JP3800743B2 - 長周期グレーティングを備えた光ファイバ及びその製造方法 - Google Patents
長周期グレーティングを備えた光ファイバ及びその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度依存性の少ない長周期グレーティングを備えた光ファイバ及びその製造方法に関するものであり、光増幅器の利得等化用フィルタなどに好適である。
【0002】
【従来の技術】
代表的な光ファイバ通信システムは、光信号源と、この光信号源に一端が接続された光ファイバ線路と、この光ファイバ線路の他端に接続された光受信器とを備えている。光ファイバ線路中には、伝送中の信号を増幅するための光増幅器が設置されている。このような光ファイバ通信システムでは、多くの場合、1.5μm帯の信号光が用いられ、光増幅器としてエルビウム(Er)等の希土類が添加された光ファイバアンプが使用されている。希土類が添加された光ファイバアンプは、所定の励起光を入射させて反転分布を形成しておいてから信号光を入射させると、誘導放出を引き起こして入射光を増幅する作用を有している。
【0003】
このような光ファイバアンプの利得特性には、温度には殆ど影響されない短波長側の1530nm近傍にピークを示す領域がある。このため、波長分割多重(WDM)方式の多重化通信システムでは、チャンネルごとに異なる利得が与えられてしまい、これによっていくつかのチャンネルのビット誤り率が高くなるという問題が生じている。このピーク領域の利得を長波長領域と等しい利得まで抑制することができれば広帯域の光ファイバアンプを実現することができる。
【0004】
この課題を解決する方法が、論文「温度無依存型長周期ファイバグレーティング」(1997年電子情報通信学会総合大会:C-3-150)に記載されている。長周期グレーティングの温度依存性は、屈折率が温度に対して上昇傾向を示す酸化ゲルマニウムと下降傾向を示す酸化ホウ素を所定の割合で添加したコアによって光ファイバを作製することで調整している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の温度無依存型長周期ファイバグレーティングは、酸化ゲルマニウムと酸化ホウ素を所定の割合で添加したコアを用いるため、温度に対してきめ細かい調整は可能であるが光ファイバの製造は複雑となる。また、酸化ゲルマニウムを添加した光ファイバに紫外線励起による長周期グレーティングを形成した場合、時間の経過に伴い酸化ゲルマニウムに関連した酸素欠損型の欠陥が熱緩和を生じ、屈折率が変化するという問題がある。さらに、B2O3は1.5μm帯までB-Oの振動に起因する赤外吸収が生じて いるため、損失上問題がある。
【0006】
そこで本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、温度依存性の少ない長周期グレーティングを備えた光ファイバ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる長周期グレーティングを備えた光ファイバは、石英ガラスを主成分とするコアと、石英ガラスを主成分とすると共にコアより屈折率が低くコアより軟化温度が低いクラッドとを有する光ファイバにおいて、コアは、軸方向に周期的に残留引張応力を有することにより、残留引張応力に対応して変動する屈折率分布を有し、コアを伝搬する信号光に損失が極大となる損失波長を中心として所定の波長範囲の減衰を与えることを特徴とする。
【0008】
本発明の光ファイバによれば、軸方向に残留引張応力が存在する部分と、応力が存在しない部分とを周期的に配置した構造であるので、酸化物ドーパントに紫外線を照射して長周期グレーティングを形成する場合のように、酸素欠損型の欠陥が熱によって緩和し、時間の経過に伴い屈折率が変化することがなく、信頼性の高い構成となる。
【0009】
本発明に係わる長周期グレーティングを備えた光ファイバは、コア及びクラッドが、石英ガラスにハロゲン元素及びOHの少なくともいずれかが添加されることを特徴とするものである。このように形成されたコア及びクラッドの屈折率の温度に対する変化は、本発明者等の研究結果によると石英ガラスと殆ど同じ値を示す。したがって、温度が変化してもコアとクラッド間の比屈折率差は殆ど変化しないので、この光ファイバに形成された長周期グレーティングは温度に影響されない特性を示す。
【0010】
本発明に係わる長周期グレーティングを備えた光ファイバは、上記の通り軸方向に残留引張応力が存在する部分と、応力が存在しない部分とを周期的に配置し、かつ、コア及びクラッドには、石英ガラスにハロゲン元素あるいはOHが添加されるので、コアとクラッドとの比屈折率差が−40℃〜80℃の温度範囲において実質的に変化しない温度度無依存性の長周期グレーティングを形成することができる。
【0011】
本発明に係わる長周期グレーティングの製造方法は、石英を主成分とするコアガラスの外周に、石英ガラスを主成分とすると共にコアより屈折率が低くコアより軟化温度が低いクラッドを有する光ファイバ母材を形成する第1工程と、第1工程で形成された光ファイバ母材を線引してコアの周りにクラッドを有する光ファイバを作製すると共に、光ファイバに張力をかけながら線引してコアに残留引張応力を生じさせる第2工程と、第2工程で形成された光ファイバを軸方向に周期的に加熱してコアの残留引張応力を周期的に緩和する第3工程とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係わる長周期グレーティングの製造方法において、第1工程はコア及びクラッドの少なくともいずれかに、ハロゲン元素及びOHの少なくともいずれかを添加して光ファイバ母材を形成する工程であるので、従来の光ファイバ母材の製造方法(VAD法、CVD法等)を格別の装置、技術を投入することなく適用することができる。
【0013】
本発明に係わる第2工程は、光ファイバに張力をかけながら線引してコアに残留引張応力を生じさせる方法である工程であるので、従来の線引方法を適用することができる。
【0014】
本発明に係わる第3工程は、第2工程で形成された光ファイバを軸方向に周期的に加熱することによって、加熱された部分のコアの残留引張応力を緩和し、加熱されない部分には引張応力を残存せしめる方法である。したがって、応力が緩和された部分は添加されたドーパントに対応する屈折率を示すが、応力の加わった部分は残留引張応力に対応して屈折率が低下するので、周期的に屈折率が変化する長周期ファイバグレーティングを形成することができる。このように形成された長周期ファイバグレーティングは、時間の経過に伴い屈折率が変化することが少なく、信頼性の高い特性が得られる。
【0015】
本発明の第3工程において、光ファイバの軸方向に加熱する温度は1100〜1900℃の範囲であることが好ましい。この範囲の温度で加熱することによってコアの残留引張応力を容易に緩和することができる。
【0016】
本発明の第3工程において、アーク放電又はCO2レーザによって加熱するこ とが好ましい。このような加熱手段を採用することによって、局所的なファイバ加熱を行なうことが可能となり、コアの残留引張応力を周期的に緩和することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら長周期グレーティングを備えた光ファイバ及びその製造方法に係わる実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1は、本実施形態の長周期グレーティングを備えた光ファイバの構成を示す図である。図1において、光ファイバ5は、石英ガラスを主成分とするコア3と、コア3の外周にコアより屈折率の低い石英ガラスを主成分とするクラッド4とによって形成され、コア3の屈折率に軸方向に数百μm程度のピッチΛで周期的に変化する屈折率縞1を付与することによって長周期グレーティング2が形成される。
【0019】
長周期グレーティング2は、光ファイバ5を伝搬するコアモードとクラッドモードとの間の結合を誘起するグレーティングであり、グレーティングの空間周波数がコアモードの伝搬定数とクラッドモードの伝搬定数との差となるように設定されていて、コアモードとクラッドモードとの強い結合をもたらすようになっている。この結果、長周期グレーティング2は、コアモードをクラッドモードに放射させる作用を有することになり、コアモードの強度を所定波長(以下、「損失波長」と呼ぶ。)を中心とした狭い帯域にわたって減衰させる。図2は、損失波長λである長周期グレーティングの損失波長特性の一例を示すグラフである。
【0020】
本実施形態の光ファイバ5において、コア3及びクラッド4の少なくともいずれかに、弗素あるいは塩素等のハロゲン元素及びOHの少なくともいずれかを添加することによってコア3とクラッド4との間に所定の屈折率差を形成する。ここで、光ファイバに添加されるドーパントが酸化ゲルマニウム等の酸化物である場合は、酸化ゲルマニウムを添加した光ファイバに紫外線励起による長周期グレーティングを形成した場合、時間の経過に伴い酸化ゲルマニウムに関連した酸素欠損型の欠陥が熱緩和を起こして、屈折率が変化することになり、経時的に安定な特性を得ることができない。
【0021】
これに対して、本実施形態の光ファイバの周期的に変動する屈折率分布は、光ファイバを線引する時にコアに発生させた残留応力を周期的に加熱し、加熱した部分の残留応力を緩和することによって形成されるので、酸素欠損型の欠陥が熱緩和を起こして屈折率が変化することがなく、経時的に安定な特性が得られる。また、光ファイバは石英ガラスのコア及びクラッドに添加されるドーパントがハロゲン元素およびOHに限定されるので、コア及びクラッドの屈折率の温度特性は略等しいため、コアとクラッドとの相対的比屈折率差が温度によって変化することは極めて小さくなる。表1は、−40℃〜80℃の範囲で光ファイバを構成する代表的な物質の温度に対する屈折率の変化率を示すものである。
【0022】
即ち、光ファイバを形成する石英ガラスと弗素等のハロゲン元素並びにOHの添加された石英ガラスとの屈折率の温度に対する変化は、表1に示すように殆ど等しい値である。これに対して従来の酸化ゲルマニウム等の酸化物ドーパントは、表1に示すように屈折率の温度に対する変化が石英ガラスに比べて相違するもの、あるいは温度に対して反対の傾向を示すものもある。
【0023】
【表1】
【0024】
したがって、ハロゲン元素あるいはOH等が添加された石英ガラスの光ファイバは、温度の影響を受けにくく、温度変化に対して安定な長周期グレーティングを形成することができる。
【0025】
本実施形態における長周期グレーティング2は、コア3の屈折率が軸方向にピッチΛで周期的に変化する残留応力によって形成される。残留応力は、光ファイバ5を線引する時にコアに発生させた残留引張応力を周期的に加熱し、加熱した部分の残留応力を緩和することによって形成したものである。
【0026】
このように、光ファイバのコアに引張応力が加われば屈折率が低下し、引張応力が緩和されると復元することは、例えば、論文「残留応力緩和型モードフィールド径変換ファイバの検討」(1993年電子情報通信学会春季大会:C−242)に記載されているように知られている。
【0027】
図3は、石英ガラスをコアとし、コアの外周に弗素を添加した石英ガラスを有する光ファイバ用母材をコア径9μm、クラッド 径125μmの光ファイバに 線引した時の張力Fと比屈折率差(コアとクラッド間)との関係を示すグラフである。図3のグラフが示すように光ファイバ5は、線引時の張力Fが大きく、コア3に残留引張応力を多く残存するほどコアとクラッド間の比屈折率差が小さくなることが分かる。
【0028】
一般に、石英ガラスにドーパントを添加するとガラスの軟化点温度は低下する傾向を示す。例えば、石英ガラスをコアとし、弗素を添加した石英ガラスをクラッドと する光ファイバのように、コアに添加するハロゲン元素あるいはOHの 割合をクラッドに添加するハロゲン元素あるいはOHの割合より少なくすることによって、コアの軟化温度T1とクラッドの軟化温度T2との間にT1>T2なる関係を得ることができ、コアに残留引張応力を発生させることができる。クラッドが軟化温度T2の状態に到達しても、コアは軟化温度T1に到達していないために線引きによる引張応力が内蔵される。このような光ファイバは、コアのひずみを除去できる温度以上に加熱することに よって残留応力を緩和することができる。
【0029】
図4は、コア3の軸方向に残留引張応力が周期的に残存した場合の比屈折率差の分布を示すグラフである。図4において、n0はコア3に加わった引張応力が 緩和された位置の比屈折率差を示し、nFはコア3に未だ引張応力が残存してい る位置の比屈折率差を示し、n0よりΔnF(=n0−nF)だけ小さい値を示す。このように、光ファイバ5を軸方向に周期的に加熱することにより、コア3は加熱により引張応力が緩和された部分と加熱されないで引張応力が残存している部分とが周期的に形成され、加熱する周期に対応して比屈折率差が変化する長周期グレーティングが形成される。
【0030】
次に、本実施形態に係わる長周期グレーティングの製造方法について説明する。本実施形態に使用される光ファイバ母材は、限定的ではないがVAD法、CVD法等によって形成され、石英ガラスを主成分とするコアの外周に、コアより屈折率の低い石英ガラスを主成分とするガラスを有する。コア及びクラッドの少なくともいずれかに、ハロゲン元素(例えば、弗素、塩素等)及びOHの少なくともいずれかが添加され、クラッドに添加されるハロゲン元素あるいはOHの割合はコアに添加される割合より多い。
【0031】
図5は、本実施形態に使用される光ファイバの線引装置の構成を示す図である。図5において、加熱装置11によって光ファイバ母材10を加熱すると同時に、巻取装置16によって一定張力Fが加わるようにガラスファイバ12が線引される。ガラスファイバ12は加熱装置11の直下に設けられたダイ13を通過する間に紫外線硬化樹脂が塗布され、引続き、ダイ13の直下に設けられた紫外線照射装置14を通過する間に紫外線が照射され被覆ファイバ15が作製される。ガラスファイバ12の線引張力Fは、加熱装置11の加熱温度と線引速度によって決定される。すなわち、光ファイバ母材10は、加熱装置11によって線引可能な温度に加熱される。次いで、ガラスファイバ12が線引きされ、引き取る速度が速くなると、光ファイバ母材10の先端部の粘度が十分低下する前に線引きされることになる。そのため、ガラスファイバ12のコア部に引張応力が発生することになる。
【0032】
この時、クラッドはコアに比べて弗素等のハロゲン元素が相対的に多く添加されているので、コアより軟化点温度が低くなっている。したがって、光ファイバの引取り力Fは、コアに集中して加わる。このような状態で硬化すると、コア部に残留引張応力を内蔵するガラスファイバ12が形成される。
【0033】
次に、残留応力を内蔵するガラスファイバ12を軸方向に周期的に加熱して、周期的に残留応力を緩和する方法について説明する。図6は、コア部に残留応力を内蔵しているガラスファイバ12を軸方向に周期的に加熱する装置を示す図である。被覆が除去されたガラスファイバ12は、光ファイバの軸方向がx方向に保持機構22によって保持され、保持機構22はx方向及びx方向と直角方向のy及びz方向に移動可能のステージ23に設けられ、ステージ23の動作は制御装置24によって制御される。
【0034】
また、1対の放電電極26が保持機構22に保持されたガラスファイバ12の軸と直角方向(Y方向)に、かつ、ガラスファイバ12を挟んで所定の間隔を設けて配置される。電極26の間にはアーク放電が発生し、ガラスファイバ12を加熱する。アーク放電のスポットサイズは電極26の間隔を接近させると小さくなり、また、電極26に供給するパワーを小さくすると、小さくなる。アーク放電による周期的な加熱は、制御装置24によってステージ23を移動して行なわれる。
図6において、放電電極26の代わりにCO2レーザを用いてガラスファイバ 12の軸方向に周期的に加熱することができる。レーザ光のスポットサイズはCO2レーザの前面に配置したレンズによって調整される。その他の構成は、アー ク放電の場合と同じである。
【0035】
コアの残留引張応力を緩和するための加熱温度は、コアの軟化温度T1近傍 であることが好ましい。コアの軟化温度T1を越えると光ファイバが溶断する 恐れがあり、低すぎると加熱時間が長くなる。図7は、図3の単一モード光ファイバを用いてグレーティングを形成するために必要な加熱温度と加熱時間との関係を示すグラフである。このグラフから、加熱温度は1100〜1900℃の範囲でコアの残留引張応力を緩和することはできるが、製造効率の観点から1600〜1900℃が好ましい範囲である。
【0036】
(実施例)
コアとなるべき石英ガラスの外周に、クラッドとなるべき弗素を添加した石英ガラスを堆積した光ファイバ母材をVAD法によって形成した。コアと弗素を添加したクラッドとの屈折率差は0.36%である。この光ファイバ母材を図5に示した線引装置によって125gの張力を加えながら線引して、石英ガラスからなる直径9μmのコアと、弗素を添加した石英ガラスからなる外径125μmのクラッドを有する光ファイバを作製した。線引きされた光ファイバのコアとクラッドとの屈折率差は、0.21%である。
【0037】
このように作製された光ファイバを図6に示した加熱装置によって周期的に加熱し、光ファイバの残留引張応力を周期的に緩和した。アーク放電のスポットサイズが100μm、1箇所の加熱時間は2秒、加熱ピッチは420μmである。このように加熱処理した光ファイバを位相差顕微鏡によって軸方向の屈折率分布を測定した。図8は、屈折率分布の測定結果を示すグラフである。加熱処理された部分の比屈折率差n0は略0.36%と光ファイバ母材の比屈 折率差を示しているが、残留引張応力が存在している部分の比屈折率差nFは略 0.2%であり、比屈折率差の変動幅ΔnFが0.15%、変動周期が420μmの長周期グ レーティングが得られた。
【0038】
このようにして得られた長周期グレーティングの透過損失を測定した。図9は、透過損失の波長特性を示す測定結果のグラフであり、明確な帯域阻止フィルタの特性が測定された。図9において、1512nmと1542nmに透過損失の極大値が現われているが、これはコアモードと結合する2種類のクラッドモードによるものである。
【0039】
このように作製した長周期グレーティングを備えた光ファイバについて、温度に対する損失波長特性を測定した。変化させた温度範囲は−40℃〜80℃である。その結果、上記の温度範囲に対する損失ピーク波長の変化は1512nm〜1513nmであり、実質的に変化がみられず、温度無依存性の長周期グレーティングを得ることができた。
【0040】
因みに、クラッドが石英ガラス、コアが酸化ゲルマニウムを添加した石英ガラスによって単一モード光ファイバを形成し、この単一モード光ファイバのコア軸方向に周期的に紫外線を照射して変動周期が420μmの長周期グレーティングを形成した。この光ファイバについて−40℃〜80℃の温度範囲で損失波長を測定したところ、損失波長は1512nm〜1523nmの範囲で変化し、本実施形態のものに比べて十倍以上変化することが確認された。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の長周期グレーティングを備えた光ファイバは、軸方向に残留引張応力を周期的に配置した構造であるので、時間の経過に伴い屈折率が変化することが少なく、信頼性の高い構成である。本発明に係わる長周期グレーティングを備えた光ファイバは、温度が変化してもコアとクラッド間の比屈折率差は殆ど変化しないので安定した長周期グレーティングが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の長周期グレーティングを備えた光ファイバの構成を示す図である。
【図2】 本実施形態に係わる長周期グレーティングの損失波長特性を示すグラフである。
【図3】 本実施形態に係わる光ファイバの線引時の張力Fと比屈折率差との関係を示すグラフである。
【図4】本実施形態に係わる長周期グレーティングの長手方向の位置に対する比屈折率差の分布を示すグラフである。
【図5】 本実施形態に使用される光ファイバを線引する装置の構成を示す図である。
【図6】ガラスファイバの軸に沿って周期的に加熱する装置を示す図である。
【図7】 ガラスファイバの残留引張応力を緩和するために必要な加熱温度と加熱時間との関係を示すグラフである。
【図8】実施例1に係わる長周期グレーティングの長手方向の位置に対する比屈折率差の分布を示すグラフである。
【図9】実施例1に係わる長周期グレーティングの透過損失特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・屈折率縞、2・・・長周期グレーティング、3・・・コア、4・・・クラッド、5・・・長周期グレーティングを備えた光ファイバ、10・・・光ファイバ母材、11・・・ 加熱装置、 12・・・ガラスファイバ、13・・・ダイ、14・・・紫外線照射装置、15・・・被覆ファイバ、16・・・巻取装置、22・・・保持機構、23・・・ステージ、24・・・コントローラ、26・・・電極、F・・・張力、n・・・屈折率、T・・・ 温度、Λ・・・間隔(ピッチ)、λ・・・波長
Claims (7)
- 石英ガラスを主成分とするコアと、石英ガラスを主成分とすると共に前記コアより屈折率が低く前記コアより軟化温度が低いクラッドとを有する光ファイバにおいて、
前記コアは、軸方向に周期的に残留引張応力を有することにより、前記残留引張応力に対応して変動する屈折率分布を有し、
前記コアを伝搬する信号光に損失が極大となる損失波長を中心として所定の波長範囲の減衰を与えること、
を特徴とする長周期グレーティングを備えた光ファイバ。 - 前記コア及び前記クラッドは、石英ガラスにハロゲン元素及びOHの少なくともいずれかが添加されることを特徴とする請求項1に記載する長周期グレーティングを備えた光ファイバ。
- 前記光ファイバのコアとクラッドとの比屈折率差が、−40℃〜80℃の温度範囲において実質的に変化しないことを特徴とする請求項1に記載する長周期グレーティングを備えた光ファイバ。
- 石英ガラスを主成分とするコアの外周に、石英ガラスを主成分とすると共に前記コアより屈折率が低く前記コアより軟化温度が低いクラッドを有する光ファイバ母材を形成する第1工程と、
前記第1工程で形成された光ファイバ母材を線引してコアの周りにクラッドを有する光ファイバを作製すると共に、前記光ファイバに張力をかけながら線引して前記コアに残留引張応力を生じさせる第2工程と、
前記第2工程で形成された光ファイバを軸方向に周期的に加熱して前記コアの残留引張応力を周期的に緩和する第3工程と、
を備えることを特徴とする長周期グレーティングの製造方法。 - 前記第3工程は、光ファイバの軸方向に周期的に1100〜1900℃に加熱する工程であることを特徴とする請求項4に記載の長周期グレーティングの製造方法。
- 前記第3工程は、アーク放電によって加熱する工程であることを特徴とする請求項4又は5に記載の長周期グレーティングの製造方法。
- 前記第3工程は、CO2レーザによって加熱する工程である ことを特徴とする請求項4又は5に記載の長周期グレーティングの製造方法。
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