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JP3848018B2 - 機能性堆積膜の製造方法及び該機能性堆積膜の製造装置 - Google Patents

機能性堆積膜の製造方法及び該機能性堆積膜の製造装置 Download PDF

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JP3848018B2
JP3848018B2 JP19609399A JP19609399A JP3848018B2 JP 3848018 B2 JP3848018 B2 JP 3848018B2 JP 19609399 A JP19609399 A JP 19609399A JP 19609399 A JP19609399 A JP 19609399A JP 3848018 B2 JP3848018 B2 JP 3848018B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体デバイス、電子写真用感光体デバイス、画像入力用ラインセンサ、撮像デバイス、光起電力デバイスなどに有用な結晶質、非単結晶質の機能性堆積膜を良好に形成し得るプラズマCVD法を利用した機能性堆積膜の製造方法及び該機能性堆積膜の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体などで使用されているプラズマ処理装置はそれぞれの用途に応じてさまざまな方法がある。特に酸化膜、窒化膜やアモルファスシリコン系の半導体膜などの機能性堆積膜の形成には、その制御性の高さ、堆積膜の物性値の良好さ等からプラズマCVD法が広く用いられている。例えば、直流又は高周波(RF,VHF)又はマイクロ波を用い、堆積膜の原料となるガスをグロー放電等によって分解し、ガラス、石英、耐熱性合成樹脂フィルム、ステンレス、アルミニウム等の基体上に薄膜状の堆積膜を形成する方法は、電子写真用アモルファスシリコン光受容部材の形成方法等において実用化され、そのための装置も各種提案されている。
【0003】
近年、半導体デバイスの大面積化が進み、大面積における均一性の向上、低コスト化が大きな課題となっている。
【0004】
従来のプラズマ処理装置では、膜厚や特性の均一性を高めるためにガスの分布を均一化することに主眼を置いて開発が進められてきた。例えば、平行平板型のプラズマCVD装置では、電極を兼ねるガス供給手段をシャワーヘッド構造とし、ガスを基板表面に均一に供給したり、電子写真感光体の製造装置における円筒型同軸構造のプラズマCVD装置では、特開昭59−213439号公報に開示されているように電極を兼ねた壁面放出型のガス供給手段が採用されている。
【0005】
これらによって膜厚や特性の均一性を向上させることはできたが、ガスが直接基板方向に吹き付けられる構造であるため、ガスの流れに乗ってダストや粉状の気相反応生成物等が基板表面に付着しやすく、半球状又は突起状の異常成長(以後、球状突起と称する)が発現してしまう場合があった。これに対し、例えば特開平10−168573号公報には、ガス供給手段として複数のガス導入管(以後、ガス管と称する)をカソードと基板との間に配し、ガス管の左右からガスを吐出させる際に、基板面と平行あるいは若干カソード方向よりの角度に吐出させることで、ダスト等が基板面に到達するのを防止する方法が開示されている。また、円筒形の堆積膜製造装置を用いた場合には、周方向の膜厚や特性の均一性を更に高めるために、基体を回転させながら堆積膜を形成する方法も用いられている。
【0006】
その他にも、厳密にはプラズマCVD装置ではないが、例えば特開平9−202967号公報には、スパッタ装置において複数のガスノズルから交互にガスを供給することで、ターゲットの侵食むら、膜の特性むらを防止する方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような改良が行われた結果、膜の特性向上と均一性向上の両立を図ることが可能になってきた。しかし、近年の機能性デバイスの高密度化や高集積化、画像デバイスではさらなる高精細化が進み、微小な膜厚むらや特性むらを低減する必要性が高まってきている。例えば電子写真感光体では、写真等の複写時やフルカラーの複写時において、ハーフトーン画像を要求される場合も多く、このような際には微小な特性むらが大きな問題となって来る。この様な理由から、堆積膜の膜厚や特性に対して更なる均一性が求められるようになってきた。
【0008】
また、基体あるいは基板を回転させることによって周方向の堆積膜の特性むらを抑制する方法が用いられることがある。この方法はむらを抑制するためには非常に効果的であるが、装置が複雑化することで装置コストが増大するばかりか、回転部を真空封止する必要があるため、回転軸付近からリークが発生する恐れが常にある。そのためメンテナンスコストや管理コストも無視できない。
【0009】
一方、堆積膜製造装置内のガスの流れに注目すると、従来技術の多くはガスの流れが定常的であり、部分的にガスの滞留が生じる場合がある。図13に従来の一例である堆積膜製造装置内に生じたガスの滞留を説明する図を示す。
【0010】
堆積膜製造装置210は、反応容器209内に、堆積膜の形成される基板208が載置されるアース電極207と、アース電極207に対向して配置されたカソード206とを有するとともに、ガスを供給するためのガス管からなるガス供給経路201が配設されている。また、反応容器209内を所望の真空圧とするため、不図示の排気装置が反応容器209に接続されている。
【0011】
次に、堆積膜の形成手順の概略を説明する。
【0012】
まず、基板208をアース電極207上に載置した後、反応容器209内の圧力を所望の真空圧まで下げるために排気装置により排気を行う。次に、ガス供給経路201から原料となるガスを反応容器209内に供給する。この際、ガスは、ガス供給経路201のガス管より、カソード206方向に向かって吐出される。次に、外部の高周波電源205からカソード206に高周波電力を印加することでカソード206とアース電極207との間にプラズマを生起させる。これにより、基板208上に堆積膜が生成される。
【0013】
この堆積膜製造装置210は、ガス流量は基本的にガス供給経路201は定常である。また、ガス管はカソード6側に吐出するように管理されているが、ガス管203aに管理時のばらつきが生じていると仮定する。すると、管理不備のガス管203aと隣のガス管203bとのちょうど中間部分の空間にガスの滞留204が生じてしまう。このように滞留が生じた状態で一定流量のガスを定常的に流し続けたうえで、高周波電源205から高周波電力を印加し、カソード206とアース電極207との間にプラズマを生起させて膜堆積を行った場合、滞留204に対応する基板208の表面に形成された堆積膜には特性むらが発生すると考えられる。従来の堆積膜製造装置210では、このような滞留の発生を抑制するため、ガス吐出方向の管理やガス管203a、203bの精度管理を行うことが要求されていた。
【0014】
一方、このような問題を回避するために、例えば前述した特開平9−202967号公報などの技術も考えられるが、プラズマCVDにおいては放電の変動が大きすぎ、堆積膜の特性むらが拡大するばかりか、堆積膜全体の平均的特性が大きく変わってしまう。また、ガス流量の変化が大きすぎるために、堆積膜製造装置内部で発生する粉体が舞い上がりやすく、球状突起が発生しやすい。
【0015】
そこで本発明は、機能性堆積膜の特性むらが抑制される機能性堆積膜の製造方法及び該機能性堆積膜の製造装置を提供することを第1の目的とする。
【0016】
また、滞留の抑制に関する精度管理の低減された機能性堆積膜の製造方法及び該機能性堆積膜の製造装置を提供することを第2の目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の機能性堆積膜の製造方法は、機能性堆積膜を形成すべき基体が内部に載置される真空容器内に、前記機能性堆積膜の原料となるガスをガス供給経路から供給するガス供給工程と、前記真空容器内でプラズマを発生させるプラズマ発生工程とを含む機能性堆積膜の製造方法において、
前記ガス供給工程は、複数系統の前記ガス供給経路から前記ガスを供給するものであるとともに、
前記各ガス供給経路からのガス流量を一定とする一定供給工程と、
前記各ガス供給経路からのガス流量の総和が、前記一定供給工程のガス流量の総和と略同一となるように、ガス流量を前記一定供給工程のガス流量に対して変化させる変動供給工程とを含む。
【0018】
上記の通りの本発明の機能性堆積膜の製造方法は、ガスの供給が、ガス流量を独立して制御する複数のガス供給経路によりなされ、かつ、ガス供給工程が、各ガス流量を時間的に、所望の一定量で供給する一定供給工程だけでなく、各ガス流量を一定供給工程に対して変動させる変動供給工程とを含むため、各ガスの供給に際して「ゆらぎ」が発生し、これにより、真空容器内でのガスの滞留が抑制される。また、変動供給工程における各ガス供給経路から供給されるガスのガス流量の総和が、一定供給工程の各ガス供給経路からのガス流量の総和と略同一であるため、所望の機能性堆積膜の形成に必要なガス流量が確保される。なお、ここで言う変動供給工程は、ガス流量がステップ状に変化するものでもよいし、あるいは以下に説明するように、正弦波状、三角波状のように、時間的に連続して変化するものであってもよい。
【0019】
本発明の機能性堆積膜の製造方法の変動供給工程は、ガス流量を時間的に連続して変化させる工程を含むものであってもよいし、一定供給工程と、変動供給工程とが交互に繰り返されてもよい。
【0020】
また、変動供給工程における各ガス供給経路からのガス流量のピーク値と、一定供給工程における各ガス供給経路からのガス流量との差分が、一定供給工程における該各ガス供給経路からのガス流量の5%以上60%以下であってもよいし、変動供給工程に要する時間が、一定供給工程に要する時間の1%以上30%以下であってもよいし、変動供給工程と一定供給工程とが周期的に繰り返され、かつ、その周期が、
s=pV/f
s:真空容器内でのガスの平均滞在時間
V:真空容器内の内容積
p:プラズマ発生工程時の圧力
f:真空容器内に供給されるガス流量
で表される平均滞在時間sの0.5倍以上100倍以下であってもよい。
【0021】
さらに、ガス供給工程は、各ガスを基体の表面に平行な仮想の平面に対して±20度の範囲で、複数のガス供給経路からガスを吐出させることで真空容器内に各ガスを供給する工程を含むものであってもよい。
【0022】
本発明の機能性堆積膜の製造装置は、機能性堆積膜を形成すべき基体が内部に載置される真空容器と、前記機能性堆積膜の原料となるガスを供給するガス供給手段と、前記真空容器内でプラズマを発生させるプラズマ手段とを有する機能性堆積膜の製造装置において、
前記ガス供給手段は、少なくとも1つのガス源及び前記ガス源からのガスを前記真空容器内に供給する複数のガス供給経路からなり、
前記各ガス供給手段からのガス流量を一定とする一定供給時間と、前記各ガス供給手段からのガス流量の総和が、前記一定供給時間の前記ガス流量の総和と略同一となるように、ガス流量を前記一定供給時間のガス流量に対して変化させる変動供給時間とからなるガス流量変化パターンにより、前記各ガス供給手段の各ガス流量を制御する複数のガス流量制御手段を有する。
【0023】
なお、ここで言う変動供給時間は、ガス流量がステップ状に変化させるものでもよいし、あるいは以下に説明するように、正弦波状、三角波状のように、時間的に連続して変化させるものであってもよい。
【0024】
本発明の機能性堆積膜の製造装置に用いられるガスは、複数の種類のガスからなる混合ガスであってもよいし、各ガス流量制御手段は、変動供給時間ではガス流量を時間的に連続して変化させるものであってもよいし、各ガス流量制御手段によるガス流量変化パターンは、一定供給時間と、変動供給時間とが交互に繰り返されるものであってもよい。
【0025】
また、変動供給時間における各ガス供給手段からのガス流量のピーク値と、一定供給時間における各ガス供給手段からのガス流量との差分が、一定供給時間における該各ガス供給手段からのガス流量の5%以上60%以下であってもよいし、変動供給時間が、一定供給時間の1%以上30%以下であってもよいし、変動供給時間と一定供給時間とが周期的に繰り返され、かつ、その周期が、
s=pV/f
s:真空容器内でのガスの平均滞在時間
V:真空容器内の内容積
p:プラズマの発生時の圧力
f:真空容器内に供給されるガス流量
で表される平均滞在時間sの0.5倍以上100倍以下であってもよい。
【0026】
さらに、ガス供給手段は、ガスを真空容器内に吐出する吐出孔が基体の表面に平行な仮想の平面に対して±20度の範囲で形成された複数のガス管からなるものであってもよい。
【0027】
次に、上記の諸問題を解決するに至った経緯を説明する。
【0028】
本発明者らは、まず定常的なガスの流れを分析し、球状突起を抑えながら、堆積膜の膜厚や特性を更に均一化できないか試みた。例えばガスの供給手段としてシャワーヘッドや壁面放出型に替えて、球状突起の発生を抑える効果の高いガス管を採用し、かつ、ガスの吐出方向を様々に変えてガスの分布の均一化を検討した。ガス管の本数、ガスの吐出方向、ガス吐出孔の数を増やすなどの対策を行うことでガス分布が均一化し、膜厚や特性の均一性は向上した。しかし、ガス管の吐出方向はガス管を設置する際に厳密に管理しなければならず、ガス管の数や吐出方向が多くなればなるほど管理が煩雑になってしまう。また、大面積になった場合にはガス管の長さが長くなり、ガス管の歪みやたわみが無視できなくなる場合が生ずることが判った。これらを放置すると予期せぬ部位にガスの滞留が発生することがあり、特性むらや球状突起が発生してしまう場合があった。
【0029】
そこで、ガスの滞留に着目し、ガスの流れをなるべく均一に保ったまま、ガスの滞留を防止できないかと考えた。本発明者らは、まずガス供給手段を複数のグループに分け、それぞれのグループにあらかじめ混合したガスを分配し、それぞれ独立に流量を制御できるようにした。次にそれぞれのグループで、基本的には定常的なガスの流れを実現した上で、ガスの流れに若干の「ゆらぎ」を与えることにした。この「ゆらぎ」量を適切に選択することによって、ガス管の精度管理や設置時の管理をこれまでのように厳密に行わなくても、堆積膜の膜厚のむらや特性のむらが飛躍的に減少することが見出された。
【0030】
この理由としては、以下のように考えられる。
【0031】
定常的なガスの吐出方法では、CVD装置内でのガスの流れも定常的になり、特定の場所にガス分布のむらが生じてしまうと考えられる。そのガス分布むらは前述したようにガスの吐出方法を工夫することでかなりのレベルで抑えることが可能であるが、ガス供給手段のばらつき、管理上のばらつきによってそのバランスが微妙に変化してしまう。その際に発生するガスの滞留は、非常に小さなものであっても、微小な均一性が要求される堆積膜の場合には無視できなくなってしまう。このような微妙な滞留によるガス分布のむらの蓄積によって、堆積膜の膜厚むらや特性むらが発生すると考えられる。
【0032】
そこで前述したようにガス流に適度な「ゆらぎ」を与え、また「ゆらぎ」が十分に緩和する程度にガス流量を一定とする時間を設け、両者のバランスをとることで、上記のような微妙なばらつきによる不必要な滞留を実質的になくすことが可能になり、堆積膜の特性むらが減少したと考えられる。加えて、これまで要求されてきたガス吐出方向の管理やガス管の精度管理が大幅に緩和され、それらに係ってきた管理コストを大幅に抑えることが可能になった。
【0033】
また、仮にガス管の管理を厳密に行うことだけで、前述の不必要な滞留を抑えようとした場合、堆積膜の種類や形成条件を変更する度に反応容器内のガスの分布が変わってしまうため、その都度管理項目を見直したり、ガス吐出孔の配置や角度を最適化しなければならず、開発に関するコストや期間の点で不利であった。これに対し、本発明の方法は、大掛かりな設備を必要とせず、ガス流のみを変化させるだけであり、変化パターンを多様に変化させて最適化することにより、様々な堆積膜、様々な形成条件、あるいは様々な形状を持つ装置に応用が可能である。また、堆積膜に求められる特性やむら形状に応じて適切、かつ、柔軟に対応可能である。加えて、費用対効果が高く、結果的に生産コストを下げることも可能である。
【0034】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1に本発明の第1の実施形態の一例である堆積膜製造装置10の概略構成図を示す。
【0035】
堆積膜製造装置10は、反応容器9内に、堆積膜の形成される基板8が載置されるアース電極7と、アース電極7に対向して配置されたカソード6とを有し、ガス供給手段4a、4bからのガスを反応容器9内に供給する第1のガス供給経路1と、第2のガス供給経路2とが配設されている。複数のガス管からなる第1のガス供給経路1と第2のガス供給経路2とには、それぞれ、第1のガス流量制御部1aと第2のガス流量制御部2aとが配設されており、それぞれ独立してガス流量を制御する。また、反応容器9内を所望の真空圧とするため、不図示の排気装置が反応容器9に接続されている。
【0036】
次に、堆積膜の形成手順の概略を説明する。
【0037】
まず、基板8をアース電極7上に載置した後、反応容器9内の圧力を所望の真空圧まで下げるために排気装置により排気を行う。次に、第1のガス供給経路1及び第2のガス供給経路2からガスを供給する。この際、ガスは、第1のガス供給経路1のガス管3a及び第2のガス供給経路2のガス管3bより、カソード6方向に向かって吐出される。ガス管3a及びガス管3bは図1の奥行き方向に水平に延びた管であり、これらの管にはカソード6方向に向かってガスが吐出される複数の孔が並列に形成されている。
次に、外部の高周波電源5からカソード6に高周波電力を印加することでカソード6とアース電極7との間にプラズマを生起させる。これにより、基板8上に堆積膜が生成される。
【0038】
以上のようにして、基板8に堆積膜を形成する際、第1のガス供給経路1及び第2のガス供給経路2から供給されるガスのガス流量変化パターンは、第1のガス流量制御部1aと第2のガス流量制御部2aとにより、図2に示すように、矩形波状に変化させる時間T2と、ガス流量を一定とする時間T1とを周期Tで周期的に変動させている。
【0039】
図2において、上図は第1のガス供給経路1から供給されるガスのガス流量変化パターンを、また、下図は第2のガス供給経路2から供給されるガスのガス流量変化パターンをそれぞれ示している。図2中の縦軸の100%とは、規定された時間内で、ガス流量を時間変動させず一定量で供給した場合の、堆積膜形成に必要とされるガスの総量を満足するためのガス流量を意味している。また、この100%からの変動分を、増加した場合は+A%、減少した場合は−A%として示している。また、周期Tにおいて、時間T1はガス流量を100%で一定とし、時間T2ではそれぞれ、ガス流量が100%から±A%だけ変動させている。また、時間T2の前半は第1のガス供給経路1から供給されるガスのガス流量を+A%だけ増加させた分、第2のガス供給経路2から供給されるガスのガス流量を−A%だけ減少させ、後半は第1のガス供給経路1から供給されるガスのガス流量を−A%だけ減少させた分、第2のガス供給経路2から供給されるガスのガス流量を+A%だけ増加させることで、各ガス管からのガス流量は常に100%を保持するようにしている。
【0040】
なお、この微妙な「ゆらぎ」に関しては、ガス流量変化分Δf(ピーク位置での流量と、一定部分の流量との差分であり、図2においては±A%)や、ガス流量が一定の時間T1、変化する時間T2及び周期Tを適切に選び、プラズマが不必要に大きく変動しないように組み合わせを注意すれば、個別には如何なる範囲でも本実施形態の効果が得られるが、望ましくは、個別の値に関して以下のような範囲が好ましい。
【0041】
ガス流量変化分Δfに関しては、時間T1におけるガス流量を100%として、これに対して5%〜60%の範囲内の値となることが望ましい。この範囲内が望ましいのは、ガス流量変化分Δfが大きすぎると、ガス流の変化が大きくなりすぎることでガスの変化に対応するプラズマ分布の変化が大きくなりすぎて、かえって堆積膜の特性むらを増大させてしまう恐れがあるためであり、また、逆にガス流量変化分Δfが小さすぎるとガス流の「ゆらぎ」による滞留の除去効果がなくなってしまう場合があることによるものである。
【0042】
時間T1と時間T2との時間比に関しては、時間T1、時間T2を用いて表される時間比T2/T1が、1%〜30%の範囲内の値となることが望ましい。この範囲内が望ましいのは、時間比T2/T1が1%より小さい場合には、滞留したガスの影響が除かれないために、全て一定のガス流量にて堆積膜を形成した場合と顕著な差が現われにくくなる場合があることと、時間比T2/T1が30%より大きい場合には、ガス流の変化が大きく、それに伴ってプラズマが大きく変動してしまい、堆積膜の特性が低下してしまう場合があることによるものである。
【0043】
周期Tに関しては、堆積膜製造装置10内での平均の滞在時間、即ちガス供給手段4a、4bから排気手段に至るまでに反応容器9内にとどまる時間を基準に考える。この平均滞在時間s[sec]は、プラズマ処理装置の内容積をV[m3]、反応時の圧力をp[atm]、混合ガスの合計流量をf[m3/sec]として、
s=pV/f
で表すことができる。この平均滞在時間sを基準とした時、1周期Tは、sの0.5倍〜100倍の範囲内の値となることが望ましい。この範囲内が望ましいのは、0.5倍未満にすると、常にガス流量が変化している状態に近くなるため、プラズマが不安定になりやすい場合があることと、100倍より大きくすると、ガスの「ゆらぎ」によって不必要な滞留を払拭しても、流量が一定の時間T1が長すぎるために、結果的に一定流量で形成した場合との顕著な差が現れにくくなる場合があることによるものである。
【0044】
以上、図2に示した矩形波状のガス流量変化パターンを基に説明してきたが、これ以外のガス流量変化パターン例として、図3(a)〜図3(c)に別のガス流量変化パターンを示す。
【0045】
なお、図(a)〜図3(c)中の各記号の意味は、すでに上述しているため説明を省略する。
【0046】
図3(a)は、時間T2におけるガス流量を正弦波状に変化させる例を示したものである。なお、時間T2における第1のガス供給経路1と、第2のガス供給経路2との正弦波の位相は逆転している。この様な変化パターンは、ガス流量の変化がなだらかであるため、比較的振幅が大きい場合でもプラズマを乱しにくいため、より好ましい。
【0047】
図3(b)は時間T2内には周期性がないが、時間T1と合わせることで周期性をもたせたパルス波状のガス流量変化パターンを示したものである。この場合、周期Tを隔てた次の時間T2’の各位相は時間T2とは逆であり、時間T1と時間T2による周期Tと、時間T1と時間T2’による周期Tとが順に繰り返されるものである。
【0048】
また、図1に示した本実施形態の堆積膜製造装置10は、一例としてガスの供給経路が2経路のものを用いて説明したが、3経路以上であってもよく、このような場合のガス流量変化パターンを図3(c)に示す。なお、図3(c)は、堆積膜製造装置10がガスの供給経路が第1のガス供給経路1と第2のガス供給経路2とに加え、不図示の第3のガス流量制御部を備えた、不図示の第3のガス供給経路を有する、ガスの供給経路が3経路の場合の各ガス流量変化パターンの一例を示したものである。このように各時間における合計流量が常に一定であるように変化させることができれば、3経路以上の場合でも応用可能である。また、このように3経路以上の構成とする場合、各供給経路を交互にあるいは順番に配置するのが望ましい。
【0049】
この他、図3(a)〜図3(c)に示したガス流量変化パターンにおける変動が周期性を持ち、各供給経路の流量が相補的に変化することで、堆積膜製造装置に流れ込む全ガス流量が一定となるように設定されており、望ましくは各供給経路が交互ないしは順番に配置されていれば、例えば三角波状など、如何なるガス流量変化パターンでもよい。
【0050】
以上説明したように本実施形態によれば、堆積膜を形成する際、第1のガス流量制御部1aと第2のガス流量制御部2aとにより、第1のガス供給経路1及び第2のガス供給経路2からの供給されるガスのガス流量に、ガス流量変化分Δfと、時間比T2/T1と、周期Tとを所望の範囲内に設定し「ゆらぎ」を与えることで、ガスの滞留を防止できる。これにより、実質的に特性むらのない堆積膜を形成できる。また、ガスの滞留の抑制を第1のガス供給経路1及び第2のガス供給経路2の機械的特性の精度管理によらず、各ガスの供給に際する「ゆらぎ」により行うため、精度管理の低減がなされる。
(第2の実施形態)
次に図4(a)及び図4(b)に本発明の第2の実施形態の堆積膜製造装置100の反応容器111の上面断面図及び堆積膜製造装置100の概略構成図を示す。
【0051】
本実施形態の堆積膜製造装置100は、電子写真装置に用いられる電子写真感光体となる円筒形の円筒状基体112に堆積膜を形成するのに好適な円筒型同軸構造のプラズマCVD法を用いたものの一例である。
【0052】
堆積膜製造装置100は、円筒形状で、内周縁部に複数の第1のガス管114aと第2のガス管114bとが周方向に沿って交互に配され、中央部に円筒状基体112が載置される反応容器111を有する堆積膜形成部197と、反応容器111に、ガス供給源196からのガス流量を制御しながらガスの供給を行うガス供給部200と、ガス供給部200及び反応容器111内を減圧するための不図示の排気装置を含む排気部198と、反応容器111内でグロー放電を行わせるための高周波電源部199とにより概略構成される。
【0053】
まず、堆積膜形成部197の構成に関して詳細に説明する。
【0054】
カソード電極を兼ねる反応容器111内には、各4本ずつの第1のガス管114aと第2のガス管114bとが、1本おきに交互に反応容器111の内周に沿って設けられている。また、中央部に載置される円筒形状の円筒状基体112を円筒内周側から加熱する基体加熱用ヒータ113が設けられている。
【0055】
ここで、第1のガス管114aと第2のガス管114bからのガスの吐出に関して説明しておく。
【0056】
第1のガス管114aと第2のガス管114bとには、多数の吐出孔が形成されており、これらの吐出孔からガスが反応容器111内に放出される。この際、ガスの吐出方向はいかなる方向であっても本発明の効果が得られるが、より好ましくは、図4(a)の拡大図にあるようにガスの吐出方向を円筒状基体112の表面の接線に対して平行(▲1▼で表す方向)、ないしはその角度から±20度の範囲に設定したほうが、特性むらや球状突起を更に抑える効果があるため、望ましい。±20度の範囲を超え、特に円筒状基体112方向の場合にはシャワーヘッド型や壁面放出型と同様にガスが円筒状基体112に直接当りやすくなるため、ダストや粉状の気相反応生成物が円筒状基体112に付着しやすくなる場合がある。
【0057】
ガスの吐出方向は1方向あるいは2方向(双方向)が好適であり、ガスの分布に注意すればそれ以上の多数の方向に吐出させてもよい。例えば1方向の場合には、一例として上面から見て時計周りに1方向に吹き出させるグループと、反時計周りに吐出させるグループとを混在させる。通常は例えば時計周りにガスを一定に流し、ガス流量変化時に反時計周りのガスを少量吐出させることでガスの定常的な流れに「ゆらぎ」を発生させることができる。2方向の場合には、一例として図4(a)の拡大図にあるように円筒状基体112の表面の接線に対して平行方向(▲1▼で表す方向)でもよく、平行方向から角度を持たせたもの(▲2▼で表す方向)でもよい。ガスの流れに「ゆらぎ」を与えたことに加え、図4(a)の拡大図に示すように、ガスを吐出させることで隣接するガス管からのガス同士がぶつかりあって拡散しやすくなり、不必要な滞留を抑えながらガス分布の均一化を更に促進させることが可能となる。
【0058】
次に、ガス供給部200の構成に関して詳細に説明する。
【0059】
ガス供給部200は、SiH4、GeH4、H2、CH4、B26、PH3等の各原料ガスのボンベ21、22、23、24、ボンベ用バルブ31、32、33、34、圧力調整器61、62、63、64及び流入バルブ41、42、43、44を備えるガス供給源196と、マスフローコントローラ11、12、13、14と、流出バルブ51、52、53、54と、補助バルブ60と、マスフローコントローラ71、72、73とを有する。
【0060】
なお、図4(b)では、4本のボンベ21、22、23、24からガスが供給される4系統のみを図示しているが、3系統以下であってもよいし、5系統以上であってもよい。
【0061】
各圧力調整器61、62、63、64は、各ボンベ用バルブ31、32、33、34を介して供給される各ボンベ21、22、23、24からのガスの圧力を調整するものである。
【0062】
各マスフローコントローラ11、12、13、14は、各ガスが各流入バルブ41、42、43、44を介して流入される、圧力調整された各ガスのガス流量の測定及び調整を行うものである。
【0063】
流出バルブ51、52、53、54は、流量及び圧力の調整された各ガスのうち、必要なガスを下流の補助バルブ60へと供給するためのバルブである。
【0064】
マスフローコントローラ71は、ガスの供給が4系統から1系統にまとめられた後、補助バルブ60を介して供給される、各ボンベからのガスからなる混合ガスのガス流量の測定及び調整を行うものである。
【0065】
マスフローコントローラ72、73は、マスフローコントローラ71からの混合ガスを2系統に分けた下流に設置されており、それぞれが独立して、2系統に分けられた混合ガスのガス流量を測定するとともに第1の実施形態で示したようなガス流量変化パターンにより「ゆらぎ」を与えながら、反応容器111に混合ガスを供給するものである。なお、これらマスフローコントローラ72、73の制御は不図示のコンピュータ等によりなされる。
【0066】
なお、図4(b)に示すガス供給部200のような構成以外にも例えば矩形波状の流量変化であれば、電磁弁やニードルバルブを多数組み合わせることで、あらかじめ設定されたガス流量変化パターンを実現することは可能であるが、例えば第1の実施形態で示した図3(a)のような正弦波状のガス流量変化パターン等を実現するにはマスフローコントローラを用いる方が好ましい。また、図4(b)では、単独のガス供給源196をマスフローコントローラ72、73において分岐してから反応容器111に混合ガスを供給しているが、複数のガスの供給源を用いてそれぞれ独立してガス流量を制御し、反応容器111に混合ガスを供給するものであってもよい。
【0067】
次に、排気部198に関して説明する。
【0068】
排気部198は、ガス供給部200及び反応容器111内を減圧するための、例えば真空ポンプ等の不図示の排気装置と、反応容器111と排気装置との間に設けられたメイン排気バルブ118と、反応容器111内の真空圧を測定するための真空計119と、反応容器リークバルブ117とを有する。
【0069】
次に、高周波電源部199に関して説明する。
【0070】
高周波電源部199は、RF電源116と、高周波マッチングボックス115とを有する。本実施形態では、RF電源116は周波数13.56[MHz]の所望のRF電力を発生する。このRF電力は、高周波マッチングボックス115を介して、反応容器111内に供給されグロー放電を生起させる。
【0071】
次に、本実施形態の堆積膜製造装置100を用いた堆積膜の形成手順について、以下に説明する。
【0072】
まず、カソード電極を兼ねる反応容器111内に円筒状基体112を設置し、例えば真空ポンプ等の不図示の排気装置により反応容器111内を排気する。続いて、基体加熱用ヒータ113により円筒状基体112の温度を200℃ないし350℃の所定の温度に制御する。
【0073】
次にメイン排気バルブ118を開いて反応容器111及びガス供給部200内部を排気する。真空計119の読みが約1×10-2[Pa]になった時点で補助バルブ60を閉じる。
【0074】
その後、ボンベ21、22、23、24の各ボンベ用バルブ31、32、33、34を開き、各圧力調整器61、62、63、64により各ガス圧を2[kg/cm2]に調整する。次に、各流入バルブ41、42、43、44を徐々に開けて、各ガスを各マスフローコントローラ11、12、13、14内に導入する。
【0075】
以上のようにして膜堆積形成の準備が完了した後、以下の手順で各層の形成を行う。
【0076】
円筒状基体112が所定の温度になったところで各流出バルブ51、52、53、54のうちの所望のものおよび補助バルブ60を開き、マスフローコントローラ71を用いて徐々にガスを流していく。その際、マスフローコントローラ71により実測されたガス流量の半分ずつをそれぞれ2つのマスフローコントローラ72、73に分配し、それぞれ、第1のガス管114a及び第2のガス管114bを介して反応容器111内にガスを供給する。次に各マスフローコントローラ11、12、13、14によって各ガスが所定の混合比、ガス流量になるように調整する。その際、反応容器111内の圧力が1.5×102[Pa]以下の所定の圧力になるように真空計119を見ながらメイン排気バルブ118の開口を調整する。なお、第1のガス管114a及び第2のガス管114bから供給されるガスのガス流量は第1の実施形態及び本実施形態で説明した「ゆらぎ」をマスフローコントローラ72、73により与えながら供給する。内圧が安定したところで、周波数13.56[MHz]のRF電源116を所望の電力に設定して、高周波マッチングボックス115を通じて反応容器111内にRF電力を与え、グロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって反応容器111内に供給されたガスが分解され、円筒状基体112上に所定の機能性堆積膜が形成されることとなる。所望の膜厚の堆積膜の形成が行われた後、RF電力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。同様の操作を複数回繰り返せば、多層構造の機能性堆積膜の形成も可能である。
【0077】
さらに、上述のガスの種類および各バルブの操作は各々の膜、各々の層の形成条件にしたがって変更が加えられることは言うまでもない。
【0078】
以上説明したように本実施形態によれば、堆積膜を形成する際、ガス流量に「ゆらぎ」を与えることで、ガスの滞留を防止できる。これにより、本実施形態も第1の実施形態と同様に、実質的に特性むらのない堆積膜を形成できる。また、ガスの滞留の発達の抑制を第1のガス管114aと第2のガス管114bの機械的特性の精度管理によらず、各ガスの供給に際する「ゆらぎ」により行うため、精度管理の低減がなされる。
【0079】
なお、本発明は、第1及び第2の実施形態を例として説明してきたが、これらになんら限定されるものではない。また、以下に第1及び第2の実施形態の実施例を示すが、本発明はこれらによって何ら限定されるものでもない。
【0080】
【実施例】
まず、本発明の第1の実施形態についての実施例に関して、以下に説明する。(第1の実施例)
本実施例では、堆積膜の製造装置として、図1に示した第1の実施形態の平行平板型の堆積膜製造装置10を用い、3種類のa−Si:H堆積膜を基板8に形成した。
【0081】
カソード6とアース電極7との電極間距離は5[cm]であり、第1のガス供給経路1と第2のガス供給経路2ガスとには、それぞれ、ガス管3a、3bが基板8と平行な方向に形成されている。よって、ガスの吐出方向は基板8と平行な方向に吐出される。
【0082】
また、基板8としては、12インチSiウエハと、12インチ四方のガラス板を用い、プラズマ形成用電力として不図示の電源から13.56[MHz]の高周波を与えた。
【0083】
なお、堆積膜製造装置10の詳細の説明に関しては、すでに上述したため省略する。
【0084】
次に、本実施例の堆積膜の形成条件を表1に示す。
【0085】
【表1】
Figure 0003848018
この時の圧力、ガス流量から換算すると、ガスの平均滞在時間は約0.4秒程度であった。
【0086】
本実施例では、図5(a)〜図5(c)に示すような3通りのガス流量変化パターンにより3種類のサンプルを作製した。
【0087】
サンプル▲1▼は、図5(a)に示すように、ガス流量が一定の時間と、この一定の時間のガス流量に対して矩形波状にガス流量が変化する時間とを有する、いわゆるガスに「ゆらぎ」を与えるものであり、周期Tとして4秒、T2として0.4秒として堆積膜を形成したものである。なお、ガス流量変化分Δfは、時間T1における流量の20%とした。
【0088】
サンプル▲2▼はサンプル▲1▼に対する比較用のサンプルであり、図5(b)に示すように、ガス流量を一定とし堆積膜を形成したものである。
【0089】
サンプル▲3▼もサンプル▲1▼に対する比較用のサンプルであり、図5(c)に示すように、T=T2=0.4秒とし、ガス流量が一定の時間がないものとして堆積膜を形成したものである。なお、ガス流量変化分Δfは、サンプル▲1▼の時間T2におけるガス流量変化分Δfと同じ20%とした。
【0090】
また、サンプル▲1▼ではガス流量変化分Δfを時間T1における流量の20%とし、サンプル▲3▼では、サンプル▲1▼のT2におけるガス流量変化と同じになるようにした。
【0091】
作製した各サンプルについて、結合状態をウエハ上で、膜厚、導電率をガラス上で、以下に示す測定ポイントにおいて測定し、そのばらつきを評価した。測定ポイントは、第1のガス供給経路1と第2のガス供給経路2直下の点を8ヶ所と、第1のガス供給経路1と第2のガス供給経路2の間の点を8ヶ所との、計16ヶ所とした。
【0092】
まず、測定ポイントを中心として1cm角の領域を切り出し、紫外・可視光吸収分光計を用いて膜厚を測定した。次に赤外吸収分光にてSiHとSiH2に起因するピークをそれぞれ求め、両者の面積比(SiH2/SiH)を計算した。最後にガラス基板上の堆積膜に櫛形電極を真空蒸着法により形成し、堆積膜の導電率を測定した。
【0093】
本実施例の測定結果を表2に示す。
【0094】
【表2】
Figure 0003848018
なお、表1は、膜厚、SiH2/SiH比、暗導電率の測定結果に関して、16ヶ所のデータからばらつきを評価した後、標準偏差を計算し、ガス流量を一定としたサンプル▲2▼の標準偏差の値を1とした相対値で表している。
【0095】
膜厚のばらつきの少なさに関しては、ガス流量が変化する時間T2をもつガス流量変化パターンを用いたサンプル▲1▼及びサンプル▲3▼の結果が良好であった。
【0096】
SiH2/SiH比、暗導電率の標準偏差に関しては、サンプル▲1▼が最も良好で、サンプル▲3▼が最も悪かった。これは、サンプル▲1▼の方法が供給するガスに適度な「ゆらぎ」を与えているのに対し、サンプル▲3▼ではガスの流れを乱しすぎており、その差が暗導電率のむらとして現れていると考えられる。
【0097】
以上の結果から、供給するガスに適度な「ゆらぎ」を持たせ、かつ、複数のグループで相補的にガス流量を変化させる機能性堆積膜の製造方法により、堆積膜の特性むらが改善することが分かった。その際にはガス流量を常に変化させるだけでは本発明の効果が得られず、ガス流量を一定とする時間とガス流量を変化させる時間の双方が必要不可欠であるとともに両者のバランスを取ることで初めて本発明の効果が得られることが判明した。
【0098】
(第2の実施例)
本実施例では、堆積膜を形成する装置として第1の実施例で示した堆積膜製造装置10を用いた。また、第1の実施例で説明した基板8と同等の12インチSiウエハ及び12インチ四方ガラス基板上に表1で示す条件にてa−Si:H堆積膜を形成した。
【0099】
ガス流量変化パターンとして、図6に示すように「ゆらぎ」となるところに正弦波状のガス流量の変化を与え、ガス流量変化分Δfを、時間T1における流量の1%、5%、30%、60%、80%とする5種類のガス流量変化パターンにて行った。周期Tは8秒、時間T2は2秒とした。また、比較としてガス流量を一定としたサンプルも同様に形成した。
【0100】
得られたサンプルについて、膜厚、SiH2/SiH比、導電率を第1の実施例と同様の16ヵ所の測定ポイントにおいて求め、各測定値のばらつきを評価した。
【0101】
本実施例の測定結果を表3に示す。
【0102】
【表3】
Figure 0003848018
なお、表3はガス流量を一定としたサンプルによる標準偏差を1とし、相対評価で表している。
【0103】
ガス流量変化分Δfが1%のものに関しては、ガス流量を一定としたものに比べて効果は見られるものの、その違いは僅差であったのに対し、ガス流量変化分Δfが5%〜60%の範囲においては、膜厚、SiH2/SiH比、導電率の全てに関して顕著な改善効果が見られた。一方、ガス流量変化分Δfを80%とした場合、膜厚、SiH2/SiH比、導電率のばらつき改善は見られたものの、一定流量の際の値に近づいてしまった。この結果から、ガス流量変化分Δfが5%〜60%の範囲において、本発明の効果が最大限に得られることが確かめられた。
【0104】
(第3の実施例)
本実施例でも、堆積膜を形成する装置として第1の実施例で示した堆積膜製造装置10を用いた。また、第1の実施例で説明した基板8と同等の12インチSiウエハ及び12インチ四方ガラス基板上に表1で示す条件にてa−Si:H堆積膜を形成した。
【0105】
ガス流量変化パターンとして、図7に示すように「ゆらぎ」となるところにパルス状のガス流量の変化を与え、時間T2の時間T1に対する時間比T2/T1が、0.5%、1%、15%、30%、40%とする5種類のガス流量変化パターンにて堆積膜の製造を行った。ガス流量変化分Δfに関しては30%とし、周期Tを10秒とした。また、比較としてガス流量を一定としたサンプルも同様に形成した。
【0106】
得られたサンプルについて、膜厚、SiH2/SiH比、導電率を第1の実施例と同様の16ヶ所の測定ポイントにおいて求め、各測定値のばらつきを評価した。
【0107】
本実施例の測定結果を表4に示す。
【0108】
【表4】
Figure 0003848018
なお、表4はガス流量を一定としたサンプルによる標準偏差を1とし、相対評価で表している。
【0109】
時間比T2/T1が0.5%のものに関しては、ガス流量を一定としたものに比べて効果は見られるものの、その違いは少なかった。これは流量を変化させる時間が短すぎたためにガスが追従せず、ガスの「ゆらぎ」の効果が充分に発揮されなかったためと考えられる。それに対し、時間比T2/T1が1%〜30%の範囲においては、膜厚、SiH2/SiH比、導電率の全てに関して顕著な改善効果が見られた。また、ガス流量変化分Δfが40%の割合でガス流量を変化させた場合と比べても、時間比T2/T1が1〜30%の結果は、膜厚、SiH2/SiH比、暗導電率の全てにおいて標準偏差が良好であることがわかった。この結果から、時間比T2/T1が1%〜30%の範囲において、本発明の効果が最大限に得られることが確かめられた。
【0110】
(第4の実施例)
本実施例でも、堆積膜を形成する装置として第1の実施例で示した堆積膜製造装置10を用いた。また、第1の実施例で説明した基板8と同等の12インチSiウエハ及び12インチ四方ガラス基板上に表1で示す条件にてa−Si:H堆積膜を形成した。
【0111】
ガス流量変化パターンとして、図8に示すように「ゆらぎ」となるところに矩形波状のガス流量の変化を与え、ガスの反応容器内における平均滞在時間s[sec]を基準として、周期Tを平均滞在時間sの0.5、1、10、100、200倍とする6種類のガス流量変化パターンにて堆積膜の製造を行った。ガス流量変化分Δfに関しては40%とし、時間比T2/T1を20%とした。また、比較としてガス流量を一定としたサンプルも同様に形成した。
【0112】
得られたサンプルについて、膜厚、SiH2/SiH比、導電率を第1の実施例と同様の16ヶ所の測定ポイントにおいて求め、各測定値のばらつきを評価した。
【0113】
本実施例の測定結果を表5に示す。
【0114】
【表5】
Figure 0003848018
なお、表5は、ガス流量を一定としたサンプルによる標準偏差を1とし、相対評価で表している。
【0115】
周期Tが平均滞在時間sの0.5倍から100倍までの範囲においては、膜厚、SiH2/SiH比、導電率の全てに関して顕著な効果が見られた。一方、周期Tが平均滞在時間sの200倍の周期でガスを変化させた場合、効果は見られるものの、膜厚、SiH2/SiH比、暗導電率とも一定流量の際の値に近づいてしまった。この原因としては次のように考えられる。周期Tが平均滞在時間sの200倍では、一定流量の時間T1が平均滞在時間に比べて十分に長く、一定流量の寄与が大きくなってしまう場合があるために最適な効果が得られなかったと考えられる。この結果から、本発明のガス流量変化に際し、周期Tが平均滞在時間sの0.5倍〜100倍の範囲において、本発明の効果が最大限に得られることが確かめられた。
【0116】
(第5の実施例)
本実施例でも、堆積膜を形成する装置として、第1の実施例で示した堆積膜製造装置10と基本的に同等のものを用いた。すなわち、第1の実施例で用いた堆積膜製造装置10でのガス管3a、3bの吐出孔の方向は、基板8と平行な方向に形成されていたのに対し、本実施例では、後述するように、ガス管3a、3bの吐出孔の方向の角度を変化させて、堆積膜を形成するものであるが、それ以外は全て第1の実施例で用いた堆積膜製造装置10と同じである。
【0117】
堆積膜を形成する基板は、第1の実施例で説明した基板8と同等であり、12インチSiウエハ及び12インチ四方ガラス基板上に表1で示す条件にてa−Si:H堆積膜を形成した。
【0118】
使用する第1のガス供給経路1と第2のガス供給経路2としては図9(a)〜図9(f)に示すように、ガスの吐出方向に関して、基板と平行な面に対してカソード側に10度、20度、30度と変化させたもの(図9(a)〜図9(c))と、基板側に角度を持たせたもの(図9(d)〜図9(f))との計6種類を用いた。ガス流量変化パターンとしては、周期Tとして6秒、時間T2として1秒、ガス流量変化分Δfを35%とした。また比較のために、一定流量による堆積膜製造に関しても行った。
【0119】
得られたサンプルについて、膜厚、SiH2/SiH比、導電率を第1の実施例と同様の16ヶ所の測定ポイントにおいて求め、各測定値のばらつきを評価した。また本実験例では上記の検討に加え、球状突起の数を顕微鏡写真から見積もり、ガス流量を一定としたサンプルによる球状突起数と比較し、相対値で示した。
【0120】
本実施例の測定結果を表6に示す。
【0121】
【表6】
Figure 0003848018
なお、表6は、ガス流量を一定としたサンプルによる標準偏差を1とし、相対評価で表した。
【0122】
全てのサンプルにおいて、ガス流量が一定のサンプルに比べてばらつきが少ないという結果が得られたが、球状突起の数に関しては、30度のものがガス流量が一定のものとほとんど変わらなかったのに対し、10、20度のものに関しては球状突起の数が減少していた。
【0123】
この結果から、ガス吐出方向の基板面に平行な面に対する角度が、±20度の範囲にある場合に、本発明の効果が最大限に得られることが確かめられた。
【0124】
以上、本発明の第1の実施形態の実施例として第1ないし第5の実施例について説明してきたが、以下に、本発明の第2の実施形態の実施例に関して説明する。
【0125】
(第6の実施例)
第1ないし第5の実施例では平行平板型の堆積膜製造装置を用いたが、本実施例では、円筒形同軸型のプラズマCVD装置を用いて基体に堆積膜を形成し、以下に示す試験を行い、形成された堆積膜の評価を行った。
【0126】
図10(a)及び図10(b)に本実施例で用いた堆積膜製造装置400の反応容器411の上面断面図及び堆積膜製造装置400の概略構成図及びを示す。堆積膜製造装置400は、円筒形状で、内周に各3本ずつの第1のガス管414a、第2のガス管414b及び第3のガス管414cが1本ごとに交互に配され(計9本)、中央部に直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダである円筒状基体412が載置される反応容器411を有する。また、ガス供給源496から第1ないし第3のガス管414a、414b、414cへのガス流量を独立に制御しながら供給する第1のガス管用マスフローコントローラ421a、第2のガス管用マスフローコントローラ421b及び第3のガス管用マスフローコントローラ411cとを有し、さらに、反応容器411内を減圧するための不図示の排気装置と、反応容器411内でグロー放電を行わせるための高周波電源部499と有する。また、第1ないし第3のガス管414a、414b、414cからのガスの吐出方向は、円筒状基体412の表面の接線に平行な平面から20度反応容器411の壁面側に角度が付けられており、左右2方向にガスの吐出がなされる。
【0127】
各ガス管から供給されるガスのガス流量変化パターンを、図11に示す。堆積膜製造装置400における反応容器411内のガスの平均滞留時間sは、本実施例の内部のガス圧力、ガス流量では約1秒程度であることから、周期Tとしては20秒、時間T2としては3秒とした。またガス流量は時間T1においては全ガス流量を3等分したガス流量とし、ガス流量変化分Δfに関しては25%とした。
【0128】
表7に本実施例における電子写真感光体の作製条件を示す。
【0129】
【表7】
Figure 0003848018
なお、表7に示すように、SiH4及びCH4の流量は、表面層の形成時に時間的に変化させた。
【0130】
以上、表7に示す条件により作製された感光体の膜厚を測定したところ、同一装置でガス流量を一定としたものに比べ、均一性の向上が見られた。次に、この感光体を実験用に改造した電子写真装置(キヤノン製NP−6550)にセットして、電位特性の評価を行ったところ、感度の周方向むら、帯電能の周方向むらとも良好で、一定のガス流量で作製した感光体に比べてむらが減少していた。
【0131】
また、作製した感光体を正帯電して画像評価をした。画像欠陥の有無について、全面黒、全面白、全面ハーフトーンの複写原稿を用い、画像を詳細に調べたが、画像欠陥は全く見られなかった。
【0132】
(第7の実施例)
本実施例では、堆積膜の製造装置として、円筒形同軸型のプラズマCVD装置である図4(a)及び図4(b)に示した第2の実施形態の堆積膜製造装置100を用いて、基体に堆積膜を形成し、以下に示す試験を行い、形成された堆積膜の評価を行った。
【0133】
上述の第6の実施例で用いた堆積膜製造装置400では各ガス管が各3本ずつの3つのグループに分けられ、計9本のガス管によりガスが供給されていたのに対し、本実施例の堆積膜製造装置100は、各4本ずつの第1のガス管114aと、第2のガス管114bとが1本ごと交互に配された(計8本)ものが用いられた。また、これに伴い、ガス供給源196からのガスのガス流量を独立に制御しながら第1及び第2のガス管114a、114bへのガスの供給を行うマスフローコントローラも第1のガス管用マスフローコントローラ121aと第2のガス管用マスフローコントローラ121bとの2つが用いられた。また、第1及び第2のガス管114a、114b、からのガスの吐出方向は、円筒状基体112の表面の接線に平行な平面から10度反応容器111の壁面側に角度が付けられており、左右2方向にガスの吐出がなされる。
【0134】
なお、堆積膜製造装置100の詳細の説明に関しては、すでに上述したため省略する。
【0135】
以上のような構成の堆積膜製造装置100に、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダからなる円筒状基体112をセットし、その表面に電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真感光体を作製した。光導電層を2つに分離し、主に電荷発生をさせる領域と、主に電荷輸送を担う領域を設けることで機能分離型の感光体を完成させた。
【0136】
次に、本実施例におけるガス流量変化パターンを図12に示す。堆積膜製造装置100におけるガスの平均滞留時間sは、本実施例の内部のガス圧力、ガス流量では約1秒程度であることから、周期Tとしては15秒、時間T2としては2秒とした。またガス流量は時間T1においては全ガス流量を2等分したガス流量とし、ガス流量変化分Δfに関しては20%とした。
【0137】
表8に本実施例における電子写真感光体の作製条件を示す。
【0138】
【表8】
Figure 0003848018
なお、表8に示すように、SiH4及びCH4の流量は、表面層の形成時に時間的に変化させた。
【0139】
以上、表8に示した条件により作製された感光体の膜厚を測定したところ、同一の装置によりガスの供給を一定流量としたものに比べ、均一性の向上が見られた。次に、この感光体を実験用に改造した電子写真装置(キヤノン製NP−6085を基に、像露光を波長680nmの半導体レーザで行うように改造したもの)にセットして、電位特性の評価を行った。レーザによる露光を行う複写機においては、特に明電位の感度のむら、ハーフトーン電位むらについて低く抑える必要があるが、本実施例で作製した感光体は一定流量で作製した感光体に比べてむらが減少し、極めて良好な結果が得られた。
【0140】
また、作製した感光体を正帯電して画像評価をした。画像欠陥の有無について、全面黒、全面白、全面ハーフトーンの複写原稿を用い、画像を詳細に調べたが、画像欠陥は全く見られなかった。
【0141】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ガス供給工程が、ガス流量を独立して制御する複数のガス供給経路によりなされ、かつ、時間的に変動させる変動供給工程とを含むため、各ガスの供給に際して「ゆらぎ」が発生し、これにより、真空容器内のガスの滞留の発達を抑制することができる。よって、滞留による影響を受けることなく、特性むらの抑制された機能性堆積膜が製造されることとなる。また、変動供給工程における各ガス供給経路から供給されるガスのガス流量の総和が、一定供給工程のガス流量の総和と略同一であるため、所望の機能性堆積膜の形成に必要なガス流量が確保される。
【0142】
さらに、ガスの滞留の発達の抑制をガス供給手段の機械的特性の精度管理によらず、各ガスの供給に際する「ゆらぎ」により行うため、精度管理の低減がなされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の一例である堆積膜製造装置の概略構成図である。
【図2】矩形波状のガス流量変化パターンを説明するグラフである。
【図3】別のガス流量変化パターンを説明するグラフである。
【図4】本発明の第2の実施形態の一例である堆積膜製造装置の上面断面図及び概略構成図である。
【図5】本発明の第1の実施例で用いた各ガス供給経路から供給されるガスのガス流量変化パターンを示すグラフである。
【図6】本発明の第2の実施例で用いた各ガス供給経路から供給されるガスのガス流量変化パターンを示すグラフである。
【図7】本発明の第3の実施例で用いた各ガス供給経路から供給されるガスのガス流量変化パターンを示すグラフである。
【図8】本発明の第4の実施例で用いた各ガス供給経路から供給されるガスのガス流量変化パターンを示すグラフである。
【図9】本発明の第5の実施例で試された、各ガス管からのガスの吐出方向を示す模式図である。
【図10】本発明の第6の実施例で用いた堆積膜製造装置の上面断面図及び概略構成図である。
【図11】本発明の第6の実施例で用いた各ガス管から供給されるガスのガス流量変化パターンを示すグラフである。
【図12】本発明の第7の実施例で用いた各ガス管から供給されるガスのガス流量変化パターンを示すグラフである。
【図13】従来の一例である堆積膜製造装置内に生じたガスの滞留を説明する図である。
【符号の説明】
1 第1のガス供給経路
1a 第1のガス流量制御部
2 第2のガス供給経路
2a 第2のガス流量制御部
3a、3b ガス管
4a、4b ガス供給手段
5 高周波電源
6 カソード
7 アース電極
8 基板
9 反応容器
10 堆積膜製造装置
11、12、13、14、71、72、73 マスフローコントローラ
21、22、23、24 ボンベ
31、32、33、34 ボンベ用バルブ
41、42、43、44 流入バルブ
51、52、53、54 流出バルブ
60 補助バルブ
61、62、63、64 圧力調整器
100、400 堆積装置
111、411 反応容器
112、412 円筒状基体
113 基体加熱用ヒータ
114a、414a 第1のガス管
114b、414b 第2のガス管
414c 第3のガス管
115 マッチングボックス
116 高周波電源
117 反応容器リークバルブ
118 メイン排気バルブ
119 真空計
197 堆積膜形成部
198 排気部
199、499 高周波電源部
200 ガス供給部
421a 第1のマスフローコントローラ
421b 第2のマスフローコントローラ
421c 第3のマスフローコントローラ
496 ガス供給源

Claims (17)

  1. 機能性堆積膜を形成すべき基体が内部に載置される真空容器内に、前記機能性堆積膜の原料となるガスをガス供給経路から供給するガス供給工程と、前記真空容器内でプラズマを発生させるプラズマ発生工程とを含む機能性堆積膜の製造方法において、
    前記ガス供給工程は、複数系統の前記ガス供給経路から前記ガスを供給するものであるとともに、
    前記各ガス供給経路からのガス流量を一定とする一定供給工程と、
    前記各ガス供給経路からのガス流量の総和が、前記一定供給工程のガス流量の総和と略同一となるように、ガス流量を前記一定供給工程のガス流量に対して変化させる変動供給工程とを含むことを特徴とする機能性堆積膜の製造方法。
  2. 前記変動供給工程は、前記ガス流量を時間的に連続して変化させる工程を含む請求項1に記載の機能性堆積膜の製造方法。
  3. 前記一定供給工程と、前記変動供給工程とが交互に繰り返される請求項1または2に記載の機能性堆積膜の製造方法。
  4. 前記変動供給工程における各ガス供給経路からのガス流量のピーク値と、前記一定供給工程における各ガス供給経路からのガス流量との差分が、前記一定供給工程における該各ガス供給経路からのガス流量の5%以上60%以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の機能性堆積膜の製造方法。
  5. 前記変動供給工程に要する時間が、前記一定供給工程に要する時間の1%以上30%以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の機能性堆積膜の製造方法。
  6. 前記変動供給工程と前記一定供給工程とが周期的に繰り返され、かつ、その周期が、
    s=pV/f
    s:真空容器内でのガスの平均滞在時間
    V:真空容器内の内容積
    p:プラズマ発生工程時の圧力
    f:真空容器内に供給されるガス流量
    で表される前記平均滞在時間sの0.5倍以上100倍以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の機能性堆積膜の製造方法。
  7. 前記ガス供給工程は、前記各ガスを前記基体の表面に平行な仮想の平面に対して±20度の範囲で、前記複数のガス供給経路から前記ガスを吐出させることで前記真空容器内に前記各ガスを供給する工程を含む請求項1ないし6のいずれか1項に記載の機能性堆積膜の製造方法。
  8. 機能性堆積膜を形成すべき基体が内部に載置される真空容器内に、前記機能性堆積膜の原料となるガスをガス供給経路から供給するガス供給工程と、前記真空容器内でプラズマを発生させるプラズマ発生工程とを含む機能性堆積膜の製造方法において、
    前記ガス供給工程は、複数系統の前記ガス供給経路から前記ガスを供給するものであるとともに、
    前記各ガス供給経路からのガス流量を所望量で一定とする一定供給工程と、
    前記各ガス供給経路からのガス流量の総和が、前記一定供給工程の前記各ガス供給経路からのガス流量の総和と略同一となるように、前記各ガス供給経路からのガス流量を前記一定供給工程の前記各ガス供給経路からのガス流量に対して変化させる変動供給工程とを含むことを特徴とする機能性堆積膜の製造方法。
  9. 機能性堆積膜を形成すべき基体が内部に載置される真空容器と、前記機能性堆積膜の原料となるガスを供給するガス供給手段と、前記真空容器内でプラズマを発生させるプラズマ手段とを有する機能性堆積膜の製造装置において、
    前記ガス供給手段は、少なくとも1つのガス源及び前記ガス源からのガスを前記真空容器内に供給する複数のガス供給経路からなり、
    前記各ガス供給手段からのガス流量を一定とする一定供給時間と、前記各ガス供給手段からのガス流量の総和が、前記一定供給時間の前記ガス流量の総和と略同一となるように、ガス流量を前記一定供給時間のガス流量に対して変化させる変動供給時間とからなるガス流量変化パターンにより、前記各ガス供給手段の各ガス流量を制御する複数のガス流量制御手段を有することを特徴とする機能性堆積膜の製造装置。
  10. 前記ガスは、複数の種類のガスからなる混合ガスである請求項9に記載の機能性堆積膜の製造装置。
  11. 前記各ガス流量制御手段は、前記変動供給時間では前記ガス流量を時間的に連続して変化させる請求項9または10に記載の機能性堆積膜の製造装置。
  12. 前記各ガス流量制御手段によるガス流量変化パターンは、前記一定供給時間と、前記変動供給時間とが交互に繰り返されるものである請求項9ないし11のいずれか1項に記載の機能性堆積膜の製造装置。
  13. 前記変動供給時間における各ガス供給手段からのガス流量のピーク値と、前記一定供給時間における各ガス供給手段からのガス流量との差分が、前記一定供給時間における該各ガス供給手段からのガス流量の5%以上60%以下である請求項9ないし12のいずれか1項に記載の機能性堆積膜の製造装置。
  14. 前記変動供給時間が、前記一定供給時間の1%以上30%以下である請求項9ないし13のいずれか1項に記載の機能性堆積膜の製造装置。
  15. 前記変動供給時間と前記一定供給時間とが周期的に繰り返され、かつ、その周期が、
    s=pV/f
    s:真空容器内でのガスの平均滞在時間
    V:真空容器内の内容積
    p:プラズマの発生時の圧力
    f:真空容器内に供給されるガス流量
    で表される前記平均滞在時間sの0.5倍以上100倍以下である請求項9ないし14のいずれか1項に記載の機能性堆積膜の製造装置。
  16. 前記ガス供給手段は、前記ガスを前記真空容器内に吐出する吐出孔が前記基体の表面に平行な仮想の平面に対して±20度の範囲で形成された複数のガス管からなるものである請求項9ないし15のいずれか1項に記載の機能性堆積膜の製造装置。
  17. 機能性堆積膜を形成すべき基体が内部に載置される真空容器と、前記機能性堆積膜の原料となるガスを供給するガス供給手段と、前記真空容器内でプラズマを発生させるプラズマ手段とを有する機能性堆積膜の製造装置において、
    前記ガス供給手段は、少なくとも1つのガス源及び前記ガス源からのガスを前記真空容器内に供給する複数のガス供給経路からなり、
    前記各ガス供給手段からのガス流量を所望量で一定とする一定供給時間と、前記各ガス供給手段からのガス流量の総和が、前記一定供給時間の前記各ガス供給経路からの前記ガス流量の総和と略同一となるように、前記各ガス供給経路からのガス流量を前記一定供給時間の前記各ガス供給経路からのガス流量に対して変化させる変動供給時間とからなるガス流量変化パターンにより、前記各ガス供給手段の各ガス流量を制御する複数のガス流量制御手段を有することを特徴とする機能性堆積膜の製造装置。
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