JP3824867B2 - アナログ信号処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチトキャパシタ回路を含むアナログ信号処理回路と、上記アナログ信号処理回路の出力信号に生じるオフセット電圧を自動的に補償するオフセット補償回路とを備えるアナログ信号処理装置に関するものであり、特に、時間連続アナログ信号処理要素回路と、スイッチトキャパシタ回路を含む時間離散アナログ信号処理要素回路とを組み合わせたアナログ信号処理回路を備えるアナログ信号処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のスイッチトキャパシタ回路を含むアナログ信号処理回路のオフセット補償回路として、例えば、特公平7−20049号公報に記載されているようなスイッチトキャパシタフィルタの出力オフセット(出力信号に生じるオフセット電圧)を補償する回路が知られている。この構成例を、図29および図30に示す。なお、図29および図30において、「SC」は、スイッチトキャパシタ等価抵抗を示す。
【0003】
図29の構成では、2つのオペアンプ(演算増幅器)183・184を備えるスイッチトキャパシタフィルタ181の出力をオフセット検出器182において検出し、オフセット検出器182の出力をスイッチトキャパシタフィルタ181中の一方のオペアンプ184の+入力端子に接続している。これにより、スイッ
チトキャパシタフィルタ181の出力オフセットを低減することが可能となる。
【0004】
一方、図30の構成では、2つのオペアンプ183・184を備えるスイッチトキャパシタフィルタ181の出力をオフセット検出器182に入力し、オフセット検出器182の出力とスイッチトキャパシタフィルタの出力とを加算器185によって合成(加算)している。これにより、オフセットを低減することが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般に、演算増幅器(オペアンプ)の入力には最適に動作できるバイアス電圧(最適バイアス電圧)が存在する一方、演算増幅器(オペアンプ)の出力にも出力の中心となる電圧が存在する。これらの電圧は、必ずしも全ての演算増幅器(オペアンプ)で同じとは限らない。図29の構成では、オペアンプ184の入力端子に別のオペアンプ182aの出力が直接入力するようになっているので、適切な動作点が外れ、不安定になる可能性がある。
【0006】
具体的には、図29の構成のように、オペアンプ184の入力端子に、直接、オペアンプ182aの出力が入力している場合、オペアンプ184の非反転入力端はオペアンプ182aの出力電圧の中心を基準として動作するため、オペアンプ182aの出力電圧の中心がオペアンプ184の入力の最適な動作電圧と異なる場合、オペアンプ184の動作が不安定になることが起こり得る。
【0007】
また、図30の構成では、加算器83をスイッチトキャパシタフィルタ181の後段に設けているので、スイッチトキャパシタフィルタ181の出力端でオフセット電圧を補償することになる。そのため、オフセット電圧によるスイッチトキャパシタフィルタ181内部での信号飽和が避けられず、信号歪みが発生しやすい。すなわち、図30の構成では、「フィードフォワード」と呼ばれる手法を採用しており、検出したオフセット電圧を信号経路とは別の経路を辿らせ、スイッチトキャパシタフィルタ181の出力部からオフセット分だけ減算してオフセットを除去している。そのため、オペアンプ183の出力端で信号飽和が起きた場合には、確実にオフセット補償することができない。
【0008】
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、高い動作安定性を有し、かつ、アナログ信号処理回路内部での信号飽和による信号歪みを低減することができるアナログ信号処理装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のアナログ信号処理装置は、上記の課題を解決するために、アナログ信号を処理するためのスイッチトキャパシタ回路を含むアナログ信号処理回路と、上記アナログ信号処理回路の出力信号に生じるオフセット電圧を自動的に補償するためのオフセット補償回路とを備えるアナログ信号処理装置であって、上記オフセット補償回路が、上記アナログ信号処理回路の出力信号におけるオフセット電圧を検出するためにアナログ信号処理回路の出力端に接続されたオフセット検出回路と、上記オフセット電圧を上記アナログ信号処理回路に帰還するための負帰還路とを備えるアナログ信号処理装置において、上記負帰還路によって帰還されたオフセット電圧を上記アナログ信号処理回路で処理されるアナログ信号に対して加算または減算するための加減算回路が、上記アナログ信号処理回路の入力端に接続されており、上記オフセット検出回路が、上記アナログ信号処理回路の出力信号が入力されるスイッチトキャパシタ等価抵抗と、上記スイッチトキャパシタ等価抵抗の出力端に接続された第1演算増幅器と、上記第1演算増幅器の入力端および出力端に接続されたキャパシタとを備えるスイッチトキャパシタ積分回路であり、上記スイッチトキャパシタ回路を制御するための第1制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ回路に供給する第1クロック信号供給手段と、上記スイッチトキャパシタ積分回路を制御するための第2制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給する第2クロック信号供給手段とがさらに備えられ、上記第2クロック信号供給手段が、第1制御クロック信号を分周したクロック信号を第2制御クロック信号として上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給するものであることを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、オフセット検出回路の出力信号を加減算回路を介してアナログ信号処理回路の入力端に帰還するので、オフセット検出器182の出力をスイッチトキャパシタフィルタ181(アナログ信号処理回路)内部へ直接帰還する従来の図29の構成のように1つの演算増幅器の入力端子に別の演算増幅器の出力が直接入力するようになっていない。そのため、演算増幅器の動作点を適切な範囲に保つことができ、高い動作安定性を得ることができる。
【0011】
さらに、上記構成によれば、加減算回路を上記アナログ信号処理回路の入力端に接続したことで、アナログ信号処理回路の入力端でオフセット電圧を補償することができる。それゆえ、スイッチトキャパシタフィルタ181(アナログ信号処理回路)の出力端でオフセット電圧を補償する従来の図30の構成と比較して、オフセット電圧によるアナログ信号処理回路内部での信号飽和を避けることが可能となる。その結果、低歪みのアナログ信号処理装置を実現できる。
【0012】
また、本発明のアナログ信号処理装置において、オフセットを十分に補償するためには、オフセット検出回路の入力インピーダンスを十分に高くして負荷を軽くする必要がある。上記構成のオフセット検出回路では、スイッチトキャパシタ等価抵抗を介してアナログ信号処理回路の出力信号を第1演算増幅器に入力するようになっているため、抵抗を用いたオフセット検出回路と比較して等価的にインピーダンスを高くできる。その結果、アナログ信号処理回路の設計が容易になる。
【0013】
さらに、上記構成によれば、アナログ信号処理回路内のスイッチトキャパシタ回路を制御する第1制御クロック信号を分周したクロック信号をスイッチトキャパシタ積分回路を制御する第2制御クロック信号としてスイッチトキャパシタ積分回路に与えることで、オフセット補償に必要なオフセット検出回路の通過帯域をさらに下げることが可能となる。したがって、オフセット補償回路で必要な帯域を確保するために、面積の広いキャパシタを用いる必要がなくなり、キャパシタの面積を小さく抑えることができる。その結果、回路の面積の増大を抑えることができるだけでなく、キャパシタ容量に伴う負荷の増大を抑えることができるので、消費電力の増大も抑えることができる。さらに、オフセット補償回路の通過帯域を下げることで、アナログ信号処理回路の通過帯域を広げることが可能になる。
【0014】
本発明のアナログ信号処理装置は、上記の課題を解決するために、アナログ信号を処理するためのスイッチトキャパシタ回路を含むアナログ信号処理回路と、上記アナログ信号処理回路の出力信号に生じるオフセット電圧を自動的に補償するためのオフセット補償回路とを備えるアナログ信号処理装置であって、上記オフセット補償回路が、上記アナログ信号処理回路の出力信号におけるオフセット電圧を検出するためにアナログ信号処理回路の出力端に接続されたオフセット検出回路と、上記オフセット電圧を上記アナログ信号処理回路に帰還するための負帰還路とを備えるアナログ信号処理装置において、上記負帰還路によって帰還されたオフセット電圧を上記アナログ信号処理回路で処理されるアナログ信号に対して加算または減算するための加減算回路が、上記アナログ信号処理回路の入力端に接続されており、上記オフセット検出回路が、上記アナログ信号処理回路の出力信号が入力されるスイッチトキャパシタ等価抵抗と、上記スイッチトキャパシタ等価抵抗の出力端に接続された第1演算増幅器と、上記第1演算増幅器の入力端および出力端に接続されたキャパシタとを備えるスイッチトキャパシタ積分回路であり、上記スイッチトキャパシタ回路を制御するための第1制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ回路に供給する第1クロック信号供給手段と、上記スイッチトキャパシタ積分回路を制御するための第2制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給する第2クロック信号供給手段とがさらに備えられ、上記第2クロック信号供給手段が、第1制御クロック信号を倍周したクロック信号を第2制御クロック信号として上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給するものであることを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、オフセット検出回路の出力信号を加減算回路を介してアナログ信号処理回路の入力端に帰還するので、オフセット検出器182の出力をスイッチトキャパシタフィルタ181(アナログ信号処理回路)内部へ直接帰還する従来の図29の構成のように1つの演算増幅器の入力端子に別の演算増幅器の出力が直接入力するようになっていない。そのため、演算増幅器の動作点を適切な範囲に保つことができ、高い動作安定性を得ることができる。
【0016】
さらに、上記構成によれば、加減算回路を上記アナログ信号処理回路の入力端に接続し たことで、アナログ信号処理回路の入力端でオフセット電圧を補償することができる。それゆえ、スイッチトキャパシタフィルタ181(アナログ信号処理回路)の出力端でオフセット電圧を補償する従来の図30の構成と比較して、オフセット電圧によるアナログ信号処理回路内部での信号飽和を避けることが可能となる。その結果、低歪みのアナログ信号処理装置を実現できる。
【0017】
また、本発明のアナログ信号処理装置において、オフセットを十分に補償するためには、オフセット検出回路の入力インピーダンスを十分に高くして負荷を軽くする必要がある。上記構成のオフセット検出回路では、スイッチトキャパシタ等価抵抗を介してアナログ信号処理回路の出力信号を第1演算増幅器に入力するようになっているため、抵抗を用いたオフセット検出回路と比較して等価的にインピーダンスを高くできる。その結果、アナログ信号処理回路の設計が容易になる。
【0018】
さらに、上記構成によれば、オフセット補償回路のゲインを上げて、オフセット補償に要する時間を短縮することができる。
【0019】
本発明のアナログ信号処理装置は、上記の課題を解決するために、アナログ信号を処理するためのスイッチトキャパシタ回路を含むアナログ信号処理回路と、上記アナログ信号処理回路の出力信号に生じるオフセット電圧を自動的に補償するためのオフセット補償回路とを備えるアナログ信号処理装置であって、上記オフセット補償回路が、上記アナログ信号処理回路の出力信号におけるオフセット電圧を検出するためにアナログ信号処理回路の出力端に接続されたオフセット検出回路と、上記オフセット電圧を上記アナログ信号処理回路に帰還するための負帰還路とを備えるアナログ信号処理装置において、上記負帰還路によって帰還されたオフセット電圧を上記アナログ信号処理回路で処理されるアナログ信号に対して加算または減算するための加減算回路が、上記アナログ信号処理回路内部の配線上に設けられており、上記オフセット検出回路が、上記アナログ信号処理回路の出力信号が入力されるスイッチトキャパシタ等価抵抗と、上記スイッチトキャパシタ等価抵抗の出力端に接続された第1演算増幅器と、上記第1演算増幅器の入力端および出力端に接続されたキャパシタとを備えるスイッチトキャパシタ積分回路であり、上記スイッチトキャパシタ回路を制御するための第1制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ回路に供給する第1クロック信号供給手段と、上記スイッチトキャパシタ積分回路を制御するための第2制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給する第2クロック信号供給手段とがさらに備えられ、上記第2クロック信号供給手段が、第1制御クロック信号を分周したクロック信号を第2制御クロック信号として上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給するものであることを特徴としている。
【0020】
上記構成によれば、オフセット検出回路の出力信号を加減算回路を介してアナログ信号処理回路内部へ帰還するので、オフセット検出器182の出力をスイッチトキャパシタフィルタ181(アナログ信号処理回路)内部へ直接帰還する従来の図29の構成のように1つの演算増幅器の入力端子に別の演算増幅器の出力が直接入力するようになっていない。そのため、演算増幅器の動作点を適切な範囲に保つことができ、高い動作安定性を得ることができる。
【0021】
さらに、上記構成によれば、加減算回路を上記アナログ信号処理回路内部の配線上に接続したことで、アナログ信号処理回路の内部でオフセット電圧を補償することができる。それゆえ、スイッチトキャパシタフィルタ181(アナログ信号処理回路)の出力端でオフセット電圧を補償する従来の図30の構成と比較して、オフセット電圧によるアナログ信号処理回路内部での信号飽和を避けることが可能となる。その結果、低歪みのアナログ信号処理装置を実現できる。
【0022】
また、本発明のアナログ信号処理装置において、オフセットを十分に補償するためには、オフセット検出回路の入力インピーダンスを十分に高くして負荷を軽くする必要がある。上記構成のオフセット検出回路では、スイッチトキャパシタ等価抵抗を介してアナログ信号処理回路の出力信号を第1演算増幅器に入力するようになっているため、抵抗を用いたオフセット検出回路と比較して等価的にインピーダンスを高くできる。その結果、アナログ信号処理回路の設計が容易になる。
【0023】
さらに、上記構成によれば、アナログ信号処理回路内のスイッチトキャパシタ回路を制御する第1制御クロック信号を分周したクロック信号をスイッチトキャパシタ積分回路を制御する第2制御クロック信号としてスイッチトキャパシタ積分回路に与えることで、オフセット補償に必要なオフセット検出回路の通過帯域をさらに下げることが可能となる。したがって、オフセット補償回路で必要な帯域を確保するために、面積の広いキャパシタを用いる必要がなくなり、キャパシタの面積を小さく抑えることができる。その結果、回路の面積の増大を抑えることができるだけでなく、キャパシタ容量に伴う負荷の増大を抑えることができるので、消費電力の増大も抑えることができる。さらに、オフセット補償回路の通過帯域を下げることで、アナログ信号処理回路の通過帯域を広げることが可能になる。
【0024】
本発明のアナログ信号処理装置は、上記の課題を解決するために、アナログ信号を処理するためのスイッチトキャパシタ回路を含むアナログ信号処理回路と、上記アナログ信号処理回路の出力信号に生じるオフセット電圧を自動的に補償するためのオフセット補償回路とを備えるアナログ信号処理装置であって、上記オフセット補償回路が、上記アナログ信号処理回路の出力信号におけるオフセット電圧を検出するためにアナログ信号処理回路の出力端に接続されたオフセット検出回路と、上記オフセット電圧を上記アナログ信号処理回路に帰還するための負帰還路とを備えるアナログ信号処理装置において、上記負帰還路によって帰還されたオフセット電圧を上記アナログ信号処理回路で処理されるアナログ信号に対して加算または減算するための加減算回路が、上記アナログ信号処理回路内部の配線上に設けられており、上記オフセット検出回路が、上記アナログ信号処理回路の出力信号が入力されるスイッチトキャパシタ等価抵抗と、上記スイッチトキャパシタ等価抵抗の出力端に接続された第1演算増幅器と、上記第1演算増幅器の入力端および出力端に接続されたキャパシタとを備えるスイッチトキャパシタ積分回路であり、上記スイッチトキャパシタ回路を制御するための第1制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ回路に供給する第1クロック信号供給手段と、上記スイッチトキャパシタ積分回路を制御するための第2制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給する第2クロック信号供給手段とがさらに備えられ、上記第2クロック信号供給手段が、第1制御クロック信号を倍周したクロック信号を第2制御クロック信号として上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給するものであることを特徴としている。
【0025】
上記構成によれば、オフセット検出回路の出力信号を加減算回路を介してアナログ信号処理回路内部へ帰還するので、オフセット検出器182の出力をスイッチトキャパシタフィルタ181(アナログ信号処理回路)内部へ直接帰還する従来の図29の構成のように1つの演算増幅器の入力端子に別の演算増幅器の出力が直接入力するようになっていない。そのため、演算増幅器の動作点を適切な範囲に保つことができ、高い動作安定性を得ることができる。
【0026】
さらに、上記構成によれば、加減算回路を上記アナログ信号処理回路内部の配線上に接続したことで、アナログ信号処理回路の内部でオフセット電圧を補償することができる。それゆえ、スイッチトキャパシタフィルタ181(アナログ信号処理回路)の出力端でオフセット電圧を補償する従来の図30の構成と比較して、オフセット電圧によるアナログ信号処理回路内部での信号飽和を避けることが可能となる。その結果、低歪みのアナログ 信号処理装置を実現できる。
【0027】
また、本発明のアナログ信号処理装置において、オフセットを十分に補償するためには、オフセット検出回路の入力インピーダンスを十分に高くして負荷を軽くする必要がある。上記構成のオフセット検出回路では、スイッチトキャパシタ等価抵抗を介してアナログ信号処理回路の出力信号を第1演算増幅器に入力するようになっているため、抵抗を用いたオフセット検出回路と比較して等価的にインピーダンスを高くできる。その結果、アナログ信号処理回路の設計が容易になる。
【0028】
さらに、上記構成によれば、オフセット補償回路のゲインを上げて、オフセット補償に要する時間を短縮することができる。
【0029】
なお、本願明細書において使用する次の用語は、以下に説明する特定の意味を持つものとする。
【0030】
まず、「スイッチトキャパシタ回路」とは、入力信号をサンプリングして処理する信号処理回路の1種である。スイッチトキャパシタ回路は、クロック信号で動作し、入力信号をサンプリングして処理するので、離散時間で信号処理を行うことになる。したがって、スイッチトキャパシタ回路は、時間離散回路の1種である。スイッチトキャパシタ回路は、サンプリング回路、増幅回路、フィルタ、アナログ/デジタル変換器、デジタル/アナログ変換器、ピーク検出回路などのアナログ信号処理回路としてよく使用される。さらに、「スイッチトキャパシタフィルタ」とは、上述したスイッチトキャパシタ回路で実現されるフィルタである。また、「スイッチトキャパシタ等価抵抗」とは、抵抗と等価なスイッチトキャパシタ回路を指す。
【0031】
また、「アナログ信号処理要素回路」とは、量子化していないすべてのアナログ信号を扱う回路であり、スイッチトキャパシタ回路などの時間離散回路だけでなく、時間連続な信号処理回路も含む。また、「要素回路」とは、一般的な概念であり、抵抗、キャパシタ、インダクタ、演算増幅器(オペアンプ)、スイッチ、トランジスタなど、電気回路を構成しうるあらゆる素子(部品)の中から選択されるいくつかの素子を組み合わせて構成され、かつ、単独(単体)で増幅器やサンプリング回路などの所定の機能を提供できる最小の回路単位(機能ブロック)を指す。したがって、「アナログ信号処理要素回路」とは、アナログ信号を処理する要素回路を指している。また、「アナログ信号処理回路」とは、1つあるいは複数のアナログ信号処理要素回路で構成される信号処理回路全体を指す。
【0032】
図24ないし図28に、アナログ信号処理要素回路の例を示す。図24に示すアナログ信号処理要素回路は積分回路、図25に示すアナログ信号処理要素回路は増幅回路、図26に示すアナログ信号処理要素回路はRCフィルタ(パッシブ)、図27に示すアナログ信号処理要素回路はスイッチトキャパシタ積分回路であり、図28に示すアナログ信号処理要素回路はフィルタ回路である。図28に示すフィルタ回路のように、2つの演算増幅器105・105を持ち、一方の演算増幅器105の出力端から他方の演算増幅器106の入力端への帰還路107を内部に持った回路は、1つのアナログ信号処理要素回路である。なぜなら、このような回路では、個々の演算増幅回路、すなわち、演算増幅器105を含む回路部分108や、演算増幅器106を含む回路部分109だけでは機能を有しておらず、帰還路107を含めた回路全体110で機能(この場合はフィルタとしての機能)を発揮するからである。
【0033】
また、「加減算回路」とは、加算回路または減算回路を指す。「時間離散回路」とは、離散時間で信号処理を行う信号処理回路である。「時間連続回路」とは、連続時間(Continuous-time)回路とも呼ばれるものであり、信号のサンプリングを行わずに、正弦波なら正弦波のまま信号の処理を行う回路である。時間連続回路は、離散時間で動作する時間離散回路の対極にある。時間連続回路としては、RCフィルタなどがある。
【0034】
ところで、上記従来の特公平7−20049号公報に開示されているオフセット補償回路では、オフセット補償の対象となるスイッチトキャパシタフィルタ181は、2段ではなく1つのアナログ信号処理要素回路のみからなっている。アナログ信号処理要素回路とは、前述したように、明らかに何らかの機能を有している機能ブロックである。上記のスイッチトキャパシタフィルタ181は、前述した図28のフィルタ回路と同様に、2つのオペアンプ183・184を持ち、一方のオペアンプ183の出力端から他方のオペアンプ184の入力端への帰還を内部に持った回路である。そのため、上記のスイッチトキャパシタフィルタ181は、個々のオペアンプ183・184を含む回路部分では機能を持たず、帰還を含めた回路全体で機能を発揮するものである。その意味で、上記のスイッチトキャパシタフィルタ81は、2段ではなく、全体で1個のアナログ信号処理要素回路である。
【0035】
そのため、上記従来のオフセット補償回路では、複数のアナログ信号処理要素回路からなるアナログ信号処理回路全体のオフセットを補償していない。言い換えると、上記従来のオフセット補償回路では、時間連続なアナログ信号処理要素回路やスイッチトキャパシタ回路を含む複数のアナログ信号処理要素回路からなるアナログ信号処理回路全体のオフセット除去を行うことができない。それゆえ、上記従来のオフセット補償回路では、各アナログ信号処理要素回路に対して、特に時間連続なアナログ信号処理要素回路に対して個別にオフセット除去を行なう必要があった。その結果、回路の複雑化、面積増大、消費電力増加などの問題を生じていた。
【0036】
すなわち、例えば、時間連続なアナログ入力信号をスイッチトキャパシタフィルタのような時間離散フィルタ(discrete-time filter) で処理する場合、実用上、エイリアシングエラーと呼ばれる折り返し誤差を除去する必要がある。そのため、このエイリアシングエラーの発生を防止するために、時間離散フィルタの前段に配置した時間連続フィルタ(continuous-time filter) によって、アナログ信号の帯域をアナログ信号の時間離散フィルタのサンプリング周波数fsの半分の周波数、すなわちfs/2までの周波数成分に予め制限しておかなければならない。
【0037】
このように時間離散フィルタの前段に時間連続フィルタを設けた場合、時間離散フィルタと同様に、時間連続フィルタもオフセットを生じるので、時間離散フィルタの前段に付加した時間連続フィルタのオフセットも補償しなければならない。このような場合、時間離散フィルタに上記従来のオフセット補償回路を付加しても、時間連続フィルタのオフセットを補償できない可能性がある。
【0038】
すなわち、前述したような要素回路がゲインを持っている(増幅率が1倍より大きい)場合、アナログ信号が増幅されるだけでなく、オフセットも同様に増幅されてしまう。そのため、各要素回路毎にオフセット補償を行う必要がある。時間離散フィルタであるスイッチトキャパシタフィルタのみにゲインがありスイッチトキャパシタフィルタで発生するオフセットが増幅される場合に関しては、上記従来技術のオフセット補償回路を用いてオフセットを除去(補償)することができる。しかしながら、スイッチトキャパシタフィルタの前段または後段にゲインを持つ時間連続フィルタを備え付けた場合、時間連続フィルタ自体にオフセット補償機能を付加しない限り、時間連続フィルタのオフセットは除去できない。つまり、従来の手法では、離散時間処理を行うスイッチトキャパシタと時間連続フィルタとをまとめてオフセット補償することはできず、それぞれに対してオフセット除去(補償)の手段を講じる必要があった。さらに、時間連続フィルタで増幅されたオフセットは、時間連続フィルタの出力信号の電圧レベルの中心を+側、或いは−側に偏らせてしまう。したがって、フィルタ内の演算増幅器の出力電圧レベルの中心を+側、或いは−側に偏らせてしまう。そのため、出力できる電圧範囲に限界のある実際の演算増幅器では、出力信号の電圧レベルの振れ幅(信号振幅)を押し狭めることとなり、+側あるいは−側の信号が飽和し、結果と
して、信号歪みを発生する。すなわち、良好な信号処理特性が得られなくなる。
【0039】
また、スイッチトキャパシタ型デジタル/アナログ変換器によって処理したアナログ信号は、離散的である。そのため、デジタル/アナログ変換したアナログ信号に対して、帯域制限によるスムージング処理を行うための時間連続フィルタをスイッチトキャパシタ型デジタル/アナログ変換器の後段に設ける場合がある。このような場合、スイッチトキャパシタ型デジタル/アナログ変換器のオフセットだけでなく、時間連続フィルタのオフセットも補償する必要がある。
【0040】
本発明の他の目的は、上記課題に鑑み、スイッチトキャパシタ回路を含む一連の複数のアナログ信号処理要素回路からなるアナログ信号処理回路のオフセットを一括して自動的に補償し、回路規模と回路消費電力の低減を可能にした、信号歪みの少ないアナログ信号処理装置を提供することにある。
【0041】
上記の課題を解決するために、上記アナログ信号処理回路は、複数のアナログ信号処理要素回路からなることが好ましい。
【0042】
上記構成によれば、スイッチトキャパシタ回路を含むアナログ信号処理回路において、ただ一つのオフセット検出回路によって、スイッチトキャパシタ回路を含む複数のアナログ信号処理要素回路からなるアナログ信号処理回路全体に負帰還を形成することで、アナログ信号処理回路内の全てのアナログ信号処理要素回路のオフセットを一括して補償することができる。特に、アナログ信号処理回路内の個々のアナログ信号処理要素回路毎にオフセット補償回路を設ける必要がなくなり、回路規模や消費電力の著しい増大を抑えることができる。
【0043】
また、上記の加減算回路がアナログ信号処理回路内部の配線上に設けられたアナログ信号処理装置においては、上記アナログ信号処理回路が、複数のアナログ信号処理要素回路を接続してなり、上記加減算回路が、アナログ信号処理要素回路間を接続する配線上に設けられ、上記負帰還路によって帰還されたオフセット電圧を直前のアナログ信号処理要素回路の出力信号に対して加算または減算するようになっていることがより好ましい。
【0044】
上記構成によれば、加減算回路の後段となるアナログ信号処理要素回路の入力端においてオフセット電圧を補償することができるので、加減算回路の後段となるアナログ信号処理要素回路の内部でのオフセット電圧による信号飽和をより確実に避けることができる。それゆえ、より低歪みのアナログ信号処理装置を実現できる。
【0045】
上記各構成のアナログ信号処理装置においては、アナログ信号処理回路が離散時間回路であるスイッチトキャパシタ回路を含んでいるので、上記オフセット検出回路も離散時間回路、好ましくはスイッチトキャパシタ回路を含むことが望ましい。
【0046】
また、上記加減算回路は、上記オフセット電圧に対してゲインを持つ、すなわち、上記オフセット電圧に対して1より大きい増幅率を持つようにすることもできる。
【0047】
本発明のアナログ信号処理装置において、オフセットを十分に補償するためには、アナログ信号処理回路の出力信号のオフセット電圧を十分に増幅したうえでアナログ信号処理装置の入力端または内部に負帰還する必要がある。上述したように加減算回路が少なくとも上記オフセット電圧に対して1より大きい増幅率を持つと、オフセット補償に必要な信号増幅をオフセット検出回路と加減算回路とで分担することができる。これによって、オフセット検出回路の出力飽和を防止することができ、また、より安定した帰還ループを形成することができる。
【0048】
また、上記加減算回路は、+入力端子および−入力端子を有する第2演算増幅器と、抵抗素子またはスイッチトキャパシタ等価抵抗(好ましくはスイッチトキャパシタ等価抵抗)からなる入力素子とを含み、上記演算増幅器の+入力端子および−入力端子の少なくとも一方が、上記入力素子を介してオフセット検出回路の出力端に接続されていることがより好ましい。
【0049】
上記構成によれば、アナログ信号処理回路へオフセット信号(オフセット検出回路の出力信号)を入力するための加減算回路が、抵抗素子またはスイッチトキャパシタ等価抵抗(好ましくはスイッチトキャパシタ等価抵抗)からなる入力素子を備えるため、オフセット補償回路の負荷を容量負荷とすることができる。これによって、オフセット補償回路内の演算増幅器の消費電力の増加を抑えることが可能となる。
【0050】
また、オフセット検出回路および加減算回路の両方にスイッチトキャパシタ等価抵抗を用いると、それぞれの高入力インピーダンス特性により、上記アナログ信号処理回路本体およびオフセット検出回路内部の演算増幅器の消費電力の増大を抑えることが可能になる。
【0051】
また、上記加減算回路は、抵抗、スイッチトキャパシタ等価抵抗、およびキャパシタからなる群より選ばれる少なくとも1種の素子と、演算増幅器とを備えることが好ましい。
【0052】
また、上記加減算回路は、演算増幅器と、演算増幅器の入力端子に接続され、かつ、処理対象のアナログ信号が入力される第1入力素子と、オフセット検出回路の出力端および演算増幅器の入力端子に接続された第2入力素子と、演算増幅器の入力端子および出力端子に接続された帰還素子とを備え、第1入力素子、第2入力素子、および帰還素子が、抵抗、スイッチトキャパシタ等価抵抗、およびキャパシタからなる群より選ばれる少なくとも1種の素子であることが好ましい。上記構成では、加減算回路のゲインが、素子同士の抵抗比または容量比により設定可能である。
【0053】
また、上記オフセット検出回路は、上記オフセット電圧に対して非常に大きいゲインを持つ、すなわち、上記オフセット電圧に対して1よりずっと大きい増幅率を持つことが好ましい。上記構成によれば、オフセット検出回路が上記オフセット電圧に対して非常に大きいゲインを持つことで、オフセット除去に必要な帯域を制限することができ、かつ、アナログ信号処理装置の安定性を確保することができる。また、上記オフセット検出回路のゲインは、アナログ信号処理装置の製造者がスイッチトキャパシタ等価抵抗の容量とキャパシタの容量との比を選択することによって任意に設定可能である。アナログ信号処理装置の製造者は、上記オフセット検出回路のゲインを調整して、装置の動作が開始されてからオフセット電圧が補償されるまでの時間を短くしたり長くしたりすることが可能である。
【0054】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の基礎となった発明の実施の一形態について図1ないし図19に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、この発明を、複数のアナログ信号処理要素回路で構成されるアナログ信号処理回路のオフセット補償に適用した場合について説明する。
【0055】
図1に示すように、本実施形態のアナログ信号処理装置としてのオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路1は、少なくとも1個がスイッチトキャパシタ回路であるN個(N>1)のアナログ信号処理要素回路を縦続接続してなるアナログ信号処理回路2と、アナログ信号処理回路2の出力信号に生じるオフセット電圧を自動的に補償(キャンセル)するためのオフセット補償回路3とを備えている。
【0056】
アナログ信号処理回路2は、処理対象となるアナログ信号が入力される第1アナログ信号処理要素回路2−1から、処理済のアナログ信号を出力する第Nアナログ信号処理要素回路2−NまでのN個のアナログ信号処理要素回路2−1〜2−Nで構成される。これらアナログ信号処理要素回路2−1〜2−Nのうち、1つまたは複数の第nアナログ信号処理要素回路2−n(nは1〜Nの任意の自然数)は、スイッチトキャパシタ回路である。
【0057】
このスイッチトキャパシタ回路としては、特に制限なく、公知の種々のスイッチトキャパシタ回路、例えば、特公平7−20049号公報に記載されているスイッチトキャパシタフィルタ、公知のスイッチトキャパシタ型デジタル/アナログ変換器、公知のスイッチトキャパシタ回路で実現される他のアナログ信号処理要素回路(増幅器、積分器、バッファ、アナログ/デジタル変換器など)を使用することができる。
【0058】
ところで、上記従来の特公平7−20049号公報に開示されているオフセット補償回路では、オフセット補償の対象となる回路の種類が、スイッチトキャパシタバンドパスフィルタまたはスイッチトキャパシタローパスフィルタであり、適用範囲が限られている。上記従来の公報には、他の回路、例えばスイッチトキャパシタ型デジタル/アナログ変換器などの他のスイッチトキャパシタ回路のオフセット補償については、記述がない。スイッチトキャパシタ型デジタル/アナログ変換器などの他のスイッチトキャパシタ回路も、オフセットを補償する必要がある。
【0059】
これに対し、本実施形態では、スイッチトキャパシタフィルタ以外の他のスイッチトキャパシタ回路のオフセット補償にまで適用範囲を広げているので、スイッチトキャパシタフィルタ以外の他のスイッチトキャパシタ回路のオフセット補償が可能である。また、アナログ信号処理回路2は、スイッチトキャパシタ回路以外のアナログ信号処理要素回路、例えば、図2に示す時間連続フィルタなどの時間連続回路を含んでいてもよく、その場合、スイッチトキャパシタ回路以外のアナログ信号処理要素回路のオフセットを補償できる。
【0060】
図2に示す時間連続フィルタは、出力端子が出力端68に接続されるとともに+入力端子が接地された演算増幅器66と、入力端67と演算増幅器66の−入力端子との間に入力側からこの順で直列接続された抵抗69および抵抗62と、抵抗69および抵抗62の接続点と演算増幅器66の出力端子とに接続された抵抗63と、演算増幅器66の−入力端子および出力端子に接続されたキャパシタ64と、抵抗69および抵抗62の接続点に接続されるとともに接地されたキャパシタ65とを備えている。
【0061】
オフセット補償回路3は、アナログ信号処理回路2の出力信号におけるオフセット電圧を含む低周波成分を検出するために第Nアナログ信号処理要素回路2−Nに接続されたオフセット検出回路4と、オフセット検出回路4の出力信号(検出された低周波成分)をアナログ信号処理回路2に帰還するための負帰還路6と、負帰還路6によって帰還されたオフセット検出回路4の出力信号を処理対象のアナログ信号である入力信号8から減算するための減算回路(加減算回路)5とを備えている。減算回路5は、アナログ信号処理回路2の入力端に処理対象のアナログ信号を入力するための配線上に設けられている。すなわち、減算回路5は、出力端子がアナログ信号処理回路2の入力端に接続され、+入力端子に処理対象のアナログ信号が入力されるようになっている。また、減算回路5の−入力端子は、オフセット検出回路4の出力端に接続されている。
【0062】
オフセット検出回路4は、アナログ信号処理回路2の出力信号のうち、オフセット電圧を含む低周波数成分(ある周波数以下の成分)を検出し、検出した低周波数成分を負帰還路6を通して減算回路5へ出力するものである。すなわち、オフセット検出回路4は、オフセット電圧を含む低周波数成分(ある周波数以下の成分)、例えば10Hzまでの周波数成分のみを通過させるとともに、直流(周波数0Hz)に対するゲインが十分に大きくなっている。なお、本実施形態のアナログ信号処理回路2で処理されるアナログ信号は、オフセット検出回路4の通過帯域より高い周波数の成分を含み、かつ、直流には情報を有していない信号であり、例えば、1MHz以上の周波数の信号である。
【0063】
ここで、第1アナログ信号処理要素回路2−1から第Nアナログ信号処理要素回路2−NまでのN個のアナログ信号処理要素回路2−p(p=1,2,…,N)のゲインをGp (G1,G2,…,GN )、N個のアナログ信号処理要素回路2−pの入力換算オフセット電圧をOp (O1,O2,…,ON )、オフセット検出回路4のゲインをF(>0)、入力信号8の電圧をVin、出力信号9の電圧をVoutで表し、入出力の関係(VinとVout との関係)を伝達関数で表すと、次式のようになる。
【0064】
【数1】
【0065】
上記式中において、O0 は、オフセット補償回路付きアナログ信号処理回路1からオフセット補償回路3を除いた場合のアナログ信号処理回路2の出力オフセット電圧(従来のアナログ信号処理装置の出力オフセット電圧)を表す。
【0066】
一方、オフセット補償回路付きアナログ信号処理回路1からオフセット補償回路3を除いた場合の出力信号9の電圧Vout ’は、次式で表される。
【0067】
Vout ’=G1・G2・…GN・Vin+O0 …(3)
また、このときの入力信号8の電圧Vinと、出力信号9の電圧Vout およびVout ’との時間変化(時間tによる電圧Vの変化)を図3に示す。
【0068】
入力信号8として、図3(a)に示す電圧Vinを持つ入力信号8が与えられたとき、式(3)に示したオフセット補償回路3を除いた場合のアナログ信号処理回路2の出力信号9の電圧Vout ’は、図3(b)に示すように、入力信号8の電圧レベルVinの中心(平均値;この場合は0)に対して出力信号9が出力オフセットO0 の分だけ、中心がシフトする。
【0069】
一方、オフセット補償回路3を接続した本実施形態のオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路1においては、オフセット検出回路4の直流(周波数0Hz)に対するゲインFが十分に大きいので、F→∞とみなせる。すると、G1・G2・…GN・F→∞となり、式(1)のオフセットの項(第2項)が消え、出力信号9のVout は次式(4)で表される。
【0070】
【数2】
【0071】
したがって、直流(周波数0Hz)におけるアナログ信号処理回路2の出力オフセットは、0になる。その結果、オフセット電圧が直流成分(周波数0Hz)のみからなっていれば、オフセット電圧が完全に除去される。このとき、直流(周波数0Hz)については、Vout =0となり、信号に含まれる直流成分も通過しないことになるが、入力信号8は、直流には情報を有していないので、問題は生じない。
【0072】
一方、ここで、入力信号8あるいは出力信号9が、ある周波数f1 (>0)までの帯域に情報を有する信号であるとする。また、オフセット検出回路4が、図4(a)のような周波数応答を持ち、通過帯域が周波数f2 以下であるとし、さらに、F=1となる周波数をfa とする。すると、周波数fa より高い周波数の信号については、F=0となる。f1 >f2 とすると、式(1)から直流成分であるオフセットは既に存在しないので、前記の式(4)のようになる。さらに、F→0であるため、
Vout =G1・G2・...・GN・Vin
とできる。例えば、図4(a)のように、オフセット検出回路4がf2 =10Hzまでの通過帯域を有し、直流でのゲインFがF≫G(理想的には直流でF→∞)であり、図4(b)のように、入力信号8が、f1 =100kHzまでの帯域に情報を有する信号であり、直流には情報を有していないとすると、Vout /Vinの関係は、図4(c)に示すようになる。
【0073】
すなわち、直流に対するオフセット検出回路4のゲインFが非常に大きいので、直流(周波数0Hz)については、信号もオフセットもキャンセルされる。すなわち、周波数f=0では、直流なので、オフセットが存在しない。また、F=1となるある周波数f=fa において、出力Vout はVout =Vinとなる。また、f2 <f<f1 においては、出力Vout は、
Vout =G1・G2・...・GN・Vin
となる。
【0074】
以上のように、図1のオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路1では、入力信号8とオフセット電圧との周波数の違いを利用して、オフセット成分をキャンセルすることができる。このときの出力信号9を図3(c)に示す。
【0075】
なお、図3では、入力信号8および出力信号9を共に時間連続なアナログ的な信号として示していたが、入力信号8および出力信号9は、時間的に離散な信号や、デジタル信号などにもなり得る。時間的に離散な出力信号9の電圧Vout の時間的変化の例を図5に示す。また、アナログ信号処理回路2中において、アナログ信号は、位置によって、時間連続なアナログ的な信号になったり、時間的に離散な信号になったり、デジタル信号になったりすることもある。
【0076】
次に、本実施形態および後述する他の実施形態で用いることのできるオフセット検出回路4の例を、図6を参照して説明する。
【0077】
この例のオフセット検出回路4は、スイッチトキャパシタ型オフセット電圧検出回路であり、図6に示すように、演算増幅器(第1演算増幅器)40と、アナログ信号処理回路2の出力信号が入力される信号入力端Finと、信号入力端Finおよび演算増幅器40の−入力端子に接続されたスイッチトキャパシタ等価抵抗41と、演算増幅器40の−入力端子および出力端子に接続された第1キャパシタ(キャパシタ)42とを備え、演算増幅器40の+入力端子が接地され、演算増幅器40の出力端子に減算回路5の一方の入力端であるオフセット補償信号入力端Fout が接続されたものである。
【0078】
また、スイッチトキャパシタ等価抵抗41としては、1つまたは複数のキャパシタ、キャパシタの一端と入力端および接地電位との間に設けられた1対または複数対の入力側スイッチ、およびキャパシタの他端と出力端および接地電位との間に設けられた1対または複数対の出力側スイッチを備えるスイッチトキャパシタを用いることができる。各スイッチ対を構成する2つのスイッチは、互いに逆相である第1クロック信号および第2クロック信号によってそれぞれ制御され、クロック信号がハイレベル(Hレベル)のときに導通状態(ON)となる一方、クロック信号がローレベル(Lレベル)のときには遮断状態(OFF)となる。したがって、各スイッチ対を構成する2つのスイッチは、各々が交互に導通状態および遮断状態となるとともに、一方のスイッチが導通状態になっているときには、他方のスイッチが遮断状態となる。また、入力側スイッチにおける導通状態と遮断状態との切り替えと、出力側スイッチにおける導通状態と遮断状態との切り替えとは同期する。
【0079】
スイッチトキャパシタ等価抵抗41として使用できるスイッチトキャパシタの例を図7ないし図10に示す。
【0080】
図7に示すスイッチトキャパシタは、第2キャパシタ10、第2キャパシタ10の一端と入力端16および接地電位との間に設けられた1対の入力側スイッチ12・13、および第2キャパシタ10の他端と出力端17および接地電位との間に設けられた1対の出力側スイッチ14・15を備えている。また、スイッチ12・14は、図11(a)に示す第1クロック信号によって制御される一方、スイッチ13・15は、図11(b)に示す第2クロック信号によって制御される。したがって、第2キャパシタ10の両端は、第1クロック信号がHレベルであるときには入力端16および出力端17に接続される一方、第1クロック信号がLレベルであるときには図7に示すように接地される。
【0081】
図8に示すスイッチトキャパシタは、図7に示すスイッチトキャパシタにおける出力側スイッチ14・15に代えて出力側スイッチ18・19を備えるものであり、また、スイッチ19は、図11(a)に示す第1クロック信号によって制御される一方、スイッチ18は、図11(b)に示す第2クロック信号によって制御される。したがって、第1クロック信号がHレベルであるときには入力端16が第2キャパシタ10を介して接地される一方、第1クロック信号がLレベルであるときには図8に示すように出力端17が第2キャパシタ10を介して接地される。
【0082】
図9に示すスイッチトキャパシタは、図7に示すスイッチトキャパシタと、図7に示すスイッチトキャパシタと逆相で動作する以外は同一の構成を備えるスイッチトキャパシタとを並列接続したものに相当する。したがって、図9に示すスイッチトキャパシタは、図7に示すスイッチトキャパシタの構成要素に加えて、第2キャパシタ30と、図11(a)に示す第1クロック信号によって制御される入力側スイッチ33および出力側スイッチ35と、図11(b)に示す第2クロック信号によって制御される入力側スイッチ32および出力側スイッチ34とを備えている。また、第2キャパシタ30の両端は、第1クロック信号がHレベルであるときには接地される一方、第1クロック信号がLレベルであるときには図9に示すように入力端16および出力端17に接続される。
【0083】
図10に示すスイッチトキャパシタは、図8に示すスイッチトキャパシタと、図8に示すスイッチトキャパシタと逆相で動作する以外は同一の構成を備えるスイッチトキャパシタとを並列接続したものに相当する。したがって、図10に示すスイッチトキャパシタは、図8に示すスイッチトキャパシタの構成要素に加えて、第2キャパシタ30と、図11(a)に示す第1クロック信号によって制御される入力側スイッチ33および出力側スイッチ39と、図11(b)に示す第2クロック信号によって制御される入力側スイッチ32および出力側スイッチ38とを備えている。また、第1クロック信号がHレベルであるときには出力端17が第2キャパシタ30を介して接地される一方、第1クロック信号がLレベルであるときには図10に示すように入力端16が第2キャパシタ30を介して接地される。
【0084】
図6に示すオフセット検出回路は、スイッチトキャパシタ等価抵抗41として図7ないし図10に示すスイッチトキャパシタのいずれを用いた場合においても、シングルエンド型のスイッチトキャパシタ積分回路として動作するようになっている。また、オフセット検出回路4の伝達関数H(z)は、次式に示すように第1キャパシタ42の容量C12と第2キャパシタ10(および30)の容量C13との比C13/C12に比例する。
【0085】
【数3】
【0086】
積分回路においては、直流ゲインH(z=1)は、理想的には無限大である。ゆえに、直流成分であるオフセット電圧に対して、このような積分回路として動作するオフセット検出回路は、非常に大きいゲインを有するため、前記の式(1)〜式(4)を得る条件(あるいは後述する式(7)および式(8)を得る条件)、すなわち、オフセット電圧に対してオフセット検出回路4のゲインFが非常に大きくなる条件は、
F=|H(z=1)|=∞ …(6)
である。したがって、積分回路であるオフセット検出回路4のゲインFは、直流成分であるオフセット電圧に対して非常に大きくなり、その結果、オフセット電圧をキャンセルできる。
【0087】
次に、図1に示したオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路1において、図6に示すオフセット検出回路4を用いた場合の、オフセット電圧補償のプロセスを図12を用いて説明する。
【0088】
第1出力信号21、第2出力信号22、および第3出力信号23は、回路動作開始時(オフセット補償回路付きアナログ信号処理回路1の動作開始時)をt=0として、それぞれt=0,t=t1 ,t=t2 (0<t1 <t2 )だけ時間が経過した時のオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路1の出力信号9を書き表したものであり、出力オフセット成分20は、オフセット補償回路付きアナログ信号処理回路1の出力信号9に含まれるオフセット電圧成分のみを、回路動作開始時から時間を追って書き表したものである。また、オフセット補償信号24は、オフセット検出回路4の出力信号を回路動作開始時から時間経過を追って書き表したものである。
【0089】
t=0でオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路1が動作を開始したとき、オフセット補償回路付きアナログ信号処理回路1の出力信号9は、図12(a)に示す第1出力信号21のように、出力オフセット電圧O0 の分だけシフトして出力される。このとき、オフセット検出回路4は、アナログ信号処理回路2の出力オフセット電圧O0 を検出できていないので、オフセット検出回路4の出力信号は、図12(b)に示すオフセット補償信号24のようにゼロである。
【0090】
次に、t=t1 のときを考える。オフセット検出回路4が、アナログ信号処理回路2の出力オフセット電圧O1 を検出すると、オフセット検出回路4の出力信号の電圧値は、オフセット補償信号24のようにF1 となる。オフセット検出回路4の出力信号は、アナログ信号処理回路2に負帰還となるように、加算または減算されるため、アナログ信号処理回路2のオフセット電圧は、オフセット補償信号24の分だけ、すなわちF1 の分だけキャンセルされる。これにより、出力オフセット成分20は、O2 に減少する。したがって、t=t1 の時のオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路1の出力信号9の電圧Vout(t=t1 )は、図12(a)に示す第2出力信号22のように、オフセット電圧分O2 だけ0に近づく方向にシフトする。
【0091】
さらに時間が経過したt=t2 のときを考える。オフセット検出回路4は、すでに一部のオフセット電圧をキャンセルされたアナログ信号処理回路2の出力オフセット成分20のO2 を検出しているため、t=t1 の時の電圧値F1 より大きい電圧値F2 を持つオフセット補償信号24を出力する。これにより、アナログ信号処理回路2の出力オフセット成分20はさらにキャンセルされる。したがって、t=t2 の時のオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路1の出力信号9の電圧Vout(t=t2 )は、図12(a)に示す第3出力信号23のように、さらに0に近づく。このようにして、十分に時間が経過すると、オフセット補
償回路付きアナログ信号処理回路1の出力オフセット電圧がキャンセルされる。
【0092】
なお、オフセット検出回路4として、図13に示すようなフル差動型のスイッチトキャパシタ積分回路を用いることも有効である。図13は、オフセット検出回路のフル差動構成の一例で、従来より、信号を差動で処理するアナログ信号処理回路に対してよく用いられているものである。
【0093】
図13に示すフル差動型のスイッチトキャパシタ積分回路は、−入力端子、+入力端子、−出力端子、および+出力端子を持つ演算増幅器(第1演算増幅器)50と、アナログ信号処理回路2の出力信号が入力される信号入力端Fin+ およびFin- と、信号入力端Fin+ および演算増幅器50の−入力端子に接続されたスイッチトキャパシタ等価抵抗41と、信号入力端Fin- および演算増幅器50の+入力端子に接続されたスイッチトキャパシタ等価抵抗41と、演算増幅器50の−入力端子および−出力端子に接続された第1キャパシタ(キャパシタ)42と、演算増幅器50の−入力端子および−出力端子に接続された第1キャパシタ(キャパシタ)42とを備え、演算増幅器50の−出力端子および+出力端子のそれぞれに減算回路5の一方の入力端であるオフセット補償信号入力端Fout-およびFout+が接続されたものである。
【0094】
このオフセット検出回路は、差動であるため、信号の加算、減算を信号端子の接続を変更するだけで実現できる。そのため、わざわざ反転回路を用いなければならない回路構成(差動でない回路)と比較して、回路構成の簡素化に有効である。
【0095】
なお、オフセット検出回路4として、さらに他のオフセット検出回路、例えば、特公平7−20049号公報に記載されているオフセット検出回路を用いることも可能である。
【0096】
次に、本実施形態および後述する他の実施形態における減算回路5に使用可能な減算回路の一例として差動入力形減算回路を、図14を参照して説明する。
【0097】
図14に示すように、この例の差動入力形減算回路79は、+入力端子が抵抗78を介して接地された演算増幅器74と、処理対象のアナログ信号8(電圧Vin) が入力される信号入力端75と、信号入力端75および演算増幅器74の−入力端子に接続された第1入力素子71と、オフセット検出回路4の出力端と接続されたオフセット補償信号入力端76(Fout)と、オフセット補償信号入力端76および演算増幅器74の+入力端子に接続された第2入力素子72と、演算増幅器74の−入力端子および出力端子に接続された帰還素子73と、演算増幅器74の出力端子に接続された、演算増幅器74の出力信号をアナログ信号処理回路2に送るための信号出力端77とを備えている。
【0098】
第1入力素子71および第2入力素子72には、抵抗またはスイッチトキャパシタ等価抵抗を用いることができる。また、帰還素子73には、抵抗、スイッチトキャパシタ等価抵抗、またはキャパシタを用いることができる。
【0099】
なお、本実施形態および後述する他の実施形態において、他の周知のアナログ減算回路によっても減算回路5を実現できることは明らかである。また、本発明における加減算回路は、オフセット電圧がキャンセルされるようにオフセット検出回路4の出力を入力信号8に対して加算または減算するものであればよい。したがって、オフセット検出回路4の出力信号の正負を反転させれば、減算回路5に代えて加算回路を用いることも可能である。
【0100】
減算回路5に代えて使用可能な加算回路としては、例えば、図15に示す反転形加算回路98がある。反転形加算回路98は、図15に示すように、+入力端子が接地された演算増幅器(第2演算増幅器)94と、処理対象のアナログ信号8(電圧Vin) が入力される信号入力端95と、信号入力端95および演算増幅器94の−入力端子に接続された第1入力素子91と、オフセット検出回路4の出力端と接続されたオフセット補償信号入力端96(Fout)と、オフセット補償信号入力端96および演算増幅器94の−入力端子に接続された第2入力素子(入力素子)92と、演算増幅器94の−入力端子および出力端子に接続された帰還素子93と、演算増幅器94の出力端子に接続された、演算増幅器94の出力信号をアナログ信号処理回路2に送るための信号出力端97とを備えている。
【0101】
第1入力素子91および第2入力素子92には、抵抗またはスイッチトキャパシタ等価抵抗を用いることができる。また、帰還素子93には、抵抗、スイッチトキャパシタ等価抵抗、またはキャパシタを用いることができる。
【0102】
次に、図1に示すオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路1における減算回路5に代えて反転形加算回路98を用いたオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路の構成例を図16に示す。
【0103】
図16に示すように、この例のオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路(アナログ信号処理装置)31は、オフセット補償回路付きアナログ信号処理回路1における減算回路5に代えて反転形加算回路98を用い、かつ、帰還素子93として抵抗93A、第1入力素子91として抵抗91Aを用いたものである。反転形加算回路98における第2入力素子92を除く部分は、時間連続アナログ回路で実現した増幅器として機能する。この構成では、演算増幅器94の−入力端子に、単純な抵抗またはスイッチトキャパシタ等価抵抗からなる第2入力素子92を介して、オフセット検出回路4の出力信号が入力される。このようにして、オフセット検出回路4の出力信号を加減算入力させることができる。
【0104】
反転形加算回路98における第2入力素子92を除く部分は、アナログ信号処理要素回路とみなすことができる(以下、この部分をアナログ信号処理要素回路部分と称する)。図16において、結果的に、アナログ信号処理要素回路部分と第2入力素子92とによって加減算回路が構成されているように見えるが、アナログ信号処理要素回路部分はもともとアナログ信号処理回路の一部であり、これは本来、オフセット電圧を加算する機能は有していない。図16のアナログ信号処理要素回路部分は例として増幅器として描いている。これにオフセット検出回路4の出力を入力する第2入力素子92を用いることにより、初めてオフセット電圧を加減算する加減算回路のように動作することができる。図16の構成は、加減算回路として演算増幅器を別途用いていないことに特徴があり、それにより省面積、低消費電力という効果が発生する。したがって、アナログ信号処理要素回路部分を、あくまでアナログ信号処理回路の構成要素の一部であるように捉えれば、図1と図16との相違はある。
【0105】
なお、本実施形態のオフセット補償回路は、ありとあらゆるアナログ信号処理装置のオフセットを補償できる万能な回路ではなく、全てのオフセットが補償できるとは限らない。例えば、アナログ信号処理回路2の各段(アナログ信号処理要素回路2−1〜2−N)全てのオフセットが非常に大きい場合や、各段(アナログ信号処理要素回路2−1〜2−N)のゲインが非常に大きい場合など、条件付きでオフセット補償が不可能な場合がありうる。
【0106】
図17ないし図19のように各段での信号が飽和しない範囲を明記したとき、図17に示すゲインが非常に大きい場合や、図18に示すオフセットが非常に大きい場合には、オフセット補償が不可能であることもありえる。しかし、実際の回路設計上では、それらの大きさの範囲を十分に予測して設計する。あるいは、別の回路方式を選択することも可能であろう。また、図19に示すように、事実上、オフセット検出回路4で逆のオフセットを出力させることで、アナログ信号処理回路2の中間段での飽和を防ぎ、アナログ信号処理回路2の出力でのオフセットを補償することも可能になる。そのように単純にどれだけの電圧を差し引いてやるかだけでなく、逆のオフセット電圧としてどれだけの電圧を与えればよいかを自動で決められるのは、全体に掛かっている帰還路の効果である。
【0107】
〔実施の形態2〕
本発明の基礎となった発明の他の実施の形態について図20に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0108】
本実施形態に係るアナログ信号処理装置としてのオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路11は、減算回路5が、少なくとも1個がスイッチトキャパシタ回路であるN(N≧2)個のアナログ信号処理要素回路のうちの第mアナログ信号処理要素回路2−mと第(m+1)アナログ信号処理要素回路2−(m+1)との間を接続する配線(アナログ信号処理回路内部の配線)上に設けられている以外は、実施の形態1のオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路1と同一の構成を備えている。ただし、1≦m<Nである。
【0109】
この場合、減算回路5は、直前の第mアナログ信号処理要素回路2−mの出力信号から、負帰還路6によって帰還されたオフセット検出回路4の出力信号(低周波成分)を減算することになる。
【0110】
本実施形態のオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路11の出力は、次式で表される。
【0111】
【数4】
【0112】
本実施形態のオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路11においても、第1の実施形態で示したのと同様に、直流については、オフセット検出回路4のゲインFが十分に大きいので、Gm+1・Gm+2・...・GN・Fが十分に大きいとみなせる。そのため、直流の場合、式(7)の第2項はキャンセルされ、アナログ信号処理回路2の出力から、オフセットを含む項が無くなり、次式で表される。
【0113】
【数5】
【0114】
このようにして、本実施形態のオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路11においても、実施の形態1と同様に直流オフセットをキャンセルすることができる。
【0115】
〔実施の形態3〕
本発明の基礎となった発明の他の実施の形態、および本発明の実施の一形態について図21ないし図23に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1または2にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0116】
本実施形態に係るアナログ信号処理装置としてのオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路61は、図22に示すように、第1クロック信号生成回路(第1クロック信号供給手段)57および第2クロック信号生成回路(第2クロック信号供給手段)58を追加した点以外は、オフセット補償回路付きアナログ信号処理回路1またはオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路11と同様の構成を備えている。また、図示しないが、オフセット検出回路4は、前記の図6に示すスイッチトキャパシタ積分回路である。
【0117】
第1クロック信号生成回路57は、メイン制御クロック信号60から、アナログ信号処理回路2に含まれているスイッチトキャパシタ回路2−nを制御するための第1制御クロック信号51を生成し、スイッチトキャパシタ回路2−nに供給するものである。また、第2クロック信号生成回路58は、メイン制御クロック信号60から、スイッチトキャパシタ積分回路であるオフセット検出回路4を制御するための第2制御クロック信号53を生成し、オフセット検出回路4に供給するものである。
【0118】
図21は、アナログ信号処理回路2に含まれているスイッチトキャパシタ回路を制御するための制御クロック信号と出力動作の関係を示している。
【0119】
第1制御クロック信号51は、アナログ信号処理回路2に含まれているスイッチトキャパシタ回路2−nの制御クロック信号であり、信号出力52はそのスイッチトキャパシタ回路2−nの出力信号を示す。一方、第2制御クロック信号53は、オフセット検出回路4を制御する制御クロック信号であり、オフセット検出回路出力54は、オフセット検出回路4の出力信号を示す。また、第3制御クロック信号55は、減算回路5にスイッチトキャパシタ等価抵抗を用いた場合に用いられる減算回路5を制御するための制御クロック信号を示す。
【0120】
スイッチトキャパシタ回路では、離散的な動作で信号を出力するため、その出力信号をサンプリングするスイッチトキャパシタ回路の次段は、前段の出力がセトリングしていないと、エラーを発生する。
【0121】
このようなエラーを発生させないために、本実施形態では、図21に示すように、アナログ信号処理回路2に含まれているスイッチトキャパシタ回路2−nを制御する第1制御クロック信号51、オフセット検出回路4を制御する第2制御クロック信号53、および減算回路5を制御する第3制御クロック信号55の全てを同期させている。すなわち、制御クロック信号51・53・55のエッジを揃えている。これにより、すべてのスイッチング動作する回路の出力がセトリングした状態で信号の伝達が行なわれるため、サンプリングのエラーが発生することを回避できる。
【0122】
なお、図22に示す構成では、第1制御クロック信号51をアナログ信号処理回路2に供給する第1クロック信号生成回路57と第2制御クロック信号53をオフセット検出回路4に供給する第2クロック信号生成回路58とを別々に設けていたが、これらの回路に代えて、アナログ信号処理回路2およびオフセット検出回路4の両方に共通のクロック信号を供給するクロック信号生成回路を用いてもよい。
【0123】
上記実施形態の第1クロック信号生成回路57および第2クロック信号生成回路58は、互いに同期したクロック信号(第1制御クロック信号51および第2制御クロック信号53)を生成するようになっていたが、第2クロック信号生成回路58は、図23に示すように、第1制御クロック信号51を1/k(kは2以上の自然数)に分周したクロック信号を第2制御クロック信号53として生成し、スイッチトキャパシタ積分回路であるオフセット検出回路4に供給するものであってもよい。
【0124】
このとき、第2制御クロック信号53のレベルが変化するタイミング(エッジ)は全て、第1制御クロック信号51のレベルが変化するタイミング(エッジ)と同期していることが望ましい。すなわち、第2クロック信号生成回路58は、第1制御クロック信号51を同期分周したクロック信号を第2制御クロック信号53としてオフセット検出回路4に供給するものであることが好ましい。
【0125】
図6に示すオフセット検出回路4に図7に示すスイッチトキャパシタ等価抵抗を用いた場合、オフセット検出回路4の伝達関数H(z)は、次式(9)で表される。さらに、ゲインの絶対値H(z)が1になる周波数がfu で与えられたときの、式(5)で与えられる容量比は、式(10)で求めることができる。
【0126】
【数6】
【0127】
ただし、fs2はオフセット検出回路4の第2制御クロック信号53の周波数であり、C12およびC13はそれぞれ、図6に示す第1キャパシタ42の容量値および図7に示す第2キャパシタ10の容量値である。
【0128】
式(10)から分かるように、オフセット検出回路4のサンプリング速度fS2を下げることでも、ゲインや帯域を選択することが可能である。例えば、第1制御クロック信号51の周波数fs が1MHzとして、式(10)より、同じ周波数の第2制御クロック信号53を用いて1kHzまでのオフセットを除去するために必要なC13/C12の比は、0.0063と求められる。精度のよいキャパシタの大きさにはLSIの製造上の下限があるため、第2キャパシタ10の容量C13を下げるのには限界がある。例えば、第2キャパシタ10の容量C13を0.2pFまで下げたとしても、第1キャパシタ42の容量C12は31.8pFとなり、大きなサイズの第1キャパシタ42が必要になり、非常に大きな配置面積を必要とする。
【0129】
しかし、オフセット検出回路4の第2制御クロック信号53の周波数を1/10に分周し、100kHzとすると、式(10)より、先ほどと同じ1kHzまでのオフセットを除去するために必要なC13/C12の比は、0.063と求められる。そのため、第2キャパシタ10の容量C13を先の場合と同じ0.2pFにした場合、容量値C12が3.18pFの第1キャパシタ42で実現できることとなり、先の場合に比べ、第1キャパシタ42の面積を1/10に減らすことができる。また、第1キャパシタ42の配置面積を小さくすることができるので、容易に実現ができるようになる。
【0130】
また、同様に分周クロック信号を用いた場合の影響を示すと、アナログ信号処理回路2が扱う信号帯域に、低い周波数帯にまで信号が存在する場合、同じサイズの第1キャパシタ42および第2キャパシタ10(および第2キャパシタ30)を用いたオフセット検出回路4に比べ、分周比に比例して、低域の帯域を広げることができる。
【0131】
なお、オフセット補償回路3にさらにゲインが必要な場合や、オフセット補償に要する時間の短縮を可能にするため、図22における第1クロック信号生成回路57および第2クロック信号生成回路58において、分周回路ではなく、倍周回路を用いることも可能である。すなわち、第2クロック信号生成回路58が、第1制御クロック信号51を倍周したクロック信号を第2制御クロック信号53として、スイッチトキャパシタ積分回路であるオフセット検出回路4に供給するものであってもよい。
【0132】
この場合にも、第1制御クロック信号51のレベルが変化するタイミング(エッジ)は全て、第2制御クロック信号53のレベルが変化するタイミング(エッジ)と同期していることが望ましい。すなわち、第2クロック信号生成回路58は、第1制御クロック信号51を同期倍周したクロック信号を第2制御クロック信号53としてオフセット検出回路4に供給するものであることが好ましい。
【0133】
なお、以上の各実施形態では、アナログ信号処理回路2がスイッチトキャパシタ回路を含む複数のアナログ信号処理要素回路からなる場合について説明したが、本発明は、スイッチトキャパシタ増幅器のような、1つのスイッチトキャパシタ回路だけからなるアナログ信号処理回路のオフセット補償にも適用することができる。
【0134】
【発明の効果】
本発明のアナログ信号処理装置は、以上のように、負帰還路によって帰還されたオフセット電圧をアナログ信号処理回路で処理されるアナログ信号に対して加算または減算するための加減算回路が、上記アナログ信号処理回路の入力端に接続されており、オフセット検出回路が、上記アナログ信号処理回路の出力信号が入力されるスイッチトキャパシタ等価抵抗と、上記スイッチトキャパシタ等価抵抗の出力端に接続された第1演算増幅器と、上記第1演算増幅器の入力端および出力端に接続されたキャパシタとを備えるスイッチトキャパシタ積分回路であり、スイッチトキャパシタ回路を制御するための第1制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ回路に供給する第1クロック信号供給手段と、上記スイッチトキャパシタ積分回路を制御するための第2制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給する第2クロック信号供給手段とがさらに備えられ、上記第2クロック信号供給手段が、第1制御クロック信号を分周したクロック信号を第2制御クロック信号として上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給するものである構成である。
【0135】
上記構成によれば、オフセット検出回路の出力信号を加減算回路を介してアナログ信号処理回路の入力端に帰還するので、演算増幅器の動作点を適切な範囲に保つことができ、高い動作安定性を有するアナログ信号処理装置を提供できるという効果が得られる。さらに、上記構成によれば、アナログ信号処理回路の入力端でオフセット電圧を補償することができるので、オフセット電圧によるアナログ信号処理回路内部での信号飽和を回避して信号歪みを低減できるという効果が得られる。
【0136】
したがって、これらにより、高い動作安定性を有し、かつ、アナログ信号処理回路内部での信号飽和による信号歪みを低減することができるアナログ信号処理装置を提供することができる。
【0137】
また、上記構成によれば、アナログ信号処理回路の出力の負荷の駆動能力を小さく抑えることができる。その結果、消費電力の増大を抑えることができる。
【0138】
さらに、上記構成によれば、オフセット補償に必要なオフセット検出回路の通過帯域をさらに下げることができるので、オフセット補償回路で必要な帯域を確保するために面積の広いキャパシタを用いる必要がなくなる。その結果、回路の面積の増大を抑えることができるだけでなく、キャパシタ容量に伴う負荷の増大を抑えて消費電力を低く抑えることができる。さらに、オフセット補償回路の通過帯域を下げることで、アナログ信号処理回路の通過帯域を広げることも可能になる。
【0139】
本発明のアナログ信号処理装置は、以上のように、負帰還路によって帰還されたオフセット電圧をアナログ信号処理回路で処理されるアナログ信号に対して加算または減算するための加減算回路が、上記アナログ信号処理回路の入力端に接続されており、オフセット検出回路が、上記アナログ信号処理回路の出力信号が入力されるスイッチトキャパシタ等価抵抗と、上記スイッチトキャパシタ等価抵抗の出力端に接続された第1演算増幅器と、上記第1演算増幅器の入力端および出力端に接続されたキャパシタとを備えるスイッチトキャパシタ積分回路であり、スイッチトキャパシタ回路を制御するための第1制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ回路に供給する第1クロック信号供給手段と、上記スイッチトキャパシタ積分回路を制御するための第2制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給する第2クロック信号供給手段とがさらに備えられ、上記第2クロック信号供給手段が、第1制御クロック信号を倍周したクロック信号を第2制御クロック信号として上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給するものである構成である。
【0140】
上記構成によれば、オフセット検出回路の出力信号を加減算回路を介してアナログ信号処理回路の入力端に帰還するので、演算増幅器の動作点を適切な範囲に保つことができ、高い動作安定性を有するアナログ信号処理装置を提供できるという効果が得られる。さらに、上記構成によれば、アナログ信号処理回路の入力端でオフセット電圧を補償することができるので、オフセット電圧によるアナログ信号処理回路内部での信号飽和を回避して信号歪みを低減できるという効果が得られる。
【0141】
したがって、これらにより、高い動作安定性を有し、かつ、アナログ信号処理回路内部での信号飽和による信号歪みを低減することができるアナログ信号処理装置を提供することができる。
【0142】
また、上記構成によれば、アナログ信号処理回路の出力の負荷の駆動能力を小さく抑えることができる。その結果、消費電力の増大を抑えることができる。
【0143】
さらに、上記構成によれば、オフセット補償回路のゲインを上げて、オフセット補償に要する時間を短縮することができる。
【0144】
また、本発明のアナログ信号処理装置は、以上のように、負帰還路によって帰還されたオフセット電圧をアナログ信号処理回路で処理されるアナログ信号に対して加算または減算するための加減算回路が、上記アナログ信号処理回路内部の配線上に設けられており、オフセット検出回路が、上記アナログ信号処理回路の出力信号が入力されるスイッチトキャパシタ等価抵抗と、上記スイッチトキャパシタ等価抵抗の出力端に接続された第1演算増幅器と、上記第1演算増幅器の入力端および出力端に接続されたキャパシタとを備えるスイッチトキャパシタ積分回路であり、スイッチトキャパシタ回路を制御するための第1制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ回路に供給する第1クロック信号供給手段と、上記スイッチトキャパシタ積分回路を制御するための第2制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給する第2クロック信号供給手段とがさらに備えられ、上記第2クロック信号供給手段が、第1制御クロック信号を分周したクロック信号を第2制御クロック信号として上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給するものである構成である。
【0145】
上記構成によれば、オフセット検出回路の出力信号を加減算回路を介してアナログ信号処理回路内部へ帰還するので、演算増幅器の動作点を適切な範囲に保つことができ、高い動作安定性を有するアナログ信号処理装置を提供できるという効果が得られる。さらに、上記構成によれば、アナログ信号処理回路の内部でオフセット電圧を補償することができるので、オフセット電圧によるアナログ信号処理回路内部での信号飽和を回避して信号歪みを低減できるという効果が得られる。
【0146】
したがって、これらにより、高い動作安定性を有し、かつ、アナログ信号処理回路内部での信号飽和による信号歪みを低減することができるアナログ信号処理装置を提供することができる。
【0147】
また、上記構成によれば、アナログ信号処理回路の出力の負荷の駆動能力を小さく抑えることができる。その結果、消費電力の増大を抑えることができる。
【0148】
さらに、上記構成によれば、オフセット補償に必要なオフセット検出回路の通過帯域をさらに下げることができるので、オフセット補償回路で必要な帯域を確保するために面積の広いキャパシタを用いる必要がなくなる。その結果、回路の面積の増大を抑えることができるだけでなく、キャパシタ容量に伴う負荷の増大を抑えて消費電力を低く抑えることができる。さらに、オフセット補償回路の通過帯域を下げることで、アナログ信号処理回路の通過帯域を広げることも可能になる。
【0149】
また、本発明のアナログ信号処理装置は、以上のように、負帰還路によって帰還されたオフセット電圧をアナログ信号処理回路で処理されるアナログ信号に対して加算または減算するための加減算回路が、上記アナログ信号処理回路内部の配線上に設けられており、オフセット検出回路が、上記アナログ信号処理回路の出力信号が入力されるスイッチトキャパシタ等価抵抗と、上記スイッチトキャパシタ等価抵抗の出力端に接続された第1演算増幅器と、上記第1演算増幅器の入力端および出力端に接続されたキャパシタとを備えるスイッチトキャパシタ積分回路であり、スイッチトキャパシタ回路を制御するための第1制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ回路に供給する第1クロック信号供給手段と、上記スイッチトキャパシタ積分回路を制御するための第2制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給する第2クロック信号供給手段とがさらに備えられ、上記第2クロック信号供給手段が、第1制御クロック信号を倍周したクロック信号を第2制御クロック信号として上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給するものである構成である。
【0150】
上記構成によれば、オフセット検出回路の出力信号を加減算回路を介してアナログ信号 処理回路内部へ帰還するので、演算増幅器の動作点を適切な範囲に保つことができ、高い動作安定性を有するアナログ信号処理装置を提供できるという効果が得られる。さらに、上記構成によれば、アナログ信号処理回路の内部でオフセット電圧を補償することができるので、オフセット電圧によるアナログ信号処理回路内部での信号飽和を回避して信号歪みを低減できるという効果が得られる。
【0151】
したがって、これらにより、高い動作安定性を有し、かつ、アナログ信号処理回路内部での信号飽和による信号歪みを低減することができるアナログ信号処理装置を提供することができる。
【0152】
また、上記構成によれば、アナログ信号処理回路の出力の負荷の駆動能力を小さく抑えることができる。その結果、消費電力の増大を抑えることができる。
【0153】
さらに、上記構成によれば、オフセット補償回路のゲインを上げて、オフセット補償に要する時間を短縮することができる。
【0154】
また、上記アナログ信号処理回路は、複数のアナログ信号処理要素回路からなることが好ましい。これにより、ただ一つのオフセット検出回路によって、複数のアナログ信号処理要素回路からなるアナログ信号処理回路全体に負帰還を形成することで、複数のアナログ信号処理要素回路のオフセットを一括して補償することができる。
【0155】
また、上記加減算回路は、上記オフセット電圧に対して1より大きい増幅率を持つようにすることもできる。これにより、オフセット補償に必要な信号増幅をオフセット検出回路と加減算回路とで分担することができるので、オフセット検出回路の出力飽和を防止することができ、また、より安定した帰還ループを形成することができる。
【0156】
また、上記加減算回路は、+入力端子および−入力端子を有する第2演算増幅器と、抵抗素子またはスイッチトキャパシタ等価抵抗からなる入力素子とを含み、上記第2演算増幅器の+入力端子および−入力端子の少なくとも一方が、上記入力素子を介してオフセット検出回路の出力端に接続されていることが好ましい。これにより、オフセット補償回路の負荷を容量負荷とすることができるので、オフセット補償回路内の演算増幅器の消費電力を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基礎となった発明のアナログ信号処理装置の実施の一形態としてのオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路の全体構成を示すブロック図である。
【図2】 上記オフセット補償回路付きアナログ信号処理回路が備えるアナログ信号処理要素回路として使用可能な時間連続フィルタの例を示す回路図である。
【図3】 上記オフセット補償回路付きアナログ信号処理回路、および、図1に示すオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路からオフセット補償回路を除いたアナログ信号処理回路(従来のアナログ信号処理装置)のそれぞれにおいて、アナログ的な信号が入力された場合の入力信号の電圧レベルと出力信号の電圧レベルとの関係を説明するための図であり、(a)は入力信号の電圧レベル、(b)は上記オフセット補償回路付きアナログ信号処理回路の出力信号の電圧レベル、(c)は従来のアナログ信号処理装置の出力信号の電圧レベルを示す。
【図4】 オフセット補償回路によってオフセット電圧が除去される原理を説明するための説明図であり、(a)はオフセット検出回路の周波数応答特性、(b)は入力信号の周波数分布、(c)は上記オフセット補償回路付きアナログ信号処理回路のゲインの周波数依存性を示す。
【図5】 図1に示すオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路で出力可能な離散的な信号を示す図である。
【図6】 本発明の基礎となった発明に用いられるオフセット検出回路の一例を示すブロック図である。
【図7】 上記オフセット検出回路に用いられるスイッチトキャパシタ等価抵抗の一例を示す回路図である。
【図8】 上記オフセット検出回路に用いられるスイッチトキャパシタ等価抵抗の他の一例を示す回路図である。
【図9】 上記オフセット検出回路に用いられるスイッチトキャパシタ等価抵抗のさらに他の一例を示す回路図である。
【図10】 上記オフセット検出回路に用いられるスイッチトキャパシタ等価抵抗のさらに他の一例を示す回路図である。
【図11】 上記スイッチトキャパシタ等価抵抗を制御するクロック信号の波形を示す波形図である。
【図12】 上記オフセット補償回路付きアナログ信号処理回路におけるオフセット電圧補償のプロセスを説明するための説明図であり、(a)は出力信号および出力オフセット成分の時間変化を示し、(b)はオフセット検出回路の出力信号の時間変化を示す。
【図13】 オフセット検出回路として使用可能なフル差動型のスイッチトキャパシタ積分回路の例を示すブロック図である。
【図14】 上記オフセット補償回路付きアナログ信号処理回路に使用可能な加減算回路の一例としての差動入力形減算回路を示すブロック図である。
【図15】 上記オフセット補償回路付きアナログ信号処理回路に使用可能な加減算回路の他の一例としての反転形加算回路を示すブロック図である。
【図16】 図15に示す反転形加算回路を用いた場合のオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路の構成例を示すブロック図である。
【図17】 ゲインが非常に大きい場合におけるアナログ信号処理回路の各段での信号と各段で信号が飽和しない範囲とを示す図である。
【図18】 オフセットが非常に大きい場合におけるアナログ信号処理回路の各段での信号と各段で信号が飽和しない範囲とを示す図である。
【図19】 オフセット検出回路で逆のオフセットを出力させた場合におけるアナログ信号処理回路の各段での信号と各段で信号が飽和しない範囲とを示す図である。
【図20】 本発明の基礎となった発明のアナログ信号処理装置の他の実施の形態としてのオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路の全体構成を示すブロック図である。
【図21】 オフセット補償回路付きアナログ信号処理回路に含まれる各回路を制御する制御クロック信号と、各回路の出力信号との時間的相関を示す図である。
【図22】 本発明の基礎となった発明のアナログ信号処理装置のさらに他の実施の形態としての制御クロック信号生成回路を備えるオフセット補償回路付きアナログ信号処理回路の全体構成を示すブロック図である。
【図23】 上記制御クロック信号生成回路で生成される制御クロック信号の波形を示す波形図である。
【図24】 アナログ信号処理要素回路の一例を示す図である。
【図25】 アナログ信号処理要素回路の他の一例を示す図である。
【図26】 アナログ信号処理要素回路のさらに他の一例を示す図である。
【図27】 アナログ信号処理要素回路のさらに他の一例を示す図である。
【図28】 アナログ信号処理要素回路のさらに他の一例を示す図である。
【図29】 従来のスイッチトキャパシタフィルタのオフセット補償回路の要部構成を示す図である。
【図30】 他の従来のスイッチトキャパシタフィルタのオフセット補償回路の要部構成を示す図である。
【符号の説明】
1 オフセット補償回路付きアナログ信号処理回路(アナログ信号処理装置)
2 アナログ信号処理回路
2−1〜2−N アナログ信号処理要素回路
2−n スイッチトキャパシタ回路(アナログ信号処理要素回路)
2−m 第mアナログ信号処理要素回路
2−(m+1) 第(m+1)アナログ信号処理要素回路
3 オフセット補償回路
4 オフセット検出回路
5 減算回路(加減算回路)
6 負帰還路
8 入力信号
9 出力信号
11 オフセット補償回路付きアナログ信号処理回路(アナログ信号処理装置)
31 オフセット補償回路付きアナログ信号処理回路(アナログ信号処理装置)
40 演算増幅器(第1演算増幅器)
41 スイッチトキャパシタ等価抵抗
42 第1キャパシタ(キャパシタ)
50 演算増幅器(第1演算増幅器)
51 第1制御クロック信号
53 第2制御クロック信号
57 第1クロック信号生成回路(第1クロック信号供給手段)
58 第2クロック信号生成回路(第2クロック信号供給手段)
61 オフセット補償回路付きアナログ信号処理回路(アナログ信号処理装置)
92 第2入力素子(入力素子)
94 演算増幅器(第2演算増幅器)
Claims (7)
- アナログ信号を処理するためのスイッチトキャパシタ回路を含むアナログ信号処理回路と、
上記アナログ信号処理回路の出力信号に生じるオフセット電圧を自動的に補償するためのオフセット補償回路とを備えるアナログ信号処理装置であって、
上記オフセット補償回路が、
上記アナログ信号処理回路の出力信号におけるオフセット電圧を検出するためにアナログ信号処理回路の出力端に接続されたオフセット検出回路と、
上記オフセット電圧を上記アナログ信号処理回路に帰還するための負帰還路とを備えるアナログ信号処理装置において、
上記負帰還路によって帰還されたオフセット電圧を上記アナログ信号処理回路で処理されるアナログ信号に対して加算または減算するための加減算回路が、上記アナログ信号処理回路の入力端に接続されており、
上記オフセット検出回路が、
上記アナログ信号処理回路の出力信号が入力されるスイッチトキャパシタ等価抵抗と、
上記スイッチトキャパシタ等価抵抗の出力端に接続された第1演算増幅器と、
上記第1演算増幅器の入力端および出力端に接続されたキャパシタとを備えるスイッチトキャパシタ積分回路であり、
上記スイッチトキャパシタ回路を制御するための第1制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ回路に供給する第1クロック信号供給手段と、
上記スイッチトキャパシタ積分回路を制御するための第2制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給する第2クロック信号供給手段とがさらに備えられ、
上記第2クロック信号供給手段が、第1制御クロック信号を分周したクロック信号を第2制御クロック信号として上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給するものであることを特徴とするアナログ信号処理装置。 - アナログ信号を処理するためのスイッチトキャパシタ回路を含むアナログ信号処理回路と、
上記アナログ信号処理回路の出力信号に生じるオフセット電圧を自動的に補償するためのオフセット補償回路とを備えるアナログ信号処理装置であって、
上記オフセット補償回路が、
上記アナログ信号処理回路の出力信号におけるオフセット電圧を検出するためにアナログ信号処理回路の出力端に接続されたオフセット検出回路と、
上記オフセット電圧を上記アナログ信号処理回路に帰還するための負帰還路とを備えるアナログ信号処理装置において、
上記負帰還路によって帰還されたオフセット電圧を上記アナログ信号処理回路で処理されるアナログ信号に対して加算または減算するための加減算回路が、上記アナログ信号処理回路の入力端に接続されており、
上記オフセット検出回路が、
上記アナログ信号処理回路の出力信号が入力されるスイッチトキャパシタ等価抵抗と、
上記スイッチトキャパシタ等価抵抗の出力端に接続された第1演算増幅器と、
上記第1演算増幅器の入力端および出力端に接続されたキャパシタとを備えるスイッチトキャパシタ積分回路であり、
上記スイッチトキャパシタ回路を制御するための第1制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ回路に供給する第1クロック信号供給手段と、
上記スイッチトキャパシタ積分回路を制御するための第2制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給する第2クロック信号供給手段とがさらに備えられ、
上記第2クロック信号供給手段が、第1制御クロック信号を倍周したクロック信号を第2制御クロック信号として上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給するものであることを特徴とするアナログ信号処理装置。 - アナログ信号を処理するためのスイッチトキャパシタ回路を含むアナログ信号処理回路と、
上記アナログ信号処理回路の出力信号に生じるオフセット電圧を自動的に補償するためのオフセット補償回路とを備えるアナログ信号処理装置であって、
上記オフセット補償回路が、
上記アナログ信号処理回路の出力信号におけるオフセット電圧を検出するためにアナログ信号処理回路の出力端に接続されたオフセット検出回路と、
上記オフセット電圧を上記アナログ信号処理回路に帰還するための負帰還路とを備えるアナログ信号処理装置において、
上記負帰還路によって帰還されたオフセット電圧を上記アナログ信号処理回路で処理されるアナログ信号に対して加算または減算するための加減算回路が、上記アナログ信号処理回路内部の配線上に設けられており、
上記オフセット検出回路が、
上記アナログ信号処理回路の出力信号が入力されるスイッチトキャパシタ等価抵抗と、
上記スイッチトキャパシタ等価抵抗の出力端に接続された第1演算増幅器と、
上記第1演算増幅器の入力端および出力端に接続されたキャパシタとを備えるスイッチトキャパシタ積分回路であり、
上記スイッチトキャパシタ回路を制御するための第1制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ回路に供給する第1クロック信号供給手段と、
上記スイッチトキャパシタ積分回路を制御するための第2制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給する第2クロック信号供給手段とがさらに備えられ、
上記第2クロック信号供給手段が、第1制御クロック信号を分周したクロック信号を第2制御クロック信号として上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給するものであることを特徴とするアナログ信号処理装置。 - アナログ信号を処理するためのスイッチトキャパシタ回路を含むアナログ信号処理回路と、
上記アナログ信号処理回路の出力信号に生じるオフセット電圧を自動的に補償するためのオフセット補償回路とを備えるアナログ信号処理装置であって、
上記オフセット補償回路が、
上記アナログ信号処理回路の出力信号におけるオフセット電圧を検出するためにアナログ信号処理回路の出力端に接続されたオフセット検出回路と、
上記オフセット電圧を上記アナログ信号処理回路に帰還するための負帰還路とを備えるアナログ信号処理装置において、
上記負帰還路によって帰還されたオフセット電圧を上記アナログ信号処理回路で処理されるアナログ信号に対して加算または減算するための加減算回路が、上記アナログ信号処理回路内部の配線上に設けられており、
上記オフセット検出回路が、
上記アナログ信号処理回路の出力信号が入力されるスイッチトキャパシタ等価抵抗と、
上記スイッチトキャパシタ等価抵抗の出力端に接続された第1演算増幅器と、
上記第1演算増幅器の入力端および出力端に接続されたキャパシタとを備えるスイッチトキャパシタ積分回路であり、
上記スイッチトキャパシタ回路を制御するための第1制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ回路に供給する第1クロック信号供給手段と、
上記スイッチトキャパシタ積分回路を制御するための第2制御クロック信号を上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給する第2クロック信号供給手段とがさらに備えられ、
上記第2クロック信号供給手段が、第1制御クロック信号を倍周したクロック信号を第2制御クロック信号として上記スイッチトキャパシタ積分回路に供給するものであることを特徴とするアナログ信号処理装置。 - 上記アナログ信号処理回路が、複数のアナログ信号処理要素回路からなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のアナログ信号処理装置。
- 上記加減算回路が、上記オフセット電圧に対して1より大きい増幅率を持つことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のアナログ信号処理装置。
- 上記加減算回路が、+入力端子および−入力端子を有する第2演算増幅器と、抵抗素子またはスイッチトキャパシタ等価抵抗からなる入力素子とを含み、
上記第2演算増幅器の+入力端子および−入力端子の少なくとも一方が、上記入力素子を介してオフセット検出回路の出力端に接続されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のアナログ信号処理装置。
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