JP3778984B2 - 椅子の座受支持機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、座部と背凭れ部とを連動して傾斜可能に脚部に取付ける椅子の座受支持機構に関する。更に詳述すると、本発明は、座部と背凭れ部との間に連動関係を与える座受支持機構のリンク機構の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、着座姿勢を楽にするように、座部と背凭れ部とが座っている人の姿勢に応じて連動する椅子が開発されている。そして、背凭れ部と座部との傾斜を単に連動させるだけでなく、座部がその前部を中心に揺動し、座部の傾斜時に着座者の大腿部の裏側を圧迫しない機構が望まれている。このような要望に応えるものとして、例えば特開平4−193108号に開示された椅子が提案されている。
【0003】
この椅子は、図7に示すように、前部シートフレーム101と後部シートフレーム102との上部に座部103を取り付け、後部シートフレーム102に連結部104及び背凭れ取付フレーム105を介して図示しない背凭れを設けている。着座者が背凭れに荷重を掛けて背凭れを傾斜させると、後部シートフレーム102が第2軸106を中心に回転し、座部の後部が下方に傾斜する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した椅子では、座部103に荷重が掛かると同時に背凭れが連動して傾斜してしまうので、人が勢い良く腰掛けて座部103に大きな荷重Wが急激に掛けられると、座部103の後方が沈んで傾斜してしまうと同時に背凭れも後方に傾斜してしまう。その直後、後部シートフレーム102は圧縮コイルばね等から成る緩衝部材107により押し戻されるので、背凭れが着座者の背中を叩いて、着座者に不快感を与えてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、座部に勢い良く座っても背凭れが着座者の背中を叩かない椅子の座受支持機構を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1の発明は、座部に取り付けられる座受部材とこの座受部材と背凭れ部を支持する背支桿とを各々揺動自在に支持して脚部に取り付けられる脚側固定部材および前記座部と背凭れ部を原位置に復帰させる反力を付与する反力ユニットを備えた椅子の座受支持機構において、前記座受部材と脚側固定部材との間に、前記背凭れ部に荷重が掛かっていないときには死点を構成して前記座部にかかる荷重を支持すると共に前記背凭れ部に荷重が掛かるときには前記背支桿と連動して前記死点が解除されて屈曲し前記座部を前記背凭れ部の傾動と連動させて傾斜させるリンク機構を設けている。
【0007】
したがって、着座しても背凭れ部の背凭れに凭れ掛かっていない時には、座部を支持する屈曲可能なリンク機構が荷重作用方向に一直線上に配置されて死点を構成しているので、座部に荷重が掛かってもリンク機構には圧縮力しか作用せず座部が傾斜することもなければ背凭れが揺動することもない。
【0008】
しかし、背凭れに凭れ掛かると、背凭れが後方へ傾くのに伴ってリンク機構に回転力が与えられて死点が解除され座部が傾き始める。すなわち、背凭れに荷重が掛かって初めて座部と背凭れとが連動する。また、背凭れの傾動に伴って、反力ユニットは背凭れに対して反力を付与しつつ圧縮力が蓄えられ、背凭れ及び座部から荷重が除かれた時にリンクを逆回転させて元の位置へ復帰させる。
【0009】
また、請求項2の座受支持機構は、前記座受部材と前記脚側固定部材とは前方において揺動可能に連結されると共に後方において前記リンク部材によって連結され、かつ前記リンク機構を構成するリンクの一方と前記背支桿とが背支桿リンクで互いに揺動可能に連結されると共に前記リンクと前記反力ユニットも連結され、前記背支桿と同一回転方向にリンク機構が屈曲するようにしている。
【0010】
したがって、背凭れに凭れ掛かると、背凭れが背支桿と共に後方へ傾き、これに伴い背支桿リンクを介してリンク機構が同方向に屈曲するため、リンク機構が死点状態から解かれ、座部の後方が沈むようにして傾き始める。そして、大腿部を圧迫しないような安楽姿勢をとる。
【0011】
また、請求項3の椅子の座受支持機構は、反力ユニットとしてガススプリングを使用している。
【0012】
さらに、請求項4の椅子の座受支持機構は、反力ユニットとしてその伸長または短縮により座部及び背凭れに付勢力を与えるものを採用し、かつその反力ユニットを伸長または短縮させて固定することにより初圧を設定する初圧調整機構を備えるようにしている。したがって、初圧調整機構を操作することにより、背凭れを傾動させるために必要な荷重の大きさが調整される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。図1から図4に本発明の座受支持機構を回転椅子に適用した実施の一形態を示す。
【0014】
本実施形態の椅子は、座部2と背凭れ部(背支桿9のみを示しその他は図示を省く)とこれらを支持する脚部(脚柱6のみを示しその他は省く)並びに座部2と背凭れ部とを連動して傾斜可能に脚部に取付ける座受支持機構1とから構成されている。
【0015】
座受支持機構1は、座部2に取り付けられる座受部材(以下、座受金具と呼ぶ)8と、この座受金具8と背支桿9とを各々揺動自在に支持して脚部の脚柱6に取り付けられる脚側固定部材(以下、支持金具と呼ぶ)7と、座部2と背凭れ部を原位置に復帰させる反力を付与する反力ユニット12およびを座受金具8と支持金具7との間を連結するリンク機構3とから主に構成されている。座受金具8と支持金具7とは前方においてピン継手で互いに揺動可能に連結されると共に後方においてリンク機構3によって連結されている。
【0016】
リンク機構3は、本実施形態の場合、互いに揺動可能にピン継手で連結された第1及び第2の2枚のリンク4,5から成り、各リンク4,5が一直線に延びた状態で鉛直に配置されるようにして座受金具8と支持金具7とにそれぞれピン継手で互いに揺動可能に取り付けられている。更に、このリンク機構3は、構成リンクの一方例えば第2のリンク5と背支桿9とが背支桿リンク11で互いに揺動可能に連結されると共に第2のリンク5と反力ユニット12も連結され、背支桿9と同一回転方向にリンク機構3が屈曲するように設けられている。これによって、リンク機構3は、背凭れ部に荷重が掛かっていないときには死点を構成して座部2にかかる荷重を支持すると共に背凭れ部に荷重が掛かるときには背支桿9と連動して死点が解除されて屈曲し座部2を背凭れ部の傾動と連動させて傾斜させるように設けられている。ここで、背支桿9は背支桿腕10を介して背支桿リンク11と回転自在に連結されている。また、反力ユニット12としては、圧縮コイルスプリングを反力発生源としたものが採用され、支持金具7の前端での固定位置を回転によって移動させる初圧調整機構13が備えられている。
【0017】
座受金具8は、長方形の取付板8aと該取付板8aの左右両側縁が直角に折り曲げられた軸支持板8b,8bとにより構成されている。取付板8aの上側には、座部2の座板がボルト14,14によりねじ止めされている。また、各軸支持板8b,8bの前後部には、軸支持孔8c,8dが形成されている。ここで、後側の軸支持孔8dには、第1のリンク4,4が取り付けられている。各第1のリンク4,4は、各軸支持板8b,8bのそれぞれ内側に位置すると共に、各軸支持板8b,8bを貫通する第1のリンク軸15により回転可能に取り付けられている。
【0018】
支持金具7は、前後を長手方向とする4枚の垂直板7a,7a,7b,7bを有している。各垂直板7a,7a,7b,7bの隣り合ったもの同士は、連結板7iにより連結されている。さらに、中央の2枚の垂直板7a,7aの前端部は、ほぼ水平な連結板7cにより連結されている。また、中央の2枚の垂直板7a,7aは、両端の2枚の垂直板7b,7bより後部を短くして形成されている。そして、中央の2枚の垂直板7a,7aの後方には、脚柱6の上端部を収容する円筒部7dが形成されている。
【0019】
支持金具7の前部と中央部とには、4枚の垂直板7a,7a,7b,7bを通過する水平な軸支持孔7e,7fが形成されている。ここで、支持金具7の前部は、座受金具8の各軸支持板8b,8bの間に収容されている。そして、座受金具8の前側の軸支持孔8cと支持金具7の前側の軸支持孔7eとには、前固定軸16が貫通して取り付けられている。このため、座受金具8及び座部2は、前固定軸16を中心に揺動可能とされている。
【0020】
支持金具7の中央部の軸支持孔7fには、昇降操作レバー17が回転可能に取り付けられている。該昇降レバー17の中央部の軸支持孔と支持金具7の中央部の軸支持孔7fとを貫通して、後固定軸18が設けられている。また、昇降操作レバー17は、中央の垂直板7aと隣り合う端の垂直板7bとの間に位置している。ここで、昇降操作レバー17の後端部は、昇降操作レバー17の揺動により脚柱6の上端部のガススプリングに係合可能とされている。また、昇降操作レバー17の前端部には、該先端部を引き上げるワイヤ19の一端部が係合されている。このため、ワイヤ19の他端部に取り付けられた図示しない操作レバーの操作により、脚柱6のガススプリングが伸縮可能となる。
【0021】
また、支持金具7の両端の2枚の垂直板7b,7bの後端部には、背支桿支持孔7g,7gが形成されている。各背支桿支持孔7g,7gには、断面六角形の透孔を有する回転板20が回転可能に嵌合されている。各回転板20,20の外側にはフランジ部が形成されている。このフランジ部は各背支桿支持孔7g,7gの縁に接し、各回転板20,20の内側への脱落を防止している。また、各フランジ部の外側には背支桿腕10が接している。各背支桿腕10,10には、回転板20の透孔と等しい大きさの断面六角形の透孔が形成されている。また、支持金具7の垂直板7b,7bの後端部には、リンク機構3が伸ばされて図1に示す死点を構成する位置に移されたときに背支桿腕10と当接してそれ以上背支桿腕10が後方へ移動しないように(図1で反時計回転方向へ回転しないように)規制してリンク機構3がくの字形に折れ曲がらないようにするストッパ7jが設けられている。このストッパ7jには反力ユニット12の力を受けて背支桿腕10が押し当てられる。したがって、背支桿腕10の後方への移動の規制は、反力が与えられつつ行われるので、背支桿9,9のがたつきが防止できる。
【0022】
さらに、各背支桿腕10,10の透孔と各回転板20,20の透孔とを貫通して、断面六角形の背支桿支持軸21が設けられている。背支桿支持軸21の両端部には、背支桿9,9の下端部が嵌合されている。このため、各回転板20,20及び各背支桿腕10,10と背支桿支持軸21と背支桿9,9とは、一体化して支持金具7に対して回転する。なお、各背支桿腕10,10及び各回転板20,20と背支桿支持軸21との接触面は6面有るので、比較的多くの面を接触させて回転を伝達することができる。このため、接触辺の1本当たりの負荷が小さくなり、各回転板20,20及び各背支桿腕10,10と背支桿支持軸21と背支桿9,9との一体化の確実性が向上し、また各部材の長寿命化を図ることができる。なお、本実施形態では背支桿支持軸21の断面形状を6角形としたが、これに特に限られず四角形な八角形などの他の多角形あるいは楕円形でも構わない。また、各透孔の外周壁を貫通して接触面にボルト等を押し付けることにより、伝達可能なトルクを大きくしたり軸方向への滑りを防止しても構わない。
【0023】
また、背支桿腕10の先端部には、背支桿リンク11がピン22及びEリング23により回転可能に取り付けられている。
【0024】
一方、第2のリンク5は、ほぼ三角形の板状で、中央部と2つの角部とに軸支持孔5a,5b,5cが形成され、残りの1つの角部に軸止ピン5dが設けられている。第2のリンク5は、支持金具7の両端の2枚の垂直板7b,7bの外側にそれぞれ配置されている。そして、各第2のリンク5,5の中央部の軸支持孔5aは、後固定軸18に取り付けられている。また、各第2のリンク5,5は、各第1のリンク4,4の外側に位置している。そして、各第2のリンク5,5の上部の軸支持孔5bと各第1のリンク4,4の下側の軸支持孔とを貫通して、座部支持軸24が取り付けられている。この座部支持軸24は支持金具7の上方で移動可能とされている。この可動範囲の後端部に位置する支持金具7の一部には、上方に突出したストッパ7h,7hが形成されている。このため、第2のリンク5が後固定軸18を中心に図1及び図4中時計回転方向に揺動すると、座部支持軸24がストッパ7hに当接する。これにより、第2のリンク5はそれ以上回転できなくなる。即ち、リンク機構3の第2のリンク5がそれ以上後方へ倒れるのを規制して、反力ユニット12に荷重負担を掛けないように設けられている。しかし、場合によっては、反力ユニット12の端部部材26,27が突き当たることによってそれ以上リンク5が回動しないように設けることも可能である。なお、本実施形態では、座部2及び背凭れの傾斜角度の比は例えば1:2.5程度とされている。そして、座部の最大傾斜角度は例えば6度、背凭れの最大傾斜角度は例えば15度とされている。
【0025】
さらに、座部2及び背凭れが原位置にある静止状態では、各第1のリンク4,4及び各第2のリンク5,5を相互に揺動自在に連結する3本の軸すなわち第1のリンク軸15と座部支持軸24と後固定軸18とは、1本の鉛直線上に配置されている。この時、リンク機構3は死点を構成している。このため、リンク機構3は、着座により座部に作用する鉛直な荷重を同じく鉛直に配置した突っ支え棒として支持することができる。このとき、背凭れの動きに対して座部2が遅れなくスムーズに追従することができる。なお、本実施形態ではリンク機構3の各軸15,24,18は1鉛直線上に配置することによって容易に死点を得ているが、これに特に限定されるものではなく、例えばリンク機構3を一直線状に伸ばしたときに座部2を介して作用する荷重の方向と一致して死点を構成するのであれば鉛直線に対して傾斜していても構わない。この構造であっても、突っ支え棒となって座部2の荷重を支持することができる。また、場合によっては、リンク機構3を僅かにくの字形に屈曲させた状態で軸24の動きを止めるストッパを支持板7a,7aに設け、座部2から作用する荷重に対して動きを固定する死点と同じ状態をつくり出すことも可能である。この場合、背凭れが動かないときのリンク機構3の固定は確実に行うことができると共に背凭れが或る一定範囲まで動かなければ座部2が動かないようにできる。
【0026】
また、図1及び図4中で、背支桿腕10と背支桿リンク11との間の角度は、背凭れが傾斜していない時には直角よりやや大きい角度で、背凭れが傾斜するにつれて更に大きい角度になるものとしている。すなわち、背凭れの傾斜角度が大きくなるにつれ、背支桿リンク11の押し出される長さが小さくなるように設定されている。さらに、背支桿リンク11と第2のリンク5の軸止ピン5d及び後固定軸18を結ぶ直線との間の角度は、背凭れが傾斜していない時には直線に近い大きい角度で、背凭れが傾斜するにつれて小さくなり直角に近い角度になるものとしている。すなわち、背凭れの傾斜角度が大きくなるにつれ、背支桿リンク11から第2のリンク5への回転力が大きくなるよう設定されている。
【0027】
このため、背凭れの傾斜角度の増大により反力ユニット12による抵抗力が大きくなっても、背支桿腕10と背支桿リンク11とがトグル機構を構成すると共に、背支桿リンク11から第2のリンク5への回転力が大きくなるので、背凭れに対する荷重とこれによる傾斜角度とのばね特性はほぼ平坦なものとなる。したがって、着座者が背凭れを傾斜させるのに必要な荷重は、背凭れの傾斜角度に拘わらずほぼ一定となり、使用感を向上させることができる。
【0028】
また、反力ユニット12は、摺動軸25により案内されて間隔を変更可能な基端部材26及び先端部材27と、各端部部材26,27の間に介在する圧縮コイルばね28とを備えている。基端部材26と先端部材27とは圧縮コイルばね28が圧縮されるときに座屈しないように保持すると共にある程度以上は圧縮されないようにして背もたれの傾動を規制する機能を有する。このため、各端部部材26,27同士を近接させる力が加わると、圧縮コイルばね28が圧縮される。そして、反力ユニット12は、支持金具7の中央の2枚の垂直板7a,7aの間に位置している。この反力ユニット12の基端部材26は、各第2のリンク5の下部の軸支持孔5cに支持軸33により取り付けられている。
【0029】
なお、本実施形態では、反力ユニット12をいわゆるフリーロッキング式とし、全長を任意の長さに固定できないものとしている。また、弾性力を生じさせるために弾性体を使用している。弾性体としては圧縮コイルばね28を用いているが、これに限らず他の弾性体、例えばゴムやウレタンフォームを用いることができる。したがって、反力ユニット12の選択可能な種類が増加し、特に安価な弾性体を用いた反力ユニット12を選択して使用すれば、部品コストを低減することができる。また、本実施形態では、反力ユニット12のみにより背凭れ及び座部2を復起させているが、これに限らず復起のための補助ばねを設けても構わない。例えば、図1の想像線で示すように、支持金具7と座受金具8との間に圧縮コイルばねから成る補助ばね12’を鉛直に設けることができる。この場合、座部2の荷重は反力ユニット12の他に補助ばね12’によっても支持されるので、座部荷重が大きくても座部2を容易に復起させることができる。
【0030】
一方、初圧調整機構13は、反力ユニット12の先端部材27が取り付けられたばね支持リンク29と、該ばね支持リンク29に係合する押さえピン30と、押さえピン30の位置を調整する操作ノブ31とを備えている。ばね支持リンク29の上下部には、水平な軸支持孔29a,29bが形成されている。ばね支持リンク29の前部には、上側が開放された係合凹部29cが形成されている。ばね支持リンク29の上部の軸支持孔29aは、前固定軸16の中央部に回転可能に取り付けられている。ばね支持リンク29の下部の軸支持孔29bには、反力ユニット12の先端部材27がピン32により回転可能に取り付けられている。このため、ばね支持リンク29は、反力ユニット12により前固定軸16を中心に図中時計回転方向に付勢されている。
【0031】
また、ばね支持リンク29の係合凹部29cには押さえピン30の両端部が係合されている。押さえピン30の中央部には、その軸方向と直交して貫通するねじ孔30aが形成されている。一方、操作ノブ31は、支持金具7の前端部の連結板7cに形成された透孔に回転可能に嵌合され、樹脂製のスラストワッシャ38により脱落しないよう止着されている。このため、スラストワッシャ38がベアリングとして機能するので、操作ノブ31の回転に必要なトルクを低減することができる。さらに、操作ノブ31の先端部には、ねじ部31aが形成されている。このねじ部31aは、押さえピン30のねじ孔30aに螺合されている。
【0032】
ここで、ばね支持リンク29は反力ユニット12により付勢されているので、その係合凹部29cは押さえピン30を押し上げて操作ノブ31を引っ張り上げる方向に付勢する。これに対し、操作ノブ31は連結板7cに係合しているので上方に移動できない。このため、押さえピン30は移動せず、ばね支持リンク29の回動が制限される。また、操作ノブ31を回転すると、ねじ部31aに螺合する押さえピン30が上下に移動する。これにより、連結板7cと押さえピン30との間隔が変化するので、ばね支持リンク29の設置角度が変化する。このため、反力ユニット12の長さが調整されるので、圧縮に必要なばね力が変化する。これにより、背凭れを傾斜させるために必要な荷重の大きさを調整することができる。
【0033】
以上のように構成された椅子によると、人が着座した際には、座部2及び座受金具8に掛かった荷重を前固定軸16と第1のリンク軸15とが受ける。ここで、前固定軸16に掛かった荷重は、支持金具7により直接支持される。これに対し、第1のリンク軸15に掛かった荷重は、第1のリンク4及び第2のリンク5を介して支持金具7により支持される。ここで、第1のリンク4及び第2のリンク5は鉛直な直線状に配置されているので死点となって、第1のリンク軸15に掛かった荷重は第1のリンク4及び第2のリンク5に圧縮力としてのみ働き回転力を与えない。すなわち、リンク機構3と支持金具7と座受金具8とがトラスとして機能し、リンク機構3は突っ支え棒となる。これにより、着座する際に勢い良く体重を掛けても第1のリンク4及び第2のリンク5は回転しないので、座部2及び座受金具8が前固定軸16を中心に揺動してしまうことはない。そして、第2のリンク5が回転しないので、背支桿9及び背凭れは揺動しない。このため、勢い良く着座して座部2に衝撃を与えても、背凭れの揺動の反動で着座者の背中を叩くことはない。
【0034】
しかし、着座者が背凭れに凭れ掛かると、背凭れが傾斜されて背支桿9が図中時計回転方向に回転され、これに伴い背支桿腕10も同方向に回転する。そして、背支桿腕10により、背支桿リンク11が前方に押し出される。さらに、背支桿リンク11により、第2のリンク5が後固定軸18を中心として時計回転方向に回転される。第2のリンク5の回転により、第1のリンク4が座受金具8に対して反時計回転方向に回転される。このため、座受金具8及び座部2が前固定軸16を中心として時計回転方向に回転する。これにより、リンク機構3が屈曲して座部2の後部が下降して前端の軸16を中心に座部2が傾斜する。即ち、座部前方の高さを迫り上げずにほぼそのまま維持して座部を前上がりに傾斜させる。このとき、大腿部の圧迫を招かずに安楽姿勢をとることができる。
【0035】
また、第2のリンク5を時計回転方向に回転させることにより、反力ユニット12が圧縮される。このため、着座者による背凭れへの荷重と座部2に掛かる体重とが反力ユニット12の抵抗力と釣り合った状態で、背凭れ及び座部2の傾斜が停止する。なお、座部2及び背凭れの傾斜は、図4に示すように座部支持軸24がストッパ7h,7hに当接するまで行われる。本実施例では、座部2は6度まで、背凭れは15度まで傾斜可能とされている。
【0036】
一方、着座者が背中を起こして背凭れに掛かる力を低減すると、圧縮コイルばね28への圧縮力が低減する。このため、反力ユニット12が伸長し、第2のリンク5を反時計回転方向に回転させる。第2のリンク5は背支桿リンク11を後方に押し戻し、背支桿腕10を介して背支桿9を前方に揺動させる。これにより、背凭れが起き上がる。また、第2のリンク5の反時計回転方向への回転により第1のリンク4が上方に移動され、これにより座受金具8及び座部2が上昇しほぼ水平で静止した状態に戻る。
【0037】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では、反力ユニット12をフリーロッキング式としているので、初圧調整機構13を設けることが好ましいが、設けなくても構わない。この場合、部品点数を減少させ、椅子の軽量化と部品コストの低減とを図ることができる。
【0038】
また、反力ユニット12をいわゆるロック式、すなわち無負荷の状態での全長をある範囲内で任意の大きさに設定可能なものとしても構わない。この場合、図5及び図6に示すように、反力ユニット12に例えばガススプリング34を用いる。ガススプリングの先端部は、前固定軸16の中央部に回転可能に取り付けられている。ガススプリング34の基端部は、支持リンク35にねじ止めされている。支持リンク35は、第2のリンク5に取り付けた支持軸33の中央部に回転可能に取り付けられている。また、支持リンク35には、ガススプリング34を操作可能な押圧レバー36と該押圧レバー36を揺動可能なワイヤ37とが設けられている。そして、ワイヤ37の一端部は押圧レバー36の先端部に係合され、ワイヤ37の他端部は図示しない操作レバーに接続されている。
【0039】
したがって、着座者が操作レバーを操作することにより押圧レバー36を揺動して、これによりガススプリング34が伸縮可能な状態になる。この状態で背凭れに荷重を掛けてその傾斜角度を調整することができる。そして、操作レバーを解放することによりガススプリング34がロックされ、これにより背凭れと座部2との傾斜角度を変更した新たな原位置を設定することができる。
【0040】
新たな原位置にある背凭れに荷重を掛けると、ガススプリング34の弾力性でさらに傾斜する。また、反力ユニット12がロック式であるか否かに拘わらず座受部1の他の各部品を用いることができるので、これら座受部1の他の各部品の共用化を図ることができる。
【0041】
上述した実施形態では、初圧調整機構を設けていないので、部品点数の減少による小型軽量化と低コスト化を図ることができる。ロック式ガススプリングの操作レバーを押し続けることによってフリーロッキング状態とすることも可能である。また、リンク機構3の前方の移動端を規制するストッパ7jは、場合によっては図1に仮想線で示すように、軸24を前方から直接指示するように配置しても良い。
【0042】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、請求項1の椅子の座受支持機構によれば、座受部材と脚側固定部材との間に、背凭れ部に荷重が掛かっていないときには死点を構成して座部にかかる荷重を支持すると共に背凭れ部に荷重が掛かるときには背支桿と連動して死点が解除されて屈曲し座部を背凭れ部の傾動と連動させて傾斜させるリンク機構を設けているので、着座しても背凭れ部の背凭れに凭れ掛かっていない時には、座部を支持する屈曲可能なリンク機構が死点を構成しているので、座部にかかる荷重がリンク機構には圧縮力としてしか作用せず座部が傾斜することもなければ背凭れが揺動することもない。したがって、背凭れに寄り掛からない限り座部と背凭れとの連動が起こらず、使用者が勢い良く着座しても、背凭れが着座者の背中を叩くことはなく、不快感を与えることがない。
【0043】
また、請求項2の座受支持機構によれば、座部前方の高さを迫り上げずにほぼそのまま維持して座部を前上がりに傾斜させることができるので、大腿部の圧迫を招かずに安楽姿勢をとることができる。
【0044】
さらに、請求項3の座受支持機構によれば、初圧調整機構を必要としないので、部品点数を少なくして小形軽量化が可能となる。
【0045】
また、請求項4の座受支持機構によれば、安価な反力ユニットの使用により低コスト化が可能となる。しかも、初圧調整機構によって反力の大きさを好みに応じて調整することができ、座り心地を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】座部及び背凭れが傾斜していない状態である本発明の椅子の座受支持機構を示す側面図である。
【図2】椅子の座受支持機構を示す底面図である。
【図3】椅子の座受支持機構を示す分解斜視図である。
【図4】座部及び背凭れが傾斜した状態である椅子の座受支持機構を示す側面図である。
【図5】椅子の座受支持機構の他の実施形態を示す側面図である。
【図6】椅子の座受支持機構の他の実施形態に用いる反力ユニットを示す分解斜視図である。
【図7】従来の椅子の座受支持機構を示す側面図である。
【符号の説明】
1 座受支持機構
2 座部
3 リンク機構
4 第1のリンク
5 第2のリンク
6 脚柱(脚部)
7 支持金具(脚側固定部材)
8 座受金具(座受部材)
9 背支桿(背凭れ部)
11 背支桿リンク
12 反力ユニット
13 初圧調整機構
28 反力ユニットを構成する圧縮コイルばね
34 反力ユニットを構成するガススプリング
Claims (4)
- 座部に取り付けられる座受部材とこの座受部材と背凭れ部を支持する背支桿とを各々揺動自在に支持して脚部に取り付けられる脚側固定部材および前記座部と背凭れ部を原位置に復帰させる反力を付与する反力ユニットを備えた椅子の座受支持機構において、前記座受部材と脚側固定部材との間に、前記背凭れ部に荷重が掛かっていないときには死点を構成して前記座部にかかる荷重を支持すると共に前記背凭れ部に荷重が掛かるときには前記背支桿と連動して前記死点が解除されて屈曲し前記座部を前記背凭れ部の傾動と連動させて傾斜させるリンク機構を設けたことを特徴とする椅子の座受支持機構。
- 前記座受部材と前記脚側固定部材とは前方において揺動可能に連結されると共に後方において前記リンク部材によって連結され、かつ前記リンク機構を構成するリンクの一方と前記背支桿とが背支桿リンクで互いに揺動可能に連結されると共に前記リンクと前記反力ユニットも連結され、前記背支桿と同一回転方向にリンク機構が屈曲することを特徴とする請求項1記載の椅子の座受支持機構。
- 前記反力ユニットは、ガススプリングであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の椅子の座受支持機構。
- 前記反力ユニットはその伸長または短縮により前記座部及び前記背凭れ部に付勢力を与えるものであり、前記反力ユニットを伸長または短縮させて固定することにより初圧を設定する初圧調整機構を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の椅子の座受支持機構。
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