JP3852035B2 - ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物及びその製造方法 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、新規な粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物及び該粗製顔料組成物を顔料化してポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を製造する方法に関し、更に詳しくは、着色剤として使用した場合、青緑色、かつ、高彩度な色相を呈する顔料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
青緑色を呈する1分子中の平均塩素原子数が8個の銅フタロシアニン(以下、オクタクロル銅フタロシアニンという。)より緑味で、緑色を呈する1分子中の平均塩素原子数が13〜16個の銅フタロシアニン(以下、銅フタロシアニングリーンという。)よりも青味の色調である、いわゆるターコイズ調の色相は、例えば、特開平5−263006号公報に記載されているように、緑色を呈する1分子中に14〜16個の塩素原子含むポリクロル銅フタロシアニン(銅フタロシアニングリーン)と、青色を呈する1分子中に3〜4個の塩素原子を含むポリクロル銅フタロシアニン(以下、テトラクロル銅フタロシアニンという。)とからなる固溶体によって得られることが知られている。
【0003】
しかしながら、上記の方法では、色相が大きく異なる顔料組成物を混合しているため、着色剤として用いた場合に、加法減色により高彩度な色相が得られないという本質的な問題がある。
【0004】
米国特許第2,662,085号明細書には、粗製銅フタロシアニン顔料を無水塩化アルミニウム及び塩化ナトリウムの溶融混合物中、又は、クロルスルホン酸中で直接塩素化する方法によって平均塩素原子数が15個前後の粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料を製造する方法が開示されているが、このようにして得られる粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物は、粒子が微細である上に、著しく凝集しており、そのままの状態で樹脂等の着色剤として使用した場合、色相が不鮮明であったり、着色力が低いなど、顔料としての機能が劣るといった欠点があり、何らかの方法で顔料化(コンディショニング)する必要があった。
【0005】
また、特開平5−263006号公報には、ポリクロル銅フタロシアニンとテトラクロル銅フタロシアニンをボールミル中で乾式磨砕又は湿式磨砕による前処理して固溶体を製造した後、水性スラリー中で安息香酸メチル等を用いて加熱処理して顔料化する方法、及び、ポリクロル銅フタロシアニンとテトラクロル銅フタロシアニンを硫酸に溶解又は湿潤させ、水中に取り出し固溶体の製造と顔料化を同時に行う方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、ポリクロル銅フタロシアニンとテトラクロル銅フタロシアニンの固溶体を、例えば、食塩などの磨砕助剤及びジエチレングリコールなどの粘結剤とともにニーダーで湿式磨砕して顔料化する方法では、かえって粗製顔料が凝集するといった問題点があり、単に水性スラリー中で有機溶剤を用いて加熱処理する方法では、価値の低い顔料しか得られないという問題点を有している。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、着色剤として使用した場合、青緑色で、かつ、高彩度な色相を呈する顔料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、1分子中の塩素原子数が7〜13個のポリクロル銅フタロシアニンからなり、かつ、平均塩素置換基数が9〜11個の範囲にある青緑色の粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を合成し、次いで、粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を磨砕助剤、結晶化溶剤及び粘結剤とともに磨砕処理した後、結晶化溶剤を留去し、磨砕助剤と粘結剤を除去する方法、又は粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を磨砕助剤の不存在下で乾式磨砕した後、磨砕助剤、結晶化溶剤及び粘結剤とともに磨砕処理した後、結晶化溶剤を留去し、磨砕助剤と粘結剤を除去する方法又は結晶化溶剤の存在下加熱処理する方法、さらには、粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を硫酸に溶解/湿潤させ水中に投入する方法によって得られる1分子中の塩素原子数が7個〜13個のポリクロル銅フタロシアニンからなり、かつ、平均塩素置換基数が9〜11個の範囲にある青緑色のポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を着色剤として使用した場合、青緑色、かつ、高彩度な色相を呈することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、1分子中の塩素原子数が7個〜13個のポリクロル銅フタロシニンからなり、平均塩素原子数が9〜11個の範囲にあるポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を提供する。
【0010】
また、本発明は上記課題を解決するために、1分子中の塩素原子数が7個〜13個のポリクロル銅フタロシニンからなり、平均塩素原子数が9〜11個の範囲にある粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物、及び(1)前記粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を、必要に応じて磨砕助剤の不存在下で乾式磨砕した後、磨砕助剤、結晶化溶剤又は粘結剤中で、必要に応じて加熱処理して、顔料化するポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物の製造方法、(2)前記粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を、必要に応じて磨砕助剤の不存在下で乾式磨砕した後、硫酸に湿潤又は溶解させた後、水中に投入することによって顔料化するポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物の製造方法を提供する。
【0011】
以下、本発明の顔料組成物及びその顔料化方法について更に詳しく説明する。
【0012】
本発明の粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物は、例えば、次の方法によって製造することができる。
【0013】
即ち、(1)無水フタル酸、尿素、銅源を触媒の存在下又は不存在下に有機溶媒中で反応させることに製造された粗製銅フタロシアニンをクロルスルホン酸中で触媒の存在下において80〜100℃で塩素ガスを導入して、1分子中の平均塩素原子数が9〜11個の範囲となるように塩素化した後、該混合物を水に投入し、濾過・水洗することにより、本発明の粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を得ることができる。また、(2)粗製銅フタロシアニンを無水塩化アルミニウムと食塩との共融混合物中、150〜200℃で塩素ガスを導入することによって塩素化する方法により、本発明の粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を得ることができる。
【0014】
これらの方法の中でも、より高彩度を呈する顔料を得るためには、微細な粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物粒子が得られるクロルスルホン酸中で塩素化する方法が特に好ましい。
【0015】
いずれの場合も、1分子中の平均塩素原子数は、導入される塩素ガス量などの反応条件等によって制御できる。1分子中の平均塩素原子数を求める方法は、フラスコ燃焼法による塩素の定量や質量分析等がある。しかし、フラスコ燃焼法による塩素の定量分析法では、1分子中の平均塩素原子数は求められるが、塩素原子数が異なるポリクロル銅フタロシアニン混合物の組成は求めることができない。従って、本発明における粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物の塩素原子数や平均塩素原子数は、質量分析を用いて求めることが必要である。
【0016】
銅フタロシアニンをクロルスルホン酸等の媒体中で塩素化した粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物の粒子は、非常に微細であり著しく凝集しており、このままの状態では顔料としての価値は低く、顔料化することによって初めて顔料としての価値を有する。また、粗大な粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物の場合もこのままの状態ではやはり顔料としての利用価値は少ない。
【0017】
顔料化方法としては、湿式磨砕法、結晶化溶剤法、硫酸法又は乾式磨砕法などが考えられるが、銅フタロシアニングリーンの場合と同様な条件下では顔料化が困難な場合があり、ある特定の条件下で顔料化する必要がある。
【0018】
本発明の粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を顔料化して本発明のポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を製造する第1の方法としては、まず、粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を磨砕助剤及び結晶化溶剤をニーダー等で混練りし、次いで、磨砕助剤、結晶化溶剤及び粘結剤を添加し加熱下で磨砕処理した後、結晶化溶剤を留去、水中に投入し、濾過・水洗する方法が挙げられる。
【0019】
本発明のポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物の製造方法において使用する磨砕助剤は、特に限定されないが、通常、食塩、ボウ硝、塩化カルシウム等の水溶性の無機塩を用いることができる。磨砕助剤の使用量は、顔料の生産性、コスト等を考慮して、混練りの際は粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物に対して、0.5〜1.0倍量、最終的には1.5〜3倍量の範囲が好ましいが、特に限定されるものではない。
【0020】
ポリクロル銅フタロシアニン顔料は、通常の用途、例えば、塗料中の有機溶剤によっては結晶成長を生じない耐溶剤性顔料として塗料分野で広く使用されている。
【0021】
また、結晶成長を生じさせるためには、高温下においても脂肪族系の溶剤よりも芳香族性の溶剤の方が成長しやすいということは当業者の知るところである。本発明のポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物の製造方法の場合においても、類似の化学構造を有していることから、結晶化溶剤としては、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ニトロトルエン、オルソクロルトルエン、ニトロベンゼンなどの芳香族系の溶剤が好ましいが、特に限定されるものではない。結晶化溶剤の使用量も特に限定されないが、粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物に対して0.3〜1.0倍量の範囲で十分である。
【0022】
本発明のポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物の製造方法において使用する粘結剤も、従来公知のものが使用でき、特に限定されるものではないが、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコールが水に対する溶解性、粘結性の面で好ましい。粘結剤は、混練りの際には特に添加する必要はなく、最終的な使用量としては、排水処理等の面から、粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物に対して0.5倍量以下が好ましい。
【0023】
本発明の粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を顔料化して本発明のポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を製造する第2の方法としては、本発明の粗製銅フタロシアニン顔料組成物を磨砕助剤の不存在下、少量の結晶化溶剤、脂肪酸又はその塩の存在下或いは不存在下で分散機を用いて乾式磨砕し、次いで結晶化溶剤中、脂肪酸又はその塩の存在下或いは不存在下で加熱処理した後、溶剤を留去し濾過・水洗する方法が挙げられる。
【0024】
乾式磨砕時に使用する少量の結晶化溶剤としては、第1の方法で記載したような芳香族系の溶剤を用いることができる。また、該結晶化溶剤の使用量は、磨砕する際に粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物の外観が粉状になる程度、例えば、顔料に対して0〜0.5倍量程度を用いれば良く、これ以上使用すると粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物が粘着性を有するため、磨砕物が取り出せないといった問題を引き起こす。
【0025】
乾式摩砕の際に使用する分散機としては、特に限定されないが、ボールミル、アトライター、ビーズミル等を用いることができる。
【0026】
脂肪酸又はその塩としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等の高級脂肪酸又はそのアルカリ金属塩、アミン塩等が挙げられる。また、これらの混合物として通常市販されているものであっても差し支えない。
【0027】
加熱処理の方法としては、乾式磨砕物を、キシレン、水、高級脂肪酸又はそれらにノニオン性界面活性剤を添加して作成したエマルジョンに分散し、オートクレーブのような高温・高圧に耐え得る装置を用い、80℃〜140℃の範囲で数時間加熱処理する方法で行われる。反応時の圧力は、通常やや加圧された状態が用いられるが、常圧でも差し支えない。しかし、高温下で長時間加熱処理を行い過ぎると顔料として用いた場合の彩度が低下するので、140℃で処理するならば4〜6時間の範囲が適切である。
【0028】
本発明の粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を顔料化して本発明のポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を製造する第3の方法としては、粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物又はその磨砕物を硫酸に湿潤させた後、水を加えるか水中に取り出すことによって顔料化する方法である。すなわち、粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物に対して硫酸換算で6〜10倍量の75〜98%硫酸に粗製銅フタロシアニン顔料組成物又はその磨砕物を湿潤させ、60〜90℃で3〜6時間攪拌した後、硫酸濃度が10〜25%となるように水を添加するか、又は、水中に取り出し、70〜90℃の範囲で加熱し、濾過・水洗・乾燥することによってポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を得る方法である。使用する硫酸量が6倍未満であると粗製銅フタロシアニン顔料組成物あるいは乾式磨砕された粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物が充分湿潤されず、水中に取り出しても顔料として使用できる品位とならない。また、10倍以上使用しても良いが、廃酸の処理コストが増えて好ましくない。さらに、硫酸濃度が75%未満でも粗製銅フタロシアニン組成物が充分湿潤されず、水中に取り出しても顔料として使用できる品位とならない。一方、98%以上の硫酸を使用しても良いが、それ以上高濃度の硫酸は容易に入手できなかったり、作業安全性や廃酸の処理等の問題があり好ましくない。さらに、ポリクロル銅フタロシアニンの一部がスルホン化されるといった現象も起こる場合もあるため好ましくない。
【0029】
本発明の粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を顔料化して得られる本発明のポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物は、着色剤として使用した場合、青緑色であり、かつ、従来の方法では得られなかった高彩度な色相を呈する。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例において、「部」及び「%」は、それぞれ『重量部』及び『重量%』を表わす。
【0031】
(実施例1)
攪拌機、温度計及び塩素導入管を備えた容量1リットルのガラス製オートクレーブに、クロルスルホン酸760部、粗製銅フタロシアニン150部、硫黄118部及びヨウ素7部を仕込み、粗製銅フタロシアニンを溶解させた後、室温下にて内圧が約3kg/cm-2Gとなるまで塩素ガスを徐々に吹き込んだ後、内圧を一定に保ちながら90℃まで加熱し、200部の塩素ガスが消費されるまで6時間反応させた。反応終了後、冷却しながら内圧を徐々に大気圧に戻した。反応混合物を水に投入し、濾過した後、濾取した生成物を水洗した後、乾燥させて380部の粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を得た。
【0032】
このようにして得た粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物の質量分析した結果、1分子中の塩素原子数が8〜13個であるポリクロル銅フタロシアニンが、それぞれ6、19、35、25、14及び1モル%であり、1分子中の平均塩素原子数が10個であるポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物であることが確認できた。
【0033】
このようにして得た粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物390部、キシレン220部及び食塩350部をニーダー中で混合した、次いで、食塩450部、ジエチレングリコール100部を加え、120〜130℃で3時間磨砕した後、この混合物を水に投入し、80〜90℃で1時間攪拌した。この混合物を濾過し、濾取した残渣を水洗した後、乾燥させてポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を得た。
【0034】
(実施例2)
実施例1で用いた粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物500部、キシレン50部及びオレイン酸20部からなる混合物をスチールボール14,000部が充填された容積が5リットルのアトライターに仕込み、2時間乾式磨砕した。
【0035】
次に、攪拌機、温度計、塩素導入管を備えた容量1リットルのステンレス製オートクレーブに得られた磨砕物40部、キシレン24部、水350部を仕込み、140℃で5時間加熱処理を行なった後、内温を下げ、キシレンを共沸蒸留によって留去させた。この混合物を濾過し、濾取した残渣を水洗した後、乾燥させてポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を得た。
【0036】
(実施例3)
実施例1で用いた粗製ポルクロル銅フタロシアニン顔料組成物50部を80%硫酸470部に室温下で湿潤させ、80℃で4時間攪拌した後、水4,000部中に投入し、80〜85℃で2時間攪拌した。この混合物を濾過し、濾取した残渣を水洗した後、乾燥させてポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を得た。
【0037】
(比較例1)
1分子中の平均塩素原子数が3個の粗製銅フタロシアニン顔料組成物330部、1分子中の平均塩素原子数が15.6個の銅フタロシアニングリーン520部からなる混合物390部を、実施例1と同様の方法で顔料化して、1分子中の平均塩素原子数が9.6個のポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を得た。
【0038】
このようにして得たポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物の質量分析した結果、1分子中の塩素原子数が0〜5個であるポリクロル銅フタロシアニンがそれぞれ1、3、7、18、17及び2モル%、1分子中の塩素原子数が14〜16個であるポリクロル銅フタロシアニンがそれぞれ1、10及び41モル%である顔料であることが確認できた。
【0039】
(比較例2)
実施例3の粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物に代えて、比較例1のポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を用いた以外は、実施例3と同様に顔料化して、1分子中の平均塩素原子数が9.6個のポリクロル銅フタロシアニン顔料を得た。
【0040】
(評価)
各実施例及び各比較例で得たポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を以下の方法にて評価し、その結果を表1にまとめて示した。
【0041】
(塗料作成条件)
ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物4.0gを、メラミンアルキッド混合ワニス(「ベッコゾール J−524−IM−60」/「スーパーベッカミン J−820−60」=7/3、いずれも大日本インキ化学工業(株)製)13.0g、シンナー(キシレン/ブタノ−ル=3/1)13.0g及びガラスビーズ(3mmφ)80gと共に、100mlガラスビンに採り、ペイントコンディショナーにて15分間分散させた後、前記ワニス(メラミンアルキッド混合ワニス)50gを追加し、更に5分間分散させて青緑色塗料を得た。
【0042】
別途、ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物に代えて酸化チタン顔料を用いた以外は同様にして、白塗料を得た。
【0043】
(色相/彩度)
得られた青緑色塗料を、ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物/TiO2 =1/10となるように、酸化チタン顔料からなる白塗料を用いて希釈した後、フィルムアプリケーターでアート紙上に展色し、140℃、20分間焼き付けて塗膜を作成した後、分光光度計を用いて色相(DL*、Da*、Db*) 及び彩度 (DC*)を測定した[表1]。
【0044】
【表1】
【0045】
表1において、DL*は塗膜の明度を表わし、 色相が近い場合には、その値が小さいほど着色力が大きいことを示す。Da*は色相の赤味〜緑味を表わし、 その値が小さいほど冴えた緑味であることを示している。 また、Db*は黄味〜青味を表わし、その値が大きいほど黄味方向に寄り、色相も冴えていることを示している。さらに、C*は彩度を表わし、 その値が大きいほど高彩度であることを示している。
【0046】
表1に示した結果から、実施例1〜3で得た顔料は、比較例で得た顔料と比較して、緑味に寄った色相であることがわかる。また、実施例1〜3で得た顔料は、比較例で得た顔料と比較して高彩度であることが理解できる。
【0047】
【発明の効果】
本発明の1分子中の塩素原子数が7個〜13個のポリクロル銅フタロシニンからなり、平均塩素原子数が9〜11個の範囲にあるポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物は、新規な青緑色顔料組成物であり、塗料、印刷インキ、プラスチックなどの着色剤として使用することにより、従来の顔料では得られなかった高彩度を呈する着色物として有用である。
Claims (9)
- 1分子中の塩素原子数が7個〜13個のポリクロル銅フタロシニンからなり、平均塩素原子数が9〜11個の範囲にあることを特徴とするポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物。
- 1分子中の塩素原子数が7個〜13個のポリクロル銅フタロシニンからなり、平均塩素原子数が9〜11個の範囲にあることを特徴とする粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物。
- 請求項2記載の粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を磨砕助剤、結晶化溶剤又は粘結剤中で顔料化することを特徴とする請求項1記載のポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物の製造方法。
- 請求項2記載の粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を磨砕助剤の不存在下で乾式磨砕した後、磨砕助剤、結晶化溶剤及び粘結剤中で顔料化することを特徴とする請求項1記載のポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物の製造方法。
- 請求項2記載の粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を結晶化溶剤又は水及び結晶化溶剤の存在下、高温で加熱処理することを特徴とする請求項1記載のポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物の製造方法。
- 請求項2記載の粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を磨砕助剤の不存在下で乾式磨砕した後、結晶化溶剤の存在下で加熱処理を行うことを特徴とする請求項1記載のポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物の製造方法。
- 請求項2記載の粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を硫酸に湿潤又は溶解させた後、水中に投入することによって顔料化することを特徴とする請求項1記載のポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物の製造方法。
- 請求項2記載の粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物を磨砕助剤の不存在下で乾式磨砕した後、硫酸に湿潤又は溶解し、水中に投入することによって顔料化することを特徴とする請求項1記載のポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物の製造方法。
- 硫酸の使用量が粗製ポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物に対し純硫酸換算で6〜10倍量の75〜98%硫酸であることを特徴とする請求項7又は8記載のポリクロル銅フタロシアニン顔料組成物の製造方法。
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