JP3836716B2 - 極細繊維不織布 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウェブ状物として有用な、ポリエステル系の極細繊維不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】
メルトブロー法による重合体の紡糸法については、インダストリアル・アンド・エンジニアリング・ケミストリー;第48巻、第8号(1956年)の第1342頁〜1346頁に記載されており、その中ではポリエステルを用いた極細繊維が紹介されている。それ以降、メルトブロー法による極細繊維の特許出願が数多くなされている(特開昭53−65471号公報、特公昭63− 53309号公報、特開平3−8855号公報、特開平 4−2850号公報など)。
【0003】
極細繊維を作る他の方法としては、特公昭62−35481号公報等に記載されているような、細い口径のノズルからポリマーを押出し、直接極細繊維を紡糸するような方法も見られる。
【0004】
一方、ポリエステルの重縮合触媒としては、3酸化2アンチモンやチタン酸化物、チタン酸化物とケイ素酸化物の混合物などが知られており、工業的には、一般に3酸化2アンチモンが使用されている。
【0005】
ところで特表平9−507514号公報には、2酸化チタン共沈物を用いたポリエステルの重縮合触媒が提案されている。また、特開平9−87374号公報には、チタンテトラアルコキシドとアルカリ金属化合物の混合物または単体を用い、触媒活性が高く、且つ着色が少ないポリエステルが得られる重合触媒が提案されている。これらのチタン化合物は、反応性が高く、触媒量として少量でも反応が起こることから、3酸化2アンチモンの代替として有効であると考えられる。しかし、このチタン化合物を用いて重合されたポリエステル、コポリエステルを使用した極細繊維の特徴や工業的手法などは知られていない。
【0006】
エステル、オリゴエステルの重縮合触媒としては、一般に、工業的には3酸化2アンチモン系の触媒が使用されている。しかし、本発明者らの知見によれば、3酸化2アンチモンは触媒活性が低いため、極限粘度が0.2〜0.7のポリエステル、コポリエステルを得るためには、重縮合反応において多量に使用することが必要である。重縮合時に触媒である3酸化2アンチモンの使用量が多いと、極細繊維を長時間にわたり生産しているうちに、紡口付近に3酸化2アンチモンが析出・付着する。そのため、紡口からのポリマーの吐出量が変化し、糸切が起こったり、ウエブの目付斑等が大きくなり、工業的に連続して生産することが困難で、生産性を低下させる原因となっている。
【0007】
このような問題を回避するためには、触媒である3酸化2アンチモンの使用量を減少させる事も考えられるが、触媒の使用量が少ないと、重縮合の反応速度が低下したり、未反応あるいは反応が不十分となったり、分子量の分布が大きくなったりして、工業的に安定して生産するためには問題が多い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題を解決し、ウェブ状物として有用な極細繊維不織布を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、従来、エステル、オリゴエステルの重縮合触媒として使用されていた3酸化2アンチモン系を使用せず、活性の高いチタン化合物を使用して作られた特定の極細繊維不織布が優れていることを見出し、本発明をなすに至った。
【0010】
即ち、本発明は、エステル、オリゴエステルの重縮合触媒としてチタン化合物を使用して作られたポリエステル又は/及びコポリエステルから構成された極細繊維不織布であって、該極細繊維のチタン含有量が3〜100ppm、極限粘度が0.2〜0.7、ポリスチレン換算重量平均分子量が3000〜15000、平均繊維径が0.3〜3μmであることを特徴とする極細繊維不織布である。
【0011】
以下、本発明につき詳述する。
【0012】
本発明において、極細繊維を構成するポリエステル又は/及びコポリエステルは、エステル又は/及びオリゴエステルを、重縮合触媒として、高活性のチタン化合物を使用して作られる。チタン化合物としては、微細粒酸化チタン、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド等のチタン酸アルコラート化合物、及び酸化チタンと二酸化ケイ素の共沈物等が例示される。これらの化合物は重縮合活性が高く、ポリエステル系ポリマー中のチタン含有量として100ppm以下の添加量であっても、反応時間が1時間程度で、極限粘度0.7以下の重合体を得ることができる。従来のような活性が低い触媒では、0.7以下の低粘度ポリマーを得るためには、触媒量を多量に使用する必要があった。尚、これらのチタン化合物は単体で用いても、あるいは混合して用いても良い。
【0013】
本発明において、触媒の使用量は、極細繊維中のチタン含有量で3〜100ppmであり、好ましくは6〜50ppm、より好ましくは8〜40ppmである。チタン含有量がこの範囲であると、十分な重合反応速度が得られ、オリゴマー等が少なく、また、希望の極限粘度に制御するのが容易であり、紡糸時に紡口詰まりが起きることがないので、長期安定に生産が出来る。尚、チタン含有量は、ICP発光分光分析より求めた。
【0014】
本発明において、ポリエステル、コポリエステルは、上記触媒により重合されたものであれば特に限定されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、1,2−ビス(4−カルボフェノキシ)エタン、2,6−ナフタリンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸やアジピン酸、セバシン酸、シュウ酸等の脂肪族ジカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどのグリコールを用いることにより得られる。また、これらのジカルボン酸及びグリコールの夫々1種づつを用いても良く、また、いずれか一方又は双方を2種以上用いても良い。
【0015】
必要に応じて、各種の添加剤、例えば、艶消し剤、 熱安定剤、消泡剤、整色剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外 線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤などを共重合または混合してもよい。しかし、メルトブロー不織布製造の際の紡口詰まり等の問題を考慮すると、これらの添加剤は極力少ない方が好ましい。艶消し剤については多くても500ppm以下、好ましくは300ppm以下、更に好ましくは100ppm以下で、0ppmが最も良い。
【0016】
本発明において、ポリエステル、コポリエステル中のオリゴマーの含有量は、繊維の強度、工業的な紡糸安定性の点から、3wt%以下であることが好ましく、ポリマー玉が生成せずに長時間安定に紡糸を行うためには1.5wt%以下がより好ましく、更に好ましくは1wt%以下である。更に、得られた繊維の毛羽が少なくなるという点からは、0.5wt%以下が好ましく、更に好ましくは 0.3wt%以下であり、もちろん理想的にはオリゴマーを含まない事である。
【0017】
なお、ポリエステル、コポリエステルのオリゴマーとは、通常、繰り返し単位が2〜4個繋がったオリゴマーであり、線状構造であっても、環状構造であってもよい。また、ポリマー玉とは、ウェブを構成する極細繊維の直径の約10 〜500倍程度の直径を有する玉状ポリマー、または繊維の端部や中央部に生成したコブ状ポリマーであり、紡糸の際、オリゴマーがノズル周りに析出することによって生成する。このポリマー玉は、顕微鏡を用いて観察するか、またはウエブをそのまま、もしくはウエブにプレス、カレンダー、交絡処理その他の手段を施して、その繊維密度を高めた後、これを染色することによって検知できる。ポリマー玉の生成が多すぎると、得られる極細繊維から成るウエブの用途が大きく制限され、特に血液分離フィルターとしては使用不能となる。
【0018】
本発明において、極細繊維を構成するポリエステル又は/及びコポリエステルの極限粘度は0.2〜0.7であり、好ましくは0.3〜0.6、より好ましくは0.3〜0.5である。極限粘度がこの範囲であると、平均繊維径が0.3〜3μmの極細繊維を安定して紡糸する事が出来るので良好なウエブが形成され、ポリマー玉もほとんど生成しない。
【0019】
本発明の不織布を構成する極細繊維は、0.2〜0.7の極限粘度を有する。極限粘度がこの範囲にあると、得られるウエブは柔軟性に富んだものであるうえ、強度が高く、熱、光、薬品等に対しての耐久性にも優れている。極限粘度が低すぎると、強度が低くなったり、ポリマー玉が生じたりする傾向がある。一方、極限粘度が高すぎると、構成する繊維がもつれてがさついたり、ピリングが生じたりする傾向がある。
【0020】
なお、極限粘度[η]の測定法は、後記の通りである。
【0021】
本発明において、ポリエステル又は/及びコポリエステルから構成される極細繊維のポリスチレン換算重量平均分子量は3000〜15000であり、好ましくは4000〜10000である。ポリスチレン換算重量平均分子量がこの範囲であると、紡糸時に糸切れ等がなく、連続的に紡糸を行うことができ、また、本発明で規定する様な平均繊維径の細い極細繊維を安定して紡糸することができる。
【0022】
本発明において、ポリエステル、コポリエステルの製法として好ましい一例を挙げる。テレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルを原料とし、これにエチレングリコールを2倍モル加え、更に、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、酢酸コバルト、酢酸マンガン等から選ばれる金属酢酸塩の1種あるいは2種以上を0.03〜0.1wt%加え、常圧下あるいは加圧下、エステル交換率90〜98%でビスヒドロキシエチルテレフタレートを得る。
【0023】
次に、前記チタン化合物からなる重合触媒を、チタン量で3〜100ppm添加し、250〜290℃で、減圧下で反応させる。
【0024】
重合の任意の段階、好ましくは重縮合反応の前に安定剤を入れることが、ポリマーの白度、オリゴマーや分子量が300以下の有機物の量を、所望の範囲に制御できるので好ましい。この場合の安定剤としては、5価または/および3価のリン化合物やヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
【0025】
5価または/および3価のリン化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等が挙げられ、特に、トリメチルホスファイトが好ましい。
【0026】
ヒンダードフェノール系化合物とは、フェノール系水酸基の隣接位置に立体障害を有する置換基を持つフェノール系誘導体であり、分子内に1個以上のエステル結合を有する化合物である。具体的には、ペンタエリスリトール−テトラキス[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス{2−[3−(3−tert −ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2, 4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゼン)イソフタル酸、トリエチルグリコール−ビス[3(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレン−ビス[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を例示しうる。中でもペンタエリスリトール−テトラキス[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。
【0027】
本発明の極細繊維不織布を構成する繊維は、平均繊維径が0.3〜3μm、好ましくは0.7〜2μmである。さらに、適度な繊維径分布を有する混合繊維であることが好ましい。平均繊維径が上記の範囲であると、十分な強度を有し、発色性、堅牢性に優れた繊維が得られる。平均繊維径が細すぎると、例えば、その不織布を血液フィルターとして用いた場合、圧損が高くなり処理するのに時間がかかる。一方、平均繊維径が太すぎると、柔軟性に乏しい粗悪な感触を与える極細繊維不織布にしかならず、例えば、その不織布を血液フィルターとして用いた場合、除去能力が低下する。
【0028】
また、メルトブロー法により得られる極細繊維は、極めて小さな繊維径を有しているため、繊維の平均長さを測定することは容易ではないが、30mm以上、多くの場合は70〜350mm程度と推定できる。
【0029】
本発明の極細繊維不織布の目付量は、用途によって任意に設定でき、一般には5〜200g/m2の範囲である。
【0030】
本発明の極細繊維不織布の好ましい製造法として、メルトブロー法の一例を図1に基づいて以下に説明する。
【0031】
押出機内で溶融されたポリエステル又は/及びコポリエステルの溶融ポリマー流は、適当なフィルターによって濾過された後、メルトブローダイ(1)の溶融ポリマー導入部(2)へ導かれ、その後オリフィス状ノズル(3)から吐出される。それと同時に加熱気体導入部(4)に導入された加熱気体を、メルトブローダイ(1)とリップ(6)により形成された加熱気体噴出スリット(5)へ導き、ここから噴出させて、前記の吐出された溶融ポリマーを細化して極細繊維を形成する。
【0032】
本発明においては、ポリマーの溶融押し出し温度を260〜320℃にすることが好ましい。温度がこの範囲であると、ポリマーの熱劣化、加水分解などが起こらないので、溶融粘度の低下がなく、十分な強度のウエブが得られ、ポリマー玉の生成、目付斑、染色堅牢性の低下も起こらない。
【0033】
本発明においては、噴出させる高温高速の加熱気体としては、スチーム及び/又は空気が、ポリマーの劣化が少なく、コスト面からも有利である。熱量が多く、ポリマーの細化を容易に達成し、平均繊維径0.3〜3μmの極細繊維から成るウェブを得る点からは、高圧のスチームがより好ましい。また、ポリマー流を吹き飛ばして極細化するために、噴出させる高温高速の加熱気体流の温度を270〜380℃にすることが好ましく、340〜380℃がさらに好ましい。温度がこの範囲であると、吐出ポリマー流に対して適切な冷却効果が与えられ、ポリマー流が十分に細化されて、ポリマー玉の生成がなく、優れた品質のウエブが得られ、また、加熱気体からの伝熱によって溶融ポリマー導入部(2)やオリフィス状ノズル(3)の温度が300℃を越えてしまうということもない。
【0034】
加熱気体の噴出圧力は、0.03〜0.4MPaの範囲に設定することが好ましい。噴出圧力がこの範囲であると、噴出気体によるポリマー細化エネルギーが十分であるために、十分にポリマーが細化され、柔軟性の低下や目付斑が起こらず、また、ウエブの強度は強くなり、発色性、堅牢性にも優れたものとなる。噴出気体の圧力が強すぎると、捕集されたウエブの一部が巻き上げられたりして不織布の表面品位が劣る場合がある。なお、噴出圧力は、加熱気体導入部(4)のリップ(6)に近い点で測定した値である。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、言うまでもなく本発明はこれらにより何ら限定されるものでない。
【0036】
なお、測定方法、評価方法等は下記の通りである。
【0037】
(1)極限粘度
極限粘度[η]は、次の定義式に基づいて求められる値である。
【0038】
【数1】
【0039】
式中、ηrは、純度98%以上のo−クロロフェノ ールで溶解した試料の希釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶剤自体の粘度で割った値であり、相対粘度と定義されているものである。またCは、上記溶液100ml中のグラム単位による溶質の質量値である。
【0040】
(2)分子量
島津製作所製の高速液体クロマトグラフィーLC−10Advpを用いて、以下の条件で測定した。
【0041】
・カラム:Shodex社製、GPCカラムを繋ぎ使用した。
【0042】
(HFIP−803)−(HFIP804)−(HFIP−805)
・移動相:10mM CF3COONa/HFIP
・温度:40℃
・流量:0.8ml/分
・検出:RI
PMMA標準ポリマーにより検量線を作成し、下記の計算式によりポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)を測定した。
【0043】
Mw=(当該ポリマーの分子量)×41.3/(当該ポリマーのQファクター)
尚、当該ポリマーのQファクターは、39とした。
【0044】
(3)平均繊維径
サンプルの任意の10ヶ所について、電子顕微鏡により倍率3500倍で10枚写真撮影を行った。1枚の写真につき、任意の10本の繊維の直径を測定し、これを1枚の写真について行った。合計100本の繊維径を測定し、平均値を計算した。
【0045】
(4)目付斑
ウエブの巾方向にわたって連続的に10cm×10cm のサンプルを切り取り、この質量を計量した。その値の平均値Aと、最大値と最小値の差Rを求め、次式により目付斑を計算した。
【0046】
目付斑(%)=(R/A)×100
(5)柔軟度
カンチレバー法(45度)を用いて評価した。数値が小さいほど柔軟性が高いことを示す。
【0047】
(6)生産性
メルトブロー法により極細繊維から成るウエブを連続的に生産し、目付斑が30%以上となるまで行った。この連続生産日数を、生産性の目安とした。
【0048】
〔実施例1〕
テレフタル酸ジメチルとエチレングリコール1:2のモル比で仕込み、理論ポリマー量の0.05wt%に相当する酢酸マンガンを加え、徐々に昇温して240℃でエステル交換反応を完結させた。得られたエステル交換反応生成物に市販のチタンテトラブトキシドを理論ポリマー量の60ppm加え、チタン含有量が8.4ppmとなるようにし、290℃で1時間反応させた。得られたポリマーの極限粘度は0.50であった。ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は10000であった。
【0049】
得られたポリマーを押出機を用いて290℃で溶解し、溶融ポリマーを1mmピッチで1500個一列に並んだ0.3mmφのオリフィスから吐出させ、 ダイオリフィス下60cmに位置せしめた移動する捕集面上に連続的に集積し、目付100g/m2になる様にランダムウエブとして巻き取った。安定したブローを16日間連続することが出来て、平均目付斑も8%と極めて良好であった。ウェブのチタン含有量は8.4ppm、極限粘度は0.47、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は9000であった。メルトブロー条件および得られたウエブの物性を表1に示した。
【0050】
この極細繊維から成るウエブは、そのままでも血液分離フィルター等のフィルター用途として用いられるが、さらに、プレス機等で厚み調整することにより毛羽が押さえられ更に有用になる。
【0051】
次に、このランダムウエブを金網上に乗せ、下方から真空度50mmHgで吸引しながら、3mmピッチで一直線に配列された0.2mmの径のオリフィスより3.0MPaの圧力で連続的に噴出する高速水流をシート全面に噴き当て、次いで1.0MPaの圧力で同様に処理した。得られたシートの物性を表1に示した。
【0052】
得られたウエブ、シートは、柔軟性、磨耗性、摩擦堅牢性、発色性に優れ、常圧で濃色に染色することができポリマー玉が少ない優れたものであり、人工皮革基布等の衣料用として有用であった。
【0053】
〔実施例2〕
重合触媒としてTiO2/SiO2共沈物(C−94:ACORDIS社製)を理論ポリマー量の35ppm用い、チタン含有量が19ppmとなるようにしたこと以外は、実施例1と同様に行った。得られたポリマーの極限粘度は0.46であり、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は8000であった。
【0054】
実施例1と同様にして、メルトブロー法を用いて極細繊維から成るウエブを作製した後、実施例1と同様にして、高圧水流処理を行った。
【0055】
以上の結果を、得られたシートの物性と共に表1に示した。
【0056】
〔参考例1〕
チタンテトラブトキシドを理論ポリマー量の30ppm用い、チタン含有量が4.2ppmとなるようにしたこと以外は、実施例1と同様に行った。得られたポリマーの極限粘度は0.36であり、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は5500であった。
【0057】
実施例1と同様にして、メルトブロー法を用いて極細繊維から成るウエブを作製した後、実施例1と同様にして、高圧水流処理を行った。
【0058】
以上の結果を、得られたシートの物性と共に表1に示した。
【0059】
〔参考例2〕
チタンテトラブトキシドを理論ポリマー量の350ppmとし、チタン含有量が50ppmとなるようにし、重合時間を35分としたこと以外は、実施例1と同様に行った。得られたポリマーの極限粘度は0.50であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は(Mw)は10000であった。
【0060】
実施例1と同様にして、メルトブロー法を用いて極細繊維から成るウエブを作製した後、実施例1と同様にして、高圧水流処理を行った。
【0061】
以上の結果を、得られたシートの物性と共に表1に示した。
【0062】
〔参考例3〕
チタンテトラブトキシドを理論ポリマー量の750ppmとし、チタン含有量が100ppmとなるようにし、重合時間を20分としたこと以外は、実施例1と同様に行った。得られたポリマーの極限粘度は0.50であり、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は10000であった。
【0063】
実施例1と同様にして、メルトブロー法を用いて極細繊維から成るウエブを作製した後、実施例1と同様にして、高圧水流処理を行った。
【0064】
以上の結果を、得られたシートの物性と共に表1に示した。
【0065】
〔比較例1〕
チタンテトラブトキシドを理論ポリマー量の14ppmとし、チタン含有量が2ppmとなるようにしたこと以外は、実施例1と同様にしてポリマーを作製しようとしたが、重縮合反応時間が4時間経過しても反応は起こらなかった。
【0066】
〔比較例2〕
チタンテトラブトキシドを理論ポリマー量の1000ppmとし、チタン含有量が133ppmとなるようにし、重合時間を20分としたこと以外は、実施例1と同様に行った。得られたポリマーの極限粘度は0.8であり、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は18000であった。
【0067】
実施例1と同様にして、メルトブロー法を用いて極細繊維から成るウエブを作製した後、実施例1と同様にして、高圧水流処理を行った。
【0068】
以上の結果を、得られたシートの物性と共に表1に示した。
【0069】
〔比較例3〕
重縮合触媒として3酸化2アンチモンを理論ポリマー量に対し350ppm使用したこと以外は、実施例1と同様にしてポリマーを作製した。極限粘度は0.50であり、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は10000であった。
【0070】
実施例1と同様にして、メルトブロー法を用いて極細繊維から成るウエブを作製したが、紡口づまりが激しく、目付斑が大きく、生産性も低下した。ブロー終了後に紡口付近に析出した物を解析したところ、その殆どがアンチモン系の化合物であった。
【0071】
以上の結果を、得られたシートの物性と共に表1に示した。
【0072】
〔比較例4〕
重縮合触媒として3酸化2アンチモンを理論ポリマー量に対し100ppm使用し、重縮合反応時間を4時間としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリマーを作製した。得られたポリマーの極限粘度は0.40であり、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は6000であった。得られたポリマー中にはオリゴマーが5wt%程度含まれていた。
【0073】
実施例1と同様にして、メルトブロー法を用いて極細繊維から成るウェブを作製したが、紡口周りにオリゴマーの付着が激しく、ポリマー玉の発生が多く、目付斑も悪い物となった。
【0074】
以上の結果を、得られたシートの物性と共に表1に示した。
【0075】
【表1】
【0076】
【発明の効果】
本発明は、高活性チタン化合物を触媒として作られたポリマーを用いて作製した極細繊維不織布であり、従来の3酸化2アンチモンを触媒としたポリマーを用いた場合の連続生産日数5日に対し、本発明では16〜18日と3〜4倍に連続生産性が向上することから、工業的な連続生産に非常に有用である。
【0077】
また、本発明の極細繊維不織布は、繊維の細さ均一性に優れ、また、柔軟性、磨耗性、発色性、摩擦堅牢性に優れ、常圧で濃色に染色することができ、ポリマー玉が少ない事から、その用途として、血液分離フィルター、防塵フィルター、耐熱フィルター等のフィルター用途、気液セパレータ、溶液セパレータ、電池セパレータ等の隔離膜用途、人工皮革基布等の衣料用用途、テープ、テープ芯地、使い捨ておむつ、生理用品、パップ剤基布等の薬剤保持基布、作業着、眼鏡拭き、水拭きや油拭きのワイピングクロス等の各種ワイパー用途、保温中綿、芯地、シート、キャップ等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の極細繊維不織布を作製するための紡口部の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…メルトブローダイ
2…溶融ポリマー導入部
3…オリフィス状ノズル
4…加熱気体導入部
5…加熱気体噴出スリット
6…リップ
Claims (1)
- エステルの重縮合触媒としてチタン化合物を使用して作られたポリエチレンテレフタレートを用い、メルトブロー法により、紡口部スリットから温度340〜380℃の加熱スチームを噴出させることにより製造された極細繊維不織布であって、該極細繊維のチタン含有量が8〜40ppm、極限粘度が0.3〜0.5、ポリスチレン換算重量平均分子量が4000〜10000、平均繊維径が0.7〜2.0μmであることを特徴とする極細繊維不織布。
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