JP3829607B2 - 揺動ピストン形圧縮機およびそのピストンの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に空調装置または冷凍装置に使用される揺動ピストン形圧縮機に関わり、特にシリンダ室を吸入室と圧縮室に仕切るための平板状ブレードを円筒部に突き出すように一体的に形成したピストンのブレードを効率的に加工する形状を備える揺動ピストン形圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一対の平行面を加工する技術として特開平07−108445号公報に開示されるように対向する一対2枚の砥石により被加工物を研削する両頭研削加工法が知られている。 本加工法を図12によって詳しく説明する。
【0003】
図12において、対向して回転する2枚の砥石50a、50bの間に被加工物を移動させるキャリア60が通過している。図12において、被加工物は円筒状リング55である。キャリア60が砥石50a、50b内に入る前、例えばA点においてキャリア60に設けられた挿入部60aにリング55が挿入され、キャリア60の回転とともにリング55が砥石50a、50bの間を通過して加工を完了する。加工が完了したリング55はキャリア60が砥石50a、50bの間を通過した後、例えばB点において排出される。本構成の両頭研削加工法においては、リング55の円環状両端面が砥石50a、50bの成す幅の寸法で、平行度、平面度を良好に加工できる特徴がある。本加工方式は短時間で、かつ連続的に平行な平面を研削できる特徴もあり、平行な平面を大量生産する手法として円筒の端面あるいは平板の側面等の加工に活用されている。
【0004】
また、特開平8−247064号公報に円筒体に平板状ブレードを一体的に形成したピストンの形状が開示されているが、従来のピストンのブレードにおいては、ブレードの径方向の先端部分が平坦であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術である両頭研削加工法を用いて、平板状のブレードを円筒部に一体的に突き出すように形成したピストンの平板状ブレードの側面を加工する場合以下のような問題点がある。
【0006】
従来の両頭研削加工法において考慮されていた事項は、加工する2面間の幅、平行度、および各面の平面度、表面粗さである。キャリアの中で被加工物は加工が進行する方向には拘束されておらず、相対する2枚の砥石それぞれが加工する量は強制的に制御していない。
【0007】
被加工物に2枚の砥石が形成する間隙の中へ送り込む力を作用させ、被加工物が移動する過程で、被加工物の2面が加工される。本加工法では、加工が完了した結果、被加工物に所望の幅を得るよう砥石の間隔を制御している。よって、加工される2面それぞれの加工量は砥石の性状により変動するが、これを別個に制御する手段は備えていなかった。
【0008】
上述のように従来の両頭加工法はチャック等により強制的に被加工物を把持して加工を行なう方法ではないため、部材を構成する他要素との相対的な位置に関する精度を得る配慮は通例なされていなかった。
【0009】
このような加工法の特性から、ピストンのブレード側面に両頭研削加工を施す場合、円筒部との位置に関係する精度を得ることが困難であった。例えば、ブレード両側面の径方向中心線が円筒部の中心を通過するように加工する要求に対して本加工法は対応することが困難であった。すなわち、ブレード両側面の径方向中心線が円筒部の中心を通過するように加工を制御する場合、ブレードの側面各々で加工量を円筒部基準で変動させる必要が生じるが、従来の両頭研削加工法は各面の加工量を別個に制御できずこの要求に対応することが不可能であった。
【0010】
また、従来のピストンのブレードにおいては、ブレードの径方向の先端部分が平坦であり、ブレードを把持して位置を決定する場合、加工するブレードの側面以外に位置を決められる部分が存在しなかった。よって、従来のピストンのブレードにおいては、ブレード側面を加工するにあたって、基準となり、かつ位置を拘束できる部分が加工するブレード側面自身以外に存在しない形状であった。すなわち、従来のブレードの形状では、ブレードの側面以外の部分を治具で拘束した状態でブレード側面を加工することが困難であった。
【0011】
そこで、従来のピストンのブレード側面を加工するに際しては、2面あるブレード側面の一方を基準としてもう一方に取り代を残した状態に加工し、次いで反転して加工を行ない、この片側ずつ交互に加工する作業を繰り返して、ブレード自身の幅寸法と円筒部との位置の精度を得るのが通例で、非常に能率の悪い作業であった。
【0012】
本発明は、このような従来の問題点に着目し、効率的に平行な平面を加工できる両頭研削法でブレードを加工できる形状のピストンを具備する揺動ピストン形圧縮機とブレードの加工法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため本発明は成されている。
【0014】
前記目的を達成する第一の揺動ピストン形圧縮機の構成は、
中空のシリンダ室を有するシリンダと、該シリンダ室内に収納され、前記シリンダに揺動可能で、半径方向に摺動可能に支持され、シリンダ室を吸入室と圧縮室に仕切るための平板状ブレードを一体的に形成したピストンと、該ピストンに挿入され該ピストンを前記シリンダ室内で公転運動させるクランク軸と、該クランク軸を支持し、前記シリンダの両端開口部を閉塞する端板とを備え、前記ピストンのブレードの径方向端面において該ピストンの軸心と相対的に位置を決める基準となるくぼみあるいは突起を形成したことを特徴とするものである。
【0015】
前記目的を達成する第二の揺動ピストン形圧縮機の構成は、
第一の揺動ピストン形圧縮機の構成において、前記ピストンのブレードに形成したくぼみは、ピストンの軸心に直角な断面の形状が該軸心に向って幅が狭くなるテーパを形成し、該テーパ部の対称軸の延長線が円筒部の概略中心を通過する溝であるピストンを具備することを特徴とするものである。
【0016】
前記目的を達成する第三の揺動ピストン形圧縮機の構成は、
第一または第二の揺動ピストン形圧縮機の構成において、前記ピストンは、素材が金型で成形される焼結合金で成り、前記くぼみあるいは突起を金型により成形したことを特徴とするものである。
【0017】
また、前記目的を達成するための第一の加工法は
平板状のブレードを一体的に突き出すように形成したピストンの平板状ブレードの側面を加工する方法であって、平板状ブレードの径方向端面に該ピストンの軸心と相対的に位置を決める基準となるくぼみあるいは突起を形成した後、該ピストンの内径あるは外径を支持するとともに該基準に該ブレードの径方向より支持部材を挿嵌して支持した状態で、対向する円環状研削面を具備する2枚の砥石により、該ブレードに2面備わる側面を研削加工することを特徴とするものである。
【0018】
前記目的を達成するための第二の加工法は
前記第一の加工法において、前記2枚の砥石の成す間隙を前記ブレードの該両頭研削前の幅よりも広くした後、該2枚の砥石の加工部位に該ブレードを移動し、次いで、該2枚の砥石の間隙を狭めながら、該ブレードに2面ある側面を加工することを特徴とするものである。
【0019】
前記目的を達成するための第三の加工法は
前記第一の加工法又は前記第二の加工法において、対向する円環状研削面を具備する2枚の砥石の回転軸心に傾斜角を与え、該2枚の砥石間隔が最も狭くなる部分で該傾斜角の中線に平行な部分を得るような砥石形状とし、前記の平行に形成された該2枚の砥石が形成する間隙の中心線が、前記ピストンのブレードに形成した溝と円筒部の中心を通過する線と一致する該砥石と該ピストンの配置とし、該2枚の砥石が形成する間隙を該ピストンのブレードを往復運動あるいは繰り返し1方向に通過させるとともに、前記砥石の間隙を順次狭めながらブレードを加工することを特徴とするものである。
【0020】
前記目的を達成するための第四の加工法は
前記第一の加工法又は前記第二の加工法又は前記第三の加工法において、対向配置された砥石の径方向に、ピストンのブレードを往復運動させるオシレーション動作を付加し、加工することを特徴とするものである。
【0021】
前記目的を達成するための第五の加工法は
前記第一の加工法又は前記第二の加工法又は前記第三の加工法又は前記第四の加工法において、ピストンの素材を金型で成形する焼結合金により製作し、該金型による成形において前記基準となる前記くぼみあるいは突起を前記ブレードの径方向端面に形成し、以後、該ブレードの側面に両頭研削を施すことを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に係わる揺動ピストン形圧縮機の実施の形態について図1ないし図11を用いて説明する。図1は、本発明に係わる揺動ピストン形圧縮機の一実施の形態を示す部分断面図であり、図2は図1のA−A矢視断面を鳥瞰図で示した説明図である。
【0023】
揺動ピストン形圧縮機は、密閉容器であるケース21内に、固定子22aおよび回転子22bから構成されたモータ部22と、該モータ部22によって回転駆動される圧縮機構部20とを収納して構成される。圧縮機構部20は、ケース21に固定された主軸受23、シリンダ11、副軸受け24およびピストン1が主な構成要素となっている。シリンダ11は、主軸受け23と副軸受け24とでシリンダ11の両端開口を閉塞し、低圧室(吸入室)16と高圧室(圧縮室)17とからなる作動室を形成する。そして、ピストン1の円筒部2は、回転子22bに固定されたクランク軸12の偏心部12aに回転自在に嵌合される。さらに、ピストン1の円筒部2においては、外周の一箇所にブレード(平板状突起)3を一体的に形成している。このブレード(平板状突起)3はシリンダ11に対してシュー13によって揺動可能で、かつ半径方向に摺動自在に支持されており、シリンダ11内を低圧室(吸入室)16と高圧室(圧縮室)17とに仕切る役目をする。従って、ピストン1は、シリンダ室内において、ブレード3によって回転止めされた状態で、偏心部12aの偏心回転運動によって公転運動が行われ、吸入作用と圧縮作用が繰り返されることになる。
【0024】
即ち、圧縮機構部20において、シリンダ11内に、ブレード3を円筒部2に一体的に形成したピストン1が組み込まれているため、ピストン1は、モータ部22に直結したクランク軸12の偏心部12aの偏心回転により、ブレード3で回転止めされた状態で、シリンダ11の内面11aに対して公転運動が行われる。シリンダ11の内部は、ピストン1のブレード3とシール部18によって低圧室(吸入室)16と高圧室(圧縮室)17とに仕切られており、吸入口14より吸い込まれた作動流体(冷媒ガス)は、ピストン1の公転運動によって圧縮されて吐出口15より冷凍サイクル(図示せず)に供給される。なお、25は副軸受け24に形成された吐出口15につながる吐出パイプを示し、26は副軸受け24に形成された吸入口14と直接つながる吸入パイプを示す。従って、吸入パイプ26により吸入室16内に吸入された作動流体は圧縮され、圧縮された作動流体は、吐出口15から吐出弁(図示せず)を通って副軸受け24内の吐出室(図示せず)に入り、その後ケース21内に吐出され、吐出パイプ25より外部の冷凍サイクル(図示せず)に吐出される。
【0025】
本例はシリンダ11、ピストン1、シュー13が一対の1気筒式圧縮機であるが、気筒数が例えば2気筒のように増加しても同様である。
【0026】
以上に述べた構成で揺動ピストン形圧縮機は機能を果たす。
【0027】
高圧室(圧縮室)17内で圧縮した作動流体は吐出口15より排出することが圧縮機としての機能であり、その他の部分に作動流体を漏出することは圧縮機の体積効率を低下させる要因となる。このため、低圧室(吸入室)16と高圧室(圧縮室)17の間を分離し、かつ摺動部分となっている角構成部材間は作動流体の漏出を抑制し、かつ相対的に運動する必要があるため0.03mm以下の微小な間隙を形成している。即ち、シリンダ11とシュー13の間には相対的に揺動運動が可能であるが、作動流体を漏出させないため微小な間隙が形成されている。また、ピストン1と主軸受け23の端面の間、ピストン1と副軸受け24の端面の間、ピストン1の外径とシリンダ11の内径の間、シュー13と主軸受け23と副軸受け24の端面の間においても同様に微小な間隙が形成されている。このような機能上の必要性から、摺動部材間に微小な間隙を形成するため、各部材は高精度に製作されている。
【0028】
ピストン1に着目すると、クランク軸12の回転によってブレード3は2個のシュー13で形成される溝の中で揺動運動と往復運動が合成された運動を行なう。微小な間隙を維持しながら運動を行なうためにブレード3にはその側面3a、3bの各々の平面度、幅寸法を高精度に製作することが要求される。また、側面3a、3bと円筒部2の軸心は平行に製作されることが要求される。
【0029】
ここで、図4は図1におけるA−A矢視の断面図であるが、ピストン1の円筒部2が最もシュー13に接近する位置に存在する状態を示している。図4に示すピストン1の位置において、ブレード3がシュー13内に納まるためには、ブレード3の側面3a、3bの中心線Lは、ピストン1の円筒部2の中心Oの近傍を通過することが必要となっている。
【0030】
図4は上述した要求があることに鑑み考案したピストン1の一例を鳥瞰図で示すした説明図である。
【0031】
図4(a)に示すように、本例では、ブレード3の径方向端面4に位置の基準として溝4を形成している。この溝4は、円筒部2の軸心Mと平行に形成されている。この溝4の中心と円筒部2の中心を結んだ直線Nに対して、側面3a、側面3bは距離が均等となるように構成されている。溝4は2面のテーパ面4a、4bにより形成され、テーパ面4a、4bの成す角度を2分する中線が円筒部2の中心近傍を通過する構成となっている。
【0032】
即ち、溝4と円筒部2を結んだ直線をブレード3と円筒部2を関連形態として製作あるいは評価する際の位置の精度基準としており、後述するように、ピストンの生産効率向上に有効である。
【0033】
本例では位置の基準としての機能を発揮する形状をテーパ面4a、4bを具備する溝4によって、例を示したが、この他に図4(b)に示すように、矩形断面の溝4cであったり、円弧形状断面、U字形状断面の溝等でも同様の目的を果たすことは可能である。あるいは、図4(c)に示すように、円弧形状断面、あるいはU字形状断面のくぼみ4dでも目的を果たすことは可能である。また、円錐形、円筒形、角柱形、半円球形等でブレード3の位置を決定できるくぼみでも同等の機能を果たす。さらに、図4の例と逆に、ブレード3の径方向端面から突出した形状でも良い。しかし、中心を決定する目的からテーパ面3a、3bによって構成された溝が、製作上、精度測定上最も簡易であり、生産の効率を向上させる目的に合致した形状である。
【0034】
また、ピストン1を製作する素材を金型(図示せず)で成形する焼結材料とした場合、この溝4は金型(図示せず)による成形で製作することが可能である。焼結合金は原料となる金属粉末を金型(図示せず)内に充填し、これを圧縮成形した後に金型(図示せず)より取り出し、成形した金属粉末が完全に溶融しないが拡散接合する温度に昇温して成形体を得る手法である。金型(図示せず)に溝と反対の形状を成形しておくことで、焼結金属で製作したピストン1に溝4を成形することができる。この方法でブレード3に溝4を成形することで効率的に安価に製作が可能となる。
【0035】
図5は溝4の機能を説明する平面図および説明図である。ピストン1の円筒部2の中心は外径の3点例えば、△記号で示したA,B,Cを拘束することによって決定することができる。一方、ブレード3の円筒2に対する位置は、溝4のテーパ面3a、3bを拘束することで決定できる。
【0036】
より具体的には、図6(b)に示すように、V字形断面の受台42にピストン1の円筒部2を搭載し、V字形断面の受台42に相対する方向かブロック43で円筒部2を拘束し、さらにテーパ面4a、4bを転写した形状のサポータ41 を溝4に挿入する。この溝4を拘束するサポータ41の中心線Sが円筒部2の軸心Mを通過する配置としておくことで、円筒部2とブレード3の拘束が可能である。このように、ピストン1のブレード3を加工する前に溝4を成形し、上述した円筒部2とブレード3の位置決定手法によりブレード3を拘束すると、ブレード3の側面3a、3bの加工に必要な位置を設定することが可能で、また前述した位置を拘束したままでブレード3の側面3a、3bを両面同時に加工が可能である。
【0037】
続いて、本発明に係わり、ブレードの側面を両頭研削により加工する方法について図6ないし図11を用いて説明する。
【0038】
図6は両頭研削装置によってピストンの加工を行なう状況を示した説明図である。ピストン1は治具31によって把持され、治具31はインデックステーブル32に係止されている。インデックステーブル32はベース33に搭載されており、ベース33にはコラム34が備えられている。加工を行なう下砥石36aは、下砥石36aを回転する回転駆動軸(図示せず)とともに、上下方向の位置を定める第一上下軸37aに配置されている。また、加工を行なうもう一方の上砥石36bも、同様に回転駆動軸(図示せず)とともに、上下方向の位置を定める第二上下軸37bに配置されている。
【0039】
このような構成のもとで、インデックステーブル32を回動させ、ピストン1のブレード3を下砥石36a、上砥石36bが形成する間隙に送り込むことによって、ブレード3の側面の加工が行なわれる。ここでは、下砥石36a、上砥石36bの間隙をブレード3が通過する過程で、ブレード3の両側面が同時に除去されて、ブレードは所望の寸法に成形される。ピストン1の軸心に対するブレード3の位置は、下砥石36a、上砥石36bの位置を第一上下軸37a、第二上下軸37bによって移動することで調整することが可能である。また、ブレード3の幅も位置を第一上下軸37a、第二上下軸37bによって調整が可能である。ブレード3の中心をピストン1の中心に合致させる場合、下砥石36aと上砥石36bが成す間隙の中心線がピストン1の中心を通過するように第一上下軸37a、第二上下軸37bを調整すれば良い。
【0040】
上記の内容を、以下でさらに詳細に述べる。
【0041】
図7は図6における治具31と2枚の砥石36a、36bの配置を拡大した説明図である。まずピストン1を治具31に搭載する方法を説明する。
【0042】
ピストン1はブレード3の溝4を、治具31のサポータ31cに挿嵌し、次いで、円筒部2を治具31の受台31aに搭載する。その後、径方向クランパ31bをピストン1が回動可能な範囲の力で円筒部2に押し付け、軸方向クランパ31dを、同様にピストン1が回動可能な範囲の力で円筒部2の端面に押し付ける。この状態でサポータ31cをピストン1の軸心方向に移動させ、サポータの先端によってブレード3の溝4の位置を決定する。
【0043】
上述の過程で、サポータ31cを溝4に強力に押し付けると、ブレード3が変形するので、サポータ31cはブレード3の位置が決定できる最小限の力で押しつけることが望ましい。サポータ31cによってブレード3の位置が決定された状態で、軸方向クランパ31dの押し付け力を強化する。以上に説明した手順で、ピストン1の治具31への装着は完了する。
【0044】
ここでは、ピストン1の円筒部2の外径を基準にブレードを位置決めする治具の構成で説明したが、円筒部2の内径を基準とする治具も構成することは可能である。内径を基準とする場合、内径を把持することになり、治具が複雑にはなるが、ピストンの機能上あるいは製作の工程上、内径を基準にブレードを加工する場合は、内径を基準にすることが可能である。内径を基準にブレード3を加工する例を本願は妨げない。
【0045】
続いて、インデックステーブル32を矢印cの方向に回動させ、治具31に装着されたピストン1のブレード3を回転する2枚の砥石36a、36bの間に送り込む。ここで、砥石36a、36bの成す間隙は、ブレード3が求められる寸法に加工されるように調整されている。また、下砥石36aと上砥石36bの位置は、それぞれが成す間隙の中心が、加工後に求められるブレード3の中心に一致するように第一上下軸と第二上下軸を調整している。このようなピストン1と砥石36a、36bの関係で、ピストン1の回動を継続して、ピストン1のブレード3が砥石から離脱するまで回動させると、ブレード3の側面の加工は完了する。
【0046】
上記に説明したように、本例に示したように、ブレード3に溝4を設け、この溝4を位置の基準として把持する治具を用いると、位置を拘束した状態でブレード3の両側面を両頭研削加工で加工することが可能となる。
【0047】
この加工が進行する過程では、ブレード3の中心が期待する位置になるよう砥石36a、36bの位置を制御している。よって、下砥石36aと36bが加工する量は、素材によって変動する。
【0048】
例えば、図8に示すように、加工前の状態により、下砥石36aが加工する量が多くなる場合がある。図8は、ブレード3と、下砥石36a、上砥石36bの加工方向の位置関係を示した例であるが、この例では、下砥石36aが加工する量αはm上砥石36bが加工する量βに対して大きくなっている。
【0049】
逆に、上砥石36bが加工する量が多くなる場合もある。このように、上下の砥石に加工量のアンバランスが発生した場合、加工量の多い側の加工抵抗が増大し、ブレードを回動させる方向に力が発生する。サポータ31cがない場合、加工中にピストンが回動する現象が発生し、加工面に段差が発生する障害が発生するが、サポータ31cによって加工中のブレード3の位置を保持するため、本障害の発生を防止できる。また、加工中にピストンが回動しないまでも、加工抵抗のアンバランスによって、ブレード3は加工量が少ない方向に曲げ変形させる力を受けながら加工が進行する。この、曲げ変形させる力による変形をサポータ31cは減少させることが可能である。
【0050】
また、位置決めの溝4がない場合、治具31に装着する前にあらかじめブレード側面を用いて位置決めした状態で、治具31によりクランプして加工することになるが、治具以外の部分で位置を決めることによる誤差と、治具に装着する時に微小ながら位置ずれが生じることから、位置決めの精度が劣化する。よって、サポータ31cはブレード3の位置を決める精度を良好にするためにも効果があえる。さらに、サポータ31cを用いない場合、加工中にピストン1が動かないように、軸方向クランパ31a、あるいは径方向クランパ31dによって強固にクランプする必要があるが、これは、ピストン1に把持変形を与える原因になる。よって、サポータ31cは治具による把持変形を縮少する目的でも効果がある。
【0051】
以上では、下砥石36aと上砥石36bの成す間隙を、ブレード3が1回通過する例で説明した。さらに、加工精度を良好にする場合は、以下の加工方法を採用することが望ましい。図9によって、この内容を説明する。
【0052】
ブレード3に接触しないように下砥石36aと上砥石36bの間隔γを広げた状態で、インデクステーブル32を回動して砥石36aと砥石36bの成す間隙内にブレード3を挿入する。その後、第一上下軸と第二上下軸によって徐々に間隙γを狭めながら、加工を進行させる。この場合、加工前の素材の状態によって、砥石36aと砥石36bどちらかが先に加工を開始するが、下砥石36aと上砥石36bの移動速度を同一に制御すれば、最終的には、下砥石36aと上砥石36bの加工量が均一になり、加工量をバランスさせることが可能で、よって加工中の変形が縮少でき、加工精度を向上させやすい。ここでも、サポータ31cは、砥石36aと砥石36bのどちらか一方が加工する状態で発生する、ピストンを回動させる力に抗する役割を発揮させることが可能である。
【0053】
さらに、加工抵抗を縮少して加工精度を向上させる手法を図10を用いて説明する。図10(a)においては、下砥石36aと上砥石36bの回転軸心に、互いに傾斜角δを設定している。下砥石36aと上砥石36bの間隔が狭くなった位置を通過するように、かつ下砥石36aと上砥石36bにインデクステーブル32の回動する平面に平行な部分が生じるように、砥石をダイヤモンドドレッサ(図示せず)等によって成形する。すなわち、図10(b)に示すように下砥石36aと上砥石36bの加工面をそれぞれ傘形に成形する。このようにすると、下砥石36aと上砥石36bの最も間隔が狭くなる部分は、面ではなく、線分となる。この線分で挟まれた間でブレードを加工することにより、接触部分が面ではなく、概略線状となるため、加工による抵抗を低減でき加工精度を向上させるのに有効である。
【0054】
さらには、図11の説明図に示すように下砥石36aと上砥石36bの間で、ブレード3をインデクステーブルによって正逆反転運動させるオシレーション動作を付加することにより精度向上が可能である。本オシレーション動作は、図9および図10を用いて説明した加工法に適用が可能である。
【0055】
また、ピストン1を金型で成形される焼結合金により素材を製作し、位置基準4を素材の成形に際して金型で形成した後に両頭研削によってブレード3を研削する加工法は、位置基準4を機械加工によらず設定することが可能であり、生産性向上に寄与できる。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、ピストンのブレードに位置の基準となる溝、くぼみあるいは突起を形成することによって、ブレードの位置を拘束した状態でブレードの両側面を両頭研削加工法によって同時の加工することが可能となる。この両頭研削加工法の適用を可能にすることは、短時間で高精度な加工が可能となることを意味しており、ピストンの生産能率を向上させることにつながる。このようなピストンを備えることで、低廉な揺動ピストン形圧縮機を提供することが可能となる。
【0057】
また、ピストンを金型で成形される焼結合金により素材を製作し、ブレードの溝を素材の成形に際して金型で形成することによって、溝を切削あるいは研削などの機械加工により素材製作後に形成する必要がなく、さらにピストンの加工能率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる揺動ピストン形圧縮機の一実施の形態を示す部分断面図である。
【図2】図1のA−A矢視断面を鳥瞰図で示した説明図である。
【図3】図1のA−A矢視断面図である。
【図4】ピストンの形状を示す説明図である。
【図5】ピストンの位置を拘束する手段を示した説明図である。
【図6】ピストンの両頭研削加工法を示した説明図である。
【図7】図6の加工点付近を拡大して示した説明図である。
【図8】加工量のアンバランスを示す説明図である。
【図9】ピストンの両頭研削加工法を示す説明図である。
【図10】砥石を傾斜させて加工する方法を示した説明図である。
【図11】オシレーション方法を示す説明図である。
【図12】従来の両頭研削加工法を示す説明図である。
【符号の説明】
1…ピストン、2…円筒部、3…ブレード、4…溝、5…端面、11…シリンダ、12…クランクシャフト、13…シュー、14…吸入口、15…吐出口、16…低圧室、17…高圧室、18…シール部、20…圧縮機構部、21…ケース、22…モータ、23…上軸受け、24…下軸受け、25…吐出口、26…吸気口。
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に空調装置または冷凍装置に使用される揺動ピストン形圧縮機に関わり、特にシリンダ室を吸入室と圧縮室に仕切るための平板状ブレードを円筒部に突き出すように一体的に形成したピストンのブレードを効率的に加工する形状を備える揺動ピストン形圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一対の平行面を加工する技術として特開平07−108445号公報に開示されるように対向する一対2枚の砥石により被加工物を研削する両頭研削加工法が知られている。 本加工法を図12によって詳しく説明する。
【0003】
図12において、対向して回転する2枚の砥石50a、50bの間に被加工物を移動させるキャリア60が通過している。図12において、被加工物は円筒状リング55である。キャリア60が砥石50a、50b内に入る前、例えばA点においてキャリア60に設けられた挿入部60aにリング55が挿入され、キャリア60の回転とともにリング55が砥石50a、50bの間を通過して加工を完了する。加工が完了したリング55はキャリア60が砥石50a、50bの間を通過した後、例えばB点において排出される。本構成の両頭研削加工法においては、リング55の円環状両端面が砥石50a、50bの成す幅の寸法で、平行度、平面度を良好に加工できる特徴がある。本加工方式は短時間で、かつ連続的に平行な平面を研削できる特徴もあり、平行な平面を大量生産する手法として円筒の端面あるいは平板の側面等の加工に活用されている。
【0004】
また、特開平8−247064号公報に円筒体に平板状ブレードを一体的に形成したピストンの形状が開示されているが、従来のピストンのブレードにおいては、ブレードの径方向の先端部分が平坦であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術である両頭研削加工法を用いて、平板状のブレードを円筒部に一体的に突き出すように形成したピストンの平板状ブレードの側面を加工する場合以下のような問題点がある。
【0006】
従来の両頭研削加工法において考慮されていた事項は、加工する2面間の幅、平行度、および各面の平面度、表面粗さである。キャリアの中で被加工物は加工が進行する方向には拘束されておらず、相対する2枚の砥石それぞれが加工する量は強制的に制御していない。
【0007】
被加工物に2枚の砥石が形成する間隙の中へ送り込む力を作用させ、被加工物が移動する過程で、被加工物の2面が加工される。本加工法では、加工が完了した結果、被加工物に所望の幅を得るよう砥石の間隔を制御している。よって、加工される2面それぞれの加工量は砥石の性状により変動するが、これを別個に制御する手段は備えていなかった。
【0008】
上述のように従来の両頭加工法はチャック等により強制的に被加工物を把持して加工を行なう方法ではないため、部材を構成する他要素との相対的な位置に関する精度を得る配慮は通例なされていなかった。
【0009】
このような加工法の特性から、ピストンのブレード側面に両頭研削加工を施す場合、円筒部との位置に関係する精度を得ることが困難であった。例えば、ブレード両側面の径方向中心線が円筒部の中心を通過するように加工する要求に対して本加工法は対応することが困難であった。すなわち、ブレード両側面の径方向中心線が円筒部の中心を通過するように加工を制御する場合、ブレードの側面各々で加工量を円筒部基準で変動させる必要が生じるが、従来の両頭研削加工法は各面の加工量を別個に制御できずこの要求に対応することが不可能であった。
【0010】
また、従来のピストンのブレードにおいては、ブレードの径方向の先端部分が平坦であり、ブレードを把持して位置を決定する場合、加工するブレードの側面以外に位置を決められる部分が存在しなかった。よって、従来のピストンのブレードにおいては、ブレード側面を加工するにあたって、基準となり、かつ位置を拘束できる部分が加工するブレード側面自身以外に存在しない形状であった。すなわち、従来のブレードの形状では、ブレードの側面以外の部分を治具で拘束した状態でブレード側面を加工することが困難であった。
【0011】
そこで、従来のピストンのブレード側面を加工するに際しては、2面あるブレード側面の一方を基準としてもう一方に取り代を残した状態に加工し、次いで反転して加工を行ない、この片側ずつ交互に加工する作業を繰り返して、ブレード自身の幅寸法と円筒部との位置の精度を得るのが通例で、非常に能率の悪い作業であった。
【0012】
本発明は、このような従来の問題点に着目し、効率的に平行な平面を加工できる両頭研削法でブレードを加工できる形状のピストンを具備する揺動ピストン形圧縮機とブレードの加工法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため本発明は成されている。
【0014】
前記目的を達成する第一の揺動ピストン形圧縮機の構成は、
中空のシリンダ室を有するシリンダと、該シリンダ室内に収納され、前記シリンダに揺動可能で、半径方向に摺動可能に支持され、シリンダ室を吸入室と圧縮室に仕切るための平板状ブレードを一体的に形成したピストンと、該ピストンに挿入され該ピストンを前記シリンダ室内で公転運動させるクランク軸と、該クランク軸を支持し、前記シリンダの両端開口部を閉塞する端板とを備え、前記ピストンのブレードの径方向端面において該ピストンの軸心と相対的に位置を決める基準となるくぼみあるいは突起を形成したことを特徴とするものである。
【0015】
前記目的を達成する第二の揺動ピストン形圧縮機の構成は、
第一の揺動ピストン形圧縮機の構成において、前記ピストンのブレードに形成したくぼみは、ピストンの軸心に直角な断面の形状が該軸心に向って幅が狭くなるテーパを形成し、該テーパ部の対称軸の延長線が円筒部の概略中心を通過する溝であるピストンを具備することを特徴とするものである。
【0016】
前記目的を達成する第三の揺動ピストン形圧縮機の構成は、
第一または第二の揺動ピストン形圧縮機の構成において、前記ピストンは、素材が金型で成形される焼結合金で成り、前記くぼみあるいは突起を金型により成形したことを特徴とするものである。
【0017】
また、前記目的を達成するための第一の加工法は
平板状のブレードを一体的に突き出すように形成したピストンの平板状ブレードの側面を加工する方法であって、平板状ブレードの径方向端面に該ピストンの軸心と相対的に位置を決める基準となるくぼみあるいは突起を形成した後、該ピストンの内径あるは外径を支持するとともに該基準に該ブレードの径方向より支持部材を挿嵌して支持した状態で、対向する円環状研削面を具備する2枚の砥石により、該ブレードに2面備わる側面を研削加工することを特徴とするものである。
【0018】
前記目的を達成するための第二の加工法は
前記第一の加工法において、前記2枚の砥石の成す間隙を前記ブレードの該両頭研削前の幅よりも広くした後、該2枚の砥石の加工部位に該ブレードを移動し、次いで、該2枚の砥石の間隙を狭めながら、該ブレードに2面ある側面を加工することを特徴とするものである。
【0019】
前記目的を達成するための第三の加工法は
前記第一の加工法又は前記第二の加工法において、対向する円環状研削面を具備する2枚の砥石の回転軸心に傾斜角を与え、該2枚の砥石間隔が最も狭くなる部分で該傾斜角の中線に平行な部分を得るような砥石形状とし、前記の平行に形成された該2枚の砥石が形成する間隙の中心線が、前記ピストンのブレードに形成した溝と円筒部の中心を通過する線と一致する該砥石と該ピストンの配置とし、該2枚の砥石が形成する間隙を該ピストンのブレードを往復運動あるいは繰り返し1方向に通過させるとともに、前記砥石の間隙を順次狭めながらブレードを加工することを特徴とするものである。
【0020】
前記目的を達成するための第四の加工法は
前記第一の加工法又は前記第二の加工法又は前記第三の加工法において、対向配置された砥石の径方向に、ピストンのブレードを往復運動させるオシレーション動作を付加し、加工することを特徴とするものである。
【0021】
前記目的を達成するための第五の加工法は
前記第一の加工法又は前記第二の加工法又は前記第三の加工法又は前記第四の加工法において、ピストンの素材を金型で成形する焼結合金により製作し、該金型による成形において前記基準となる前記くぼみあるいは突起を前記ブレードの径方向端面に形成し、以後、該ブレードの側面に両頭研削を施すことを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に係わる揺動ピストン形圧縮機の実施の形態について図1ないし図11を用いて説明する。図1は、本発明に係わる揺動ピストン形圧縮機の一実施の形態を示す部分断面図であり、図2は図1のA−A矢視断面を鳥瞰図で示した説明図である。
【0023】
揺動ピストン形圧縮機は、密閉容器であるケース21内に、固定子22aおよび回転子22bから構成されたモータ部22と、該モータ部22によって回転駆動される圧縮機構部20とを収納して構成される。圧縮機構部20は、ケース21に固定された主軸受23、シリンダ11、副軸受け24およびピストン1が主な構成要素となっている。シリンダ11は、主軸受け23と副軸受け24とでシリンダ11の両端開口を閉塞し、低圧室(吸入室)16と高圧室(圧縮室)17とからなる作動室を形成する。そして、ピストン1の円筒部2は、回転子22bに固定されたクランク軸12の偏心部12aに回転自在に嵌合される。さらに、ピストン1の円筒部2においては、外周の一箇所にブレード(平板状突起)3を一体的に形成している。このブレード(平板状突起)3はシリンダ11に対してシュー13によって揺動可能で、かつ半径方向に摺動自在に支持されており、シリンダ11内を低圧室(吸入室)16と高圧室(圧縮室)17とに仕切る役目をする。従って、ピストン1は、シリンダ室内において、ブレード3によって回転止めされた状態で、偏心部12aの偏心回転運動によって公転運動が行われ、吸入作用と圧縮作用が繰り返されることになる。
【0024】
即ち、圧縮機構部20において、シリンダ11内に、ブレード3を円筒部2に一体的に形成したピストン1が組み込まれているため、ピストン1は、モータ部22に直結したクランク軸12の偏心部12aの偏心回転により、ブレード3で回転止めされた状態で、シリンダ11の内面11aに対して公転運動が行われる。シリンダ11の内部は、ピストン1のブレード3とシール部18によって低圧室(吸入室)16と高圧室(圧縮室)17とに仕切られており、吸入口14より吸い込まれた作動流体(冷媒ガス)は、ピストン1の公転運動によって圧縮されて吐出口15より冷凍サイクル(図示せず)に供給される。なお、25は副軸受け24に形成された吐出口15につながる吐出パイプを示し、26は副軸受け24に形成された吸入口14と直接つながる吸入パイプを示す。従って、吸入パイプ26により吸入室16内に吸入された作動流体は圧縮され、圧縮された作動流体は、吐出口15から吐出弁(図示せず)を通って副軸受け24内の吐出室(図示せず)に入り、その後ケース21内に吐出され、吐出パイプ25より外部の冷凍サイクル(図示せず)に吐出される。
【0025】
本例はシリンダ11、ピストン1、シュー13が一対の1気筒式圧縮機であるが、気筒数が例えば2気筒のように増加しても同様である。
【0026】
以上に述べた構成で揺動ピストン形圧縮機は機能を果たす。
【0027】
高圧室(圧縮室)17内で圧縮した作動流体は吐出口15より排出することが圧縮機としての機能であり、その他の部分に作動流体を漏出することは圧縮機の体積効率を低下させる要因となる。このため、低圧室(吸入室)16と高圧室(圧縮室)17の間を分離し、かつ摺動部分となっている角構成部材間は作動流体の漏出を抑制し、かつ相対的に運動する必要があるため0.03mm以下の微小な間隙を形成している。即ち、シリンダ11とシュー13の間には相対的に揺動運動が可能であるが、作動流体を漏出させないため微小な間隙が形成されている。また、ピストン1と主軸受け23の端面の間、ピストン1と副軸受け24の端面の間、ピストン1の外径とシリンダ11の内径の間、シュー13と主軸受け23と副軸受け24の端面の間においても同様に微小な間隙が形成されている。このような機能上の必要性から、摺動部材間に微小な間隙を形成するため、各部材は高精度に製作されている。
【0028】
ピストン1に着目すると、クランク軸12の回転によってブレード3は2個のシュー13で形成される溝の中で揺動運動と往復運動が合成された運動を行なう。微小な間隙を維持しながら運動を行なうためにブレード3にはその側面3a、3bの各々の平面度、幅寸法を高精度に製作することが要求される。また、側面3a、3bと円筒部2の軸心は平行に製作されることが要求される。
【0029】
ここで、図4は図1におけるA−A矢視の断面図であるが、ピストン1の円筒部2が最もシュー13に接近する位置に存在する状態を示している。図4に示すピストン1の位置において、ブレード3がシュー13内に納まるためには、ブレード3の側面3a、3bの中心線Lは、ピストン1の円筒部2の中心Oの近傍を通過することが必要となっている。
【0030】
図4は上述した要求があることに鑑み考案したピストン1の一例を鳥瞰図で示すした説明図である。
【0031】
図4(a)に示すように、本例では、ブレード3の径方向端面4に位置の基準として溝4を形成している。この溝4は、円筒部2の軸心Mと平行に形成されている。この溝4の中心と円筒部2の中心を結んだ直線Nに対して、側面3a、側面3bは距離が均等となるように構成されている。溝4は2面のテーパ面4a、4bにより形成され、テーパ面4a、4bの成す角度を2分する中線が円筒部2の中心近傍を通過する構成となっている。
【0032】
即ち、溝4と円筒部2を結んだ直線をブレード3と円筒部2を関連形態として製作あるいは評価する際の位置の精度基準としており、後述するように、ピストンの生産効率向上に有効である。
【0033】
本例では位置の基準としての機能を発揮する形状をテーパ面4a、4bを具備する溝4によって、例を示したが、この他に図4(b)に示すように、矩形断面の溝4cであったり、円弧形状断面、U字形状断面の溝等でも同様の目的を果たすことは可能である。あるいは、図4(c)に示すように、円弧形状断面、あるいはU字形状断面のくぼみ4dでも目的を果たすことは可能である。また、円錐形、円筒形、角柱形、半円球形等でブレード3の位置を決定できるくぼみでも同等の機能を果たす。さらに、図4の例と逆に、ブレード3の径方向端面から突出した形状でも良い。しかし、中心を決定する目的からテーパ面3a、3bによって構成された溝が、製作上、精度測定上最も簡易であり、生産の効率を向上させる目的に合致した形状である。
【0034】
また、ピストン1を製作する素材を金型(図示せず)で成形する焼結材料とした場合、この溝4は金型(図示せず)による成形で製作することが可能である。焼結合金は原料となる金属粉末を金型(図示せず)内に充填し、これを圧縮成形した後に金型(図示せず)より取り出し、成形した金属粉末が完全に溶融しないが拡散接合する温度に昇温して成形体を得る手法である。金型(図示せず)に溝と反対の形状を成形しておくことで、焼結金属で製作したピストン1に溝4を成形することができる。この方法でブレード3に溝4を成形することで効率的に安価に製作が可能となる。
【0035】
図5は溝4の機能を説明する平面図および説明図である。ピストン1の円筒部2の中心は外径の3点例えば、△記号で示したA,B,Cを拘束することによって決定することができる。一方、ブレード3の円筒2に対する位置は、溝4のテーパ面3a、3bを拘束することで決定できる。
【0036】
より具体的には、図6(b)に示すように、V字形断面の受台42にピストン1の円筒部2を搭載し、V字形断面の受台42に相対する方向かブロック43で円筒部2を拘束し、さらにテーパ面4a、4bを転写した形状のサポータ41 を溝4に挿入する。この溝4を拘束するサポータ41の中心線Sが円筒部2の軸心Mを通過する配置としておくことで、円筒部2とブレード3の拘束が可能である。このように、ピストン1のブレード3を加工する前に溝4を成形し、上述した円筒部2とブレード3の位置決定手法によりブレード3を拘束すると、ブレード3の側面3a、3bの加工に必要な位置を設定することが可能で、また前述した位置を拘束したままでブレード3の側面3a、3bを両面同時に加工が可能である。
【0037】
続いて、本発明に係わり、ブレードの側面を両頭研削により加工する方法について図6ないし図11を用いて説明する。
【0038】
図6は両頭研削装置によってピストンの加工を行なう状況を示した説明図である。ピストン1は治具31によって把持され、治具31はインデックステーブル32に係止されている。インデックステーブル32はベース33に搭載されており、ベース33にはコラム34が備えられている。加工を行なう下砥石36aは、下砥石36aを回転する回転駆動軸(図示せず)とともに、上下方向の位置を定める第一上下軸37aに配置されている。また、加工を行なうもう一方の上砥石36bも、同様に回転駆動軸(図示せず)とともに、上下方向の位置を定める第二上下軸37bに配置されている。
【0039】
このような構成のもとで、インデックステーブル32を回動させ、ピストン1のブレード3を下砥石36a、上砥石36bが形成する間隙に送り込むことによって、ブレード3の側面の加工が行なわれる。ここでは、下砥石36a、上砥石36bの間隙をブレード3が通過する過程で、ブレード3の両側面が同時に除去されて、ブレードは所望の寸法に成形される。ピストン1の軸心に対するブレード3の位置は、下砥石36a、上砥石36bの位置を第一上下軸37a、第二上下軸37bによって移動することで調整することが可能である。また、ブレード3の幅も位置を第一上下軸37a、第二上下軸37bによって調整が可能である。ブレード3の中心をピストン1の中心に合致させる場合、下砥石36aと上砥石36bが成す間隙の中心線がピストン1の中心を通過するように第一上下軸37a、第二上下軸37bを調整すれば良い。
【0040】
上記の内容を、以下でさらに詳細に述べる。
【0041】
図7は図6における治具31と2枚の砥石36a、36bの配置を拡大した説明図である。まずピストン1を治具31に搭載する方法を説明する。
【0042】
ピストン1はブレード3の溝4を、治具31のサポータ31cに挿嵌し、次いで、円筒部2を治具31の受台31aに搭載する。その後、径方向クランパ31bをピストン1が回動可能な範囲の力で円筒部2に押し付け、軸方向クランパ31dを、同様にピストン1が回動可能な範囲の力で円筒部2の端面に押し付ける。この状態でサポータ31cをピストン1の軸心方向に移動させ、サポータの先端によってブレード3の溝4の位置を決定する。
【0043】
上述の過程で、サポータ31cを溝4に強力に押し付けると、ブレード3が変形するので、サポータ31cはブレード3の位置が決定できる最小限の力で押しつけることが望ましい。サポータ31cによってブレード3の位置が決定された状態で、軸方向クランパ31dの押し付け力を強化する。以上に説明した手順で、ピストン1の治具31への装着は完了する。
【0044】
ここでは、ピストン1の円筒部2の外径を基準にブレードを位置決めする治具の構成で説明したが、円筒部2の内径を基準とする治具も構成することは可能である。内径を基準とする場合、内径を把持することになり、治具が複雑にはなるが、ピストンの機能上あるいは製作の工程上、内径を基準にブレードを加工する場合は、内径を基準にすることが可能である。内径を基準にブレード3を加工する例を本願は妨げない。
【0045】
続いて、インデックステーブル32を矢印cの方向に回動させ、治具31に装着されたピストン1のブレード3を回転する2枚の砥石36a、36bの間に送り込む。ここで、砥石36a、36bの成す間隙は、ブレード3が求められる寸法に加工されるように調整されている。また、下砥石36aと上砥石36bの位置は、それぞれが成す間隙の中心が、加工後に求められるブレード3の中心に一致するように第一上下軸と第二上下軸を調整している。このようなピストン1と砥石36a、36bの関係で、ピストン1の回動を継続して、ピストン1のブレード3が砥石から離脱するまで回動させると、ブレード3の側面の加工は完了する。
【0046】
上記に説明したように、本例に示したように、ブレード3に溝4を設け、この溝4を位置の基準として把持する治具を用いると、位置を拘束した状態でブレード3の両側面を両頭研削加工で加工することが可能となる。
【0047】
この加工が進行する過程では、ブレード3の中心が期待する位置になるよう砥石36a、36bの位置を制御している。よって、下砥石36aと36bが加工する量は、素材によって変動する。
【0048】
例えば、図8に示すように、加工前の状態により、下砥石36aが加工する量が多くなる場合がある。図8は、ブレード3と、下砥石36a、上砥石36bの加工方向の位置関係を示した例であるが、この例では、下砥石36aが加工する量αはm上砥石36bが加工する量βに対して大きくなっている。
【0049】
逆に、上砥石36bが加工する量が多くなる場合もある。このように、上下の砥石に加工量のアンバランスが発生した場合、加工量の多い側の加工抵抗が増大し、ブレードを回動させる方向に力が発生する。サポータ31cがない場合、加工中にピストンが回動する現象が発生し、加工面に段差が発生する障害が発生するが、サポータ31cによって加工中のブレード3の位置を保持するため、本障害の発生を防止できる。また、加工中にピストンが回動しないまでも、加工抵抗のアンバランスによって、ブレード3は加工量が少ない方向に曲げ変形させる力を受けながら加工が進行する。この、曲げ変形させる力による変形をサポータ31cは減少させることが可能である。
【0050】
また、位置決めの溝4がない場合、治具31に装着する前にあらかじめブレード側面を用いて位置決めした状態で、治具31によりクランプして加工することになるが、治具以外の部分で位置を決めることによる誤差と、治具に装着する時に微小ながら位置ずれが生じることから、位置決めの精度が劣化する。よって、サポータ31cはブレード3の位置を決める精度を良好にするためにも効果があえる。さらに、サポータ31cを用いない場合、加工中にピストン1が動かないように、軸方向クランパ31a、あるいは径方向クランパ31dによって強固にクランプする必要があるが、これは、ピストン1に把持変形を与える原因になる。よって、サポータ31cは治具による把持変形を縮少する目的でも効果がある。
【0051】
以上では、下砥石36aと上砥石36bの成す間隙を、ブレード3が1回通過する例で説明した。さらに、加工精度を良好にする場合は、以下の加工方法を採用することが望ましい。図9によって、この内容を説明する。
【0052】
ブレード3に接触しないように下砥石36aと上砥石36bの間隔γを広げた状態で、インデクステーブル32を回動して砥石36aと砥石36bの成す間隙内にブレード3を挿入する。その後、第一上下軸と第二上下軸によって徐々に間隙γを狭めながら、加工を進行させる。この場合、加工前の素材の状態によって、砥石36aと砥石36bどちらかが先に加工を開始するが、下砥石36aと上砥石36bの移動速度を同一に制御すれば、最終的には、下砥石36aと上砥石36bの加工量が均一になり、加工量をバランスさせることが可能で、よって加工中の変形が縮少でき、加工精度を向上させやすい。ここでも、サポータ31cは、砥石36aと砥石36bのどちらか一方が加工する状態で発生する、ピストンを回動させる力に抗する役割を発揮させることが可能である。
【0053】
さらに、加工抵抗を縮少して加工精度を向上させる手法を図10を用いて説明する。図10(a)においては、下砥石36aと上砥石36bの回転軸心に、互いに傾斜角δを設定している。下砥石36aと上砥石36bの間隔が狭くなった位置を通過するように、かつ下砥石36aと上砥石36bにインデクステーブル32の回動する平面に平行な部分が生じるように、砥石をダイヤモンドドレッサ(図示せず)等によって成形する。すなわち、図10(b)に示すように下砥石36aと上砥石36bの加工面をそれぞれ傘形に成形する。このようにすると、下砥石36aと上砥石36bの最も間隔が狭くなる部分は、面ではなく、線分となる。この線分で挟まれた間でブレードを加工することにより、接触部分が面ではなく、概略線状となるため、加工による抵抗を低減でき加工精度を向上させるのに有効である。
【0054】
さらには、図11の説明図に示すように下砥石36aと上砥石36bの間で、ブレード3をインデクステーブルによって正逆反転運動させるオシレーション動作を付加することにより精度向上が可能である。本オシレーション動作は、図9および図10を用いて説明した加工法に適用が可能である。
【0055】
また、ピストン1を金型で成形される焼結合金により素材を製作し、位置基準4を素材の成形に際して金型で形成した後に両頭研削によってブレード3を研削する加工法は、位置基準4を機械加工によらず設定することが可能であり、生産性向上に寄与できる。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、ピストンのブレードに位置の基準となる溝、くぼみあるいは突起を形成することによって、ブレードの位置を拘束した状態でブレードの両側面を両頭研削加工法によって同時の加工することが可能となる。この両頭研削加工法の適用を可能にすることは、短時間で高精度な加工が可能となることを意味しており、ピストンの生産能率を向上させることにつながる。このようなピストンを備えることで、低廉な揺動ピストン形圧縮機を提供することが可能となる。
【0057】
また、ピストンを金型で成形される焼結合金により素材を製作し、ブレードの溝を素材の成形に際して金型で形成することによって、溝を切削あるいは研削などの機械加工により素材製作後に形成する必要がなく、さらにピストンの加工能率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる揺動ピストン形圧縮機の一実施の形態を示す部分断面図である。
【図2】図1のA−A矢視断面を鳥瞰図で示した説明図である。
【図3】図1のA−A矢視断面図である。
【図4】ピストンの形状を示す説明図である。
【図5】ピストンの位置を拘束する手段を示した説明図である。
【図6】ピストンの両頭研削加工法を示した説明図である。
【図7】図6の加工点付近を拡大して示した説明図である。
【図8】加工量のアンバランスを示す説明図である。
【図9】ピストンの両頭研削加工法を示す説明図である。
【図10】砥石を傾斜させて加工する方法を示した説明図である。
【図11】オシレーション方法を示す説明図である。
【図12】従来の両頭研削加工法を示す説明図である。
【符号の説明】
1…ピストン、2…円筒部、3…ブレード、4…溝、5…端面、11…シリンダ、12…クランクシャフト、13…シュー、14…吸入口、15…吐出口、16…低圧室、17…高圧室、18…シール部、20…圧縮機構部、21…ケース、22…モータ、23…上軸受け、24…下軸受け、25…吐出口、26…吸気口。
Claims (8)
- 中空のシリンダ室を有するシリンダと、該シリンダ室内に収納され、前記シリンダに揺動可能で、半径方向に摺動可能に支持され、シリンダ室を吸入室と圧縮室に仕切るための平板状ブレードを一体的に形成したピストンと、該ピストンに挿入され該ピストンを前記シリンダ室内で公転運動させるクランク軸と、該クランク軸を支持し、前記シリンダの両端開口部を閉塞する端板とを備え、前記ピストンのブレードの径方向端面において該ピストンの軸心と相対的に位置を決める基準となるくぼみあるいは突起を形成したことを特徴とする揺動ピストン形圧縮機。
- 前記ピストンのブレードに形成したくぼみは、ピストンの軸心に直角な断面の形状が該軸心に向って幅が狭くなるテーパを形成し、該テーパ部の対称軸の延長線が円筒部の概略中心を通過する溝であるピストンを具備することを特徴とする請求項1記載の揺動ピストン形圧縮機。
- 前記ピストンは、素材が金型で成形される焼結合金で成り、前記くぼみあるいは突起を金型により成形したことを特徴とする、請求項1に記載の揺動ピストン形圧縮機。
- 平板状のブレードを一体的に突き出すように形成したピストンの平板状ブレードの側面を加工する揺動ピストンの製造方法であって、平板状ブレードの径方向端面に該ピストンの軸心と相対的に位置を決める基準となるくぼみあるいは突起を形成した後、該ピストンの内径あるは外径を支持するとともに該基準に該ブレードの径方向より支持部材を挿嵌して支持した状態で、対向する円環状研削面を具備する2枚の砥石により、該ブレードに2面備わる側面を研削加工することを特徴とする揺動ピストンの製造方法。
- 請求項4に記載の揺動ピストンの製造方法において、前記2枚の砥石の成す間隙を前記ブレードの該両頭研削前の幅よりも広くした後、該2枚の砥石の加工部位に該ブレードを移動し、該2枚の砥石の間隙を狭めながら、該ブレードに2面ある側面を加工することを特徴とする揺動ピストンの製造方法。
- 請求項4又は5のいずれかに記載の揺動ピストンの製造方法において、対向する円環状研削面を具備する2枚の砥石の回転軸心に傾斜角を与え、該2枚の砥石間隔が最も狭くなる部分で該傾斜角の中線に平行な部分を得るような砥石形状とし、前記の平行に形成された該2枚の砥石が形成する間隙の中心線が、前記ピストンのブレードに形成した溝と円筒部の中心を通過する線と一致する該砥石と該ピストンの配置とし、該2枚の砥石が形成する間隙を該ピストンのブレードを往復運動あるいは繰り返し1方向に通過させるとともに、前記砥石の間隙を順次狭めながらブレードを加工することを特徴とする揺動ピストンの製造方法。
- 請求項4乃至6のいずれかに記載の揺動ピストンの製造方法であって、対向配置された砥石の径方向に、ピストンのブレードを往復運動させるオシレーション動作を付加し、加工することを特徴とする揺動ピストンの製造方法。
- 請求項4乃至7のいずれかに記載の揺動ピストンの製造方法であって、ピストンの素材を金型で成形する焼結合金により製作し、該金型による成形において前記基準となる前記くぼみあるいは突起を前記ブレードの径方向端面に形成し、以後、該ブレードの側面に両頭研削を施すことを特徴とする揺動ピストンの製造方法。
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