻取り温度650℃の条件で熱間圧延し、板厚3.2mmの熱延鋼帯を製造した。
熱延鋼帯を連続酸洗ラインに通板して酸洗した後、タンデム式の冷間圧延機を用いて圧下率75%で冷間圧延し、板厚0.8mmの冷延鋼帯にした。次いで、連続焼鈍ラインにおいて830℃×均熱60秒で連続焼鈍した。焼鈍された鋼帯に、更に伸び率0.8%の調質圧延を施した。
【0023】
調質圧延後の鋼帯から圧延方向と平行にJIS5号試験片を切り出し、引張試験により機械的性質を調査した。
また、同じ鋼帯から切り出された50mm×200mmの短冊状試験片を2枚1組とし、電極チップ径5.5mm,加圧力220kg,電流7.6kA,溶接時間10秒の条件下、40mm間隔で5点スポット溶接した。そして、中間の3点について溶接部の断面を顕微鏡観察し、熱影響部の組織を調査した。調査の結果、熱影響部の粗粒化がみられなかったものを○,著しく粗粒化したものを×として粗粒化状況を評価した。
更に、冷延鋼板を総絞り比2.4でカップ成形し、カップの耳を切断してバリを研磨,除去した後、0℃に冷却した溶媒中で頂角60℃の円錐ポンチでカップを押し広げ、素材鋼板の低温靭性を調査した。そして、カップが破壊することなく変形したものを○,カップの壁部が脆性破壊したものを×として低温靭性を評価した。
また、B添加が耐二次加工割れ性に及ぼす影響を調査するため、鋼種番号20〜23については、冷延鋼帯を総絞り比2.4でカップ成形した後、カップの耳を切断してバリを研磨,除去し、−30℃に冷却した冷媒中でカップを横方向から押し潰した。そして、カップが破壊することなく変形したものを○,カップの壁部が脆性破壊したものを×として、耐二次加工割れ性を評価した。
調査結果を、本発明の請求項1〜3に対応させて表5〜7にそれぞれ示す。
【0024】
Figure 0003874931
【0025】
各合金成分が本発明で規定した範囲にある鋼種番号1〜7の鋼板は、スポット溶接による熱影響部に粗粒化が観察されず、0℃の耐二次加工割れ性で評価した低温靭性にも優れていた。
これに対し、Mgを添加していない鋼種番号8では、スポット溶接による熱影響部に著しい粗粒化が観察され、母材部に比較して突合せ溶接部の強度が低下していた。本発明で規定した範囲を超えるCを含む鋼種番号9では、Mg添加していなくても熱影響部の粗粒化が観察されなかった。Si,Mn,Pの強化元素を本発明で規定した範囲を超えて含有する鋼種番号10〜12では、素材が延性に乏しく、0℃の耐二次加工割れ性で評価した低温靭性も劣っていた。
【0026】
Figure 0003874931
【0027】
Ti,Nbを添加した本発明の請求項2に対応する鋼種番号13〜16の鋼板は、Ti,Nb以外の合金成分をほぼ同量含む鋼種番号2と比較して延性に優れており、鋼中の固溶C,Nを固定するTi,Nbの添加効果が窺われる。しかも、引張試験では母材部で破断したことから突合せ溶接部の強度低下がみられず、MgOの微細分散が熱影響部の粗粒化を有効に抑制していることが窺われる。
これに対し、Mg無添加の鋼種番号17では、Ti添加によって延性が良好となる傾向はみられるが、スポット溶接による熱影響部が著しく粗粒化しており、突合せ溶接部の強度が低下していた。Ti,Nbを過剰に添加した鋼種番号18,19では、延性の更なる向上はみられず、却って延性が若干低下していた。
【0028】
Figure 0003874931
【0029】
Bを添加した鋼種番号20,21では、スポット溶接による熱影響部が粗粒化しておらず、0℃及び−30℃の耐二次加工割れ性で評価した低温靭性にも優れていた。
他方、Mg無添加の鋼種番号22では、B添加によって−30℃の耐二次加工割れ性は改善されているが、スポット溶接による熱影響部が粗粒化しており、突合せ溶接部の強度が低下していた。また、B無添加の鋼種番号23では、熱影響部の粗粒化は観察されなかったが、−30℃の耐二次加工割れ性に劣っていた。
【0030】
実施例3:
表1に掲げた鋼種番号1,14,20の鋼材を用い、熱延巻取り温度を550〜700℃の範囲で4水準変化させる以外は実施例2と同じ条件下で冷延鋼帯を製造した。得られた各冷延鋼帯から切り出された試験片を引張試験に供し、0.2%耐力,引張強さ,伸び及びランクフォード値を求めた。
表8の調査結果にみられるように、本発明で規定した巻取り温度よりも低い550℃で巻き取った鋼帯では、延性及びランクフォード値の双方が劣っていた。これに対し、本発明で規定した巻取り温度の条件を満足する鋼帯では、延性,伸び共に良好であった。また、延性,伸びは、巻取り温度が高くなるほど向上する傾向を示した。
【0031】
Figure 0003874931
【0032】
実施例4:
表1に掲げた鋼種番号1,14,20の鋼材を用い、連続焼鈍時に均熱温度を600〜900℃の範囲で4水準変化させる以外は実施例2と同じ条件下で冷延鋼帯を製造した。得られた各冷延鋼帯から切り出された試験片を引張試験に供し、0.2%耐力,引張強さ,伸び及びランクフォード値を求めた。
表9の調査結果にみられるように、本発明で規定した均熱温度よりも低い600℃で焼鈍した鋼帯では、再結晶が不十分なため、延性及びランクフォード値の双方が劣っていた。また、本発明で規定した均熱温度より高い900℃では、鋼帯が一旦γ域まで加熱されるため、延性及びランクフォード値の双方が劣っていた。これに対し、本発明で規定した均熱温度の条件を満足する鋼帯では、延性,伸び共に良好であった。
【0033】
Figure 0003874931
【0034】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の加工用鋼板は、微細なMgOを鋼中に分散させているので、加工性改善のためにC含有量を低減した鋼種であるにも拘らず、溶接熱影響部の結晶粒が粗大化することがなく、良好な溶接強度を呈する。また、橋梁等の大型構造材用の厚鋼板を大入熱溶接する場合にあっても熱影響部の粗粒化が防止され、良好な溶接強度をもつ溶接構造体が得られる。

Claims (5)

  1. C:0.0005〜0.010重量%,Si:0.02〜1.0重量%,Mn:0.1〜2.5重量%,P:0.005〜0.1重量%,S:0.02重量%以下,Mg:0.001重量%以上0.01重量%未満,Al:0.02重量%以下を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成で、1μm以下の微細なMgOが均一に分散析出した組織をもつ溶接部強度に優れた加工用鋼板。
  2. 更にTi及び/又はNbを合計で0.02〜0.10重量%含む請求項1記載の溶接部強度に優れた加工用鋼板。
  3. 更にB:0.0005〜0.005重量%を含む請求項1又は2記載の溶接部強度に優れた加工用鋼板。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の組成をもつスラブを仕上げ温度850℃以上,巻取り温度600〜750℃で熱間圧延することを特徴とする溶接部強度に優れた加工用鋼板の製造方法。
  5. 請求項1〜3の何れかに記載の組成をもつスラブを仕上げ温度850℃以上,巻取り温度600〜750℃で熱間圧延した後、酸洗及び冷延率50〜85%の冷間圧延を施し、更に均熱温度650〜880℃で連続焼鈍することを特徴とする溶接部強度に優れた加工用鋼板の製造方法。
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