JP3781074B2 - アンテナ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、衛星放送を受信するためのアンテナ装置に係わり、特に、複数の衛星からの電波を受信するためのアンテナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、放送衛星(BS ;Broadcast Satellite) を用いた放送(以下、BS放送という。)や、通信衛星(CS ;Communications Satellite) を用いた放送(以下、CS放送という。)等の衛星放送が普及しつつある。このような衛星放送を受信するには、例えば放物面形状の反射鏡と、この反射鏡の焦点位置付近に配置された受信ユニットとからなるアンテナ装置が使用されるのが一般的である。ここで受信ユニットは、通常、反射鏡で集波された電波を後述の受信回路部に導く導波管としてのフィードホーンと、このフィードホーンによって導かれた電波を電気信号(受信信号)に変換すると共に、この受信信号に所定の処理(周波数変換や増幅等)を施して出力してBSチューナ等に供給する受信回路部とを含んで構成される。
【0003】
図18は、このようなフィードホーンの構造を簡略化して表すものである。この図で(a)はフィードホーンの側断面を表し、(b)は正面からみた状態を表す。これらの図に示したように、このフィードホーンは、図示しない反射鏡側に向かって拡がる漏斗状の開口部101と、開口部101と一体に形成された円筒状の導波管102とから構成されている。このフィードホーンは、反射鏡の焦点Fが開口部101の中央部に一致するように配置されるようになっており、反射鏡で反射されて焦点Fに集波された電波が導波管102の内部を伝搬し、図の上側に配置される受信回路部(図示せず)の電波・電気信号変換部に向かうようになっている。
【0004】
図18に示したフィードホーンは、受信対象の衛星が1つであるシングルビームアンテナに用いられるものであるが、最近では、異なる位置に打ち上げられた複数の衛星からの放送電波を1台のアンテナ装置によって受信することを可能としたマルチビームアンテナも実用化されている。この種のマルチビームアンテナでは、反射鏡による各衛星からの電波の各集波位置に対応してそれぞれフィードホーンを配置すると共に、各フィードホーンごとに個別に受信回路部を設け、各衛星からの電波をそれぞれ独立に処理して屋内のチューナ部に送出するようになっている。ここで、1組のフィードホーンおよび受信回路部は一体化された受信ユニットとして構成されており、このような受信ユニットが受信ビーム数(受信対象の衛星の数)と同じ数だけ配置されるようになっている。
【0005】
図19は、2つの衛星からの放送電波を受信可能なデュアルビームアンテナに用いられるフィードホーン部の構造を簡略化して表すものである。この図で(a)はフィードホーン部の側断面を表し、(b)は正面からみた状態を表す。このフィードホーン部は、図18に示したものとほぼ同一構造の開口部101aおよび導波管102aからなるフィードホーン103aと、これと同一構造のフィードホーン103bとから構成されている。フィードホーン103aとフィードホーン103bとの間隔d(各開口部の中心間距離)は、2つの衛星の軌道位置と、反射鏡の開口径および焦点距離に依存する。具体的には、2つの衛星が接近し、反射鏡の開口径が小さく、焦点距離が小さいほど、間隔dは小さくなる。
【0006】
ところで、アンテナのF/D値(反射鏡の焦点距離と反射鏡の開口径との比)は、良好な受信感度を得るのに適したフィードホーンの開口径を定める要素となるが、設計・製作上の共通化や容易化を図る等の理由から、アンテナのサイズにかかわらず、ほぼ一定に設定されることが多い。具体的には、F/D値は、例えば0.5程度に設定されることが多いが、この場合には、フィードホーンの適切な開口径は30mm程度となり、これより小さくても大きくても受信感度は良くならない。すなわち、通常一定とされるF/D値によって定まる最適な所定サイズの開口部をもつフィードホーンが必要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来のマルチビームアンテナは、1つのフィードホーンと1つの受信回路部とを一組として一体に構成した受信ユニットを受信ビーム数と同じ数だけ配置することで構成されていた。このため、各アンテナ装置ごとに、受信ビーム数に応じた数の受信ユニットを作製しなければならず、フィードホーンや受信回路基板等の部品点数が多くなって装置構成が複雑化すると共に、コストの低減も困難であった。また、複数の受信ユニットを1つの反射鏡の各集波位置に対応させてできるだけ正確に配置し確実に固定する必要があることから、そのための位置決め機構や固定機構が個別に必要となり、装置が複雑化すると共に、設置作業も煩雑化せざるを得なかった。また、各フィードホーンごとに受信回路部が設けられていたので、受信回路部と屋内のBSチューナ部とを結ぶための同軸ケーブルが複数必要となり、配線が煩雑になるという問題もあった。
【0008】
ところで、わが国における現状の住宅事情を考慮すると、あまりに大きい反射鏡を用いたアンテナ装置では設置スペースの確保が困難な場合も多いことから、より一層のコストダウンおよび普及を図るためにも、アンテナ装置を小型化する必要がある。
【0009】
しかしながら、反射鏡を小さくすると、上記したようにフィードホーン間の距離dを小さくする必要が生じ、特に、2つの衛星が非常に接近している場合には、フィードホーン間の距離dをますます小さくしなければならなくなる。一方、必要な受信感度を確保するには、フィードホーンが上記したような所定サイズ(例えば開口径が30mm程度)の開口部をもつことが要求される。このため、場合によっては、図20に示したように、フィードホーンの開口部同士が干渉し合う(ぶつかり合う)可能性もある。この場合、2つのフィードホーンが相互に干渉し合わないようにするには、各フィードホーンの開口径を小さくすればよいが、これでは上記したように反射鏡により反射された電波を効率的に導波管内に導くことができず、受信感度を一定以上に保つことが困難となる。例えば、既に実用に供されているJCSAT−3(日本通信衛星3号)と、近々打ち上げが予定されているJCSAT−4(日本通信衛星4号)とを例にとると、両衛星の静止軌道位置の経度差が僅か4度という極めて接近したものであるため、これらの衛星からの電波を1台のアンテナ装置で受信するにはフィードホーンの開口径を相当小さくしなければならず、必要な受信感度を得ることが極めて困難となる。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、装置構成がシンプルでコスト低減が容易であり、しかも、設置時の作業性がよいアンテナ装置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、小型化を実現しつつ、複数の衛星からの電波を感度よく受信することができるアンテナ装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のアンテナ装置は、複数の衛星からの電波を反射してそれぞれ異なる位置に集波する反射鏡と、反射鏡によって集波された電波の各集波位置に対応して互いに隣接するように配置されると共に各衛星からの電波の到来方向に向かって開いた傾斜面を有し、各衛星からの電波をそれぞれ集波する複数の開口部と、各開口部の、電波の到来方向とは反対側の端部にそれぞれ連結され、各開口部により集波された電波をそれぞれ伝搬させる筒状の複数の導波路と、各導波路の電波の到来方向とは反対側の端部に複数の導波路の伸延方向と直交するように設けられた共通の基板と、この基板の面の複数の導波路と対応する位置に形成され複数の導波路から供給される各電波をそれぞれ電気信号に変換する複数の電極パターンを有する変換部と、基板上に形成され、変換部の前記複数の電極パターンからの電気信号のいずれかを選択し、選択された電気信号に対して所定の信号処理を行う共通の受信回路部とを備えている。複数の導波路の相互間隔は複数の開口部の最大径よりも小さく、複数の開口部は相互に干渉する部分において隔壁を残して切り欠かれた状態に形成されている。
【0012】
本発明のアンテナ装置では、反射鏡で反射されてそれぞれ異なる位置に集波した各衛星からの電波は、複数の導波路によってそれぞれ変換部に導かれ、ここで電気信号にそれぞれ変換される。変換された複数の電気信号は、受信回路部において選択されたのち、所定の信号処理が施される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置の概略構成を表すものである。このアンテナ装置1は、例えば図11に示したように、互いに接近した距離を保って赤道上に静止軌道を描く2つの衛星S1,S2からの電波を受信するためのデュアルビームアンテナとして構成されたもので、例えば図12に示したように、利用者の家屋の屋根上やベランダ等に設置されて使用されるものである。本実施の形態では、衛星S1,S2がCS放送の電波を送出する通信衛星であるとして説明するが、これに限らず、BS放送の電波を送出する放送衛星であってもよい。ここで、CS放送では直線偏波が用いられ、BS放送では円偏波が用いられる。
【0014】
図1に示したように、このアンテナ装置1は、受信ユニット16によって電波が妨げられることのないオフセット型のアンテナ装置として構成されたもので、回転放物面の一部からなるパラボラ反射鏡11と、アーム12によってパラボラ反射鏡11の焦点近傍に固定されたクランプ部13と、クランプ部13によって回転可能に保持された受信ユニット16とを備えている。受信ユニット16は、フィードホーン部14と、このフィードホーン部14と一体に形成された通常コンバータと呼ばれる受信回路部15とを含んで構成されている。受信回路部15の下部には、図示しないコネクタが配設され、ここに同軸ケーブル17の一端側が接続されている。同軸ケーブル17の他端側は屋内のチューナ(図示せず)に接続されている。ここで、パラボラ反射鏡11が本発明における「反射鏡」に対応する。
【0015】
パラボラ反射鏡11の背面側には、パラボラ反射鏡11の仰角を調整するための仰角調整機構21が取り付けられている。この仰角調整機構21は、円弧状の長孔21aに挿通された固定用ボルト21bによって案内されながら固定用ボルト21cを中心として仰角方向に回動可能であり、適当な仰角位置で固定用ボルト21b,21cを締め付けることでパラボラ反射鏡11をその位置に固定できるようになっている。仰角調整機構21は、パラボラ反射鏡11の方位角を調整するための方位角調整機構22に取り付けられている。この方位角調整機構22は、円弧状の長孔22aに挿通された固定用ボルト22bによって案内されながら固定用ボルト22cを中心として方位角方向に回動可能であり、適当な方位角位置で固定用ボルト22b,22cを締め付けることでパラボラ反射鏡11をその位置に固定できるようになっている。方位角調整機構22は、本体部23aとこの本体部23aに対向して設けられた固定板23bとを含んで構成された固定部23に連結されている。そして、本体部23aと固定板23bとの間にベランダの支柱等を挟み込んでボルト23c等で締めつけることにより、このアンテナ装置全体を上記のベランダの支柱等に取り付けることができるようになっている。
【0016】
図2は図1におけるクランプ部13および受信ユニット16を拡大して表すものであり、図3は図2における矢印Aの方向からみた状態を表すものであり、図4は図2における矢印Bの方向から見た状態を表すものである。なお、図3および図4ではキャップ144を装着した状態を示している。上記したように、受信ユニット16は、フィードホーン部14と受信回路部15とを含んで構成されているが、このうち、フィードホーン部14は、互いに平行に並んで隣接する2つの導波路140a,140bが形成されたフィードホーン本体部142と、フィードホーン本体部142の前側(パラボラ反射鏡11に面する側)部分の周囲に形成されたリング部143と、フィードホーン本体部142およびリング部143の前面部を覆うためのキャップ144とを備えている。ここで、導波路140a,140bが本発明における「複数の導波路」に対応する。
【0017】
導波路140a,140bの各前端部(パラボラ反射鏡11に面する側)には、それぞれ、所定の開口面積を有する開口部141a,141bが形成されている。フィードホーン本体部142とリング部143とは、例えばアルミニウム等の金属ダイカストのように一体の導電体として形成される。但し、両者を別体で形成し、これを連結するようにしてもよい。フィードホーン本体部142は、クランプ部13によって回転可能に保持されると共に、図示しない固定ねじによって任意の回転位置でクランプ部13に対して固定されるようになっている。フィードホーン本体部142の回転中心軸は、開口部141a,141bの中点を通り、かつ導波路140a,140bの軸に平行な軸(以下、中点軸という。)である。
【0018】
図3および図4に示したように、フィードホーン本体部142は、開口部141a,141bの中点位置とパラボラ反射鏡11の焦点Fとが一致するように配置される。この状態で、図13に示したように、衛星S1,S2からの電波がそれぞれパラボラ反射鏡11で反射され、フィードホーン部14の開口部141a,141bの各中央部近傍にそれぞれ集波されるようになっている。なお、図13は、このアンテナ装置の仰角および方位角を衛星S1,S2の方向に合わせた場合に、パラボラ反射鏡11およびフィードホーン部14を図1における矢印Dの方向から見た状態を簡略化して表すものである。
【0019】
図5は図3においてキャップ144を取り外した状態でフィードホーン部14を正面から見た状態を表し、図6は図5におけるYY′断面を表し、図7は図5におけるZZ′断面を表すものである。これらの図に示したように、導波路140a,140bのうち、円筒状部分は互いに干渉することなく相互間隔(中心間距離)Lをもってそれぞれ円筒状に形成されている。一方、開口部141a,141bは、それぞれ、所定の傾斜度の傾斜面をもつ漏斗形状(円錐形状)の一部をなすように形成されているが、導波路140a,140bの相互間隔Lは開口部141a,141bの最大径φ(以下、単に開口径φという。)よりも小さく形成されているため、開口部141a,141bは相互に干渉する。このため、開口部141a,141bのうちの相互に干渉する部分は、隔壁146を残して、切り欠かれた状態に形成されている。
【0020】
導波路140a,140bの相互間隔Lは、図11〜図13に示した衛星S1,S2の相対距離(正確には各衛星の静止位置の経度差)とパラボラ反射鏡11の開口径および焦点距離等に依存し、衛星S1,S2の経度差が小さくなるほど、Lも小さくなる。例えば、衛星S2が東経128度に位置するJCSAT−3であり、衛星S1が近々打ち上げられて東経124度に位置する予定のJCSAT−4であるとすると、両者の経度差は僅か4度となる。ここで、パラボラ反射鏡11の開口径を例えば40cm程度と小型化し、その焦点距離を例えば20cm程度にしたとすると、一般にF/Dと表記される焦点距離とアンテナ開口径との比は0.5程度となり、このときの導波路140a,140bの相互間隔Lは22mm程度となる。一方、このような小型のパラボラ反射鏡11によって必要な受信感度を得ようとすると、各開口部141a,141bの開口径φは25mmを越える必要があると考えられる。したがって、この場合には開口部141a,141bが互いに干渉し合うことになるが、両者の干渉部分をそれぞれ切り欠いて図5〜図7に示したような形状とすることで、間隔Lおよび開口径φに対する要求を同時に満たすことができ、接近した2つの衛星からの電波を小型のパラボラ反射鏡11を用いて必要な感度で受信することが可能となる。
【0021】
ここで、開口部141a,141bの開口径φの好適な選択例を挙げる。受信電波の周波数を例えば12.20GHz〜12.75GHzとし、間隔Lを例えば21.7mmとし、パラボラ反射鏡11の開口径を例えば40cmとした場合において、開口部141a,141bの開口径φを21mm,25mm,28mmの3通りに設定して実験を行った。この結果、開口径φを21mmにした場合に比べて開口径φを25mmまたは28mmにした場合には、0.2dB〜0.3dB程度のゲイン(利得)の向上と、0.2dB〜0.4dB程度のノイズ低減効果とを得ることができ、両者を併せたC/N(キャリア/ノイズ)差は、0.4dB〜0.6dB程度向上した。ここで、開口径φが25mmの場合と28mmの場合とではC/N差はほぼ同じであったので、2つの開口部141a,141bの干渉量(切欠量)が少なく円形からの変形量が少なくて済む25mmの方を採用するのがより好適である。
【0022】
リング部143は、衛星からの電波以外の他の方向から飛び込んでくるノイズ成分をキャンセルして開口部141a,141bから導波路140a,140b内へノイズが侵入するのを防止するためのものである。図6に示したように、リング部143の内側の溝の深さMは電波の波長の4分の1となるように形成される。このため、リング部143の外側に入射した電波R1によって生じた表面電流Iはリング部143の内側の溝を越える際に波長の2分の1の位相差を生じ、この電流が、溝の内側のフィードホーン本体部に入射する電波R2によって生ずる電流とキャンセルし合うのである。すなわち、このリング部143の存在によりノイズ成分が低減されて受信感度が向上する。
【0023】
図2および図3に示したキャップ144は、非導電体(例えば、PE(ポリエチレン)やAES(アクリル樹脂の一種)等の合成樹脂)で形成され、主として防水のために設けられるが、このほかに、電波の収束効果を上げるという目的のためにも使用される。例えば、キャップ144の全体を誘電正接(誘電率の損失正接;tan(ε′/ε″);但し、ε′,ε″はそれぞれ複素誘電率εの実部と虚部)の低い材質で形成すると共に、その内側部を開口部141a,141bの形状に合わせて突出させた形状に加工し、キャップ144をフィードホーン部14に装着したときに上記の突出部が最適位置に配置されるように構成するのが好適である。この場合には、上記の突出部がいわばレンズとして作用し得るので、結果として開口部141a,141bの径が大きくなったのと等価となり、集波効果の向上により受信感度を上げることができる。
【0024】
図8は図3の受信ユニット16およびクランプ部13におけるXX′断面を拡大して表すものであり、図9は図4における矢印Cの方向から受信回路部15を見た状態を表すものである。ここで、図8は図9におけるXX′断面にも対応する。なお、図8では図3で示したキャップ144の図示を省略し、図9では図8に示した蓋板154の一部および遮蔽部材153の図示を省略し、図8および図9では図4に示した同軸ケーブル17の図示を省略している。
【0025】
図8および図9に示したように、受信回路部15は、導電体からなる筐体151と、この筐体151内に収容された基板モジュール152と、この基板モジュール152の主要部を覆うようにして配設された導電体からなる遮蔽部材153と、筐体151を密封するための導電体からなる蓋板154とを有している。ここで、筐体151は、例えばアルミニウム等の金属ダイカストのようにフィードホーン本体部142と一体に形成されるが、これに限らず、両者を別体として形成し連結するようにしてもよい。
【0026】
基板モジュール152の裏面側(電波が到来する側)には、接地用パターン152a(図9では図示せず)が形成され、フィードホーン本体部142の導波路140a,140bと一面に接している。基板モジュール152の表面側(電波の到来する面と反対側)には、導波路140a,140bの形状に対応してパターニングされた接地用パターン152bと、水平方向の直線偏波の受信電極としての水平電極パターン152c−1,152c−2と、垂直方向の直線偏波の受信電極としての垂直電極パターン152d−1,152d−2とが形成されている。これらのパターンはいずれも、例えば銅箔等の薄膜導体で形成されている。但し、図8では、各パターンの厚さを実際よりも厚く描いている。
【0027】
ここで、水平電極パターン152c−1および垂直電極パターン152d−1は、導波路140aに対応して設けられた受信電極であり、このうち、水平電極パターン152c−1は導波路140aを伝播してきた水平方向の直線偏波を電気信号に変換し、垂直電極パターン152d−1は導波路140aを伝播してきた垂直方向の直線偏波を電気信号に変換するためのものである。一方、水平電極パターン152c−2および垂直電極パターン152d−2は導波路140bに対応して設けられた受信電極であり、このうち、水平電極パターン152c−2は導波路140bを伝播してきた水平方向の直線偏波を電気信号に変換し、垂直電極パターン152d−2は導波路140bを伝播してきた垂直方向の直線偏波を電気信号に変換するようになっている。ここで、水平電極パターン152c−1,152c−2および垂直電極パターン152d−1,152d−2が本発明における「変換部」に対応する。
【0028】
遮蔽部材153は、導波路140a,140bを伝播してきて基板モジュール152を透過した電波を遮断するためのもので、筐体151と同様に、例えばアルミニウム等の金属ダイカストにより形成され、基板モジュール152の表面側から接地用パターン152bのみと面接触するようにして、図示しないねじによって筐体151に固定されている。蓋板154は、筐体151内部を密閉して雨水の侵入を防止すると共に電磁遮蔽するためのもので、導電体により形成されている。
【0029】
図10は基板モジュール152の回路構成の概略を表すものである。この基板モジュール152は、主として受信信号の周波数変換と増幅とを行うコンバータと呼ばれる回路を搭載している。具体的には、電波を電気信号に変換するための4つの受信電極(水平電極パターン152c−1,152c−2、および垂直電極パターン152d−1,152d−2)と、水平電極パターン152c−1または垂直電極パターン152d−1の一方を選択するように切り替えを行うスイッチ部156aと、水平電極パターン152c−2または垂直電極パターン152d−2の一方を選択するように切り替えを行うスイッチ部156bと、スイッチ部156a,156bのいずれか一方の出力を選択するように切り替えを行うスイッチ部157と、スイッチ部157の出力端に接続された高周波増幅回路158と、高周波増幅回路158の出力端に接続された混合回路159と、混合回路159に所定の周波数の局部発振信号を供給する局部発振回路160と、混合回路159の出力端に接続された中間周波増幅回路161とを備えている。
【0030】
中間周波増幅回路161の出力端は、同軸ケーブル17(図4等)が接続されるコネクタ155に接続されている。また、この基板モジュール152は、同軸ケーブル17からコネクタ155を介して供給される直流電圧(例えば15V程度)を基に、上記の各回路に安定した電力を供給する安定化電源162が設けられている。ここで、基板モジュール152のうち、水平電極パターン152c−1,152c−2および垂直電極パターン152d−1,152d−2を除く部分が、主として、本発明における「受信回路部」に対応する。
【0031】
スイッチ部156a,156b,157は、それぞれ、図示しない制御部からの切替信号に応じて切替動作を行うことにより、上記した4つの受信電極のいずれか1つを選択して高周波増幅回路158と接続するようになっている。なお、上記の制御部は、例えば、屋内に配設されたチューナ(図示せず)から同軸ケーブル17を介して送られてきた受信偏波選択命令に応じて上記の切替信号を出力するようになっている。高周波増幅回路158は、水平電極パターン152c−1等において受信した例えば12GHz帯の高周波信号をそのまま増幅するための回路で、例えばGaAs−FET(ガリウム砒素電界効果トランジスタ)等のような非常に低雑音の増幅素子を用いて構成されている。混合回路159は、高周波増幅回路158で増幅された例えば12GHz帯の高周波信号と局部発振回路160から供給された例えば11GHz帯の局部発振信号とをヘテロダイン検波して、同軸ケーブル17によって伝送可能な周波数帯である例えば1GHz帯の中間周波数信号(IF信号)を出力するようになっている。受信した高周波信号の周波数を例えば12.25GHz〜12.75GHzとし、局部発振信号の周波数を例えば11.2GHzとすると、IF信号の周波数は1.05GHz〜1.55GHzとなる。中間周波増幅回路161は、混合回路159から出力されたIF信号に対し、同軸ケーブル17を伝送する際の信号減衰を補償し図示しないチューナのノイズ指数に起因する画質劣化を低減するために必要なレベルまで、増幅を行う。
【0032】
次に、以上のような構成のアンテナ装置の作用および動作を説明する。
【0033】
まず、図11〜図15を参照して、このアンテナ装置の調整方法を説明する。この調整には、フィードホーン部14と受信回路部15とを一体化して構成した受信ユニット16の回転角の調整と、パラボラ反射鏡11および受信ユニット16を含むアンテナ装置全体の仰角の調整と、このアンテナ装置全体の方位角の調整とがある。ここではまず、受信ユニット16の回転角の調整が必要な理由、およびその調整方法を説明する。
【0034】
今、受信対象の衛星が図11および図12に示した2つの衛星S1,S2であるとする。ここで、上記したように、例えば衛星S2が赤道上空36000kmの高さで東経128度に静止軌道をもつJCSAT−3であり、衛星S1が赤道上空36000kmの高さで東経124度に静止軌道をもつJCSAT−4であるとすると、例えば東経約140度の東京においては、これらの衛星S1,S2は、図12に示したように南西の空に静止しているように見える。これらの衛星は共に赤道上に位置するので、2つの衛星の中点(ここでは東経126度)を通る経線上の地点から2つの衛星を見た場合には、各衛星の仰角(水平線を基準とした見かけ上の高度角)は等しくなるが、上記した中点を通る経線上にない地点から見ると、図12および図14に示したように、2つの衛星S1,S2の仰角β1,β2は等しくはなく、しかも観測地点の緯度や経度によって両者の仰角差(β2−β1)は変化する。具体的にいうと、2つの衛星S1,S2の中点を通る経線から離れれば離れるほど仰角差は拡大する方向に変化する。より具体的には、図12に示したように、アンテナ装置の設置地点の経度(ここでは140度)により近い経度に位置する衛星S2の仰角は、より遠い経度に位置する衛星S1の仰角よりも大きい。言い換えると、衛星S1よりも衛星S2のほうが高い位置に見えるのである。したがって、例えば日本国内の各地でアンテナ装置を設置する場合には、設置地点における2つの衛星S1,S2の仰角差に応じてパラボラ反射鏡11による各衛星からの電波の集波位置も変化することとなるので、最良の受信感度を得るには、実際の各集波位置に受信ユニット16の2つの開口部141a,141bをそれぞれ合わせ込む必要があるのである。
【0035】
そこで、このような実際の各集波位置と開口部141a,141bとの合わせ込みを行うべく、本実施の形態に係るアンテナ装置では、クランプ部13によってフィードホーン部14を含む受信ユニット16全体を中点軸を中心として回転可能に保持すると共に、フィードホーン部14を回転させることによって各集波位置に開口部141a,141bの各中央部をそれぞれ合わせ込んだ状態で、図示しない固定ねじ等によりフィードホーン部14をクランプ部13に固定できるようにしている。この場合のフィードホーン部14の回転角は、アンテナ装置の設置地点の主として経度により定まるので、予めフィードホーン部14の周囲に設置地点ごとの回転角を目盛っておき、利用者はこの目盛りに従って受信ユニット16の回転調整を行うようにすればよい。
【0036】
図15は、図12に示した衛星S1,S2に対して受信ユニット16の回転調整を行った後の状態を表すものである。なお、この図はパラボラ反射鏡11の側から受信ユニット16を見た状態を示している。この例では、パラボラ反射鏡11の焦点Fを通る中点軸を中心として、受信ユニット16全体(すなわちフィードホーン部14)を水平方向から角度α(以下、回転調整角αという。)だけ時計方向に回転させた位置に調整されている。
【0037】
例えば、アンテナ装置の設置地点が東経約140度の東京の場合には、衛星S1,S2(ここではJCSAT−4,JCSAT−3)に対する仰角β1,β2(図14)はそれぞれ約45.3度,46.7度となり、この場合の仰角差(β2−β1)は約1.4度となる。この仰角差の存在により、衛星S1,S2からの電波のパラボラ反射鏡11による集波位置P1,P2が上下にずれることとなるが、この場合、中点軸を中心として受信ユニット16を約18度だけ時計方向に回転すると、各集波位置P1,P2が各開口部141a,141bのそれぞれほぼ中央にくるようになる。すなわち、東京においては受信ユニット16の回転調整角αは約18度となる。
【0038】
このようにして受信ユニット16の回転角の調整を行ったのち、今度はアンテナ装置の仰角および方位角の調整を行う。このアンテナ装置の仰角の調整は、図1における仰角調整機構21によって行う。すなわち、仰角調整機構21の円弧状の長孔21aに挿通された固定用ボルト21bと回転中心となる固定用ポルト21cとを緩めて、パラボラ反射鏡11を設置地点の緯度や経度に応じて予め定められた仰角位置にまで動かし、そこで固定用ボルト21b,21cを締めることでパラボラ反射鏡11を固定する。また、このアンテナ装置の方位角の調整は、図1における方位角調整機構22によって行う。すなわち、方位角調整機構22の円弧状の長孔22aに挿通された固定用ボルト22bと回転中心となる固定用22cとを緩めて、パラボラ反射鏡11を設置地点の経度に応じて予め定められた方位角位置にまで動かし、そこで固定用ボルト22b,22cを締めることでパラボラ反射鏡11を固定する。そして、さらに、この状態で実際に電波を受信し、その受信状態が最良となるように仰角および方位角の微調整を行う。
【0039】
次に、このアンテナ装置の動作を簡単に説明する。
【0040】
衛星S1,S2からそれぞれ送出された高周波のCS放送波は、図13に示したようにパラボラ反射鏡11で反射されてフィードホーン部14の開口部141a,141bの各中央部付近にそれぞれ集波され、さらに、導波路140a,140bによって図8の基板モジュール152へと導かれる。この場合、衛星S1,S2から送出されるCS放送波は、水平方向および垂直方向の2種類の偏波である。
【0041】
さて、基板モジュール152に到達した高周波の電波は、この基板モジュール152の表面側に設けられた水平電極パターン152c−1,152c−2,垂直電極パターン152d−1,152d−2によって高周波の電気信号に変換され、図10に示した高周波増幅回路158に選択的に入力される。このとき、上記の4つ電極パターンからの信号のうちのいずれを高周波増幅回路158に入力するかについては、図示しない制御部によってスイッチ部156a,156b,157を切り替えることで選択する。
【0042】
ところで、直線偏波の場合、その偏波方向は必ずしも水平または垂直方向と一致するものではなく、この偏波方向が水平または垂直方向となす角(以下、偏波角γという。)は受信地点の緯度および経度によってかなり変化する。例えば、衛星S1が東経124度に位置するJCSAT−4の場合、沖縄の那覇における偏波角γが約7.4度であるのに対し、東京における偏波角γは約20.7度と大きい。また、衛星S2が東経128度に位置するJCSAT−3の場合、沖縄の那覇での偏波角γが約0.6度であるのに対し、東京での偏波角γは約15.9度と大きい。一方、図9に示した各受信電極パターン(水平電極パターン152c−1,152c−2,垂直電極パターン152d−1,152d−2)は、通常、アンテナの使用可能エリア(例えば日本国内)の中心付近の基準地点(例えば大阪)における受信電波の偏波角γに正確に合わせて作成される。したがって、仮に、この基準地点以外の地点で、受信ユニット16の回転方向の傾きを一定(ここでは、大阪での方向と同じ)にして設置したとすると、図9に示したように、受信地点に応じて、受信電極パターンと偏波方向との間(例えば、垂直電極パターン152d−1の方向と受信電波の垂直偏波方向Hとの間)に、その受信地点に固有の偏波角の差(以下、偏波角変化量Δγという。)が生じることとなり、効率的な電波・電気信号変換ができなくなってゲインが低下する。特に、使用可能エリアの境界近くの領域(例えば、北海道や九州等)においては偏波角変化量Δγが大きくなり、受信感度が極端に悪化する。
【0043】
ここで、注目すべきことは、上記の基準地点(例えば大阪)での受信電波の偏波方向と、受信可能エリア内における他の地点(例えば東京)での受信電波の偏波方向との差(すなわち、上記した偏波角変化量Δγ)は、上記の基準地点におけるフィードホーン部14の回転調整角α(図15)と、受信地点におけるフィードホーン部14の回転調整角αとの差(以下、回転角変化量Δαという。)にほぼ等しいことである。例えば、2つの衛星S1,S2からの電波の偏波角γは、大阪ではそれぞれ約16.1度,10.7度であり、東京ではそれぞれ約20.7度,15.9度であるから、各衛星についての偏波角変化量Δγは、それぞれ約4.6度,5.2度となる。一方、フィードホーン部14の回転調整角αは、大阪では約13.4度であり、東京では約18.3度であるから、回転角変化量Δαは約4.9度となる。すなわち、偏波角変化量Δγと回転角変化量Δαとはほぼ等しくなる。したがって、図15に示したように、フィードホーン部14を受信地点の緯度や経度によって定まる適正な回転調整角αだけ回転させる調整を行った場合には、それと同時に、偏波角変化量Δγの補正も自動的に行われるのである。このため、上記したような偏波誤差に起因するゲインの劣化は殆ど発生せず、また、目的の偏波方向と交差する方向の偏波の混入による不要な受信信号レベルを低減でき、目的のチャネルに関して良好な受信感度を確保することができる。なお、フィードホーン部14の適正な回転角αと偏波角γとは厳密には一致せず、両者の差は受信地点によって多少変化するものの、その差の範囲は、日本国内の主要地域では1度以下であるので、実際上、問題にはならない。
【0044】
さて、このようにして高周波増幅回路158に入力された高周波受信信号は、ここでその周波数のまま増幅されて混合回路159に入力される。混合回路159は、高周波増幅回路158で増幅された高周波信号と局部発振回路160から供給された局部発振信号とをヘテロダイン検波して、その差分周波数をもつIF信号を出力し、中間周波増幅回路161に入力する。中間周波増幅回路161は、混合回路159から出力されたIF信号を必要なレベルまで増幅する。こうして増幅されたIF信号は、同軸ケーブル17を経由して屋内のチューナ(図示せず)に送られ、図示しないテレビジョン受像機における画面表示に供される。
【0045】
以上のように、本実施の形態に係るアンテナ装置では、2つの導波路140a,140bを有するフィードホーン部14と受信回路部15とを一体として1つの受信ユニット16を構成したので、従来のようにアンテナ装置ごとに受信ビーム数に応じた数の受信ユニットを用意する必要がなく、単一の受信ユニット16のみを用意すればよい。このため、部品点数が少なくなり、装置構成が簡略化する。また、複数の受信ユニットの各々を1つの反射鏡の各集波位置に対応させて配置し固定する従来装置に対し、本アンテナ装置では単一の受信ユニット16のみを用いるので、その位置決め機構や固定機構が簡単となり、設置作業も容易となる。さらに、2つの導波路140a,140bに対応して共通の受信回路部15を設け、これらの導波路140a,140bからの受信信号を適宜切り替えて受信回路部15で処理するようにしたので、受信ユニット16と屋内のチューナ部とを結ぶための同軸ケーブルが1本で足り、配線も簡単となる。また、リング部143を設けたことにより、ノイズの低減が可能となる。
【0046】
また、本実施の形態に係るアンテナ装置では、導波路140a,140bの各開口部141a,141bが互いに干渉し合う場合には、両者の干渉部分を切り欠くようにして開口部141a,141bを形成したので、両者の間隔Lを小さくすると同時にそれぞれの開口径φを大きくするという相反する要求を同時に満たすことができる。このため、小型のパラボラ反射鏡11を用いた場合であっても、接近した2つの衛星からの各電波を効率よく分離してそれぞれ十分な感度で受信することが可能となる。
【0047】
さらに、本実施の形態に係るアンテナ装置では、クランプ部13により、フィードホーン部14を含む受信ユニット16全体を中点軸を中心として回転できるように保持することとしたので、アンテナ装置の設置地点に依存して変化する各衛星からの電波の集波位置と開口部141a,141bとの合わせ込みを容易に行うことができる。しかも、パラボラ反射鏡11全体を回転するのでなく、受信ユニット16の部分のみを回転させるようにしたので、最も重量のあるパラボラ反射鏡11を回転可能に保持する機構が必要なくなり、強風に対する耐性が向上する。さらに、パラボラ反射鏡11自体は常に基準位置にあるので、そこに描かれた文字記号等のデザインが傾いた状態で設置されるという外観上の不具合を解消することもできる。
【0048】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されず、その均等の範囲内で種々変更可能である。例えば、上記の実施の形態では、衛星S1,S2をCS放送用の衛星として説明したが、本発明はこれに限定されず、BS放送用の衛星にも適用可能である。但し、このBS放送では円偏波が用いられるので、この場合には図9に示した基板モジュール152に代えて、図16に示したような受信電極パターン152e−1,152e−2を有する基板モジュール152′を用いる。この図で図9と同一部分には同一の符号を付す。この例では、導波路140a,140bにそれぞれ対応する受信電極パターン152e−1,152e−2を、垂直方向からそれぞれ+/−方向に所定の角度(例えば45度)ずつ傾いた方向に延びるように形成し、また、接地用パターン152b′を、上記の受信電極パターン152e−1,152e−2を避けるようにしてパターニングしている。その他の構成は図9の場合と同様である。
【0049】
また、2つの衛星は同種の衛星(すなわち、CSとCS、またはBSとBS)には限られず、異種衛星(すなわちCSとBS)からの電波を受信可能なアンテナ装置を構成することも可能である。この場合には、基板モジュールのうち、CSからの電波を受信する導波路に対応した部分には、例えば図9に示したような受信電極パターン(例えば水平電極パターン152c−1および垂直電極パターン152d−1の組)を形成し、BSからの電波を受信する導波路に対応した部分には、例えば図16に示したような受信電極パターン152e−2等を形成すればよい。
【0050】
また、上記の実施の形態では、2つの衛星からの電波を受信可能なデュアルビームアンテナ装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3つ以上の衛星からの電波を受信可能なマルチビームアンテナ装置に適用することも可能である。例えば、赤道上空に互いに接近して等間隔に並ぶ3つの衛星からの電波を受信可能なトリプルビームアンテナ装置を構成する場合には、例えば図17に示したように、それぞれの衛星からの電波を受信するための導波路140a′,140b′,140c′を直線上に並べて形成すると共に、それぞれの入り口に開口部141a′,141b′,141c′を形成し、それらの周囲にリング部143′を形成してフィードホーン部14′を構成する。そして、3つの開口部141a′,141b′,141c′の配列方向の中点がパラボラ反射鏡11の焦点Fに一致するようにしてフィードホーン部14′を配置すると共に、上記した中点(焦点F)を通り導波路140a′,140b′,140c′に平行な軸を中心としてフィードホーン部14′を回転できるように構成すればよい。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載のアンテナ装置によれば、反射鏡によって集波された複数の衛星からの各受信電波をそれぞれ変換部に導く複数の導波路と、変換部によって受信電波から変換された各電気信号のうちいずれか1つを選択し、選択した電気信号に対する所定の信号処理を行う受信回路部とを備えるようにしたので、従来のように導波路と受信回路部とを1対1で組み合わせたユニットを受信対象の衛星の数に応じた数だけ用意するという必要がなく、複数の導波路と受信回路部とを組み合わせたユニットを1つだけ用意すればよい。このため、部品点数が減少して装置構成を簡略化できると共に、反射鏡に対する各導波路の位置決め機構や固定機構が簡単となって設置作業が容易になるという効果がある。また、部品点数の減少等によりコスト低減を図ることができるという効果がある。また、実際の設置の際に必要なアンテナ装置と屋内のチューナとを結ぶためのケーブルが1本で足り、配線が簡単になるという効果もある。
【0052】
また、各導波路が所定の受信感度を得るに足る開口面積をもつように形成すると共に、隣接する導波路と干渉する部分についてはこれを切り欠くようにして形成したので、導波路間隔の縮小と導波路の開口面積の確保という相反する要求を同時に満たすことができる。すなわち、小型の反射鏡を用いた場合であっても、接近した2つの衛星からの各電波を効率よく分離してそれぞれ十分な感度で受信することが可能になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置の全体を表す斜視外観図である。
【図2】図1のクランプ部および受信ユニットを拡大して表す斜視外観図である。
【図3】クランプ部および受信ユニットの正面図である。
【図4】クランプ部および受信ユニットの側面図である。
【図5】受信ユニットにおけるフィードホーン部の正面図である。
【図6】受信ユニットにおけるフィードホーン部の一部断面図である。
【図7】受信ユニットにおけるフィードホーン部の他の一部断面図である。
【図8】クランプ部および受信ユニット全体の断面図である。
【図9】受信ユニットの背面図である。
【図10】受信ユニット内の基板モジュールの回路構成を表すブロック図である。
【図11】衛星の静止軌道を表す説明図である。
【図12】地上からみた衛星の位置を表す説明図である。
【図13】2つの衛星からの電波がパラボラ反射鏡によってフィードホーン部に集波される様子を説明するための説明図である。
【図14】2つの衛星の仰角差を説明するための説明図である。
【図15】受信ユニットを回転調整した状態を表す図である。
【図16】受信ユニットにおける基板モジュールの他の構成例を表す背面図である。
【図17】受信ユニットにおけるフィードホーン部の他の構成例を表す正面図である。
【図18】シングルビームアンテナに用いられるフィードホーンの構造を簡略化して表す構造図である。
【図19】デュアルビームアンテナに用いられるフィードホーンの構造を簡略化して表す構造図である。
【図20】近接した2つの衛星からの電波を受信するために小型のデュアルビームアンテナを構成する場合の問題点を説明するための説明図である。
【符号の説明】
11…パラボラ反射鏡、12…アーム、13…クランプ部、14…フィードホーン部、15…受信回路部、16…受信ユニット、17…同軸ケーブル、21…仰角調整機構、22…方位角調整機構、23…固定部、140a,140b、140a′,140b′,140c′…導波路、141a,141b,141a′,141b′,141c′…開口部、142…フィードホーン本体部、143…リング部、144…キャップ、151…筐体、152…基板モジュール、152c−1,152c−2…水平電極パターン、152d−1,152d−2…垂直電極パターン、152e−1,152e−2…受信電極パターン、153…遮蔽部材、154…蓋板、S1,S2…衛星
Claims (1)
- 複数の衛星からの電波を反射してそれぞれ異なる位置に集波する反射鏡と、
前記反射鏡によって集波された電波の各集波位置に対応して互いに隣接するように配置されると共に各衛星からの電波の到来方向に向かって開いた傾斜面を有し、前記各衛星からの電波をそれぞれ集波する複数の開口部と、
前記各開口部の、電波の到来方向とは反対側の端部にそれぞれ連結され、各開口部により集波された電波をそれぞれ伝搬させる筒状の複数の導波路と、
前記各導波路の電波の到来方向とは反対側の端部に前記複数の導波路の伸延方向と直交するように設けられた共通の基板と、
この基板の面の前記複数の導波路と対応する位置に形成され前記複数の導波路から供給される各電波をそれぞれ電気信号に変換する複数の電極パターンを有する変換部と、
前記基板上に形成され、前記変換部の前記複数の電極パターンからの電気信号のいずれかを選択し、選択された電気信号に対して所定の信号処理を行う共通の受信回路部と
を備え、
前記複数の導波路の相互間隔は、前記複数の開口部の最大経よりも小さく、
前記複数の開口部は、相互に干渉する部分において隔壁を残して切り欠かれた状態に形成されている
ことを特徴とするアンテナ装置。
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