JP3862831B2 - 超音波診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波診断装置に関し,特にパルスドプラ法による血流速分布表示機能を備えた医療用の超音波診断装置に関する。
【0002】
移動している物体により波動が反射する場合,ドプラ効果により反射波の周波数は入射波の周波数に対して偏移することが知られており,超音波診断装置においてもドプラ効果を応用して,生体内に照射した超音波ビームの反射波の周波数を解析することにより,生体内の移動体,例えば血管内を流れる血球の速度分布を知ることができる。ドプラ効果を利用するには血球の移動方向と超音波ビームの方向が直交しないように超音波を出力する方向を血球の移動方向に対し一定角度を持つようにする必要がある。
【0003】
【従来の技術】
図8は従来例1の説明図である。図8には従来の超音波診断装置のリニア形の超音波探触子(プローブ)90を被検体94の表面に接触して診断を行う例を示す。超音波探触子90にはアレイ状に並べられた複数(0〜Nの番号が付与された合計N+1個)の超音波振動子(トランスデューサ)91により構成される。診断制御部92はプローブ90へ超音波信号パルス(走査線)を発生するための高電圧パルスを出力する送信器及びプローブ90で受信した超音波信号の処理を行い2次元画像信号を発生し,画像信号はブラウン管等の表示部93に表示される。
【0004】
超音波信号は周波数が2MHz〜8MHzの程度で,繰り返し間隔が100μs〜1ms程度の超音波パルスとして出力され,被検体内を伝搬して生体内の組織で反射され,その反射された超音波を受信する。超音波診断装置では送信した超音波パルスと受信信号の時間差からその位置を検出し,多数の超音波振動子91からの信号のレベル等を処理することにより特定方向の生体内部の組織の情報を生成することができる。図8において,送受信の超音波ビームの方向を示す直線は走査線を表し,その方向は走査方向または走査線方向と呼ばれる。なお図8では説明の便宜上超音波振動子91の数と走査線の数を一致させているが,実際には両者は1対1に対応せず,超音波振動子91の個数の方が走査線線の数より多い(後述する図9,図10についても同様である)。
【0005】
超音波探触子90の各超音波振動子を位相が制御された高電圧パルスで駆動することにより,細く絞られた超音波ビームパルスを被検体内の任意の方向に送信することができる。同様に,複数の超音波振動子で受信した反射超音波信号の各々に適切な遅延時間を与えて,合成すれば,特定方向からの受信超音波信号に対して選択的な検出を行うことができる。このように送受信ともに鋭い指向性を持たせることで,超音波探触子から見た特定方向の生体内部の情報が得られる。
【0006】
そして,生体内に照射する送信超音波パルスの送信時刻から,反射超音波を受信するまでの時間差は,超音波振動子91と生体の接触面(体表位置)から生体内での超音波の反射部位までの距離に対応している。そのため,受信信号の振幅,位相,周波数等の情報を受信時刻と対応付けることにより,深さ方向に関連付けられた生体内部の情報が得られる。走査線の方向または位置,あるいは双方を,生体内のある平面でわずかずつ移動しながら,それぞれの走査線に対応する生体内部の情報を収集し,これらを合成して走査線が移動した(走査した)平面に対応する情報が得られる。
【0007】
従来の実用化されている多くの超音波診断装置では,受信信号の強度を輝度に対応付け,反射波の弱いところを暗く,反射波の強いところを明るく表示して生体内断面の組織的構造を2次元断層像としてブラウン管等の2次元表示装置の画面に写し出している。このような,生体内断面の組織的構造を2次元的に反映した表示は,B(ブライトネス)モードまたは2D(2次元)モードと呼ばれる。
【0008】
パルスドプラ法では,血流分布等を観測しようとする関心領域に向けて超音波ビームの送受信方向を固定して,その関心領域に対応する受信時間帯の信号のみを抽出する。この生体内の関心領域に合わせて血流の観測を行う狭い受信時間帯は通常,サンプルボリューム(SVで表示する場合もある),サンプル点等と呼ばれる。
【0009】
このサンプルボリュームSVにおける物体の速度分布はドプラ効果を利用して知ることができる。診断制御部92は超音波パルス送信後に図8のA.に示した距離Lに対応する時刻に受信時間帯(レンジゲートという)を設けて,その時間帯の受信信号からドプラ効果による物体の移動速度を求める。具体的にはサンプルボリュームSVから通常100点以上の時系列データを得て,FFT(高速フーリエ変換)等の数学的解析手法を用いて移動物体(血管内の血球等)の速度の分布状態を得る。
【0010】
ここでドプラ効果による,送信超音波の周波数と移動物体の速度による周波数偏移の関係を定量的に記述すると,次の式(1) が近似される。
Δf=2fc(v/C)cosθ (1)
ここで,Δfは受信超音波の偏移周波数,fcは送信超音波の周波数,vは移動物体の速度,Cは媒体中での音速,θは物体の移動方向に対する超音波の入射角である。
【0011】
この式から分かるように,ドプラ効果による周波数の偏移は,物体の移動方向と超音波の送受信方向のなす余弦に比例するものであり,超音波の送受信方向と平行に移動する物体の場合に最大になり,垂直方向に移動する物体の場合には最小(ゼロ)になる。
【0012】
低速で動く臓器等の組織による影響を除去し,血流によるドプラ偏移信号の分離を容易にするためには周波数の偏移は大きいことが望ましく,超音波ビームはなるべく小さな角度で血流方向に照射する必要がある。ところが,頸動脈のように体表下をほぼ体表に平行に走る血管などでは,超音波ビームと血流の方向は垂直方向に近くなるので,周波数の偏移は小さくドプラ偏移信号の検出は困難になる。
【0013】
このような体表下を平行に走る血管の血流を観測するためには,表在組織専用の探触子では探触子の表面(振動子の配列方向)に垂直な方向,以外の方向に超音波ビームの送受信方向を偏向させる機能(スラント機能と呼ばれる)を備えている。
【0014】
この様な場合,各超音波振動子91からの信号の位相を制御して体表面からの走査線を角度α(スラント角という,α≠0)だけ偏向させて超音波ビームを,図8のB.に示すように発生して観測する。
【0015】
図8のB.の観測時に,上記A.による観測の時に設定したサンプルボリュームSVの超音波ビームの水平位置(走査線識別番号iに対応)と垂直位置(距離Lに対応)を変えずに,偏向前(スラント角=0)と同じ数値を設定して観測を行うと,偏向前に設定されていたサンプルボリュームSVとは異なる位置SV’(体表面からの深さが浅くなる)に移動してしまい,同一の部位で血流状態の観測を続けようとする場合には,再度2次元断層像を参照してサンプルボリュームを設定することが必要となる。
【0016】
このような問題を解決するために,超音波ビームの偏向方向(スラント角)の変更に対してサンプルボリュームの位置が移動しないように,偏向方向を変更する前のサンプルボリュームの位置から,偏向方向を変更した後に設定すべき走査線識別番号と,サンプルボリュームまでの距離を求めて,変更に際して再設定を行い,偏向方向を変更した後にもサンプルボリュームの位置が動くことなく,同一部位で血流状態の観測を続けることができる手段が実用化されている。
【0017】
図9は上記の実用化された方法を説明する従来例2の説明図である。図9の90は超音波探触子(プローブ),91は超音波振動子,94は被検体を表し,サンプルボリュームSVを表す点は上記図8と同様である。
【0018】
図9のA.は超音波ビームを直下方向に向けた場合であるが,上記図8のA.と同様の手段により2次元断層像に重ねて表示されたサンプルボリュームを設定する手段により,観測しようとする部位にサンプルボリュームSVを設定すると,走査線識別番号iと,サンプルボリュームSVまでの距離Lが決定される。走査線識別番号iは,走査制御系の構成により,設定可能な走査線に対して順次付与した番号で0乃至N(Nは走査線識別番号の最大値)の値を取るものとする。設定可能な隣合う走査線間の距離をdとすると,超音波探触子90の表面での超音波ビームの照射位置はd×Nの範囲を移動させることができる。
【0019】
図9のB.は偏向方向を変えた後の状態を示すが,同一のサンプルボリュームSVを観測するために,偏向方向を変えた後は,走査線識別番号i’が用いられる。この図から明らかなように,偏向方向の偏向の前後の超音波ビームの照射位置,すなわち走査線識別番号iとi’に対応する照射位置同士の間隔Dは,
D=Ltan α
隣合う走査線間の距離はdであるから,次の関係により式(2) が成立する。
【0020】
D=(i−i’)d
(i−i’)=(L/d)tan α (2)
これにより,偏向方向を変えた後の走査線識別番号i’が得られる。また,探触子表面での超音波ビームの照射位置からサンプルボリュームまでの距離i’は次の式(3) で求められる。
【0021】
i’=L/cos α (3)
上記の説明では簡単のため直下方向から右方向にスラントした場合について述べたが,これ以外の方向の組み合わせに対しても,以上の説明及び導出した式は同様に成立する。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の超音波診断装置では,超音波ビームの偏向方向(スラント角)を変更する時に,上記した式(2) 及び式(3) によって得られる走査線識別番号i’と,サンプルボリュームまでの距離L’を用いて,サンプルボリュームの位置を設定することによって,偏向方向を変更した後にもサンプルボリュームの位置が動くことなく,同一の部位で血流状態の観測を続けることができる。
【0023】
ところが,超音波探触子とサンプルボリュームの位置関係によっては,スラント角αとして偏向した場合に,上記の方法によって同一サンプルボリュームの位置を確保できない場合が起こる。
【0024】
これを図10に示す従来の問題点説明図を用いて説明すると,図10のA.のように2次元断層像に重ねて表示されたサンプルボリュームSVが超音波振動子の端部に近い場所である場合,上記式(2) から求めたiは,i’<0となり,このような走査線は設定不可能である。すなわち,式(2) から求めたi’が次の式(4)
0≦i’≦N (4)
の範囲に収まらない場合には,偏向方向を変更した後にもサンプルボリュームの位置を動かすこと無く,同一のサンプルボリュームで血流状態の観測を続けることができないという問題があった。
【0025】
本発明は偏向方向を変えた時にサンプルボリュームの位置が走査範囲に収まらない場合に走査者に対し警告を発生することができる超音波診断装置を提供することを目的とする。また,本発明の他の目的は,走査範囲に収まらない時に補正を行って条件を変えてサンプルボリュームの近くを観測できることであり,更に本発明の別の目的はスラント機能による観測を試みた後に確実に元の垂直方向の観測に戻すことである。
【0026】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の第1の原理構成を示す。図1において,1はパルスドプラ機能を備えた診断装置,2はビームを偏向させた走査によるサンプルボリュームの観測の可否を判定する判定部,20は演算手段,21は判定手段,22は警告手段である。
【0027】
本発明の第1の原理は,偏向方向を変える前に診断装置1において2次元断層像内のサンプルボリュームSVの位置を設定する際に算出した走査線識別番号iと距離L(被検体の表面からの垂直距離)の値,及び装置の仕様に基づく走査線の間隔d等の数値を用いて,超音波ビームの偏向方向α(スラント角α)が指定された時に,演算手段20において次の式(2) (上記の式(2) と同じ) により偏向後に於いても元のサンプルボリュームの位置を通る走査線番号(走査線識別番号と同じ)i’を求める。
【0028】
(i−i’)=(L/d)tan α (2)
次にその走査線番号i’が超音波ビームの走査し得る範囲内に収まるか否かを判定手段21により判定する。判定手段21では走査線番号i’が式(4) を満足させるか否かを判定する。
【0029】
0≦i’≦N (4)
すなわち超音波探触子により発生できる走査線番号の最大値Nを越えず,非負の値である場合は,当該スラント角αによるサンプルボリュームSVの走査が可能と判定し,それ以外である時(i’がNより大または負数)は,スラント機能によるサンプルボリュームの走査ができない,すなわち走査不可と判定する。この場合,警告手段22を駆動して警告を発生して操作者に知らせる。警告手段22は,具体的には,「不可能」である旨のメッセージを表示手段(図示省略)の画面上に表示することで実現するか,ブザー等の「音」や,不可能である旨をのメッセージの音声により警告を出力する音声出力手段(図示省略)により実現することができる。
【0030】
図2は本発明の第2の原理構成である。図2において,2は上記図1と同じ判定部,3は補正部,4は補正された値により駆動される信号処理回路,5は走査線制御部である。
【0031】
この第2の原理構成では,判定部2により走査不可の判定結果が発生すると,補正部3において,次の▲1▼または▲2▼の何れかによる補正を行う。
▲1▼補正部3に対し,走査線番号を元の識別番号iに戻すと共に,その走査線番号iによる偏向方向αの走査線でサンプルボリュームSVと同じ垂直距離(L)の領域を観測するよう垂直距離を補正する。補正された値により信号処理回路4はドプラ信号を処理し,走査線制御部5は走査線番号iのスラント角αの走査線を制御する。こうして,被検体の表面から角度αの走査線上の距離L’(垂直距離ではない)に対応する時間の信号を観測することにより,元のサンプルボリュームSVと平行した(垂直距離が同じ),隣接する領域を観測することになり,被検体のサンプルボリュームSVと連続する部位の観測が可能となる。
【0032】
▲2▼補正部3に対し,上記の演算により求めた走査線番号i’を走査線が存在する範囲内の走査線番号に変更して,サンプルボリュームSVと表面との垂直距離を変えることなく,サンプルボリュームSVに最も近い領域を観測できる新たな走査線番号i’を設定し,偏向方向αの走査線上の距離L’に対応する時間の信号を観測するよう設定する(この場合,iはi=0又はi=Nとなる)。信号処理部4及び走査線制御部5は補正により設定された内容に応じた信号処理及び走査線の制御を行う。これにより,最初に設定したサンプルボリュームに最も近い偏向方向の走査線によりサンプルボリュームの近辺を観測することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
図3は本発明が実施される超音波診断装置の構成を示す。
図3において,5は超音波探触子(プローブ),50は多数設けられた超音波振動子,6は60〜691の各部から成る診断装置であり,60は診断装置の各回路の制御を行うと共に本発明によるパルスドプラのためのスラント機能の制御を行う制御部,61は送信ビーム形成回路,62は受信ビーム形成回路,63は走査線制御回路,64は受信信号処理回路,65はドプラ信号処理回路,66はドプラ処理回路65で処理された信号からサンプルボリューム内の移動物体(血球等)の速度分布を求めるドプラ解析回路,67は2次元断層像と血流分布の解析データを格納する画像メモリ,68は映像信号処理回路,690は超音波信号を各超音波振動子50へ出力する複数の回路から成る送信回路,691は各超音波振動子50で検出した超音波信号の反射信号を受け取る多数の回路から成る受信回路,7はCRT,液晶等の画像表示部,8はキーボード,マウス,トラックボール等を含む入力部,9は音声出力部である。
【0034】
走査線制御回路63は,入力部8からの入力や予め設定され走査線やスラント角が制御部60から指定されて走査線の制御データを発生し,送信ビーム形成回路61から超音波探触子5の各超音波振動子50に対応する送信回路690に適切な遅延時間を与え,送信用の高電圧パルスで。各超音波振動子50を駆動する。複数の超音波振動子50から放射された超音波は特定方向に強め合い,細く絞られた超音波ビームが生体内に照射される。生体内の組織からの反射超音波は超音波振動子50で受信され,受信回路691での前処理を経て,受信ビーム形成回路62で送信時と同様に,それぞれ適切な遅延時間を与えられ合成される。合成された受信信号は,受信信号処理回路64で深度に対する減衰補正等の信号処理を加えた後輝度情報に変換される。その輝度情報は画像メモリ67上に生体内の断面に対応した2次元平面上の輝度情報として展開され,映像信号処理回路68において使用する画像表示部7の仕様に合わせた映像信号を生成し,画像表示部7で2次元断層像として表示される。
【0035】
ドプラ効果を用いて血流情報を観測する場合は,ドプラ信号処理回路65により受信ビーム形成回路の出力からドプラ偏移信号を抽出してドプラ解析回路66で血流速度の分布状態を得る。血流速度の分布は画像メモリ67上で,時間の経過に対応付けられた表示形式に展開され,断面像と同様に画像表示部7に表示される。
【0036】
図4は偏向方向によるサンプルボリュームの測定の可否を判定する処理フローであり,上記図3の制御部60において実行される。
最初に,2次元断層像上でサンプルボリュームを設定する(図4のS1)。これは複数の超音波振動子により被検体内を照射して得られた信号を処理して,2次元断層像を画像表示部の画面上に表示し,その中から入力部8を操作することにより特定の部位(血管)にサンプルボリュームSVを設定する。次にこの指定されたサンプルボリュームSVの走査線識別番号iと距離Lを求める(同S2)。次にスラント角αに偏向した場合の走査線識別番号i’と距離L’を上記式(2) より求め(同S3),上記式(4) を満たす走査線識別番号i’があるか判定する(同S4)。存在した場合はスラント角αに偏向してi’とL’によるサンプルボリュームを設定する(同S5)。この場合は,サンプルボリュームの位置は不動で,観測を行うことができる。S4において存在しないと判定されると,スラント角αの偏向後に同一サンプルボリュームによる観測が不可能である旨の警告を出す(同S6)。
【0037】
上記図4の処理により警告が出力されると,図3の構成により制御部60で警告メッセージを発生する。このメッセージを表示させたい場合,メッセージの内容は映像信号処理回路68へ送られ,映像信号処理回路68で文字列に変換されて画像表示部7に表示される。また,メッセージを音声により操作者に伝えたい場合は,適切な音声信号を発生して,音声出力部9に出力する。
【0038】
図5乃至図7は本発明の第2の原理に対応する構成であり,スラント角αの偏向による同一サンプルボリュームの観測が不可能であるという警告が発生した場合に補正を行うための実施例の構成であり,上記図3に示す診断装置6の制御部60の内部の構成と関連する回路だけを示す。
【0039】
図5は垂直距離を補正する場合の実施例の構成である。
この場合,制御部60内の上記図4の処理フローを実行する判定部60aから観測不可能を表す信号が発生すると,垂直方向距離補正部60bが駆動される。
【0040】
ここでは,走査線番号(走査線識別番号と同じ)を元の番号iに設定し,スラント角αにした時,距離をLに設定すると,垂直距離がサンプルボリュームSVより上の位置になるため,上記の式(3) の解を用いて体表位置からサンプルボリュームまでの距離L’を垂直方向距離補正部60bで求めて,この補正値をドプラ信号処理回路65(図3参照)に供給することにより,サンプルボリュームSVと同じ垂直距離の部位のドプラ信号を抽出して処理を行うことができる。
【0041】
図6は走査可能な最近の走査線に補正する場合の実施例の構成である。
この実施例では,制御部60内の判定部60aから観測不可能を表す信号が発生すると,上記の図5の構成と同じように垂直方向距離補正部60bにより垂直方向距離の補正を行うと共に,走査線番号補正部60cが駆動される。走査線番号補正部60cは,水平方向の位置を元のサンプルボリュームに最も近くなるように,走査線を補正するもので,上記式(2) から求めたi’が,
i’<0の時は,i’=0
N<i’の時はi’=N
と走査線番号を設定する機能を備える。これは,走査可能な範囲で,元のサンプルボリュームに最も近い側の最も端の走査線を選択することを意味する。走査線番号補正部60cによって,走査線番号が走査線制御回路63(図3参照)に対して指示され,同時に上記垂直方向距離補正部60bにより垂直方向距離がドプラ信号処理回路65に指示される。
【0042】
図7は走査線を補正した観測後に偏向方向を戻すための実施例の構成である。
この図7の実施例では,上記の図6に示す構成により,走査線番号を補正して観測を行った後に,超音波ビームの偏向方向(スラント角)を元に戻すための構成を備えている。図7の60dはサンプルボリューム位置復元部であり,予め元のサンプルボリューム位置の情報(走査線番号iと垂直距離L)をここに格納しておく。この状態で,上記の図6と同じ垂直方向距離補正部60bと走査線番号補正部60cにより補正された垂直方向距離と走査線番号が求められ,それぞれドプラ信号処理回路65と走査線制御回路63に指示されて,観測動作が行われる。この観測の後,超音波ビームの偏向方向(スラント角α)を元に戻し(α=0にする),元のサンプルボリュームを走査する状態にする場合,サンプルボリューム位置復元部60dに設定されていた情報である走査線番号iと垂直距離Lが,それぞれ走査線番号補正部60cと垂直方向距離補正部60bに設定(補正)され,その値がそれぞれ走査線制御回路63とドプラ信号処理回路65に指示され,再度元の位置でサンプルボリュームの観測を行うことができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば超音波探触子からの超音波信号と直交する方向の血流の速度分布を求める場合に,スラントによる測定が不可能な場合に操作者に対し直ちに警告を発生することができる。またそのような場合に,自動的な補正によりサンプルボリュームの近辺または隣接する同じ垂直距離の領域を観察することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の原理構成を示す図である。
【図2】本発明の第2の原理構成を示す図である。
【図3】本発明が実施される超音波診断装置の構成図である。
【図4】偏向方向によるサンプルボリュームの測定の可否を判定する処理フローを示す図である。
【図5】垂直距離を補正する場合の実施例の構成を示す図である。
【図6】走査可能な最近の走査線に補正する場合の実施例の構成を示す図である。
【図7】走査線を補正した観測後に偏向方向を戻すための実施例の構成を示す図である。
【図8】従来例1の説明図である。
【図9】従来例2の説明図である。
【図10】従来の問題点の説明図である。
【符号の説明】
1 診断装置
2 判定部
20 演算手段
21 判定手段
22 警告手段
Claims (5)
- 複数の超音波振動子からなる超音波探触子から超音波ビームパルスを被検体内に繰り返し照射し被検体内からの反射波として得られた受信超音波を可視画像化して、被検体内の断層像を画像表示部に表示すると共に、被検体の断層像の対応する位置へ、パルスドプラ解析のサンプルボリュームを重ねて表示してそこからのドプラ偏移を受けた受信超音波から移動物の速度分布情報を得て前記表示部に表示し、さらにパルスドプラ解析のための超音波ビームの偏向方向を変える時に送信する超音波ビームの走査線番号と垂直距離の少なくとも一方を再度設定して前記サンプルボリュームと同一部位でパルスドプラ解析を行う機能を備えた超音波診断装置において、
偏向方向を変える前に設定されたサンプルボリュームの位置が、超音波ビームの偏向方向を変えた後に、超音波ビームの走査し得る範囲内に収まるか否かを判定する判定部と、
前記判定部から超音波ビームの走査し得る範囲内に収まらないことを表す出力の発生により駆動され,被検体の表面からサンプルボリュームまでの垂直方向の距離が変動しないようにサンプルボリュームの深さを補正する垂直方向距離補正部とを備えたことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1において、
前記判定部により収まらないことを表す出力によりその状態を操作者に知らせる警告手段を備えたことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項2において、
前記警告手段として、前記表示部の表示画面上に警告内容を表示する手段または警告音を発生する手段の何れかを備えることを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1において、
前記判定部から超音波ビームの走査し得る範囲内に収まらないことを表す出力の発生により駆動され、新たに設定されたサンプルボリュームの位置が超音波ビームの偏向方向を変える前の位置に最も近くなるように走査線識別番号を補正する走査線番号補正部を設けたことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項4において、
前記超音波ビームの偏向方向を変更する前の走査線識別番号及び垂直距離の情報を保存するサンプルボリューム位置復元部を設け、
前記超音波ビームの偏向方向を変えた後に超音波ビームの走査し得る範囲内にサンプルボリュームが収まらない場合、超音波ビームの偏向方向を以前の方向に戻す操作により前記サンプルボリューム位置復元部の情報を用いてサンプルボリュームの位置を超音波ビームの偏向方向を変更する以前に設定されていた位置に復元することを特徴とする超音波診断装置。
Priority Applications (1)
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JP28100197A JP3862831B2 (ja) | 1997-10-15 | 1997-10-15 | 超音波診断装置 |
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