JP3834299B2 - 送信装置、無線基地局及びクリッピング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CDMA(Code division Multiple Access)方式の無線基地局で用いられる送信装置に関し、特に送信電力増幅器の出力電力が所定の瞬時最大電力を越えないように送信電力増幅器の入力レベルを制限する送信装置、無線基地局及びクリッピング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9はCDMA方式の移動通信システムのセル構成を示すブロック図である。
【0003】
図9に示すように、CDMA方式の移動通信システムにおいては、1つのセル内に1つの無線基地局1を備え、該無線基地局1が自セル内の移動局5と無線通信を行うことで該移動局5を所有するユーザに通話やデータ通信サービスを提供する。
【0004】
CDMA方式では、無線基地局1が複数の移動局5に対して共通の周波数帯域(キャリア)を割り当てるため、無線基地局1と各移動局5間の伝送品質を確保しつつ、他ユーザの移動局5への不要な干渉電力を抑制するために送信電力制御が行われる。
【0005】
例えば、下り送信(無線基地局1から移動局5へのデータ送信)において、移動局5は、受信品質が所望の値を上回っていれば無線基地局1に対して送信電力を減少させるように指示し、下回っていれば無線基地局1に対して送信電力を増大させるように指示する。無線基地局1は、各移動局5からの指示にしたがって送信電力を増減させ、移動局5毎に最適な送信電力で信号を送信する。
【0006】
ところで、無線基地局1が備える、信号を送信に必要な電力まで増幅する送信電力増幅器のダイナミックレンジには限界があるため、無線通信を同時に行う移動局5が増えて出力電力が増大し、送信可能な最大送信電力を越えると、送信電力増幅器の破壊やブレーカ等の保護機能によって無線基地局1が運用停止に陥ることがある。そのため、無線基地局1では、1つのキャリアに対して割り当てる通信チャネル数を規制し、ある一定数以上の移動局5と無線通信を行わないようにしている。
【0007】
しかしながら、CDMA方式では上述した送信電力制御により各移動局5に対する送信電力が異なるため、単に通信チャネル数を規制するだけでは最大送信電力を越えてしまうおそれがある。仮に移動局5毎の送信電力の最大値を考慮して1キャリアあたりの通信チャネル数を制限すると、それだけトラフィック容量が少ないシステムになってしまう。
【0008】
そこで、送信電力増幅器の出力電力を所定の最大送信電力を越えないようにする従来の手法として、例えば特許文献1に送信電力増幅器の入力電力を抑制する構成が提案されている。特許文献1では、出力電力の平均値を検出し、該検出値にしたがって送信電力増幅器の前段に備える可変減衰器の減衰量を調整して、送信電力増幅器に供給する入力電力の平均レベルを所定値以下で保つことで、送信電力増幅器の破壊を防止している。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−44929号
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
CDMA方式の移動通信システムにおいては、通常、送信時に大きな瞬時電力が発生するため、送信電力増幅器は、非線形歪みによる送信スペクトルの広がりを抑えて隣接チャネル漏洩電力が低減されるように、非常に高い出力レベルまで線型性を有する構成が望ましい。しかしながら、非常に大きな出力レベルまで良好な線形性を有する送信電力増幅器は、回路規模が大きくなり、高価で消費電力も大きくなってしまう。
【0011】
上記特許文献1に記載された従来の移動通信システムでは、送信電力増幅器の出力電力の平均値に基づいて可変減衰器の減衰量を制御するだけであるため、出力電力が上記瞬時最大電力(ピークレベル)を越えないように、送信電力増幅器の入力電力をクリッピングする必要がある。クリッピング処理は、送信電力増幅器の回路規模の増大を抑制して安価に実現するために必須の技術である。
【0012】
しかしながら、送信電力増幅器に供給する入力電力をクリッピングすると、信号波形が歪み、EVM(エラー・ベクトル・マグニチュード:Error Vector Magnitude)が著しく劣化して良好な通信状態が保てないという問題が発生する。
【0013】
クリッピング処理は、通常、装置によるクリッピング値のばらつきを低減するため、上記可変減衰器よりも前段に設けられたベースバンド信号を処理するデジタル回路で実行される。そのため、線形に増加するベースバンド信号に対して過度のクリッピングが実施されると信号の歪みが増大してEVMが著しく劣化していた。
【0014】
本発明は上記したような従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、送信電力増幅器の破壊やブレーカ等の保護機能による無線基地局の運用停止を防止すると共に、クリッピングによるEVM劣化の増大を抑制して良好な通信状態を保つことができる送信装置、無線基地局及びクリッピング方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の送信装置は、複数の送信データを合成して成るベースバンド信号から送信電力増幅器に供給する送信信号を生成すると共に、前記送信電力増幅器の出力電力が所定の瞬時最大電力を越えないように前記送信信号のレベルを制限する送信装置であって、
前記ベースバンド信号の振幅値を所定の振幅制限値にしたがって制限し、振幅制限後の信号であるクリッピングベースバンド信号を出力するクリッピング部と、
前記送信信号のレベルを検出する検波器と、
前記送信信号のレベルを減衰させる、所定の制御信号にしたがって減衰量の変更が可能な可変減衰器と、
前記送信電力増幅器の出力電力の平均値が最大送信電力を越えないように前記検波器の出力信号に基づいて前記可変減衰器に供給する前記制御信号を生成し、前記ベースバンド信号の振幅が前記最大送信電力に対応する所定のしきい値を越える場合に、前記クリッピング部で用いる前記振幅制限値と前記クリッピングベースバンド信号との差が一定となるように前記振幅制限値を制御するためのクリッピング情報を生成する比較制御部と、
を有する構成である。
【0016】
また、本発明の無線基地局は、上記送信装置と、
前記送信信号を送信に必要な電力まで増幅する電力増幅器と、
を有する構成である。
【0017】
一方、本発明のクリッピング方法は、複数の送信データを合成して成るベースバンド信号から生成される送信電力増幅器に供給する送信信号のレベルを、前記送信電力増幅器の出力電力が所定の瞬時最大電力を越えないように制限するためのクリッピング方法であって、
前記送信信号のレベルを検出し、
前記送信信号のレベルの検出結果に基づき、前記送信電力増幅器の出力電力の平均値が予め設定された最大送信電力を越えないように、可変減衰器を用いて前記送信信号のレベルを減衰させ、
前記ベースバンド信号の振幅値を所定の振幅制限値にしたがって制限すると共に、前記ベースバンド信号の振幅が前記最大送信電力に対応する所定のしきい値を越える場合は、前記振幅制限値と前記ベースバンド信号の振幅制限後の信号であるクリッピングベースバンド信号との差が一定となるように前記振幅制限値を設定する方法である。
【0018】
(作用)
上記のような送信装置、無線基地局及びクリッピング方法では、クリッピング部にて、ベースバンド信号の振幅値を所定の振幅制限値にしたがって制限し、該制限後の信号であるクリッピングベースバンド信号を出力し、比較制御部にて、送信電力増幅器の出力電力の平均値が最大送信電力を越えないように検波器の出力信号に基づいて可変減衰器に供給する制御信号を生成し、ベースバンド信号の振幅が最大送信電力に対応する所定のしきい値を越える場合に、クリッピング部で用いる振幅制限値とクリッピングベースバンド信号との差が一定となるように振幅制限値を制御するためのクリッピング情報を生成することで、ベースバンド信号は、瞬時ピークのみがクリッピングされため、送信信号の歪みが低減される。
【0019】
また、送信電力増幅器の出力電力の平均値が予め設定された最大送信電力を越えないように検波器の出力信号に基づいて可変減衰器の減衰量が制御されるため、出力電力の平均値が最大送信電力以下に抑制される。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に本発明について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は無線基地局の一構成例を示すブロック図であり、図2は本発明の送信装置の一構成例を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、無線基地局1は、移動局5へ送信する送信データS1の合成や変調を行う送信装置2と、送信装置2の出力信号S6を送信に必要な電力まで増幅する送信電力増幅器3と、送信電力増幅器3で増幅された送信出力S20を移動局5へ向けて送出するためのアンテナ4とを有する構成である。
【0023】
なお、図1に示す無線基地局1は下り送信に必要な構成要素のみを示している。実際の無線基地局1は、図1に示した構成に加えて、移動局5から信号を受信し、受信信号から移動局5毎の受信データを再生する受信装置、移動局5毎の通信状態の監視等を行う信号処理部、各移動局5の位置を管理するとともに複数の無線基地局1を介して移動局5とネットワーク間の通信を中継する無線ネットワーク制御装置とのインタフェースである通信インタフェース装置等を備えている。
【0024】
図2に示すように、送信装置2はデジタル信号処理を行うベースバンド部6とアナログ信号処理を行うRF部7とを有する構成である。
【0025】
ベースバンド部6は、パイロットチャネル、制御チャネル、通信チャネル等の複数の送信データS1を合成する加算合成部8と、加算合成部8から出力されるベースバンド信号S2を入力とし、ベースバンド信号S2の振幅値を後述する比較制御部17から供給されるクリッピング情報S12にしたがって制限し、該制限後の信号であるクリッピングベースバンド信号S3、及び該クリッピングベースバンド信号S3の振幅値を示すベースバンド振幅データS10をそれぞれ出力するクリッピング部9と、クリッピングベースバンド信号S3を変調する変調部10と、変調部10から出力される変調信号S4をアナログ信号に変換し、無線信号S5としてRF部7へ出力するD/A部11と、RF部7で検出される送信装置出力S6のレベル(電力)を示す検波電圧S7を入力とし、検波電圧S7をデジタル信号である送信電力データS8に変換するA/D部16と、送信電力増幅器3の出力電力の平均値が最大送信電力を越えないように後述する可変減衰器12に供給する制御電圧S9を生成し、ベースバンド信号S2の振幅が送信電力増幅器3の最大送信電力に対応する値を越える場合は、クリッピング部9で用いる振幅制限値とクリッピングベースバンド信号S3との差が一定となるように振幅制限値を制御するためのクリッピング情報S12を生成する比較制御部17とを有する構成である。なお、比較制御部17には、送信電力増幅器3の最大送信電力(平均値)に対応する値として、予め設定されたしきい値S11が供給される。
【0026】
また、RF部7は、比較制御部17から供給される制御電圧S9にしたがってベースバンド部6から出力された無線信号S5の振幅を減衰させる可変減衰器12と、可変減衰器12の出力信号を増幅する増幅部13と、増幅部13から送信電力増幅器3へ出力される送信装置出力S6のレベルを検出するための検波器15と、送信装置出力S6の一部を検波器15に分配するカプラ14とを有する構成である。
【0027】
次に、図2に示したベースバンド部6の各構成要素のうち、加算合成部8、クリッピング部9、及び比較制御部17の構成について、図3〜図5を用いて説明する。なお、変調部10、D/A部11、A/D部16、及びRF部7は、周知の構成を用いればよいため、ここではこれらの構成の説明は省略する。
【0028】
図3は図2に示した加算合成部の一構成例を示すブロック図であり、図4は図2に示したクリッピング部の一構成例を示すブロック図である。また、図5は図2に示した比較制御部の一構成例を示すブロック図である。
【0029】
図3に示すように、加算合成部8は、パイロットチャネル、制御チャネル、及び通信チャネル等の複数の送信データS1をそれぞれ加算する複数の加算器81を有し、全ての送信データを合成したベースバンド信号S2を出力する。
【0030】
図4に示すように、クリッピング部9は、ベースバンド信号S2の振幅制限値であるクリッピング値S17に基づいて振幅制限後のクリッピングベースバンド信号S3を出力するリミッタ部91と、比較制御部17から供給されるクリッピング情報S12に基づいてリミッタ部91にクリッピング値S17を供給する制御部92と、リミッタ部91から出力されるクリッピングベースバンド信号S3の振幅を検出し、ベースバンド振幅データS10として比較制御部17に出力する振幅データ検出部93とを有する構成である。
【0031】
図5に示すように、比較制御部17は、クリッピング部9から供給されるベースバンド振幅データS10の所定期間における平均値を求め、該平均値を電力換算した平均ベースバンド電力データS14を出力するベースバンド平均値部178と、平均ベースバンド電力データS14と送信電力増幅器3の最大送信電力に対応する値であるしきい値S11とを比較し、それらの差を示す比較データS19を出力する比較器174と、比較データS19に基づいてクリッピング部で用いるクリッピング値S17とクリッピングベースバンド信号S3との差が一定となるようにクリッピング値S17を制御するためのクリッピング情報S12を生成すると共に、平均ベースバンド電力データS14が上記しきい値S11以下の場合は平均ベースバンド電力データS14の値をベースバンドデータS16として出力し、平均ベースバンド電力データS14が上記しきい値S11よりも大きい場合は該しきい値S11をベースバンドデータS16として出力する制御部177と、A/D部16から出力される送信電力データS8の所定期間における平均値を求め、該平均値を平均送信電力データS15として出力する送信電力平均値部173と、制御部177から出力されるベースバンドデータS16と振幅電力変換部172から出力される平均送信電力データS15との差が最小となるように、ベースバンドデータS16と平均送信電力データS15との差に基づいた制御データS18を出力する演算部175と、デジタル信号である制御データS18をアナログ信号である制御電圧S9に変換するD/A部176とを有する構成である。ベースバンド平均値部178は、クリッピング部9から出力されるベースバンド振幅データS10の所定期間における平均値を求め、該平均値を平均ベースバンド振幅データS13として出力する平均値部171と、平均値部171から出力される平均ベースバンド振幅データS13を電力換算した平均ベースバンド電力データS14を出力する振幅電力変換部172とを有する構成である。
【0032】
このような構成において、次に本発明のクリッピング方法について図6〜図8を用いて説明する。
【0033】
図6は本発明のクリッピング方法の処理手順を示すフローチャートである。図7は従来のクリッピング方法と本発明のクリッピング方法の違いを説明する図であり、同図(a)は従来のクリッピング方法を示すグラフ、同図(b)は本発明のクリッピング方法を示すグラフである。また、図8は従来のクリッピング方法と本発明のクリッピング方法によるEVMの違いを示すグラフである。
【0034】
図6に示すように、ベースバンド部6は、まず、比較制御部17にてクリッピング部9から出力されるベースバンド振幅データS10の振幅値を平均化し、その値を電力値に変換した平均ベースバンド電力データS14と予め設定されたしきい値S11とを比較器174により比較する(ステップF1)。
【0035】
ステップF1の処理の結果、平均ベースバンド電力データS14がしきい値S11以下であると判定した場合、ベースバンド部6は、ステップF1の処理で得られた平均ベースバンド電力データS14としきい値S11の比較結果である比較データS19に基づき、制御部177にてクリッピング情報S12に所定の初期値を設定し、該初期値をクリッピング情報S12としてクリッピング部9に出力する(ステップF2)。なお、初期値は、送信電力増幅器3の最大出力電力による送信時にEVMが所定の規格を満足するように設定される値であり、実験やシミュレーション等によって決定される値である。
【0036】
次に、ベースバンド部6は、ステップF1の処理で得られた比較データS19に基づき、制御部177によりベースバンドデータS16として平均ベースバンド電力データS14の値を演算部175に出力する(ステップF3)。
【0037】
演算部175は、ベースバンドデータS16の値と平均送信電力データS15の値とを比較し、それらの差が最小になるように(例えばベースバンドデータS16と平均送信電力データS15の差に比例する)制御データS18を生成する(ステップF4)。
【0038】
演算部175で生成された制御データS18はD/A部176にて制御電圧S9に変換され、可変減衰器12に出力される(ステップF5)。
【0039】
そして、ステップF1の処理に戻ってベースバンドデータS16の値と平均送信電力データS15の値が一致するまでステップF1〜F5の処理を繰り返す。
【0040】
ここでは、ステップF3の処理により、ベースバンドデータS16として平均ベースバンド電力データS14の値が演算部175に出力されているため、ベースバンド部6は、クリップングベースバンド信号S3の振幅と送信装置出力S6のレベルとが一致するように制御する。
【0041】
一方、ステップF1の処理の結果、平均ベースバンド電力データS14がしきい値11よりも大きいと判定した場合、ベースバンド部6は、ステップF6の処理に移行し、ステップF1の処理で得られた平均ベースバンド電力データS14としきい値11の比較結果である比較データS19に基づいて制御部177によりクリッピング情報S12を算出する(ステップF6)。
【0042】
制御部177は、クリッピング情報S12を、
S12=初期値+(S14−S11)
で求め、算出したクリッピング情報S12をクリッピング部9に出力する(ステップF7)。
【0043】
次に、ベースバンド部6は、ステップF1の処理で得られた比較データS19に基づいて制御部177によりベースバンドデータS16としてしきい値S11を演算部175に出力する(ステップF8)。
【0044】
続いて、演算部175は、ベースバンドデータS16の値と平均送信電力データS15の値とを比較し、それらの差が最小になるように(例えばベースバンドデータS16と平均送信電力データS15の差に比例する)制御データS18を生成する(ステップF4)。
【0045】
演算部175で生成された制御データS18はD/A部176にて制御電圧S9に変換され、可変減衰器12に出力される(ステップF5)。
【0046】
そして、ステップF1の処理に戻ってベースバンドデータS16の値と平均送信電力データS15の値が一致するまでステップF1、F6〜F8,F4,F5の処理を繰り返す。
【0047】
ここでは、ステップF8の処理により、ベースバンドデータS16として送信電力増幅器3の最大送信電力に対応するしきい値S11が演算部175に出力されているため、ベースバンド部6は、送信装置出力S6のレベルが送信電力増幅器3の最大送信電力に対応する値と一致するように制御する。
【0048】
図7は従来のクリッピング方法と本発明のクリッピング方法についてそれぞれ示した図である。また、図8に従来のクリッピング方法と本発明のクリッピング方法のEVM劣化の違いを示した図である。
【0049】
なお、図7(a)、(b)の横軸はベースバンド信号S2の振幅を示し、縦軸はクリッピングベースバンド信号S3及び送信装置出力S6のレベルをそれぞれ示している。
【0050】
図7(a)に示すように、従来のクリッピング方法では、ベースバンド信号S2がしきい値S11(B点)以上のときに送信装置出力S6がしきい値S11を越えないように、すなわち送信電力増幅器3が最大送信電力を越えないように制御する。このとき、従来はクリッピングベースバンド信号S3の振幅を所定のクリッピング値で制限するだけであるため、クリッピングバースバンド信号S3がクリッピング値S17に近づくと、瞬時ピークだけでなくベースバンド信号S2もクリッピングされて歪みが発生し、EVMが劣化する。
【0051】
一方、図7(b)に示すように、本発明のクリッピング方法では、ベースバンド信号S2がしきい値S11(D点)以上になると、送信装置出力S6がしきい値S11を越えないように可変減衰器12で減衰させると共に、しきい値S11(D点)におけるクリッピング値S17とクリッピングベースバンド信号S3との差(C)を一定に保つようにクリッピング値S17を制御する。このため、ベースバンド信号S2は瞬時ピークのみがクリッピングされるため、歪みの発生が抑制されてEVMの劣化が増大しない。
【0052】
図8に示すように、従来のクリッピング方法では、EVMが送信装置出力S6の電力が大きくなるにつれて劣化し、しきい値S11を越える電力で規格外となってしまう。それに対して、本発明のクリッピング方法では、しきい値S11を越えてもクリッピング値S17とクリッピングバースバンド信号S3の差(C)が一定であるため、EVMが送信装置出力S6のレベルに関係なく一定であり、EVMの劣化量が増加しない。
【0053】
したがって、本発明のクリッピング方法によれば、送信電力を瞬時最大電力(ピークレベル)以下に制限できると共に、送信信号の歪みが低減してEVM劣化を防ぐことができる。よって、EVM劣化を増大させずに良好な通信状態を保つことができる。さらに、本発明では、ステップF8の処理にてベースバンドデータS16の値を送信電力増幅器3の最大送信電力に対応するしきい値S11に設定しているため、ステップF4の処理で比較されるベースバンドデータS16の値がしきい値S11となり、平均送信電力データS15がしきい値S11を越えないように制御される。すなわち、送信電力増幅器3の出力電力の平均値が最大送信電力以下に抑制されるため、送信電力増幅器の破壊やブレーカ等の保護機能による無線基地局の運用停止が防止される。
【0054】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように構成されているので、以下に記載する効果を奏する。
【0055】
クリッピング部にて、ベースバンド信号の振幅値を所定の振幅制限値にしたがって制限し、該制限後の信号であるクリッピングベースバンド信号を出力し、比較制御部にて、送信電力増幅器の出力電力の平均値が最大送信電力を越えないように検波器の出力信号に基づいて可変減衰器に供給する制御信号を生成し、ベースバンド信号の振幅が最大送信電力に対応する所定のしきい値を越える場合に、クリッピング部で用いる振幅制限値とクリッピングベースバンド信号との差が一定となるように振幅制限値を制御するためのクリッピング情報を生成することで、ベースバンド信号は、瞬時ピークのみがクリッピングされため、送信信号の歪みが低減される。
【0056】
したがって、電力増幅器の送信電力を瞬時最大電力以下に制限できると共に、エラー・ベクトル・マグニチュード劣化が防止され、良好な通信状態を保つことができる。
【0057】
また、送信電力増幅器の出力電力の平均値が予め設定された最大送信電力を越えないように検波器の出力信号に基づいて可変減衰器の減衰量が制御されるため、出力電力の平均値が最大送信電力以下に抑制され、送信電力増幅器の破壊やブレーカ等の保護機能による無線基地局の運用停止が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】無線基地局の一構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の送信装置の一構成例を示すブロック図である。
【図3】図2に示した加算合成部の一構成例を示すブロック図である。
【図4】図2に示したクリッピング部の一構成例を示すブロック図である。
【図5】図2に示した比較制御部の一構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明のクリッピング方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】従来のクリッピング方法と本発明のクリッピング方法の違いを説明する図であり、同図(a)は従来のクリッピング方法を示すグラフ、同図(b)は本発明のクリッピング方法を示すグラフである。
【図8】従来のクリッピング方法と本発明のクリッピング方法によるEVMの違いを示すグラフである。
【図9】CDMA方式の移動通信システムのセル構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 無線基地局
2 送信装置
3 送信電力増幅器
4 アンテナ
5 移動局
6 ベースバンド部
7 RF部
8 加算合成部
81 加算器
9 クリッピング部
91 リミッタ部
92,177 制御部
93 振幅データ検出部
10 変調部
11,176 D/A部
12 可変減衰器
13 増幅部
14 カプラ
15 検波器
16 A/D部
17 比較制御部
171 平均値部
172 振幅電力変換部
173 送信電力平均値部
174 比較器
175 演算部
178 ベースバンド平均値部
Claims (7)
- 複数の送信データを合成して成るベースバンド信号から送信電力増幅器に供給する送信信号を生成すると共に、前記送信電力増幅器の出力電力が所定の瞬時最大電力を越えないように前記送信信号のレベルを制限する送信装置であって、
前記ベースバンド信号の振幅値を所定の振幅制限値にしたがって制限し、振幅制限後の信号であるクリッピングベースバンド信号を出力するクリッピング部と、
前記送信信号のレベルを検出する検波器と、
前記送信信号のレベルを減衰させる、所定の制御信号にしたがって減衰量の変更が可能な可変減衰器と、
前記送信電力増幅器の出力電力の平均値が最大送信電力を越えないように前記検波器の出力信号に基づいて前記可変減衰器に供給する前記制御信号を生成し、前記ベースバンド信号の振幅が前記最大送信電力に対応する所定のしきい値を越える場合に、前記クリッピング部で用いる前記振幅制限値と前記クリッピングベースバンド信号との差が一定となるように前記振幅制限値を制御するためのクリッピング情報を生成する比較制御部と、
を有する送信装置。 - 前記クリッピング部は、
前記クリッピングベースバンド信号の振幅値を示すベースバンド振幅データを出力する振幅データ検出部を有し、
前記比較制御部は、
前記ベースバンド振幅データの所定期間における平均値を求め、該平均値を電力換算した平均ベースバンド電力データを出力するベースバンド平均値部と、
前記平均ベースバンド電力データと前記最大送信電力に対応するしきい値とを比較し、それらの差を示す比較データを出力する比較器と、
前記比較データに基づいて前記クリッピング部で用いる前記振幅制限値と前記クリッピングベースバンド信号との差が一定となるように前記振幅制限値を制御するための前記クリッピング情報を生成し、前記平均ベースバンド電力データが前記しきい値以下の場合は前記平均ベースバンド電力データの値をベースバンドデータとして出力し、前記平均ベースバンド電力データが前記しきい値よりも大きい場合は前記しきい値を前記ベースバンドデータとして出力する制御部と、
前記検波器で検出された前記送信信号のレベルを示す送信電力データの所定期間における平均値を求め、該平均値を平均送信電力データとして出力する送信電力平均値部と、
前記ベースバンドデータと前記平均送信電力データとの差が最小となるように、前記ベースバンドデータと前記平均送信電力データとの差に基づいて前記制御信号を出力する演算部と、
を有する請求項1記載の送信装置。 - 前記制御部は、
前記平均ベースバンド電力データが前記しきい値以下の場合は、最大電力送信時にエラー・ベクトル・マグニチュードが所定の規格を満足するように設定された初期値を前記クリッピング情報として出力し、前記平均ベースバンド電力データが前記しきい値よりも大きい場合は、前記平均ベースバンド電力データから前記しきい値を減算し、前記初期値に加算した値を前記クリッピング情報として出力する請求項2記載の送信装置。 - 請求項1乃至3のいずれか1項記載の送信装置と、
前記送信信号を送信に必要な電力まで増幅する電力増幅器と、
を有する無線基地局。 - 複数の送信データを合成して成るベースバンド信号から生成される送信電力増幅器に供給する送信信号のレベルを、前記送信電力増幅器の出力電力が所定の瞬時最大電力を越えないように制限するためのクリッピング方法であって、
前記送信信号のレベルを検出し、
前記送信信号のレベルの検出結果に基づき、前記送信電力増幅器の出力電力の平均値が予め設定された最大送信電力を越えないように、可変減衰器を用いて前記送信信号のレベルを減衰させ、
前記ベースバンド信号の振幅値を所定の振幅制限値にしたがって制限すると共に、前記ベースバンド信号の振幅が前記最大送信電力に対応する所定のしきい値を越える場合は、前記振幅制限値と前記ベースバンド信号の振幅制限後の信号であるクリッピングベースバンド信号との差が一定となるように前記振幅制限値を設定するクリッピング方法。 - 前記クリッピングベースバンド信号の振幅値を検出し、該振幅値を示すベースバンド振幅データを生成し、
前記ベースバンド振幅データの所定期間における平均値を求め、該平均値を電力換算した平均ベースバンド電力データを生成し、
前記平均ベースバンド電力データと前記最大送信電力に対応するしきい値とを比較し、それらの差を示す比較データを生成し、
前記比較データに基づいて前記振幅制限値と前記クリッピングベースバンド信号との差が一定となるように前記振幅制限値を設定すると共に、前記平均ベースバンド電力データが前記しきい値以下の場合は前記平均ベースバンド電力データの値をベースバンドデータとして出力し、前記平均ベースバンド電力データが前記しきい値よりも大きい場合は前記しきい値を前記ベースバンドデータとして出力し、
前記検波器で検出された前記送信信号のレベルを示す送信電力データの所定期間における平均値を求め、該平均値を示す平均送信電力データを生成し、
前記ベースバンドデータと前記平均送信電力データとの差が最小となるように、前記ベースバンドデータと前記平均送信電力データとの差に基づいて前記制御信号を生成する請求項5記載のクリッピング方法。 - 前記平均ベースバンド電力データが前記しきい値以下の場合は、最大電力送信時にエラー・ベクトル・マグニチュードが所定の規格を満足するように設定された初期値を前記クリッピング情報として出力し、前記平均ベースバンド電力データが前記しきい値よりも大きい場合は、前記平均ベースバンド電力データから前記しきい値を減算し、前記初期値に加算した値を前記クリッピング情報として出力する請求項6記載のクリッピング方法。
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