JP3810855B2 - 改良された細長いAl合金成品を製造する方法およびその方法によって製造された成品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、改良された細長いAl合金成品および部品、特に車輌の主要構造部材の製造に特に有用な、改良された細長いAl合金成品を押出し加工を含む作業によって製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
真直フレーム部材を含みうるいくつかの別体部品から成る独立した複数の副組立体を用意することによって、車輌のフレームを製造することは公知である。各副組立体は、鋳造品、押出し加工品または板状部品であってよい複数の部材を節(ノード)構造によって一体に接合して製造される。フレームおよび副組立体は、接着剤接合、溶接または機械的締着によって、もしくはこれらの接合技術と他の接合技術を組合せることにより組立てられる。かかる車輌フレーム構造の例は、「自動車シャシー」という名称の米国特許第4618163号明細書に記載されており、その全記載内容を参考のために本明細書の記載として援用する。Al合金はかかる車輌のフレーム構造にきわめて好適である。その密度が小さく、良好な強度と良好な耐食性を有するからである。さらに、Al合金は車輌フレームの剛さおよび作動特性を改良するために使用できる。Al合金を使用することは、環境的利点,および軽量なAl合金製車輛フレームに基く効率に対するポテンシャルを付与し、軽量化による燃費の低減化を実現する。最後に、車輌フレームにおけるAl合金部品の採用は、車輌の使用寿命が尽きたとき、Al合金部品または副組立体を最終的に再使用する機会を生ずる。さらにAl合金製車輛フレームは、これよりも重い通常の鋼製フレームによる車輛構造に典型的に対応する、いちじるしい強度および耐破壊性を有すると考える。
【0003】
上記のように、Al合金製の主自動車車体構造体にとって重要な考察は、自動車の全重量の低減化および自動車性能の改良のいずれか一方または双方に関連した耐破壊性を含んでいる。自動車への適用に対して、耐破壊性は、車室のうけ入れ難い変形の発生または搭乗者の過度の減速なしに、自動車の或る衝突衝撃量の支承能力を反映する。衝突時に、構造体は規定の態様で変形すべきであり、構造体によって吸収される変形エネルギは衝撃の運動エネルギと平衡すべきであり、車室の完全性が維持されるべきであり、また搭乗者の減速を最小にする態様で主構造体が破壊されなければならない。自動車構造体または他の用途に使用するために、Al合金の物理的および機械的特性を評価する目的で、種々の標準的テストを行うことができる。例えば、強度および相対的に期待される性能に関する情報を得るため、引張りテストおよび標準的成形性テストを行うことができ、または破断特性を試験しかつ弾性または塑性応力の下で、クラックの成長に対する抵抗または靱性の大きさを知るため引裂テストを行うことができる。これらのテストまたは他のテスト方法が、車輌部品、副組立体およびフレームの製造に使用される代表的材料の性能を試験するために行われる。しかしながら、主車体構造体に使用するためのAl合金部品の評価を行うための標準的テストはほとんどない。
【0004】
したがって、上記テストに加えて、静的軸線方向破壊テストが軸線方向圧縮荷重に対する車輌フレーム部品の応答の評価を可能にすると考える。静的軸線方向破壊テストは、もし圧縮荷重の下においてエネルギを吸収すべく設計される部品構造の評価に使用されるならば、圧縮荷重に対する部品の応答を試験するのに必要な厳しい条件を実現する。静的軸線方向破壊テストの間、特定の長さのエネルギ吸収部品は部品に所定の速度で圧縮負荷され、最初の自由な長さのほぼ半分またはそれ以下の高さに最終的に変形される。これらの条件の下で経験しうる種々の圧潰モードには、規則的な折曲すなわち安定な圧潰、不規則な折曲および屈曲が含まれる。エネルギ吸収部品の評価に対する所望の応答は、規則的折曲を特徴とする安定な軸線方向圧潰である。破壊されるサンプルはこのテスト中に発生した厳しい変形に対応する材料を決定するため試験される。一般にはクラックなしに変形する可能性を示すことが好ましい。この場合、サンプルは静的軸線方向破壊テストに続いて視覚的に試験され、かつ変形したサンプルの外観に基いて格付けが選定される。
【0005】
試験の結果は1から3までの目盛で登録される。「3」は、折曲部に近い区域にしばしば裸眼で見られる開放クラック(割れ)および粗面化損傷の形跡があることを示す。格付け「3」の材料は使用できないと考えられる。「2」は折曲部に近い領域または押出し材料の変位した側壁が粗面化され、また僅かにクラックが生じるかも知れないが、側壁の完全性が基本的には維持されていることを示す。格付け「2」のサンプルは、格付け「3」よりはよいが、格付け「1」のサンプル程にはよくないことを示す。格付け「1」のサンプルは、破壊された押出し加工品にクラックまたは粗面区域が無く、折曲部は実質的に平滑であることを示す(これは、静的軸線方向破壊テストに対する好ましい材料反応である)。
【0006】
構造体または構造部品が、静的ならびに動的破壊テストの間、圧縮荷重の下において、所望のように徐々にエネルギを吸収しかつ変形する可能性は、部品の構造たとえば形状、断面形状、大きさ、長さ、厚さ、装置に含まれる接続形式、ならびに、部品が製造される材料の特性、すなわち実際の負荷速度における降伏および最終的引張り強度、弾性率、破断形式などの関数である。そのようなエネルギ吸収部品を含む主車体構造体を製造するための有力な候補として種々のAl合金がある。たとえば6XXX合金は、強化Al車輛に関連する押出し加工部品の製造に利用することができる。6XXXシリーズ合金は、その主合金添加物としてMgおよびSiを含む熱処理可能なAl合金であり、Al協会方式に従って指定された、一般的なAl合金群である。6XXX合金の強化はMg2Siまたはその前駆物質の析出によって達成される。6XXXは自然時効処理された質別T4または人工時効処理された質別T6のいずれかで広く使用される。また、このシリーズの合金は、改善された組合せの特性を付与するために、付加的相を形成しまたは強化相を調整する目的で、Cr、MnまたはCuまたはそれらと他の元素との組合わせを含むのが普通である。
【0007】
6XXX合金は、建築用形状物の製造に普通に使用され、またこれらの成品がほんの最小限の強度水準を必要とする用途にもっとも多く使用されるため、経費の観点で6XXX合金は空気焼入れで生産されるのが普通である。合金6063は6XXX成品のもっとも広く使用されるものの一つである。該合金は、質別T4の自然時効処理材、および質別T5,T6の人工時効処理材として、それぞれ典型的な降伏強度90MPa(13ksi)、145MPa(21ksi)および215MPa(31ksi)を示す。一般に認められている業界協定により、質別T5およびT6の押出し加工用指定材は、溶体化熱処理および焼入れ作業を含む質別T6の厳格な規定に代えてプレス焼入れされるとともに人工時効処理された成品を指すことができる。
【0008】
上昇温度処理作業からの焼入れは、最終成品に必要な特性および性能の向上に重要であることが多い。焼入れの目的は、押出し加工のような上昇温度作業で生じた固溶体内にMg,Siおよび他の元素を維持することである。押出し加工の場合、別の溶体化熱処理および焼入れ作業に伴う追加経費を回避するため、成品が押出し加工プレスから排出される際に焼入れされることが多い。押出し加工温度から迅速な冷却速度を得るために水焼入れを行うことができる。迅速な冷却速度は、固溶体中の元素をもっともよく維持する。しかしながら、水冷却は追加設備を必要とし、また過度の変形と、使用に先立って形状を正するための事後処理必要性とを生ずる。6063成品のプレス焼入れに空気冷却が行われるのが普通である。空気冷却は従来経験した変形を低減化し、かつ中空成品の寸法性能を改善する。
【0009】
しかしながら、6XXX成品は、典型的に、ある程度の焼入れ感受性、または空気焼入れにおいて経験される焼入れ速度の低下を伴う強度もしくは他の特性の低下を示す。焼入れ感受性は、徐速焼入れ中の固溶体からの元素の析出による。この析出は、典型的に、粒界およびマイクロ組織中の他の不均一部分に生じる。焼入れ作業中の析出は、事後の時効処理作業中に強化相を析出させるために溶質を利用できなくする。徐速焼入れは、典型的に、強度、靱性、成形性または耐食性の低下をもたらす。また徐速焼入れは、低エネルギ粒界破断を促進することにより、成品の破断特性に悪影響を及ぼす可能性がある。降伏強度に関連する焼入れ感受性は、6063のような希薄合金では小さいのが普通である。
【0010】
しかしながら、明瞭な焼入れ感受性が、靱性および靱性インジケータならびに、材料の破面機能によって強く影響される他の特性に関して観察される。引裂テストおよび成形性評価を通じて得られる結果が異ることが徐々にして認められる。焼入れ速度の劇的影響も、6063のような通常の商用押出し加工材料において、静的軸線方向破壊テストを使用して得られる結果においても認識される。所望の特性の低下を克服するために、別の溶体化熱処理および焼入れを行なうことができ、あるいはまた、焼入れ中の析出を最少にする速度で冷却を行なうために、直列加圧噴水焼入れを利用することができる。しかしながら、上記のように、水焼入れは変形を生じ、処理速度を抑制し、寸法修正用の追加処理を必要とし、部品形状を公差内に維持する能力を制限する。もっとも厳しい公差が、車輌副組立体またはフレームの組立て中維持されるべきである。水焼入れ作業の使用に関連する焼入れ変形は、複雑な、壁の薄い、中空の押出し加工物に悪影響を及ぼし、それをポテンシャル的に変形し、所望の用途に対する公差から外れさせ、さらに労働を強化する修正を必要にさせる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
米国特許第4525326号明細書には、6XXX合金(Si,Fe,Cu,Mg)の強度に対する焼入れ感受性が、V(バナジウム)の添加によって改善されることが記載されている。とくに、該特許明細書は、押出し成品の製造に対して、V:0.05〜0.2%と、Al合金に対するFe濃度の1/4〜2/3に等しい濃度のMnとを添加することを開示している。強度に対して焼入れ感受性を低下する合金を開発する努力にもかかわらず、静的軸線方向破壊性能に対して焼入れ感受性を低下する合金に対する必要性が存在する。
【0012】
空気焼入れ可能な合金は、自動車構造体の組立てに必要な寸法上の可能性に適合し、かつ強度が大きく、衝突の際に圧縮荷重をうけるときエネルギを吸収すべく設計された部品に、規則的に変形する能力を含む最終的構造に使用するのに好適な特性を備えた、薄壁中空押出し形状を製造する可能性を生じ、またこれらの部品の製造が費用に比べて効果をよくするものである。
したがって、優れた静的軸線方向破壊性能を備えたことを特徴とするAl合金を得ること、静的軸線方向破壊性能および自動車構造体に適用する上で必要な他の特性に対して、焼入れ感受性が低下したことを特徴とするAl合金を得ること、薄壁中空押出し成品を含む形状範囲の拡大が可能で、かつ強化Al車輌または同様の構造物の製造に使用するため寸法上の可能性を改良されたAl合金を得ること、改良されたAl合金を得ること、および改良された長いAl合金成品を製造する方法を得ることが本発明の目的である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、重量で、Mg:0.48〜0.64%、Si:0.4〜0.51%、V:0.1〜0.35%、Fe:0.1〜0.4%を含み、残部がAlと不可避不純物である合金を用意すること、前記合金から成る部材を押出し加工すること、および前記合金から成る部材を空気焼入れすること、以上の各工程を含む改良された細長いAl合金成品を製造する方法が得られる。なお、合金中の各成分の含有量を表す「%」については、[0025]欄の項目bで、断りのない限り重量%である旨を述べている。
【0014】
別途断りのない限り、前記全ての成分割合(%)は重量による。さらに、このAl合金は静的軸線方向破壊性能に対する比較的低い焼入れ感受性を示し、かつ大きい強度、成形性および耐食性を生ずる。したがって、本発明の合金組成は、空気焼入れに理想的に適合可能で、しかも形状範囲の拡大および寸法上の可能性が改良される。焼入れ工程は、均質化、再加熱、押出し加工、自然時効処理および人工時効処理の各工程に加えて、押出し成品の強制空気焼入れの適用を含むことができる。
本発明の上記ならびに他の特徴および利点は、本発明による強制空冷成品の特徴を示すグラフである単一の図面に基づく、本発明の下記の詳細な説明を考慮することによって一層明確に理解しうるであろう。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、合金成分はMg:約0.45〜0.7%(好ましくは約0.48〜0.64%)、Si:約0.35〜0.6%(好ましくは約0.4〜0.51%)、V:約0.1〜0.35%(好ましくは約0.2%)、およびFe:約0.1〜0.4%(好ましくは約0.15〜0.3%)を含み、残部が実質的にAlと不可避不純物である。本発明の合金組成は、意図的なCuの添加がなく、かつ不純物の許容レベルがAl協会組成規準に一致している。合金は、典型的には、連続鋳造または半連続鋳造によって、典型的には、円筒形インゴットビレットである押出し加工に適した形状の押出し用インゴットになされる。インゴットは、必要ならば、表面の不純物を除去するため機械加工または皮剥ぎすることができ、または表面が適当であれば機械加工せずに押出し加工できる。
【0016】
押出し工程は直径を著しく縮小するが、押出し用ビレットに比較して長さをいちじるしく伸長する。押出し加工の前に、鋳造状態のビレットは、典型的には、加工性および特性を改良するため熱処理をうける。鋳造状態のビレットは存在するMg2Si粒子を固溶させうるようにMg2Siの固相温度を超える温度で均質化され、鋳造過程から生ずる化学的偏析を減少する。均質化に続いて、インゴットは空冷される。押出し加工前、ビレットは熱間加工温度に再加熱され、直接または間接押出し技術によって押出し加工される。本発明を実施する際、押出し加工直前のシリンダ温度を、典型的には、押出し温度よりも、10〜38℃(50〜100°F)低く、通常約371〜538℃(700〜1000°F)の範囲(好ましくは482℃(900°F))として、押出し加工を行うことが重要な選択である。
【0017】
押出し円寸法は変化するが、押出し成品は、典型的には、1.5mm以上の壁厚を有する。押出し成品は、典型的には、端部が切落とされ、引続く作業によって所望の長さに切断される。押出し成品は焼入れ領域に進入し、そこで好ましくは強制空冷技術の実施によって焼入れされ、押出し成品の温度は約121〜232℃(250〜450°F)に冷却される。押出し成品が焼入れ領域を出る時、約177℃(350°F)であるのが好ましい。冷却速度すなわち押出し成品が焼入れ領域を通過するときの温度変化は、最終的に押出し部品の形状、押出し成品が焼入れ領域を横断する速度および空気温度の関数である。実験によれば、成品は強制空冷を実施され、冷却速度は2〜3℃/秒(3〜6°F/秒)であった。押出し部品は、真直化のために、約1/4〜1−1/2%(すなわち、約0.25〜1.5%)だけ伸長される。押出し成品は自然時効処理される。適当な性質は4〜30日の自然時効処理によって達成される。
【0018】
押出し部品は、引続いて伸長されまたは伸長されないで、人工時効処理してその強度特性を改善することができる。この処理は、典型的には、約121または132℃(250または270°F)、典型的には、超149℃(300°F)、たとえば約166〜232℃(330〜450°F)で、1時間またはそれより短い時間から約10または15時間、典型的には、177〜204℃(350〜400°F)で約2または3時間の加熱を含んでいる。使用される時間は温度と反対に変化し(温度が高ければ時間は短く、温度が低ければ時間は長い)、この処理はいわゆるピークまたはT6強度を改善する。
【0019】
【実施例】
評価のため、Al合金組成、および熱処理の三つの組合わせを示す押出し加工が準備された。各成分のサンプルが水焼入れおよび空気焼入れを使用して押出し加工された。
「A」および「B」と称する合金は、銅を含まない6063型組成である。サンプル「A」は、6063−T6成品用にAl協会により推奨された処理すなわち、579℃(1075°F)で4時間均質化し、177℃(350°F)で8時間時効処理する処理を使用して均質化されかつ時効処理された。すべての他の処理工程は他例の材料の製造に使用された工程と同じである。サンプル「B」は、本発明の工程に従って均質化されかつ時効処理された。最後に、本発明の合金は「C」と称せられ、V:約0.2%を含んでいる。表1は6063Al合金の登録された組成範囲を示している。
【0020】
【表1】
【0021】
表2は、水焼入れを使用して製造された押出し成品の解析から得られたデータである。商用合金6063(サンプル「A」)、6063型合金(サンプル「B」)および本発明の合金(サンプル「C」)が、通常の水焼入れ工程を使用して押出し成品を製造するため使用された。押出し成品は質別T6まで時効処理され、静的軸線方向テストおよび標準的引張りテストを使用して評価された。これらの材料を示す成品の評価において、断面7.6cm(3インチ)の押出し成品は、端部を平行に鋸切断され、軸線方向に変位させられた。このテストは、一つの急激な折曲げ部を有する高さ約3.2cm(1.25インチ)のサンプルに破壊された。破壊された成品の変形区域は視覚的検査をうけ、以前に記載された格付け方式に従って破壊格付けを指定された。ここで、格付け「1」は所望の結果であり、格付け「3」はクラックの存在を示す。表2の第2欄は、静的軸線方向破壊テストの結果を示す。表から分かるように、三つの合金はすべて、水焼入れをうけたとき、静的軸線方向破壊テストにおいて好ましい性能を示した。
【0022】
【表2】
【0023】
残りの表3、表4は、強制空気焼入れを使用して製造された押出し成品サンプルの解析から得られたデータを示す。これらすべての合金、6063合金、6063型合金および本発明合金は、上記のように強制空気焼入れを使用して押出し加工された。押出し成品のサンプルは、質別T6まで時効処理され、静的軸線方向破壊テスト、縦方向引張りテストおよび、破壊靱性、耐食性および成形性の相対的レベルを示すため通常使用されるテスト方法を使用して評価される。これらの材料の相対的破壊靱性は、カーン(Kahn)引裂テストを使用して決定される単位伝播エネルギ値(UPE)を比較することによって示される。これらの相対的耐食性はかさ溶液電位測定(bulk solution potential measurements)を使用して比較される。これらの材料の相対的成形性は、乾燥状態および潤滑状態におけるオルセン(Olsen)ドームテストおよび案内曲げテストを使用して評価された。オルセンドームテストは、典型的には、シート状成品の相対的成形性を示すため使用される。この例において、T6押出し成品のサンプルは乾燥状態および潤滑状態において評価され、面ひずみおよび同等の二軸成形状態を擬制する。
【0024】
このテストにおいて、乾燥および潤滑パンチ加工が、一層よい相対的成形性を示す一層大きい値をもった評価中の材料にくびれまたは損傷を発生する、ドーム高さを決定するため使用される。案内曲げテストは最初は、シート成形作業を擬制するため指定された条件の下で成形性を評価するため、開発された。典型的には、評価されるサンプルは、引張り作業において予想される変形を擬制するため予め10%の歪みを与えられかつ引続いて異なった半径のマンドレル上で曲げられたT4シート成品を示している。この押出し成品に対するサービス適用において予想される材料変形の型が与えられると、ストリップのサンプルはT6状態において評価され、予備歪みは使用されなかった。このテストの所望の結果は、クラックなしに小さいマンドレル上で曲げられる可能性であり、この評価によるデータは、典型的には、サンプルの厚さtに対する制限半径Rの比として表現される。この場合、R/t比が小さくなると一層よい成形性を示す。
【0025】
表3、表4に示されたような得られたデータは、6063および6063型材料の強制空冷Al合金押出し成品は(水焼入れをうけた押出し加工物に比較して)静的破壊テストにおける性能のレベル低下を示し、一方、本発明の新規な合金は所望の性能レベルを維持し、噴水冷却成品において得られたものと同じ作動の結果を表示した。本発明のAl合金は、強度に悪影響なしに、カーンテストによって測定された単位伝播エネルギ値(UPE)によって示された改良された技術を表示した。Al合金においては典型的な、靱性が増加すると強度のコストも増加する。これらの金属における−かさ溶液電位測定は、かさ腐食性能(bulk corrosion performance)が匹敵するものと期待しうることを同様に示している。成形性インジケータテストの結果の比較は、テストされた本発明合金の押出し成品が、乾燥および潤滑状態におけるオルセン高さの増大、ならびに達成された案内曲げ半径の所望の増大を表示したことを示している。
【0026】
【表3】
【0027】
表1に記載されたいくつかの材料の評価において得られた結果の比較は、唯一つの図面に図示されている。降伏強度、破断靱性および成形性インジケータの結果は、強制空冷押出し成品サンプルにおいて収集された測定値の平均を示している。データは比較を可能にするため、6063成品に関連して標準化されている。通常の水焼入れ工程の排除はいくつかの明白な利点を生じた。複雑な焼入れ水の分配、供給および回収装置が廃止された。空冷焼入れ装置の導入は、水焼入れによってしばしば損われた寸法的公差に適合する能力を増大する。経費制御および経費減少における積極的衝撃は、押出し工程段階ならびに押出し成品の押出し後の処理において発生した。押出し成品の押出し後の手作業による較正が、いちじるしく減少しあるいは排除された。
【0028】
別に記載されない限り、下記のように定義する。
a.「ksi」は平方インチ当たりキロポンド(1000ポンド)に等しい。
b.組成のパーセンテージは重量%である。
c.「インゴット由来」なる用語は、液体金属から公知のまたは粉末冶金技術以外のその後開発された鋳造工程によって凝固せしめられたことを意味する。この語は直接チル鋳造、電磁鋳造、噴射鋳造およびその変形を含むが、それらに限定されるものではない。
d.組成元素の数値範囲または最少値もしくは最大値、または温度もしくは他の工程関連事項および他の事項について、数を丸める通常のルールから離れてまたはそれに加えて、各数をとくに指定しかつ開示することを意図することにおいて、(i)範囲の記載された最少および最大範囲以内およびそれらの間、または(ii)記載された最小値においてまたはそれ以上、(iii)記載された最大値においてまたはそれ以下は、各分数およびコンマ以下のいずれか一方または双方を含む。(たとえば、1〜10の範囲は、1.1,1.2,・・・・1.9,2,2.1,2.2・・・など10まで、また500〜1000の範囲は501,502・・・など1000まで、間のすべての数および分数、コンマ以下の数、そして5までは、0.01・・・0.1・・・1などを示す。)
本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明は特許請求の範囲の記載内で別途実施しうることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 表1に記載されたいくつかの材料の評価において得られた結果を比較する図面である。
Claims (13)
- 重量で、Mg:0.48〜0.64%、Si:0.4〜0.51%、V:0.1〜0.35%、Fe:0.1〜0.4%を含み、残部がAlと不可避不純物である合金を用意すること、
前記合金から成る部材を押出し加工すること、および
前記合金から成る部材を空気焼入れすること、
以上の各工程を含む改良された細長いAl合金成品を製造する方法。 - 前記合金が、重量で、V:0.2%を含む請求項1に記載された方法。
- 前記合金が、重量で、Mg:0.48〜0.64%、Si:0.4〜0.51%、V:0.2%およびFe:0.2%を含む請求項1に記載された方法。
- 前記押出し加工が、371〜538℃(700〜1000°F)のシリンダ温度で行われる請求項1に記載された方法。
- 前記押出し加工が、454〜510℃(850〜950°F)のシリンダ温度で行われる請求項1に記載された方法。
- 前記焼入れによって、押出し加工成品の温度が121〜232℃(250〜450°F)に低下せしめられる請求項1に記載された方法。
- 前記焼入れによって、押出し加工成品の温度が177℃(350°F)未満に低下せしめられる請求項1に記載された方法。
- 焼入れ後、前記押出し成品が伸長加工される請求項1に記載された方法。
- 押出し成品が0.25〜1.50%の伸長により真直化される請求項8に記載された方法。
- 前記合金を加熱する段階、
前記合金を押出し加工する段階、
前記押出し加工された合金を空気焼入れする段階、
前記押出し加工された合金を人工時効処理する段階、
以上の各段階を含む請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載された方法。 - 押出し成品が車輌の真直フレーム部材である請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載された方法。
- 押出し成品が車輌の真直フレーム部材である請求項10に記載された方法。
- フレームまたは副組立体を製造すべく接合されたAl合金製押出し部材を含み、少なくとも複数の前記Al合金製押出し部材が請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された組成を有するAl合金を含む車輌フレーム。
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