JP3861210B2 - 緩衝器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、伸長ストロークに応じて強弱の二段となる引張力を発揮する緩衝器の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、図3および図4に示すように、競技場の客席Gを覆う屋根を外形を長円や楕円とする環状やドーナッツ形状に形成されたシート屋根Sで形成すると共に、このシート屋根Sの内周端を一体に連結するテンションリングTに連結の吊りワイヤW1および押さえワイヤW2を固定側たる柱Pに連繋することでシート屋根Sの展張状態を維持するとの提案があるが、この種の提案にあっては、吊りワイヤW1および押さえワイヤW2を所定の引張力を発揮する緩衝器Dの配在下に柱Pに連繋してシート屋根Sが風などでいたずらに揺れることを阻止するとしている。
【0003】
そして、この場合の緩衝器Dは、シート屋根Sが弱い風で揺れる場合だけでなく、強風で揺れる場合や積雪などによる過大な負荷がシート屋根Sに作用する場合を想定して、強弱の二段となる引張力を発揮するように設定されてなるとしている。
【0004】
たとえば、図3に示す緩衝器Dは、テレスコープ型に形成されていて、アキュムレータAによるガスばね効果で収縮方向に附勢されてなるとするもので、小さい外力作用によって小さいストロークで伸長されるいわゆる一段目の伸長作動時には低いガスばね効果による弱い引張力を発揮し、大きい外力作用によって大きいストロークで伸長されるいわゆる二段目の伸長作動時には高いガスばね効果による強い引張力を発揮するように設定されている。
【0005】
すなわち、この緩衝器Dは、柱Pなどの固定側に連結されるシリンダ体1内にラム型に設定の中空ロッド2が出没可能に挿通されると共に、この中空ロッド2内にシート屋根Sなどの屋根側に連結されるロッド体3が出没可能に挿通されてなるとしている。
【0006】
そして、シリンダ体1の内周と中空ロッド2の外周との間に三つのシリンダ内油室R1,R2,R3が区画されると共に、中空ロッド2の内周とロッド体3の外周との間に一つのロッド内油室R4が区画されてなるとし、特に、シリンダ内油室R1とロッド内油室R4が外部に配在のアキュムレータAに連通されることでガスばね効果による引張力が発揮されるとしている。
【0007】
ちなみに、シリンダ内油室R1は、シリンダ体1の内周に形成されて中空ロッド2の外周を摺接させる縮径部1aと中空ロッド2の先端部を形成するピストン2aとで区画されていて、外部の油通路L1を介して上記のアキュムレータAに連通するとしている。
【0008】
また、シリンダ内油室R2は、上記の縮径部1aと中空ロッド2の外周に形成されてシリンダ体1の内周に摺接するランド部2bとで区画されていて、外部の油通路L2に連通するとしている。
【0009】
そして、シリンダ内油室R3は、上記のランド部2bとシリンダ体1の開口端部を形成するキャップ1bとで区画されていて、外部の油通路L3に連通するとしている。
【0010】
さらに、ロッド内油室R4は、中空ロッド2の内周に形成されてロッド体3の先端部を摺接させる縮径部2cと中空ロッド2の開口端部を形成するキャップ2dとで区画されていて、外部の油通路L4を介して上記のアキュムレータAに連通するとしている。
【0011】
そしてさらに、上記のシリンダ内油室R2とシリンダ内油室R3は、受圧面積を同一にするように設定されてなると共に、この各油室R2,R3に連通する油通路L2,L3中には、それぞれダンピング目的の減衰部Oが配在されてなるとし、また、この各油通路L2,L3は、それぞれアキュムレータAに連通されてなるとしている。
【0012】
なお、この緩衝器Dにあっては、中空ロッド2におけるピストン2aがシリンダ体1内を摺動することでこのピストン2aとシリンダ体1のボトム端部を形成するボトム部材1cとの間に空気室となる容室(符示せず)を出現させるとしており、この容室は、ボトム部材1cに開穿の連通孔1dを介して大気に連通するとしている。
【0013】
また、この緩衝器Dにあっては、中空ロッド2内において、ロッド体3が摺動することでこのロッド体3の先端と上記のピストン2aとの間に同じく空気室となる容室(符示せず)を出現させるとしており、この容室は、上記のピストン2aの軸芯部に開穿の透孔2eを介して上記のシリンダ体1内の容室に連通するとしている。
【0014】
そして、この緩衝器Dにあっては、ロッド体3において段差部3aを有してなるとしており、ロッド体3が中空ロッド2内から抜け出るようになる伸長作動時にこの段差部3aが中空ロッド2の開口端部たるキャップ2dに突き当たることでロッド体3の所定のストローク以上の伸長作動が制限されるとしている。
【0015】
さらに、この緩衝器Dにあっては、中空ロッド2がシリンダ体1から抜け出るようになる伸長作動時に中空ロッド2の先端部たるピストン2aがシリンダ体1の内周に形成の前記の縮径部1aに突き当たることで中空ロッド2の所定のストローク以上に伸長作動が制限されるとしている。
【0016】
ちなみに、図3は、この緩衝器Dが外力作用を受けずして最収縮された状態にあるときを示している。
【0017】
それゆえ、以上のように構成されたこの従来例としての緩衝器Dにあっては、シリンダ体1が固定側に連結されている状態下に屋根側に連結されているロッド体3が外力作用でシリンダ体1側から抜け出るようになる伸長作動時には、最初にいわゆる一段目の動作としてロッド体3が中空ロッド2内から抜け出るようになる。
【0018】
そして、このときには、ロッド内油室R4からの油がアキュムレータAに流入することになり、したがって、アキュムレータAによるガスばね効果が発揮されて、この緩衝器Dがいわゆる一段目の弱い引張力を発揮することになる。
【0019】
つぎに、上記の外力作用が大きく、したがって、ロッド体3が中空ロッド2内から大きいストロークで抜け出るようになる伸長作動時には、ロッド体3の段差部3aが中空ロッド2の開口端部たるキャップ2dに当接されるから、いわゆる二段目の動作として中空ロッド2がシリンダ体1内から抜け出るようになる。
【0020】
そして、このときには、シリンダ内油室R1からの油も外部たるアキュムレータAに流入することになり、したがって、アキュムレータAによるさらなるガスばね効果、すなわち、先のガスばね効果に累積された大きいガスばね効果が発揮されて、この緩衝器Dがいわゆる二段目の強い引張力を発揮することになる。
【0021】
なお、上記した外力作用が解除される場合には、緩衝器Dが収縮作動するのはもちろんであり、また、特に、緩衝器Dの二段目の伸縮時には、シリンダ内油室R2とシリンダ内油室R3との間で油の流出入があるので、このときには、油が減衰部Oを通過することによる所定のダンピング作用たる減衰作用が発揮されることになる。
【0022】
その結果、上記の緩衝器Dによれば、小さいストロークで伸長される場合には低いガスばね効果による弱い引張力が発揮されると共に、大きいストロークで伸長される場合には高いガスばね効果による強い引張力が発揮されることになり、シート屋根Sが弱風で揺れることだけでなく、シート屋根Sが強風で揺れることをも減衰作用を伴いながら効果的に阻止し得ることになる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の緩衝器Dにあっては、内部構造的に看て強弱の二段の引張力を発揮し得るのはともかくとして、外部構造的に看ると恒久的な耐久性を保障し難くなると指摘される可能性がある。
【0024】
すなわち、上記の緩衝器Dにあっては、屋根側に連結のロッド体3を出没可能に挿通させる中空ロッド2が固定側に連結のシリンダ体1に対して出没可能に挿通されてなるとするから、この中空ロッド2内に区画されるロッド内油室R4に連通する油通路L4は、シリンダ体1内に区画されるシリンダ内油室R1,R2,R3に連通する油通路L1,L2,L3とは異なり、柔軟性に富む構造に設定される必要がある。
【0025】
その結果、各油通路L1,L2,L3が鋼管などを利用して言わば固定的な構造に設定されて恒久的な耐久性を容易に保障し得るのに比較して、油通路L4における恒久的な耐久性を保障し難くなり、したがって、油通路L4における恒久的な耐久性を保障し得ないことが、結果的には、緩衝器Dの恒久的な耐久性を保障し得ないことに繋がることになる。
【0026】
一方、油通路L4を柔軟性に富む構造に設定しないためには、たとえば、アキュムレータAを二つに設定して、一方のアキュムレータAを言わば固定的な構造に設定の油通路L1,L2,L3に連通するのに対して、他方のアキュムレータAをロッド内油室R4に連通させるべく直接中空ロッド2に連設するとの提案を
し得る。
【0027】
しかし、この場合には、他方のアキュムレータAが緩衝器Dに直接連設される態様になるから、緩衝器Dが言わば嵩張る傾向になり、その限りではこの緩衝器Dの所定位置への配備性を低下させ易くする不利がある。
【0028】
この発明は、上記した事情を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、たとえば、シート屋根Sを固定側に連繋する緩衝器Dであって、強弱の二段となる引張力を発揮するのはもちろんのこと、所定位置への配備性を低下させずして恒久的な耐久性を保障し得て、その汎用性の向上を期待するのに最適となる緩衝器Dを提供することである。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、この発明による緩衝器の構成を、固定側に連結されるシリンダ体と、このシリンダ体内に出没可能に挿通されて屋根側に連結されるロッド体と、このロッド体の先端部に連設されてシリンダ体内に摺動可能に収装されるメインピストンとを有してなる緩衝器であって、シリンダ体内に配在されて軸芯部にロッド体を挿通させるシリンダ部材と、このシリンダ部材内に摺動可能に収装されながらロッド体に保持されてこのシリンダ部材内に同一の受圧面積を有する二つの油室を区画するサブピストンと、シリンダ体内に摺動可能に収装されてシリンダ部材との間に第一の油室を区画しながら軸芯部にロッド体を挿通させるフリーピストンとを有してなり、メインピストンが大気に連通する容室を区画しながらフリーピストンとの間に第二の油室を区画すると共に、この第二の油室と第一の油室がシリンダ体に接続のそれぞれの油通路を介して外部に配在のアキュムレータに連通されてなり、かつ、メインピストンが所定の伸長ストローク以上に摺動するときにこのメインピストンの摺動に連れてフリーピストンが摺動すると共に、シリンダ部材内にサブピストンで区画される二つの油室が減衰部を介して連通されてなるとする。
【0030】
それゆえ、屋根側に連結のロッド体が固定側に連結のシリンダ体内から抜け出るようになる伸長作動時には、メインピストンがシリンダ体内を摺動すると共にサブピストンがシリンダ部材内を摺動する。
【0031】
このとき、ロッド体の伸長ストロークが小さい場合には、メインピストンの摺動によってこのメインピストンとフリーピストンとの間に区画の第二の油室の油がアキュムレータに流入することになり、したがって、アキュムレータによる所定のガスばね効果が発揮されて、この緩衝器Dがいわゆる一段目の引張力を発揮することになる。
【0032】
そして、このときには、シリンダ部材内においてサブピストンが摺動することから、このサブピストンが区画する二つの油室間において油の流出入が発現されることになり、その際に油が減衰部を通過することで所定のダンピング作用たる減衰作用が発揮されることになる。
【0033】
一方、ロッド体の伸長ストロークが大きい場合には、メインピストンの摺動にに連れてフリーピストンが摺動することになり、このフリーピストンの摺動によってこのフリーピストンとシリンダ部材の間に区画の第一の油室の油がアキュムレータに流入することになり、したがって、アキュムレータによる所定のガスばね効果が発揮されて、この緩衝器Dがさらなる引張力、すなわち、二段目の引張力を発揮することになる。
【0034】
そして、このときにも、シリンダ部材内においてサブピストンが摺動することから、このサブピストンが区画する二つの油室間において油の流出入が発現されることになり、その際に油が減衰部を通過することで所定のダンピング作用たる減衰作用が発揮されることになる。
【0035】
上記した構成にあって、より具体的には、アキュムレータが第一の油室と第二の油室のそれぞれに独立して連通する二つに設定されるとするのが良く、この場合には、それぞれのアキュムレータにおけるガスばね効果を独立に設定し得て、いわゆる一段目の引張力と二段目の引張力を適正に設定し得ることになる。
【0036】
また、上記した構成にあって、より具体的には、シリンダ部材内にサブピストンで区画される二つの油室間に配在される減衰部は、これがアキュムレータと同様にいわゆる外部に配在されてなるとしても良く、また、シリンダ体の開口端部を構成するキャップ部分およびシリンダ部材部分などのいわゆる内部に配在されてなるとしても良い。
【0037】
そして、減衰部が外部に配在される場合には、発生する減衰力の大きさを自由に設定できることになり、減衰部が内部に配在される場合には、緩衝器D全体の嵩張りを回避できることになる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下に、図示したところに基づいて、この発明を説明するが、この発明による緩衝器Dも前記した従来の緩衝器Dと同様に、たとえば、シート屋根Sなどからなる屋根側を柱Pなどからなる固定側に連繋するために利用されるとしており、図1に示すように、固定側に連結されるシリンダ体10と、このシリンダ体10内に出没可能に挿通されて屋根側に連結されるロッド体20と、このロッド体20の先端部に連設されてシリンダ体10内に摺動可能に収装されるメインピストン30とを有してなる。
【0039】
上記のシリンダ体10は、図示するところでは、図1中で右側端となるボトム端がボトム部材11で閉塞されており、このボトム部材11には、メインピストン30との間でシリンダ体10内に区画される空気室としての容室aを大気に連通させる透孔11aが開穿されている。
【0040】
そして、このシリンダ体10にあっては、図1中で左側端となる開口端がキャップ12で封止されており、このキャップ12の軸芯部には、ロッド体20が液密状態下に挿通されている。
【0041】
上記のロッド体20は、図示するところでは、これが後述するサブピストン50を保持することから二本の分割ロッド体20a,20bを連結することで一本化されてなるとするが、サブピストン50を保持を可能にする限りには、いわゆる一本物で形成されても良いことはもちろんである。
【0042】
また、このロッド体20は、その径が同一に設定されていて、断面積が異なるいわゆる圧力差を生じることがないように配慮している。
【0043】
上記のメインピストン30は、図示するところでは、適宜の肉厚の筒状に形成されてストッパとして機能するカラー部材31の介在下にロッド体20の先端部に連設されている。
【0044】
なお、このメインピストン30は、図1中で右側となる背後側に上記の容室aを区画するが、その一方で、図1中で左側となる受圧面側に後述するフリーピストン60との間で同じく後述する第二の油室R8を区画している。
【0045】
また、上記のカラー部材31は、これがストッパとして機能するが、このことについては後述する。
【0046】
一方、この緩衝器Dにあっては、シリンダ体10内に配在されて軸芯部にロッド体20を挿通させるシリンダ部材40と、このシリンダ部材40内に摺動可能に収装されながらロッド体20に保持されてこのシリンダ部材40内に同一の受圧面積を有する二つの油室R5,R6を区画するサブピストン50とを有してなるとしている。
【0047】
上記のシリンダ部材40は、図1中で左側を上端側に仮定するときに、有底円筒状に形成されてなるとするもので、底部41の軸芯部にロッド体20を液密状態下に挿通させてなると共に、筒状部42の図1中で左端となる上端が前記したキャップ12で閉塞されてなるとしている。
【0048】
なお、図示するところでは、シリンダ部材40の上下端部の外周には、適宜の肉厚の環状に形成のスペーサ部材43,44がこのシリンダ部材40を上下方向から挟持するように介装されていて、図1中で右側となる言わば下方のスペーサ部材44がシリンダ体10の内周に形成された段差部10aに係止された状態での前記のキャップ12の所定位置への螺着でこのシリンダ部材40が所定位置に定着されるとしている。
【0049】
上記のサブピストン50は、前記したロッド体20が二本の分割ロッド体20a,20bを連結、すなわち、螺合して一本化されるときに、言わば間に挟持される状態にしてロッド体20に保持されてなるとしている。
【0050】
それゆえ、このサブピストン50は、ロッド体20がシリンダ体10に対して出没されるときにシリンダ部材40の筒状部42内を摺動することになり、この摺動のときに二つの油室R5,R6を広狭させることになる。
【0051】
そして、この二つの油室R5,R6が広狭されるときには、その際の油が後述する外部に配在の減衰部70を通過することになり、したがって、この減衰部70を油が通過することによるダンピング作用たる減衰作用が発現されることになる。
【0052】
そのため、各油室R5,R6を外部の減衰部70に連通させるべく、シリンダ部材40の筒状部42には、連通孔42a,42bが開穿されており、スペーサ部材43,44には、ポート43a,44aが開穿されており、シリンダ体10には、連通孔10b,10cが開穿されてなるとしており、さらには、このシリンダ体10における連通孔10b,10cに減衰部70を配在させる油通路L5が連通されてなるとしている。
【0053】
なお、油通路L5は、これが固定側となるシリンダ体10に接続されてなるとするから、これを鋼管を利用するなどして言わば固定型に構成することが可能になるのはもちろんである。
【0054】
さらに、この緩衝器Dにあっては、シリンダ体10内に摺動可能に収装されてシリンダ部材40との間に第一の油室R7を区画しながら軸芯部にロッド体20を挿通させるフリーピストン60を有してなる一方で、メインピストン30がシリンダ体10内に大気に連通する容室aを区画しながらフリーピストン60との間に第二の油室R8を区画するとしている。
【0055】
そして、上記の第一の油室R7および第二の油室R8は、シリンダ体10に開穿の連通孔10d,10eを介して、およびこの各連通孔10d,10eに接続のそれぞれの油通路L6,L7を介して外部に配在のそれぞれのアキュムレータA1,A2に連通されてなるとしている。
【0056】
ちなみに、上記の油通路L6,L7は、これが固定側となるシリンダ体10に接続されるから、これらを鋼管を利用するなどして言わば固定型に構成することが可能になり、したがって、前記した従来例の場合のように柔軟性に富むように構成しなくて済み、その結果、この油通路L6,L7における恒久的な耐久性を保障し得えて、結果として、この緩衝器Dにおける恒久的な耐久性を保障し得ることになる。
【0057】
上記のフリーピストン60は、第一の油室R7側に対面する上面を平坦にする一方で、第二の油室R8に対面する下端面に環状に形成の凸部60aを有してなるとしており、この凸部60aを除く外周側がシリンダ体10のボトム側の内周に形成の段差部10fに係止されることでそのいわゆる下降方向への摺動が阻止されるように設定されている。
【0058】
このとき、上記の段差部10fの内周には環状凹部10gが形成されていて、フリーピストン60の凸部60aが段差部10fの内周側に臨在されるときに環状凹部10gによるいわゆるクッション効果が得れるように配慮されている。
【0059】
一方、このフリーピストン60は、言わば背後側にあるメインピストン30が所定の伸長ストローク以上に摺動するときにこのメインピストン30の摺動に連れて摺動するように設定されていて、これが前記したシリンダ部材40の底部41およびスペーサ部材44に当接されることでそれ以上の摺動が阻止されるように設定されている。
【0060】
ちなみに、このフリーピストン60がメインピストン30の摺動に連れて摺動するときには、メインピストン30に隣設の筒状に形成のカラー部材31の先端がフリーピストン60の凸部60aの内周に環状に形成の凹部60bに嵌合する状態に当接されるとしており、これによって、いわゆる油孔桿原理によるクッション効果が得られるとしている。
【0061】
ところで、前記したように、この緩衝器Dにあっては、シリンダ部材40内にサブピストン50で区画される二つの油室R5,R6は、外部に配在の減衰部70を介して連通されてなるとしているが、この減衰部70は、二つの油室R5,R6間における整流のためのチェック弁71,72,73,74およびチェック弁71,73にそれそれ並列する絞り75,76を有してなる。
【0062】
また、この減衰部70は、チェック弁71,72および絞り75からなる油室R5側とチェック弁73,74および絞り76からなる油室R6側との間に絞り77を有してなるとしている。
【0063】
それゆえ、この減衰部70にあっては、油がここを通過するときにバルブ75,76が主たる減衰作用を実現する一方で、絞り77が二つの油室R5,R6に発現されることがある油圧の籠りを解消し得ることになる。
【0064】
以上のように構成されたこの発明による緩衝器Dは、以下のように作動することになる。
【0065】
すなわち、シリンダ体10が固定側に連結されている状態下に屋根側に連結されているロッド体20が外力作用でシリンダ体10側から抜け出るようになる伸長作動時には、まず、いわゆる一段目の動作としてロッド体20に連設のメインピストン30がシリンダ体10内で摺動して第二の油室R8の油を油通路L7を介してアキュムレータA2に流入させることになり、したがって、このときに、アキュムレータA2によるガスばね効果が発揮されて、この緩衝器Dがいわゆる一段目の弱い引張力を発揮することになる。
【0066】
一方、メインピストン30がシリンダ体10内で摺動するときには、ロッド体20に保持されているサブピストン50がシリンダ部材40内を摺動することになる。
【0067】
その結果、このシリンダ部材40内にサブピストン50によって区画される油室R5の油が外部の減衰部70を通過して同じくシリンダ部材40内にサブピストン50によって区画されるいわゆる反対側の油室R6に流入することになり、したがって、油が減衰部70を通過することによるダンピング作用で所定の減衰作用が発揮されることになる。
【0068】
なお、上記の一段目の伸長作動を招来させる外力が小さいがゆえに、ダンピング作用を不要にしても良い場合には、図1中に仮想線図で示すように、シリンダ部材40の筒状部42の内周に不感帯を設けるべく油がサブピストン50を迂回する適宜の長さの切欠溝42cを設けるとしても良い。
【0069】
つぎに、上記の外力作用が大きく、したがって、ロッド体20がシリンダ体10内から大きいストロークで抜け出るようになる伸長作動時には、メインピストン30がフリーピストン60に当接してフリーピストン60を摺動させながら伸側方向に摺動することになる。
【0070】
その結果、フリーピストン60は、メインピストン30の摺動につれてシリンダ体10内を摺動して第一の油室R7の油を油通路L6を介してアキュムレータA1に流入させることになり、したがって、このときに、アキュムレータA1によるガスばね効果が発揮されることになる。
【0071】
そして、このときには、この緩衝器Dにおいて、先にアキュムレータA2のガスばね効果による一段目の引張力が発揮されているから、上記のアキュムレータA1のガスばね効果による引張力は、一段目の引張力に累積された引張力として具現化されることになり、したがって、言わば二段目の強い引張力を発揮することになる。
【0072】
そして、このときにも、サブピストン50がシリンダ部材40内を摺動することになるから、このシリンダ部材40内の油室R5の油が外部の減衰部70を通過して言わば反対側の油室R6に流入することになり、したがって、油が減衰部70を通過することによるダンピング作用で所定の減衰作用が発揮されることになる。
【0073】
なお、上記した外力作用が解除される場合には、第一の油室R7および第二の油室R8にそれぞれのアキュムレータA1,A2からの油が戻されて、この緩衝器Dが収縮作動することになるのはもちろんである。
【0074】
その結果、上記の緩衝器Dによれば、小さいストロークで伸長される場合には低いガスばね効果による弱い引張力が発揮されると共に、大きいストロークで伸長される場合には高いガスばね効果による強い引張力が発揮されることになり、屋根側が弱風で揺れる場合だけでなく強風で揺れる場合にも減衰作用を伴いながら効果的にそれぞれの揺れを阻止し得ることになる。
【0075】
図2は、この発明による他の実施の形態の緩衝器Dを示すものであるが、この実施の形態にあっては、いわゆるダンピング作用を具現化する部分に改変を施したものであり、その他の構成は、前記した図1に示す実施の形態の場合と同様である。
【0076】
それゆえ、その構成が前記した実施の形態の場合と同様となるところについては、図中に同一の符号を付するのみとして、要する場合を除き、その詳しい説明を省略し、以下には、この実施の形態において特徴となるところを中心に説明する。
【0077】
すなわち、この図2に示す緩衝器Dにあっては、シリンダ体10内に配在されるシリンダ部材40が下端外周に鍔部45を有する有底円筒状に形成されてなるとし、この鍔部45の外周端がシリンダ体10の内周に形成の段差部aに係止された状態で所定位置に定着されてなるとしている。
【0078】
そして、減衰部70(図2中に符示せず)は、前記した実施の形態の場合と異なり、緩衝器Dの内部に配在されてなるとするもので、図示するところでは、シリンダ体10の開口端を閉塞するキャップ12部分と上記のシリンダ部材40における底部41と鍔部45とを跨がる部分に、設けられているとしている。
【0079】
すなわち、油室R5からの油の流出を阻止するチェック弁71とこれに並列する絞り75がキャップ12部分に配在され、油室R6からの油の流出を阻止するチェック弁73とこれに並列する絞り76が底部41と鍔部45とを跨がる部分に配在されてなるとしている。
【0080】
そして、上記の絞り75,76は油室における油室R5,R6における圧籠りを阻止するために配在されている。
【0081】
一方、サブピストン50に設けられた絞り77は、油室R5,R6間の油の流通時に所定の大きさの減衰力を発生させるためのものである。
【0082】
ちなみに、チェック弁71,73のいわゆる上流側は、シリンダ部材40の筒状部42の外周とシリンダ体10の内周との間に出現される空部たる油室R9に連通していて、この油室R9は、シリンダ体10に開穿の連通孔10hを介して油通路L5に連通している。
【0083】
それゆえ、この実施の形態による場合には、減衰部70が外部に配在されないから、その分この緩衝器Dのコンパクト化が実現可能になり、この緩衝器Dの所定位置への配備性を向上させることになる。
【0084】
なお、この実施の形態にあっても、油通路L5はもちろんのこと、油通路L6,L7が鋼管を利用するなどして言わば固定型に構成されるから、この油通路L6,L7における恒久的な耐久性を保障し得えて、結果として、この緩衝器Dにおける恒久的な耐久性を保障し得ることになる。
【0085】
前記したところは、この発明による緩衝器Dがシート屋根Sを柱Pに連繋するものとして説明したものであるが、この発明の意図するところからすれば、たとえば、ワイヤで構成される吊り橋を架ける際の利用を可能にし、また、その際にこの緩衝器Dが機能するところに差異がなく、同様の作用効果が得られるのはもちろんである。
【0086】
【発明の効果】
以上のように、この発明にあっては、小さいストロークで伸長される場合には低いガスばね効果による弱い引張力が発揮されると共に、大きいストロークで伸長される場合には高いガスばね効果による強い引張力が発揮されることになり、屋根が弱風で揺れる場合だけでなく強風で揺れる場合にも減衰作用を伴いながら効果的にそれぞれの揺れを阻止し得ることになる。
【0087】
このとき、この発明にあっては、ガスばね効果を発揮するアキュムレータに接続される油通路がこの緩衝器において固定側とされるシリンダ体に接続されるから、これらを鋼管を利用するなどして固定型に構成することが可能になり、したがって、従来の場合のように柔軟性に富むように構成しなくてむことから、油通路における恒久的な耐久性を保障し得えて、結果として、この緩衝器における恒久的な耐久性を保障し得ることになる。
【0088】
また、この発明にあって、アキュムレータが第一の油室と第二の油室のそれぞれに独立して連通する二つに設定される場合には、それぞれのアキュムレータにおけるガスばね効果を独立に設定し得て、いわゆる一段目の引張力と二段目の引張力を適正に設定し得ることになると共に、アキュムレータが一つとされていわゆる共用される場合に比較して、アキュムレータの耐久性が向上される点で有利となる。
【0089】
そして、この発明にあって、減衰部がアキュムレータと同様にいわゆる外部に配在されるとする場合には、減衰部において発生する減衰力の大きさを自由に設定できる点で有利となり、これに代えて、減衰部がいわゆる内部に配在されてなるとする場合には、緩衝器D全体の嵩張りを回避できる点で有利となる。
【0090】
その結果、この発明によれば、たとえば、屋根側を固定側に連繋する場合にあって、強弱の二段となる引張力を発揮するのはもちろんのこと、所定位置への配備性を低下させずして恒久的な耐久性を保障し得て、その汎用性の向上を期待するのに最適となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態による緩衝器を示す概略縦断面図である。
【図2】この発明の他の実施の形態による緩衝器を図1と同様に示す図である。
【図3】シート屋根を有する競技場を示す概略斜視図である。
【図4】シート屋根が緩衝器の配在下に柱に連繋されている状態を示す概略縦断面図である。
【図5】図4に示す従来例としての緩衝器を図1と同様に示す図である。
【符号の説明】
10 シリンダ体
20 ロッド体
30 メインピストン
40 シリンダ部材
50 サブピストン
60 フリーピストン
70 減衰部
A1,A2 アキュムレータ
D 緩衝器
L5,L6,L7 油通路
P 固定側を構成する柱
R5,R6 油室
R7 第一の油室
R8 第二の油室
S 屋根側を構成するシート屋根
Claims (1)
- 固定側に連結されるシリンダ体と、このシリンダ体内に出没可能に挿通されて屋根側に連結されるロッド体と、このロッド体の先端部に連設されてシリンダ体内に摺動可能に収装されるメインピストンとを有してなる緩衝器であって、シリンダ体内に配在されて軸芯部にロッド体を挿通させるシリンダ部材と、このシリンダ部材内に摺動可能に収装されながらロッド体に保持されてこのシリンダ部材内に同一の受圧面積を有する二つの油室を区画するサブピストンと、シリンダ体内に摺動可能に収装されてシリンダ部材との間に第一の油室を区画しながら軸芯部にロッド体を挿通させるフリーピストンとを有してなり、メインピストンが大気に連通する容室を区画しながらフリーピストンとの間に第二の油室を区画すると共に、この第二の油室と第一の油室がシリンダ体に接続のそれぞれの油通路を介して外部に配在のアキュムレータに連通されてなり、かつ、メインピストンが所定の伸長ストローク以上に摺動するときにこのメインピストンの摺動に連れてフリーピストンが摺動すると共に、シリンダ部材内にサブピストンで区画される二つの油室が減衰部を介して連通されてなることを特徴とする緩衝器
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- 1998-05-22 JP JP15835498A patent/JP3861210B2/ja not_active Expired - Fee Related
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