JP3855198B2 - 杭基礎構造物の耐震補強構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は杭基礎構造物の耐震補強構造に係り、既設あるいは新設の構造物の杭基礎に対して鉛直荷重の増加を生じさせることなく、地震時に既設杭に作用する水平力を低減させることのできる杭基礎構造物の耐震補強構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
高架橋の橋脚の杭基礎構造等では、設計当初の構造物重量及び地震時荷重に対して十分な耐力と靱性が確保できるように構造設計が行われ、基礎フーチングの寸法、杭径、本数等の諸元が決定されているが、供用後に従前より厳しく耐震設計基準が改正されたり、上部工の増設等により設定荷重が増加した場合、杭基礎構造における所要の地震時耐力等の確保が困難となる場合がある。
【0003】
このような場合に対して既設構造物基礎では既存構造に付加するかたちで各種の耐震補強が行われている。図14〜図16は従来の基礎構造物の耐震補強構造の一例を示した一部断面図である。図14は、既設フーチング50の外周を囲むように増設フーチング51を一体化させた増し杭構造による耐震補強構造の一例を示している。この増し杭構造では、既設杭52と同等耐力の新設杭53を打設するとともに、杭頭を固定するための増設フーチング51が既設フーチング50の側面に多数のアンカー筋等のせん断負担材54を介して一体的に接合されている。これにより既設部に加え、新設杭53及び一体的に拡幅されたフーチング50,51により鉛直荷重、地震時の水平荷重を負担するようになっている。
【0004】
図15は、増設フーチング51の下方の地中部に、既設杭52の杭頭周囲を囲むように地中連続壁55を造成した耐震補強構造の一例を示している。この耐震補強構造では同図に示したように、既設杭52を囲むように、増設フーチング51と一体的に造成された地中連続壁55が地震時に作用する水平方向力を負担し、地中連続壁55で囲まれた地盤内に位置する既設杭52の杭頭への水平方向力の作用を低減できるようになっている。
【0005】
これらの耐震補強構造例では、構造物に作用する水平力を新設杭や地中連続壁に伝達するため、杭や地中連続壁を既存のフーチングと剛結する必要があるため、多数のアンカー等を介して拡幅部の増設フーチングを既設フーチングに一体化させる必要があり、煩雑な増設工事を要する。また、増設フーチングによる基礎平面が拡幅されるため、土地の制限を受ける場合がある。さらに新設杭、地中連続壁の施工に、大型の施工機械が必要となり、特に高架橋下などのように工事のための架空制限を受ける場所では適切な施工ができないこともある。また、図15に示した地中連続壁では、地中連続壁が構造上十分な鉛直支持力を有しないため、耐震補強工の重量分だけ既設杭の軸力が増加し過度な応力状態が生じるという問題もある。
【0006】
これに対して、十分な水平方向支持力と鉛直支持力とを備えた耐震補強構造の例として既設フーチング60の周囲に、大径の地盤改良体62を造成するとともに、この地盤改良体62内に既製杭63を打設した複合杭を施工し、それらの杭頭を増設フーチング61で固定し、増設フーチング61を既設フーチング60に一体化させることで、水平方向、鉛直方向に十分な支持力が得られる耐震補強構造が提案されている(図16,たとえば特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−188157公報(第4頁の記載)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の先行技術文献情報に開示された耐震補強構造は、図16に示したように、既設フーチングの外周に高圧噴射撹拌工法によって造成された大径の改良体内に既製杭を打設することで、既製杭の鉛直支持力を改良体で負担するようにしたので、新設杭を支持層まで到達させることなく、鉛直支持力を負担できるようにしている。このため、改良体頭部、既製杭頭部の固定を行うために十分剛性の高い増設フーチングを既設フーチングと一体的に構築する必要がある。既設フーチングの周囲に施工される改良体、既製杭、及び増設フーチングとが一体となった耐震補強構造とする各部材を施工し、さらにそれぞれを一体化させる多くの施工工程を要する。また、高架下等においては既製杭の長さ等の制限を受けるため、施工できないケースもあり得る。
【0009】
そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、簡易な耐震補強構造により既設フーチングの杭基礎に作用する地震時水平方向力の負担低減を図れるようにした杭基礎構造物の耐震補強構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は杭基礎構造物に作用する地震時水平力を負担する水平変位抑止枠構造を、前記杭基礎構造物のフーチングの外周面を囲むように構築した杭基礎構造物の耐震補強構造であって、前記水平変位抑止枠構造は、立壁部が前記フーチングと前記水平変位抑止枠構造との境界面に形成された、鉛直方向の面外せん断力の伝達を絶縁する絶縁層を介して構築された擁壁構造からなり、前記立壁部と一体構築された底版の下面と地盤面との底面摩擦により地震時水平方向力に抵抗することを特徴とする。
【0011】
また、他の発明として、本発明は杭基礎構造物に作用する地震時水平力を負担する改良ブロック体を、前記杭基礎構造物のフーチングの外周面の地盤を囲むように、所定深度までの2重鋼矢板で包囲し、該区画された地盤内を地盤改良して造成した杭基礎構造物の耐震補強構造であって、前記改良ブロック体は、前記フーチングとの境界面に形成された、鉛直方向の面外せん断力の伝達を絶縁する絶縁層を介して構築され、前記改良ブロック体の底面と地盤面との境界面摩擦により地震時水平方向力に抵抗することを特徴とする。
【0012】
このとき、前記絶縁層は、前記改良ブロック体と前記フーチングとの境界面に打設された鋼矢板の前記フーチング側に施された樹脂被覆とすることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の杭基礎構造物の耐震補強構造の一実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は既設構造物としての橋脚基礎のフーチングの外周に構築された本発明の耐震補強構造の一部を切欠いて示した斜視図で、図2は同正面図及び平面図である。図1において、既設構造物1は、本実施の形態では、縦横に等間隔をあけて打設された9本の杭2(図2(b)参照)と、この杭2の杭頭を固定してなる平面視して矩形形状をなす鉄筋コンクリート製の基礎フーチング(既設フーチング)3と、この既設フーチング3上に一体的に立設された鉄筋コンクリート柱4とからなる。そしてこの既設構造物1の基礎フーチング3の外周を囲んでに耐震補強構造が構築されている。なお、以下の説明では既設構造物1の基礎フーチング3の耐震補強を例に説明を行っているが、新設構造物の基礎フーチングに本発明の耐震補強構造を適用することも有効であることは言うまでもない。
【0016】
耐震補強構造は、図1に示したように耐震補強の対象となる既設杭基礎構造物1の基礎フーチング3の外周を取り囲むように構築された基礎水平変位抑止枠構造10と、該基礎水平変位抑止枠構造10と既設フーチング3との間に形成された絶縁層20とから構成されている。
【0017】
本実施の形態による基礎水平変位抑止枠構造10は、図1,図2に示したような断面形がL型をなす鉄筋コンクリート製の擁壁構造11からなる。立壁12の前面は、既設フーチング3の外周面に面し、その高さはフーチング厚さに等しく、所定の底版長さを有する。また既設フーチング3の外周面を完全に囲むように設けられている。なお、立て壁12の高さと底版13の長さとは基礎水平変位抑止枠構造10の目標抵抗値により適宜設定され、その断面形状が決定される。すなわち、基礎水平変位抑止枠構造10が、図1に示したような擁壁構造11である場合には、その立壁12の高さおよび底版13の底面積を、耐震補強構造において必要とされる水平抵抗力に応じて適宜に設定すればよい。すなわち、大きな水平抵抗力を必要とする場合には底版13の底面積を広くするか、立壁12の高さを高くすればよい。
【0018】
絶縁層20は、基礎水平変位抑止枠構造10の立壁12の前面と既設フーチング3の側面との間の全面に形成された、両部材間での鉛直方向の面外せん断力の伝達を絶縁することを意図して設けられた要素である。したがって、基礎水平変位抑止枠構造10の自重はその底版13のみで支持され、既設構造物1の杭2には伝達されない構造になっている。絶縁層20は本実施の形態では、アスファルト充填層からなり、このアスファルト充填層は鉛直方向に生じる両部材間の位相変位を完全に吸収できる変形能力を期待できる。絶縁層20を構成する絶縁材料としては、アスファルト等の瀝青材料の充填材料の他、せん断変形性が十分大きい各種ゴム系材料、ゴム系エラストマー等の弾性部材を既設フーチング3の側面に固着するようにして絶縁層20を形成するようにしてもよい。
【0019】
これら基礎水平変位抑止枠構造10と絶縁層20を施工する手順の一例としては、まず基礎水平変位抑止枠構造10の底版13の施工範囲を考慮して決定された既設フーチング3の周囲の地盤の所定範囲で掘削する。このとき地盤状態に応じて土留め工等を施し、掘削空間の確保を図ることが好ましい。次いで既設フーチング3の外周面に絶縁層20を施工する。この絶縁層20の施工は、絶縁材料の相違によっては既設フーチング3との間に所定幅(厚さ)の空隙を設けて擁壁構造11を構築し、その後、空隙に絶縁材料を充填することもできる。擁壁構造11は現場施工の鉄筋コンクリート構造としてもよいし、プレキャストコンクリート製品を搬入して全体をPC鋼材等を用いて一体構造とさせることもできる。最終的に掘削土を再利用して擁壁構造11の背面部分を埋戻して埋戻し土15と擁壁構造11とを一体化させ、基礎水平変位抑止枠構造10を完成させる。
【0020】
ここで、図2(a)を参照して、地震時における基礎水平変位抑止枠構造10の作用について説明する。基礎水平変位抑止枠構造10としては、上述の擁壁構造11とその背面の底版13上の埋戻し土15を合わせたものが相当する。すなわち、地震時に既設構造物に水平方向力が作用すると、既設フーチング3の側面で対向する擁壁構造11の立壁12を押圧する。このとき擁壁構造11の底版13の底面と地盤との間には所定の摩擦力が生じ、この摩擦力の分だけ杭2が負担する水平方向力が低減される。すなわち既設の杭2の耐力を越えた分の水平方向力の負担が可能となり、既設杭基礎構造物1の耐震性が向上する。基礎水平変位抑止枠構造10としての擁壁構造11の底面に作用する摩擦力の限界値は、砂地盤では擁壁構造11の自重と埋戻し土15の重量の和に摩擦係数を乗じたものとなる。粘性土地盤では、地盤の粘着力と摩擦力の小さい方で決まる。
【0021】
図3は、上述した耐震補強構造において、基礎水平変位抑止枠構造10の底面摩擦が負担する水平荷重と、既設フーチングの杭が負担する水平荷重とを比較した解析結果である。同図に示したように、基礎水平変位抑止枠構造10の底面摩擦は、既設杭に比べ、一般に小さな変位で発揮されるので、既設杭に作用する水平方向力を効率的に低減できる。また基礎水平変位抑止枠構造10を、既設フーチング3の外周全体を囲むように構築することにより、枠構造と既設基礎とが乖離することなく、安定した耐震性能を発揮できる。
【0022】
[基礎水平変位抑止枠構造の断面形状]
以上述べたように、基礎水平変位抑止枠構造10としてその作用を十分発揮させるためには、基礎水平変位抑止枠構造10としての鉛直荷重を十分大きくすることと、その底面と地盤面との間で十分大きな底面摩擦を確保することが重要である。図4各図は、基礎水平変位抑止枠構造の断面形状として、想定される各種断面形状を示した断面図である。図1で示したような擁壁構造11の断面(図4(a))では、擁壁構造11の重量と底版13上の埋戻し土15の土被り重量の和が鉛直荷重となり、摩擦係数μを考慮して底面摩擦が決定される。
【0023】
このとき基礎水平変位抑止枠構造として十分な鉛直荷重を得るためには、たとえば図4(b)に示したような矩形断面形状の中実重量構造18とすることが好ましい。この場合にも中実重量構造構造18は、その内側面が絶縁層20を介してフーチング3の外周面を囲むように構築されている。この中実重量構造18は、自重が擁壁構造11の重量と底版13上の埋戻し土15の土被り重量の和より大きくなるので、中実重量構造18の底面18aと地盤面との摩擦は、擁壁構造11(図4(a))底版13の底面13aと地盤面との摩擦より大きくなる。
【0024】
また、既設杭構造物に対して、設置される基礎水平変位抑止枠構造の水平方向力の負担が十分見込まれるならば、図4(c),(d)に示したようなスラブ構造19を基礎水平変位抑止枠構造10として採用することもできる。この場合、図4(c)に示したスラブ構造19では、埋戻し土15の重量との和により鉛直荷重が決定するが、スラブ構造19の底面19aと地盤面との摩擦が十分とれることが明らかな場合には地表面位置にスラブ構造19を設置し、スラブ構造19のみによることも可能である(図4(d))。このように、基礎水平変位抑止枠構造の断面形状は、地盤面との間の摩擦により得られる目標抵抗が満たされることを前提に、種々の断面形状、寸法とすることができる。
【0025】
基礎水平変位抑止枠構造10としての擁壁構造11は、地震時に既設構造物から作用する水平方向力に対して地盤面に対して所定の摩擦抵抗を発揮し、既設フーチング3を囲む枠体構造として一様に剛体変位するような剛性を有する必要がある。そのため、上述したL型擁壁において立壁12の剛性が不足するおそれがある場合には立壁12の背面に控え壁16を設けることが好ましい(図5(a))。また、十分な剛性を確保するためには、上方が開放された箱形断面17とし、内部に埋戻し土15を充填する断面形状とすることが好ましい。
【0026】
[底面摩擦の増加、水平変位の拘束手段]
図6各図は基礎水平変位抑止枠構造10の底面摩擦の増加を図るための構成を示している。図6(a)は基礎水平変位抑止枠構造10の一実施の形態としての擁壁構造11において、その底版13下の地盤面に割栗石30を敷設し、底版13との摩擦増加を図った例を示している。図6(b)は、擁壁構造11の底版13との境界地盤に地盤改良層31を設け、底版13の底面にせん断キーとしての突起13bを形成して地盤面に対するせん断抵抗を増加させるようにした例を示している。上述の構成により底面摩擦の増加を図ることにより、既設フーチング3の杭2の水平抵抗負担分を大幅に低減することができる。また、地震時に既設フーチング3を介して擁壁構造11に加わる水平方向力による基礎水平変位抑止枠構造10の変位を積極的に拘束する手段として、図7各図に示した構成を採用することもできる。すなわち、図7(a)は擁壁構造11の底版13下に短杭32を打設し、短杭の杭頭を底版13に固定した構造を示している。この場合、短杭32が鉛直荷重を支持して底面摩擦が減少しないように、杭周面に摩擦低減処理を行うことが好ましい。図7(b)は比較的低い立壁12を有する擁壁構造11とし、底版13からその下部の地盤にかけてアンカーボルト33を所定の傾角で打設し、各アンカーボルト33に水平方向分力を負担させるようにした例を示している。なお、地震力作用時には、擁壁構造11から外周に向けて打設されたアンカーボルト33のうち、引張材として作用する方向に位置するアンカーボルト33が有効に機能する。
【0027】
図8は、既設フーチング3と擁壁構造11との間に形成される絶縁層20の変形例を示している。以上の説明では絶縁層20には変形性能の高い絶縁材料が充填されるとしたが、この既設フーチング3と擁壁構造11との離隔を十分にとり、その隙間部分に砕石21を密に充填し、水平方向に関しては押しつぶされる砕石21間の噛み合うことにより水平方向力が伝達され、鉛直方向には所定のせん断面で砕石21の噛合いが解放した状態で鉛直方向荷重の絶縁が達成される。
【0028】
図9,図10は基礎水平変位抑止枠構造10の他の発明として、上述の擁壁構造11に代えて既設フーチング3の外周を囲むように区画された範囲に改良体ブロック35を造成し、この改良体ブロック35で水平抵抗力を発揮させるようにした例を示している。すなわち、この基礎水平変位抑止枠構造10では、既設フーチング3の外周を掘削せずに、既設フーチング3の外周を2重締切工のように、所定の深度まで鋼矢板36,37で包囲し、2重に囲まれた地盤内を地盤改良することで改良体ブロック35が造成されている。この改良体ブロック35の底面35aと原地盤の間の境界面で摩擦作用が発揮される。このとき図10に示したように、既設フーチング3の側面に沿って打設される内側鋼矢板36のフーチング接触面側には絶縁層20として機能する樹脂被覆22等を施し、鉛直方向の摩擦を低減することが好ましい。また既設フーチング3の周囲に薄い非改良層を残す方法も可能である。
【0029】
[参考例1]
図11は、参考例として地盤沈下の恐れがない場所で、擁壁構造11の底面積を拡幅せずに底面摩擦を増加させるために、鉛直グラウンドアンカー38を併用した施工例を示している。このとき、アンカー定着部38aは支持層5に到達するようにすることが好ましく、導入アンカー力を調整することにより、アンカー頭部38bを支持する枠体構造39の底面39aと地盤面との底面摩擦の適宜調整することができる。
【0030】
[参考例2]
図12,図13は既設構造物が構築された敷地において、一部に本発明を適用することを想定した参考例を示している。両図は、構造物の一部が敷地境界等に隣接し、地下構造物の構築余裕がない場合を想定した基礎水平変位抑止枠構造10の施工例を示している。図13は図12の平面図であるが、既設構造物のフーチングの一辺Aが敷地境界Lに接しているため、一辺Aでは擁壁構造11の立壁12のみが構築され、その分、他の擁壁構造11の底版13の底面積を増加させることにより、基礎水平変位抑止枠構造10としての全底面積を確保している。
【0031】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、比較的簡易に構築できる基礎水平変位抑止枠構造が地震時の水平方向力を十分負担することできるため、既設構造物の杭基礎に対して鉛直荷重の増加を生じさせることなく、地震時に既設杭に作用する水平力を低減させることのできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による杭基礎構造物の耐震補強構造の一実施の形態を示した斜視図。
【図2】本発明の杭基礎構造物の耐震補強構造の一例を示した正面図、平面図。
【図3】本発明の耐震補強構造の底面摩擦と既設杭の水平荷重の負担の関係を示したグラフ。
【図4】基礎水平変位抑止枠構造の断面形状例を示した部分横断面図。
【図5】基礎水平変位抑止枠構造の変形例を示した部分断面図。
【図6】絶縁層の変形例を示した部分断面図。
【図7】擁壁構造の底版の底面摩擦の増加方法について示した部分断面図。
【図8】擁壁構造の底版の底面摩擦の増加方法について示した部分断面図。
【図9】基礎水平変位抑止枠構造の変形例を示した部分断面図。
【図10】図9に示した基礎水平変位抑止枠構造の平面図。
【図11】基礎水平変位抑止枠構造の変形例(アンカー)を示した部分断面図。
【図12】基礎水平変位抑止枠構造の変形例(境界隣接時)を示した部分断面図。
【図13】図12に示した基礎水平変位抑止枠構造及び敷地境界を併示した平面図。
【図14】従来の耐震補強構造(増し杭方式)の一例を示した部分断面図。
【図15】従来の耐震補強構造(連壁方式)の一例を示した部分断面図。
【図16】従来の耐震補強構造(複合杭方式)の一例を示した部分断面図。
【符号の説明】
1 既設構造物
2 杭
3 既設フーチング(基礎フーチング)
10 基礎水平変位抑止枠構造
11 擁壁構造
12 立壁
13 底版
15 埋戻し土
18 中実重量構造
19 スラブ構造
20 絶縁層
35 改良体ブロック
Claims (3)
- 杭基礎構造物に作用する地震時水平力を負担する水平変位抑止枠構造を、前記杭基礎構造物のフーチングの外周面を囲むように構築した杭基礎構造物の耐震補強構造であって、前記水平変位抑止枠構造は、立壁部が前記フーチングと前記水平変位抑止枠構造との境界面に形成された、鉛直方向の面外せん断力の伝達を絶縁する絶縁層を介して構築された擁壁構造からなり、前記立壁部と一体構築された底版の下面と地盤面との底面摩擦により地震時水平方向力に抵抗することを特徴とする杭基礎構造物の耐震補強構造。
- 杭基礎構造物に作用する地震時水平力を負担する改良ブロック体を、前記杭基礎構造物のフーチングの外周面の地盤を囲むように、所定深度までの2重鋼矢板で包囲し、該区画された地盤内を地盤改良して造成した杭基礎構造物の耐震補強構造であって、前記改良ブロック体は、前記フーチングとの境界面に形成された、鉛直方向の面外せん断力の伝達を絶縁する絶縁層を介して構築され、前記改良ブロック体の底面と地盤面との境界面摩擦により地震時水平方向力に抵抗することを特徴とする杭基礎構造物の耐震補強構造。
- 前記絶縁層は、前記改良ブロック体と前記フーチングとの境界面に打設された鋼矢板の前記フーチング側に施された樹脂被覆からなることを特徴とする請求項2に記載の杭基礎構造物の耐震補強構造。
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JP2004162362A (ja) | 2004-06-10 |
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