JP3824531B2 - ポリイミド、その製造方法、およびそれからなる回路基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性等を有する特定の繰り返し構造単位からなるポリイミドに関するものであり、加えて、次世代の電気材料分野で有用とされる折り曲げ可能な電子回路基板に用いられる低引張弾性率で、かつ低線膨張を有する新規なポリイミド、該ポリイミドからなるフィルム及び電子回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機系ポリマーの線膨張率(熱膨張率)は、ガラス転移温度以下の温度領域においても、ほとんどのものが50ppm/K以上であり、金属や無機物に比べてはるかに大きな値である。そのため、金属との複合材料、例えば、金属箔と有機系ポリマーとの積層材では、相互の線膨張率の違いから、そり、変形、剥離、ポリマー層のクラック、基材自体の破壊等、重大な問題が発生する。
この様な問題の中で、従来から、優れた耐熱性や機械物性を有するポリイミドが、これらの問題を解決する有機系ポリマーとして利用されてきた。
例えば、代表的なポリイミドとして、式(A)
【0003】
【化8】
【0004】
で表されるポリイミドが知られていた。これは耐熱性にも機械物性的にも優れた樹脂であり、電子材料用途に幅広く使用されている。しかしながら、このポリイミドの線膨張率は約40ppm/K(温度範囲100〜200℃)であり、積層材を構成するポリイミドとしてはまだ不十分と言える。 また、式(B)
【0005】
【化9】
【0006】
で表されるポリイミドは、同じく耐熱性、機械物性に優れ、更に非常に低線膨張率であるが、10ppm/K以下(温度範囲100〜200℃)であり、逆に金属の線膨張率より低い。 近年、この様な問題を解決するために低線膨張(低応力)を有するポリイミドの開発がなされている。例えば、特開昭63−191830号公報、特開昭63−199236号公報、特開昭64−16829号公報、特開昭64−20232号公報、特開昭64−33134号公報、特開昭64−38437号公報等には剛直性を有するポリイミド主鎖骨格にメチル基などのアルキル鎖を導入して低線膨張率化している。しかしながら、これらのポリイミド(あるいはその前駆体であるポリアミド酸)の場合は、長期の保存でポリマー成分がそのワニス中に析出してくるという問題がある。特開平2−153934号公報、特開平2−251584号公報等には、剛直性が高いイミダゾール等のヘテロ環を導入したポリイミドが開示されている。しかしながら、これらのヘテロ環導入モノマーについては、合成上多くの工程を必要とし、更に価格的にも高価になることは避けられない。また、これらのポリイミドは、低線膨張率化のみを目的としているため、ポリマー構造が剛直であり、高弾性率のポリイミドである。
【0007】
一方、近年の電子機器は、より軽量化、薄型化、小型化が進んでいる。例えば、カメラ内臓の携帯電話、カメラあるいはコンピュータ機能内臓の腕時計等が種々開発されているが、これらは超小型、多機能アプリケーションであるため、より狭い空間に電子回路を収める必要が出てきた。そのため、折り曲げが可能な電子回路基板が求められているが、前記のポリイミドは線膨張率は低減しフレキシブル回路基板のそり、変形等は改善したものの、ポリイミドの剛直性が高いため回路形成後に折り曲げ等の加工を施すことは本質的に不可能であった。例えば前記化合物(A)の折り曲げ性の指標となる引張弾性率は約300kgf/mm2であるものの、引張破断伸度が約80%で軟性である欠点を有する(何れも25℃での値)。また、前記化合物(B)の引張破断伸度は約30%であるものの、引張弾性率が500kgf/mm2を超えており硬性である欠点を有する(何れも25℃での値)。以上のように、ポリイミド/金属箔からなる積層材において、折り曲げ加工が可能な低引張弾性率であり、かつ低線膨張率を有するポリイミドは、未だ見出されておらず、上記問題を解決するポリイミドが望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリイミドが本来有する優れた諸物性、すなわち、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性等に加えて、折り曲げ加工が可能な回路基板を形成するために必要な低引張弾性率、好ましくは200〜300kgf/mm2の引張弾性率(25℃)を有し、かつ線膨張率が15〜25ppm/K(100〜200℃)である新規なポリイミドを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定の繰り返し構造単位を有するポリイミドが上記問題を解決することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1) 一般式(1)
【0010】
【化10】
【0011】
(式中、x=0.50〜0.70、y=0.05〜0.25、z=0.05〜0.30であり、x+y+z=1.00である。)で表される繰り返し構造単位を有するランダム共重合体であって、100〜200℃における線膨張率が15〜25ppm/Kであるポリイミド。
2)25℃における引張弾性率が200〜300kgf/mm2、引張破断伸度が20〜30%である1)に記載のポリイミド。
3) 式(2)
【0012】
【化11】
で表されるピロメリット酸二無水物1当量モルと、式(3)
【0013】
【化12】
で表されるパラフェニレンジアミン50〜70モル%、式(4)
【0014】
【化13】
で表される4,4’−メチレンジアニリン5〜25モル%、および式(5)
【0015】
【化14】
で表される4,4’−オキシジアニリン5〜30モル%からなるジアミン0.9〜1.1当量モルを有機溶媒中で反応させ、得られた一般式(6)
【0016】
【化15】
(式中、x=0.50〜0.70、y=0.05〜0.25、z=0.05〜0.30であり、x+y+z=1.00である。)で表される繰り返し構造単位を有するランダム共重合体であるポリアミド酸を、熱的にイミド化することを特徴とするポリイミドの製造方法。
4) 一般式(1)記載のポリイミドの前駆体である一般式(6)
【0017】
【化16】
(式中、x=0.50〜0.70、y=0.05〜0.25、z=0.05〜0.30であり、x+y+z=1.00である。)で表される繰り返し構造単位を有するランダム共重合体であるポリアミド酸と、有機溶媒を含んでなるポリアミド酸ワニス。
5) 一般式(1)記載のポリイミドを含んでなるポリイミドフィルム。
6) 5)記載のポリイミドフィルムおよび金属箔を積層してなるポリイミド回路基板。
に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のポリイミドは、一般式(1)で表されるポリイミド共重合体である。ポリイミド共重合体はピロメリット酸二無水物とジアミンを原料として得られるが、便宜上、ここでは共重合体を構成する各ポリイミド単位を組成単位として表した。本発明の共重合体において、各ポリイミド単位の配列は特定の規則性と定序性を有するものではなく、ランダムである。
【0019】
本発明のポリイミドは、折り曲げ性に優れる特徴を有する。ここで言う折り曲げ性とは、ポリイミド/金属箔の基材を形成し、回路を作成した段階で容易に折り曲げることが可能であり、回路基材としての機能を損なわない(例えば、ポリイミドと金属箔との剥離、配線の断線、ポリイミド層のクラック・破壊等が生じない)状態を言う。具体的には、折り曲げ性はポリイミドの引張弾性率、および引張り伸度により評価することができる。本発明においては、引張弾性率が200〜300kgf/mm2範囲にあることが好ましい。この範囲であれば基材を形成した際に良好な折り曲げ性を有する。 また、本発明のポリイミドを、金属箔と積層するため、金属箔との線膨張率がほぼ等しいことが好ましい。金属箔との線膨張率が極端に異なる場合には、積層した際に基材の反り・カール・クラック・剥離等を生じる場合があり、基材として使用できない。従って、本発明のポリイミドに求められる線膨張率は、フレキシブル回路基板に使用される金属箔の線膨張率に合わせて15〜25ppm/K(温度範囲:100〜200℃)が適当である。
【0020】
本発明においてポリイミドの原料であるジアミン成分はパラフェニレンジアミン(別名:1,4−ジアミノベンゼン)、4,4’−メチレンジアニリン(別名:4,4’−ジアミノジフェニルメタン)と4,4’−オキシジアニリン(別名:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)を必須とする。
【0021】
本発明では、式(3)で表されるパラフェニレンジアミンを0.50〜0.70当量モル、式(4)で表される4,4’−メチレンジアニリンを0.05〜0.25当量モル、式(5)で表される4,4’−オキシジアニリンを0.05〜0.30当量モル使用する。
【0022】
また、本発明のポリイミドは式(2)で表されるピロメリット酸二無水物を必須テトラカルボン酸二無水物成分として用いるが、本発明のポリイミドが本来有する性能を損なわない範囲において他のテトラカルボン酸二無水物を共重合化することも可能である。その際使用される量は、全テトラカルボン酸二無水物の10モル%以下、好ましくは5モル%以下である。共重合化に使用できるテトラカルボン酸二無水物の具体的な例としては、例えば、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3‘,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、2,2−ビス[(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3‘,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物
等である。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独でも二種以上を用いることも可能である。
【0023】
ポリイミドの製造に当たって、生成するポリイミドの分子量を調節するために、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の量比を調節することは通常行われている。本発明の方法においては全ジアミン化合物と全酸二無水物のモル比は0.9〜1.1の範囲にするのが好ましい。
【0024】
本発明のポリイミドは前記一般式(1)で表されるが、その分子末端は封止されていても、されていなくてもよい。分子末端が封止されている場合、従来から知られているように、アミンまたはジカルボン酸無水物と反応性を有しない基で封止されることが望ましい。具体的には、一般式(1)または(6)で表される繰り返し構造単位を有するポリマーの分子末端を、一般式(7)
【0025】
【化17】
【0026】
(式中Z1は、炭素数6〜15であり、かつ単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群より選ばれた2価の基を示す。)で表される芳香族ジカルボン酸無水物、または、一般式(8)
【0027】
【化18】
【0028】
(式中Z2は、炭素数6〜15であり、かつ単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群より選ばれた1価の基を示す。)で表される芳香族モノアミンで封止されることが望ましい。
本発明のポリイミドを得るために用いられる一般式(7)で表されるジカルボン酸無水物は、具体的には、
無水フタル酸、4−フェニルフタル酸無水物、4−フェノキシフタル酸無水物、4−フェニルスルフィニルフタル酸無水物、4−フェニルスルホニルフタル酸無水物、4−フェニルカルボニルフタル酸無水物、4−(2−フェニルイソプロピル)フタル酸無水物、4−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニルイソプロピル)フタル酸無水物、および1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、
である。これらのジカルボン酸無水物を1種もしくは2種以上を混合して用いる。用いられるジカルボン酸無水物の量は、全ジアミン化合物1モル当たり、0.001〜1.0モル比である。好ましい使用量は0.01〜0.5モルである。
【0029】
同じくポリイミドを得るために用いられる一般式(8)で表される芳香族モノアミンは、具体的には、
アニリン、トルイジン類、キシリジン類、クロロアニリン類、ブロモアニリン類、ニトロアニリン類、アミノフェノール類、アニシジン類、フェネジン類、アミノベンツアルデヒド類、アミノベンゾニトリル類、アミノビフェニル類、アミノフェニルフェニルエーテル類、アミノベンゾフェノン類、アミノフェニルフェニルスルフィド類、アミノフェニルフェニルスルホン類、ナフチルアミン類、アミノナフトール類、アミノアントラセン類、等が挙げられる。これらの芳香族モノアミン類はアミンまたはジカルボン酸無水物と反応性を有しない基で置換されても差し支えない。これらの芳香族モノアミンは単独で使用しても、あるいは2種以上を混合して使用しても良い。芳香族ジカルボン酸無水物の場合と同様に、用いられる芳香族モノアミンの量は、全テトラカルボン酸二無水物1モル当たり、0.001〜1.0モル比である。好ましい使用量は0.01〜0.5モルの割合である。
【0030】
更に末端封止技術を詳細に説明すると、本発明のポリイミドの分子末端を封止する場合以下の2通りに分けられる。すなわち、ジアミン化合物が過剰で、末端を芳香族ジカルボン酸無水物で封止する場合、ジアミン化合物1モル当たり、テトラカルボン酸二無水物は0.9〜1.0モル未満、芳香族ジカルボン酸無水物は0.001〜1.0モルである。一方、酸二無水物が過剰で、末端を芳香族モノアミンで封止する場合、テトラカルボン酸二無水物1モル当たり、ジアミン化合物は0.9〜1.0モル未満、芳香族モノアミンは0.001〜1.0モルである。
【0031】
また、全ジアミン化合物と酸二無水物のモル比を0.9〜1.1にした場合、得られるポリアミド酸分子量は、以下の通りとなる。すなわち、N−メチル−2−ピロリドン溶媒中、濃度0.5g/dl、35℃で測定した対数粘度の値が0.1から3.0dl/gである。
【0032】
反応は、通常、有機溶媒中で行う。一般に使用する有機溶媒としては、フェノール系溶媒である:
フェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、
非プロトン性アミド系溶媒である:
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド、エーテル系溶媒である:
1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン、
アミン系溶媒である:
ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソホロン、ピペリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン
その他の溶媒:
ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素、アニソール、
が挙げられる。これらの溶媒は、単独または2種以上混合して用いても差し支えない。この内、好ましい溶媒系は非プロトン性アミド系溶剤であり、その内でもN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが最も好ましい。更に、このN,N−ジメチルアセトアミドとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒を用いた場合は、長期間に渡る保存においても良好に物性を保持し、かつ比較的沸点が低いことから、脱溶媒・イミド化工程においても比較的低温域で加工が可能である。加えて、N,N−ジメチルアセトアミドとN,N−ジメチルホルムアミドは、先のN−メチル−2−ピロリドンよりも安価であることから、価格的にも低コスト化が可能である。
【0033】
これらの溶媒中で行う反応の濃度(以下、重合濃度と称する。)は、なんら制限はない。本発明では、溶媒中で行う重合濃度を、用いた全溶媒の全重量と、用いた全ジアミンおよび全テトラカルボン酸二無水物を合わせた全重量との総重量に対する用いた全ジアミンおよび全テトラカルボン酸二無水物を合わせた全重量の割合を百分率で示した値と定義する。好ましい重合濃度は、5から40%であり、更に好ましくは、10から30%である。
【0034】
繰り返し単位が式(6)で示されるポリアミド酸を得る場合、反応温度、反応時間および反応圧力には、特に制限はなく公知の条件が適用できるが、反応温度は、およその範囲として、−10℃から100℃が好ましく、更に好ましくは、氷冷温度付近から60℃前後の範囲であり、実施面で最も好ましく実用的には50〜60℃の範囲である。また、反応時間は、使用するモノマーの組成、溶媒の種類、および反応温度により異なるが、1〜48時間が好ましい。更に好ましくは2、3時間から十数時間前後であり、実施面で最も好ましくは、4から10時間である。また、反応圧力は常圧で十分である。
【0035】
前記の手法で得られたポリアミド酸は、加熱下で脱溶剤、脱水反応(熱イミド化)することによりポリイミドとすることができる。 本発明における回路基板とは、ポリイミドフィルムと金属箔を張り合わせた基材のことであり、更に金属箔側に回路を形成したものを指す。ここで使用される金属箔とは、フレキシブル回路基板で使用する如何なる金属箔でも構わないが、一般的には銅箔やステンレス箔(SUS箔)である。尚、金属箔の厚みに制限はないが、一般的には100μm以下、好ましくは50μm以下である。更に、金属箔の表面に何らかの処理を施していても問題は無い。また、ポリイミドフィルムと金属箔を張り合わせる方法については、従来公知の方法が何れも適用できるが、一般的には、▲1▼金属箔の表面にポリアミド酸ワニスを塗工後、熱処理により、脱溶媒、イミド化してポリイミドと金属箔の積層材を形成する方法、▲2▼予めポリイミドフィルムを製作後、従来公知の接着剤を介して金属箔と張り合わせポリイミドと金属箔の積層材を形成する方法、がある。
▲1▼の方法では、例えば前記の方法で得られたポリアミド酸ワニスを金属箔上に、コーター等を用いて塗工し、イミド化する。塗工厚は、ポリアミド酸ワニスの固形分濃度に影響されるが、脱溶媒、イミド化後のポリイミドフィルム層厚が1mm以下、好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下になるように塗工する。脱溶媒の方法に特に限定はないが、減圧下あるいは窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下で行い、温度は使用する溶媒の沸点以上かつイミド化反応が進行する温度以上であれば良い。ちなみに、非プロトン系アミド溶媒を用いた場合は、200℃以上であれば良い。更にこの焼成処理時間は特に限定はないが、通常2時間以上あれば十分である。
なお、ポリイミドフィルムを得る場合には、金属箔あるいはガラス等の無機基板上に上記と同様の方法でポリアミド酸ワニスを塗布しイミド化した後、ポリイミド層を剥離することにより得られる。
【0036】
本発明で得られる回路基板は折り曲げ性に優れるため、折り曲げてもポリイミド部位の切断、割れ、金属箔との剥離等の不具合を生じることはない。かつ、線膨張率についても15〜25ppm/Kであることから、高温下で取り扱っても反り、カール、割れ等を生じることはない。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれによって何ら制限されるものではない。尚、各物性については下記の方法によって測定した。
【0038】
対数粘度(ηinh):
N−メチル−2−ピロリドン溶媒中、ポリアミド酸の固形分濃度を0.5g/dlに調整後、35℃で測定した。
【0039】
ポリアミド酸の分子量(GPC):
Showdex社製GPCSysrtem−21シリーズにより測定。
E型機械粘度:
東京機器(株)社製E型機械粘度計を用い、25℃において測定。
ガラス転移温度(Tg):
島津製作所(株)社製熱分析装置DSC60シリーズを用いて窒素中で測定。
【0040】
5%重量減少温度(Td5):
島津製作所(株)社製熱分析装置DTG60シリーズを用いて空気中で測定。
【0041】
線膨張率:
島津製作所(株)社製熱分析装置TMA50シリーズを用い窒素中で100〜200℃の領域で測定。
引張強度(TS)・引張弾性率(TM)・引張破断伸度(EL):
島津製作所(株)製EZ−TEST引張試験機(100N用)を用いて測定。
【0042】
ワニスの保存安定性:
実施例・比較例で得られたワニスを5℃の保冷庫で3ヶ月放置し、黙視確認。変化無し(○)、析出・ゲル固化(×)で判定。
【0043】
実施例1
攪拌機、窒素導入管、および温度計を備えたフラスコに、4,4’−オキシジアニリン(以下ODA)6.01g(0.030mol)、パラフェニレンジアミン(以下pPD)6.49g(0.060mol)、4,4’−メチレンジアニリン(以下MDA)1.94g(0.01mol)および溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(以下NMP)122.64gを装入し、50℃で完全に溶解する。この後、一度室温付近まで冷却してからピロメリット酸二無水物(以下PMDA)21.22g(0.0973mol)を温度の上昇に注意しながら装入する。この時、系内温度は室温付近から55℃まで上昇する。更に反応容器内をNMP20gで洗浄し、完全に溶解状態となってから60℃で5時間反応させる。ここで内容物は高粘度のワニスとなる。反応終了後、このワニスを5μのフィルターで加圧濾過してポリアミド酸ワニスを得た。このポリアミド酸は、対数粘度(ηinh)が0.83dl/gで、E型機械粘度が14800mPa・s、GPCによる重量平均分子量(Mw)は108000であった。
【0044】
このポリアミド酸ワニスをガラス板上に塗工厚が0.20mmになるように塗工し、窒素置換されたイナートオーブン中で昇温時間2時間かけて室温から250℃とした後、250℃で2時間焼成した。室温まで冷却した後、ガラス板からポリイミドフィルムを剥がし、厚みを測定したところ約30μmであった。このポリイミドフィルムについて熱分析測定を行ったところ、ガラス転移温度(Tg)は観察されず、5%重量減少温度(Td5)は、空気中で549℃であった。また、このポリイミドフィルムの線膨張率は100〜200℃の領域で22ppm/Kであった。
【0045】
更に、このポリイミドフィルムの機械物性は、引張強度(TS)が18kgf/mm2、引張弾性率(TM)が258kgf/mm2、引張破断伸度(EL)が20%であった。
【0046】
尚、この実施例で得られたポリアミド酸ワニスを5℃の保冷庫で3ヶ月間保管したが、その状態に変化は見られなかった。
本実施例の結果を表1に他の実施例の結果と併せて示す。
【0047】
実施例2
実施例1におけるジアミンの組成をODA4.01g(0.020mol)、pPD6.49g(0.060mol)、MDA3.89g(0.02mol)、および溶媒のNMPを122.44gに変更した以外は実施例1と全く同様にしてポリアミド酸ワニスを得た。このポリアミド酸は、対数粘度(ηinh)が0.79dl/gで、E型機械粘度が12800mPa・s、GPCによる重量平均分子量(Mw)は107000であった。
更に、実施例1と同様にして厚み約30μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムについて熱分析測定を行ったところ、ガラス転移温度(Tg)は観察されず、5%重量減少温度(Td5)は、空気中で548℃であった。また、このポリイミドフィルムの線膨張率は100〜200℃の領域で25ppm/Kであった。
また、このポリイミドフィルムの機械物性は、引張強度(TS)が14kgf/mm2、引張弾性率(TM)が257kgf/mm2、引張破断伸度(EL)が21%であった。
尚、この実施例で得られたポリアミド酸ワニスを5℃の保冷庫で3ヶ月間保管したが、その状態に変化は見られなかった。
本実施例の結果を表1に他の実施例の結果と併せて示す。
【0048】
実施例3
攪拌機、窒素導入管、および温度計を備えた3Lのフラスコに、ODA90.11g(0.45mol)、pPD97.33g(0.90mol)、MDA29.74g(0.15mol)および溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド1620.90g、N,N−ジメチルアセトアミド540.30gを装入し、30℃で完全に溶解する。この後、一度室温付近まで冷却してからPMDA323.12g(1.4814mol)を温度の上昇に注意しながら装入する。この時、系内温度は室温付近から50℃まで上昇する。完全に溶解状態となってから55〜60℃で7時間反応させる。ここで内容物は高粘度のワニスとなる。反応終了後、このワニスを10μのフィルターで加圧濾過してポリアミド酸ワニスを得た。このポリアミド酸は、対数粘度(ηinh)が1.06dl/gで、E型機械粘度が16700mPa・s、GPCによる重量平均分子量(Mw)は159000であった。
更に、実施例1と同様にして厚み約30μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムについて熱分析測定を行ったところ、ガラス転移温度(Tg)は観察されず、5%重量減少温度(Td5)は、空気中で568℃であった。また、このポリイミドフィルムの線膨張率は100〜200℃の領域で16ppm/Kであった。
また、このポリイミドフィルムの機械物性は、引張強度(TS)が16kgf/mm2、引張弾性率(TM)が225kgf/mm2、引張破断伸度(EL)が26%であった。
尚、この実施例で得られたポリアミド酸ワニスを5℃の保冷庫で3ヶ月間保管したが、その状態に変化は見られなかった。
本実施例の結果を表1に他の実施例の結果と併せて示す。
【0049】
実施例4
実施例1におけるジアミンの組成をODA5.01g(0.025mol)、pPD5.41g(0.050mol)、MDA4.96g(0.025mol)、および溶媒のNMPを126.40gに変更した以外は実施例1と全く同様にしてポリアミド酸ワニスを得た。このポリアミド酸は、対数粘度(ηinh)が0.81dl/gで、E型機械粘度が16800mPa・s、GPCによる重量平均分子量(Mw)は113000であった。
更に、実施例1と同様にして厚み約30μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムについて熱分析測定を行ったところ、ガラス転移温度(Tg)は観察されず、5%重量減少温度(Td5)は、空気中で544℃であった。また、このポリイミドフィルムの線膨張率は100〜200℃の領域で25ppm/Kであった。
また、このポリイミドフィルムの機械物性は、引張強度(TS)が12kgf/mm2、引張弾性率(TM)が225kgf/mm2、引張破断伸度(EL)が27%であった。
尚、この実施例で得られたポリアミド酸ワニスを5℃の保冷庫で3ヶ月間保管したが、その状態に変化は見られなかった。
本実施例の結果を表1に他の実施例の結果と併せて示す。
【0050】
実施例5
実施例1におけるジアミンの組成をODA1.00g(0.005mol)、pPD7.57g(0.070mol)、MDA4.96g(0.025mol)、および溶媒のNMPを119.00gに変更した以外は実施例1と全く同様にしてポリアミド酸ワニスを得た。このポリアミド酸は、対数粘度(ηinh)が0.69dl/gで、E型機械粘度が11300mPa・s、GPCによる重量平均分子量(Mw)は97000であった。
更に、実施例1と同様にして厚み約30μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムについて熱分析測定を行ったところ、ガラス転移温度(Tg)は観察されず、5%重量減少温度(Td5)は、空気中で538℃であった。また、このポリイミドフィルムの線膨張率は100〜200℃の領域で21ppm/Kであった。
また、このポリイミドフィルムの機械物性は、引張強度(TS)が145gf/mm2、引張弾性率(TM)が226kgf/mm2、引張破断伸度(EL)が20%であった。
尚、この実施例で得られたポリアミド酸ワニスを5℃の保冷庫で3ヶ月間保管したが、その状態に変化は見られなかった。
本実施例の結果を表1に他の実施例の結果と併せて示す。
【0051】
実施例6
実施例1におけるジアミンの組成をODA5.01g(0.025mol)、pPD6.49g(0.060mol)、MDA0.99g(0.005mol)、および溶媒のNMPを114.84gに変更した以外は実施例1と全く同様にしてポリアミド酸ワニスを得た。このポリアミド酸は、対数粘度(ηinh)が0.77dl/gで、E型機械粘度が12100mPa・s、GPCによる重量平均分子量(Mw)は104000であった。
更に、実施例1と同様にして厚み約30μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムについて熱分析測定を行ったところ、ガラス転移温度(Tg)は観察されず、5%重量減少温度(Td5)は、空気中で554℃であった。また、このポリイミドフィルムの線膨張率は100〜200℃の領域で25ppm/Kであった。
また、このポリイミドフィルムの機械物性は、引張強度(TS)が15kgf/mm2、引張弾性率(TM)が245kgf/mm2、引張破断伸度(EL)が29%であった。
尚、この実施例で得られたポリアミド酸ワニスを5℃の保冷庫で3ヶ月間保管したが、その状態に変化は見られなかった。
本実施例の結果を表1に他の実施例の結果と併せて示す。
【0052】
比較例1
実施例1におけるジアミンの組成をMDA19.43g(0.10mol)、および溶媒のNMPを142.60gに変更した以外は実施例1と全く同様にしてポリアミド酸ワニスを得た。このポリアミド酸は、対数粘度(ηinh)が1.03dl/gで、GPCによる重量平均分子量(Mw)は173000であった。
更に、実施例1と同様にして厚み約40μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムについて熱分析測定を行ったところ、ガラス転移温度(Tg)は観察されず、5%重量減少温度(Td5)は、空気中で523℃であった。また、このポリイミドフィルムの線膨張率は100〜200℃の領域で41ppm/Kであった。
また、このポリイミドフィルムの機械物性は、引張強度(TS)が11kgf/mm2、引張弾性率(TM)が107kgf/mm2、引張破断伸度(EL)が27%であった。
尚、この実施例で得られたポリアミド酸ワニスを5℃の保冷庫で3ヶ月間保管したが、ゲル化が進行していた。
本比較例の結果を表1に実施例の結果と併せて示す。
【0053】
比較例2
実施例1におけるジアミンの組成をODA6.01g(0.03mol)、pPD7.57g(0.07mol)、および溶媒のNMPを119.20gに変更した以外は実施例1と全く同様にしてポリアミド酸ワニスを得た。このポリアミド酸は、対数粘度(ηinh)が0.73dl/gで、E型機械粘度が14400mPa・s、GPCによる重量平均分子量(Mw)は104000であった。
更に、実施例1と同様にして厚み約30μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムについて熱分析測定を行ったところ、ガラス転移温度(Tg)は観察されず、5%重量減少温度(Td5)は、空気中で568℃であった。また、このポリイミドフィルムの線膨張率は100〜200℃の領域で13ppm/Kであった。
また、このポリイミドフィルムの機械物性は、引張強度(TS)が17kgf/mm2、引張弾性率(TM)が426kgf/mm2、引張破断伸度(EL)が11%であった。
尚、この実施例で得られたポリアミド酸ワニスを5℃の保冷庫で3ヶ月間保管したが、その状態に変化は見られなかった。
本比較例の結果を表1に実施例の結果と併せて示す。
【0054】
比較例3
実施例1におけるジアミンの組成をODA2.00g(0.010mol)、pPD6.49g(0.060mol)、MDA5.83g(0.03mol)、および溶媒のNMPを122.16gに変更した以外は実施例1と全く同様にしてポリアミド酸ワニスを得た。このポリアミド酸は、対数粘度(ηinh)が0.77dl/gで、E型機械粘度が11800mPa・s、GPCによる重量平均分子量(Mw)は108000であった。
更に、実施例1と同様にして厚み約30μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムについて熱分析測定を行ったところ、ガラス転移温度(Tg)は観察されず、5%重量減少温度(Td5)は、空気中で554℃であった。また、このポリイミドフィルムの線膨張率は100〜200℃の領域で27ppm/Kであった。
また、このポリイミドフィルムの機械物性は、引張強度(TS)が15kgf/mm2、引張弾性率(TM)が263kgf/mm2、引張破断伸度(EL)が11%であった。
尚、この実施例で得られたポリアミド酸ワニスを5℃の保冷庫で3ヶ月間保管したが、その状態に変化は見られなかった。
本実施例の結果を表1に他の実施例の結果と併せて示す。
【0055】
実施例7
実施例1で得られたポリアミド酸ワニスを厚さ25μmの銅箔上に塗工厚が0.20mmになるように塗工し、窒素置換されたイナートオーブン中で昇温時間2時間かけて室温から250℃とした後、250℃で2時間焼成した。室温まで冷却して、ポリイミドフィルムと銅箔の積層材を得た。この積層材は、反り、変形、カール等は見られず、ほぼ平滑なものであった。
また、この積層材をポリイミド面側、銅箔面側にそれぞれ180°折り曲げても、ポリイミド/銅箔間の剥離、あるいはポリイミド面の破壊は起らなかった。本実施例の結果は表2に示す。
【0056】
実施例8,9
実施例7と同様に実施例2,3で得られたポリアミド酸を銅箔上に塗工し、焼成することでポリイミドフィルムと銅箔の積層材を得た。積層材は、反り、変形、カール等は見られず、ほぼ平滑なものであった。
また、それぞれの積層材ともポリイミド面側、銅箔面側にそれぞれ180°折り曲げても、ポリイミド/銅箔間の剥離、あるいはポリイミド面の破壊は起らなかった。
本実施例の結果は表2に示す。
【0057】
比較例4〜6
実施例7と同様に比較例1〜3で得られたポリアミド酸を銅箔上に塗工し、焼成することでポリイミドフィルムと銅箔の積層材を得た。積層材は、何れも反り、カールが見られた。
また、比較例4で得られた積層材については、ポリイミド面側に180°折り曲げたところ、ポリイミド面にクラックが生じた。比較例5,6で得られた積層材についてはポリイミド面側に180°折り曲げたところ、ポリイミドの折り曲げ線上に一部変形が見られた。
本比較例の結果は表2に示す。
【0058】
【発明の効果】
本発明により、折り曲げ加工が可能な回路基板を形成するために必要な低弾性率、具体的には200〜300kgf/mm2の引張弾性率(室温)を有し、かつ線膨張率が15〜25ppm/K(100〜200℃)である新規なポリイミドを見出した。このポリイミドを用いて作成されたポリイミド/金属箔の基材は良好な折り曲げ性を有していた。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
Claims (6)
- 25℃における引張弾性率が200〜300kgf/mm2、引張破断伸度が20〜30%であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド。
- 請求項1に記載のポリイミドを含んでなるポリイミドフィルム。
- 請求項5に記載のポリイミドフィルムおよび金属箔を積層してなるポリイミド回路基板。
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