JP3757687B2 - 電流センサの異常検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電流センサの異常検出装置に関し、詳しくは、二次電池に流れる電流を検出する電流センサの異常を検出する異常検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動機により車両駆動力を得ている電気自動車やハイブリッド自動車は、二次電池を搭載し、この二次電池に蓄えられた電力により電動機を駆動している。このような電気自動車は、回生制動、すなわち、車両制動時に電動機を発電機として機能させ、車両の運動エネルギを電気エネルギに変換することにより制動する機能を備えている。ここで変換された電気エネルギは二次電池に蓄えられ、加速を行う時などに再利用される。
【0003】
二次電池は過放電、過充電を行うと電池性能を劣化させることになるため、二次電池の蓄電量(SOC;state of charge)を把握し充放電を調節する必要がある。特に、車載された熱機関により発電機を駆動して電力を発生し、これを二次電池に充電することができる形式のハイブリッド自動車においては、二次電池の蓄電量を回生電力を受け入れられるように、また要求があれば直ちに電動機に対して電力を供給できるようにするために、その蓄電量は満蓄電の状態(100%)と、全く蓄電されていない状態(0%)のおおよそ中間付近(50〜60%)に制御される場合がある。この場合、二次電池の蓄電量をより正確に検出することが望まれている。
【0004】
こうした二次電池の蓄電量を検出する装置としては、二次電池の端子電圧に基づいて検出する方法が周知である。しかし、端子電圧は電流によって変化することから、近年では、電圧センサと電流センサとを備え、端子電圧と電流との双方により蓄電量を検出する装置が開発されている。その一例として、特開平9−72984号がある。また、二次電池の種類によっては、蓄電量のある領域で、蓄電量が二次電池の外部特性に現れないものがあり、この場合には、電流センサにより検出された充放電電流を積算して蓄電量を推定する方法が採用されている。
【0005】
上述のような装置において、電流センサに異常が発生した場合には、二次電池の蓄電量を算出することができないことになり、二次電池に放電、充電の制御を適切に行えないことになる。そのため、電流センサを備えた蓄電量の検出装置には、電流センサの異常を検出する装置が備えられている。このような電流センサの異常検出装置を備えることにより、例えば、電流センサが故障して、その出力値が例えば値0となっているにも拘わらず電圧センサの出力値が変動している場合などに、電流センサの異常が検出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現実には、二次電池において充電を行った後、リレーをオフした場合には、二次電池の端子電圧は、最初は下降し、やがて安定する傾向を示す。そのため、充電を止めた直後は電流センサの出力値は値0となるが電圧センサの出力値は下降変動することがある。また、逆に放電を行った後リレーをオフした場合には、逆に二次電池の端子電圧は上昇し、やがて安定する。そのため、放電を止めた直後は、電流センサの出力値が「0」となるが、電圧センサの出力値は上昇変動することがある。すなわち、電流センサの出力値が「0」であるにも拘わらず、電圧センサの出力値が変動することは電流センサが正常な場合でもみられる。よって、電流センサの出力値が「0」のときに電圧センサの出力値が変動しているということだけでは、電流センサが正常であるにも拘わらず異常と誤判定されることになる。したがって、電流センサの異常検出において、上述した要因による電圧の変動と変動量を適切に識別し、精度の高い検出を図る必要がある。
【0007】
本発明の電流センサの異常検出装置は、電流センサの異常を的確に検出することを目的の一つとする。また、本発明の電流センサの異常検出装置は、誤判断を防止し、検出精度を高めることを目的の一つとする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の電流センサの異常検出装置は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0009】
本発明の電流センサの異常検出装置は、二次電池に流れる電流を検出する電流センサの異常を検出する異常検出装置であって、前記二次電池の端子間電圧を検出する電圧検出手段と、前記電流センサにより検出される電流が所定範囲内のときに前記電圧検出手段により検出される電圧の変動の状態に基づいて前記電流センサの異常を判定する判定手段とを備え、前記判定手段は、前記電圧検出手段により検出された電圧の変化率に基づいて異常を判定する手段であることを要旨とする。
【0010】
この本発明の電流センサの異常検出装置では、電流センサにより検出される電流が所定範囲内のときに電圧の変動の状態に基づいて電流センサの異常を判定するから、充電直後や放電直後における電圧の単調上昇や単調下降などの電流センサが正常時にも見られる電圧の変動を識別することができ、精度よく電流センサの異常を検出することができる。
【0011】
こうした本発明の電流センサの異常検出装置において、前記所定範囲は、前記電流が値0とみなせる程度の値0を中心とした範囲であるものとすることもできる。二次電池における充放電がなされていない安定した状態のときに検出することになるから、検出の精度を高くすることができる。
【0012】
また、本発明の電流センサの異常検出装置において、前記判定手段は、前記電圧の変化率が所定幅を越えたとき、異常と判定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、より確実に異常を検出することができる。また、本発明の電流センサの異常検出装置において、前記判定手段は、前記電圧の変化率が所定時間内に所定回数以上所定幅を越えたとき、異常と判定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、誤判断を防止し、異常の検出精度をより高くすることができる。
【0013】
あるいは、本発明の電流センサの異常検出装置は、二次電池に流れる電流を検出する電流センサの異常を検出する異常検出装置であって、前記二次電池の端子間電圧を検出する電圧検出手段と、前記電流センサにより検出される電流が所定範囲内のときに前記電圧検出手段により検出される電圧の変動の状態に基づいて前記電流センサの異常を判定する判定手段と、前記電圧検出手段により検出された電圧の微分値を演算する微分演算手段とを備え、前記判定手段は、前記微分演算手段により演算された電圧の微分値の絶対値が所定値以内のときに前記電流センサの異常を判定する手段であるものとする。こうすれば、二次電池が安定した状態にあるときに異常を検出することになるから、検出精度を高くすることができ、誤判断を防止することができる。この態様の本発明の電流センサの異常検出装置において、前記判定手段は、所定時間内に前記電圧の変動幅が所定幅を越えたとき、異常と判定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、より確実に異常を検出することができる。
【0014】
また、本発明の電流センサの異常検出装置において、前記判定手段の判定結果を出力する出力手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、異常を検出したときに迅速に対応することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例である電流センサの異常検出装置を備えた電池の全体構成を例示する構成図である。
【0016】
図1において、電池10は、二次電池を直列した組電池であり、この電池10には導線12を介して負荷14が接続されている。また、導線12には電池10から負荷14への電流の供給をオンオフするリレー16が設けられている。上記電池10を構成する二次電池は、特に限定はなく、ニッケル水素、ニッケルカドミウムなどのいずれであってもよい。また、この負荷14は、電気自動車に搭載するインバータと電動機とからなる構成やインバータと発電機とからなる構成,インバータと電動発電機とからなる構成,二つのインバータを並列に接続してそれぞれのインバータに電動機と発電機とを接続してなる構成など種々の構成が考えられる他、電気自動車などの電動機や発電機に限られず、二次電池を搭載する電気機器などであってもよい。
【0017】
この電池10には、蓄電量を算出するために、端子電圧を測定する電圧センサ18と、電流を検出する電流センサ20とが備えられ、これら電圧センサ18と電流センサ20との出力は共に電子制御ユニット30に接続されている。電子制御ユニット30は、CPU32を中心として構成されたワンチップマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶したROM34と、一時的にデータを記憶するRAM36と、入出力ポート(図示せず)とを備える。この電子制御ユニット30には、電流センサ20からの電流や電圧センサ18からの電圧などが入力ポートを介して入力されている。また、電子制御ユニット30からは、電流センサ20の異常を検出したときに点灯するLED40への点灯信号などが出力ポートを介して出力されている。こうした電子制御ユニット30では、電圧センサ18及び電流センサ20の出力値に基づき蓄電量を算出している。電子制御ユニット30における蓄電量の算出方法は特に限定はなく、電池の種類、この電池が搭載される機器の性能、利用態様などに対応して適切な蓄電量の算出方法を採用することができる。
【0018】
例えば、電気自動車などで使用されているニッケル水素電池などでは、電池蓄電量が20%以下の場合には蓄電量に対応して電圧は大きく下降し、また、蓄電量が80%を越える場合には、充電による蓄電量の上昇に伴ない電圧が上昇する。よって、このように蓄電量に伴なって電圧の変動が確認し得る範囲では、電子制御ユニット30は主として電圧センサ18の値に基づいて蓄電量を算出し、それ以外の範囲(蓄電量、約20〜80%)では、充放電電流を積算して蓄電量を算出することができる。
【0019】
また、ハイブリッド自動車などのように、蓄電量50〜60%程度に維持することが要求されている場合には、上記ニッケル水素電池の場合には上述したように蓄電量が電圧値からは確認することが困難である。そのため、このような場合には電子制御ユニット30における蓄電量の算出として充放電電流の積算を繰り返す方法を採用することができる。また、このような充放電電流の積算を繰り返す場合には、蓄電量に誤差が生じることにもなる。そのため、このような問題に対応して電子制御ユニット30に蓄電量算出における較正手段を備え、より精度の高い蓄電量の算出を行うようにすることもできる。このような蓄電量算出の較正方法としては、特願平9−278801号に記載された方法などを採用することができる。なお、この電子制御ユニット30における蓄電量の算出は例示であり、これ以外にもコンピュータに用いられる電池電源などのように単に満充電から充放電電流を積算して蓄電量を算出する方法等を採用することもできる。
【0020】
このように電流センサ20は、電子制御ユニット30においては電池蓄電量の算出に重要となる。このように重要な機能を有する電圧センサ18の異常を検出するために、実施例の電子制御ユニット30は電流センサ20の異常判定部としても機能する。以下、電子制御ユニット30が電流センサ20の異常判定部として機能するときの動作について図2の電流センサ20に異常が発生した際の電流センサ20の電流値(下)、電圧センサ18の電圧値(上)の挙動を示すグラフに基づき説明する。電子制御ユニット30は、電流センサ20から入力される電流値を監視し、この電流値が一定のときに、電圧センサ18から入力される電圧値を測定する。そして、この電圧値が、図2に示すように上昇・下降変動をしている場合に電流センサ20の異常と判定する。すなわち、この電子制御ユニット30は、図2に破線で示すような、充放電後リレーをオフしたときにみられる電圧の単調下降や単調上昇などの電圧変動を電流センサの異常と誤判定することから防止されている。
【0021】
但し、判定時間を長くした場合には、電流センサ20の出力値がほぼ一定で電圧センサ18の出力値が変動する場合があるので、電子制御ユニット30における判定時間は、ある一定の短い時間に制限する必要がある。その時間は、電流センサ20の異常を検知し得るに適した時間を任意に定めることができるが、例えば10秒間などと設定することができる。
【0022】
また、電子制御ユニット30は、電流一定のときに、電圧が上昇・下降する変動を一回検出したときに異常と判定することもできるが、誤判定を防止するために、上昇・下降の変動が数回繰り返して検知されたときに電流センサ20の異常と判定することが好ましい。さらに、電流一定を検出する場合に、実際にはノイズ等を考慮する必要があるため、電流の変動量が完全にゼロであることを検出するのではなく、電流の変動量が0.5A以下であること等の条件で判定する必要がある。ところで、電池の内部抵抗は、電池の温度が低下するにつれて増大する特性を示す。電流一定であると判定しているときでも、実際には電流が微少な幅で変動していることが考えられるので、電圧も変動することとなり、電池温度が低い条件では電圧の変動も大きくなり、前記所定の変動値を小さな値に設定しておくと、電流センサ20の出力値がほぼ一定でも電圧センサの出力値の変動が前記変動値を越える場合があるので、変動値は電池の温度に応じて適切な値に設定しておくのが望ましい。このように電子制御ユニット30における判定パラメータを所望に設定することにより電流センサ20の異常を適切に判定することができる。
【0023】
次に、電子制御ユニット30における判定動作を図3に示す異常判定ルーチンに基づき説明する。なお、ここでは、電子制御ユニット30において、電流センサ20からの出力値が「0」で一定となったときに電圧センサ18の出力値が10秒間内に上下に10回変動したときに電流センサ20の異常と判定する場合を例に挙げて説明する。
【0024】
電子制御ユニット30のCPU32は、判定動作の開始(S01)に当たって、初期設定を行い電圧の上昇下降のカウント数を「0」とし、また、電圧上昇を検知した場合のフラグAを「0」とし、また、電圧下降を検知した場合のフラグBを「0」とする(S02)。初期設定が終了すると、電流センサ20の出力値を検出し、出力値電流(I)が「0」であるか否かを判定する(S03)。ここで電流センサ20からの出力値が「0」でない場合には出力値「0」を検出するまで監視する。
【0025】
一方、電流センサ20の出力値が「0」であることを検出すると、異常判定を行うための時間測定を開始する(S04)。時間測定を開始後、先ず、電圧の上昇変動を調べるためにdv/dtを演算して、その値がα、例えば20[V/s]を越えているかを求める(S05)。この値が、αを越えていない場合には、再び電流センサの出力値を検出し「0」であるかを判定する。一方、αを越えている場合には、電圧上昇検出として、フラグAを立て(S06)、再度 電流が一定であるかを確認する(S07)。ここで電流センサ20の出力値が「0」でない場合には、初期設定(S02)から動作を繰り返す。
【0026】
電流センサ20の出力値が「0」である場合には、dv/dtを演算し、所定の変動値α、例えば、20[V/s]を越えて下降変動しているかを求める(S08)。ここで、下降変動が検出されない場合には、初期設定(S02)から動作を開始し、電圧の下降変動が検出された場合にはフラグBを立てる(S09)。フラグA,Bがともに立っている場合には(S10)、上昇・下降変動を検知したとしてカウントに「1」を加算し、これと同時にフラグA,Bを「0」とする(S11)。そして、この一連の動作をカウントが10になるまで繰り返す(S12)。カウントが10になると、測定時間を検出し、その測定時間が設定された時間内であるかを求め(S14)、ここで測定時間が超過しているときは、初期設定(S02)から動作を開始させる。一方、測定時間が設定時間内の場合には、電流センサ20が異常であると判定する(S15)。
【0027】
なお、図3には示していないが、上記のように電子制御ユニット30により異常と判定された場合には、LED40に点灯信号を出力して点灯するものとしてもよい。また、電子制御ユニット30で電流センサ20が異常と判定された場合には、電子制御ユニット30で信号を入力し蓄電量の算出が正しく行なわれていないものとして異常判定フラグを立てることもできる。そして、電池10の充放電を制御するための充放電処理ルーチン(図示せず)でこの異常判定フラグをチェックするものとすれば、過放電を避けるために放電モードを停止させ、充電モードに切換えることもできる。
【0028】
なお、電子制御ユニット30を異常判定部として機能させた際の説明では、電流センサ20の出力値が値0で一定となった場合を例にとって説明したが、この電流センサ20の出力値については、必ずしも値0である必要はなく、その他の値であっても一定値であればよい。また、図3に示す異常判定処理ルーチンにおいて電流センサの出力値が一定であるかを、電圧変動を確認する度に検出するように示されているが(S03,S07)、別の回路を設けて常に電流一定であることを監視するように設定することもできる。
【0029】
次に、本発明の第2の実施例の電流センサの異常検出装置について説明する。第2実施例の異常検出装置の構成は、第1実施例の異常検出装置の構成と同一の構成をしている。したがって、同一の構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。第2実施例の異常検出装置では、図3の異常判定処理ルーチンに代えて図4に例示する異常判定処理ルーチンを実行する。なお、この図4の異常判定処理ルーチンも所定時間毎(例えば、10分毎)に繰り返し実行される。
【0030】
この異常判定処理ルーチンが実行されると、電子制御ユニット30のCPU32波、まず、電圧センサ18により検出される電圧Vを読み込み(ステップS100)、カウンタCに値0をセットすると共に、最大電圧Vmaxと最小電圧Vminに初期値として読み込んだ電圧Vを設定する処理を実行する(ステップS102)。このステップS100とS102の処理は、このルーチンにおいて初期処理となる。なお、カウンタCについては後述する。
【0031】
こうして初期処理を実行すると、次に、電流センサ20により検出される電流Iと電圧センサ18により検出される電圧Vとを読み込み(ステップS104)、読み込んだ電圧VをRAM36の所定範囲のアドレスに格納すると共に(ステップS106)、読み込んだ電流Iの絶対値が閾値Ir未満であるかを判定する処理を実行する(ステップS108)。ここで、閾値Irは、電流Iが略値0であるか否かを判定するために設けられるものであり、通常の電流センサ20の誤差などに基づいて0.1Aなどのように値0に近い値に設定される。
【0032】
電流Iの絶対値が閾値Ir以上のときには、電池10は充放電を行なっていると判断して電流センサ20の異常の検出処理は行なわず、本ルーチンを終了する。なお、実施例では、このように電流Iの絶対値が閾値Ir以上のときには電流センサ20の異常の検出処理を行なわないものとしたが、負荷14の動作状況、例えば負荷14が電気自動車の電動機や発電機のときにはアクセルペダルやブレーキペダルの踏み込み量などにより定まる電動機や発電機の動作状況を読み込み、電池10の充放電が行なわれていない状態であるにも拘わらず、電流Iの絶対値が閾値Ir以上のときには、電流センサ20が異常であると判定するものとしてもよい。
【0033】
電流Iの絶対値が閾値Ir未満のときには、電圧Vの微分値dV/dtを計算する処理を実行する(ステップS110)。具体的には、読み込んだ電圧Vから格納してある前回の電圧Vを減じ、これをステップS104〜S124までの繰り返し時間Δtで割ることにより計算する。こうして微分値dV/dtを計算すると、この微分値dV/dtの絶対値を閾値βと比較する(ステップS112)。ここで、閾値βは、電池10が安定した状態にあるかを判定するために用いられるものである。前述したように、充放電の直後では、電池10は安定しておらず、電流Iが流れていないにも拘わらず、電圧Vに変化が生じる場合がある。このステップS112の処理は、こうした電流Iが流れていないにも拘わらず電圧Vに変化が生じる正常な状態での異常検出処理を回避するための判断処理である。微分値dV/dtの絶対値が閾値β以上のときには、電流センサ20の異常を判定する状態にないと判断し、本ルーチンを終了する。
【0034】
微分値dV/dtの絶対値が閾値β未満のときには、電圧Vを最大電圧Vmaxおよび最小電圧Vminとを比較し(ステップS114,S118)、電圧Vが最大電圧Vmaxより大きいときには最大電圧Vmaxに電圧Vを代入して最大電圧Vmaxを更新すると共に(ステップS116)、電圧Vが最小電圧Vminより小さいときには最小電圧Vminに電圧Vを代入して最小電圧Vminを更新する(ステップS120)。そして、カウンタCが閾値Crを越えていないかを判定する(ステップS128)。ここで、カウンタCは、電流Iの絶対値が閾値Ir未満かつ微分値dV/dtの絶対値が閾値β未満の状態でステップS104〜S124を繰り返す回数をカウントするものであり、この繰り返す時間を設定するものと同意である。したがって、ステップS122は、所定回数あるいは所定時間経過したか否かを判定する処理となる。カウンタCが閾値Cr以下のときには、所定回数あるいは所定時間経過していないと判断し、カウンタCをインクリメントして(ステップS124)、ステップS104に戻る。
【0035】
カウンタCが閾値Crより大きいときには、所定回数あるいは所定時間経過したと判断し、最大電圧Vmaxから最小電圧Vminを減じて電圧Vの変動幅ΔVを算出し(ステップS126)、算出した変動幅ΔVを閾値Vrと比較する(ステップS128)。ここで、閾値Vrは、電流Iが値0で微分値dV/dtが閾値β以下のときに、すべてが正常な状態のときでも電圧Vが変動しうる範囲またはこの範囲より若干大きな値として設定されるものであり、正常な状態における範囲に入っているか否かを判定するものである。したがって、電圧Vの変動幅ΔVが閾値Vr以下のときには、電流センサ20は正常と判断して本ルーチンを終了し、変動幅ΔVが閾値Vrより大きいときには、電流センサ20が異常と判断し、電流センサ20の異常判定フラグを立てると共にLED40を点灯して(ステップS130)、本ルーチンを終了する。
【0036】
こうした異常判定処理ルーチンにおける処理を図5の説明図を用いて更に説明する。時間t1までは電流Iは負の値であり、発電機による電池10の充電や回生ブレーキによる電池10の充電が行なわれているから、ステップS108で電流Iの絶対値が閾値Ir以上と判定され、異常検出処理は行なわれない。時間t1で電流Iが値0となっても、電池10は充電の終了直後は安定状態にないから、電圧Vは下降している。このときの微分値dV/dtの絶対値は閾値βより大きいから、ステップS112により異常検出処理は行なわれない。電池10が徐々に安定し、微分値dV/dtの絶対値が閾値βになると(時間t2)、ステップS114〜S124の処理が、カウンタCが閾値Crより大きくなる時間t3まで繰り返し実行される。カウンタCが閾値Crより大きくなる時間t3では、電圧Vの変動幅ΔVが閾値Vrと比較されて(ステップS128)、電流センサ20の異常の判定が行なわれる。
【0037】
以上説明した第2実施例の電流センサの異常検出装置によれば、充放電される電池10が安定する状態となるまで待って電流センサ20の異常を検出するから、誤判断をすることなく電流センサ20の異常を検出することができる。この結果、検出精度を高くすることができる。しかも、電流Iが流れていないときに電流センサ20の異常を検出するから、電流Iが流れることに伴う電圧Vの変化に基づく誤判断を防止することができる。
【0038】
第1実施例または第2実施例の電流センサの異常検出装置では、電子制御ユニット30を異常判定部として機能させることにより、電気自動車に搭載された電池蓄電量検出装置の電流センサの異常を検出する場合を示したが、この電流センサに限られず、自動車以外の電池蓄電量検出装置の電流センサやその他の電池に備えられた電流センサにも適用することができるのは勿論である。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例としての電流センサの異常検出装置を搭載した電池の全体構成を示す図である。
【図2】 実施例の電流センサの異常検出装置において電流センサ異常が判定される、電流センサ及び電圧センサの出力値の挙動を示すグラフ図である。
【図3】 実施例の電流センサの異常検出装置の電子制御ユニット30により実行される異常判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】 第2実施例の電流センサの異常検出装置の電子制御ユニット30により実行される異常判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図5】 第2実施例の電流センサの異常検出装置の動作を時系列として説明する説明図である。
【符号の説明】
10 電池、18 電圧センサ、20 電流センサ、30 電子制御ユニット、32 CPU、34 ROM、36 RAM、40 LED。
Claims (8)
- 二次電池に流れる電流を検出する電流センサの異常を検出する異常検出装置であって、
前記二次電池の端子間電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電流センサにより検出される電流が所定範囲内のときに前記電圧検出手段により検出される電圧の変動の状態に基づいて前記電流センサの異常を判定する判定手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記電圧検出手段により検出された電圧の変化率に基づいて異常を判定する手段である異常検出装置。 - 前記所定範囲は、前記電流が値0とみなせる程度の値0を中心とした範囲である請求項1記載の異常検出装置。
- 前記判定手段は、前記電圧の変化率が所定幅を越えたとき、異常と判定する手段である請求項1または2記載の異常検出装置。
- 前記判定手段は、前記電圧の変化率が所定時間内に所定回数以上所定幅を越えたとき、異常と判定する手段である請求項1または2記載の異常検出装置。
- 二次電池に流れる電流を検出する電流センサの異常を検出する異常検出装置であって、
前記二次電池の端子間電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電流センサにより検出される電流が所定範囲内のときに前記電圧検出手段により検出される電圧の変動の状態に基づいて前記電流センサの異常を判定する判定手段と、
前記電圧検出手段により検出された電圧の微分値を演算する微分演算手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記微分演算手段により演算された電圧の微分値の絶対値が所定値以内のときに前記電流センサの異常を判定する手段である異常検出装置。 - 前記所定範囲は、前記電流が値0とみなせる程度の値0を中心とした範囲である請求項5記載の異常検出装置。
- 前記判定手段は、所定時間内に前記電圧の変動幅が所定幅を越えたとき、異常と判定する手段である請求項5または6記載の異常検出装置。
- 前記判定手段の判定結果を出力する出力手段を備える請求項1ないし7いずれか記載の異常検出装置。
Priority Applications (1)
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JP17356799A JP3757687B2 (ja) | 1998-11-10 | 1999-06-21 | 電流センサの異常検出装置 |
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