JP3794617B2 - Cdma移動通信方式における移動局のセルサーチ方法、並びに、cdma移動通信システム - Google Patents
Cdma移動通信方式における移動局のセルサーチ方法、並びに、cdma移動通信システム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、参照信号として、相関検出対象であるスロットのPSCH( Primary Synchronisation Channel、以下、PSCHという)のみならず、当該スロットの前後のスロットのPSCH又はSSCH(Secondary Synchronisation Channel、以下、SSCHという)をも用いてSSCHの相関検出を行うことが可能な、CDMA(Code Division Multiple Access)移動通信方式における移動局のセルサーチ方法、並びに、CDMA移動通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、CDMA移動通信方式では、移動局は、ある基地局と通信をする際や、ある基地局に対して受信電力の測定などを行う際に、まず、その基地局からの下り信号を検出し、これに同期しなければならない。これをセルサーチと呼ぶ。
【0003】
このセルサーチは、移動局が下り信号に関する各種の測定を行う際や、基地局と通信を行う際、或いはハンドオーバーを行う際など、様々な場面で必要である。また、移動局の消費電力の削減や、円滑なハンドオーバーを行うため、さらに、適切な基地局を選択してシステム容量を確保するために、セルサーチはできるだけ高速化・高精度化する必要がある。
【0004】
このような高速化・高精度化の要望に答えるために、PSCHやSSCHの送信電力を大きくすることが1つの解決方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図9は、従来のSSCHの相関検出方法を示す。
【0006】
W(Wide−band)−CDMAにおける一般的なセルサーチ方法では、まず、第1工程として、受信信号をPSCHに対応したマッチトフィルタ1に入力し、ピーク検出を行うことによって、スロット境界の検出が行われる。
【0007】
以下の工程では、SSCHを用いて、フレーム境界の特定と、拡散符号(SSC)系列(SSC ; Secondary Synchronisation Code)の特定が行われる。
【0008】
次に、第2工程では、既に、第1工程においてスロット境界が特定されているため、PSCHが受信された同じタイミングでSSCHの受信を行い、可能性のある全てのSSCで相関をとる。
【0009】
図9では、4番目のスロット4が、相関検出対象のスロットとする。このスロット4からの信号は、PSCH相関器20と、SSCH相関器21に入力される。PSCH相関器20からはPSCHの相関出力値が出力され、SSCH相関器21からはSSCHの相関出力値が出力される。
【0010】
次に、第3工程では、同じタイミングで受信されたPSCH(複素共役で表される)の相関出力値を参照信号として用い、乗算器30によってその複素共役であるPSCHの相関出力値をSSCHの相関値に乗積する。これにより、伝搬路において加えられた振幅および位相の変動が補正され、その結果、SSCHの位相が信頼度に応じて重み付けされた上で揃えられる。
【0011】
次に、第4工程では、演算器40によって、複数スロットに渡ってSSC系列に合わせて各SSCの相関出力値を複素数のまま平均化する。
【0012】
次に、第5工程では、選択器50によって、その平均化された各SSCの相関出力値の基準位相方向成分(PSCHとSSCHの基準位相方向が同じである場合には、加算された相関値の実数部Re)が最大となるSSC系列およびフレーム境界を選択する。
【0013】
次に、第6工程では、スクランブル符号検出器60によって、基地局から既知の拡散符号およびシンボルパターンで連続的に送信されている共通パイロット信号を用いて、第5工程までで検出されたフレーム境界に基づき、候補のスクランブル符号の中から最も確からしいコードを検出する。
【0014】
上述したように、従来においては、SSCHの相関検出を行う際、検出精度を高めるために、相関検出対象である、あるスロットのSSCHの相関出力値は、そのスロットのPSCH( Primary Synchronisation CHannel)の相関出力値を参照信号として伝搬路の振幅および位相の変動量を推定し、その推定結果を用いてSSCHの相関出力値の振幅および位相を補正し、それを複素数のまま複数スロット分平均化した結果の基準位相方向成分をとり、これが最大となるSSC系列およびフレーム境界を選択していた。
【0015】
しかし、上記従来のCDMA移動通信方式では、PSCHやSSCHの送信電力を大きくするほどシステム容量が小さくなってしまうという問題がある。その結果、セルサーチの高速化・高精度化を図ることができず、ひいては、移動局の消費電力の省力化、円滑なハンドオーバー、適切な基地局の選択を行うことができないという問題がある。
【0016】
そこで、本発明の目的は、セルサーチ時間の短縮や、検出精度の改善を図ることが可能な、CDMA移動通信方式における移動局のセルサーチ方法、並びに、CDMA移動通信システムを提供することにある。
【0017】
また、本発明の他の目的は、従来と同じセルサーチ時間・精度によってPSCHおよびSSCH送信電力を削減し、システム容量を増大することが可能な、CDMA移動通信方式における移動局のセルサーチ方法、並びに、CDMA移動通信システムを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数のスロットから構成されるフレーム内で全スロット共通であり、かつ、全セル共通な拡散符号を有する第1の同期チャネル信号と、前記フレーム内でスロット毎に異なり、かつ、セル毎に異なる拡散符号を有する第2の同期チャネル信号とを用い、前記各同期チャネル信号を、フレーム単位で構成される拡散符号系列として基地局から移動局に送信してセルサーチを行うCDMA移動通信方式における通信方法であって、前記移動局は、前記第2の同期チャネル信号の相関検出に際し、相関検出対象である所定の位置のスロットの相関出力値を求める場合、当該所定の位置のスロットおよび該スロットの前後に位置する複数のスロットにおける前記第1の同期チャネル信号の相関出力値、又は、当該所定の位置のスロットの前後に位置する複数のスロットにおける前記第2の同期チャネル信号の相関出力値を参照信号として、伝搬路における振幅および位相の変動量を推定する変動量推定工程と、前記推定された変動量を用いて、前記第2の同期チャネル信号の所定の位置のスロットにおける相関出力値の振幅および位相を補正することによって、複素数を含む第1の相関値を出力する補正工程と、前記出力された複素数を含む第1の相関値を、複数スロット分平均化することによって、基準位相方向成分を含む第1の総合相関値を出力する平均化工程と、前記平均化された第1の総合相関値のうち、前記基準位相方向成分が最大となる拡散符号系列およびフレーム境界を選択する選択工程とを具えることによって、CDMA移動通信方式における移動局のセルサーチ方法を提供する。
【0019】
ここで、前記基地局は、前記第1の同期チャネル信号および前記第2の同期チャネル信号を2つのアンテナからスロット毎に送信する工程をさらに具え、前記移動局は、前記2つのアンテナからスロット毎に送信される前記第2の同期チャネル信号の相関検出に際し、所定の位置のスロットの相関出力値を求める場合、当該所定の位置のスロットおよび該スロットと同一アンテナから送信されたと推定されるスロットにおける前記第1の同期チャネル信号の相関出力値、又は、当該所定の位置のスロットの前後に位置する複数のスロットであって、かつ、当該所定の位置のスロットと同一アンテナから送信されたと推定されるスロットにおける前記第2の同期チャネル信号の相関出力値を参照信号として、伝搬路における振幅および位相の変動量を推定する変動量推定工程と、前記推定された変動量を用いて、前記第2の同期チャネル信号の所定の位置のスロットにおける相関出力値の振幅および位相を補正することによって、複素数を含む第2の相関値を出力する補正工程と、前記出力された複素数を含む第2の相関値を、複数スロット分平均化することによって、基準位相方向成分を含む第2の総合相関値を出力する平均化工程と、前記平均化された第2の総合相関値のうち、前記基準位相方向成分が最大となる拡散符号系列およびフレーム境界を選択する選択工程とをさらに具えてもよい。
【0020】
前記推定した伝搬路における振幅および位相の変動量に、信頼度に応じて重み付けを行う工程をさらに具えてもよい。
【0021】
前記基地局から送信される制御信号に含まれる前記アンテナの本数に関する情報に基づいて、前記参照信号とする前記第1の同期チャネル信号又は前記第2の同期チャネル信号のスロット数の選択範囲、又は、前記伝搬路における変動量を推定する際の重み付け値を変更する工程をさらに具えてもよい。
【0022】
前記アンテナの本数に対応したセルサーチの試行回数に基づいて、前記参照信号とする前記第1の同期チャネル信号又は前記第2の同期チャネル信号のスロット数の選択範囲、又は、前記伝搬路における変動量を推定する際の重み付け値を変更する工程をさらに具えてもよい。
【0023】
前記第1の相関値と前記第2の相関値とをそれぞれ重み付けした上でスロット毎に加算する工程をさらに具えてもよい。
【0024】
前記第1の総合相関値の最大値と前記第2の総合相関値の最大値とをそれぞれ重み付けし、前記基準位相方向成分がより大きい方を選択する工程をさらに具えてもよい。
【0025】
前記参照信号とする前記第1の同期チャネル信号又は前記第2の同期チャネル信号のスロット数の選択範囲、又は、前記平均化時の重み付けの値を互いに異ならせて複数の前記第1の相関値又は前記第2の相関値を出力する工程と、前記出力された複数の前記第1相関値又は前記第2相関値を重み付けして加算する工程とをさらに具えてもよい。
【0026】
前記参照信号とする前記第1の同期チャネル信号又は前記第2の同期チャネル信号のスロット数の選択範囲、又は、前記平均化時の重み付けの値を変更する工程をさらに具えてもよい。
【0027】
前記参照信号とする前記第1の同期チャネル信号又は前記第2の同期チャネル信号のスロット数の選択範囲、又は、前記平均化時の重み付けの値を、互いに異ならせて複数の前記第1の相関値又は前記第2の相関値を出力する工程と、前記出力された複数の前記第1相関値又は前記第2相関値を、複素数のままそれぞれ複数スロット分加算して複数の総合相関値を出力する工程とをさらに具えてもよい。
【0028】
前記参照信号とする前記第1の同期チャネル信号又は前記第2の同期チャネル信号のスロット数の選択範囲、又は、前記平均化時の重み付けの値を、移動局の移動速度に応じて変更してもよい。
【0029】
前記参照信号とする前記第1の同期チャネル信号又は前記第2の同期チャネル信号のスロット数の選択範囲、又は、前記平均化時の重み付けの値を、移動局が電源投入時であるか、待ち受け中であるか、或いは通信中であるかによって変更してもよい。
【0030】
本発明は、複数のスロットから構成されるフレーム内で全スロット共通であり、かつ、全セル共通な拡散符号を有する第1の同期チャネル信号と、前記フレーム内でスロット毎に異なり、かつ、セル毎に異なる拡散符号を有する第2の同期チャネル信号とを用い、前記各同期チャネル信号を、フレーム単位で構成される拡散符号系列として基地局から移動局に送信してセルサーチを行うCDMA移動通信システムであって、前記移動局は、前記第2の同期チャネル信号の相関検出に際し、相関検出対象である所定の位置のスロットの相関出力値を求める場合、当該所定の位置のスロットおよび該スロットの前後に位置する複数のスロットにおける前記第1の同期チャネル信号の相関出力値、又は、当該所定の位置のスロットの前後に位置する複数のスロットにおける前記第2の同期チャネル信号の相関出力値を参照信号として、伝搬路における振幅および位相の変動量を推定する変動量推定手段を設け、前記推定された変動量を用いて、前記第2の同期チャネル信号の所定の位置のスロットにおける相関出力値の振幅および位相を補正して総合相関値を出力し、該総合相関値の基準位相方向成分が最大となる拡散符号系列およびフレーム境界を選択することによって、CDMA移動通信システムを構成する。
【0031】
(具体的な構成要件)
また、以下のような、より具体的な構成要件としてもよい。
【0032】
本発明は、移動局が基地局からの下り信号に同期をあわせるために、基地局がスロット周期で、全スロット共通の拡散符号を用い、かつその拡散符号は全セル共通であるPSCH(Primary Synchronisation CHannel)を送信し、かつ、スロット周期で、フレーム内でスロット毎に異なる拡散符号を用い、かつその拡散符号系列はフレーム周期で繰り返され、かつその拡散符号系列はセル毎に異なるSSCH(Secondary Synchronisation CHannel)を送信するCDMA移動通信システムにおける移動局のセルサーチ方法であって、移動局が、SSCHの相関検出を行う際に、当該スロットおよびその前後の複数のスロットのPSCH、または当該スロットの前後のSSCHを参照信号として伝搬路における振幅および位相の変動量を推定し、その伝搬路推定結果を用いて受信されたSSCHの相関出力値の振幅および位相を補正して第1相関値を出力し、さらにそれらを複素数のまま複数スロット分平均化して第1総合相関値を出力し、その基準位相方向成分が最大となる拡散符号系列およびフレームタイミングを選択することを特徴とする。
【0033】
また、上記セルサーチ方法において、前記伝搬路推定を行う際に、それぞれのスロットのPSCH又はSSCHによる推定結果を重み付けした上で平均化することで全体としての伝搬路推定結果を得ることを特徴とする。
【0034】
また、上記セルサーチ方法において、PSCHおよびSSCHが2つのアンテナからスロット毎に交互に送信されている場合に、当該スロットおよびその前後の当該スロットと同一アンテナから送信されたと推定されるスロットのPSCH、または当該スロットの前後の当該スロットと同一アンテナから送信されたと推定されるSSCHを参照信号として伝搬路における振幅および位相の変動量を推定し、その伝搬路推定結果を用いて受信されたSSCHの振幅および位相を補正して第2相関値を出力し、さらにそれらを複素数のまま複数スロット分平均化して第2総合相関値を出力することを特徴とする。
【0035】
また、上記セルサーチ方法において、基地局から送信される制御信号に基づいて参照信号とするPSCHのスロットまたはSSCHのスロット、さらには伝搬路推定を行う際の重み付け方法を選択する制御を行うことを特徴とする。
【0036】
また、上記セルサーチ方法において、試行回数に基づいて参照信号とするPSCHのスロットまたはSSCHのスロット、さらには伝搬路推定を行う際の重み付け方法を選択する制御を行うことを特徴とする。
【0037】
また、上記セルサーチ方法において、前記第1相関値と前期第2相関値とをそれぞれ重み付けした上でスロット毎に加算することを特徴とする。
【0038】
また、上記セルサーチ方法において、前記第1総合相関値の最大値と前記第2総合相関値の最大値とをそれぞれ重み付けし、基準位相方向成分がより大きい方を選択することを特徴とする。
【0039】
また、上記セルサーチ方法において、伝搬路推定を行う際のPSCH又はSSCHのスロットや、平均化時の重み付け方法が互いに異なる複数の方法で前記第1相関値または第2相関値を出力し、複数の前記第1相関値または第2相関値を重み付けして加算することを特徴とする。
【0040】
また、上記セルサーチ方法において、伝搬路推定を行う際のPSCH又はSSCHのスロットや、平均化時の重み付け方法が互いに異なる複数の方法で前期第1相関値または第2相関値を出力し、さらにそれらを複素数のままそれぞれ複数スロット分加算して複数の第1総合相関値を出力することを特徴とする。
【0041】
また、上記セルサーチ方法において、伝搬路推定を行う際のPSCH又はSSCHのスロットや、平均化時の重み付け方法を適応的に変化させることを特徴とする。
【0042】
また、上記セルサーチ方法において、伝搬路推定を行う際のPSCHまたはSSCHのスロットや、平均化時の重み付け方法を、移動局の移動速度に応じて適応的に変化させることを特徴とする。
【0043】
また、上記セルサーチ方法において、伝搬路推定を行う際のPSCHまたはSSCHのスロットや、平均化時の重み付け方法を、移動局が電源投入時であるか、待ち受け中であるか、通信中であるかによって変化させることを特徴とする。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0045】
[第1の例]
本発明の第1の実施の形態を、図1〜図5に基づいて説明する。なお、前述した従来技術と同一部分についてはその説明を省略し、同一符号を付す。
【0046】
本例では、CDMA移動通信システムにおいて、第1の同期チャネル信号としてのPSCH(Primary Synchronisation CHannel)と、第2の同期チャネル信号としてのSSCH(Secondary Synchronisation CHannel)とを用い、フレーム単位で構成される拡散符号系列として基地局から移動局に送信してセルサーチを行う例について説明する。
【0047】
PSCHは、複数のスロットから構成されるフレーム内で全スロット共通であり、かつ、全セル共通な拡散符号を有する信号である。
【0048】
SSCHは、フレーム内でスロット毎に異なり、かつ、セル毎に異なる拡散符号系列を有する信号である。
【0049】
(PSCH,SSCH送信方法)
図2は、CDMA移動通信システムの代表例であるW(Wide−band)−CDMAにおける下りPSCHおよびSSCH送信方法を示す。
【0050】
CDMA移動通信方式では、セルサーチを高速に行うために、基地局からスロット毎に、第1の同期チャネル信号としてのPSCHと、第2の同期チャネル信号としてのSSCHとを送信する方法がある。
【0051】
PSCHは、全セル共通の拡散符号(PSC ; Primary Synchronisation Code)が用いられる。移動局は、受信信号をこの拡散符号に対応したマッチトフィルタに入力することで、スロット境界の検出を行う。
【0052】
SSCHは、フレーム(1つのフレームはいくつかのスロットで構成される)を周期とし、スロット毎に異なる拡散符号(SSC ; Secondary Synchronisation Code)を用いて送信され、これらは1フレーム全体としてSSC系列を構成する。一般に、この拡散符号系列は、セル毎に異なる系列が用いられる。
【0053】
このSSC系列は一般にセル毎に異なり、各SSC系列にスクランブル符号のグループを対応させることによって、スクランブル符号の同定を高速化することができる。
【0054】
(フレーム境界の検出)
PSCHおよびSSCHは、スロット毎にコード多重されて送信される。そして、PSCHを用いてスロット境界を検出した移動局は、次にフレーム境界を検出するために、全てのSSCH拡散符号系列、若しくは基地局から予め与えられた情報などから選択したいくつかのSSCH拡散符号系列を、スロット単位でシフトして受信信号との相関をとることによって、フレーム境界の検出を行う。
【0055】
このとき、それぞれの拡散符号系列には、スクランブル符号のグループが対応づけられており、これにより、スクランブル符号の同定の時間短縮が図られる。
【0056】
(具体例)
以下、具体例を挙げて説明する。
【0057】
本発明は、SSCHの相関検出の際に、参照信号として、当該スロットのPSCHのみならず、当該スロットの前後のスロットのPSCH又はSSCHをも用いることを特徴とするものである。
【0058】
(システム構成)
CDMA移動通信システムを構成する移動局には、PSCH相関器100〜102と、SSCH相関器110〜112と、推定器200と、補正部300、平均化処理部400と、選択部500と、スクランブル符号検出部600とから構成される。
【0059】
推定器200は、SSCHの相関検出に際し、相関検出対象である所定の位置のスロット(図1では、2番目のスロット2に相当する)の相関出力値B1を求める場合、当該所定の位置のスロット2および該スロット2の前後に位置する複数のスロット1,3(1番目と3番目のスロット)におけるPSCHの相関出力値A0,C0、又は、当該所定の位置のスロット2の前後に位置する複数のスロット1,3におけるSSCHの相関出力値A1,C1を参照信号として、伝搬路における振幅および位相の変動量H3を推定する機能をもつ。
【0060】
補正部300は、乗算器により構成され、推定された変動量H3を用いて、SSCHの所定の位置のスロットにおける相関出力値の振幅および位相を補正して、複素数として表される第1の相関値H4を出力する機能をもつ。
【0061】
平均化処理部400は、加算器により構成され、出力された複素数の第1の相関値H4を、複数スロット分平均化して、基準位相方向成分を含む第1の総合相関値H5を出力する機能をもつ。
【0062】
選択部500は、平均化された第1の総合相関値H5のうち、基準位相方向成分が最大となる拡散符号系列およびフレーム境界を選択する機能をもつ。
【0063】
スクランブル符号検出部600は、基地局から既知の拡散符号およびシンボルパターンで連続的に送信されている共通パイロット信号を用いて、上記処理により選択されたフレーム境界に基づき、候補のスクランブル符号の中から最も確からしいコードを検出する機能をもつ。
【0064】
(システム動作)
以下、本システムの動作について説明する。
【0065】
セルサーチに使用されるSSCH相関検出方法の1例を、図1に基づいて説明する。
【0066】
(検出原理)
まず、SSCH相関検出の原理について説明する。
【0067】
伝搬路推定において、逆拡散後の受信信号rは、
r=S・f …(1)
ただし、S:送信シンボル、f:伝搬路、(雑音は無視)
従って、Sが既知であれば、r/Sの計算によりfが算出される。
【0068】
あるスロットにおける伝搬路推定を行う際、従来の場合には、そのスロットのPSCHだけを受信して伝搬路推定を行うが、本発明の場合には、相関検出対称であるスロットの前後のスロットにおけるPSCHも受信して伝搬路推定を行い、得られた結果を(重み付けを行って)平均化することによって、雑音や干渉の影響を軽減するものである。
【0069】
(計算例)
次に、計算例について説明する。
【0070】
図1において、SSCHの相関検出に際し、相関検出対象のスロットを、2番目のスロット2と仮定する(図1では、1フレームが10個のスロットから構成されているものとする)。
【0071】
今、スロット1からはA、相関検出対象であるスロット2からはB、スロット3からはCの各信号が検出されたものとする。A信号は、PSCH相関器100およびSSCH相関器110Iに入力される。B信号は、PSCH相関器101およびSSCH相関器111Iに入力される。A信号は、PSCH相関器102およびSSCH相関器112Iに入力される。
【0072】
そして、PSCH相関器100からは相関出力値A0、SSCH相関器110からは相関出力値A1、PSCH相関器101からは相関出力値B0、PSCH相関器102からは相関出力値C0、SSCH相関器112からは相関出力値C1がそれぞれ出力され、これらの各値は推定器200に入力される。なお、SSCH相関器111からは相関出力値B1が出力されるが、
推定器200においては、上記(1)式に基づいて処理を行う。
【0073】
相関出力値A0,B0,C0 を(1)式に入力して、Sで割る。これにより、f-1=A0/S,f0=B0/S,f1=C0/Sを算出する。
【0074】
同様に、相関出力値A1,C1 を(1)式に入力して、Sで割る。これにより、f'-1=A1/S,f'1=C1/Sを算出する。
【0075】
すなわち、 H1=f-1+f0+f1 …(2)
H2=f'-1+f'1 …(3)
さらに、 H3=H1+H2 …(4)
とする。
【0076】
そして、(4)式で求めた変動量H3の複素共役H3 * を求め、この値H3 * を推定器200から出力して補正部300に入力する。
【0077】
補正部300では、H3 * とSSCH相関器111から出力された相関出力値B1 との積をとり、複素数の第1の相関値H4(=H3 *×B1)を出力する。
【0078】
平均化処理部400では、出力された複素数の第1の相関値H4を、複数スロット分平均化して、第1の総合相関値H5を出力する。
【0079】
この場合、1フレームが10個のスロットから構成されている場合には、1フレーム当たりの相関検出対象のスロット数は10個であるため、第1の総合相関値H5は、H4を10個分加算した値となる。さらに、相関検出対象の全フレーム数が例えば35であれば、10×35の値が総相関検出対象数となり、この総数値が第1の総合相関値H5として出力される。
【0080】
選択部500では、その出力された第1の総合相関値H5のうち、基準位相方向成分が最大となる拡散符号系列およびフレーム境界を選択する。
【0081】
(基準位相方向成分)
ここで、基準位相方向成分を、図3に基づいて説明する。
【0082】
今、図3(a)に示すようなSSCHの信号(シンボルS)を出力し、あるスロットのSSCHを受信すると、図3(b)に示すように伝搬路の影響によってシンボルSは振幅および位相が変化して、受信信号rとなる。
【0083】
しかし、伝搬路の振幅および位相は推定できるため、上記の伝搬路推定処理の結果を利用して、図3(c)に示すように元のシンボルSの信号に戻すことが可能である。
【0084】
図3の例では、基準位相方向成分は、IQ平面上の+45°の方向であるため、この方向の値が最も大きいものを、第1の総合相関値H5の中から選択することになる。実際には、図3(c)に示すように最後に右45°回転してやり、その結果、I(実軸)成分が最大となるものを選択することになる。
【0085】
その後、スクランブル符号検出部600では、基地局から既知の拡散符号およびシンボルパターンで連続的に送信されている共通パイロット信号を用いて、上記処理により選択されたフレーム境界に基づき、候補のスクランブル符号の中から最も確からしい符号を検出する。
【0086】
上述したように、あるスロットのSSCHの相関検出の際、当該スロットのPSCHだけではなく、その前後の複数スロットのPSCH、さらには前後の複数スロットのSSCHも使って伝搬路の振幅および位相の変動量を推定する。
【0087】
PSCHは全スロット共通の拡散符号であるのに対し、SSCHはフレーム内でスロット毎に異なる拡散符号が用いられるため、単純に参照信号として使うことはできないが、あるSSC系列およびフレームタイミングを仮定した場合、当該スロットの前後のSSCHで使われるSSCは特定できるため、これを参照信号として用いることにより、PSCHだけを使う場合よりもさらに高精度の伝搬路推定が可能となり、その結果相関検出の精度を上げることができる。
【0088】
[変形例]
次に、変形例について説明する。
【0089】
上記システムにおいて、前記推定した伝搬路における振幅および位相の変動量に、信頼度に応じて重み付けを行うようにしてもよい。
【0090】
(重み付け)
伝搬路推定は、各スロットにおけるPSCH又はSSCHの相関値を平均化することで行われるが、その際に重み付けを行って平均化することによって、フェージングや周波数ドリフトなどによる受信信号の位相変動の影響を軽減することができる。
【0091】
すなわち、相関検出対象のスロットから時間的に遠ざかるほど重みを小さくすることにより、受信信号の位相変動があっても高精度な相関検出が可能となる。
【0092】
移動局のハードウエア規模縮小や消費電力削減の目的で、当該スロットとその前後の複数のスロットのPSCHのみを用い、前後スロットのSSCHは用いない方法も考えられる。
【0093】
ここで、重み付けの計算例について説明する。
【0094】
図1において、PSCH相関器100は重みm-1、SSCH相関器110は重みm'-1、PSCH相関器101は重みm0、PSCH相関器102は重みm1、SSCH相関器112Iは重みm'1とする。
【0095】
上記(2)、(3)式は、以下のように変形される。
【0096】
H1=(m-1f-1+m0f0+m1f1)/(m-1+m0+m1) …(5)
H2=(m'-1f'-1+m'1f'1 )/( m'-1+m'1) …(6)
この場合、fは時間的に変動するので、例えば(m-1+m0+m1)=(1,2,1)などと重み付けをして平均化する。
【0097】
移動局で移動速度が推定できるときは、速度に応じて、
低速時(m-1+m0+m1)=(1,1,1)
高速時(m-1+m0+m1)=(1,2,1)
などと設定してもよい。なお、重み付けの度合いは、速度、信頼度、検出対象スロットからの距離等に応じて、変化させることが可能である。
【0098】
その後の処理は、上記例と同様である。
【0099】
(計算機シミュレーション)
図4は、本システムにおける計算機シミュレーション結果を示す。
【0100】
横軸は、セルサーチ時間であり、縦軸は、サーチ成功したユーザの累積確率を示す。累積確率は、(セルサーチできたユーザ数)/(全ユーザ数)として表される。
【0101】
フェージングの最大ドップラー周波数fDは80[Hz]で、基地局からの信号の総受信電力と、他セル干渉および熱雑音電力の和との比Stotal/Nは、−9[dB]である。
【0102】
この図4からわかるように、従来方式よりも、本システムにおいて前後のスロットのPSCHを用いた場合の方が、同じサーチ成功確率を短時間で達成することができる。前後のスロットのPSCHとSSCHを用いた場合には、さらに短時間で達成することができる。
【0103】
(重み付けの効果)
図5は、本システムにおける伝搬路推定の際の重み付けの効果を説明するための計算機シミュレーション結果を示す。
【0104】
横軸は、フェージングの最大ドップラー周波数であり、縦軸は、95%のユーザがサーチ成功するのに要する時間である。
【0105】
重み付けを行わない場合には、低速時にサーチ時間短縮が可能であるが、高速時において従来方式よりもサーチ時間が長くなってしまう。
【0106】
一方、重み付けを行うと、低速から高速まで全ての領域において、従来方式よりもサーチ時間を短縮できる。従って、考慮すべき最大の移動速度に応じて適切に重み係数を決定すればよい。
【0107】
図5の例では、相関検出対象のスロットの前後の1スロットまでのPSCHおよびSSCHを用いて伝搬路推定を行っている。この場合における重み付けは、
(m-1,m0,m1,m'-1,m'1)=(0.1,1.0,0.1,0.1,0.1)
である。
【0108】
2GHz帯域で300km/hまでの移動速度を考慮する場合、最大ドップラー周波数は最高で555Hzとなるため、図5から上記の重み付けが適当であるといえる。
【0109】
[第2の例]
本発明の第2の実施の形態を、図6〜図7に基づいて説明する。なお、前述した第1の例と同一部分についてはその説明を省略し、同一符号を付す。
【0110】
本例は、PSCHやSSCHに、 TSTD(Time Switched Transmit Diversity)が適用されている場合、或いは設定により適用可能な場合にも、最も効果的に伝搬路推定が行えるような構成とした例である。
【0111】
以下、具体例を挙げて説明する。
【0112】
図6は、SCHにTSTD(Time Switched Transmit Diversity)が適用されている場合の例を示す。
【0113】
本システムを構成する基地局は、PSCHおよびSSCHを2つのアンテナからスロット毎に交互に送信する機能を備えている。
【0114】
このとき、SCHは2本のアンテナからスロット単位で交互に送信されるため、移動局は、同一アンテナから送信された1スロットおきのPSCHおよびSSCHを用いて伝搬路推定を行えばよい。
【0115】
移動局は、2つのアンテナからスロット毎に交互に送信される第2の同期チャネル信号の相関検出に際し、相関検出対象であるスロット3の相関出力値を求める場合、当該スロット3および該スロット3と同一アンテナ(ここでは、アンテナ1側)から送信されたと推定されるスロット1,5におけるPSCHの相関出力値(又は、当該スロット3の前後に位置する複数のスロットと同一アンテナから送信されたと推定されるスロットにおけるSSCHの相関出力値)を参照信号として、推定器200において伝搬路における振幅および位相の変動量を推定する。これにより、前述した(2)〜(4)式を用いて、変動量H3を求める。なお、変動量算出以後の補正部300、平均化処理部400、選択部500、スクランブル符号検出部600における処理は、前述した第1の例と同様である。
【0116】
すなわち、推定された変動量を用いて、SSCHの相関検出対象のスロット3における相関出力値の振幅および位相を補正して、複素数を含む第2の相関値を出力する。
【0117】
平均化処理部400では、その出力された複素数を含む第2の相関値を、複数スロット分平均化して、基準位相方向成分を含む第2の総合相関値を出力する。
【0118】
選択部500では、平均化された第2の総合相関値のうち、基準位相方向成分が最大となる拡散符号系列およびフレーム境界を選択する。このようにして、SSCHの相関検出を行う。
【0119】
なお、本例では、2つのアンテナからスロット毎に交互に送信される例について説明したが、これに限定されるものではなく、交互に送信されていない場合においても、切替え状態を推定して受信処理を行うことが可能である。
【0120】
[変形例]
W−CDMAでは、基地局から送信される信号に含まれる報知情報によって、周辺セルのSCHにTSTDが適用されているか否かが判明する。
【0121】
そこで、移動局においては、図7に示すように、TSTD無しを想定したSCH相関検出部1000(図1に示すシステム)と、TSTD有りを想定したSCH相関検出部2000(図6に示すシステム)との両方を備え、さらに、切替え部700,701と、切替え制御用の選択回路800とを設ける。
【0122】
このようなシステムにおいて、受信した報知情報に基づいて、選択回路800が切替え部700,701を操作して、TSTD無しを想定したSCH相関検出部1000、又は、TSTD有りを想定したSCH相関検出部2000に接続を切り替えることにより、それぞれのシステムにおいて最も効果的な相関検出を行うことが可能となる。
【0123】
[第3の例]
本発明の第3の実施の形態を、図8に基づいて説明する。なお、前述した各例と同一部分についてはその説明を省略し、同一符号を付す。
【0124】
本例は、重み付けの値を適応的に変化させる場合の例である。
【0125】
(具体例1)
具体例1について説明する。
【0126】
上記例のようにSCH相関検出部を2つ用意する代わりに、制御部がTSTD有りと無しの場合とで伝搬路推定の際の重み付け値を変えるようにする。
【0127】
すなわち、基地局から送信される信号に含まれるアンテナの本数に関する情報に基づいて、伝搬路における変動量を推定する際の重み付け値を変更してもよい。
【0128】
(具体例2)
具体例2について説明する。
【0129】
アンテナの本数に対応したセルサーチの試行回数に基づいて、伝搬路における変動量を推定する際の重み付け値を変更するようにする。
【0130】
すなわち、移動局の電源投入時のように周辺セルのTSTD適用状況が不明な場合には、試行回数によって制御部がTSTD無しを想定したSCH相関検出部1000とTSTD有りを想定したSCH相関検出部2000を切り替える。
【0131】
(具体例3)
具体例3について説明する。
第1の総合相関値の最大値(第1の例)と、第2の総合相関値の最大値(第2の例)とをそれぞれ重み付けし、基準位相方向成分がより大きい方を選択するようにする。
【0132】
すなわち、図8に示すように、TSTD無しとTSTD有りの両方を想定して相関検出を行い、それぞれの相関検出方法で得られた最大の相関値を重み付けした上で比較し、基準位相方向成分がより大きい方のSSC系列およびフレーム境界を選択する。
【0133】
(具体例4)
具体例4について説明する。
【0134】
第1の相関値と第2の相関値とをそれぞれ重み付けした上でスロット毎に加算するようにする。
【0135】
すなわち、TSTD無しとTSTD有りの両方を想定して相関検出を行い、スロット毎に各SSCの相関値を重み付けした上で加算し、それらをSSC系列に合わせて加算した上で、基準位相方向成分が最大となるSSC系列およびフレーム境界を選択する。
【0136】
なお、上記各例において、参照信号とするPSCH又はSSCHのスロット数の選択範囲を変えても同様な作用効果が得られる。
【0137】
[第4の例]
本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、前述した各例と同一部分についてはその説明を省略し、同一符号を付す。
本例は、相関検出部を複数用意して、参照信号とするPSCHおよびSSCHのスロット数の選択範囲や、平均化時の重み付けの値を適応的に変化させる場合の例である。
【0138】
(具体例1)
具体例1について説明する。
【0139】
伝搬路推定の際に用いるPSCHの範囲(前後何スロットのPSCHを使うか)、SSCHの範囲(前後何スロットのSSCHを使うか)、平均化の際の重み付けの値は、伝搬路の状況や移動速度などによって最適値が変わる。
そこで、複数の範囲や重み付け値に対応する相関検出を行い、各相関検出部でそれぞれの方法における最大の相関値を重み付けした上で比較し、基準位相方向成分が最も大きいSSC系列およびフレーム境界を選択することができる。
【0140】
(具体例2)
具体例2について説明する。
【0141】
各相関検出部でそれぞれの方法によって得られた各SSCの相関値をスロット単位で重み付けした上で加算し、それら値をSSC系列に合わせて加算した上で、基準位相方向成分が最大となるSSC系列およびフレーム境界を選択することができる。
【0142】
[第5の例]
次に本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、前述した各例と同一部分についてはその説明を省略し、同一符号を付す。
本例では、移動機の電源投入時、待ち受け中、通信中の各状態、或いは移動速度に応じて適切なセルサーチ方法を選択し、効率的なセルサーチを行う場合の例である。
【0143】
(具体例1)
具体例1について説明する。
【0144】
前述した例のように、相関検出部を複数用意するのではなく、利用するPSCHおよびSSCHの範囲や、重み付けの値を適応的に変化させることも考えられる。
典型的な例としては、移動局の移動速度に応じて、低速であるほど広い範囲のPSCHおよびSSCHを用いたり、重み付けを変化させたりする。
【0145】
(具体例2)
具体例2について説明する。
【0146】
セルサーチにおける条件は、移動局の状態によって異なる。すなわち、電源投入時には、周辺セルのTSTD適用状況が不明であったり、移動局の周波数安定度が低かったりする。このような場合には、できるだけ狭い範囲のPSCHおよびSSCHを用いて伝搬路推定を行うようにする。
【0147】
反対に、通信中においては、周辺セルのTSTD適用状況が既知であり、また、消費電力の制約が少なく複雑な処理を行いやすい場合には、できるだけ広い範囲でPSCHやSSCHを利用することによって、移動局の状態に応じて最もサーチ時間が短くできるようなサーチが可能となる。さらに、待ち受け中においても、同様な考え方で処理することが可能である。
【0148】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、第2の同期チャネル信号(SSCH)の相関検出に際し、相関検出対象である所定の位置のスロットの相関出力値を求める場合、当該所定の位置のスロットおよび該スロットの前後に位置する複数のスロットにおける第1の同期チャネル信号(PSCH)の相関出力値、又は、当該所定の位置のスロットの前後に位置する複数のスロットにおける第2の同期チャネル信号の相関出力値を参照信号として、伝搬路における振幅および位相の変動量を推定するので、高精度の伝搬路推定が可能となり、より高い精度でSSCHの相関検出を行うことができ、その結果、セルサーチに要する時間の短縮や、検出精度の改善を図ることができる。
【0149】
また、本発明によれば、伝搬路推定の際に重み付けを行うようにしたので、低速移動時から高速移動時まで全ての領域において従来方式よりもセルサーチ時間を短縮することができる。
【0150】
また、本発明によれば、SCHにTSTDが適用されている場合においても、そうでない場合においても、さらにTSTDが適用されているか否かが不明である場合においても、それぞれに対応して高精度の伝搬路推定方法を適用し、SSCHの相関検出を行うことができる。
【0151】
また、本発明によれば、移動局の移動速度などに応じて最適なPSCHおよびSSCHの利用範囲、重み付け値を選択するようにしたので、SSCH相関検出を効果的に行うことができる。
【0152】
さらに、本発明によれば、移動局の電源投入時、待ち受け中、および通信中のそれぞれの状態に応じて適切なPSCHおよびSSCHの利用範囲、重み付け値を選択するようにしたので、セルサーチ時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である、SSCH相関検出における伝搬路推定方法を示す説明図である。
【図2】CDMA移動通信システムにおけるPSCHおよびSSCHの送信方法を示す説明図である。
【図3】複素数形式で表す伝搬路の振幅および位相の関係を示す説明図である。
【図4】 SSCH相関検出における伝搬路推定方法の効果の1例を示す説明図である。
【図5】 SSCH相関検出における伝搬路推定方法における重み付けの効果の1例を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態である、TSTD適用時のSSCH相関検出における伝搬路推定方法を示す説明図である。
【図7】 TSTD適用/非適用が不明の場合にTSTD適用と非適用の両方を想定して伝搬路推定を行う方法を示す説明図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態である、TSTD適用/非適用が不明の場合にTSTD適用と非適用の両方を想定して伝搬路推定を行う方法を示す説明図である。
【図9】従来のSSCH相関検出における伝搬路推定方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1〜10 スロット
100〜102 PSCH相関器
110〜112 SSCH相関器
200 推定器
300 補正部
400 平均化処理部
500 選択部
600 スクランブル符号検出部
700,701 切替え部
800 選択回路
1000 SSCH相関検出部
2000 SSCH相関検出部
Claims (13)
- 複数のスロットから構成されるフレーム内で全スロット共通であり、かつ、全セル共通な拡散符号を有する第1の同期チャネル信号と、
前記フレーム内でスロット毎に異なり、かつ、セル毎に異なる拡散符号を有する第2の同期チャネル信号とを用い、
前記各同期チャネル信号を、フレーム単位で構成される拡散符号系列として基地局から移動局に送信してセルサーチを行うCDMA移動通信方式における通信方法であって、
前記移動局は、
前記第2の同期チャネル信号の相関検出に際し、相関検出対象である所定の位置のスロットの相関出力値を求める場合、
当該所定の位置のスロットおよび該スロットの前後に位置する複数のスロットにおける前記第1の同期チャネル信号の相関出力値、又は、当該所定の位置のスロットの前後に位置する複数のスロットにおける前記第2の同期チャネル信号の相関出力値を参照信号として、伝搬路における振幅および位相の変動量を推定する変動量推定工程と、
前記推定された変動量を用いて、前記第2の同期チャネル信号の所定の位置のスロットにおける相関出力値の振幅および位相を補正することによって、複素数を含む第1の相関値を出力する補正工程と、
前記出力された複素数を含む第1の相関値を、複数スロット分平均化することによって、基準位相方向成分を含む第1の総合相関値を出力する平均化工程と、
前記平均化された第1の総合相関値のうち、前記基準位相方向成分が最大となる拡散符号系列およびフレーム境界を選択する選択工程と
を具えたことを特徴とするCDMA移動通信方式における移動局のセルサーチ方法。 - 前記基地局は、
前記第1の同期チャネル信号および前記第2の同期チャネル信号を2つのアンテナからスロット毎に送信する工程をさらに具え、
前記移動局は、
前記2つのアンテナからスロット毎に送信される前記第2の同期チャネル信号の相関検出に際し、所定の位置のスロットの相関出力値を求める場合、
当該所定の位置のスロットおよび該スロットと同一アンテナから送信されたと推定されるスロットにおける前記第1の同期チャネル信号の相関出力値、又は、当該所定の位置のスロットの前後に位置する複数のスロットであって、かつ、当該所定の位置のスロットと同一アンテナから送信されたと推定されるスロットにおける前記第2の同期チャネル信号の相関出力値を参照信号として、伝搬路における振幅および位相の変動量を推定する変動量推定工程と、
前記推定された変動量を用いて、前記第2の同期チャネル信号の所定の位置のスロットにおける相関出力値の振幅および位相を補正することによって、複素数を含む第2の相関値を出力する補正工程と、
前記出力された複素数を含む第2の相関値を、複数スロット分平均化することによって、基準位相方向成分を含む第2の総合相関値を出力する平均化工程と、
前記平均化された第2の総合相関値のうち、前記基準位相方向成分が最大となる拡散符号系列およびフレーム境界を選択する選択工程と
をさらに具えたことを特徴とする請求項1記載のCDMA移動通信方式における移動局のセルサーチ方法。 - 前記推定した伝搬路における振幅および位相の変動量に、信頼度に応じて重み付けを行う工程
をさらに具えたことを特徴とする請求項1又は2記載のCDMA移動通信方式における移動局のセルサーチ方法。 - 前記基地局から送信される制御信号に含まれる前記アンテナの本数に関する情報に基づいて、前記参照信号とする前記第1の同期チャネル信号又は前記第2の同期チャネル信号のスロット数の選択範囲、又は、前記伝搬路における変動量を推定する際の重み付け値を変更する工程
をさらに具えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のCDMA移動通信方式における移動局のセルサーチ方法。 - 前記アンテナの本数に対応したセルサーチの試行回数に基づいて、前記参照信号とする前記第1の同期チャネル信号又は前記第2の同期チャネル信号のスロット数の選択範囲、又は、前記伝搬路における変動量を推定する際の重み付け値を変更する工程
をさらに具えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のCDMA移動通信方式における移動局のセルサーチ方法。 - 前記第1の相関値と前記第2の相関値とをそれぞれ重み付けした上でスロット毎に加算する工程
をさらに具えたことを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載のCDMA移動通信方式における移動局のセルサーチ方法。 - 前記第1の総合相関値の最大値と前記第2の総合相関値の最大値とをそれぞれ重み付けし、前記基準位相方向成分がより大きい方を選択する工程
をさらに具えたことを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載のCDMA移動通信方式における移動局のセルサーチ方法。 - 前記参照信号とする前記第1の同期チャネル信号又は前記第2の同期チャネル信号のスロット数の選択範囲、又は、前記平均化時の重み付けの値を互いに異ならせて複数の前記第1の相関値又は前記第2の相関値を出力する工程と、
前記出力された複数の前記第1相関値又は前記第2相関値を重み付けして加算する工程と
をさらに具えたことを特徴とする請求項1又は2記載のCDMA移動通信方式における移動局のセルサーチ方法。 - 前記参照信号とする前記第1の同期チャネル信号又は前記第2の同期チャネル信号のスロット数の選択範囲、又は、前記平均化時の重み付けの値を変更する工程
をさらに具えたことを特徴とする請求項1又は2記載のCDMA移動通信方式における移動局のセルサーチ方法。 - 前記参照信号とする前記第1の同期チャネル信号又は前記第2の同期チャネル信号のスロット数の選択範囲、又は、前記平均化時の重み付けの値を、互いに異ならせて複数の前記第1の相関値又は前記第2の相関値を出力する工程と、
前記出力された複数の前記第1相関値又は前記第2相関値を、複素数のままそれぞれ複数スロット分加算して複数の総合相関値を出力する工程と
をさらに具えたことを特徴とする請求項9記載のCDMA移動通信方式における移動局のセルサーチ方法。 - 前記参照信号とする前記第1の同期チャネル信号又は前記第2の同期チャネル信号のスロット数の選択範囲、又は、前記平均化時の重み付けの値を、移動局の移動速度に応じて変更することを特徴とする請求項9記載のCDMA移動通信方式における移動局のセルサーチ方法。
- 前記参照信号とする前記第1の同期チャネル信号又は前記第2の同期チャネル信号のスロット数の選択範囲、又は、前記平均化時の重み付けの値を、移動局が電源投入時であるか、待ち受け中であるか、或いは通信中であるかによって変更することを特徴とする請求項9記載のCDMA移動通信方式における移動局のセルサーチ方法。
- 複数のスロットから構成されるフレーム内で全スロット共通であり、かつ、全セル共通な拡散符号を有する第1の同期チャネル信号と、
前記フレーム内でスロット毎に異なり、かつ、セル毎に異なる拡散符号を有する第2の同期チャネル信号とを用い、
前記各同期チャネル信号を、フレーム単位で構成される拡散符号系列として基地局から移動局に送信してセルサーチを行うCDMA移動通信システムであって、
前記移動局は、
前記第2の同期チャネル信号の相関検出に際し、相関検出対象である所定の位置のスロットの相関出力値を求める場合、
当該所定の位置のスロットおよび該スロットの前後に位置する複数のスロットにおける前記第1の同期チャネル信号の相関出力値、又は、当該所定の位置のスロットの前後に位置する複数のスロットにおける前記第2の同期チャネル信号の相関出力値を参照信号として、伝搬路における振幅および位相の変動量を推定する変動量推定手段を設け、
前記推定された変動量を用いて、前記第2の同期チャネル信号の所定の位置のスロットにおける相関出力値の振幅および位相を補正して総合相関値を出力し、該総合相関値の基準位相方向成分が最大となる拡散符号系列およびフレーム境界を選択するようにしたことを特徴とするCDMA移動通信システム。
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