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JP3760587B2 - 耐溶融亜鉛めっき割れ性に優れた耐火電縫溶接角鋼管の 製造方法 - Google Patents

耐溶融亜鉛めっき割れ性に優れた耐火電縫溶接角鋼管の 製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物等の構造物に用いられる、耐溶融亜鉛めっき割れ性に優れた耐火電縫溶接角鋼管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属材料の降伏強度は、その使用温度が高くなると一般的に低下する。建築用等に使用される構造用鋼材においても同様であり、その使用温度が350℃を越えて高温になると、著しく低下することが知られている。そのため、火災時に高温状態になることが懸念される構造物、特に、人間が居住する建築物においては、法的規制が設けられている。
【0003】
例えば、使用する鋼材に耐火被覆を行い、環境が高温状態になった場合も、一定時間内は鋼材の温度が350℃を越えることがないこと、したがって、その間は建造物が破壊したり著しく変形することが無く、安全性が確保される様な設計および施工を行うことが義務付けられてきた。
【0004】
しかし、鋼材にロックウール等の耐火被覆を施すことは、工事費がかさむこと、施工の環境が悪いこと、室内容積の減少をもたらすこと、美観を損ねること等の問題点がある。
【0005】
これに対して近年になって、建築基準法の改正を機に、従来の設計思想である「火災の場合に耐火被覆により、鋼材の温度の上昇を防ぎ、鋼材の強度を維持する方法」に対して、「高温において強度の低下が少ない鋼を用いることにより、高温状態においても、構造物が破壊することを防止する方法」が注目を集め始めた。
【0006】
すなわち、鋼材の高温における降伏強度が保証される場合は、鋼材の温度が高くなることを可とする考え方の採用が、可能になったものである。例えば600℃程度の高温においても、十分なまたは相当程度の強度を有する鋼を用いて、構造物を製作する方法である。これにより、従来は必須とされていた耐火被覆を削除したり、または、減少した設計を行うことが可能となった。このことは、建築用として、電縫溶接鋼管を用いる場合においても同様である。
【0007】
従来より、高温における降伏強度が保証(高温における降伏強度が認められている。)されている鋼材はもちろん存在する。たとえば、JIS規格のG3462「ボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管」には、CrやMoを含む耐熱電縫溶接鋼管が相当数載せられている。
【0008】
しかしながら、これらの鋼管は高温の伝熱管用や配管用等の、鋼の温度が常時500℃以上にもなるような環境において、年単位の長期間の使用を予定したものである。これは、本発明が対象としている「通常の使用環境は常温であるが、火災時等の極めて限られた時間内だけ高温になる環境での使用」を目的としたものではない。そのため、材料特性の中では、500℃以上の高温におけるクリープ強度を高く保つことに、重点を置いた合金設計が行われている。
【0009】
その結果、ボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管には、次のような特徴がある。
▲1▼ Mo、Cr、Nb等の、高温長時間のクリープ強度を高く保つための合金元素を、比較的多量に含有させている。
▲2▼ 室温での強度を高くする合金設計は、ともすれば高温長時間の強度(クリープ強度)を低くすることが多く、特にプラント等の施工時において、曲げ加工性等に問題を生じる可能性があるため、好ましくないとされる。そのため、通常は、常温の降伏強度を下げることに重点を置いた熱処理が行われことが多く、その結果として、高温の降伏強度も低い。
▲3▼ 冷間加工は常温強度を上げ、逆に高温強度を下げる傾向にあるため、好ましくない。
【0010】
このように、これらの鋼管では、必然的に合金元素の含有量が高くなりがちであり、また、高温で安定した組織を得るために、熱処理は通常、高温で長時間行われることが多く、結果的に相当に高価な鋼となっている。そして、その常温の降伏強度は、20〜30kgf/mm2程度であり、600℃の降伏強度も、15〜20kgf/mm2程度と必ずしも高くはない。これは、この用途の鋼においては、高温の降伏強度が高いことは実質上必要ではないからである。
【0011】
一方、上記した建築基準法の改正に対応して、短時間の高温強度を高めた、いわゆる耐火鋼が近年になって多数開発された。開示されている技術も多く、その中で電縫溶接鋼管に関するものには、特開平4−228520号公報や、特開平4−228521号公報に示されている技術がある。
【0012】
電縫溶接鋼管は、通常は鋼帯を冷間で成形して製品とする。したがって、鋼に耐火性を与えるための、C、Mn、Mo等の合金化と、冷間成形との関係が重要である。上記の公報に開示されている電縫溶接鋼管の実施例の内、冷間成形後に焼き戻し処理を行っていないものの常温の降伏強度は、いずれも45kgf/mm2を越えており、建築用の電縫溶接鋼管としては使いにくい。
【0013】
たとえば、建築用に用いる角鋼管であるボックスコラムロール鋼管(以下、BCR鋼管と呼ぶ)としては、常温の降伏強度が30〜45kgf/mm2
600℃の降伏強度が20kgf/mm2以上が一応の目安となる。これは、常温の降伏強度が、45kgf/mm2を越えると施工しにくくなること、また、600℃の降伏強度が20kgf/mm2未満の場合は、耐火被覆の削減効果が少なくなり、メリットが出てこないことによる。
【0014】
もちろん、焼き戻し処理が行われた場合は、上記のBCR鋼管に要求される条件を満足することは可能であるが、工程数の増加によるコスト増が懸念される。冷間加工後に焼き戻しを行っている例は、他にも、特開平4−128316号公報、特開平4−165017号公報、および特開平4−168219号公報等にも記載されている。
【0015】
また、特開平4−176821号公報には、冷間成形後に鋼管をAc3変態点以上の温度に上げ、必要に応じて、さらに焼き戻しを行う技術が開示されている。これらの開示例は冷間加工のままでは、上記の常温の降伏強度の条件を満足することが困難なことを示している。
【0016】
一方、特開平4−176818号公報や、特開平4−176819号公報には、Ac3変態点以上の温度で成形する技術が、また、特開平4−218615号公報には、(Ac3−200℃)〜(Ac3−20℃)の温度範囲で成形する技術が示されている。これらの場合は、常温の降伏強度は十分に低くなるが、この様な高温での加工が、コスト高になることは言うまでもない。
【0017】
同様の技術が、特開平4−218616号公報、特開平5−59435号公報、にも示されており、特開平4−218620号公報および特開平5−39436号公報記載の技術では、さらに焼き戻しを行っている。上記の公報に開示されている多数の実施例は、いずれも600℃において、20kgf/mm2以上の降伏強度を示している。
【0018】
ところで、建築用角鋼管には、溶融亜鉛めっきが施されることが多い。この場合、溶融亜鉛めっき浴中で角鋼管の溶接部やコーナ部での割れ、いわゆる溶融亜鉛めっき割れが問題となることがある。このような、溶融亜鉛めっき割れが発生しない鋼材としては以下の技術が提案されている。
【0019】
特開平6−88126号公報には、Nb含有非Mo系の耐火鋼が提案されている。この技術では、溶接部の溶融亜鉛めっき割れを防止するため、炭素等量および溶融亜鉛めっき割れ感受性等量を用いて化学成分を規定している。ここで用いられている溶融亜鉛めっき割れ感受性等量は、通常の溶接割れ感受性組成(PCM値)と同様の式で表される値で、C以外の元素およびその係数が多少異なっている。その他、この公報の技術では、熱延後の冷却速度、巻き取り温度等を規定している。また、この公報に記載された実施例では、C量はいずれも0.10%以上となっている。
【0020】
特開平8−3634号公報には、角鋼管の溶融亜鉛めっきの際、内面に発生する割れを改善するための熱延鋼板が提案されている。この技術は、NbもMoも含まない炭素鋼について、熱延条件として1050℃以下での圧下率を60%以下とすることを特徴としている。
【0021】
特開平8−3684号公報には、上記と同様、角鋼管内面のめっき割れ性を改善するための熱延鋼板が提案されている。この技術は、NbもMoも含まない炭素鋼について、PまたはSの少なくとも一方を、低減させることがめっき割れ性の改善に有効であるとしている。
【0022】
特開平8−3688号公報には、Nbを含む炭素鋼について、同様に角鋼管内面のめっき割れ性を改善するための熱延鋼板が、同じ発明者により提案されている。しかしこの技術では、今度は上記の技術とは反対に、PおよびSの1種又は2種を多量に添加することが、めっき割れ性の改善に有効であるとしている。
【0023】
特開平9−87802号公報には、やはりMoを含まない炭素鋼について、炭素等量、熱延条件、金属組織等を規定することにより耐めっき割れ性を向上させることが提案されている。この技術では、特に熱延後の冷却速度を30℃/s以上とし、金属組織としては微細かつ針状のフェライトが主体で、パーライトとべーナイトの体積率を所定の範囲内に規定している。なお、この公報記載の実施例では、Si量はいずれも0.17〜0.28%と通常の厚鋼板と同等のレベルである。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が目的としている建築用電縫溶接鋼管においては、火災時におけるような比較的短時間の間の強度が一定値以上であれば十分であり、上記した耐熱鋼のような、高温における長時間の強度が高いことは必要でない。したがって、合金設計も当然異なってくる。
【0025】
しかし、上記した従来技術の、いわゆる耐火性があるとされている電縫溶接鋼管は、厚板や形鋼等、熱処理後に冷間加工を行わない鋼材と、同一の合金設計思想を基本としている。ここで、冷間加工とは、冷間歪みを与える加工のことであり、温度域としては、加工直後の機械的性質が実質的に変化しない温度域を指すものとする。したがって、いわゆる温間加工も含む。
【0026】
電縫溶接鋼管の製造においては、製造プロセス中に鋼材に加えられる冷間歪みを無視することはできない。従って、従来技術のように、通常のプロセスにより鋼管を製造する場合の合金設計は、鋼に必然的に相当量の冷間歪みが加えられる電縫溶接鋼管に対しては、最適の合金設計にはなっていない。
【0027】
このような事情にあるため、建築用鋼材として適切な常温降伏強度および耐火強度を有する建築用電縫溶接鋼管が求められている。
【0028】
一方、前述の溶融亜鉛めっき割れを考慮した鋼材についても、建築用の耐火鋼管として用いるのには問題がある。例えば、特開平6−88126号公報記載の技術では、C量が0.10%以上(同公報実施例)と高いため、常温の降伏強度が高いという問題がある。特開平9−87802号公報記載の技術でも、実施例に見られるように、Si量が0.17〜0.28%と高いため、常温の降伏強度が高いという問題がある。
【0029】
また、特開平8−3634号公報、特開平8−3684号公報記載の技術では、NbもMoも含まないため、耐火性は期待できない。特開平8−3688号公報記載の技術では、PおよびSの多量添加により靭性が大幅に低下すると考えられる。
【0030】
この発明は、上記の従来技術の問題点を解決し、火災時の高温における降伏強度が高く、耐火被覆の簡略化または省略が可能な、建築用鋼材として適切な常温降伏強度および耐火強度を有するとともに、耐めっき割れ性に優れた耐火電縫溶接角鋼管を提供する。
【0031】
【課題を解決するための手段】
この発明は、量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.09%以下、Mn:0.1〜1.0%、Mo:0.25〜0.5%、V:0.01〜0.10%、Al:0.1%以下を含有し、残部がFeおよびP:0.03%以下、S:0.03%以下、N:0.009%以下その他不可避不純物である鋼を、1100〜1200℃の温度域に加熱し、750〜880℃で圧延を終了して板厚20mm以下の熱延板とし、冷却後の巻取りを板厚t(mm)に対して(530−4.54t)℃以上(610−4.54t)℃以下の温度で行い、得られた熱延鋼板を造管することにより電縫溶接鋼管とし、次いで角型に成形する耐溶融亜鉛めっき割れ性に優れた耐火電縫溶接角鋼管の製造方法である。
【0032】
この発明は、冷間加工を受けた鋼板におけるめっき割れ感受性について、鋭意検討する中でなされた。その過程で、めっき割れ感受性が熱間圧延後の冷却過程、とりわけ巻取り条件に大きく影響されることを見出した。コイルの巻取りにおいては、鋼の相変態に伴う復熱があるため、単なる巻取り温度の制御では、めっき割れ感受性を低くすることはできない。この相変態に伴う復熱の現象は、板表面と板厚中央では異なり単純ではない。そこで種々検討した結果、巻取り条件に板厚の影響を考慮することで、良好な耐めっき割れ性を得ることに成功した。
【0033】
目標値は、角管への成形後の降伏強度が、常温で445MPa以下で、かつ、600℃で197MPa以上である。そこで、上記の知見に基づき、この目標値を満足するための化学成分および熱延条件について検討した。まず、化学成分について以下に説明する。なお、化学成分における各元素の含有%は、全て質量%を意味する。
【0034】
Cは、鋼の常温および高温の降伏強度を確保するめに必要な元素であり、0.03%以上含有させる必要がある。一方、0.10%を超えて含有させると、常温での降伏強度が高くなりすぎ、建築材料として必要な低い降伏応力が得られず、また溶接性及び靭性が劣化する。従ってC量を、0.03〜0.10%の範囲に規定する。
【0035】
Siは、通常、脱酸元素として用いられるが、このSiの脱酸効果はAl等の他の元素によっても代替可能である。またSiは、常温の降伏強度を上昇させるが高温強度への寄与は殆どない。したがって、常温の降伏強度に上限が規定されており、高温の降伏強度が高いことが要求される耐火鋼用の合金元素としては、必ずしも好ましいものではなく、添加しなくてもよい。具体的には、Siの含有量が0.09%を越えると、常温の降伏強度は大きく上昇し、BCR鋼管の規格の上限を越える。また、Siは、耐溶融亜鉛めっき割れ性にとって有害な元素である。従って、Si量を0.09%以下に規定する。
【0036】
Mnは、鋼中に含まれるSによる熱間圧延時の割れ防止に有効な元素であるため、少なくとも0.10%の添加が必要である。一方、1.0%を越えて含有させると常温の降伏強度が高くなりすぎ、また、溶接性や靱性が劣化する。したがって、Mn量を0.1〜1.0%の範囲に規定する。
【0037】
Moは鋼の常温及び高温での降伏強度を上昇させる。特に、火災による温度上昇時に鋼中に炭化物として析出し、高温での耐力を上昇させる。Moの効果は含有量が0.2%未満の場合は効果が薄い。一方、0.5%を超えて含有させると、溶融亜鉛めっき割れを促進し、また、製造コストも上昇する。したがって、Mo量を0.2〜0.5%の範囲に規定する。
【0038】
Vは、Moの析出を促進し、高温での耐力を上昇させるために非常に有用な元素である。しかし、V量が0.01%未満では、その効果は期待できない。また、0.05%を超えて添加してもその効果は小さく、経済性を損なう。したがって、V量を0.01〜0.10%の範囲に規定する。
【0039】
Alは、高温強度への寄与が少ないので、特に添加する必要はない。但し、Siと同様に脱酸元素であり、必要に応じて用いてよい。その場合、Al量が0.1%を超えると靱性を劣化させる等の悪影響が出てくるため、0.1%を上限とする。
【0040】
P、S、Nは、不可避的不純物でもあり、高温強度へ大きな影響を与えない点からも不要なので、その下限値は特に規定しない。これらの元素の上限値は、鋼の清浄度等の観点から、Pは0.03%以下、Sは0.03%以下、Nは0.009%以下とする必要がある。
【0041】
なお、不可避的不純物にはP、S、N以外にも、製鋼その他の製造工程で、スクラップ等から混入する種々の元素が含まれる(金属元素も含む)。これらは、通常の鋼管で許容できる範囲であれば、含まれていても差し支えないことは言うまでもない。
【0042】
次に、熱延条件等の製造条件について説明する。
まず、スラブの加熱温度は、製品の高温強度を確保するために、この段階でMo、Vを十分に固溶させる必要がある。そのため、スラブの加熱温度を1100℃以上とする。しかし、1200℃を超えて加熱すると、靭性が劣化する。従って、スラブの加熱温度を1100〜1200℃の温度範囲に規定する。なお、鋳造後のスラブを高温のまま圧延してもよい。この場合、この発明では、再加熱の有無にかかわらず、スラブを1100〜1200℃の温度域に加熱したものとみなす。
【0043】
熱延の仕上げ温度は、750℃未満では圧延負荷が大きく安定操業が困難となる。一方、880℃を超えると、強度と靭性がともに低下する。従って、熱延の仕上げ温度を750〜880℃の温度範囲に規定する。
【0044】
熱延の巻取り温度は、めっき割れ感受性と常温での降伏応力の観点から決まる。また、前述のように、巻取り温度のみならず、板厚の影響を考慮する必要がある。
【0045】
図1は、めっき割れおよび常温での降伏応力に及ぼす巻取り温度(CT)と板厚(t)の影響を示す図である。図中、○印はめっき割れが起こらず、常温での降伏応力が目標値を満足していることを示し、×印はめっき割れ発生、●印は常温での降伏応力が目標値を超過している(常温YS過剰)ことをそれぞれ示す。
【0046】
この図より、巻取り温度が高すぎるとめっき割れが発生し、低過ぎると常温での降伏応力が目標値を超過することがわかる。また、同一巻取り温度で見ると、板厚の増加によりめっき割れが発生し(CT=500℃)、あるいは板厚の減少により常温での降伏応力が目標値を超過することがわかる。
【0047】
図中の直線aは、めっき割れが発生しない巻取り温度あるいは板厚の上限値を示す。図中の直線bは、常温での降伏応力が目標値を満足する巻取り温度あるいは板厚の上限値を示す。これらの直線を巻取り温度CT(℃)と板厚t(mm)の関係式で表すと、直線aは、
CT=610−4.54t (1)
直線bは、
CT=530−4.54t (2)
と表される。
【0048】
以上より、めっき割れが発生せず常温での降伏応力が目標値を満足する巻取り温度CT(℃)の範囲は、次の不等式で表されることになる。
【0049】
530−4.54t≦CT≦610−4.54t (3)
【0050】
【発明の実施の形態】
まず、転炉、電気炉等の鋼の溶製手段を用いて、化学成分を発明の範囲内に調製した鋼を鋳造しスラブとする。この鋼スラブを高温のままもしくは1100〜1200℃に再加熱して、750〜880℃の仕上温度で熱延鋼板を製造する。熱延後は、仕上板厚に応じて前述の不等式(3)の温度範囲で巻取りを行う。
【0051】
この熱延鋼板を用いて電縫溶接法により鋼管を製造する。電縫溶接鋼管に造管する工程には、熱延鋼板コイルのリコイルおよびインラインスキンパスや、オンラインでのストレッチ成形、フィンパス、サイザと言ったプロセスを含めることができる。電縫溶接鋼管をさらに角管に成形すれば、この発明の耐溶融亜鉛めっき割れ性に優れた耐火電縫溶接角鋼管が得られる。
【0052】
【実施例】
表1に示す化学成分の鋼をスラブとなし、このスラブを1150℃に再加熱して820℃の仕上温度で熱延鋼板を製造した。鋼Aは発明鋼、鋼Bと鋼Cは比較鋼であり、鋼Bは発明範囲よりMoが低く、鋼CはSiが高い。
【0053】
【表1】
Figure 0003760587
【0054】
熱延鋼板からは、試験片を採取し常温および高温で引張試験を行った。めっき割れの試験は、熱延板幅方向に曲げ試験片を採取し、90゜曲げ加工により角鋼管のコーナ部を再現し、溶融亜鉛浴に浸漬して行った。この場合、ただ浸漬しただけでは必ずしも割れが発生するとは限らないので、コーナ部の曲げ戻し試験を行った。この試験法は、特開平1−56853号公報記載の技術と同様、溶融亜鉛浴中でコーナ部に曲げ戻し変形を行い、コーナ内面の割れ発生の有無を調べた。曲げ戻し試験は、溶融亜鉛浴中で曲げ試験片の2辺をコーナ部から等距離の位置で治具により支持し、コーナ部をアンビルで押して曲げ戻しを加える方法で行った。曲げ戻しの程度は、実際の角鋼管のコーナ部が、溶融亜鉛めっきの際受ける熱歪の最大値と同程度となるよう曲げスパン60mm、変位量5mmとした。これらの引張試験結果を、熱延鋼板の板厚(仕上げ厚)、巻取温度等とともに表2に示す。
【0055】
【表2】
Figure 0003760587
【0056】
表2では、鋼板1、3、4、9、10、14、15は発明鋼板であり、それ以外は比較鋼板である。発明鋼板は、いずれも降伏強度の目標値(常温で445MPa以下、600℃で197MPa以上)を満たし、めっき割れも生じていない。
【0057】
比較鋼板の内、鋼板2、7、8、12、13は、板厚と巻取り温度の組合せが発明範囲から外れており(板厚大、巻取り温度高)、めっき割れが発生している。鋼板5、6、11、16は、巻取り温度が低く(発明範囲外)なっており、常温での降伏強度の目標値を超過している。
【0058】
また、鋼板17〜20は、製造条件は板厚と巻取り温度の組合せも含め発明範囲内であるが、素材の鋼の化学成分が発明範囲から外れているため、発明の目標を満足していない。鋼B(低Mo)を素材とする鋼板17、18は高温での降伏強度(600℃降伏強度)が低く、鋼C(高Si)を素材とする鋼板19、20はめっき割れが発生している。
【0059】
【発明の効果】
この発明では、巻取り条件に板厚の影響を考慮することで、板厚と巻取り温度の適切な組合せにより、良好な耐めっき割れ性を得ることを可能としている。また、化学成分についても、耐めっき割れ性に及ぼす影響を明らかにして適切な範囲を規定している。その結果、建築等の構造物等に用いられる、火災時の高温における降伏強度が高く、耐火被覆の簡略化または省略が可能な、建築用鋼材として適切な常温降伏強度および耐火強度を有するとともに、耐溶融亜鉛めっき割れ性に優れた耐火電縫溶接角鋼管を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】めっき割れおよび常温での降伏応力に及ぼす巻取り温度(CT)と板厚(t)の影響を示す図である。

Claims (1)

  1. 量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.09%以下、Mn:0.1〜1.0%、Mo:0.25〜0.5%、V:0.01〜0.10%、Al:0.1%以下を含有し、残部がFeおよびP:0.03%以下、S:0.03%以下、N:0.009%以下その他不可避不純物である鋼を、1100〜1200℃の温度域に加熱し、750〜880℃で圧延を終了して板厚20mm以下の熱延板とし、冷却後の巻取りを板厚t(mm)に対して(530−4.54t)℃以上(610−4.54t)℃以下の温度で行い、得られた熱延鋼板を造管することにより電縫溶接鋼管とし、次いで角型に成形する耐溶融亜鉛めっき割れ性に優れた耐火電縫溶接角鋼管の製造方法。
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