JP3788734B2 - ホメオトロピック配向液晶フィルムの製造方法およびホメオトロピック配向液晶フィルム - Google Patents
ホメオトロピック配向液晶フィルムの製造方法およびホメオトロピック配向液晶フィルム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホメオトロピック配向液晶フィルムの製造方法に関する。また本発明は当該製造方法により得られるホメオトロピック配向液晶フィルム、さらには光学フィルムに関する。ホメオトロピック配向液晶フィルムは単独でまたは他のフィルムと組み合わせて、位相差フィルム、視角補償フィルム、光学補償フィルム、楕円偏光フィルム等の光学フィルムとして使用できる。
【0002】
【従来の技術】
液晶化合物のホメオトロピック配向は、液晶相の分子長軸が平均して薄膜(液晶相)を形成する基板に対して実質的に垂直である場合に生じる。自発的にホメオトロピック配向する物質は非常に僅かしかなく、従って、かかる配向を生じさせるためには、一般的に垂直配向剤が用いられる。垂直配向剤によりホメオトロピック配向させることができる液晶化合物としては、たとえば、ネマチック液晶化合物が知られている。かかる液晶化合物の配向技術にがかわる概説は、例えば、化学総説44(表面の改質,日本化学会編,156〜163頁)に記載されている。
【0003】
前記液晶化合物をホメオトロピック配向させるうる垂直配向剤としては各種の有機系または無機系配向剤が知られているが、慣用されている配向剤の多くはガラス基板上で有効に作用するようにデザインされている。
【0004】
このような慣用の有機系配向剤としては、たとえば、レシチン、シラン系界面活性剤、n−オクタデシルトリエトキシシラン、チタネート系界面活性剤、ピリジニウム塩系高分子界面活性剤、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハライドまたはクロム錯体などがあげられる。これら有機系配向剤は、活性成分が非常に少量(代表的には1%よりも少ない量)となるように適当な揮発性溶剤に溶解され、次いで例えばスピンコーティングまたはその他周知の塗工方法によって基板上に塗工された後、揮発性溶剤を蒸発させることにより、ガラス基板上に有機配向剤の薄膜として形成される。これら有機系配向剤は、極性のガラス表面に引き付けられると考えられる極性末端基とガラス表面に対して垂直に配列する無極性の長鎖状アルキル鎖を有することを特徴とするものであり、このような表面上において液晶化合物にホメオトロピック配向を生じさせる。
【0005】
また無機系配向剤としては、例えば、ガラス基板上にSiOX またはIn2 O3 /SnO2 を垂直角度で蒸着させたものが知られており、液晶化合物にホメオトロピック配向を生じさせる。その他、アルキル側鎖付ポリイミド膜も液晶ディスプレイなどのホメオトロピック配向膜として用いられている。
【0006】
しがしながら、前記慣用の配向剤は、いずれもガラス基板上においてのみ液晶化合物にホメオトロピック配向を与えるものであり、プラスチックフィルムやプラスチックシート等のポリマー物質からなる基板上での配向にはあまり有効に作用するものではない。ポリマー物質からなる基板の表面は前記慣用されている配向剤の極性末端基に対する親和性に乏しいものと推測され、それゆえ、一般的には、ホメオトロピック配向を全然示さないか、またはほんの僅かに配向を示すに留まる。また、アルキル側鎖付ポリイミド膜の形成には高温での熱処理が必要であるが、ポリイミド配向膜を焼成するに耐えることができ、光学用途として使用できる透明プラスチックフィルムはほんの僅かである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、垂直配向膜を使用することなく基板上に液晶ポリマーをホメオトロピック配向させることができるホメオトロピック配向液晶フィルムの製造方法を提供すること、また前記製造方法により得られたホメオトロピック配向液晶フィルムを提供することを目的とする。さらには基板上に垂直配向膜を介することなくホメオトロピック配向液晶フィルム層を有する光学フィルムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解消するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す方法により前記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、垂直配向膜の設けられていない基板上に、液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(a)として、一般式(a):
【化1C】
(ただし、R 1 は水素原子またはメチル基を、aは1〜6の正の整数を、X 1 は−CO 2 −基または−OCO−基を、R 2 はシアノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フルオロ基または炭素数1〜6のアルキル基を、bおよびcは1または2の整数を示す。)で表されるネマチック液晶性を有する側鎖を有するモノマーユニットと、
非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(b)として、一般式(b):
【化2C】
(ただし、R 3 は水素原子またはメチル基を、R 4 は炭素数7〜22のアルキル基、炭素数1〜22のフルオロアルキル基、または一般式(c):
【化3C】
ただし、dは1〜6の正の整数を、R 5 は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で表される直鎖状側鎖を有するモノマーユニットを含有する側鎖型液晶ポリマーを塗工し、さらに当該液晶ポリマーを液晶状態においてホメオトロピック配向させた後、その配向状態を維持した状態で固定化することを特徴とするホメオトロピック配向液晶フィルムの製造方法、に関する。
【0010】
本発明では、液晶ポリマーとして液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(a)と非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(b)からなる側鎖型液晶ポリマーを用いることにより、垂直配向膜を用いずに、液晶ポリマーのホメオトロピック配向を実現したものである。当該側鎖型液晶ポリマーは、通常の側鎖型液晶ポリマーが有する液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(a)の他に、アルキル鎖等を有する非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(b)を有しており、非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(b)の作用により、垂直配向膜を用いなくても、たとえば熱処理により液晶状態としネマチック液晶相を発現させ、ホメオトロピック配向を示すようになったものと推察する。そして、熱を除去しガラス化させ、ホメオトロピック配向した液晶ポリマー層を固定化したホメオトロピック配向液晶フィルムを製造している。
【0011】
前記ホメオトロピック配向液晶フィルムの製造方法において、基板は、ポリマー物質、ガラス基板、金属等の各種材質のものを用いることができる。また、ポリマー物質が、プラスチックシートまたはプラスチックフィルムとして用いられる。本発明の製造方法に用いられる基板の種類に制限はなく、ガラス基板、ポリマー物質、金属を特に制限なく使用することができ、またポリマー物質はプラスチックシートまたはプラスチックフィルムとして用いることができる。
【0012】
また本発明は、前記製造方法により得られたホメオトロピック配向液晶フィルム、に関する。
【0013】
さらには、本発明は、垂直配向膜の設けられていない基板上に、液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(a)として、一般式(a):
【化1D】
(ただし、R 1 は水素原子またはメチル基を、aは1〜6の正の整数を、X 1 は−CO 2 −基または−OCO−基を、R 2 はシアノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フルオロ基または炭素数1〜6のアルキル基を、bおよびcは1または2の整数を示す。)で表されるネマチック液晶性を有する側鎖を有するモノマーユニットと、
非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(b)として、一般式(b):
【化2D】
(ただし、R 3 は水素原子またはメチル基を、R 4 は炭素数7〜22のアルキル基、炭素数1〜22のフルオロアルキル基、または一般式(c):
【化3D】
ただし、dは1〜6の正の整数を、R 5 は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で表される直鎖状側鎖を有するモノマーユニットを含有する側鎖型液晶ポリマーがホメオトロピック配向したホメオトロピック配向液晶フィルム層が設けられている光学フィルム、に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明においてホメオトロピック配向液晶層を形成しうる液晶ポリマーとしては、下記、液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(a)と非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(b)を含有する側鎖型液晶ポリマーが用いられる。
【0015】
前記モノマーユニット(a)はネマチック液晶性を有する側鎖を有するものであり、たとえば、一般式(a):
【化1】
(ただし、R1 は水素原子またはメチル基を、aは1〜6の正の整数を、X1 は−CO2 −基または−OCO−基を、R2 はシアノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フルオロ基または炭素数1〜6のアルキル基を、bおよびcは1または2の整数を示す。)で表されるモノマーユニットがあげられる。
【0016】
またモノマーユニット(b)は、直鎖状側鎖を有するものであり、たとえば、一般式(b):
【化2】
(ただし、R3は水素原子またはメチル基を、R4は炭素数7〜22のアルキル基、炭素数1〜22のフルオロアルキル基、または一般式(c):
【化3】
ただし、dは1〜6の正の整数を、R5は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で表されるモノマーユニットがあげられる。
【0017】
また、モノマーユニット(a)とモノマーユニット(b)の割合は、特に制限されるものではなく、モノマーユニットの種類によっても異なるが、モノマーユニット(b)の割合が多くなると側鎖型液晶ポリマーが液晶モノドメイン配向性を示さなくなるため、(b)/{(a)十(b)}=0.01〜0.8(モル比)とするのが好ましい。特に0.1〜0.5とするのがより好ましい。
【0018】
前記側鎖型液晶ポリマーの重量平均分子量は、2千〜10万であるのが好ましい。重量平均分子量をかかる範囲に調整することにより液晶ポリマーとしての性能を発揮する。側鎖型液晶ポリマーの重量平均分子量が過少では配向層の成膜性に乏しくなる傾向があるため、重量平均分子量は2.5千以上とするのがより好ましい。一方、重量平均分子量が過多では液晶としての配向性に乏しくなって均一な配向状態を形成しにくくなる傾向があるため、重量平均分子量は5万以下とするのがより好ましい。
【0019】
なお、側鎖型液晶ポリマーは、前記モノマーユニット(a)、モノマーユニット(b)に対応するアクリル系モノマーまたはメタクリル系モノマーを共重合することにより調製できる。なお、モノマーユニット(a)、モノマーユニット(b)に対応するモノマーは公知の方法により合成できる。共重合体の調製は、例えばラジカル重合方式、カチオン重合方式、アニオン重合方式などの通例のアクリル系モノマー等の重合方式に準じて行うことができる。なお、ラジカル重合方式を適用する場合、各種の重合開始剤を用いうるが、そのうちアゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイルなどの分解温度が高くもなく、かつ低くもない中間的温度で分解するものが好ましく用いられる。
【0020】
側鎖型液晶ポリマーを塗工する基板は、ガラス基板、金属箔、プラスチックシートまたはプラスチックフィルムのいずれの形状でもよい。基板の厚さは、通常、10〜1000μm程度である。
【0021】
プラスチックフィルムは配向させる温度で変化しないものであれば特に制限はなく、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムがあげられる。またポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムもあげられる。さらにイミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルムなどもあげられる。これらのなかでも水素結合性の高いプラスチックフィルムが好ましい。
【0022】
また金属フィルムとしては、例えばアルミニウムなどから形成される当該フィルムが挙げられる。
【0023】
プラスチックフィルムとしては、特にゼオノア(商品名,日本ゼオン(株)製)、ゼオネックス(商品名,日本ゼオン(株)製)、アートン(商品名,JSR(株)製)などのノルボルネン構造を有するポリマー物質からなるプラスチックフィルムが光学的にも優れた特性を有する。これらポリマー物質(プラスチックフィルム)は光学異方性が非常に小さいため、プラスチックフィルム上に形成された前記側鎖型液晶ポリマーの配向液晶フィルム層は、当該配向液晶フィルム層を別のプラスチックフィルムヘ転写することなく、そのままホメオトロピック配向位相差フィルムとして液晶ディスプレイの光学補償用途等の光学フィルムに用いることができる。また、光学異方性を有するプラスチックフィルムやアルミホイルなどの金属フィルム上に形成した前記側鎖型液晶ポリマーの配向液晶フィルム層に関しては、前記側鎖型液晶ポリマーを配向液晶フィルム化した後、ノルボルネン構造を有するフィルムやセルローストリアセテートなどの透明で光学異方性の小さいプラスチックフィルム上に直接または粘着剤もしくは接着剤を介して転写することにより、光学補償フィルム等の光学フィルムに利用することができる。
【0024】
前記側鎖型液晶ポリマーを基板に塗工する方法は、当該側鎖型液晶ポリマーを溶媒に溶解した溶液を用いる溶液塗工方法または当該液晶ポリマーを溶融して溶融塗工する方法が挙げられるが、この中でも溶液塗工方法にて支持基板上に側鎖型液晶ポリマー溶液を塗工する方法が好ましい。
【0025】
溶液を調製する際に用いられる溶媒としては、側鎖型液晶ポリマーや基板の種類により異なり一概には言えないが、通常、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、フェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキベンゼンなどの芳香族炭化水素類、その他、アセトン、酢酸エチル、tert−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレンブリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、2−ピロリドン、N−メチル‐2一ピロリドン、ピリジン、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ブチロニトリル、二硫化炭素などを用いることができる。溶液の濃度は、用いる側鎖型液晶ポリマーの溶解性や最終的に目的とする配向液晶フィルムの膜厚に依存するため一概には言えないが、通常3〜50重量%、好ましくは7〜30重量%の範囲である。
【0026】
塗工された前記側鎖型液晶ポリマーからなるホメオトロピック配向液晶フィルム層の厚みは1〜10μm程度とするのが好ましい。なお、特にホメオトロピック配向液晶フィルムの膜厚を精密に制御する必要がある場合には、膜厚が基板に塗工する段階でほぼ決まるため、溶液の濃度、塗工膜の膜厚などの制御は特に注意を払う必要がある。
【0027】
上記の溶媒を用いて所望の濃度に調整した側鎖型液晶ポリマー溶液を、基板上に塗工する方法としては、例えばスピンコート法、バーコート法などを採用することができる。塗工後、溶媒を除去し、基板上に液晶ポリマー層を形成させる。溶媒の除去条件は、特に限定されず、溶媒をおおむね除去でき、液晶ポリマー層が流動したり、流れ落ちたりさえしなければ良い。通常、室温での乾燥、乾燥炉ての乾燥、ホットプレート上での加熱などを利用して溶媒を除去する。
【0028】
次いで、支持基板上に形成された側鎖型液晶ポリマー層を液晶状態とし、ホメオトロピック配向させる。たとえば、液晶ポリマーが液晶温度範囲になるように熱処理を行い、液晶状態においてホメオトロピック配向させる。熱処理方法としては、上記の乾燥方法と同様の方法で行うことができる。熱処理温度は、使用する側鎖型液晶ポリマーと支持基板の種類により異なるため一概には言えないが、通常60〜300℃、好ましくは70〜200℃の範囲において行う。また熱処理時間は、熱処理温度および使用する側鎖型液晶ポリマーや基板の種類によって異なるため一概には言えないが、通常10秒〜2時間、好ましくは20秒〜30分の範囲で選択される。10秒より短い場合、ホメオトロピック配向形成が十分に進行しないおそれがある。
【0029】
熱処理終了後、冷却操作を行う。冷却操作としては、熱処理後のホメオトロピック配向液晶フィルムを、熱処理操作における加熱雰囲気中から、室温中に出すことによって行うことができる。また空冷、水冷などの強制冷却を行ってもよい。前記液晶ポリマーのホメオトロピック配向層は、液晶ポリマーのガラス転移温度以下に冷却することにより配向が固定化される。
【0030】
このようにして、側鎖型液晶ポリマーの薄膜が生成され、配向性を維持したまま固定化することにより、ホメオトロピック配向した配向液晶フィルムが得られる。当該配向液晶層は同一の方向で配向された分子を有する。従ってこの配向液晶層の配向ベクトルの凍結または安定化およびその異方性物性の保存が達成されることは周知であり、このような薄膜はそれらの光学的性質が確認され、各種の用途で使用される。前記配向液晶層は一軸性の正の複屈折率を有する薄膜である。
【0031】
以上のようにして得られるホメオトロピック配向液晶層の配向は、当該液晶層の光学位相差を垂直入射から傾けた角度で測定することによって量化することができる。ホメオトロピック配向液晶フィルムの場合、この位相差値は垂直入射について対称的である。光学位相差の測定には数種の方法を利用することができ、例えば自動複屈折測定装置(オーク製)および偏光顕微鏡(オリンパス製)を利用することができる。このホメオトロピック配向液晶フィルムはクロスニコル偏光子間で黒色に見える。
【0032】
こうして得られたホメオトロピック配向液晶フィルムは、光学フィルムとして用いられる。前記配向液晶フィルムは基板から剥離して用いてもよいし、剥離することなく基板上に形成された配向液晶層としてそのまま用いてもよい。
【0033】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明の一態様について説明するが、本発明は実施例に限定されないことはいうまでもない。
【0034】
実施例1
【化4】
上記の化4(式中のn=18であり、モノマーユニットのモル%を示し、便宜的にブロック体で表示している、重量平均分子量5000)に示される側鎖型液晶ポリマー20重量部をジクロロエタン80部に溶解した溶液を、ノルボルネン系ポリマー(商品名ゼオノア,日本ゼオン(株)製)をポリマー材料とするプラスチックフィルム(20μm)に、スピンコーティングにより塗工した。次いで、160℃で1分間加熱し、その後室温まで一気に冷却することにより、前記液晶ポリマー層をホメオトロピック配向させ、かつ配向を維持したままガラス化しホメオトロピック配向液晶層(2μm)を固定化した配向液晶フィルムを得た。
【0035】
サンプル(基板付きホメオトロピック配向液晶フィルム)をクロスニコルさせた偏光顕微鏡により、当該フィルム表面に対し垂直な方向からサンプルを観察したところ、正面からは何も見えなかった。これによりホメオトロピック配向を確認した。すなわち光学位相差が発生していないことがわかった。このフィルムを傾けて斜めから光を入射し、同様にクロスニコルで観察したところ、光の透過が観測された。
【0036】
また、同フィルムの光学位相差を自動複屈折測定装置により測定した。測定光をサンプル表面に対して垂直あるいは斜めから入射して、その光学位相差と測定光の入射角度のチャートから、ホメオトロピック配向を確認した。ホメオトロピック配向では、サンプル表面に対して垂直方向での位相差(正面位相差)がほぼゼロである。このサンプルに関しては、液晶層の遅相軸方向に斜めから位相差を測定したところ、測定光の入射角度の増加に伴い、位相差値が増加したことからホメオトロピック配向が得られていると判断できた。
【0037】
実施例2
実施例1において、プラスチックフィルムのポリマー材料として、ノルボルネン系ポリマー(商品名ゼオネックス,日本ゼオン(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にしてホメオトロピック配向液晶フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、サンプルのホメオトロピック配向を確認した。
【0038】
実施例3
実施例1において、プラスチックフィルムのポリマー材料として、ノルボルネン系ポリマー(商品名アートン,JSR(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にしてホメオトロピック配向液晶フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、サンプルのホメオトロピック配向を確認した。
【0039】
実施例4
実施例1において、基板として、プラスチックフィルムの代わりにアルミホイル(15μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、ホメオトロピック配向液晶フィルムを作製した。次いで、ホメオトロピック配向液晶フィルムをセルローストリアセテートフィルムに転写し、基板から分離してサンプルとし、実施例1と同様にして、サンプルのホメオトロピック配向を確認した。
【0040】
実施例5
実施例1において、基板として、プラスチックフィルムの代わりにガラス基板(1mm)を用いた以外は実施例1と同様にしてホメオトロピック配向液晶フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、サンプルのホメオトロピック配向を確認した。
【0041】
比較例1
【化5】
実施例1において、液晶層の形成材料として上記化5に示される側鎖型液晶ポリマー(重量平均分子量5000)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。また、実施例1と同様にして、サンプルの評価を行ったがホメオトロピック配向は確認できなかった。正面から観察すると白濁しており、液晶ディレクターがあらゆる方向に存在し、液晶の配向性の乱れが生じていると考えられる。
Claims (5)
- 垂直配向膜の設けられていない基板上に、液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(a)として、一般式(a):
非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(b)として、一般式(b):
- 基板の材質が、ポリマー物質、ガラスまたは金属であることを特徴とする請求項1記載のホメオトロピック配向液晶フィルムの製造方法。
- 請求項1または2記載の製造方法により得られたホメオトロピック配向液晶フィルム。
- 垂直配向膜の設けられていない基板上に、液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(a)として、一般式(a):
非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(b)として、一般式(b):
- 基板の材質が、ポリマー物質、ガラスまたは金属であることを特徴とする請求項4記載の光学フィルム。
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