JP3850610B2 - ウィンドプロファイラ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、上空大気の風速ベクトルを計測する大気レーダであるウィンドプロファイラ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
風向・風速の情報は気象予報に必要な情報の一つである。風向・風速を計測する最も一般的な方法は、地上に風向・風速計を設置することであるが、その場合は、地上の風向・風速計では地表付近の風しか測定できない。気象予報をより正確にするためには、上空の風向・風速も知ることが必要であるが、従来はゾンデ等による観測でしか上空の風を計測することができなかった。ゾンデ観測では、ゾンデを上げた時刻のデータしか得ることができないため、観測の時間分解能が数時間以上と低いことが欠点であった。
【0003】
それに対して、近年、ウィンドプロファイラ装置と呼ばれる大気レーダにより、上空の風向・風速を計測する技術が確立されつつある。ウィンドプロファイラ装置では、1分〜数分毎に上空の風向・風速を計測することが可能となる。このような高い時間分解能により計測された上空の風情報は、気象予報の精度向上に有効となると期待されている。
【0004】
ここで、ウィンドプロファイラ装置で大気を計測する原理を説明する。ウィンドプロファイラ装置から送信された電波(ビーム)は、大気の屈折率の粗密が散乱体となって反射される。反射された電波はウィンドプロファイラ装置で受信される。散乱体が上空の風と共に流れていると、受信された電波はドップラ効果によって周波数が変化する。この周波数の変化を一般のドップラレーダと同様に検出することにより、上空の風速を測定する。ただし、ドップラレーダで直接計測される風速は、実際の風速の視線方向への射影成分のみとなる。そこで、ウィンドプロファイラ装置上空のある一定領域の風速分布が一様であると仮定して、ウィンドプロファイラ装置の観測方向を複数方向に変えて測定を行うことにより、3次元の風速ベクトルの合成を行う。
【0005】
図27はウィンドプロファイラ装置における3次元風速ベクトルの算出原理を説明する図である。図27(a)はウィンドプロファイラ装置におけるビーム方向の例を示す図である。この例では、東、西、南、北及び天頂方向の計5つの方向にビームを向けて観測している。天頂方向以外のビームの天頂角は、例えば10度程度に設定される。3次元風速ベクトルは、東西方向成分、南北方向成分、鉛直方向成分に分けることができる。鉛直方向成分は天頂方向に指向したビーム(以後天頂ビームと呼ぶ)で得られるドップラ速度そのものとなる。東西方向成分は東方向に指向したビーム(以後東ビームと呼ぶ。他の方角についても同様とする)のドップラ速度と西ビームのドップラ速度を使用して求めることができる。
【0006】
図27(b)は、東西方向に水平に風が吹いている場合に、東ビームと西ビームでどのようなドップラ速度が観測されるかを示した図である。図に示すように、西から東に風が吹いている場合には、西ビームでは近づく方向のドップラ速度が観測され、東ビームでは遠ざかる方向のドップラ速度が観測される。このように、異なるビーム方向で同一の風を観測すると、異なるドップラ速度が得られることから、ビーム間のドップラ速度の差異から水平風成分を算出することが可能となる。同様にして、北ビームと南ビームを用いれば、風速の南北方向成分を算出することができる。
【0007】
以上では、空中線から発射されるビームを5つの方向に向けて3次元風速ベクトルを求める場合について説明したが、3次元風速ベクトルを求めるためには、最低限3ビームを用いるだけでも良い。例として、ビームを天頂方向、東方向、北方向に向けた場合を考える。風速の鉛直方向成分は、天頂ビームのドップラ速度と一致する。風速の東西方向成分は、東ビームのドップラ速度から鉛直方向成分を差し引くことにより算出できる。また、風速の南北方向成分は、北ビームのドップラ速度から鉛直方向成分を差し引くことにより算出できる。
【0008】
複数の方向にビームを向けるために、複数の反射鏡型空中線等のフェーズドアレイタイプでない空中線を用いる場合には、通常、ビーム方向の数だけ反射鏡が用いられる。そのため、ビーム本数を3次元風速ベクトル算出に最低限必要な3つとし、反射鏡の数を最小限必要な3つとしていることが多い。それに対して、フェーズドアレイを用いたウィンドプロファイラ装置では、一つの空中線でビームを瞬時に切換えることができるため、図27(a)に示したように、東、西、南、北及び天頂方向の5つの方向にビームを走査することが多い。
【0009】
このようなウィンドプロファイラ装置の従来技術を示す文献として、例えば、Hashiguchi et al.,Observations of the planetary boundary layer over equatorial Indonesia with an L band clear−air Doppler radar:Initial results,Radio Science,vol.30,no.4,pp.1043−1054,1995では、3つのパラボラ型空中線を用いて、天頂、東、北の3つの方向を観測し、風速ベクトルを測定する装置について説明している。
【0010】
また、Carter et al.,Development in UHFlower troposheric wind profiling atNOAA’s Aeronomy Laboratory,Radio Science,vol.30,no.4,pp.977−1001,1995では、固定型の3つの空中線を用いる種類の装置の説明に加えて、フェーズドアレイ型の空中線を用いて、5方向にビームを指向する種類の装置について紹介している。そして、方位角が180度異なる斜め方向の2つのビーム(例えば東ビームと西ビーム)のドップラ速度から、水平風(東西風)を求めることを示している。
【0011】
このように、フェーズドアレイを用いたウィンドプロファイラ装置では、通常5つのビーム方向を観測して3次元風速ベクトルを計測するが、3次元風速ベクトル算出に最低限必要なビーム本数は3であり、ビーム本数が5本の観測は冗長性のあるものと言える。実際には、従来のフェーズドアレイ方式のウィンドプロファイラ装置では、3次元風速ベクトルの3成分のうち、鉛直風は天頂ビームのドップラ速度をそのまま利用し、東西風は東ビームと西ビームのドップラ速度から算出し、南北風は北ビームと南ビームからドップラ速度を算出するというように、成分毎に用いるビームは固定されていた。即ち、従来は冗長性を利用したデータ処理は行われていなかった。
【0012】
次に、ウィンドプロファイラ装置による風速ベクトル算出における課題について説明する。一般にウィンドプロファイラ装置では、風速の空間的一様性を仮定することにより3次元ベクトルを求める。上空大気の流れは、高度が高くなるに従って地表面の影響を受けにくくなるため、風速の空間的一様性が高くなる。しかし、低い高度では、大気の流れが地表面の影響を受けるため、風速の空間的一様性が低下する。大気の流れの一様性が低くなると、風速ベクトル算出精度が劣化する。特に低い高度領域で精度劣化の可能性が高くなる。
【0013】
図28は従来のウィンドプロファイラ装置の構成を示すブロック図である。図において、1は大気に向けて複数の方向にビームを発射すると共に大気で反射された反射エコーを受信する空中線、2は大気に向けて発射する複数のビームを生成して空中線1に出力すると共に、空中線1が受信した大気の反射エコーを入力して複素受信信号(Iビデオ信号及びQビデオ信号)を生成する送受信手段、3は送受信手段2が生成した複素受信信号からドップラスペクトルを求めて、ビーム毎、高度毎にスペクトルピークに対応するドップラ速度を算出するドップラ速度算出手段、6はドップラ速度算出手段3が算出したドップラ速度を使用して、高度毎に風速ベクトルを算出する風速ベクトル算出手段である。
【0014】
図29は従来の風速ベクトル算出状況を説明する図である。この図では、特に東西風の算出状況を説明するために、天頂ビーム、東ビーム、西ビームで得られるデータについて説明している。図における3つのグラフは、左からそれぞれ、西ビーム、天頂ビーム、東ビームで得られたドップラ速度であり、横軸がドップラ速度、縦軸が高度を示している。天頂ビームで得られたドップラ速度は、そのまま風速の鉛直方向成分となる。また、西ビームと東ビームのドップラ速度を使用して、風速の東西方向成分が算出される。
【0015】
大気の流れが同一高度で空間的に一様となる高度では、東ビームと西ビームのデータから算出される東西風、東ビームと天頂ビームのデータから算出される東西風、西ビームと天頂ビームのデータから算出される東西風は全て一致し、各ビーム間で整合がとれている。ところが、ウィンドプロファイラ装置上空のある高度において、大気の流れの不均一領域が西側に存在したとすると、西ビームのみ空間的不均一の影響を受けるために、ビームの選択の仕方により算出される東西風が異なってしまい、各ビーム間で各不整合となる。
【0016】
フェーズドアレイ型空中線を用いた装置において、水平風算出のために、どの方向にビームを指向すれば良いかについては、例えば特開平10−197549号公報でも述べられている。本先行技術によると、「水平面内の風速の分布の均一度が良好」な条件においては、方位角が180度異なる斜め方向の2つのビームのドップラ速度から風速を求めることが良いとしている。また、「水平面内の風速の分布の均一度が良好でない」条件では、天頂方向とこの天頂方向から傾いた斜め方向の2つのビームのドップラ速度から風速を算出するのが良いとしている。
【0017】
そして、「水平面内の風速の分布の均一度が良好でない」例として、「測定装置が海岸に設置されている場合、一方の測定箇所は海面の上空で、他方の測定箇所が陸地の上空となり、各箇所の風速がある程度異なる」という状況を挙げ、設置場所によって観測方法を切換えることを述べている。しかしながら、地形が上空の風に及ぼす影響は複雑であり、同じ場所であっても気象条件によりその影響が変化する。よって、本先行技術では、観測方法の選択を経験的に行う必要があり、実際には観測方法を最適にすることが難しいという課題があった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
従来のウィンドプロファイラ装置は、以上のように、上空の風の流れが同一高度で空間的に一様であることを前提にしており、空間的一様性が低くなると、風速ベクトル算出精度が劣化したり、風速ベクトルが算出できないという課題があった。
【0019】
また、風の空間的一様性に応じて、空中線のビーム方向を選択するとしても、従来技術では、その選択を経験的な判断で行う必要があり、観測方法を最適化することが実質上困難であるという課題があった。
【0020】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、上空の大気観測において、観測の冗長性を利用することにより、大気の流れの空間的一様性の度合を判断して、一様性が低い場合にも、3次元風速ベクトルの算出を精度良く行うことができるウィンドプロファイラ装置を得ることを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るウィンドプロファイラ装置は、大気に向けて複数の方向にビームを発射し、上記大気の反射エコーを受信して複素受信信号を生成する送受信手段と、上記複素受信信号からドップラスペクトルを求めて、上記ビーム毎、高度毎にスペクトルピークに対応するドップラ速度を算出するドップラ速度算出手段と、上記高度毎に算出した上記ドップラ速度の上記ビーム間の整合性を確認し、確認した高度毎の上記ビーム間の整合性と上記ドップラ速度を出力するビーム間整合性確認手段と、上記確認されたビーム間の整合性に基づき、風速ベクトルを算出するための高度毎のビームの組合せを選択し、選択した高度毎の上記ビームの組合せと上記ドップラ速度を出力するビーム選択手段と、選択した高度毎の上記ビームの組合せと上記ドップラ速度に基づき、高度毎に風速ベクトルを算出する風速ベクトル算出手段とを備えたものである。
【0022】
この発明に係るウィンドプロファイラ装置は、ビーム間整合性確認手段が、ビーム毎、高度毎のドップラ速度を用いて、高度毎に上記ビームの複数個の組合せによる風速ベクトルを試算し、試算した風速ベクトルの差を所定のしきい値と比較することにより、高度毎に風速ベクトルの一致度を判定して、上記ドップラ速度の上記ビーム間の整合性を確認するものである。
【0023】
この発明に係るウィンドプロファイラ装置は、ビーム選択手段が、ビーム間整合性確認手段から出力されたビーム間の整合性が高い場合は予め定められた所定のビームの組合せを高度毎に選択し、ビーム間の整合性が低い場合は各ビームについてドップラ速度の距離方向の連続度を算出し、距離方向にドップラ速度が連続しているビームの組合せを高度毎に選択するものである。
【0024】
この発明に係るウィンドプロファイラ装置は、ビーム選択手段が、所定の窓長を有する距離方向の中央値フィルタを使用してドップラ速度の距離方向の連続度を算出するものである。
【0025】
この発明に係るウィンドプロファイラ装置は、ビーム選択手段が、ビーム間整合性確認手段から出力されたビーム間の整合性が高い場合は予め定められた所定のビームの組合せを高度毎に選択し、ビーム間の整合性が低い場合は各ビームについてドップラ速度の時間方向の連続度を算出し、時間方向にドップラ速度が連続しているビームの組合せを高度毎に選択するものである。
【0026】
この発明に係るウィンドプロファイラ装置は、ビーム選択手段が、所定の窓長を有する時間方向の中央値フィルタを使用してドップラ速度の時間方向の連続度を算出するものである。
【0027】
この発明に係るウィンドプロファイラ装置は、ビーム間整合性確認手段が、ビーム毎、高度毎のドップラ速度を用いて、高度毎に上記ビームの複数個の組合せによる風速ベクトルを試算し、試算した風速ベクトルの差を所定のしきい値と比較することにより、高度毎に風速ベクトルの一致度を判定して、上記ドップラ速度の上記ビーム間の整合性を確認し、全てのビームでドップラ速度の整合が確認されなかった場合に、一部のビームを組み合わせて部分的な整合性が取れないかを確認し、ビーム間の部分的整合性を出力するものである。
【0028】
この発明に係るウィンドプロファイラ装置は、ビーム間整合性確認手段が、高度毎に上記ドップラ速度のビーム間の整合性を確認できない場合に、ドップラ速度算出手段が、ビーム毎、高度毎に他のスペクトルピークに対応するドップラ速度を算出するものである。
【0029】
この発明に係るウィンドプロファイラ装置は、ドップラ速度算出手段が、算出した低い高度のドップラ速度をビーム間整合性確認手段に出力し、算出した高い高度のドップラ速度をビーム選択手段に出力するものである。
【0030】
この発明に係るウィンドプロファイラ装置は、ビーム間整合性確認手段によるビーム間整合性の確認結果に基づき、送受信手段が発射するビーム本数又はビーム方向を制御するビーム発射制御手段を備えたものである。
【0031】
この発明に係るウィンドプロファイラ装置は、ビーム間整合性確認手段によるビーム間整合性が低いときに、ビーム発射制御手段がビーム本数を増加するものである。
【0032】
この発明に係るウィンドプロファイラ装置は、ビーム間整合性確認手段によるビーム間整合性が低いときに、ビーム発射制御手段がビームの仰角を大きくするものである。
【0033】
この発明に係るウィンドプロファイラ装置は、大気に向けて複数の方向にビームを発射し、上記大気の反射エコーを受信して複素受信信号を生成する送受信手段と、上記複素受信信号からドップラスペクトルを求めて、上記ビーム毎、高度毎に複数のスペクトルピークに対応する複数のドップラ速度を算出する複数ドップラ速度算出手段と、上記高度毎に、上記複数のドップラ速度の中から、ビーム間で整合するように各ビームのドップラ速度を選択して出力するドップラ速度選択手段と、選択した高度毎の上記各ビームのドップラ速度に基づき、高度毎に風速ベクトルを算出する風速ベクトル算出手段とを備えたものである。
【0034】
この発明に係るウィンドプロファイラ装置は、大気に向けて複数の方向にビームを発射し、上記大気の反射エコーを受信して複素受信信号を生成する送受信手段と、上記複素受信信号からドップラスペクトルを求めて、上記ビーム毎、高度毎に複数のスペクトルピークに対応する複数のドップラ速度を算出する複数ドップラ速度算出手段と、上記高度毎に、上記複数のドップラ速度の中から、ビーム間で整合するように全てのビームのドップラ速度を選択して出力するドップラ速度選択手段と、選択した高度毎の上記全てのビームのドップラ速度に基づき、高度毎に風速ベクトルの平均値を算出する平均風速ベクトル算出手段とを備えたものである。
【0035】
この発明に係るウィンドプロファイラ装置は、大気に向けて複数の方向にビームを発射し、上記大気の反射エコーを受信して複素受信信号を生成する送受信手段と、上記複素受信信号からドップラスペクトルを求めて、上記ビーム毎、高度毎にスペクトルピークに対応するドップラ速度を算出するドップラ速度算出手段と、上記高度毎に算出した上記ドップラ速度の上記ビーム間の整合性を確認する際に、全ビームのうちの一部のビームを組合せたときに、部分的な整合性が取れないかを確認し、確認した高度毎の上記ビーム間の部分的整合性と上記ドップラ速度を出力するビーム間整合性確認手段と、上記確認されたビーム間の部分的整合性に基づき、風速ベクトルを算出するための高度毎のビームの組合せを全て選択し、選択した高度毎の上記ビームの全ての組合せと上記ドップラ速度を出力するビーム選択手段と、選択した高度毎の上記ビームの全ての組合せと上記ドップラ速度に基づき、高度毎に複数の風速ベクトルを算出する風速ベクトル算出手段とを備えたものである。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるウィンドプロファイラ装置の構成を示すブロック図である。図において、1は大気に向けて複数の方向にビームを発射すると共に大気で反射された反射エコーを受信する空中線、2は大気に向けて発射する複数のビームを生成して空中線1に出力すると共に、空中線1が受信した大気の反射エコーを入力して複素受信信号(Iビデオ信号及びQビデオ信号)を生成する送受信手段、3は送受信手段2が生成した複素受信信号からドップラスペクトルを求めて、ビーム毎、高度毎にスペクトルピークに対応するドップラ速度を算出するドップラ速度算出手段である。
【0041】
また、図1において、4はドップラ速度算出手段3が高度毎に算出したドップラ速度について、高度毎に各ビーム間の整合性を確認し、確認した高度毎のビーム間の整合性と、ビーム毎、高度毎のドップラ速度を出力するビーム間整合性確認手段、5はビーム間整合性確認手段4により確認されたビーム間の整合性に基づき、風速ベクトルを算出するための高度毎のビームの組合せを選択し、選択した高度毎のビームの組合せと、ビーム毎、高度毎のドップラ速度を出力するビーム選択手段、6はビーム選択手段5が選択した高度毎のビームの組合せとドップラ速度に基づき、高度毎に風速ベクトルを算出する風速ベクトル算出手段である。
【0042】
次に動作について説明する。
図2はこの発明の実施の形態1による風速ベクトル算出方法の処理フローを示す図である。ステップST11において、ドップラ速度算出手段3は、送受信手段2が生成した複素受信信号からドップラスペクトルを求めて、ビーム毎、高度毎にスペクトルピークに対応するドップラ速度を算出する。ステップST12において、ビーム間整合性確認手段4は、ドップラ速度算出手段3が算出したドップラ速度について、高度毎にビーム間の整合性を確認し、確認した整合性と、ビーム毎、高度毎のドップラ速度を出力する。
【0043】
ステップST13において、ビーム選択手段5は、ビーム間整合性確認手段4により確認された整合性に基づき、風速ベクトルを算出するための高度毎の任意のビームの組合せを選択し、選択した高度毎のビームの組合せと、ビーム毎、高度毎のドップラ速度を出力する。ここでは、上記ステップST12でビーム間の整合性が高い場合には、ビーム選択手段5は風速ベクトルを算出するための予め定められた所定のビームの組合せを選択し、ビーム間の整合性が低い場合には、ビーム選択手段5はドップラ速度の距離方向又は時間方向の連続度が高いビームから風速ベクトルを算出するためのビームの組合せを選択する。そして、ステップST14において、風速ベクトル算出手段6は、ビーム選択手段5が選択した高度毎のビームの組合せとドップラ速度に基づき、高度毎に風速ベクトルを算出する。
【0044】
図3はビーム間整合性確認手段4の処理フローを示す図である。ステップST121において、ビーム間整合性確認手段4は、ドップラ速度算出手段3により算出されたビーム毎、高度毎のドップラ速度を用いて、高度毎にビームの複数個の組合せによる風速ベクトルを試算する。ステップST122において、ビーム間整合性確認手段4は、試算した風速ベクトルの差を所定のしきい値と比較することにより、高度毎に風速ベクトルの一致度を判定して、ドップラ速度のビーム間の整合性を確認する。
【0045】
図4はビーム選択手段5の処理フローを示す図である。ステップST131において、ビーム選択手段5は、ビーム間整合性確認手段4から出力されたビーム間の整合性が高い場合は、各ビームについて、ドップラ速度の高度方向の連続度、即ち距離方向の連続度を算出する。ステップST132において、ビーム選択手段5は、ドップラ速度が距離方向に連続しているビームの組合せを選択し、選択したビームの組合せと、ビーム毎、高度毎のドップラ速度を出力する。なお、上記図3のステップST122で、各ビーム間の整合性が高い場合には、上記ステップST131の処理を行わずに、ステップST132において、ビーム選択手段5は、例えば、東西風は東ビームと西ビーム、鉛直風は天頂ビームというように、予め定められた所定のビームの組合せを高度後に選択する。
【0046】
ここでは、東、西、南、北及び天頂の計5つの方向にビームを切換える場合を想定する。もし上空大気の流れが、ある高度の水平面内で一様であれば、天頂ビーム、東ビーム、西ビームの3つのビームのうちで、どの2つのビームのデータを選択しても、その高度の東西風と鉛直風の値は同じとなる。
【0047】
ところが、上空大気の流れの不均一が大きい場合には、選択するビームの組合せによって東西風及び鉛直風の値は異なるものとなる。図5はドップラ速度のビーム間整合性を説明する図である。例えば、西、天頂、東の3つのビームによって得られたドップラ速度が、図5に示すような状況である場合、西ビームの1高度点において、風の場が乱れていることにより、この高度においては、どの2つのビームを選択するかによって、算出される東西風と鉛直風が異なる値となる。すなわち、この高度でビーム間の整合性がとれなくなり不整合となる。図に示すように、東西風を求める場合に、不整合となる高度においては天頂ビームと東ビームを採用し、それ以外の整合している高度においては東ビームと西ビームを採用する。
【0048】
図6はビーム間整合性確認の原理を説明する図である。ここで、ビーム間整合性確認手段4は、図3のステップST121とステップ122において、ビーム間整合性を例えば図6のようにして求める。この図において、風速ベクトルVAは東ビームと西ビームから東西風と鉛直風を算出したもの、風速ベクトルVBは東ビームと天頂ビームから東西風と鉛直風を算出したものである。ビーム間の整合性がとれていない場合、風速ベクトルVAと風速ベクトルVBが一致しないことになる。そこで、両ベクトルの差の大きさを、試算した風速ベクトルの一致度、すなわち、ビーム間整合性の一致度を示す値とし、この大きさが予め定めておいた所定のしきい値を超える場合に、ビーム間整合性が低く不整合であると判定する。
【0049】
ビーム間に不整合がある場合にも、大気の乱れが空間的に局所的なものであるとすると、ドップラ速度の高度方向の連続性、即ち距離方向の連続性を調べることにより、空間的に局所的な風がどこにあるかを知ることができる。そこで、ビーム間整合性が低い場合に、各ビームにおいて、その高度のデータが距離方向で不連続となっていないかどうかを調べる。図5の場合、ビーム間整合性が低い高度では、西ビームが距離方向に不連続となっていることから、西ビームが局所的な風を観測していると判断する。
【0050】
図7はドップラ速度の距離方向の連続度を調べる方法を示す図である。ドップラ速度の距離方向の連続度は、例えば図7により知ることができる。図において、図7(a)のグラフは観測されたドップラ速度の高度(即ち距離)分布を示している。このドップラ速度のデータの不連続度を以下のようにして検出する。まず図7(a)に示すデータに、所定の窓長を有する距離方向の中央値フィルタを施すことにより、図7(b)に示すようにデータの連続成分を求めて、元のドップラ速度のデータと求めたデータの連続成分の差を、図7(c)に示すデータの不連続成分として抽出し、データの不連続度を示す指標とする。このデータの不連続成分が所定のしきい値を越えた場合に、データの不連続度が検出されたと判断する。この中央値フィルタは、インパルス性雑音等の不要応答を除去するために使用されもので、その特性は経験的に設定された所定の窓長により決定される。
【0051】
このように、ビーム間整合性確認手段4により確認された不整合の生じた高度について、ビーム選択手段5が、図4に示すステップST131において、それぞれのビームについてドップラ速度の不連続度を計算すれば、どのビームが距離方向に不連続であるかを判断することができる。
【0052】
上記図5の例では、ある高度において、西ビームのみが不連続である場合を示しているが、同じ高度において、西ビームと天頂ビーム又は東ビームの2つのビームに不連続が発生している場合には、不連続度の低いビームを採用するか、この高度のデータを欠損扱いとする。
【0053】
以上のように、この実施の形態1によれば、上空の風の空間分布が一様でない場合にも、ビーム間整合性確認手段4がビーム間の整合性を確認することにより風の非一様性を検出し、ビーム選択手段5が各ビームについてドップラ速度の距離方向の連続度を調べて、一様な風の流れを観測しているビームの組合せを選択し、風速ベクトル算出手段6が、選択されたビームの組合せと、ドップラ速度を用いて風速ベクトルを算出することにより、大気の一様性が低い場合にも、精度良く風速ベクトルを算出することができるという効果が得られる。
【0054】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、ドップラ速度の距離方向の連続度を調べることにより、風の流れの不均一な部分を検出し、その不均一性の影響を受けないビームを選択することにより風速ベクトルを求めているが、風速の不均一性は、空間的な距離方向だけでなく、時間方向にも不連続であることが多い。そこで、この実施の形態2は、不均一領域の検出のために時間方向の連続度を調べるものである。この実施の形態2によるウィンドプロファイラ装置の構成及び風速ベクトル算出方法の処理フローは、実施の形態1の図1及び図2と同じである。
【0055】
次に動作について説明する。
図8はこの実施の形態2によるビーム選択手段5の処理フローを示す図であり、図9はドップラ速度の時間方向の連続度を調べる方法を示す図である。図2のステップST12で、ビーム間のドップラ速度の整合性が低いと判断された場合、不均一な風の流れは時間的に局所的であるとすると、不均一性の影響を受けたビームでは時間的な不連続が生じる。そこで、図8のステップST133において、ビーム選択手段5は、不整合の生じた高度において、図9に示すように各ビームの時間方向の連続度を調べる。
【0056】
即ち、ある1つのビームのドップラ速度のデータから過去何点かの一定距離(高度)のドップラ速度のデータを抽出し、所定の窓長を有する時間方向の中央値フィルタを使用して、過去の平均的なドップラ速度から、データを処理している現時点のドップラ速度が大きく離れていないかどうかを調べる。過去の平均的な値としては、例えば過去のデータの中央値を採用する。図9の場合、過去のドップラ速度値が中央値からの所定のしきい値内に分布しているのに対し、現時点の値は中央値から所定のしきい値外に大きく離れているため、時間方向の不連続が生じていると判断する。このように、現時点の値と中央値との差を、時間方向の連続度を示す指標として用いる。なお、この時間方向の中央値フィルタは、インパルス性雑音等の不要応答を除去するために使用され、その特性は経験的に設定された所定の窓長により決定される。
【0057】
ステップ134において、ビーム選択手段5は、時間方向にドップラ速度が連続しているビームの組合せを、風速ベクトルの算出に使用するビームの組合せとして選択し、選択したビームの組合せと、ビーム毎、高度毎のドップラ速度を出力する。なお、上記図3のステップST122において、各ビーム間の整合性が高い場合には、上記ステップST133の処理を行わずに、ステップST134において、ビーム選択手段5は、例えば、東西風は東ビームと西ビーム、鉛直風は天頂ビームというように、予め定められた所定の組合せを選択する。
【0058】
また、例えば、西ビーム、天頂ビーム、東ビームの3つのビームのドップラ速度について、ビーム間の整合性を確認する場合に、同一高度において2つのビームに時間的な不連続が発生している場合には、不連続度の低いビームを採用するか、この高度のデータを欠損扱いとする。
【0059】
以上のように、この実施の形態2によれば、上空の風の空間分布が一様でない場合にも、ビーム整合性確認手段4がビーム間の整合性を確認することによって風の非一様性を検出し、ビーム選択手段5が各ビームについてドップラ速度の時間方向の連続度を調べることにより、一様な風の流れを観測しているビームの組合せを選択し、風速ベクトル算出手段6が、選択されたビームの組合せとドップラ速度を用いて風速ベクトルを算出することにより、大気の一様性が低い場合にも、精度良く風速ベクトルを算出することができるという効果が得られる。
【0060】
実施の形態3.
上記実施の形態1及び実施の形態2では、例えば3つのビームに対してビーム間の整合性を確認している。これはビーム間の整合性を確認するには少なくとも3つのビームが必要になるからである。この場合は、3つのビーム全てのビーム間の整合性を確認していることになる。しかし、ウィンドプロファイラ装置のビーム数が多い場合には、全てのビームで整合性が取れなくても、一部のビーム組合せにおいてドップラ速度のビーム間の整合性が取れる場合がある。そこで、この実施の形態3はビーム間の部分的整合性の取れたビームのドップラ速度のみを用いて風速ベクトルを算出するものである。この実施の形態3によるウィンドプロファイラ装置の構成及び風速ベクトル算出方法の処理フローは、実施の形態1の図1及び図2と同じである。
【0061】
次に動作について説明する。
図10はこの発明の実施の形態3によるビーム間整合性確認手段4の処理フローを示す図である。図において、ステップST121,ST122は、実施の形態1の図3に示す処理と同じである。例えば東西面内に、天頂角αの東ビーム、天頂角βの東ビーム、天頂ビーム、天頂角βの西ビーム、天頂角αの西ビームの計5本のビームが向けられたとする。ただし、α>βとする。もし、ウィンドプロファイラ装置上空の東側の領域で風が乱れていたために、5本のビーム間でのドップラ速度の整合性が低かったとする。この場合でも、天頂から西側の領域で風が一様に流れていれば、天頂ビーム、天頂角βの西ビーム、天頂角αの西ビームの3つのビームでは、ビーム間の部分的整合性が取れることになる。よって、これら3つのビームのドップラ速度を用いれば、正しく風速ベクトルを求めることができる。
【0062】
そこで、図10のステップST122の風速ベクトル一致度の判定で、全ビーム間の整合性がないと判定された場合には、ステップST123において、ビーム間整合性確認手段4は、全ビームのうちの一部のビームを組合せたときに、部分的整合性が取れないかどうかを確認し、その部分的整合性の確認結果とドップラ速度を出力する。部分的整合性の確認については、具体的には、天頂ビームと複数の西ビームの間での部分的整合性、天頂ビームと複数の東ビームの間での部分的整合性を確認すれば良い。また、ある1ビームのみで地形や鳥等によるクラッタが混入した可能性を考慮して、複数ビームのうちの1つのビームのみを除外して部分的整合性を確認しても良い。
【0063】
ビーム間整合性確認手段4が出力する部分的な整合性の度合いとして、実施の形態1の図6における|VA−VB|の値を使用する。ただし、この実施の形態では、多数のビーム方向で観測しているので、選択したビーム間の整合性の度合いは、選択したビーム間整合性の度合いの平均値を用いる。例えば、水平風A,B,Cの3つの場合の整合性の度合いは、
(|VA−VB|+|VB−VC|+|VC−VA|)/3
より求める。
【0064】
以上のように、この実施の形態3によれば、上空大気の風の一様性が低い場合も、ビーム間整合性確認手段4がドップラ速度のビーム間の部分的整合性を確認し、ビーム選択手段5が一様な風の流れを観測しているビームの組合せを選択し、風速ベクトル算出手段6が、選択されたビームの組合せとドップラ速度により風速ベクトルを算出することが可能となるため、風速ベクトルを欠損なく算出でき、風速ベクトルの算出率を向上することができるという効果が得られる。
【0065】
実施の形態4.
上記の実施の形態では、ドップラ速度算出手段3が算出した各ビームのドップラ速度に対して、どのビームのドップラ速度を用いるかによって、風速ベクトル算出の精度を向上していたが、この実施の形態では、ビーム間整合性確認手段4によるビーム間の整合性の確認結果を、ドップラ速度算出手段3にフィードバックすることにより、風速ベクトル算出の精度を向上させるものである。
【0066】
図11はこの発明の実施の形態4によるウィンドプロファイラ装置の構成を示すブロック図である。基本的な構成は、上記実施の形態1の図1に示す構成と同等であるが、この実施の形態4におけるドップラ速度算出手段3は、送受信手段2が生成した複素受信信号からドップラスペクトルを求めて、ビーム毎、高度毎にドップラ速度を算出すると共に、ビーム間整合性確認手段4によるビーム間の整合性の確認結果により、ドップラスペクトルにおける他のピークスペクトルに対応するドップラ速度を算出する。
【0067】
次に動作について説明する。
図12はこの発明の実施の形態4による風速ベクトル算出方法の処理フローを示す図である。ドップラ速度算出手段3によるステップST11の処理、及びビーム間整合性確認手段4によるST12の処理は、上記実施の形態1と同様の処理である。ステップST21において、ビーム間の整合性が高い場合には、ステップST13,ST14において、実施の形態1と同様にして処理を行い風速ベクトルを算出する。
【0068】
上記ステップST21で、ビーム間の整合性が低い場合には、ステップST11に戻り、ドップラ速度算出手段3は、複素受信信号から算出したドップラスペクトルが複数のピークを持つ場合に、他のスペクトルピークに対応するドップラ速度を算出してビーム間整合性確認手段4に出力する。ステップST12において、ビーム間整合性確認手段4は、他のピークスペクトルに対応するドップラ速度について、ビーム間の整合性を確認し、ステップST21に移行する。
【0069】
図13はドップラスペクトルが複数のスペクトルピークを持つ場合のドップラ速度のビーム間の整合性を説明する図である。この場合、ビーム間整合性確認手段4が、ドップラ速度算出手段3により算出されたドップラ速度のビーム間の整合性を確認すると、ある高度でビーム間の整合性が低いことが確認される。その原因は、西ビームにおけるドップラ速度の算出において、図13の上部に示したように、ドップラスペクトル中に複数のスペクトルピークが存在したためである。このような状況となる原因としては、SN比が低いためスペクトルピークの検出を誤ったり、地形や鳥等によるクラッタエコーが大気エコーに混入したり、西ビーム照射範囲内に風の乱れがありレーダ分解能セル内に複数の流れが存在したことが考えられる。
【0070】
図13の場合、西ビームではドップラスペクトル上の第2ピークを検出するべきところを、第1ピークを検出してドップラ速度を求めたために、天頂ビーム及び東ビームと整合が取れなくなったわけである。そこで、図12のステップST21において、ビーム間の整合性が低い場合に、ステップST11に戻り、ドップラ速度算出手段3は各ビームのドップラスペクトル上に第2ピークが存在するかどうかを確認し、もし第2ピークがあれば、その第2ピークに対応するドップラ速度を算出して、ビーム間整合性確認手段4に出力する。
【0071】
ビーム間整合性確認手段4は、ステップST12において、第2ピークに対応するドップラ速度についてビーム間の整合性を確認する。第2ピークは複数のビームで検出される可能性があるため、ステップST21において、ビーム間の整合性が高いことを確認できるまで、各ビームで第1ピーク又は第2ピークいずれかを選択する組合せ全ての場合について、ドップラ速度を算出してビーム間の整合性の確認を行う。
【0072】
ビーム間で第1ピーク、第2ピークをどのように組合せても、ドップラ速度のビーム間の整合が低い場合には、第3ピーク以降を使っても良い。ただし、ピーク数が多くなると、ビーム間のスペクトルピークの組合せの数が膨大となるため、スペクトルピークに対応するドップラ速度の計算には適当な制限を設けても良い。
【0073】
ステップST21において、ビーム間の整合性が高い場合には、ステップST13において、ビーム選択手段4が、予め定めた所定のビームの組合せを選択すれば良いが、例えば、できるだけ第1ピークが選択されたビームを用いるという選択基準により選択しても良い。ステップST14の処理は、実施の形態1の図2のステップST14の処理と同等である。
【0074】
また、上記ステップST21において、ビーム間の整合性が低い場合には、実施の形態1又は実施の形態2のように、距離方向・時間方向の大気の連続度を考慮したビーム選択を行っても良い。
【0075】
以上のように、この実施の形態4によれば、上空大気の風の一様性が低い場合も、ビーム間整合性確認手段4がドップラ速度のビーム間の整合性を確認し、ビーム間の整合性が低い場合に、ドップラ速度算出手段3がドップラスペクトルの他のスペクトルピークに対応するドップラ速度を算出することにより、大気エコーのドップラ速度の算出精度が向上するため、風速ベクトルの算出精度を向上させることができるという効果が得られる。
【0076】
実施の形態5.
上記実施の形態4では、ドップラスペクトル上にスペクトルピークが複数存在する場合に、ビーム間の整合性の確認結果に応じて、他のスペクトルピークに対応するドップラ速度を算出することにより問題を解決したが、この実施の形態5は、複数のスペクトルピークがある際には、予め複数のスペクトルピークにそれぞれ対応する複数のドップラ速度を算出し、算出された複数のドップラ速度の中から、ビーム間の整合性がとれるようなドップラ速度を選択するものである。
【0077】
図14はこの発明の実施の形態5によるウィンドプロファイラ装置の構成を示すブロック図である。図において、13はドップラスペクトル上にスペクトルピークが複数存在する場合に、ビーム毎、高度毎に複数のスペクトルピークに対応する複数のドップラ速度を算出する複数ドップラ速度算出手段、15は高度毎に、複数のドップラ速度の中から、ビーム間の整合性が最も整合するように、各ビームのドップラ速度を選択するドップラ速度選択手段であり、その他の構成は実施の形態1の図1に示す構成と同等である。
【0078】
次に動作について説明する。
図15はこの発明の実施の形態5による風速ベクトル算出方法の処理フローを示す図である。ステップST31において、複数ドップラ速度算出手段13は、複素受信信号から求めたドップラスペクトル上に、複数のスペクトルピークが存在する場合には、複数のスペクトルピークに対応する複数のドップラ速度を算出する。
【0079】
ステップST32において、ドップラ速度選択手段15は、複数ドップラ速度算出手段13から出力された複数のドップラ速度の中から、高度毎にビーム間の整合性が最も整合するようにビームのドップラ速度を選択して出力する。
【0080】
図16はドップラ速度選択手段15の処理フローを示す図である。ドップラ速度の選択手順について、例えば東西風、鉛直風を求める場合には、初めに2つのビームから第1ピークのドップラ速度を選択し、それらのドップラ速度と整合するようなドップラ速度を残りのビームから選択する。ステップST321において、東ビームと西ビームの第1ピークから算出されたドップラ速度を選択する。これら2つのドップラ速度が上空の一様な風によるものであるとすると、天頂ビームでもその風に対応するスペクトルピークが存在するはずである。そこで、ステップST322において、東ビームと西ビームのドップラ速度から算出された鉛直風に対応するドップラ速度が、複数ドップラ速度算出手段13で得られた天頂ビームの複数のドップラ速度の算出結果の中に含まれているかどうかを確認し、含まれていれば、その天頂ビームのドップラ速度を抽出する。
【0081】
同様にして、ステップST323において、東ビームと天頂ビームの第1ピークから算出されたドップラ速度を選択し、ステップST324において、それに対応するドップラ速度を西ビームから抽出し、また、ステップST325において、西ビームと天頂ビームの第1ピークから算出されたドップラ速度を選択し、ステップST326において、それに対応するドップラ速度を東ビームから抽出することを試みる。
【0082】
以上の手順により、全てのビームのドップラ速度が整合し、かつ少なくとも2つのビームにおいて、第1ピークのドップラ速度が選択されるような組合せが得られる。しかし、場合によっては、この処理だけでは適切なドップラ速度の組合せが得られないことがある。その際は、1つのビームから第1ピークのドップラ速度を選択し、もう1つのビームから第2ピークのドップラ速度を選択し、それらのドップラ速度と整合するようなドップラ速度を残りのビームから選択する。さらに、それでも適切なドップラ速度の組合せが得られない場合には、2つのビームで第2ピークのドップラ速度を選択し、それらのドップラ速度と整合するようなドップラ速度を残りのビームから選択する。このようにして、順次、レベルの低いピークのドップラ速度を用いて、整合性のあるドップラ速度の組合せを探索する。
【0083】
このような処理により、各高度において、全てのビーム間で整合するように、各ビームのドップラ速度が選択される。全てのビーム間で整合が取れていれば、どのビームを選択して風速ベクトルを算出しても良いが、例えば、できるだけSN比の良いデータを用いるために、ピークレベルの大きいドップラ速度が得られたビームを選択し、そのビームのドップラ速度を使用しても良い。また、従来のウィンドプロファイラ装置と同様に、風速ベクトルを用いるビームを固定しても良い。
【0084】
同様にして、風速ベクトルのうちの南北風成分についても、北ビーム、南ビーム、天頂ビームを用いた同様の手順で算出することができる。以上のようにして、ドップラ速度選択手段15から、高度毎に風速ベクトル算出に用いるビームのドップラ速度が出力されるため、図15のステップST14において、風速ベクトル算出手段6は、ドップラ速度選択手段15で選択されたドップラ速度を用いて、実施の形態1と同様にして高度毎に風速ベクトルを算出する。
【0085】
図17はこの発明の実施の形態5によるウィンドプロファイラ装置の他の構成を示すブロック図である。図において、ドップラ速度選択手段15は、全てのビームについて整合し選択されたドップラ速度を出力し、平均風速ベクトル算出手段16は、複数のビーム組合せで得られる風速ベクトルを全て算出し、それらを平均したものを最終的な風速ベクトルとして出力する。
【0086】
以上のように、この実施の形態5によれば、上空大気の風の一様性が低い場合も、複数ドップラ速度算出手段13がドップラスペクトルの複数のスペクトルピークに対応するドップラ速度を算出し、ドップラ速度選択手段15がビーム間で整合するドップラ速度を選択することにより、大気エコーのドップラ速度の算出精度が向上するため、風速ベクトルの算出精度を向上させることができるという効果が得られる。
【0087】
また、図17に示すように、ドップラ速度選択手段15が、全てのビームについて整合し選択されたドップラ速度を出力し、平均風速ベクトル算出手段16が、複数のビーム組合せで得られる風速ベクトルを全て算出し、それらを平均したものを最終的な風速ベクトルとして出力することにより、風速ベクトルの算出精度をさらに向上させることができるという効果が得られる。
【0088】
実施の形態6.
上記実施の形態では、最終的に1つの風速ベクトルのみを算出していたが、この実施の形態6は、ビーム数が十分多い場合に複数の風速ベクトルを算出するものである。図18はこの発明の実施の形態6によるウィンドプロファイラ装置の構成を示すブロック図である。図において、4は実施の形態3と同様に、ビーム間の部分的整合性とドップラ速度を出力するビーム整合性確認手段、5は部分的整合性があると判断された全てのビームの組合せを選択するビーム選択手段、26はビーム選択手段5が選択した全てのビーム組合せを用いて、複数の風速ベクトルを算出する複数風速ベクトル算出手段であり、その他の構成は実施の形態1の図1に示す構成と同等である。
【0089】
次に動作について説明する。
図19はこの発明の実施の形態6による風速ベクトル算出方法の処理フローを示す図である。実施の形態3と同様に、ウィンドプロファイラ装置のビーム数が多い場合に、ステップST11において、ドップラ速度算出手段3がビーム毎、高度毎にドップラ速度を算出し、ステップST12において、ビーム間整合性確認手段4が、全てのビームのうちの一部のビームを組合せたときに、部分的整合性が取れないかどうかを確認して、部分的整合性の確認結果と、ビーム毎、高度毎のドップラ速度を出力する。
【0090】
ステップST41において、ビーム選択手段5は、部分的な整合性があると判断されたビームの複数の組合せを選択して出力する。ステップST42において、複数風速ベクトル算出手段26は、ビーム選択手段5が選択したビームの複数の組合せと、ドップラ速度を用いて、複数の風速ベクトルを算出する。
【0091】
図20は複数の風速ベクトルを算出する状況を示す図であり、東西面内に5つの方向にビームを向けて観測する場合の例を示している。ここでは、上空の西側のみで風速が異なり局所風が算出されるために、5本のビーム全てではドップラ速度の整合性が取れない。しかし、天頂ビームと2本の東ビームの間ではドップラ速度の整合性があり、さらに2本の西ビームの間でもドップラ速度の整合性がある。そこで、ビーム選択手段5が、天頂ビームと2つの東ビームによるビームの組合せと、2つの西ビームによるビームの組合せを選択して出力し、複数風速ベクトル算出手段26が天頂から東側の風速ベクトルと、西側の風速ベクトルの2つの風速ベクトルを算出することにより、天頂から東側の風速分布と、この風速分布と異なる天頂から西側の風速分布を確認することができる。
【0092】
以上のように、この実施の形態6によれば、ビーム選択手段5が部分的に整合性があるビームの複数の組合せを選択し、風速ベクトル算出手段26が、選択されたビームの複数の組合せにより、複数の風速ベクトルを算出することにより、上空の領域毎の風速分布を知ることができるため、大気の流れをより正確に知ることができるという効果が得られる。
【0093】
実施の形態7.
上記実施の形態では、各ビームで得られるドップラ速度のビーム間の整合性を調べることにより、風速ベクトルの算出精度を向上させるものであるが、従来の風速ベクトル算出法に比べて信号処理の計算量が増加する。しかし、風の一様性が低くなるのは、主として地形の影響を受けやすい低い高度であるため、この実施の形態7は、ビーム整合性の確認による風速ベクトル精度向上の処理を、低い高度に限定して行うものである。図21はこの発明の実施の形態7によるウィンドプロファイラ装置の構成を示すブロック図であり、基本的な構成は上記実施の形態1の図1に示す構成と同等であるが、ドップラ速度算出手段3が、算出した低い高度のドップラ速度をビーム間整合性確認手段4に出力し、算出した高い高度のドップラ速度をビーム選択手段5に出力する点が異なっている。
【0094】
次に動作について説明する。
図22はこの発明の実施の形態7による風速ベクトル算出方法の処理フローを示す図である。ステップST11,ST14の処理は、実施の形態1の図2に示す各処理と同等である。ステップST11におけるドップラ速度の算出後、ステップST41において、ドップラ速度算出手段3は、算出したドップラ速度のデータが、低い高度領域のデータかを判断し、低い高度領域のデータである場合には、算出したドップラ速度をビーム間整合性確認手段4に出力する。一方、高い高度領域のデータである場合には、算出したドップラ速度をビーム選択手段5に直接出力する。
【0095】
ステップST12において、ビーム間整合性確認手段4は低い高度領域のドップラ速度についてビーム間の整合性を確認し、ビーム間の整合性の確認結果とドップラ速度を出力する。ステップST13において、ビーム選択手段5は、ドップラ速度算出手段3からの高い高度領域のドップラ速度と、ビーム間整合性確認手段4から出力されたビーム間の整合性の確認結果と低い高度領域のドップラ速度を用いて、風速ベクトルを算出するためのビームを選択する。ステップST14において、風速ベクトル算出手段6は実施の形態1と同様に風速ベクトルを算出する。
【0096】
図23は低い高度のみでビーム間整合性の確認を行うことを説明する図である。図に示されるように、上空の風の流れが地形の影響を受けるのは、主として低い高度領域、特に高度1km以下の領域である。従って、ビーム間整合性を確認することの効果は、特に低い高度領域で大きいと考えられる。そこで、風速の乱れの大きい低い高度領域のみで、ドップラ速度のビーム間整合性を確認し、高い高度領域では、従来のようにビーム間整合性を確認しないで、風速ベクトル算出を行うようにすれば、信号処理の計算量の増加を最小限に抑えることができる。
【0097】
以上のように、この実施の形態7によれば、ビーム間整合性確認手段4によるビーム間の整合性の確認を、低い高度領域のみに限定することにより、低い高度での風速ベクトル算出精度を向上させながら、全体の計算量の増加を抑えることができるという効果が得られる。
【0098】
実施の形態8.
上記実施の形態では、ウィンドプロファイラ装置のビーム本数やビーム方向は一定に保った場合について説明を行ったが、この実施の形態8は、風の一様性に応じて送受信手段2からのビーム発射を制御するものである。ここでは、ビーム間の整合性の度合が風の一様性の度合表す指標として用いることができるため、ビーム間の整合性の度合に応じてビーム発射の制御を行うものである。
【0099】
図24はこの発明の実施の形態8によるウィンドプロファイラ装置の構成を示すブロック図である。図において、7はビーム間整合性確認手段4が確認したビーム間の整合性の度合いに応じてビーム発射を制御するビーム発射制御手段であり、その他の構成については、実施の形態1の図1に示すのものと同等である。
【0100】
次に動作について説明する。
ドップラ速度算出手段3,ビーム間整合性確認手段4,ビーム選択手段5,風速ベクトル算出手段6の処理については、実施の形態1の処理と同様である。ビーム発射制御手段7は、ビーム間整合性確認手段4で得られるビーム間の整合性の情報を基に、ビーム本数又はビーム方向を決定して送受信手段2に出力する。送受信手段2は、ビーム発射制御手段7が決定したビーム本数又はビーム方向に基づき、大気に向けて発射する複数のビームを生成して空中線1に出力する。
【0101】
図25は大気の状態によりビーム本数を制御することを説明する図である。図25(a)に示すように風の一様性が高い場合には、ビーム間の整合性が取れる可能性が高いためにビーム数は少なくても良い。ビーム本数を少なくすれば、観測周期を短くすることができるため時間分解能が向上する。また、積分数を多くすることにより、ドップラ速度の算出精度を向上させることも考えられる。一方、図25(b)に示すように風の一様性が低い場合には、天頂角数を多くしビーム本数を増やして様々なビーム仰角で観測を行えば、部分的にビーム間のドップラ速度の整合性が取れるようになる。そのため、多数のビームの中から、部分的な整合性が得られるようなビームの組合せを選択して、風速ベクトルの算出を行うことが可能となる。
【0102】
図26は大気の状態によりビーム方向を制御することを説明する図である。水平風はビーム間のドップラ速度の差異から算出されるため、図26(a)に示すように風の空間的一様性が高い場合には、ビーム間のドップラ速度の差が大きくなるようにビーム仰角を下げた方が、風速ベクトル算出の精度が向上する。一方、図26(b)に示すように風の一様性が低い場合には、天頂角を小さくしビーム仰角を大きくした方が、風の空間的な乱れの影響を受けにくくなる。
【0103】
以上のように、この実施の形態8によれば、ビーム間整合性の度合に応じて、ビーム発射制御手段7がビーム本数又はビーム方向を制御することにより、風の空間的非一様性の影響を最低限に抑えながら、風速ベクトルの算出精度を向上させることができるという効果が得られる。
【0104】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、大気に向けて複数の方向にビームを発射し、大気の反射エコーを受信して複素受信信号を生成する送受信手段と、複素受信信号からドップラスペクトルを求めて、ビーム毎、高度毎にスペクトルピークに対応するドップラ速度を算出するドップラ速度算出手段と、高度毎に算出したドップラ速度のビーム間の整合性を確認し、確認した高度毎のビーム間の整合性とドップラ速度を出力するビーム間整合性確認手段と、確認されたビーム間の整合性に基づき、風速ベクトルを算出するための高度毎のビームの組合せを選択し、選択した高度毎のビームの組合せとドップラ速度を出力するビーム選択手段と、選択した高度毎のビームの組合せとドップラ速度に基づき、高度毎に風速ベクトルを算出する風速ベクトル算出手段とを備えたことにより、大気の一様性が低い場合にも、精度良く風速ベクトルを算出することができるという効果がある。
【0105】
この発明によれば、ビーム間整合性確認手段が、ビーム毎、高度毎のドップラ速度を用いて、高度毎に上記ビームの複数個の組合せによる風速ベクトルを試算し、試算した風速ベクトルの差を所定のしきい値と比較することにより、高度毎に風速ベクトルの一致度を判定して、ドップラ速度の上記ビーム間の整合性を確認することにより、大気の一様性が低い場合にも、精度良く風速ベクトルを算出することができるという効果がある。
【0106】
この発明によれば、ビーム選択手段が、ビーム間整合性確認手段から出力されたビーム間の整合性が高い場合は予め定められた所定のビームの組合せを高度毎に選択し、ビーム間の整合性が低い場合は各ビームについてドップラ速度の距離方向の連続度を算出し、距離方向にドップラ速度が連続しているビームの組合せを高度毎に選択することにより、大気の一様性が低い場合にも、精度良く風速ベクトルを算出することができるという効果がある。
【0107】
この発明によれば、ビーム選択手段が、ビーム間整合性確認手段から出力されたビーム間の整合性が高い場合は予め定められた所定のビームの組合せを高度毎に選択し、ビーム間の整合性が低い場合は各ビームについてドップラ速度の時間方向の連続度を算出し、時間方向にドップラ速度が連続しているビームの組合せを高度毎に選択することにより、大気の一様性が低い場合にも、精度良く風速ベクトルを算出することができるという効果がある。
【0108】
この発明によれば、ビーム間整合性確認手段が、ビーム毎、高度毎のドップラ速度を用いて、高度毎に上記ビームの複数個の組合せによる風速ベクトルを試算し、試算した風速ベクトルの差を所定のしきい値と比較することにより、高度毎に風速ベクトルの一致度を判定して、ドップラ速度のビーム間の整合性を確認し、全てのビームでドップラ速度の整合が確認されなかった場合に、一部のビームを組み合わせて部分的な整合性が取れないかを確認し、ビーム間の部分的整合性を出力することにより、風速ベクトルを欠損なく算出でき、風速ベクトルの算出率を向上することができるという効果がある。
【0109】
この発明によれば、ビーム間整合性確認手段が、高度毎に上記ドップラ速度のビーム間の整合性を確認できない場合に、ドップラ速度算出手段が、ビーム毎、高度毎に他のスペクトルピークに対応するドップラ速度を算出することにより、上空大気の風の一様性が低い場合も、大気エコーのドップラ速度の算出精度が向上するため、風速ベクトルの算出精度を向上させることができるという効果がある。
【0110】
この発明によれば、ドップラ速度算出手段が、算出した低い高度のドップラ速度をビーム間整合性確認手段に出力し、算出した高い高度のドップラ速度をビーム選択手段に出力することにより、低い高度での風速ベクトル算出精度を向上させながら、全体の計算量の増加を抑えることができるという効果がある。
【0111】
この発明によれば、ビーム間整合性確認手段によるビーム間整合性の確認結果に基づき、送受信手段が発射するビーム本数又はビーム方向を制御するビーム発射制御手段を備えたことにより、風の空間的非一様性の影響を最低限に抑えながら、風速ベクトルの算出精度を向上させることができるという効果がある。
【0112】
この発明によれば、大気に向けて複数の方向にビームを発射し、大気の反射エコーを受信して複素受信信号を生成する送受信手段と、複素受信信号からドップラスペクトルを求めて、ビーム毎、高度毎に複数のスペクトルピークに対応する複数のドップラ速度を算出する複数ドップラ速度算出手段と、高度毎に、複数のドップラ速度の中から、ビーム間で整合するように各ビームのドップラ速度を選択して出力するドップラ速度選択手段と、選択した高度毎の各ビームのドップラ速度に基づき、高度毎に風速ベクトルを算出する風速ベクトル算出手段とを備えたことにより、上空大気の風の一様性が低い場合も、大気エコーのドップラ速度の算出精度が向上するため、風速ベクトルの算出精度を向上させることができるという効果がある。
【0113】
この発明によれば、大気に向けて複数の方向にビームを発射し、大気の反射エコーを受信して複素受信信号を生成する送受信手段と、複素受信信号からドップラスペクトルを求めて、ビーム毎、高度毎に複数のスペクトルピークに対応する複数のドップラ速度を算出する複数ドップラ速度算出手段と、高度毎に、複数のドップラ速度の中から、ビーム間で整合するように全てのビームのドップラ速度を選択して出力するドップラ速度選択手段と、選択した高度毎の全てのビームのドップラ速度に基づき、高度毎に風速ベクトルの平均値を算出する平均風速ベクトル算出手段とを備えたことにより、上空大気の風の一様性が低い場合も、風速ベクトルの算出精度をさらに向上させることができるという効果がある。
【0114】
この発明によれば、大気に向けて複数の方向にビームを発射し、大気の反射エコーを受信して複素受信信号を生成する送受信手段と、複素受信信号からドップラスペクトルを求めて、ビーム毎、高度毎にスペクトルピークに対応するドップラ速度を算出するドップラ速度算出手段と、高度毎に算出したドップラ速度のビーム間の整合性を確認する際に、全ビームのうちの一部のビームを組合せたときに、部分的な整合性が取れないかを確認し、確認した高度毎のビーム間の部分的整合性とドップラ速度を出力するビーム間整合性確認手段と、確認されたビーム間の部分的整合性に基づき、風速ベクトルを算出するための高度毎のビームの組合せを全て選択し、選択した高度毎のビームの全ての組合せとドップラ速度を出力するビーム選択手段と、選択した高度毎のビームの全ての組合せとドップラ速度に基づき、高度毎に複数の風速ベクトルを算出する風速ベクトル算出手段とを備えたことにより、上空の領域毎の風速分布を知ることができるため、大気の流れをより正確に知ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるウィンドプロファイラ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1による風速ベクトル算出方法の処理フローを示す図である。
【図3】 この発明の実施の形態1によるビーム間整合性確認手段の処理フローを示す図である。
【図4】 この発明の実施の形態1によるビーム選択手段の処理フローを示す図である。
【図5】 この発明の実施の形態1においてドップラ速度のビーム間の整合性を説明する図である。
【図6】 この発明の実施の形態1においてビーム間の整合性確認の原理を説明する図である。
【図7】 この発明の実施の形態1においてドップラ速度の距離方向の連続度を調べる方法を示す図である。
【図8】 この発明の実施の形態2によるビーム選択手段の処理フローを示す図である。
【図9】 この発明の実施の形態2においてドップラ速度の時間方向の連続度を調べる方法を示す図である。
【図10】 この発明の実施の形態3によるビーム間整合性確認手段の処理フローを示す図である。
【図11】 この発明の実施の形態4によるウィンドプロファイラ装置の構成を示すブロック図である。
【図12】 この発明の実施の形態4による風速ベクトル算出方法の処理フローを示す図である。
【図13】 この発明の実施の形態4においてドップラスペクトルが複数のピークを持つ場合のドップラ速度のビーム間の整合性を説明する図である。
【図14】 この発明の実施の形態5によるウィンドプロファイラ装置の構成を示すブロック図である。
【図15】 この発明の実施の形態5による風速ベクトル算出方法の処理フローを示す図である。
【図16】 この発明の実施の形態5によるドップラ速度選択手段の処理フローを示す図である。
【図17】 この発明の実施の形態5によるウィンドプロファイラ装置の他の構成を示すブロック図である。
【図18】 この発明の実施の形態6によるウィンドプロファイラ装置の構成を示すブロック図である。
【図19】 この発明の実施の形態6による風速ベクトル算出方法の処理フローを示す図である。
【図20】 この発明の実施の形態6において複数の風速ベクトルを算出する状況を示す図である。
【図21】 この発明の実施の形態7によるウィンドプロファイラ装置の構成を示すブロック図である。
【図22】 この発明の実施の形態7による風速ベクトル算出方法の処理フローを示す図である。
【図23】 この発明の実施の形態7において低い高度のみでビーム間の整合性の確認を行うことを説明する図である。
【図24】 この発明の実施の形態8によるウィンドプロファイラ装置の構成を示すブロック図である。
【図25】 この発明の実施の形態8において大気の状態によりビーム本数を制御することを説明する図である。
【図26】 この発明の実施の形態8において大気の状態によりビーム方向を制御することを説明する図である。
【図27】 ウィンドプロファイラ装置における3次元風速ベクトルの算出原理を説明する図である。
【図28】 従来のウィンドプロファイラ装置の構成を示すブロック図である。
【図29】 従来の風速ベクトル算出状況を説明する図である。
【符号の説明】
1 空中線、2 送受信手段、3 ドップラ速度算出手段、4 ビーム間整合性確認手段、5 ビーム選択手段、6 風速ベクトル算出手段、7 ビーム発射制御手段、13 複数ドップラ速度算出手段、15 ドップラ速度選択手段、16 平均風速ベクトル算出手段、26 複数風速ベクトル算出手段。
Claims (15)
- 大気に向けて複数の方向にビームを発射し、上記大気の反射エコーを受信して複素受信信号を生成する送受信手段と、
上記複素受信信号からドップラスペクトルを求めて、上記ビーム毎、高度毎にスペクトルピークに対応するドップラ速度を算出するドップラ速度算出手段と、
上記高度毎に算出した上記ドップラ速度の上記ビーム間の整合性を確認し、確認した高度毎の上記ビーム間の整合性と上記ドップラ速度を出力するビーム間整合性確認手段と、
上記確認されたビーム間の整合性に基づき、風速ベクトルを算出するための高度毎のビームの組合せを選択し、選択した高度毎の上記ビームの組合せと上記ドップラ速度を出力するビーム選択手段と、
選択した高度毎の上記ビームの組合せと上記ドップラ速度に基づき、高度毎に風速ベクトルを算出する風速ベクトル算出手段とを
備えたことを特徴とするウィンドプロファイラ装置。 - ビーム間整合性確認手段が、ビーム毎、高度毎のドップラ速度を用いて、高度毎に上記ビームの複数個の組合せによる風速ベクトルを試算し、試算した風速ベクトルの差を所定のしきい値と比較することにより、高度毎に風速ベクトルの一致度を判定して、上記ドップラ速度の上記ビーム間の整合性を確認する
ことを特徴とする請求項1記載のウィンドプロファイラ装置。 - ビーム選択手段が、ビーム間整合性確認手段から出力されたビーム間の整合性が高い場合は予め定められた所定のビームの組合せを高度毎に選択し、ビーム間の整合性が低い場合は各ビームについてドップラ速度の距離方向の連続度を算出し、距離方向にドップラ速度が連続しているビームの組合せを高度毎に選択する
ことを特徴とする請求項1記載のウィンドプロファイラ装置。 - ビーム選択手段が、所定の窓長を有する距離方向の中央値フィルタを使用してドップラ速度の距離方向の連続度を算出する
ことを特徴とする請求項3記載のウィンドプロファイラ装置。 - ビーム選択手段が、ビーム間整合性確認手段から出力されたビーム間の整合性が高い場合は予め定められた所定のビームの組合せを高度毎に選択し、ビーム間の整合性が低い場合は各ビームについてドップラ速度の時間方向の連続度を算出し、時間方向にドップラ速度が連続しているビームの組合せを高度毎に選択する
ことを特徴とする請求項1記載のウィンドプロファイラ装置。 - ビーム選択手段が、所定の窓長を有する時間方向の中央値フィルタを使用してドップラ速度の時間方向の連続度を算出する
ことを特徴とする請求項5記載のウィンドプロファイラ装置。 - ビーム間整合性確認手段が、ビーム毎、高度毎のドップラ速度を用いて、高度毎に上記ビームの複数個の組合せによる風速ベクトルを試算し、試算した風速ベクトルの差を所定のしきい値と比較することにより、高度毎に風速ベクトルの一致度を判定して、上記ドップラ速度の上記ビーム間の整合性を確認し、全てのビームでドップラ速度の整合が確認されなかった場合に、一部のビームを組み合わせて部分的な整合性が取れないかを確認し、ビーム間の部分的整合性を出力する
ことを特徴とする請求項1記載のウィンドプロファイラ装置。 - ビーム間整合性確認手段が、高度毎に上記ドップラ速度のビーム間の整合性を確認できない場合に、ドップラ速度算出手段が、ビーム毎、高度毎に他のスペクトルピークに対応するドップラ速度を算出する
ことを特徴とする請求項1記載のウィンドプロファイラ装置。 - ドップラ速度算出手段が、算出した低い高度のドップラ速度をビーム間整合性確認手段に出力し、算出した高い高度のドップラ速度をビーム選択手段に出力する
ことを特徴とする請求項1記載のウィンドプロファイラ装置。 - ビーム間整合性確認手段によるビーム間整合性の確認結果に基づき、送受信手段が発射するビーム本数又はビーム方向を制御するビーム発射制御手段を
備えたことを特徴とする請求項1記載のウィンドプロファイラ装置。 - ビーム間整合性確認手段によるビーム間整合性が低いときに、ビーム発射制御手段がビーム本数を増加する
ことを特徴とする請求項10記載のウィンドプロファイラ装置。 - ビーム間整合性確認手段によるビーム間整合性が低いときに、ビーム発射制御手段がビームの仰角を大きくする
ことを特徴とする請求項10記載のウィンドプロファイラ装置。 - 大気に向けて複数の方向にビームを発射し、上記大気の反射エコーを受信して複素受信信号を生成する送受信手段と、
上記複素受信信号からドップラスペクトルを求めて、上記ビーム毎、高度毎に複数のスペクトルピークに対応する複数のドップラ速度を算出する複数ドップラ速度算出手段と、
上記高度毎に、上記複数のドップラ速度の中から、ビーム間で整合するように各ビームのドップラ速度を選択して出力するドップラ速度選択手段と、
選択した高度毎の上記各ビームのドップラ速度に基づき、高度毎に風速ベクトルを算出する風速ベクトル算出手段とを
備えたことを特徴とするウィンドプロファイラ装置。 - 大気に向けて複数の方向にビームを発射し、上記大気の反射エコーを受信して複素受信信号を生成する送受信手段と、
上記複素受信信号からドップラスペクトルを求めて、上記ビーム毎、高度毎に複数のスペクトルピークに対応する複数のドップラ速度を算出する複数ドップラ速度算出手段と、
上記高度毎に、上記複数のドップラ速度の中から、ビーム間で整合するように全てのビームのドップラ速度を選択して出力するドップラ速度選択手段と、
選択した高度毎の上記全てのビームのドップラ速度に基づき、高度毎に風速ベクトルの平均値を算出する平均風速ベクトル算出手段とを
備えたことを特徴とするウィンドプロファイラ装置。 - 大気に向けて複数の方向にビームを発射し、上記大気の反射エコーを受信して複素受信信号を生成する送受信手段と、
上記複素受信信号からドップラスペクトルを求めて、上記ビーム毎、高度毎にスペクトルピークに対応するドップラ速度を算出するドップラ速度算出手段と、
上記高度毎に算出した上記ドップラ速度の上記ビーム間の整合性を確認する際に、全ビームのうちの一部のビームを組合せたときに、部分的な整合性が取れないかを確認し、確認した高度毎の上記ビーム間の部分的整合性と上記ドップラ速度を出力するビーム間整合性確認手段と、
上記確認されたビーム間の部分的整合性に基づき、風速ベクトルを算出するための高度毎のビームの組合せを全て選択し、選択した高度毎の上記ビームの全ての組合せと上記ドップラ速度を出力するビーム選択手段と、
選択した高度毎の上記ビームの全ての組合せと上記ドップラ速度に基づき、高度毎に複数の風速ベクトルを算出する風速ベクトル算出手段とを
備えたことを特徴とするウィンドプロファイラ装置。
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