JP3852198B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁性粉末と結合剤を主体とした磁性層を有する、いわゆる塗布型の磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録媒体としては、磁性粉末や結合剤、各種添加剤を有機溶媒とともに分散せしめて調製された磁性塗料を、非磁性支持体上に塗布乾燥することで磁性層が形成される、いわゆる塗布型の磁気記録媒体が知られており、高密度記録化の目的から上記磁性粉末としては金属微粒子が用いられるようになっている。
【0003】
このような金属微粒子を用いる塗布型の磁気記録媒体は、オーディオ用あるいはビデオ用の磁気テープを始め、バックアップ用データカートリッジ、フロッピーディスク等として利用されている。特に最近では、記録波長の短波長化、あるいはディジタル記録方式等のような記録密度の高い記録方式の検討が盛んに行われており、これに対応する電磁変換特性に優れた磁気記録媒体の開発が要求されている。
【0004】
ところで、塗布型の磁気記録媒体において、電磁変換特性を向上させるための手法としては磁性層の薄膜化がある。磁性層を薄膜化することによって、自己減磁損失が低減し、電磁変換特性を改善することができる。
【0005】
しかし、磁性層の膜厚を、例えば1μm以下に単純に薄膜化すると、磁性層表面に非磁性支持体の表面形状が現れ易くなり、磁性層表面の平滑化が困難になる。このため、磁性層を薄膜化する場合には、非磁性支持体と磁性層の間に非磁性の塗布層を介在させる重層塗布型構成が採られる場合が多くなっている。このように非磁性層を介在させることで非磁性支持体表面と磁性層表面の間に厚さが稼がれ、非磁性支持体の表面形状が磁性層表面に現れ難くなる。したがって、厚さの薄い磁性層が平滑な表面形状で形成されることになる。
【0006】
この他、電磁変換特性を改善する方法としては、磁性層の表面を平滑化することによって磁気ヘッドと磁性層の間のスペーシングを狭くすることも有効である。特に、記録波長を短くした場合には、電磁変換特性が磁性層の表面粗さの影響を受け易く、表面粗さの制御が重要になる。
【0007】
さらに、磁性粉末自身の改良も電磁変換特性の改善には不可欠である。この改良としては(1)強磁性合金粉末の使用、(2)磁性粉末の微細化、(3)磁性粉末の保磁力の増加及び保磁力分布の均一化等が挙げられる。
【0008】
このうち、(1)、(2)については、磁性材料の改良が積極的に進められた結果、飽和磁化が140Am2/kgを越える強磁性合金粉末や長軸長が0.1μm以下の磁性粉末が開発されるに至っている。また、(3)磁性粉末の保磁力に関しては、保磁力が160kA/mを越える磁性粉末が得られるようになっている。また、保磁力分布には磁性粉末の粒子サイズ分布が反映されるが、この粒子サイズを均一化することで保磁力分布も著しく改善されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、良好な電磁変換特性を得るためには、磁性粉末が結合剤中に均一に分散されていることも重要である。
【0010】
しかし、上述の手法のうち磁性粉末の微細化を行った場合、結合剤中への磁性粉末の分散が困難になる傾向がある。
【0011】
これに対しては、磁性塗料の調整段階で、塗料の混練あるいは分散の時間を長くすることが考えられるが、そうすると磁性粉末の損傷や製造効率の低下の問題が生じる。
【0012】
また、結合剤に−SO3M,−OSO3M,−COOM,P=O(OM)2,−NRdRe、−NRdReRf+X-、>NRdRe+X-(但し、Mは、水素原子あるいはリチウム,カリウム,ナトリウム等のアルカリ金属であり、Rd、Re,Rfは、水素原子あるいは炭化水素基であり、X-は、弗素,塩素,臭素,ヨウ素等のハロゲン元素イオンあるいは無機イオン,有機イオンである。)等の官能基を導入することによって、結合剤と磁性粉末との相互作用を強化し、分散性を向上させる試みもなされている。
【0013】
しかしながら、結合剤にこれらの官能基を導入しても、比表面積が35m2/g以上の微細な磁性粉末を分散させるのは困難であり、磁性粉末の微細化によって高密度記録化を行うためには、分散性に関するさらなる改良が必要である。
【0014】
そこで、本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、比表面積が35m2/g以上の微細な磁性粉末を高度に分散させることができ、高密度記録領域において高い電磁変換特性が得られるとともに良好な走行耐久性が得られる磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、磁性粉末と結合剤を含有する磁性層が形成されてなり、上記磁性層は、化2で表されるジヒドロキシベンゼン化合物を含有することを特徴とするものである。
【0016】
【化2】
【0017】
磁性層に化2で表されるジヒドロキシベンゼン化合物を添加すると、比表面積が35m2/g以上の微細な磁性粉末であっても磁性層中に高度に分散され、高密度記録領域で高い電磁変換特性が得られるようになるとともに良好な走行耐久性が得られるようになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
【0019】
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、磁性粉末と結合剤を含有する磁性層が形成されてなる、いわゆる塗布型の磁気記録媒体であり、前記磁性層は磁性粉末や結合剤を有機溶媒とともに混合して調製された磁性塗料を非磁性支持体上に保持させ、乾燥させることで形成される。
【0020】
そして、この磁気記録媒体では特に、上記磁性層に、化3で表されるジヒドロキシベンゼン化合物が含有されている。
【0021】
【化3】
【0022】
なお、Mに導入されるアルカリ金属としてはリチウム,カリウム,ナトリウム等が挙げられ、Xに導入されるハロゲンとしては塩素,臭素等が挙げられる。
【0023】
磁性層にこのようなジヒドロキシベンゼン化合物が含有されていると、このジヒドロキシベンゼン化合物が、そのOH基等の官能基を介して磁性粉末表面に吸着する。このとき、このジヒドロキシベンゼン化合物は、隣り合った位置にOH基が導入されているので、磁性粉末表面に安定に吸着し、その結果、微細な磁性粉末が磁性層中に高度に分散される。
【0024】
また、このジヒドロキシベンゼン化合物と磁性粉末とは速い速度で吸着するので、分散時間を短縮することができる。
【0025】
そして、特に、結合剤に第3級アミノ基または第4級アンモニウム塩が導入されていると、これら極性基と、磁性粉末表面に吸着しているジヒドロキシベンゼン化合物の官能基とが相互作用を起こし、これによって磁性粉末の分散性がさらに向上する。
【0026】
また、結合剤に導入されている第3級アミノ基または第4級アンモニウム塩が、ジヒドロキシベンゼン化合物中の官能基と相互作用することによって、磁性粉末と結合剤の界面の付着力が増し、磁気記録媒体の走行耐久性が向上する。
【0027】
なお、このような作用は、特にR2,R3に官能基が導入されているジヒドロキシベンゼン化合物を用いた場合に著しく、官能基として−SO3M,−COOM,NRaRbRc+X-が導入されているジヒドロキシベンゼン化合物を用いた場合にさらに著しい。
【0028】
磁性層に含有させるジヒドロキシベンゼン化合物の量は、磁性粉末100重量部に対して0.3〜10重量部、さらには1.0〜5.0重量部であるのが望ましい。ジヒドロキシベンゼン化合物の含有量がこの範囲よりも少ない場合には、磁性粉末や結合剤へのジヒドロキシベンゼン化合物の付着量が不足し、磁性粉末の分散性を十分に改善することができない。またジヒドロキシベンゼン化合物の含有量がこの範囲よりも多い場合には、ジヒドロキシベンゼン化合物において結合剤と未反応の官能基が多く残存することになり、これらが相互作用を及ぼし合うことによって磁性粉末の分散性が低下する。
【0029】
なお、ジヒドロキシベンゼン化合物は1種類を単独で使用してもよく、複数種を組み合わせて用いても構わない。また、他の分散剤を併用しても差し支えない。
【0030】
このようなジヒドロキシベンゼン化合物が含有される磁性層において、この他の材料としては次のようなものが用いられる。
【0031】
まず、磁性層に含有させる磁性粉末としては、Fe、Co、Ni等の金属、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Al、Fe−Ni−Al、Fe−Al−P、Fe−Ni−Si−Al、Fe−Ni−Si−Al−Mn、Fe−Mn−Zn、Fe−Ni−Zn、Co−Ni,Co−P、Fe−Co−Ni、Fe−Co−Ni−Cr、Fe−Co−Ni−P、Fe−Co−B、Fe−Co−Cr−B、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−Co−V等の合金、窒化鉄、炭化鉄等よりなる磁性粉末が単独あるいは2種類以上が組み合わせて用いられる。これら磁性粉末には、還元時の焼結防止または形状維持等の目的で、Al、Si、P、B等の軽金属元素が適当量含まれていても良い。
【0032】
また、γ−Fe2O3、Fe3O4、γ−Fe2O3とFe3O4とのベルトライド化合物、Co含有γ−Fe2O3、Co含有Fe3O4、Coを含有するγ−Fe2O3とFe3O4とのベルトライド化合物、CrO2に1種またはそれ以上の金属元素、たとえばTe、Sb、Fe、B等を含有させた酸化物等がある。
【0033】
さらに、六方晶系板状フェライトも使用可能であり、M型、W型、Y型、Z型のバリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、カルシウムフェライト、鉛フェライト、及びこれらに保磁力を制御する目的でCo−Ti、Co−Ti−Zn、Co−Ti−Nb、Co−Ti−Zn−Nb、Cu−Zr、Ni−Ti等を添加したものも使用可能である。
【0034】
これらの磁性粉末は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用することも可能である。
【0035】
以上のような磁性粉末は、比表面積が30〜80m2/g、好ましくは40〜70m2/gであるのが良い。比表面積が上記範囲にある磁性粉末は、微粒子であることから、高密度記録領域における媒体の電磁変換特性が向上し、ノイズが低減する。
【0036】
また、特に磁性粉末が針状粒子である場合には、長軸長が0.05〜0.50μm、軸比が2〜15であるのが好ましい。磁性粉末の長軸長が0.05μm未満である場合には、磁性塗料中に分散させるのが困難となる。逆に、磁性粉末の長軸長が0.50μmを越えると、ノイズ特性が劣化する。また、磁性粉末の軸比が5未満であると、磁性粉末の配向性が損なわれ、出力が低下する。磁性粉末の軸比が15を超える場合には、短波長信号出力が低下する。
【0037】
磁性粉末が板状フェライトの場合には、板径が0.01〜0.5μm、板厚が0.001〜0.2μmであるのが好ましい。
【0038】
なお、これらの長軸長、軸比、板径及び板厚は、透過型電子顕微鏡写真から無作為に100サンプル以上の磁性粉末を選択し、その平均値を算出することで求められる。
【0039】
結合剤としては、従来より磁気記録媒体用の結合剤として使用される公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂等が用いられ、特に数平均分子量が5000〜100000のものが好ましい。
【0040】
熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニル共重合体、メタクリル酸エステル−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース)、スチレンブタジエン共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、合成ゴム等が挙げられる。
【0041】
また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等も使用可能である。
【0042】
これら結合剤には、磁性粉末の分散性向上や媒体の走行耐久性向上の効果を得る点から、第3級アミノ基または第4級アンモニウム塩が導入されているのが望ましい。
【0043】
第3級アミノ基の場合、化4で表される構造のものが分子内に導入されていても良く、化5で表される構造のものが末端に導入されていても良い。
【0044】
【化4】
【0045】
【化5】
【0046】
また、第4級アンモニウム塩の場合、化6で表される構造のものが分子内に導入されていても良く、化7で表される構造のものが末端に導入されていても良い。
【0047】
【化6】
【0048】
【化7】
【0049】
また、この他、−SO3M、−OSO3M、−COOM、P=O(OM)2(但し、Mは、水素原子あるいはリチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属である。)や、−OH、−SH、−CN、エポキシ基等の極性官能基が導入されていても良い。
【0050】
結合剤の極性官能基の含有量は、0.001〜1mmol/gであるのが好ましく、さらには0.01〜0.3mmol/gであるのがより好ましい。
【0051】
極性基の含有量が0.001mmol/g未満の場合には、結合剤とジヒドロキシベンゼン化合物の界面の相互作用を十分に強めることができず、走行耐久性を改善する効果が不足する。また、極性基の含有量が1mmol/gを超えると、磁性塗料の粘度が高くなる。その結果、磁性粉末の分散が阻害され、また、媒体表面の平滑性も損なわれ、良好な電磁変換特性が得られない。
【0052】
このような結合剤の含有量は、磁性粉末100重量部に対して1〜200重量部であるのが好ましく、10〜50重量部であるのが望ましい。結合剤の含有量が多過ぎると、磁性粉末の磁性層に占める割合が相対的に低下し、出力の低下に繋がる。また、ドライブ上で、磁気ヘッドや各種摺動部材と繰り返し摺動されることによって磁性層が塑性流動を起こし易く、媒体の走行耐久性が損なわれる。また、結合剤の含有量が少な過ぎると、塗膜が脆くなり、媒体の走行耐久性が低下する。なお、これらの結合剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用することも可能である。
【0053】
これらの結合剤には、ポリイソシアネートによって架橋硬化させることも可能である。このポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネートならびに、これら付加体、アルキレンジイソシアネートならびに、これら付加体等がある。これらポリイソシアネートの添加量は、結合剤100重量部に対して5〜80重量部、好ましくは10〜50重量部である。
【0054】
以上が磁気記録媒体の基本的な構成であるが、さらにこの他、磁気記録媒体で通常設けられる付加的な層や添加剤を用いるようにしても構わない。
【0055】
例えば、非磁性支持体の磁性層が形成される側とは反対側の面に、磁気記録媒体の走行性の向上や帯電防止及び転写防止等を目的としてバックコート層を設けてもよい。このバックコート層は、カーボンブラック等の帯電防止剤と結合剤を主体として構成される。
【0056】
また、磁性層と非磁性支持体の間に、非磁性粉末と結合剤を含有する非磁性層(下層)を設けるようにしても良い。磁性層を薄膜化した場合に磁性層を非磁性支持体上に直接設けると、非磁性支持体の表面粗さが磁性層表面に浮き出し、磁性層の表面性が損なわれる。これに対して、磁性層と非磁性支持体の間に非磁性層を介在させると、非磁性支持体の表面粗さが磁性層表面に浮き出し難くなり、磁性層の表面性が改善される。
【0057】
この非磁性層の材料としては次のようなものが用いられる。
【0058】
まず、非磁性粉末としては、α−Fe2O3等の非磁性酸化鉄、ゲータイト、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、酸化錫、酸化タングステン、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、チタンカーバイト、BN、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等が挙げられる。上記非磁性粉末は、目的に応じて適当量の不純物がドープされていても良い。また、分散性の改良、導電性の付与、色調の改善等の目的で、Al,Si,Ti,Sn,Sb,Zr等を含有する化合物による表面処理が施されていても構わない。これらの非磁性粉末は、1種類を単独で使用しても良く、複数種を混合して用いても構わない。
【0059】
これら非磁性粉末は比表面積が30〜80m2/gであるのが望ましく、さらには40〜70m2/gであるのが好ましい。比表面積がこの範囲にある非磁性粉末は微粒子であることから形状が非磁性層表面に現れにくく、非磁性層が平滑に形成され、これを反映して上層の磁性層も平滑に形成される。これにより、変調ノイズ特性が改善され、スペーシングロスが抑えられる。
【0060】
また、この他、非磁性粉末としてゴム用ファーネス、熱分解カーボン、カラー用ブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラックが含まれていても良い。これらカーボンブラックは比表面積が100〜400m2/g、DBP吸油量(フタル酸ジブチル吸油量)が20〜200ml/100gであることが好ましい。比表面積がこの範囲にあるカーボンブラックは微粒子であることから形状が非磁性層表面に現れにくく、その結果、非磁性層が平滑に形成され、これを反映して上層の磁性層も平滑に形成される。
【0061】
非磁性層の結合剤としては、磁性層の結合剤として例示したものがいずれも使用可能である。
【0062】
また、このような非磁性層を設ける場合、この非磁性層にも非磁性粉末の分散性改善を目的として上記ジヒドロキシベンゼン化合物を添加しても構わない。
【0063】
非磁性層に含有させるジヒドロキシベンゼン化合物の量は、非磁性粉末100重量部に対して0.3〜10重量部、さらには1.0〜5.0重量部であるのが望ましい。ジヒドロキシベンゼン化合物の含有量がこの範囲よりも少ない場合には、非磁性粉末や結合剤へのジヒドロキシベンゼン化合物の付着量が不足し、非磁性粉末の分散性を十分に改善することができない。またジヒドロキシベンゼン化合物の含有量がこの範囲よりも多い場合には、ジヒドロキシベンゼン化合物において結合剤と未反応の官能基が多く残存することになり、これらが相互作用を及ぼし合うことによって非磁性粉末の分散性が低下する。
【0064】
なお、この場合もジヒドロキシベンゼン化合物は1種類を単独で使用してもよく、複数種を組み合わせて用いても構わない。また、他の分散剤を併用しても差し支えない。
【0065】
また、上記磁性層および非磁性層には、次のような潤滑剤を添加しても良い。
【0066】
潤滑剤としては、黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン等の固体潤滑剤や、シリコーンオイル、炭素数10〜22の脂肪酸、炭素数10〜22の脂肪酸と炭素数2〜26のアルコールにより合成される脂肪酸エステル、テルペン系化合物及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
【0067】
また、磁性層にはさらに研磨剤粒子を添加しても構わない。
【0068】
研磨剤粒子としては、酸化アルミニウム(α、β、γ)、酸化クロム、酸化珪素、ダイヤモンド、ガーネット、エメリー、窒化ホウ素、チタンカーバイト、炭化珪素、炭化チタン、酸化チタン(ルチル、アナターゼ)等がある。これら研磨剤粒子は、モース硬度が4以上、好ましくは5以上、比重が2〜6、好ましくは3〜5の範囲、平均粒径が0.5μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下がよい。また、これらの添加量は、磁性粉末100重量部に対して20重量部以下、好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下がよい。なお、研磨剤粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡写真から無作為に100サンプル以上を選択し、その平均値を算出することで求められる。
【0069】
以上のような磁性層や非磁性層は非磁性支持体上に形成される。
【0070】
非磁性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート等のセルロース類、ビニル系樹脂、ポリイミド類、ポリカーボネート類に代表されるような高分子材料、あるいは金属、ガラス、セラミクス等により形成される支持体等が用いられる
これらの材料よりなる磁気記録媒体は例えば次のようにして製造される。
【0071】
まず、各層の材料を有機溶剤とともに混練、分散して磁性塗料と、必要に応じて非磁性塗料やバック塗料を調製する。
【0072】
磁性塗料を調製するに際して、ジヒドロキシベンゼン化合物は、磁性粉末や結合剤、有機溶剤と同時に混合しても良く、あるいは予めジヒドロキシベンゼン化合物で磁性粉末を処理しておき、この処理が施された磁性粉末を結合剤や有機溶剤と混合しても良い。
【0073】
また、非磁性層にジヒドロキシベンゼン化合物を添加する場合にも、ジヒドロキシベンゼン化合物は、非磁性粉末や結合剤、有機溶剤と同時に混合しても良く、あるいは予めジヒドロキシベンゼン化合物で非磁性粉末を処理しておき、この処理が施された非磁性粉末を結合剤や有機溶剤と混合しても良い。
【0074】
ここで、塗料化のための溶媒としては、アセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール,エタノール,プロパノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸ブチル,酢酸プロピル,乳酸エチル,エチレングリコールアセテート等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル,2−エトキシエタノール,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチレンクロライド,エチレンクロライド,四塩化炭素,クロロホルム,クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が単独あるいは混合されて使用される。
【0075】
また、混練及び分散装置としては、ロールミル、ボールミル、サンドミル、アジター、ニーダー、エクストルーダー、ホモジナイザー、超音波分散機等が使用される。
【0076】
そして、このようにして調製された非磁性塗料及び磁性塗料を、非磁性支持体上に吹き付けるか、あるいは塗布ロールやダイコータを用いた塗布方法等によって塗布し、乾燥させることによって非磁性層と磁性層を形成する。この後、必要に応じてカレンダー処理等の平滑化処理を行っても良い。
【0077】
そして、非磁性支持体の非磁性層および磁性層が形成された側とは反対側の面に、バックコート塗料を塗布、乾燥させることでバックコート層を形成し、所定の媒体形状に裁断する。
【0078】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例について実験結果に基づいて説明するが、本発明がこの実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0079】
実施例1−1
実施例1−1のサンプルテープは、図1に示すように、非磁性支持体1上に磁性層2が形成され、非磁性支持体1の磁性層2が形成された側とは反対側の面にバックコート層3が形成されて構成されるものである。
【0080】
このサンプルテープを作製するために、まず下記の組成に基づいて磁性塗料を調製した。なお、ジヒドロキシベンゼン化合物は、化8で表され、R1,R2,R3,R4に表1に示す官能基または水素が導入されたものである。
【0081】
塗料化は、常法に従って磁性粉末、結合剤、添加剤、溶剤及びジヒドロキシベンゼン化合物を混合した後、エクストルーダーにより混練し、さらにサンドミルで5時間分散させることで行った。
【0082】
調製された磁性塗料にポリイソシアネートを3重量部添加した後、塗料を、厚さ7μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、厚さが6.5μmとなるように塗布した。そして、未乾燥状態の塗膜を、ソレノイドコイルにより配向処理した後、乾燥、カレンダー処理、硬化処理を順次行うことで磁性層を形成した。
【0083】
次に、下記の組成に基づいてカーボンブラック、結合剤及び溶剤を混合、混練、分散させることでバック塗料を調製した。
【0084】
続いて、このバック塗料を、非磁性支持体の磁性層が形成された側とは反対側の面に塗布、乾燥することでバックコート層を形成した。
【0085】
そして、このようにして磁性層及びバックコート層が形成されてテープ原反を、8mm幅に裁断することでサンプルテープを作製した。
【0086】
実施例1−2〜実施例1−14
実施例1−2〜実施例1−14は、磁性層に添加するジヒドロキシベンゼン化合物として、化8で表され、R1,R2,R3,R4の位置に表1に示すような官能基または水素が導入されたものを用い、その添加量を表1に示すように変えたこと以外は実施例1−1と同様のサンプルテープの例である。
【0087】
比較例1−1
比較例1−1は、磁性層にジヒドロキシベンゼン化合物が添加されていない市販の磁気テープ(ソニー社製8mmHi8テープ)である。
【0088】
比較例1−2
比較例1−2は、磁性層にジヒドロキシベンゼン化合物を添加しないこと以外は実施例1−1と同様のサンプルテープの例である。
【0089】
比較例1−3
比較例1−3は、磁性層に添加するジヒドロキシベンゼン化合物として、化8で表され、R1,R2,R3,R4の位置に水素が導入されたものを用い、その添加量を表1に示すように変えたこと以外は実施例1−1と同様のサンプルテープの例である。
【0090】
【化8】
【0091】
【表1】
【0092】
以上のようにして作製したサンプルテープについて、電磁変換特性(10MHzの再生出力)、表面粗さRa、スチル特性を調べた。これらの特性は次のようにして測定した。
【0093】
電磁変換特性:固定ヘッド式電磁変換特性測定機を用いて測定を行った。この測定機はサンプルテープが巻き付けられる回転ドラム、この回転ドラムに対して対向配置されたヘッドからなる記録系と、出力レベルを検出するためのスペクトラムアナライザーによって構成されている。この測定機によって、最適記録電流で10MHzの矩形波信号を記録し、その後、スペクトラムアナライザーにより10MHzの出力レベルを検出した。ここで、テープ−ヘッド間の相対速度は3.33m/秒である。出力は、比較例1−1のサンプルテープの出力を0dBとしたときの相対値として表示した。
【0094】
表面粗さRa:JIS B 0601で規定される中心線平均粗さRaであり、レーザ光干渉方式による非接触型表面粗さ計を用いて測定した。
【0095】
スチル特性:記録再生手段を備えた回転ドラムと、テープの同一部分を繰り返し再生できるようになされた8mmビデオデッキを使用して測定した。ここでは、この同一部分から再生される出力が、再生1回目の半分になるまでの時間(スチル時間)を測定した。なお、測定は最長120分とした。
【0096】
これらの測定結果を表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】
表2に示すように、所定の位置に官能基を有するジヒドロキシベンゼン化合物を添加した実施例1−1〜実施例1−14のサンプルテープは、ジヒドロキシベンゼン化合物を添加していない比較例1−2のサンプルテープに比べて10MHzの再生出力が大きく、表面粗さRaが小さく、またスチル特性に優れている。また、ジヒドロキシベンゼン化合物であっても、所定の官能基を有さないものを添加した比較例1−3のサンプルテープは、10MHzの再生出力が小さく、表面粗さRaが大きく、スチル特性が劣っている。
【0099】
このことから、磁性層に所定の官能基を有するジヒドロキシベンゼン化合物を添加すると、磁気記録媒体の電磁変換特性や走行耐久性が改善されることがわかる。
【0100】
但し、ジヒドロキシベンゼン化合物として同じ種類のものを用い、その添加量を変化させた実施例1−1〜実施例1−6を比較すると、添加量を0.2重量部と少なくした実施例1−1のサンプルテープや、12重量部と多くした実施例1−6のサンプルテープは、ジヒドロキシベンゼン化合物を添加していない比較例1−2のサンプルテープに比べれば特性が改善されているものの、十分であるとは言えない。
【0101】
したがって、ジヒドロキシベンゼン化合物の添加量は、磁性粉末100重量部に対して0.3〜10重量部であるのが望ましく、さらには1.0〜5.0重量部であるのが好ましい。
【0102】
また、シヒドロキシベンゼン化合物の種類を変えた実施例1−3及び実施例1−7〜実施例1−14を比較すると、ジヒドロキシベンゼン化合物に−SO3M、−COOM、−NRaRbRc+X-を導入した場合、さらにはR2,R3の位置に極性基を導入した場合に良好な特性が得られることがわかる。
【0103】
実施例2−1〜実施例2−14
実施例2−1〜実施例2−14は、磁性層に添加するポリ塩化ビニル樹脂として、化6の第4級アンモニウム塩(R8:CH3,R9:CH3,Y-:Cl-)が0.05mmol/gなる量で含有されたポリ塩化ビニル樹脂(ガラス転移点:73℃)を用い、ジヒドロキシベンゼン化合物として、化8で表され、R1,R2,R3,R4の位置に表3に示すような官能基または水素が導入されたものを用い、その添加量を表3に示すように変えたこと以外は実施例1−1と同様のサンプルテープの例である。
【0104】
比較例2−1
比較例2−1は、磁性層にジヒドロキシベンゼン化合物が添加されていない市販の磁気テープ(ソニー社製8mmHi8テープ)である。
【0105】
比較例2−2
比較例2−2は、磁性層にジヒドロキシベンゼン化合物を添加しないこと以外は実施例2−1と同様のサンプルテープの例である。
【0106】
比較例2−3
比較例2−3は、磁性層に添加するジヒドロキシベンゼン化合物として、化8で表され、R1,R2,R3,R4の位置に水素が導入されたものを用い、その添加量を表3に示すように変えたこと以外は実施例2−1と同様のサンプルテープの例である。
【0107】
【表3】
【0108】
以上のようにして作製したサンプルテープについて、上述と同様にして電磁変換特性(10MHzの再生出力)、表面粗さRa、スチル特性を調べた。その結果を表4に示す。
【0109】
【表4】
【0110】
表4に示すように、所定の位置に極性基を有するジヒドロキシベンゼン化合物を添加した実施例2−1〜実施例2−14のサンプルテープは、ジヒドロキシベンゼン化合物を添加していない比較例2−2のサンプルテープに比べて10MHzの再生出力が大きく、表面粗さRaが小さく、またスチル特性に優れている。また、ジヒドロキシベンゼン化合物であっても所定の極性基を有さないものを添加した比較例2−3のサンプルテープは、10MHzの再生出力が小さく、表面粗さRaが大きく、スチル特性が劣っている。
【0111】
このことから、磁性層に所定の極性基を有するジヒドロキシベンゼン化合物を添加すると、磁気記録媒体の電磁変換特性や走行耐久性が改善されることがわかる。
【0112】
但し、ジヒドロキシベンゼン化合物として同じ種類のものを用い、その添加量を変化させた実施例2−1〜実施例2−6のサンプルテープを比較すると、添加量を0.2重量部と少なくした実施例2−1のサンプルテープや、12重量部と多くした実施例2−6のサンプルテープは、ジヒドロキシベンゼン化合物を添加していない比較例2−2のサンプルテープに比べれば特性が改善されているものの、十分であるとは言えない。
【0113】
したがって、ジヒドロキシベンゼン化合物の添加量は、磁性粉末100重量部に対して0.3〜10重量部であるのが望ましく、さらには1.0〜5.0重量部であるのが好ましいことがわかる。
【0114】
また、シヒドロキシベンゼン化合物の種類を変えた実施例2−3及び実施例2−7〜実施例2−14を比較すると、ジヒドロキシベンゼン化合物に−SO3M、−COOM、−NRaRbRc+X-を導入した場合、さらにはR2,R3の位置に官能基を導入した場合に良好な特性が得られることがわかる。
【0115】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明の磁気記録媒体は、磁性層に所定の構造を有するジヒドロキシベンゼン化合物が含有されているので、比表面積が35m2/g以上の磁性粉末を磁性層中に高度に分散させることができ、高密度記録領域において高い電磁変換特性が得られるとともに良好な走行耐久性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した磁気記録媒体の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 非磁性支持体、2 磁性層、3 バックコート層
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁性粉末と結合剤を主体とした磁性層を有する、いわゆる塗布型の磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録媒体としては、磁性粉末や結合剤、各種添加剤を有機溶媒とともに分散せしめて調製された磁性塗料を、非磁性支持体上に塗布乾燥することで磁性層が形成される、いわゆる塗布型の磁気記録媒体が知られており、高密度記録化の目的から上記磁性粉末としては金属微粒子が用いられるようになっている。
【0003】
このような金属微粒子を用いる塗布型の磁気記録媒体は、オーディオ用あるいはビデオ用の磁気テープを始め、バックアップ用データカートリッジ、フロッピーディスク等として利用されている。特に最近では、記録波長の短波長化、あるいはディジタル記録方式等のような記録密度の高い記録方式の検討が盛んに行われており、これに対応する電磁変換特性に優れた磁気記録媒体の開発が要求されている。
【0004】
ところで、塗布型の磁気記録媒体において、電磁変換特性を向上させるための手法としては磁性層の薄膜化がある。磁性層を薄膜化することによって、自己減磁損失が低減し、電磁変換特性を改善することができる。
【0005】
しかし、磁性層の膜厚を、例えば1μm以下に単純に薄膜化すると、磁性層表面に非磁性支持体の表面形状が現れ易くなり、磁性層表面の平滑化が困難になる。このため、磁性層を薄膜化する場合には、非磁性支持体と磁性層の間に非磁性の塗布層を介在させる重層塗布型構成が採られる場合が多くなっている。このように非磁性層を介在させることで非磁性支持体表面と磁性層表面の間に厚さが稼がれ、非磁性支持体の表面形状が磁性層表面に現れ難くなる。したがって、厚さの薄い磁性層が平滑な表面形状で形成されることになる。
【0006】
この他、電磁変換特性を改善する方法としては、磁性層の表面を平滑化することによって磁気ヘッドと磁性層の間のスペーシングを狭くすることも有効である。特に、記録波長を短くした場合には、電磁変換特性が磁性層の表面粗さの影響を受け易く、表面粗さの制御が重要になる。
【0007】
さらに、磁性粉末自身の改良も電磁変換特性の改善には不可欠である。この改良としては(1)強磁性合金粉末の使用、(2)磁性粉末の微細化、(3)磁性粉末の保磁力の増加及び保磁力分布の均一化等が挙げられる。
【0008】
このうち、(1)、(2)については、磁性材料の改良が積極的に進められた結果、飽和磁化が140Am2/kgを越える強磁性合金粉末や長軸長が0.1μm以下の磁性粉末が開発されるに至っている。また、(3)磁性粉末の保磁力に関しては、保磁力が160kA/mを越える磁性粉末が得られるようになっている。また、保磁力分布には磁性粉末の粒子サイズ分布が反映されるが、この粒子サイズを均一化することで保磁力分布も著しく改善されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、良好な電磁変換特性を得るためには、磁性粉末が結合剤中に均一に分散されていることも重要である。
【0010】
しかし、上述の手法のうち磁性粉末の微細化を行った場合、結合剤中への磁性粉末の分散が困難になる傾向がある。
【0011】
これに対しては、磁性塗料の調整段階で、塗料の混練あるいは分散の時間を長くすることが考えられるが、そうすると磁性粉末の損傷や製造効率の低下の問題が生じる。
【0012】
また、結合剤に−SO3M,−OSO3M,−COOM,P=O(OM)2,−NRdRe、−NRdReRf+X-、>NRdRe+X-(但し、Mは、水素原子あるいはリチウム,カリウム,ナトリウム等のアルカリ金属であり、Rd、Re,Rfは、水素原子あるいは炭化水素基であり、X-は、弗素,塩素,臭素,ヨウ素等のハロゲン元素イオンあるいは無機イオン,有機イオンである。)等の官能基を導入することによって、結合剤と磁性粉末との相互作用を強化し、分散性を向上させる試みもなされている。
【0013】
しかしながら、結合剤にこれらの官能基を導入しても、比表面積が35m2/g以上の微細な磁性粉末を分散させるのは困難であり、磁性粉末の微細化によって高密度記録化を行うためには、分散性に関するさらなる改良が必要である。
【0014】
そこで、本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、比表面積が35m2/g以上の微細な磁性粉末を高度に分散させることができ、高密度記録領域において高い電磁変換特性が得られるとともに良好な走行耐久性が得られる磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、磁性粉末と結合剤を含有する磁性層が形成されてなり、上記磁性層は、化2で表されるジヒドロキシベンゼン化合物を含有することを特徴とするものである。
【0016】
【化2】
【0017】
磁性層に化2で表されるジヒドロキシベンゼン化合物を添加すると、比表面積が35m2/g以上の微細な磁性粉末であっても磁性層中に高度に分散され、高密度記録領域で高い電磁変換特性が得られるようになるとともに良好な走行耐久性が得られるようになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
【0019】
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、磁性粉末と結合剤を含有する磁性層が形成されてなる、いわゆる塗布型の磁気記録媒体であり、前記磁性層は磁性粉末や結合剤を有機溶媒とともに混合して調製された磁性塗料を非磁性支持体上に保持させ、乾燥させることで形成される。
【0020】
そして、この磁気記録媒体では特に、上記磁性層に、化3で表されるジヒドロキシベンゼン化合物が含有されている。
【0021】
【化3】
【0022】
なお、Mに導入されるアルカリ金属としてはリチウム,カリウム,ナトリウム等が挙げられ、Xに導入されるハロゲンとしては塩素,臭素等が挙げられる。
【0023】
磁性層にこのようなジヒドロキシベンゼン化合物が含有されていると、このジヒドロキシベンゼン化合物が、そのOH基等の官能基を介して磁性粉末表面に吸着する。このとき、このジヒドロキシベンゼン化合物は、隣り合った位置にOH基が導入されているので、磁性粉末表面に安定に吸着し、その結果、微細な磁性粉末が磁性層中に高度に分散される。
【0024】
また、このジヒドロキシベンゼン化合物と磁性粉末とは速い速度で吸着するので、分散時間を短縮することができる。
【0025】
そして、特に、結合剤に第3級アミノ基または第4級アンモニウム塩が導入されていると、これら極性基と、磁性粉末表面に吸着しているジヒドロキシベンゼン化合物の官能基とが相互作用を起こし、これによって磁性粉末の分散性がさらに向上する。
【0026】
また、結合剤に導入されている第3級アミノ基または第4級アンモニウム塩が、ジヒドロキシベンゼン化合物中の官能基と相互作用することによって、磁性粉末と結合剤の界面の付着力が増し、磁気記録媒体の走行耐久性が向上する。
【0027】
なお、このような作用は、特にR2,R3に官能基が導入されているジヒドロキシベンゼン化合物を用いた場合に著しく、官能基として−SO3M,−COOM,NRaRbRc+X-が導入されているジヒドロキシベンゼン化合物を用いた場合にさらに著しい。
【0028】
磁性層に含有させるジヒドロキシベンゼン化合物の量は、磁性粉末100重量部に対して0.3〜10重量部、さらには1.0〜5.0重量部であるのが望ましい。ジヒドロキシベンゼン化合物の含有量がこの範囲よりも少ない場合には、磁性粉末や結合剤へのジヒドロキシベンゼン化合物の付着量が不足し、磁性粉末の分散性を十分に改善することができない。またジヒドロキシベンゼン化合物の含有量がこの範囲よりも多い場合には、ジヒドロキシベンゼン化合物において結合剤と未反応の官能基が多く残存することになり、これらが相互作用を及ぼし合うことによって磁性粉末の分散性が低下する。
【0029】
なお、ジヒドロキシベンゼン化合物は1種類を単独で使用してもよく、複数種を組み合わせて用いても構わない。また、他の分散剤を併用しても差し支えない。
【0030】
このようなジヒドロキシベンゼン化合物が含有される磁性層において、この他の材料としては次のようなものが用いられる。
【0031】
まず、磁性層に含有させる磁性粉末としては、Fe、Co、Ni等の金属、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Al、Fe−Ni−Al、Fe−Al−P、Fe−Ni−Si−Al、Fe−Ni−Si−Al−Mn、Fe−Mn−Zn、Fe−Ni−Zn、Co−Ni,Co−P、Fe−Co−Ni、Fe−Co−Ni−Cr、Fe−Co−Ni−P、Fe−Co−B、Fe−Co−Cr−B、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−Co−V等の合金、窒化鉄、炭化鉄等よりなる磁性粉末が単独あるいは2種類以上が組み合わせて用いられる。これら磁性粉末には、還元時の焼結防止または形状維持等の目的で、Al、Si、P、B等の軽金属元素が適当量含まれていても良い。
【0032】
また、γ−Fe2O3、Fe3O4、γ−Fe2O3とFe3O4とのベルトライド化合物、Co含有γ−Fe2O3、Co含有Fe3O4、Coを含有するγ−Fe2O3とFe3O4とのベルトライド化合物、CrO2に1種またはそれ以上の金属元素、たとえばTe、Sb、Fe、B等を含有させた酸化物等がある。
【0033】
さらに、六方晶系板状フェライトも使用可能であり、M型、W型、Y型、Z型のバリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、カルシウムフェライト、鉛フェライト、及びこれらに保磁力を制御する目的でCo−Ti、Co−Ti−Zn、Co−Ti−Nb、Co−Ti−Zn−Nb、Cu−Zr、Ni−Ti等を添加したものも使用可能である。
【0034】
これらの磁性粉末は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用することも可能である。
【0035】
以上のような磁性粉末は、比表面積が30〜80m2/g、好ましくは40〜70m2/gであるのが良い。比表面積が上記範囲にある磁性粉末は、微粒子であることから、高密度記録領域における媒体の電磁変換特性が向上し、ノイズが低減する。
【0036】
また、特に磁性粉末が針状粒子である場合には、長軸長が0.05〜0.50μm、軸比が2〜15であるのが好ましい。磁性粉末の長軸長が0.05μm未満である場合には、磁性塗料中に分散させるのが困難となる。逆に、磁性粉末の長軸長が0.50μmを越えると、ノイズ特性が劣化する。また、磁性粉末の軸比が5未満であると、磁性粉末の配向性が損なわれ、出力が低下する。磁性粉末の軸比が15を超える場合には、短波長信号出力が低下する。
【0037】
磁性粉末が板状フェライトの場合には、板径が0.01〜0.5μm、板厚が0.001〜0.2μmであるのが好ましい。
【0038】
なお、これらの長軸長、軸比、板径及び板厚は、透過型電子顕微鏡写真から無作為に100サンプル以上の磁性粉末を選択し、その平均値を算出することで求められる。
【0039】
結合剤としては、従来より磁気記録媒体用の結合剤として使用される公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂等が用いられ、特に数平均分子量が5000〜100000のものが好ましい。
【0040】
熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニル共重合体、メタクリル酸エステル−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース)、スチレンブタジエン共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、合成ゴム等が挙げられる。
【0041】
また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等も使用可能である。
【0042】
これら結合剤には、磁性粉末の分散性向上や媒体の走行耐久性向上の効果を得る点から、第3級アミノ基または第4級アンモニウム塩が導入されているのが望ましい。
【0043】
第3級アミノ基の場合、化4で表される構造のものが分子内に導入されていても良く、化5で表される構造のものが末端に導入されていても良い。
【0044】
【化4】
【0045】
【化5】
【0046】
また、第4級アンモニウム塩の場合、化6で表される構造のものが分子内に導入されていても良く、化7で表される構造のものが末端に導入されていても良い。
【0047】
【化6】
【0048】
【化7】
【0049】
また、この他、−SO3M、−OSO3M、−COOM、P=O(OM)2(但し、Mは、水素原子あるいはリチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属である。)や、−OH、−SH、−CN、エポキシ基等の極性官能基が導入されていても良い。
【0050】
結合剤の極性官能基の含有量は、0.001〜1mmol/gであるのが好ましく、さらには0.01〜0.3mmol/gであるのがより好ましい。
【0051】
極性基の含有量が0.001mmol/g未満の場合には、結合剤とジヒドロキシベンゼン化合物の界面の相互作用を十分に強めることができず、走行耐久性を改善する効果が不足する。また、極性基の含有量が1mmol/gを超えると、磁性塗料の粘度が高くなる。その結果、磁性粉末の分散が阻害され、また、媒体表面の平滑性も損なわれ、良好な電磁変換特性が得られない。
【0052】
このような結合剤の含有量は、磁性粉末100重量部に対して1〜200重量部であるのが好ましく、10〜50重量部であるのが望ましい。結合剤の含有量が多過ぎると、磁性粉末の磁性層に占める割合が相対的に低下し、出力の低下に繋がる。また、ドライブ上で、磁気ヘッドや各種摺動部材と繰り返し摺動されることによって磁性層が塑性流動を起こし易く、媒体の走行耐久性が損なわれる。また、結合剤の含有量が少な過ぎると、塗膜が脆くなり、媒体の走行耐久性が低下する。なお、これらの結合剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用することも可能である。
【0053】
これらの結合剤には、ポリイソシアネートによって架橋硬化させることも可能である。このポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネートならびに、これら付加体、アルキレンジイソシアネートならびに、これら付加体等がある。これらポリイソシアネートの添加量は、結合剤100重量部に対して5〜80重量部、好ましくは10〜50重量部である。
【0054】
以上が磁気記録媒体の基本的な構成であるが、さらにこの他、磁気記録媒体で通常設けられる付加的な層や添加剤を用いるようにしても構わない。
【0055】
例えば、非磁性支持体の磁性層が形成される側とは反対側の面に、磁気記録媒体の走行性の向上や帯電防止及び転写防止等を目的としてバックコート層を設けてもよい。このバックコート層は、カーボンブラック等の帯電防止剤と結合剤を主体として構成される。
【0056】
また、磁性層と非磁性支持体の間に、非磁性粉末と結合剤を含有する非磁性層(下層)を設けるようにしても良い。磁性層を薄膜化した場合に磁性層を非磁性支持体上に直接設けると、非磁性支持体の表面粗さが磁性層表面に浮き出し、磁性層の表面性が損なわれる。これに対して、磁性層と非磁性支持体の間に非磁性層を介在させると、非磁性支持体の表面粗さが磁性層表面に浮き出し難くなり、磁性層の表面性が改善される。
【0057】
この非磁性層の材料としては次のようなものが用いられる。
【0058】
まず、非磁性粉末としては、α−Fe2O3等の非磁性酸化鉄、ゲータイト、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、酸化錫、酸化タングステン、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、チタンカーバイト、BN、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等が挙げられる。上記非磁性粉末は、目的に応じて適当量の不純物がドープされていても良い。また、分散性の改良、導電性の付与、色調の改善等の目的で、Al,Si,Ti,Sn,Sb,Zr等を含有する化合物による表面処理が施されていても構わない。これらの非磁性粉末は、1種類を単独で使用しても良く、複数種を混合して用いても構わない。
【0059】
これら非磁性粉末は比表面積が30〜80m2/gであるのが望ましく、さらには40〜70m2/gであるのが好ましい。比表面積がこの範囲にある非磁性粉末は微粒子であることから形状が非磁性層表面に現れにくく、非磁性層が平滑に形成され、これを反映して上層の磁性層も平滑に形成される。これにより、変調ノイズ特性が改善され、スペーシングロスが抑えられる。
【0060】
また、この他、非磁性粉末としてゴム用ファーネス、熱分解カーボン、カラー用ブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラックが含まれていても良い。これらカーボンブラックは比表面積が100〜400m2/g、DBP吸油量(フタル酸ジブチル吸油量)が20〜200ml/100gであることが好ましい。比表面積がこの範囲にあるカーボンブラックは微粒子であることから形状が非磁性層表面に現れにくく、その結果、非磁性層が平滑に形成され、これを反映して上層の磁性層も平滑に形成される。
【0061】
非磁性層の結合剤としては、磁性層の結合剤として例示したものがいずれも使用可能である。
【0062】
また、このような非磁性層を設ける場合、この非磁性層にも非磁性粉末の分散性改善を目的として上記ジヒドロキシベンゼン化合物を添加しても構わない。
【0063】
非磁性層に含有させるジヒドロキシベンゼン化合物の量は、非磁性粉末100重量部に対して0.3〜10重量部、さらには1.0〜5.0重量部であるのが望ましい。ジヒドロキシベンゼン化合物の含有量がこの範囲よりも少ない場合には、非磁性粉末や結合剤へのジヒドロキシベンゼン化合物の付着量が不足し、非磁性粉末の分散性を十分に改善することができない。またジヒドロキシベンゼン化合物の含有量がこの範囲よりも多い場合には、ジヒドロキシベンゼン化合物において結合剤と未反応の官能基が多く残存することになり、これらが相互作用を及ぼし合うことによって非磁性粉末の分散性が低下する。
【0064】
なお、この場合もジヒドロキシベンゼン化合物は1種類を単独で使用してもよく、複数種を組み合わせて用いても構わない。また、他の分散剤を併用しても差し支えない。
【0065】
また、上記磁性層および非磁性層には、次のような潤滑剤を添加しても良い。
【0066】
潤滑剤としては、黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン等の固体潤滑剤や、シリコーンオイル、炭素数10〜22の脂肪酸、炭素数10〜22の脂肪酸と炭素数2〜26のアルコールにより合成される脂肪酸エステル、テルペン系化合物及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
【0067】
また、磁性層にはさらに研磨剤粒子を添加しても構わない。
【0068】
研磨剤粒子としては、酸化アルミニウム(α、β、γ)、酸化クロム、酸化珪素、ダイヤモンド、ガーネット、エメリー、窒化ホウ素、チタンカーバイト、炭化珪素、炭化チタン、酸化チタン(ルチル、アナターゼ)等がある。これら研磨剤粒子は、モース硬度が4以上、好ましくは5以上、比重が2〜6、好ましくは3〜5の範囲、平均粒径が0.5μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下がよい。また、これらの添加量は、磁性粉末100重量部に対して20重量部以下、好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下がよい。なお、研磨剤粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡写真から無作為に100サンプル以上を選択し、その平均値を算出することで求められる。
【0069】
以上のような磁性層や非磁性層は非磁性支持体上に形成される。
【0070】
非磁性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート等のセルロース類、ビニル系樹脂、ポリイミド類、ポリカーボネート類に代表されるような高分子材料、あるいは金属、ガラス、セラミクス等により形成される支持体等が用いられる
これらの材料よりなる磁気記録媒体は例えば次のようにして製造される。
【0071】
まず、各層の材料を有機溶剤とともに混練、分散して磁性塗料と、必要に応じて非磁性塗料やバック塗料を調製する。
【0072】
磁性塗料を調製するに際して、ジヒドロキシベンゼン化合物は、磁性粉末や結合剤、有機溶剤と同時に混合しても良く、あるいは予めジヒドロキシベンゼン化合物で磁性粉末を処理しておき、この処理が施された磁性粉末を結合剤や有機溶剤と混合しても良い。
【0073】
また、非磁性層にジヒドロキシベンゼン化合物を添加する場合にも、ジヒドロキシベンゼン化合物は、非磁性粉末や結合剤、有機溶剤と同時に混合しても良く、あるいは予めジヒドロキシベンゼン化合物で非磁性粉末を処理しておき、この処理が施された非磁性粉末を結合剤や有機溶剤と混合しても良い。
【0074】
ここで、塗料化のための溶媒としては、アセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール,エタノール,プロパノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸ブチル,酢酸プロピル,乳酸エチル,エチレングリコールアセテート等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル,2−エトキシエタノール,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチレンクロライド,エチレンクロライド,四塩化炭素,クロロホルム,クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が単独あるいは混合されて使用される。
【0075】
また、混練及び分散装置としては、ロールミル、ボールミル、サンドミル、アジター、ニーダー、エクストルーダー、ホモジナイザー、超音波分散機等が使用される。
【0076】
そして、このようにして調製された非磁性塗料及び磁性塗料を、非磁性支持体上に吹き付けるか、あるいは塗布ロールやダイコータを用いた塗布方法等によって塗布し、乾燥させることによって非磁性層と磁性層を形成する。この後、必要に応じてカレンダー処理等の平滑化処理を行っても良い。
【0077】
そして、非磁性支持体の非磁性層および磁性層が形成された側とは反対側の面に、バックコート塗料を塗布、乾燥させることでバックコート層を形成し、所定の媒体形状に裁断する。
【0078】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例について実験結果に基づいて説明するが、本発明がこの実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0079】
実施例1−1
実施例1−1のサンプルテープは、図1に示すように、非磁性支持体1上に磁性層2が形成され、非磁性支持体1の磁性層2が形成された側とは反対側の面にバックコート層3が形成されて構成されるものである。
【0080】
このサンプルテープを作製するために、まず下記の組成に基づいて磁性塗料を調製した。なお、ジヒドロキシベンゼン化合物は、化8で表され、R1,R2,R3,R4に表1に示す官能基または水素が導入されたものである。
【0081】
塗料化は、常法に従って磁性粉末、結合剤、添加剤、溶剤及びジヒドロキシベンゼン化合物を混合した後、エクストルーダーにより混練し、さらにサンドミルで5時間分散させることで行った。
【0082】
調製された磁性塗料にポリイソシアネートを3重量部添加した後、塗料を、厚さ7μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、厚さが6.5μmとなるように塗布した。そして、未乾燥状態の塗膜を、ソレノイドコイルにより配向処理した後、乾燥、カレンダー処理、硬化処理を順次行うことで磁性層を形成した。
【0083】
次に、下記の組成に基づいてカーボンブラック、結合剤及び溶剤を混合、混練、分散させることでバック塗料を調製した。
【0084】
続いて、このバック塗料を、非磁性支持体の磁性層が形成された側とは反対側の面に塗布、乾燥することでバックコート層を形成した。
【0085】
そして、このようにして磁性層及びバックコート層が形成されてテープ原反を、8mm幅に裁断することでサンプルテープを作製した。
【0086】
実施例1−2〜実施例1−14
実施例1−2〜実施例1−14は、磁性層に添加するジヒドロキシベンゼン化合物として、化8で表され、R1,R2,R3,R4の位置に表1に示すような官能基または水素が導入されたものを用い、その添加量を表1に示すように変えたこと以外は実施例1−1と同様のサンプルテープの例である。
【0087】
比較例1−1
比較例1−1は、磁性層にジヒドロキシベンゼン化合物が添加されていない市販の磁気テープ(ソニー社製8mmHi8テープ)である。
【0088】
比較例1−2
比較例1−2は、磁性層にジヒドロキシベンゼン化合物を添加しないこと以外は実施例1−1と同様のサンプルテープの例である。
【0089】
比較例1−3
比較例1−3は、磁性層に添加するジヒドロキシベンゼン化合物として、化8で表され、R1,R2,R3,R4の位置に水素が導入されたものを用い、その添加量を表1に示すように変えたこと以外は実施例1−1と同様のサンプルテープの例である。
【0090】
【化8】
【0091】
【表1】
【0092】
以上のようにして作製したサンプルテープについて、電磁変換特性(10MHzの再生出力)、表面粗さRa、スチル特性を調べた。これらの特性は次のようにして測定した。
【0093】
電磁変換特性:固定ヘッド式電磁変換特性測定機を用いて測定を行った。この測定機はサンプルテープが巻き付けられる回転ドラム、この回転ドラムに対して対向配置されたヘッドからなる記録系と、出力レベルを検出するためのスペクトラムアナライザーによって構成されている。この測定機によって、最適記録電流で10MHzの矩形波信号を記録し、その後、スペクトラムアナライザーにより10MHzの出力レベルを検出した。ここで、テープ−ヘッド間の相対速度は3.33m/秒である。出力は、比較例1−1のサンプルテープの出力を0dBとしたときの相対値として表示した。
【0094】
表面粗さRa:JIS B 0601で規定される中心線平均粗さRaであり、レーザ光干渉方式による非接触型表面粗さ計を用いて測定した。
【0095】
スチル特性:記録再生手段を備えた回転ドラムと、テープの同一部分を繰り返し再生できるようになされた8mmビデオデッキを使用して測定した。ここでは、この同一部分から再生される出力が、再生1回目の半分になるまでの時間(スチル時間)を測定した。なお、測定は最長120分とした。
【0096】
これらの測定結果を表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】
表2に示すように、所定の位置に官能基を有するジヒドロキシベンゼン化合物を添加した実施例1−1〜実施例1−14のサンプルテープは、ジヒドロキシベンゼン化合物を添加していない比較例1−2のサンプルテープに比べて10MHzの再生出力が大きく、表面粗さRaが小さく、またスチル特性に優れている。また、ジヒドロキシベンゼン化合物であっても、所定の官能基を有さないものを添加した比較例1−3のサンプルテープは、10MHzの再生出力が小さく、表面粗さRaが大きく、スチル特性が劣っている。
【0099】
このことから、磁性層に所定の官能基を有するジヒドロキシベンゼン化合物を添加すると、磁気記録媒体の電磁変換特性や走行耐久性が改善されることがわかる。
【0100】
但し、ジヒドロキシベンゼン化合物として同じ種類のものを用い、その添加量を変化させた実施例1−1〜実施例1−6を比較すると、添加量を0.2重量部と少なくした実施例1−1のサンプルテープや、12重量部と多くした実施例1−6のサンプルテープは、ジヒドロキシベンゼン化合物を添加していない比較例1−2のサンプルテープに比べれば特性が改善されているものの、十分であるとは言えない。
【0101】
したがって、ジヒドロキシベンゼン化合物の添加量は、磁性粉末100重量部に対して0.3〜10重量部であるのが望ましく、さらには1.0〜5.0重量部であるのが好ましい。
【0102】
また、シヒドロキシベンゼン化合物の種類を変えた実施例1−3及び実施例1−7〜実施例1−14を比較すると、ジヒドロキシベンゼン化合物に−SO3M、−COOM、−NRaRbRc+X-を導入した場合、さらにはR2,R3の位置に極性基を導入した場合に良好な特性が得られることがわかる。
【0103】
実施例2−1〜実施例2−14
実施例2−1〜実施例2−14は、磁性層に添加するポリ塩化ビニル樹脂として、化6の第4級アンモニウム塩(R8:CH3,R9:CH3,Y-:Cl-)が0.05mmol/gなる量で含有されたポリ塩化ビニル樹脂(ガラス転移点:73℃)を用い、ジヒドロキシベンゼン化合物として、化8で表され、R1,R2,R3,R4の位置に表3に示すような官能基または水素が導入されたものを用い、その添加量を表3に示すように変えたこと以外は実施例1−1と同様のサンプルテープの例である。
【0104】
比較例2−1
比較例2−1は、磁性層にジヒドロキシベンゼン化合物が添加されていない市販の磁気テープ(ソニー社製8mmHi8テープ)である。
【0105】
比較例2−2
比較例2−2は、磁性層にジヒドロキシベンゼン化合物を添加しないこと以外は実施例2−1と同様のサンプルテープの例である。
【0106】
比較例2−3
比較例2−3は、磁性層に添加するジヒドロキシベンゼン化合物として、化8で表され、R1,R2,R3,R4の位置に水素が導入されたものを用い、その添加量を表3に示すように変えたこと以外は実施例2−1と同様のサンプルテープの例である。
【0107】
【表3】
【0108】
以上のようにして作製したサンプルテープについて、上述と同様にして電磁変換特性(10MHzの再生出力)、表面粗さRa、スチル特性を調べた。その結果を表4に示す。
【0109】
【表4】
【0110】
表4に示すように、所定の位置に極性基を有するジヒドロキシベンゼン化合物を添加した実施例2−1〜実施例2−14のサンプルテープは、ジヒドロキシベンゼン化合物を添加していない比較例2−2のサンプルテープに比べて10MHzの再生出力が大きく、表面粗さRaが小さく、またスチル特性に優れている。また、ジヒドロキシベンゼン化合物であっても所定の極性基を有さないものを添加した比較例2−3のサンプルテープは、10MHzの再生出力が小さく、表面粗さRaが大きく、スチル特性が劣っている。
【0111】
このことから、磁性層に所定の極性基を有するジヒドロキシベンゼン化合物を添加すると、磁気記録媒体の電磁変換特性や走行耐久性が改善されることがわかる。
【0112】
但し、ジヒドロキシベンゼン化合物として同じ種類のものを用い、その添加量を変化させた実施例2−1〜実施例2−6のサンプルテープを比較すると、添加量を0.2重量部と少なくした実施例2−1のサンプルテープや、12重量部と多くした実施例2−6のサンプルテープは、ジヒドロキシベンゼン化合物を添加していない比較例2−2のサンプルテープに比べれば特性が改善されているものの、十分であるとは言えない。
【0113】
したがって、ジヒドロキシベンゼン化合物の添加量は、磁性粉末100重量部に対して0.3〜10重量部であるのが望ましく、さらには1.0〜5.0重量部であるのが好ましいことがわかる。
【0114】
また、シヒドロキシベンゼン化合物の種類を変えた実施例2−3及び実施例2−7〜実施例2−14を比較すると、ジヒドロキシベンゼン化合物に−SO3M、−COOM、−NRaRbRc+X-を導入した場合、さらにはR2,R3の位置に官能基を導入した場合に良好な特性が得られることがわかる。
【0115】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明の磁気記録媒体は、磁性層に所定の構造を有するジヒドロキシベンゼン化合物が含有されているので、比表面積が35m2/g以上の磁性粉末を磁性層中に高度に分散させることができ、高密度記録領域において高い電磁変換特性が得られるとともに良好な走行耐久性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した磁気記録媒体の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 非磁性支持体、2 磁性層、3 バックコート層
Claims (7)
- 磁性粉末の比表面積が、35m2/g以上であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
- 磁性層のジヒドロキシベンゼン化合物の含有量が、磁性粉末100重量部に対して0.3重量部〜10重量部であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
- 結合剤は、第3級アミノ基を有することを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
- 結合剤の第3級アミノ基の含有量が、0.001mmol/g〜1mmol/gであることを特徴とする請求項4記載の磁気記録媒体。
- 結合剤は、第4級アンモニウム塩を有することを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
- 結合剤の第4級アンモニウム塩の含有量が、0.001mmol/g〜1mmol/gであることを特徴とする請求項6記載の磁気記録媒体。
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