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JP3837876B2 - アジドハロゲノベンジル誘導体及び水酸基の保護方法 - Google Patents

アジドハロゲノベンジル誘導体及び水酸基の保護方法 Download PDF

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JP3837876B2 JP30099897A JP30099897A JP3837876B2 JP 3837876 B2 JP3837876 B2 JP 3837876B2 JP 30099897 A JP30099897 A JP 30099897A JP 30099897 A JP30099897 A JP 30099897A JP 3837876 B2 JP3837876 B2 JP 3837876B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水酸基を有する種々の化合物、特に糖及び糖誘導体の水酸基の保護に有用な新規アジドハロゲノベンジル誘導体に関し、更に詳しくは耐酸性に優れ、かつ穏和な条件で脱保護され得る水酸基の保護基を導入できる新規アジドハロゲノベンジル誘導体に関する。また本発明は、該誘導体を用いて保護された糖化合物、並びに該誘導体を用いた水酸基の保護方法に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】
水酸基を有する化合物を用いる反応、特に糖鎖の合成において、用いられる糖やその誘導体等は目的の結合形成に関与しない他の多くの水酸基を有するため、これらの水酸基を保護基にて保護し、その糖鎖伸長反応系から除外させる必要がある。一方、糖鎖結合に関与する特定の水酸基の保護基を順次脱離させ、アクセプターとして機能させなければならない。即ち、例えば糖鎖の伸長合成において、必要な時に切断できるよう予め特定の保護基を特定の水酸基に結合しておき、それぞれ選択的切断と新たな付加すべき糖との結合を繰り返していく。これらの保護基は、必要に応じて選択的に除去できるという性質以外に、グリコシド結合形成反応や他の保護基の切断反応などの種々の条件下において安定であることが必須である。中でもグリコシド化にはルイス酸等が用いられ、特に固相合成法等のような自動合成においては連続的に酸性環境下に置かれるため、使用される保護基は耐酸性に優れることが必要となる。
また、特に糖鎖の自動合成においては、保護基の脱離は、温度やpH等が比較的穏和な条件下で行わなければならない。
従来のp−メトキシベンジル基、p−アジドベンジル基等の水酸基の保護基は、比較的穏和な条件下で保護基の脱離が行えるので、この点に関しては問題はないが、耐酸性に乏しく、これらの保護基を用いての糖鎖の合成、特に側鎖を有する糖鎖の合成を効率良く行うことは極めて困難であった。
上記の如き状況に鑑みて水酸基の保護基の開発が行われているが、耐酸性に優れ、かつ穏和な条件で脱離されるような水酸基の保護基としては、未だ充分なものは得られていない。
【0003】
本発明は、通常の水酸基の保護は勿論、さらに従来の液相での糖鎖の合成のみならず、自動合成装置を用いる連続的な糖鎖の固相合成法にも適用できる水酸基の保護基を、水酸基含有化合物に導入しうる新規誘導体を提供することを目的とする。また、本発明の目的は、該誘導体を用いて保護された糖化合物、並びに該誘導体を用いた水酸基の保護方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、後記一般式(I)で表されるアジドハロゲノベンジル誘導体を用いて得られる水酸基の保護基が、優れた耐酸性を有し、かつ穏和な条件で速やかに脱離し得、自動合成装置を用いる連続的な糖鎖の固相合成法にも適用できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0005】
即ち、本発明は以下の通りである。
(1) 一般式(I)
【0006】
【化7】
Figure 0003837876
【0007】
(式中、Aはハロゲン原子を、Bはハロゲン原子又は水素原子を、及びXは水酸基と反応しうる基を示す)で表されるアジドハロゲノベンジル誘導体〔以下、アジドハロゲノベンジル誘導体(I)という〕。
【0008】
(2) 一般式(I)において、Xがハロゲン原子又はイミドイルオキシ基を示す(1) 記載のアジドハロゲノベンジル誘導体。
【0009】
(3) 一般式(I)において、Bが水素原子を示し、Xがハロゲン原子を示す(1) 記載のアジドハロゲノベンジル誘導体。
【0010】
(4) 4−アジド−3−クロロベンジルブロマイドである(1) 記載のアジドハロゲノベンジル誘導体。
【0011】
(5) 少なくとも1個の水酸基の水素原子が、一般式(II)
【0012】
【化8】
Figure 0003837876
【0013】
(式中、各記号は前記と同義である)で表されるアジドハロゲノベンジル基〔以下、アジドハロゲノベンジル基(II)という〕に置換されてなる糖化合物。
【0014】
(6) 単糖、オリゴ糖又は多糖を、アジドハロゲノベンジル誘導体(I)と反応させて得られる(5) 記載の糖化合物。
【0015】
(7) アジドハロゲノベンジル誘導体(I)と水酸基含有化合物とを反応させて、該水酸基含有化合物の水酸基の水素原子をアジドハロゲノベンジル基(II)に置換することを特徴とする水酸基の保護方法。
【0016】
(8) 水酸基含有化合物が糖構造を含有する化合物である(7) 記載の保護方法。
【0017】
(9) アジドハロゲノベンジル誘導体(I)を含有する、水酸基を保護するための試薬。
【0018】
(10)一般式(I)において、Xがハロゲン原子又はイミドイルオキシ基を示す(9) 記載の試薬。
【0019】
(11)一般式(I)において、Bが水素原子を示し、Xがハロゲン原子を示す(9) 記載の試薬。
【0020】
(12)アジドハロゲノベンジル誘導体(I)が4−アジド−3−クロロベンジルブロマイドである(9) 記載の試薬。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明において、各置換基の定義は以下の通りである。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子、臭素原子が好ましい。より好ましくは塩素原子である。
水酸基と反応しうる基とは、水酸基と反応して該水酸基の水素原子と共に脱離しうる基であって、例えば上記のようなハロゲン原子、イミドイルオキシ基等が挙げられる。好ましくはハロゲン原子である。
ここで、イミドイルオキシ基とは、炭素数1〜5個のアルキル基等を有するイミドイルオキシ基であって、更に置換基としてハロゲン原子等を有していてもよい。具体的には1,1,1−トリクロロエタンイミドイルオキシ基等が挙げられる。
【0022】
本発明のアジドハロゲノベンジル誘導体(I)として、好ましくは4−アジド−3−クロロベンジルブロマイドが挙げられる。
【0023】
本発明のアジドハロゲノベンジル誘導体(I)は、例えばXがハロゲン原子の場合、以下のようにして合成することができる。
【0024】
【化9】
Figure 0003837876
【0025】
(式中、X1 はハロゲン原子を示し、A及びBは前記と同義である)
即ち、一般式(III)で表されるアミノハロゲノトルエン〔以下、アミノハロゲノトルエン(III)という〕を塩酸水溶液中、亜硝酸ナトリウムで処理し、次いでアジ化ナトリウムで処理することにより一般式(IV)で表されるアジドハロゲノトルエン〔以下、アジドハロゲノトルエン(IV)という〕を得る〔新実験化学講座XVI・有機化合物の合成と反応 III,丸善,1665-1666 頁(1978)〕。さらにこれを、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等の触媒の存在下、適当な溶媒中、必要に応じて不活性ガス気流中、遮光下に、N−ハロゲノスクシンイミドと反応させることにより、本発明のアジドハロゲノベンジル誘導体(I)を得ることができる〔新実験化学講座XVI・有機化合物の合成と反応I,丸善,336-339 頁(1979)〕。
また、N−ハロゲノスクシンイミドの代わりに、塩素ガス、臭素ガス等のハロゲンガス、又は固体ヨウ素や液体臭素のような固体若しくは液体のハロゲンを用いてもよい。
【0026】
アジドハロゲノトルエン(IV)の合成は、通常、アミノハロゲノトルエン(III)に対して1〜10当量、好ましくは1〜5当量、より好ましくは1〜2当量の亜硝酸ナトリウムを加え、−10℃〜室温で数分〜数十分間攪拌した後、アミノハロゲノトルエン(III)に対して1〜5当量、好ましくは1〜2当量のアジ化ナトリウムを加えてさらに−10℃〜室温で数分〜数十分間攪拌することにより行われる。
【0027】
出発原料であるアミノハロゲノトルエン(III)としては、例えば2−アミノ−4−フルオロトルエン、2−アミノ−5−フルオロトルエン、2−アミノ−6−フルオロトルエン、3−アミノ−4−フルオロトルエン、3−アミノ−5−フルオロトルエン、3−アミノ−6−フルオロトルエン、4−アミノ−2−フルオロトルエン、4−アミノ−3−フルオロトルエン、2−アミノ−3−クロロトルエン、2−アミノ−5−クロロトルエン、2−アミノ−6−クロロトルエン、3−アミノ−4−クロロトルエン、3−アミノ−6−クロロトルエン、4−アミノ−2−クロロトルエン、4−アミノ−3−クロロトルエン、2−アミノ−5−ブロモトルエン、2−アミノ−6−ブロモトルエン、2−アミノ−5−ヨードトルエン、4−アミノ−2−ヨードトルエン、4−アミノ−2,6−ジクロロトルエン、2−アミノ−4,6−ジクロロトルエン、4−アミノ−2,5−ジクロロトルエン等が挙げられる。
【0028】
アジドハロゲノトルエン(IV)とN−ハロゲノスクシンイミドとの反応においては、通常、アジドハロゲノトルエン(IV)に対して1〜5当量、好ましくは1〜2当量のN−ハロゲノスクシンイミドが用いられる。反応に用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素やジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられるが、これら溶媒は、無水状態のものを用いることが好ましい。反応温度は、通常使用する溶媒の沸点であり、反応時間は、通常数十分〜数十時間である。
【0029】
用いられるN−ハロゲノスクシンイミドとしては、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド等が挙げられる。
【0030】
また、Xがイミドイルオキシ基である場合には、例えば対応するアジドハロゲノベンジルアルコールを、ジクロロメタン等の溶媒中、水素化ナトリウムの存在下、トリクロロアセトニトリルと反応させる方法〔第4版 実験化学講座有機合成VIII,丸善,274-275 頁(1990)〕、又は対応するアジドハロゲノベンジルアルコールを、ジクロロメタン等の溶媒中、炭酸セシウムの存在下、トリクロロアセトニトリルと反応させる方法等、自体公知の合成方法によりアジドハロゲノベンジル誘導体(I)を得ることができる。
【0031】
得られた本発明のアジドハロゲノベンジル誘導体(I)は水酸基含有化合物の水酸基を保護するのに有用である。
水酸基含有化合物は糖構造を含有する化合物を包含する。
糖構造を含有する化合物を本発明のアジドハロゲノベンジル誘導体(I)と反応させることにより、該化合物の水酸基の水素原子がアジドハロゲノベンジル基(II)に置換されてなる糖化合物が得られる。
【0032】
糖構造を含有する化合物としては、具体的には単糖類(グルコース、アラビノース、フコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、フルクトース、リキソース、アロース、アリノース、リボース、タロース、グロース、イドース、アルトロース、ソルビトール、マンニトール、グルコサミン等)、オリゴ糖類(マルトース、イソマルトース、ツラノース、ゲンチオビオース、メリビオース、プランテオビオース、プリメレロース、ビシアノース、ニゲロース、ラミナリビオース、ルチノース、セロビオース、キシロビオース、マルトトリオース、ゲンチアノース、メレチトース、プランテオース、ケトース、トレハロース、スクロース、ラクトース、ラフィノース、キシロトリオース等)、多糖類(アミロース、フィコール、デキストリン、デンプン、デキストラン、ポリデキストロース、プルラン、シクロデキストリン、グルコマンノグリカン、グルコマンナン、グアガム、アラビアゴム、グリコサミノグリカン等)、複合糖質(糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカン等)等が挙げられる。
また、これらの糖構造を含有する化合物の水酸基の一部が、例えばアセチル基、アセチルエチルカルボニル基、ベンゾイル基等のアシル基、例えばベンジル基、ニトロベンジル基、アジドベンジル基、メトキシベンジル基等の置換アルキル基等で保護されたものも本発明に係る糖構造を含有する化合物に含まれる。更に、これら糖構造を含有する化合物には、リンカーを介して、例えば樹脂やポリマー等に結合している糖構造を含有する化合物も含まれる。
【0033】
少なくとも1個の水酸基の水素原子がアジドハロゲノベンジル基(II)に置換されてなる糖化合物は、上記糖構造を含有する化合物をアジドハロゲノベンジル誘導体(I)と反応させることにより得られる。
該反応は、通常、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶媒中、0℃〜室温で、数十分〜数時間攪拌することにより行われる。この際、水酸基の活性化の為に、例えば水素化ナトリウム等を用いることが好ましい。
【0034】
少なくとも1個の水酸基の水素原子がアジドハロゲノベンジル基(II)に置換されてなる糖化合物としては、例えばメチル 6−O−(4−アジド−3−クロロベンジル)−2,3,4−トリ−O−ベンジル−D−グルコピラノシド、メチル 4−O−(4−アジド−3−クロロベンジル)−2,3,6−トリ−O−ベンジル−D−グルコピラノシド等が挙げられる。
【0035】
本発明の水酸基の保護方法は、アジドハロゲノベンジル誘導体(I)と水酸基含有化合物とを反応させて、該水酸基含有化合物の水酸基の水素原子をアジドハロゲノベンジル基(II)に置換することにより行われる。
本発明に用いられる水酸基含有化合物としては、例えば上記のような糖構造を含有する化合物、或いはその糖構造を含有する化合物の糖構造を形成する環の酸素原子が硫黄原子やCH2 に置き換わったもの等が好ましく挙げられるが、当該水酸基含有化合物は上記のものに限定されるものではなく、水酸基を有する化合物であればいずれにてもよい。
【0036】
アジドハロゲノベンジル誘導体(I)と水酸基含有化合物との反応は、上記アジドハロゲノベンジル誘導体(I)と糖構造を含有する化合物との反応に準じて行えばよい。
【0037】
かくして得られた水酸基の保護基により、即ちアジドハロゲノベンジル基(II)により保護された化合物は、例えばY.オイカワら,テトラヘドロン レター,23,885頁(1982)等に記載の方法によって、穏和な条件下で容易に脱保護することができる。即ち、トリフェニルホスフィン(PPh3 )をアジドハロゲノベンジル基(II)に対して1〜5当量、好ましくは1〜2当量加えて攪拌し、更に水、酢酸及び2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン(DDQ)をアジドハロゲノベンジル基(II)に対して1〜5当量、好ましくは1〜2当量加えて攪拌することによって、容易に保護基を脱離させることができる。また、酢酸の代わりにシリカゲルを用いてもよい。
【0038】
【実施例】
以下、製造例、実験例及び実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0039】
製造例1:4−アジド−3−クロロトルエンの合成
4−アミノ−3−クロロトルエン(14.16 g, 0.1 mol)を、濃塩酸(50 ml) 、水(400 ml)及びDMF(100 ml)の混液に溶解し、氷−食塩水で冷却した。これに、亜硝酸ナトリウム(6.9 g, 0.1 mol)の水溶液(50 ml) を−5℃〜5℃で20分かけて滴下した。更に、10分間撹拌した後、アジ化ナトリウム(6.5 g, 0.1 mol)の水溶液(50 ml) を10℃〜20℃で20分かけて滴下した。反応溶液を更に1.5 時間攪拌した後、ジエチルエーテルで抽出した (150 ml×3)。エーテル層を合わせ、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下、溶媒を除去し、17.14 g の表題化合物を褐色油状物として得た。
MS(EI): M+ = 167, 169
1H-NMR(270MHz, CDCl3 ) δ:7.19(d,1H), 7.06(m,2H), 2.31(s,3H)
【0040】
実施例1:4−アジド−3−クロロベンジルブロマイドの合成
4−アジド−3−クロロトルエン(17.14 g, 0.1 mol)を無水ベンゼン(80 ml) に溶解し、N−ブロモスクシンイミド(19.6 g, 0.11 mol)及びAIBN(1.64 g, 0.01 mol)を加え、遮光下、窒素気流中で10時間還流した。水(100 ml)を加え、ろ過した。ろ液の水層をとり、エーテルで抽出した。有機層を合わせ、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下に溶媒を除去し、得られた褐色油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン)で精製することにより、表題化合物を得た(14.2 g, 収率58%)。
融点:75〜77℃
1H-NMR(270MHz, CDCl3 ) δ:7.42(d,1H), 7.31(dd,1H), 7.14(d,1H), 4,42(s,2H)
【0041】
実施例2:メチル 6−O−(4−アジド−3−クロロベンジル)−2,3,4−トリ−O−ベンジル−D−グルコピラノシドの合成
メチル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−D−グルコピラノシド(1.16 g, 2.5 mmol)をDMF(10 ml) に溶解し、0℃で水素化ナトリウム(60%油中,120 mg, 3.00 mmol)を加え、15分間撹拌した。続いて、4−アジド−3−クロロベンジルブロマイド(740 mg, 3.00 mmol) を少しずつ加えた。0℃で30分間、室温で3時間撹拌後、反応溶液に氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。減圧下に溶媒を除去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製することにより、表題化合物を黄色油状物として得た(1.48 g, 収率94%)。
1H-NMR(270MHz, CDCl3 ) δ:7.37-7.03(m,18H), 5.00-4.35(m,9H), 3.98(t,1H), 3.76-3.52(m,5H), 3.38(s,3H)
【0042】
実施例3:メチル 4−O−(4−アジド−3−クロロベンジル)−2,3,6−トリ−O−ベンジル−D−グルコピラノシドの合成
糖構造を含有する化合物としてメチル 2,3,6−トリ−O−ベンジル−D−グルコピラノシドを用いて実施例2と同様の方法により、表題化合物を黄色油状物として得た(565 mg, 収率90%)。
1H-NMR(270MHz, CDCl3 ) δ:7.36-7.24(m,15H), 7.07(d,1H), 6.97(m,2H), 4.98(d,1H), 4.80-4.62(m,6H), 4.43(d,1H), 4.34(d,1H), 3.94(t,1H), 3.72-3.52(m,5H), 3.38(s,3H)
【0043】
実験例1:保護基の脱離(メチル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−D−グルコピラノシドの合成)
メチル 6−O−(4−アジド−3−クロロベンジル)−2,3,4−トリ−O−ベンジル−D−グルコピラノシド(126 mg, 0.2 mmol)をテトラヒドロフラン(THF,1 ml)に溶解し、PPh3 (63 mg, 0.24 mmol) を加えて、室温で1時間撹拌した。続いて反応溶液に水(10 μl)、氷酢酸(10 ml) 及びDDQ(68 mg, 0.3 mmol) を加え、さらに1.5 時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、5%アスコルビン酸水溶液、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に溶媒を除去し、褐色の油状物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ジクロロメタン:酢酸エチル=40:1)で精製することにより、表題化合物を無色油状物として得た(86 mg, 収率92%) 。
1H-NMR(270MHz, CDCl3 ) δ:7.37-7.24(m,15H), 4.99(d,1H), 4.90-4.77(m,3H), 4.65(dd,2H), 4.58(d,1H), 4.00(t,1H), 3.76-3.62(m,3H), 3.55-3.47(m,2H), 3.36(s,3H), 1.63(t,1H)
上記酢酸の代わりにシリカゲルを添加することによっても同様な結果が得られた。
【0044】
実験例2:耐酸性試験
メチル 6−O−(4−アジド−3−クロロベンジル)−2,3,4−トリ−O−ベンジル−D−グルコピラノシド(実施例2の化合物)を、塩化メチレン中、室温で2当量の三フッ化ホウ素−ジエチルエーテルにさらしたが、分解されなかった。
水酸基の保護基として4−メトキシベンジル基を有する〔2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル〕ベンゼン、また水酸基の保護基として4−アジドベンジル基を有するメチル 6−O−(4−アジドベンジル)−2,3,4−トリ−O−ベンジル−D−グルコピラノシドを用い、同様の実験を行った。その結果、〔2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル〕ベンゼンは速やかに分解し、メチル 6−O−(4−アジドベンジル)−2,3,4−トリ−O−ベンジル−D−グルコピラノシドは6時間で約25%分解した。
以上のことから、従来の水酸基の保護基とは異なり、本発明によるアジドハロゲノベンジル基は酸に対して優れた安定性を示すことがわかる。
【0045】
実験例3:選択的脱離試験
(1)アジドクロロベンジル基及びメトキシベンジル基で保護されたエチレングリコールの合成:1−アジド−2−クロロ−4−(4−メトキシベンジルオキシエトキシメチル)ベンゼンの合成
2−(4−メトキシベンジルオキシ)エタノール(500 mg, 2.75 mmol) をDMF(10 ml) に溶解し、0℃で水素化ナトリウム(60%油中,132 mg, 3.30 mmol)を加え、30分間撹拌した。続いて、4−アジド−3−クロロベンジルブロマイド(813 mg, 3.30 mmol) を少しずつ加えた。反応液を0℃で30分間、室温で2時間撹拌した後、氷水を加え、エーテルで抽出した。エーテル層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を除去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製することにより、表題化合物を黄色油状物として得た(805 mg,収率84%)。
1H-NMR(270MHz, CDCl3 ) δ:7.39(d,1H), 7.30-7.24(m,3H), 7.13(d,1H), 6.90-6.85(m,2H), 4.51(s,4H), 3.80(s,3H), 3.64(s,4H)
【0046】
(2)アジドクロロベンジル基の脱離:2−(4−メトキシベンジルオキシ)エタノールの合成
上記(1)で得られた1−アジド−2−クロロ−4−(4−メトキシベンジルオキシエトキシメチル)ベンゼン(174 mg, 0.5 mmol)をTHF(1 ml)に溶解し、PPh3 (157 mg, 0.6 mmol) を加え、室温で1時間撹拌した。続いて反応溶液に水(10 ml) 、氷酢酸(10 ml) 及びDDQ(159 mg, 0.7 mmol)を加え、さらに室温で1時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、5%アスコルビン酸水溶液、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に溶媒を除去し、得られた褐色の油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ジクロロメタン:酢酸エチル=2:1)で精製することにより、表題化合物を黄色油状物として得た(68 mg, 収率75%)。
1H-NMR(270MHz, CDCl3 ) δ:7.27(m,2H), 6.89(m,2H), 4.49(s,2H), 3.81(s,3H), 3.74(m,2H), 3.57(m,2H)
【0047】
(3)メトキシベンジル基の脱離:2−(4−アジド−3−クロロベンジルオキシ)エタノールの合成
上記(1)で得られた1−アジド−2−クロロ−4−(4−メトキシベンジルオキシエトキシメチル)ベンゼン(348 mg, 1 mmol)をTHF(2 ml)に溶解し、水(0.1 ml)とDDQ(34 mg, 1.50 mmol)を加え、室温で7時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、5%アスコルビン酸水溶液、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下に溶媒を除去し、得られた褐色の油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製することにより、表題化合物を黄色油状物として得た(201 mg,収率88%)。
1H-NMR(270MHz, CDCl3 ) δ:7.38(d,1H), 7.26(m,1H), 7.15(d,1H), 4.51(s,2H), 3.78(t,2H), 3.60(t,2H)
【0048】
以上のように、本発明によるアジドハロゲノベンジル基は、従来のメトキシベンジル基と異なる条件下で脱保護できる。即ち、DDQと水のみではアジドハロゲノベンジル基は脱保護されないが、メトキシベンジル基は脱保護され、一方、PPh3 、DDQ、水及び酢酸ではアジドハロゲノベンジル基は脱保護されるが、メトキシベンジル基は脱保護されない。かくして、本発明によるアジドハロゲノベンジル基を、従来の保護基と共に使用することにより、保護基の選択的脱離を行うことができる。
【0049】
以下の実施例4〜9は、本発明の保護基を用いる固相合成法による糖鎖の合成例である。なお、反応式中の略号の意味は次のとおりである。
Bzl:ベンジル
Ph:フェニル
Trt:トリフェニルメチル
MPM:4−メトキシベンジル
Bz:ベンゾイル
Tce:2,2,2−トリクロロエチル
Troc:2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル
Et:エチル
Bu:ブチル
Tf:トリフルオロメチルスルホニル
Ac:アセチル
【0050】
実施例4:フェニル 6−O−(4−アジド−3−クロロベンジル)−2,3,4−トリ−O−ベンジル−1−チオ−D−グルコピラノシド(4)の合成
【0051】
【化10】
Figure 0003837876
【0052】
(a)1,6−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシド(2)の合成
水素化ナトリウム(60%油中, 13.2 g, 0.33 mol) を無水エーテルで洗浄し、DMF(100 ml)に懸濁させた。ここに1,6−アンヒドロ−β−D−グルコピラノシド(1)(16.2 g, 0.1 mol) を加え室温で30分間攪拌した。次いで、0℃に冷却し、臭化ベンジル(39.3 ml, 0.33 mol) を滴下し、そのまま室温で2時間攪拌した。水(200 ml)を加え、酢酸エチルで3回抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下に溶媒を除去し、白色結晶を得た。熱メタノールから再結晶し白色結晶の1,6−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシド(2)を得た(38.2 g,収率88%)。
【0053】
(b)フェニル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−1−チオ−D−グルコピラノシド(3)の合成
1,6−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシド(2)(15.0 g, 34.7 mmol) とフェニルチオトリメチルシラン(19.7 ml, 104 mmol) のジクロロメタン溶液(100 ml)にヨウ化亜鉛(11.1 g, 34.7 mmol) を加え室温で4時間攪拌した。反応溶液を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。残渣をメタノール(100 ml)に溶かし、1N塩酸(50 ml) を加え、室温で15分間攪拌した。減圧下にメタノールを除去した後、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に溶媒を除去して得た油状物をヘキサン中で結晶化させ、白色結晶のフェニル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−1−チオ−D−グルコピラノシド(3)を得た(19.5 g,収率89%)。
【0054】
(c)フェニル 6−O−(4−アジド−3−クロロベンジル)−2,3,4−トリ−O−ベンジル−1−チオ−D−グルコピラノシド(4)の合成
フェニル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−1−チオ−D−グルコピラノシド(3)(1.09 g, 2.00 mmol) のDMF(10 ml) 溶液に水素化ナトリウム(60%油中, 96 mg, 2.40 mmol) を加え、室温で15分間攪拌した。0℃に冷却し、4−アジド−3−クロロベンジルブロミド(592 mg, 2.40 mmol) を加え、そのまま室温で4時間攪拌した。水(30 ml) を加え、酢酸エチルで2回抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下に溶媒を除去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、微黄色結晶のフェニル 6−O−(4−アジド−3−クロロベンジル)−2,3,4−トリ−O−ベンジル−1−チオ−D−グルコピラノシド(4)を得た(1.33 g,収率94%)。
【0055】
実施例5:フェニル 6−O−(4−アジド−3−クロロベンジル)−2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(11)の合成
【0056】
【化11】
Figure 0003837876
【0057】
【化12】
Figure 0003837876
【0058】
(a)フェニル 6−O−トリフェニルメチル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(6)の合成
フェニル 1−チオ−β−D−グルコピラノシド(5)(7.01 g, 25.8 mmol) 、トリフェニルメチルクロリド(9.33 g, 33.5 mmol) をピリジン(20 ml) に懸濁し、5時間還流した。溶媒を減圧下に除去した後、残渣を酢酸エチルに溶かし、水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下に溶媒を除去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ジクロロメタン:酢酸エチル=1:1)で精製し、白色固体のフェニル 6−O−トリフェニルメチル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(6)を得た(13.1 g,収率99%)。
【0059】
(b)フェニル 2,3,4−トリ−O−(4−メトキシベンジル)−6−O−トリフェニルメチル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(7)の合成
フェニル 6−O−トリフェニルメチル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(6)(13.0 g, 25.3 mmol) のDMF(80 ml) 溶液に水素化ナトリウム(60%油中, 3.22 g, 80.5 mmol)を加え、室温で20分間攪拌した。0℃に冷却し、4−メトキシベンジルクロリド(12.6 g, 80.5 mmol) を加え、そのまま室温で一晩攪拌した。冷水を加え、エーテルで2回抽出し、合わせたエーテル層を水、次いで飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に溶媒を除去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、白色油状物のフェニル 2,3,4−トリ−O−(4−メトキシベンジル)−6−O−トリフェニルメチル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(7)を得た(18.8 g,収率85%)。
【0060】
(c)フェニル 2,3,4−トリ−O−(4−メトキシベンジル)−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(8)の合成
フェニル 2,3,4−トリ−O−(4−メトキシベンジル)−6−O−トリフェニルメチル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(7)(3.44 g, 3.93 mmol) のエーテル(8 ml)溶液に、ギ酸(8 ml)を加え、室温で5時間攪拌した。反応溶液を、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した後、減圧下に溶媒を除去した。残渣をエタノール(5 ml)と1N水酸化ナトリウム水溶液(5 ml)の混液に懸濁し、室温で一晩攪拌した。減圧下にエタノールを留去した後、エーテルで2回抽出した。合わせたエーテル層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下に溶媒を除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=2:1→1:1)で精製し、白色結晶のフェニル 2,3,4−トリ−O−(4−メトキシベンジル)−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(8)を得た(1.28 g,収率51%)。
【0061】
(d)フェニル 6−O−(4−アジド−3−クロロベンジル)−2,3,4−トリ−O−(4−メトキシベンジル)−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(9)の合成
フェニル 2,3,4−トリ−O−(4−メトキシベンジル)−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(8)(1.25 g, 1.98 mmol) 、4−アジド−3−クロロベンジルブロミド(584 mg, 2.37 mmol) のDMF(10 ml) 溶液に、水素化ナトリウム(60%油中, 95 mg, 2.37 mmol) を加え、室温で3時間攪拌した。冷水を加え、エーテルで2回抽出し、合わせたエーテル層を水、次いで飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下に溶媒を除去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、白色結晶のフェニル 6−O−(4−アジド−3−クロロベンジル)−2,3,4−トリ−O−(4−メトキシベンジル)−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(9)を得た(1.25 g,収率79%)。
【0062】
(e)フェニル 6−O−(4−アジド−3−クロロベンジル)−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(10)の合成
フェニル 6−O−(4−アジド−3−クロロベンジル)−2,3,4−トリ−O−(4−メトキシベンジル)−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(9)(1.24 g, 1.55 mmol) のジクロロメタン(10 ml) 溶液に、水(0.5 ml)、DDQ(1.41 g, 6.21 mmol) を加え、室温で3時間攪拌した。5% L−アスコルビン酸水溶液を加え、しばらく攪拌した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下に溶媒を除去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ジクロロメタン:酢酸エチル=1:3)で精製し、黄色結晶のフェニル 6−O−(4−アジド−3−クロロベンジル)−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(10)を得た(584 mg,収率86%)。
【0063】
(f)フェニル 6−O−(4−アジド−3−クロロベンジル)−2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(11)の合成
フェニル 6−O−(4−アジド−3−クロロベンジル)−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(10)(580 mg, 1.32 mmol) のピリジン(5 ml)溶液に、0℃で、塩化ベンゾイル(609μl, 5.28 mmol) を加え、そのまま室温で2時間攪拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下に溶媒を除去して微黄色結晶のフェニル 6−O−(4−アジド−3−クロロベンジル)−2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(11)を得た(934 mg,収率94%)。
【0064】
実施例6:式(17)の2,3,4−トリ−O−ベンジル−グルコピラノシドが固定化されたポリスチレン樹脂誘導体の合成
【0065】
【化13】
Figure 0003837876
【0066】
【化14】
Figure 0003837876
【0067】
(a)4−ブロモメチルフェニル酢酸 2,2,2−トリクロロエチルエステル(13)の合成
4−ブロモメチルフェニル酢酸(12)(10.3 g, 44.8 mmol) をジクロロメタン(30 ml) に懸濁させ、0℃でトリフルオロ酢酸無水物(9.28 ml, 67.2 mmol)を加え30分間攪拌した。次いで、2,2,2−トリクロロエタノール(6.47 ml, 67.2 mmol)を滴下し、そのまま室温で一晩攪拌した。水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に溶媒を除去し無色油状物を得た。この油状物を一晩放置することにより白色結晶の4−ブロモメチルフェニル酢酸 2,2,2−トリクロロエチルエステル(13)を得た(15.9 g,収率98%)。
【0068】
(b)4−(4−ヒドロキシメチルフェニルアセトキシメチル)フェニル酢酸 2,2,2−トリクロロエチルエステル(14)の合成
炭酸セシウム(1.63 g, 5.00 mmol) の水(50 ml) 溶液に、4−ブロモメチルフェニル酢酸(12)(1.15 g, 5.00 mmol) を加え、1時間還流した。冷却後、減圧下に濃縮乾固させ、得られた残渣を、DMF(10 ml) に懸濁させた。ここに、4−ブロモメチルフェニル酢酸 2,2,2−トリクロロエチルエステル(13)(1.80 g, 5.00 mmol) を加え室温で一晩攪拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に溶媒を除去して得た油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ジクロロメタン:酢酸エチル=15:1)で精製し、白色固体の4−(4−ヒドロキシメチルフェニルアセトキシメチル)フェニル酢酸 2,2,2−トリクロロエチルエステル(14)を得た(994 mg,収率45%)。
【0069】
(c)式(15)の2,2,2−トリクロロエチルエステル誘導体の合成
4−(4−ヒドロキシメチルフェニルアセトキシメチル)フェニル酢酸 2,2,2−トリクロロエチルエステル(14)(1.94 g, 4.35 mmol) 、フェニル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−(2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル)−1−チオ−D−グルコピラノシド(2.94 g, 3.95 mmol) 、ヨードソベンゼン(956 mg, 4.35 mmol) 、過塩素酸銀(328 mg, 1.58 mmol) 、モレキュラーシーブ(登録商標)4A(約 1 g) をエーテル(15 ml) に懸濁させ、窒素雰囲気下に室温で30分間攪拌した。0℃に冷却し、トリメチルシリルクロリド(101μl, 0.79 mmol) を加え30分間攪拌した。反応溶液を濾過し、濾液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下に溶媒を除去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、式(15)の2,2,2−トリクロロエチルエステル誘導体を無色油状物として得た(3.22 g,収率77%)。α−アノマー/β−アノマー=95/5
【0070】
(d)式(16)のカルボン酸誘導体の合成
式(15)の2,2,2−トリクロロエチルエステル誘導体(3.22 g, 3.06 mmol) を90%酢酸に溶かし、粉末状亜鉛(4.00 g, 61.1 mmol) を加え、室温で2時間攪拌した。反応溶液を濾過し、濾液を酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下に溶媒を除去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ジクロロメタン:メタノール=97:3)で精製し、式(16)のカルボン酸誘導体を白色固体として得た(2.11 g,収率93%)。
【0071】
(e)式(17)のポリスチレン樹脂誘導体の合成
式(16)のカルボン酸誘導体(896 mg, 1.20 mmol) 、アミノメチル化ポリスチレン樹脂(0.83 mmol/g, 1.20 g, 1 mmol) 、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(219μl, 1.40 mmol) 、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(189 mg, 1.40 mmol) 及びトリエチルアミン(195μl, 1.40 mmol) をジクロロメタン(10 ml) に懸濁させ、室温で2時間振り混ぜた。樹脂を濾取し、DMF、ジクロロメタンで洗浄した後、減圧下に乾燥させ、式(17)のポリスチレン樹脂誘導体を得た(1.88 g,収率約100%) 。
【0072】
実施例7:式(17)のポリスチレン樹脂誘導体と、式(4)又は式(11)の4−アジド−3−クロロベンジル化チオグリコシドとのグリコシル化反応
【0073】
【化15】
Figure 0003837876
【0074】
実施例4又は実施例5で得られた式(4)(R=ベンジル)又は式(11)(R=ベンゾイル)のチオグリコシド(75 mmol) 、実施例6で得られた式(17)のポリスチレン樹脂誘導体(25 mmol) 、テトラブチルアンモニウム塩(25 mmol)(R=ベンジルのときは過塩素酸テトラブチルアンモニウムを用い、R=ベンゾイルのときはトリフルオロメタンスルホン酸テトラブチルアンモニウムを用いた)及びモレキュラーシーブ(登録商標)4Aをジクロロメタン(1 ml)に懸濁させ、15分間振り混ぜた。ここに、N−ブロモスクシンイミド(15 mg, 83 mmol)を加え、室温で一晩振り混ぜた。モレキュラーシーブ(登録商標)4Aを取り除き、樹脂を濾取し、ジクロロメタンで洗浄した後、減圧下に乾燥し、式(18)のポリスチレン樹脂誘導体を得た。4−アジド−3−クロロベンジル化グリコシドの樹脂への導入率は30〜75%であった。導入率が低い場合は、反応を2〜3回繰り返せばよい。
【0075】
実施例8:式(18)のポリスチレン樹脂誘導体からの4−アジド−3−クロロベンジル基の除去
【0076】
【化16】
Figure 0003837876
【0077】
4−アジド−3−クロロベンジル基で保護された水酸基を含有する式(18)のポリスチレン樹脂誘導体 (約70 mg, 10 〜15μmol の4−アジド−3−クロロベンジル基が存在する)及びPPh3 (20 mg, 75μmol)をTHF(1 ml)に加えて室温で1.5 時間振り混ぜた。樹脂を濾取した後、THFで洗浄し、再度この樹脂をTHF(1 ml)に加えた。ここに、DDQ(8.5 mg, 37.5 μmol)及び50%酢酸水溶液(20 μl)を加え、室温で3時間振り混ぜた。樹脂を濾取した後、DMF、次いでジクロロメタンで洗浄し、減圧下に樹脂を乾燥させ、定量的に式(19)のポリスチレン樹脂誘導体を得た。
【0078】
実施例9:式(19)のポリスチレン樹脂誘導体と、式(4)又は式(11)の4−アジド−3−クロロベンジル化チオグリコシドとのグリコシル化反応
【0079】
【化17】
Figure 0003837876
【0080】
式(4)(R=ベンジル)又は式(11)(R=ベンゾイル)のチオグリコシド(75 mmol) 、式(19)のポリスチレン樹脂誘導体(8 mmol)、テトラブチルアンモニウム塩(25 mmol)(R=ベンジルのときは過塩素酸テトラブチルアンモニウムを用い、R=ベンゾイルのときはトリフルオロメタンスルホン酸テトラブチルアンモニウムを用いた)及びモレキュラーシーブ(登録商標)4Aをジクロロメタン(1 ml)に懸濁させ、15分間振り混ぜた。ここに、N−ブロモスクシンイミド(15 mg, 83 mmol)を加え、室温で一晩振り混ぜた。モレキュラーシーブ(登録商標)4Aを取り除き、樹脂を濾取し、ジクロロメタンで洗浄した後、減圧下に乾燥し、式(20)のポリスチレン樹脂誘導体を得た。4−アジド−3−クロロベンジル化グリコシドの樹脂への導入率は33%であった。
【0081】
【発明の効果】
以上のように、ベンジル基にアジド基を配することによって、必要な際には還元してアミノ基へ変換することにより穏和な条件下で容易に保護基を除去することができ、ベンジル基に配したハロゲノ基によって、耐酸性が向上する。従って、本発明によるアジドハロゲノベンジル基は、特に糖鎖の伸長のために連続して酸性環境下に置かれるような固相合成においても、安定な水酸基の保護基として有用である。また本発明によれば、このようなアジドハロゲノベンジル基を導入し得るアジドハロゲノベンジル誘導体、該誘導体を用いて保護された糖化合物及び該誘導体を用いた水酸基の保護方法が提供できる。

Claims (6)

  1. 一般式(I)
    Figure 0003837876
    (式中、Aはハロゲン原子を、Bは水素原子をXはハロゲン原子それぞれし、N 基はベンゼン環のo位又はp位に結合している)で表されるアジドハロゲノベンジル誘導体。
  2. 4−アジド−3−クロロベンジルブロマイドである請求項1記載のアジドハロゲノベンジル誘導体。
  3. 一般式(I)
    Figure 0003837876
    (式中、Aはハロゲン原子を、Bは水素原子を、Xハロゲン原子それぞれし、N 基はベンゼン環のo位又はp位に結合している)で表されるアジドハロゲノベンジル誘導体と水酸基含有化合物とを反応させて、該水酸基含有化合物の水酸基の水素原子を、一般式(II)
    Figure 0003837876
    (式中、Aはハロゲン原子をは水素原子をそれぞれし、N 基はベンゼン環のo位又はp位に結合している)で表されるアジドハロゲノベンジル基に置換することを特徴とする水酸基の保護方法。
  4. 水酸基含有化合物が糖構造を含有する化合物である請求項記載の保護方法。
  5. 一般式(I)
    Figure 0003837876
    (式中、Aはハロゲン原子を、Bは水素原子を、Xハロゲン原子それぞれし、N 基はベンゼン環のo位又はp位に結合している)で表されるアジドハロゲノベンジル誘導体を含有する、水酸基を保護するための試薬。
  6. アジドハロゲノベンジル誘導体が4−アジド−3−クロロベンジルブロマイドである請求項記載の試薬。
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