JP3793522B2 - 鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装鋼板に係わり、更に詳しくは優れた耐食性を有し、種々の用途、例えば、家電用や建材用鋼板として適用できる塗装鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
塗装金属板は、金属板を先に成形加工して複雑な形状物とした後に塗装を加える方式に比べ、塗装工程が合理化できる、品質が均一になる、塗料の消費量が節約される等の利点があることから、これまで多く使用されており、今後とも使用量は増加すると考えられる。
【0003】
一般に塗装金属板は、冷延鋼板、亜鉛めっき系鋼板、その他の金属板に予め塗装をした後、任意の形状に成形加工して最終の用途に供するものであり、例えば、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなどの家電製品、自動販売機、事務機器、自動車、エアコン室外機などの金属製品に用いられている。
【0004】
こうした塗装鋼板の耐食性を向上させることを目的として本発明者らは、塗装溶融Zn−Al−Mg−Siめっき鋼板を提案した(例えば、特許文献1参照)。また、本発明者らは、この溶融Zn−Al−Mg−Siめっき鋼板にCa、Be、Ti、Cu、Ni、Co、Cr、Mnの1種または2種以上を添加することにより、更に耐食性が優れた塗装鋼板が得られることを明らかにした(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板にTi、B、Siを添加することにより表面外観が良好になることが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特許第3179446号公報
【特許文献2】
特開2000−64061号公報
【特許文献3】
特開2001−295015号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
Zn−Mg−Alの三元系合金は3質量%Mg−4質量%Al−93質量%Znに三元共晶点を持ち、それよりAl濃度が高い場合、初晶としてAl相が晶出する。
【0008】
溶融めっき時のめっき凝固速度が十分に確保されている場合、Al相が大きく成長しないうちにめっきが凝固するため表面平滑性は問題とならないが、めっき凝固速度が小さい場合、このAl相が先に大きく成長することによってめっき表面に凸凹が形成され、表面平滑性が劣化するという問題点を有している。
【0009】
このため、このような表面平滑性が低い鋼板で塗装鋼板を製造した場合、0.2〜100μm程度の厚さの比較的薄い塗膜ではめっき表面の凸凹を完全には隠蔽できず、塗装鋼板の鮮映性が劣化するという問題点を有している。
【0010】
しかし、前記特許文献1及び2に開示される技術では、塗装鋼板の鮮映性が劣化するという問題は考慮されていない。
【0011】
また、前記特許文献3に開示される技術では、表面外観を劣化させるZn11Mg2相の生成・成長を抑制する目的としてTiとBを添加しているが、表面平滑性や塗装後の鮮映性が劣化するという問題は考慮されておらず、金属間化合物についても言及されていない。
【0012】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、4質量%を超えるような高Al濃度の場合でも十分鮮映性が優れた高耐食性塗装鋼板を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板の開発について鋭意研究を重ねた結果、鋼板の表面に添加元素の添加量を最適化した亜鉛系めっきを形成した後に、クロメート処理もしくはりん酸塩処理の化成処理、塗装を行うことによって鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板を得られることを見いだした。
【0014】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
【0017】
(1) 鋼板の片面または両面に、Al:4〜10質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.00001〜0.1質量%を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、中間層としてクロメート皮膜もしくはりん酸塩皮膜の化成皮膜を有し、上層として0.2〜100μm厚の有機皮膜層を有する塗装鋼板の亜鉛系めっき層が〔Al/Zn/Zn2 Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔Al相〕、〔Zn2 Mg相〕及び〔Zn相〕の1種または2種以上が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕、〔Zn2 Mg相〕及び〔Zn相〕の1種または2種以上の中にTi−Al系金属間化合物を含有することを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0018】
(2) 鋼板の片面または両面に、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.00001〜0.1質量%、Si:0.5質量%以下を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、中間層としてクロメート皮膜もしくはりん酸塩皮膜の化成皮膜を有し、上層として0.2〜100μm厚の有機皮膜層を有する塗装鋼板の亜鉛系めっき層が〔Al/Zn/Zn2 Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔Mg2 Si相〕、〔Al相〕及び〔Zn2 Mg相〕が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕と〔Zn2 Mg相〕の1種または2種の中にTi−Al系金属間化合物を含有することを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0019】
(3) 鋼板の片面または両面に、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.00001〜0.1質量%、Si:0.5質量%以下を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、中間層としてクロメート皮膜もしくはりん酸塩皮膜の化成皮膜を有し、上層として0.2〜100μm厚の有機皮膜層を有する塗装鋼板の亜鉛系めっき層が〔Al/Zn/Zn2 Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔Mg2 Si相〕、〔Al相〕、〔Zn2 Mg相〕及び〔Zn相〕が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕、〔Zn2 Mg相〕及び〔Zn相〕の1種または2種以上の中にTi−Al系金属間化合物を含有することを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0020】
(4) 鋼板の片面または両面に、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.00001〜0.1質量%、Si:0.5質量%以下を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、中間層としてクロメート皮膜もしくはりん酸塩皮膜の化成皮膜を有し、上層として0.2〜100μm厚の有機皮膜層を有する塗装鋼板の亜鉛系めっき層が〔Al/Zn/Zn2 Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔Mg2 Si相〕、〔Al相〕及び〔Zn相〕が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕と〔Zn相〕の1種または2種の中にTi−Al系金属間化合物を含有することを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0021】
(5)前記(1)乃至(4)のいずれかに記載のTi−Al系金属間化合物が、TiAl3であることを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0022】
(6) 前記(1)乃至(4)のいずれかに記載のTi−Al系金属間化合物が、Ti(Al1-XSiX)3(但し、X=0〜0.5である)であることを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0023】
(7) めっき層中の〔Al相〕の中に含有されるTi−Al系金属間化合物が、Zn−Alの共析反応によって析出したZn相中に存在することを特徴とする前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0024】
(8) めっき層中の〔Al相〕の樹枝状晶の大きさが500μm以下であることを特徴とする前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0025】
(9) 有機皮膜が、熱硬化型の樹脂塗膜であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0026】
(10) 有機皮膜層が防錆顔料を含む下塗り層と着色された上塗り層からなる請求項1乃至9のいずれかに記載の鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0027】
【発明の実施形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0028】
本発明において、塗装鋼板とは、鋼板上に亜鉛系めっき層とクロメート皮膜もしくはりん酸塩皮膜の化成皮膜、及び、有機皮膜からなる層を順次付与したものである。本発明の下地鋼板としては、熱延鋼板、冷延鋼板共に使用でき、鋼種もAlキルド鋼、Ti、Nb等を添加した極低炭素鋼板、及び、これらにP、Si、Mn等の強化元素を添加した高強度鋼、ステンレス鋼等種々のものが適用できる。
【0029】
下層の亜鉛系めっき層は、Al:4〜10質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.00001〜0.1質量%、残部がZn及び不可避不純物からなるめっき層か、或いは、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.00001〜0.1質量%、Si:0.5質量%以下、残部がZn及び不可避不純物からなるめっき層である。
【0030】
Zn−Al−Mg−Ti系めっき層においてAlの含有量を4〜10質量%に限定した理由は、Alの含有量が10質量%を超えるとめっき密着性の低下が見られるため、Siを添加していないめっき層中のAlの含有量は10質量%以下にする必要があるためである。また、4質量%未満では初晶としてAl相が晶出しないため、平滑性低下の問題がないためである。
【0031】
従って、本発明における高耐食性塗装鋼板においては、特にAl濃度が10質量%を超えるような高濃度の場合には、めっき密着性を確保するために、めっき層中にSiを添加することが必須である。
【0032】
一方、Zn−Al−Mg−Ti−Si系めっき層において、Alの含有量を4〜22質量%に限定した理由は、4質量%未満では初晶としてAl相が晶出しないため、平滑性低下の問題がないためであり、22質量%を超えると耐食性を向上させる効果が飽和するためである。
【0033】
Siの含有量を0.5質量%以下(但し、0質量%を除く)に限定した理由は、Siは密着性を向上させる効果があるが、0.5質量%を超えると密着性を向上させる効果が飽和するからである。望ましくは0.00001〜0.5質量%である、更に望ましくは0.0001〜0.5質量%である。
【0034】
Siの添加はAlの含有量が10質量%を超えるめっき層には必須であるが、Alの含有量が10%以下のめっき層においてもめっき密着性向上に効果が大きいため、加工が厳しい部材に使用する等、高いめっき密着性を必要とする場合にはSiを添加することが有効である。また、Si添加によりめっき層の凝固組織中に〔Mg2Si相〕が晶出する。この〔Mg2Si相〕は加工部耐食性向上に効果があるため、Siの添加量を多くし、めっき層の凝固組織中に〔Mg2Si相〕が混在した金属組織を作製することがより望ましい。
【0035】
Mgの含有量を1〜5質量%に限定した理由は、1質量%未満では耐食性を向上させる効果が不十分であるためであり、5質量%を超えるとめっき層が脆くなって密着性が低下するためである。
【0036】
Tiの含有量を0.00001〜0.1質量%に限定した理由は、Tiは0.00001質量%以上でTi−Al系金属間化合物を晶出させ、鮮映性を向上させる効果があるが、0.1質量%を超えるとめっき後の外観が粗雑になり、外観不良が発生する。また、Ti−Al系金属間化合物がめっき表面に濃化し表面平滑性を低下させるからである。
【0037】
本めっき層には、〔Al/Zn/Zn2Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔Zn相〕、〔Al相〕、〔Zn2Mg相〕、〔Mg2Si相〕、Ti−Al系金属間化合物の1つ以上を含む金属組織ができる。
【0038】
ここで、〔Al/Zn/Zn2Mgの三元共晶組織〕とは、Al相と、Zn相と金属間化合物Zn2Mg相との三元共晶組織であり、この三元共晶組織を形成しているAl相は例えばAl−Zn−Mgの三元系平衡状態図における高温での「Al″相」(Zn相を固溶するAl固溶体であり、少量のMgを含む)に相当するものである。この高温でのAl相は常温では通常は微細なAl相と微細なZn相に分離して現れる。また、該三元共晶組織中のZn相は少量のAlを固溶し、場合によっては更に少量のMgを固溶したZn固溶体である。該三元共晶組織中のZn2Mg相は、Zn−Mgの二元系平衡状態図のZn:約84質量%の付近に存在する金属間化合物相である。状態図で見る限りそれぞれの相にはSi、Tiが固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられるがその量は通常の分析では明確に区別できないため、この3つの相からなる三元共晶組織を本明細書では〔Al/Zn/Zn2Mgの三元共晶組織〕と表す。
【0039】
また、〔Al相〕とは、前記の三元共晶組織の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える相であり、これは例えばAl−Zn−Mgの三元系平衡状態図における高温での「Al″相」(Zn相を固溶するAl固溶体であり、少量のMgを含む)に相当するものである。この高温でのAl″相はめっき浴のAlやMg濃度に応じて固溶するZn量やMg量が相違する。この高温でのAl″相は常温では通常は微細なAl相と微細なZn相に分離するが、常温で見られる島状の形状は高温でのAl″相の形骸を留めたものであると見てよい。状態図で見る限りこの相にはSi、Tiが固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられるが通常の分析では明確に区別できないため、この高温でのAl″相に由来し、且つ、形状的にはAl″相の形骸を留めている相を本明細書では〔Al相〕と呼ぶ。この〔Al相〕は前記の三元共晶組織を形成しているAl相とは顕微鏡観察において明瞭に区別できる。
【0040】
また、〔Zn相〕とは、前記の三元共晶組織の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える相であり、実際には少量のAlさらには少量のMgを固溶していることもある。状態図で見る限りこの相にはSi、Tiが固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。この〔Zn相〕は前記の三元共晶組織を形成しているZn相とは顕微鏡観察において明瞭に区別できる。
【0041】
また、〔Zn2Mg相〕とは、前記の三元共晶組織の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える相であり、実際には少量のAlを固溶していることもある。状態図で見る限りこの相にはSi、Tiが固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。この〔Zn2Mg相〕は前記の三元共晶組織を形成しているZn2Mg相とは顕微鏡観察において明瞭に区別できる。
【0042】
また、〔Mg2Si相〕とは、めっき層の凝固組織中に明瞭な境界をもって島状に見える相である。状態図で見る限りZn、Al、Tiは固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。この〔Mg2Si相〕はめっき中では顕微鏡観察において明瞭に区別できる。
【0043】
また、Ti−Al系金属間化合物とは、めっき層の凝固組織中に明瞭な境界をもって島状に見える相である。状態図で見る限りTiAl3であると考えられるが、分析するとSiが観察されることから、Siを固溶したTiAl3またはAlの一部がSiに置き換わったTi(Al1-XSiX)3(但し、X=0〜0.5である)であると考えられる。
【0044】
本発明の高耐食性塗装鋼板において、このTi−Al系金属間化合物は、〔Al相〕、〔Zn2Mg相〕、〔Zn相〕の中に存在することを特徴とする。Ti−Al系金属間化合物の含有形態を〔Al相〕、〔Zn2Mg相〕、〔Zn相〕の中に限定した理由は、それ以外の位置に存在するTi−Al系金属間化合物では、鮮映性を向上させることができないためである。〔Al相〕、〔Zn2Mg相〕、〔Zn相〕の中に存在するTi−Al系金属間化合物が鮮映性を向上させる理由は、Ti−Al系金属間化合物が、〔Al相〕、〔Zn2Mg相〕,〔Zn相〕の核となることでこれらの結晶の晶出を促進させ、微細で多数の組織とするためであると考えられる。即ち、結晶が微細になるとめっき層表面の凹凸が抑制され、めっき表面が平滑になり、比較的薄い塗膜でもめっき表面の凸凹を隠蔽できるようになり、塗装鋼板の鮮映性が向上すると考えられる。
【0045】
この効果は、特に〔Al相〕において顕著である。〔Al相〕の樹枝状晶の大きさを500μm以下に制御することにより、表面が平滑になり、摩擦係数が低下する。望ましくは400μm以下である。更に望ましくは300μm以下である。
【0046】
本発明者等が多数のめっき中の金属組織を調査した結果、大部分の金属組織の中から大きさ数μmの金属間化合物が観察された。〔Al相〕中に存在する金属間化合物の一例を図1に示す。図1の(a)は、本発明における高耐食性塗装鋼板のめっき層の顕微鏡写真(倍率1000倍)であり、該写真中の各組織の分布状態を図示したものが図1の(b)である。この図からも判るように、本発明における高耐食性塗装鋼板のめっき層の顕微鏡写真によって明確に各組織を特定することができる。
【0047】
図1の(a)ではAl−Zn−Mgの三元系平衡状態図における高温での「Al″相」に相当するものの中にTi−Al系金属間化合物が観察される。この高温でのAl″相は、Al−Znの二元系平衡状態図における277℃で起こる共析反応により、常温では通常は微細なAl相と微細なZn相に分離して現れる。ここで亜共析反応の場合、高温で晶出したAl″相は、Al−Zn−Mgの三元系平衡状態図における三元共晶温度からZn相の析出を開始し、Al−Znの二元系平衡状態図における共析反応に相当する温度で残ったAl″相が微細なAl相と微細なZn相の共析組織となる。
【0048】
図2の(a)は、図1のAl″相を拡大した顕微鏡写真(倍率3500倍)であり、該写真中の各組織の分布状態を図示したものが図2の(b)である。Al″相を詳細に観察すると、析出したZn相がAl″相の外側とTi−Al系金属間化合物の周りに存在することが観察される。
【0049】
本発明において金属間化合物の大きさは特に限定しないが、発明者らが観察したものは、大きさ10μm以下であった。また、めっき組織中の金属間化合物の存在割合も特に限定しないが、〔Al相〕、〔Zn2Mg相〕、〔Zn相〕のどれかに1割以上存在することが望ましい。
【0050】
本発明において、めっき鋼板の製造方法については特に限定するところはなく、通常の無酸化炉方式の溶融めっき法が適用できる。
【0051】
金属間化合物の添加方法については特に限定するところはなく、金属間化合物の微粉末を浴中に混濁させる方法や、金属間化合物を浴に溶解させる方法等が適用できるが、無酸化炉方式の溶融めっき法を使用した連続ライン等で製造する場合、めっき浴中にTiを溶解させる方法が適当である。めっき浴中にTiを溶解させる方法としては、Ti−Zn系金属間化合物を添加する方法が低温、短時間で溶解可能なため効率的である。添加するTi−Zn系金属間化合物としては、Zn15Ti、Zn10Ti、Zn5Ti、Zn3Ti、Zn2Ti、ZnTi等がある。こうした金属間化合物を単独或いはZn、Zn−Al、Zn−Al−Mg合金中に混合させてめっき浴に添加すると、溶解したTiがめっき中にTi−Al系金属間化合物として晶出し、表面平滑性と成形性を向上させる。
【0052】
めっきの付着量については特に制約は設けないが、耐食性の観点から10g/m2以上、加工性の観点から350g/m2以下で有ることが望ましい。
【0053】
亜鉛めっき層中には、これ以外にFe、Sb、Pb、Snを単独或いは複合で0.5質量%以内含有してもよい。また、Ca、Be、Cu、Ni、Co、Cr、Mn、P、B、Nb、Biや3族元素を合計で0.5質量%以下含有しても本発明の効果を損なわず、その量によっては更に耐食性が改善される等好ましい場合もある。
【0054】
次に、塗装鋼板の化成皮膜としてはクロメート皮膜もしくはりん酸塩皮膜を用いる。化成皮膜はめっき面と塗膜の間に位置し加工時の密着性、耐食性向上に寄与する。クロメートは3価クロム水和酸化物を主成分とする後水洗型の電解還元クロメート、3価クロムと6価クロム水和酸化物を主成分とする後水洗型のエッチングクロメート液を塗布し乾燥する無水洗型の塗布クロメート皮膜を採用できる。付着量については特に制約は設けないが、耐食性の観点から5mg/m2以上、密着性の観点から100mg/m2以下であることが望ましい。クロメート被膜は3価クロム/6価クロム比率の高い、水系潤滑塗料に溶解し難いものが望ましい。
【0055】
りん酸塩皮膜は亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、カルシウム等のリン酸塩で構成されるものである。付着量は、耐食性の観点から0.2g/m2以上、密着性の観点から5.0g/m2以下であることが望ましい。
【0056】
次に塗装鋼板の上層の有機皮膜としては、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等が例として挙げられ、特に限定されるものではないが、特に加工が厳しい製品に使用する場合、熱硬化型の樹脂塗膜が最も好ましい。熱硬化型の樹脂塗膜としては、エポキシポリエステル塗料、ポリエステル塗料、メラミンポリエステル塗料、ウレタンポリエステル塗料等のポリエステル系塗料や、アクリル塗料が挙げられる。
【0057】
ポリエステル樹脂の酸成分の一部を脂肪酸に置き換えたアルキッド樹脂や、油で変性しないオイルフリーアルキッド樹脂に、メラミン樹脂やポリイソシアネート樹脂を硬化剤として併用したポリエステル系の塗料、及び各種架橋剤と組み合わせたアクリル塗料は、他の塗料に比べて加工性が良いため、厳しい加工の後にも塗膜に亀裂などが発生しないためである。
【0058】
膜厚は、0.2〜100μmが適正である。膜厚を0.2μm以上とした理由は、膜厚が0.2μm未満では耐食性が確保できないためである。また、膜厚を100μm以下とした理由は、膜厚が100μmを超えるとコスト面から不利になるためである。望ましくは、50μm以下である。有機皮膜層は、単層でも複層でもかまわない。
【0059】
なお、本発明の方法に使用される有機皮膜には、必要に応じ、可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、無機粒子、顔料、有機潤滑などの添加剤を配合される。
【0060】
有機被覆層は公知の方法で下地処理層の上に塗装される。例えば、ロールコーター、カーテンコーター、静電塗装、スプレー塗装、浸漬塗装などである。その後、熱風、誘導加熱、近赤外、遠赤外、などの加熱によって乾燥・硬化される。有機被覆層の樹脂が電子線や紫外線で硬化するものであればこれらの照射によって硬化される。これらの併用であってもよい。
【0061】
本発明の塗装鋼板で化成処理層と着色された有機層の間に、必要に応じて防錆顔料を添加した皮膜層を下塗り層として有することができる。この下塗り層は主に耐食性の向上を目的とするが、その他に成形加工性,耐薬品性なども考慮して設計される。下塗り層を構成する樹脂としては、一般に公知の樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などをそのまま、或いは組み合わせて使用できる。防錆顔料としては一般に公知のもの、例えば、▲1▼リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛、等のリン酸系防錆顔料、▲2▼モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸バリウム、等のモリブデン酸系防錆顔料、▲3▼酸化バナジウムなどのバナジウム系防錆顔料、▲4▼カルシウムシリケートなどのシリケート系顔料、▲5▼ストロンチウムクロメート、ジンククロメート、カルシウムクロメート、カリウムクロメート、バリウムクロメートなどのクロメート系防錆顔料、▲6▼水分散シリカ、ヒュームドシリカ、等の微粒シリカなどを用いることができる。
【0062】
防錆顔料の添加量は皮膜の固形分基準に1〜40質量%がよい。1質量%より少ないと耐食性の改良が十分でなく、40質量%を超えると加工性が低下して、加工時に有機皮膜層の脱落が起こり、耐食性も劣るようになる。
【0063】
防錆顔料を含む下塗り層の塗布は一般に公知の方法でできる。例えば、ロールコート、カーテンコート、エアースプレー、エアーレススプレー、浸漬、刷毛塗り、バーコートなどである。その後、熱風、誘導加熱、近赤外、遠赤外、などの加熱によって乾燥・硬化される。有機被覆層の樹脂が電子線や紫外線で硬化するものであればこれらの照射によって硬化される。これらの併用であってもよい。
【0064】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0065】
(実施例1)
まず、厚さ0.85mmの冷延鋼板を準備し、これに400〜600℃で浴中の添加元素量を変化させためっき浴で3秒溶融めっきを行い、N2ワイピングでめっき付着量を片面140g/m2に調整し、冷却速度10℃/s以下で冷却した。得られためっき鋼板のめっき組成を表1に示す。また、めっき鋼板を断面からSEMで観察し、めっき層の金属組織を観察した結果を同じく表1に示す。
【0066】
Ti−Al系金属間化合物は、めっき鋼板を10度傾斜で研磨した後、EPMAで観察し、〔Al相〕、〔Zn2Mg相〕、〔Zn相〕の中に存在するものを観察した。
【0067】
めっき層中の〔Al相〕の樹枝状晶の大きさは、めっき鋼板の表面をCMAでマッピングし、得られたAlのマッピングを使用して樹脂状晶の長径を測定した。測定は、5×5cmの範囲を行い、大きいものから順に5つの樹脂状晶の長径を測定し、その平均値を〔Al相〕の樹枝状晶の大きさとして使用した。
【0068】
次に、このめっきを行った鋼板に表1に示す化成処理を行い、その上に、プライマーとしてエポキシポリエステル塗料をバーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けて膜厚を5μmに調整した。トップコートは、ポリエステル塗料をバーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けて膜厚を20μmに調整した。クロメート処理は塗布型のクロメート処理液に浸漬した。クロメート皮膜の付着量はCr換算量で50mg/m2とした。りん酸塩処理は浸漬型のりん酸亜鉛処理を行った。りん酸亜鉛皮膜の付着量は1.5g/m2とした。
【0069】
以上の様にして作製した塗装鋼板を150×70mmに切断し、塗膜の上から地鉄に達するスクラッチを入れ、JIS Z−2371に準ずる塩水噴霧試験を20日間行った後テーピング試験を行い、スクラッチ部の塗膜剥離幅を調べた。耐食性は、塗膜剥離幅が4mm以下のものを合格、塗膜剥離幅が4mmを超えたものを不合格とした。
【0070】
鮮映性は携帯用鮮明度光沢度計(PGD計)での鮮映性測定値(Gd値)を測定した。鮮映性は、Gd値が0.6以上のものを合格、Gd値が0.6未満のものを不合格とした。
【0071】
評価結果を表1に示す。番号16は、Ti−Al系金属間化合物を含有しないため、Al相が成長し、鮮映性が不合格となった。番号17は、Tiの含有量が多すぎたため、Ti−Al系金属間化合物が表面に濃化し、鮮映性が不合格となった。番号18は、Mg、Al、Si、Tiが本発明の範囲外であるため、耐食性が不合格となった。これら以外はいずれも良好な鮮映性、耐食性を示した。
【0072】
【表1】
【0073】
(実施例2)
まず、厚さ0.85mmの冷延鋼板を準備し、これに400〜600℃で浴中の添加元素量を変化させためっき浴で3秒溶融めっきを行い、N2ワイピングでめっき付着量を片面に調整し、冷却速度10℃/s以下で冷却した。得られためっき鋼板のめっき組成を表2に示す。また、めっき鋼板を断面からSEMで観察し、めっき層の金属組織を観察した結果を同じく表2に示す。
【0074】
Ti−Al系金属間化合物は、めっき鋼板を10度傾斜で研磨した後、EPMAで観察し、〔Al相〕、〔Zn2Mg相〕、〔Zn相〕の中に存在するものを観察した。
【0075】
めっき層中の〔Al相〕の樹枝状晶の大きさは、めっき鋼板の表面をCMAでマッピングし、得られたAlのマッピングを使用して樹脂状晶の長径を測定した。測定は、5×5cmの範囲を行い、大きいものから順に5つの樹脂状晶の長径を測定し、その平均値を〔Al相〕の樹枝状晶の大きさとして使用した。
【0076】
次に、このめっきを行った鋼板を塗布型のクロメート処理液に浸漬して、クロメート処理を行った。クロメート皮膜の付着量はCr換算量で50mg/m2とした。
【0077】
塗装は、エポキシポリエステル塗料、ポリエステル塗料、メラミンポリエステル塗料、ウレタンポリエステル塗料、アクリル塗料をそれぞれバーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けて表2に示す膜厚に調整した。
【0078】
鮮映性は携帯用鮮明度光沢度計(PGD計)での鮮映性測定値(Gd値)を測定した。鮮映性は、Gd値が0.6以上のものを合格、Gd値が0.6未満のものを不合格とした。
【0079】
耐食性は、JIS B−7729に準ずるエリクセン試験機を使用して7mm押し出した加工部をJIS Z−2371に準ずる塩水噴霧試験で72hr試験し、白錆が発生しなかったものを合格、白錆が発生したものを不合格とした。
【0080】
評価結果を表2に示す。番号30は、塗膜厚が本発明の範囲外であるため、耐食性が不合格となった。これら以外はいずれも良好な鮮映性、耐食性を示した。
【0081】
【表2】
【0082】
(実施例3)
まず、厚さ0.85mmの冷延鋼板を準備し、これに520℃で浴中の添加元素量を変化させためっき浴で3秒溶融めっきを行い、N2ワイピングでめっき付着量を片面140g/m2に調整し、冷却速度10℃/s以下で冷却した。得られためっき鋼板のめっき組成を表3に示す。また、めっき鋼板を断面からSEMで観察し、めっき層の金属組織を観察した結果を同じく表3に示す。
【0083】
Ti−Al系金属間化合物は、めっき鋼板を10度傾斜で研磨した後、EPMAで観察し、〔Al相〕、〔Zn2Mg相〕、〔Zn相〕の中に存在するものを観察した。また、〔Al相〕の中に存在するTi−Al系金属間化合物については、EPMAで観察し、Zn−Alの共析反応によって析出したZn相中への存在有無を観察した。更にTi−Al系金属間化合物のEPMA観察を行い、Ti−Al系金属間化合物のSi含有有無を観察した。
【0084】
次に、このめっきを行った鋼板にCr換算量で付着量50mg/m2のクロメート処理を行い、その上に、プライマーとしてエポキシポリエステル塗料をバーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けて膜厚を5μmに調整した。トップコートは、ポリエステル塗料をバーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けて膜厚を20μmに調整した。クロメート処理は塗布型のクロメート処理液に浸漬した。
【0085】
密着性は、デュポン衝撃試験後の塗装めっき鋼板に粘着テープを貼り、その後引き剥がし、めっき及び塗膜が剥離しなかった場合を○、めっきまたは塗膜の剥離が10%未満の場合を△、めっきまたは塗膜が10%以上剥離した場合を×とした。デュポン試験は先端に1/2インチの丸みを持つ撃ち型を使用し、1kgの重りを1mの高さから落下させて行った。
【0086】
加工後耐食性の評価は、1T折り曲げ加工(原板を1枚はさんだ状態で180°の折り曲げ加工)を施したサンプルの折り曲げ部について、CCT120サイクル後の赤錆発生状況を以下に示す評点づけで判定した。CCTは、SST2hr→乾燥4hr→湿潤2hrを1サイクルとした。評点は3以上を合格とした。5:5%未満
4:5%以上10%未満
3:10%以上20%未満
2:20%以上30%未満
1:30%以上
【0087】
評価結果を表3に示す。番号2はAl、Siの添加量が本発明の範囲外であるため密着性が不合格となった。これら以外はいずれも、密着性、加工後耐食性が良好な結果となった。特にSiを添加しためっき鋼板は良好な密着性と加工後耐食性を示した。
【0088】
【表3】
【0089】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明により、高Al濃度の場合でも十分鮮映性が優れた高耐食性塗装鋼板を製造することが可能となり、工業上極めて優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】めっき鋼板のめっき層の「Al″相」中に存在する金属間化合物の一例を示す図で、(a)はめっき層の顕微鏡写真(倍率1000倍)であり、(b)は該写真中の各組織の分布状態を示す図である。
【図2】(a)は「Al″相」を拡大した顕微鏡写真(倍率3500倍)であり、(b)は各組織の分布状態を示す図である。
Claims (10)
- 鋼板の片面または両面に、Al:4〜10質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.00001〜0.1質量%を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、中間層としてクロメート皮膜もしくはりん酸塩皮膜の化成皮膜を有し、上層として0.2〜100μm厚の有機皮膜層を有する塗装鋼板の亜鉛系めっき層が〔Al/Zn/Zn2 Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔Al相〕、〔Zn2 Mg相〕及び〔Zn相〕の1種または2種以上が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕、〔Zn2 Mg相〕及び〔Zn相〕の1種または2種以上の中にTi−Al系金属間化合物を含有することを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
- 鋼板の片面または両面に、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.00001〜0.1質量%、Si:0.5質量%以下を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、中間層としてクロメート皮膜もしくはりん酸塩皮膜の化成皮膜を有し、上層として0.2〜100μm厚の有機皮膜層を有する塗装鋼板の亜鉛系めっき層が〔Al/Zn/Zn2 Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔Mg2 Si相〕、〔Al相〕及び〔Zn2 Mg相〕が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕と〔Zn2 Mg相〕の1種または2種の中にTi−Al系金属間化合物を含有することを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
- 鋼板の片面または両面に、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.00001〜0.1質量%、Si:0.5質量%以下を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、中間層としてクロメート皮膜もしくはりん酸塩皮膜の化成皮膜を有し、上層として0.2〜100μm厚の有機皮膜層を有する塗装鋼板の亜鉛系めっき層が〔Al/Zn/Zn2 Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔Mg2 Si相〕、〔Al相〕、〔Zn2 Mg相〕及び〔Zn相〕が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕、〔Zn2 Mg相〕及び〔Zn相〕の1種または2種以上の中にTi−Al系金属間化合物を含有することを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
- 鋼板の片面または両面に、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.00001〜0.1質量%、Si:0.5質量%以下を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、中間層としてクロメート皮膜もしくはりん酸塩皮膜の化成皮膜を有し、上層として0.2〜100μm厚の有機皮膜層を有する塗装鋼板の亜鉛系めっき層が〔Al/Zn/Zn2 Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔Mg2 Si相〕、〔Al相〕及び〔Zn相〕が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕と〔Zn相〕の1種または2種の中にTi−Al系金属間化合物を含有することを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のTi−Al系金属間化合物が、TiAl3であることを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のTi−Al系金属間化合物が、Ti(Al1-XSiX)3(但し、X=0〜0.5である)であることを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
- めっき層中の〔Al相〕の中に含有されるTi−Al系金属間化合物が、Zn−Alの共析反応によって析出したZn相中に存在することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
- めっき層中の〔Al相〕の樹枝状晶の大きさが500μm以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
- 有機皮膜が、熱硬化型の樹脂塗膜であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
- 有機皮膜層が防錆顔料を含む下塗り層と着色された上塗り層からなる請求項1乃至9のいずれかに記載の鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
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