JP3836214B2 - 反射防止材及び光学部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスプレイの表示画面表面に適用される反射防止フィルム等の反射防止材に係わり、更に詳しくは、可視光に対し広波長域で反射防止効果を有する反射防止フィルム、及びこれを有する光学部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスプレイの多くは、室内外を問わず外光などが入射するような環境下で使用される。この外光などの入射光は、ディスプレイ表面等において正反射され、反射像が表示光と混合し表示品質を低下させ表示画像を見にくくしている。
【0003】
これを防止するため、透明基材の表面に金属酸化物などから成る高屈折率層と低屈折率層を積層した、或いは無機や有機フッ素化合物などの低屈折率層を形成した反射防止効果を有するフィルムをディスプレイ表面などに貼り合わせる等して、利用することが知られている。
【0004】
一方、これとは別に、透明基材の表面に透明な微粒子を含むコーティング層を形成し、凸凹状の表面により外光を乱反射させるなどしても、同様の効果を得られることが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
最近のオフィスのOA化に伴い、コンピューターを使用する頻度が増し、CRTや液晶ディスプレイと人間が相対していることが長時間化した。これにより反射像等による表示品質の低下は、目の疲労など健康障害等を引き起こす要因とも考えられ、これまで以上に、可視光の広範囲にわたってより高い反射防止効果を有する反射防止材や光学部材の要求が高まってきた。
【0006】
更には、近年ではアウトドアライフの普及に伴い、テレビや液晶ディスプレイを室外で使用する機会が益々増える傾向にあり、表示品質をより向上して表示画像を明確に認識できるように、同様に可視光の広範囲にわたってより高い反射防止効果を有するフィルム等の反射防止材や光学部材の要求が出てきている。
【0007】
しかしながら、無機物や有機物の低屈折率物質を単層で形成した反射防止層では緑色を中心とした可視光線の主要部の低屈折率化に重きを置き、赤色、紫色等の低屈折率化がなかなか果たせずに400nm及び700nm近辺ばかりではなく、人間の目の感度の比較的高い450nm及び650nm近辺の波長での屈折率が高いU型の分光反射特性を示し、可視光の広範囲にわたる高い反射防止効果を得ることはできない。また異なる屈折率層を積層した多層構成によるものでは、高屈折率層と低屈折率層の層構成の多層化、膜厚の増加、不均質を利用した複雑な材料設計、さらには中間屈折率物質などを使用することにより、上記反射特性を得られるものの、複雑な構成による安定成膜の困難化、反射防止特性の安定性低下や、使用材料の増加などによって、作製技術の高度化、歩留まりの低下、コストの上昇を招き、実用化、商品化に関しては問題となる。
【0008】
本発明は、このような問題点に着目しなされたもので、その目的とするところは、人間の目の感度の比較的高い450nm〜650nmの範囲での分光反射率が1%以下とすることを目的とし、更に好ましくは0.5%以下の波長域をより広域化するをとともに、実用性に優れた反射防止フィルム等の反射防止材ならびに光学部材を安価で且つ容易に提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決する手段として、本発明の第1の発明は、透明プラスチック基材の少なくとも片面に透明基板側から順に反射防止層として第1層、第2層、第3層、第4層からなる4層を設け、前記第1層と第3層が屈折率が1.95以上2.4以下で同じ金属酸化物よりなる高屈折率層で、第1層が第3層より0.01から0.3の屈折率差を持って屈折率が大きく、前記第2層と第4層が屈折率が1.35以上1.5以下で同じ金属酸化物よりなる低屈折率層で、第2層が第4層より0.01から0.1の屈折率差を持って屈折率が大きいことを特徴とし、第1層の光学膜厚ndが50〜55nm、第2層の光学膜厚ndが40〜45nm、第3層の光学膜厚ndが110〜120nm、第4層の光学膜厚ndが140〜145nmであり、該反射防止層が真空成膜プロセスによって形成され、かつ形成成膜条件を変化させる、または成膜粒子の基材に対する入射角を調整することにより屈折率を制御することを特徴とするディスプレイ用反射防止材である。
【0010】
反射防止層の全積層数が4層であり、反射防止層の第1層及び第3層が高屈折率、また第2層、第4層が低屈折率の各々同じ金属酸化物により形成され、更に第1層及び第3層が、また第2層、第4層が、
【0011】
第1層、第3層:2.4≧nH1、nH2≧1.95
0.3>nH1−nH2>0.01
第2層、第4層 1.5≧nL1、nL2≧1.35
0.1>nL1−nL2>0.01
【0012】
nH1:第1層の屈折率
nL1:第2層の屈折率
nH2:第3層の屈折率
nL2:第4層の屈折率
の屈折率の条件で積層されていることを特徴とする反射防止材である。
【0013】
また、第2の発明は、前記の反射防止材を形成する金属酸化物の少なくとも1種類が、導電性を有していることを特徴とする。
【0014】
また、第3の発明は前記の反射防止層の上に防汚層を形成したことを特徴とする。
【0015】
また、第4の発明は前記の透明基材との反射防止層の間に耐摩禍性を有する透明ハードコート層が形成されたことを特徴とする。
【0016】
また、第5の発明は、前記の透明基材と反射防止層の間に、耐摩禍性を有する透明ハードコート層が形成されていることを特徴し、更には、前記のハードコート層に平均粒子径0.01〜3μmの透明な超微粒子を含むことを特徴とする。
【0017】
また、第6の発明は、前記の発明によって得られた反射防止材を貼り合わせる等により、これを有する光学部材であることを特徴とする。
【0018】
また、第7の発明は、前記の透明基板が光学部材である反射防止材であることを特徴とする。
【0019】
以上の様に、本発明によれば、反射防止層の高屈折率層及び低屈折率層を各々を同じ金属酸化物によって形成し、更に積層順に従って各々の屈折率を低屈折率化することにより、膜厚構成を変えずに可視光の広範囲にわたって低い反射率特性を実現できる。
【0020】
更に、反射防止層に導電性を有する金属酸化物を用いることによって、反射防止効果に加え導電性、帯電防止性を付加でき、また反射防止層の上に撥水層を形成することにより、防汚性を付与でき、より高機能化、実用性に富む反射防止材とすることができる。
【0021】
また、前記の反射防止材を貼り合わせるなどして得られた光学部材をディスプレイに用いることによって、表示品質が向上し、表示画像をより明確に認識できるようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の反射防止材について、図面を用いて詳細に説明する。
本発明の請求項1記載の反射防止材の一構成を示す断面図を図1に示す。
また本発明の請求項2記載の反射防止材の一構成を示す断面図を図2に、更に本発明の請求項4〜6記載の反射防止材の一構成を示す断面図を図3〜5に示す。
【0023】
本発明による反射防止材は、図1に示す様に透明プラスチックフィルム等からなる透明基材1に反射防止層2を形成したもので、反射防止層2は、高屈折率層2aと低屈折率層2bを交互に積層し、低屈折率層2aが最上層となるよう構成されている。
【0024】
反射防止層を形成する透明基材1には、透明性のある基材であれば良く、プラスチックフィルムに限られず、条件さえ合えばプラスチック板、ガラス、天然樹脂等でも良いが、プラスチックフィルムの場合は、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース等が使用でき、目的・用途によって適宜選択される。
【0025】
反射防止層2は、高屈折率層2aと低屈折率層2bを交互に所定の光学膜厚nd(屈折率n×形状膜厚dの積)となるように積層し、低屈折率層2aが最上層となるよう構成することにより反射防止機能を発現している。反射防止層2を構成する高屈折率層2aと低屈折率層2bは、各々が同じ金属酸化物で構成されており、高屈折率層2aの屈折率nHは1.9〜2.5、低屈折率層2bの屈折率は1.3〜1.5の範囲のものが使用できる。この高屈折率層2aと低屈折率層2bの屈折率は、各々の積層順に従って、高屈折率層2aがnH1、・・・・、nHnと、低屈折率層2bはnL1、・・・・、nLnと示してあり、各々の積層順に従って屈折率が低く、つまりnH1からnHnへ、またnL1からnLnへ向って低屈折率の層となっている。
【0026】
高屈折率層2aとしては、屈折率nHが1.9〜2.5の範囲の金属酸化物であれば特に限定されるものではなく、例えば酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化セリウム、酸化タンタル等の電気絶縁性金属酸化物の他、酸化インジウム、酸化錫、インジウム−錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物も使用できる。導電性金属酸化物を用いた場合は、反射防止効果に加え導電性を付加できる。一方、低屈折率層2bとしては、屈折率nLが1.3〜1.5の範囲の金属酸化物であれば特に限定されるものではなく、代表的な酸化物として酸化珪素が上げられる。本発明においては、金属酸化物に特定しているが、高屈折率層2a及び低屈折率層2bの屈折率範囲を満たす透明層であれば特に限定されるものではなく、金属酸化物の混合物、金属酸化物以外でも無機や有機の弗化物などが使用できる。
【0027】
反射防止層2は、真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法などの真空成膜プロセスによって形成することができる。屈折率を変化させるには、成膜条件であるガス圧力、ガス導入量、イオンビームパワー、プラズマ電力、ガス種などを変化させる他、成膜粒子の基材に対する入射角を調整することによっても可能であり、屈折率を制御できる方法であれば、いかなる成膜方法であっても構わない。
【0028】
本発明による反射特性は、一般的に可視光とされる400nm〜700nmの範囲において、人間の目の感度の比較的高い450nm〜650nmの範囲での分光反射率が1%以下とすることを目的とし、更に好ましくは0.5%以下の波長域をより広域化するを目的としている。この様な反射特性を有し、更に生産性、コスト等を考慮すると全積層数は少ない方がよく、現実的には積層数を4層構成とした場合が好ましく、更には1層目と2層目を等価膜とした4層構成が最も好ましい。
【0029】
本発明による防汚層は、本発明の反射防止層の表面を保護し、更に防汚性を高めるものであり、要求性能を満たすものであれば、いかなる材料であっても制限されるものでない。例えば、疎水性や撥油性を示す化合物が良く、適した化合物としては、フルオロカーボンやパーフルオロシラン等が、またこれらの高分子化合物等が好適である。これらの材料は、材料に応じて真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、プラズマ重合法などの真空成膜プロセスや、マイクログラビア、スクリーン等のウェットプロセスの各種コーティング方法を用いて、撥水層を形成することができる。撥水層の厚さは反射防止層の機能を損なわないように設定されなければならず、形状膜厚10nm以下とすることが好ましい。
【0030】
本発明によるハードコート層は、透明性を有し、適度な硬度があれば特に限定はされない。電離放射線や紫外線照射による硬化樹脂や熱硬化性の樹脂が使用でき、特に紫外線照射硬化型のアクリル系や有機珪素系の樹脂や、熱硬化型のポリシロキサン樹脂が好適である。これらの樹脂は、透明プラスチックフィルム基材1と屈折率が同等もしくは近似していることがより好ましいが、形状膜厚が5μm以上の場合は特にこの必要はない。
【0031】
また、前記のハードコート層に平均粒子径0.01〜3μmの透明な無機或いは有機の超微粒子を混合分散させことにより、一般にアンチグレアと呼ばれる光拡散性の処理を施すことができる。これらの超微粒子は、透明であれば特に限定されるものではないが、低屈折率材料が好ましく、無機の酸化珪素、弗化マグネシウムが安定性、耐熱性等で好適である。これらのハードコート層は平滑に且つ均一に塗布されるものであり、塗布方法はいかなる方法でも構わない。
【0032】
これら本発明による反射防止フィルムを粘着剤、接着剤等を用いてガラス板、プラスチック板、偏光板等と貼り合わせることによって、反射防止性の有する光学部材が得られる。
【0033】
【実施例】
次に本発明を、具体的な実施例を挙げて詳細に説明する。
<実施例1>
透明基材1のトリアセチルセルロースフィルム80μm上に、高屈折率層2aに酸化チタン、低屈折率層2bに酸化珪素からなる反射防止層をプラズマアシスト蒸着法により形成し、全層数は4層とした。各層の屈折率及び光学膜厚ndは、
1層目:TiO2(nH1=2.25 nd=50nm)
2層目:SiO2(nL1=1.46 nd=45nm)
3層目:TiO2(nH2=2.00 nd=120nm)
4層目:SiO2(nL2=1.40 nd=140nm)
とした。各層の屈折率は、予め成膜条件を適性化し上記値となるように設定し、特に3層目と4層目は、蒸着粒子の入射角を斜入射として低屈折率化した。光学膜厚は、光学式の膜厚モニターにより監視し、目的光量値に達した時シャッターを閉じて所定の光学膜厚を得た。この反射防止層の絶対反射測定による分光反射特性を図6に示す。光の波長の450nm〜650nm以上にわたって反射率が0.6%以下であり、高い反射防止性を広波長域で実現できた。
【0034】
<実施例2>
透明基材1のトリアセチルセルロースフィルム80μm上に、高屈折率層2aに酸化チタン、低屈折率層2bに酸化珪素からなる反射防止層をプラズマアシスト蒸着法により形成し、全層数は4層とした。各層の屈折率及び光学膜厚ndは、
1層目:TiO2(nH1=2.25 nd=50nm)
2層目:SiO2(nL1=1.46 nd=45nm)
3層目:TiO2(nH2=2.15 nd=120nm)
4層目:SiO2(nL2=1.43 nd=140nm)
とした。各層の屈折率は、予め成膜条件を適性化し上記値となるように設定し、特に3層目と4層目は、蒸着中の圧力を高くして低屈折率化した。光学膜厚は、光学式の膜厚モニターにより監視し、目的光量値に達した時シャッターを閉じて所定の光学膜厚を得た。この反射防止層の絶対反射測定の分光反射特性を図6に示す。光の波長の450nm〜650nmにわたって反射率が0.6%以下であり、特に450nm〜630nmにわたって反射率が0.3%以下となり高い反射防止性を広波長域で実現できた。
【0035】
<実施例3>
透明基材1のポリエチレンテレフタレートフィルム100μm上に、高屈折率層2aに酸化チタン、低屈折率層2bに酸化珪素からなる反射防止層をプラズマアシスト蒸着法により形成し、全層数は4層とした。各層の屈折率及び光学膜厚ndは、
1層目:TiO2(nH1=2.25 nd=55nm)
2層目:SiO2(nL1=1.46 nd=40nm)
3層目:TiO2(nH2=2.00 nd=110nm)
4層目:SiO2(nL2=1.40 nd=145nm)
とした。各層の屈折率は、予め成膜条件を適性化し上記値となるように設定し、特に3層目と4層目は、蒸着粒子の入射角を斜入射として低屈折率化した。光学膜厚は、光学式の膜厚モニターにより監視し、目的光量値に達した時シャッターを閉じて所定の光学膜厚を得た。この反射防止層の絶対反射測定の分光反射特性を図7に示す。光の波長の430nm〜700nm以上にわたって反射率が0.6%以下であり、高い反射防止性を広波長域で実現できた。
【0036】
<実施例4>
透明基材1のポリエチレンテレフタレートフィルム100μm上に、高屈折率層2aに酸化チタン、低屈折率層2bに酸化珪素からなる反射防止層をプラズマアシスト蒸着法により形成し、全層数は4層とした。各層の屈折率及び光学膜厚ndは、
1層目:TiO2(nH1=2.25 nd=55nm)
2層目:SiO2(nL1=1.46 nd=40nm)
3層目:TiO2(nH2=2.15 nd=110nm)
4層目:SiO2(nL2=1.43 nd=145nm)
とした。各層の屈折率は、予め成膜条件を適性化し上記値となるように設定し、特に3層目と4層目は、蒸着中の圧力を高くして低屈折率化した。光学膜厚は、光学式の膜厚モニターにより監視し、目的光量値に達した時シャッターを閉じて所定の光学膜厚を得た。この反射防止層の絶対反射測定の分光反射特性を図7に示す。光の波長の450nm〜650nm以上にわたって反射率が0.6%以下であり、特に450nm〜630nmにわたって反射率が0.3%以下となり高い反射防止性を広波長域で実現できた。
【0037】
<実施例5>
透明基材1のトリアセチルセルロースフィルム80μm上に、紫外線硬化型のアクリル樹脂をマイクログラビアコート法により塗布し、紫外線照射により硬化したハードコート層4を厚さ5μmで形成した。更に高屈折率層2aに酸化チタン、低屈折率層2bに酸化珪素からなる反射防止層をプラズマアシスト蒸着法により形成し、全層数は4層とした。各層の屈折率及び光学膜厚ndは、
1層目:TiO2(nH1=2.25 nd=50nm)
2層目:SiO2(nL1=1.46 nd=45nm)
3層目:TiO2(nH2=2.15 nd=120nm)
4層目:SiO2(nL2=1.43 nd=140nm)
とした。各層の屈折率は、予め成膜条件を適性化し上記値となるように設定し、特に3層目と4層目は、蒸着粒子の入射角を斜入射として低屈折率化した。光学膜厚は、光学式の膜厚モニターにより監視し、目的光量値に達した時シャッターを閉じて所定の光学膜厚を得た。更に反射防止層の上に、プラズマCVD法により形状膜厚で40nmのパーフルオロシランからなる防汚層を形成し反射防止フィルムを作製した。この反射防止層の絶対反射測定の分光反射特性を図8に示す。光の波長の450nm〜650nm以上にわたって反射率が0.6%以下であり、高い反射防止性を広波長域で実現できた。
【0038】
<実施例6>
透明基材1のトリアセチルセルロースフィルム80μm上に、紫外線硬化型のアクリル樹脂をマイクログラビアコート法により塗布し、紫外線照射により硬化したハードコート層4を厚さ5μmで形成した。更に高屈折率層2aに酸化チタン、低屈折率層2bに酸化珪素からなる反射防止層をプラズマアシスト蒸着法により形成し、全層数は4層とした。各層の屈折率及び光学膜厚ndは、
1層目:TiO2(nH1=2.25 nd=50nm)
2層目:SiO2(nL1=1.46 nd=45nm)
3層目:TiO2(nH2=2.15 nd=120nm)
4層目:SiO2(nL2=1.43 nd=140nm)
とした。各層の屈折率は、予め成膜条件を適性化し上記値となるように設定し、特に3層目と4層目は、蒸着中の圧力を高くして低屈折率化した。光学膜厚は、光学式の膜厚モニターにより監視し、目的光量値に達した時シャッターを閉じて所定の光学膜厚を得た。更に反射防止層の上に、プラズマCVD法により形状膜厚で40nmのパーフルオロシランからなる防汚層を形成し反射防止フィルムを作製した。この反射防止層の絶対反射測定の分光反射特性を図8に示す。光の波長の450nm〜650nm以上にわたって反射率が0.6%以下であり、特に450nm〜630nmにわたって反射率が0.3%以下となり高い反射防止性を広波長域で実現できた。
【0039】
<実施例7>
前記、実施例6のハードコート層に平均粒子径0.5μmの酸化珪素の超微粒子を均一に分散させて、その上に実施例6同様に反射防止層、防汚層を順次形成し、反射防止材を作製した。ただし、光学モニターによる監視は、基材フィルムである本実施例では光の散乱により不可能なので、近傍に設置したモニター用フィルムを用いて設定の光学膜厚を得た。この反射防止材は、光拡散性を持つため鏡面光沢がなく、また分光反射特性も拡散反射測定で測定した結果、実施例6とほぼ同様であり、高い反射防止性を広波長域で実現できた。
【0040】
前記実施例では、電気絶縁性の酸化チタンを用いたが、電気伝導性を有する酸化インジウム、酸化錫、インジウム−錫酸化物(ITO)などを高屈折率層として使用し、屈折率、光学膜厚を最適化することによって、同様の反射防止性を有し、且つ電気伝導性を付与した反射防止材を作製・実現できる。
【0041】
<比較例1>
透明基材1のポリエチレンテレフタレートフィルム100μm上に、高屈折率層2aに酸化チタン、低屈折率層2bに酸化珪素からなる反射防止層をプラズマアシスト蒸着法により形成し、全層数は4層とした。各層の屈折率及び光学膜厚ndは、
1層目:TiO2(nH1=2.25 nd=55nm)
2層目:SiO2(nL1=1.46 nd=40nm)
3層目:TiO2(nH2=2.25 nd=110nm)
4層目:SiO2(nL2=1.46 nd=145nm)
とし、高屈折率層2a及び低屈折率層2bの各々の屈折率が積層順に関係なく一定となるよう、成膜条件を変えずに成膜した。この反射防止層の絶対反射測定の分光反射特性を図9に示す。実施例3及び4と比較して、近紫外側及び近赤外側の反射率が光の各波長毎に2倍以上となり、反射率が0.6%以下の波長範囲が明らかに狭く、実施例の方が反射防止性が広波長域であった。
【0043】
【発明の効果】
以上の様に、本発明によれば、各々同じ金属酸化物によって形成される反射防止層の高屈折率層及び低屈折率層の屈折率を、積層順に従って低屈折率化することにより、層構成の多層化、膜厚の増加、中間屈折率層などの使用材料の追加等をせずに、また複雑な膜構成としなくても可視光の広範囲にわたり低い反射率特性を有する実用性に優れた反射防止材を安価で且つ容易に提供できる。
【0044】
更に、反射防止層に導電性を有する金属酸化物を用いたり、反射防止層の上に撥水層を形成することにより、導電性、帯電防止性、防汚性を付与でき、前記効果に加えてより高機能な付加価値の高い反射防止材が提供できる。
【0045】
また、本発明による反射防止材を貼り合わせるなどして得られた光学部材を用いることによって、表示品質が向上し、表示画像をより明確に認識でき、健康に優しいディスプレイを得ることができる。
【0046】
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の反射防止材の一実施例の構成を示す断面図である。
【図2】請求項2記載の反射防止材の一実施例の構成を示す断面図である。
【図3】請求項4記載の反射防止材の一実施例の構成を示す断面図である。
【図4】請求項5記載の反射防止材の一実施例の構成を示す断面図である。
【図5】請求項6記載の反射防止材の一実施例の構成を示す断面図である。
【図6】実施例1、2の反射防止材の絶対反射測定による分光反射スペクトルである。
【図7】実施例3、4の反射防止材の絶対反射測定による分光反射スペクトルである。
【図8】実施例5、6の反射防止材の絶対反射測定による分光反射スペクトルである。
【図9】比較例1の反射防止材の絶対反射測定による分光反射スペクトルである。
【図10】比較例2の反射防止材の絶対反射測定による分光反射スペクトルである。
【符号の説明】
1:透明基材
2:反射防止層・・・・ 2−a:高屈折率層
・・・・ 2−b:低屈折率層
3:撥水層
4:ハードコート層
5:平均粒子径0.01〜3μmの透明な超微粒子を均一に分散させたハードコート層(光拡散層、アンチグレア層)
Claims (7)
- 透明プラスチック基材の少なくとも片面に透明基板側から順に反射防止層として第1層、第2層、第3層、第4層からなる4層を設け、前記第1層と第3層が屈折率が1.95以上2.4以下で同じ金属酸化物よりなる高屈折率層で、第1層が第3層より0.01から0.3の屈折率差を持って屈折率が大きく、前記第2層と第4層が屈折率が1.35以上1.5以下で同じ金属酸化物よりなる低屈折率層で、第2層が第4層より0.01から0.1の屈折率差を持って屈折率が大きいことを特徴とし、
第1層の光学膜厚ndが50〜55nm、第2層の光学膜厚ndが40〜45nm、第3層の光学膜厚ndが110〜120nm、第4層の光学膜厚ndが140〜145nmであり、
該反射防止層が真空成膜プロセスによって形成され、かつ形成成膜条件を変化させる、または成膜粒子の基材に対する入射角を調整することにより屈折率を制御することを特徴とするディスプレイ用反射防止材。 - 前記反射防止材を形成する金属酸化物の少なくとも1種類が、導電性を有していることを特徴とする請求項1記載のディスプレイ用反射防止材。
- 前記反射防止層の上に防汚層を形成したことを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載のディスプレイ用反射防止材。
- 前記透明基材と反射防止層の間に、耐摩禍性を有する透明ハードコート層が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のディスプレイ用反射防止材。
- 前記ハードコート層に平均粒子径0.01〜3μmの透明な無機或いは有機の超微粒子を含む請求項4に記載のディスプレイ用反射防止材。
- 請求項1〜5の何れかに記載の反射防止材を有するディスプレイ用光学部材。
- 透明基板が光学部材である請求項1〜5の何れかに記載のディスプレイ用反射防止材。
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