JP3751826B2 - ハイドロフォーム成形用軸押装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部に充満した液体の圧力によりパイプを成形するハイドロフォーム成形において、そのパイプの開口端を軸方向に押圧するための軸押装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハイドロフォーム成形は、液圧バルジ加工とも呼ばれる成形方法であって、被成形物となるパイプを成形型内に挿入し、その開口端を軸押装置で押圧することによって閉塞し、その状態でパイプ内部に水等の液体(以下、「加工液」という)を充満させ、その加工液を加圧してパイプを内部から押し拡げ、成形型のキャビティに応じた形状に成形する加工方法である。このハイドロフォーム成形に従来から用いられている軸押装置は、一般には、単純な構造のシリンダ装置が用いられ、ピストンの前端をパイプの端部に当接して軸方向に押圧する。このような軸押装置では、ピストンの前端が加工液の大きな反力を受けるため、それに対抗する力を負荷し続けなければならず、かなり大型化した装置にならざるを得なかった。
【0003】
ハイドロフォーム成形では、パイプ内部の液圧による変形のみでなく、それと同時に軸押装置の押圧力によって積極的にパイプに圧縮変形を生じさせて成形を行う方法も採用される。この場合、加工液をパイプ内部から漏らさないつまりシールするための押圧力のみでなく、パイプを圧縮変形させる押圧力をも必要とするため、軸押装置がさらに大型化してしまう。また、その場合、良好な成形を行うためには成形速度も適切なものでなくてはならず、加工液からの反力が成形開始から成形程度に応じて微妙に変化することから、この反力変化を検知しつつパイプの圧縮変形を生じさせる押圧力を適切なものに制御することが必要となる。ところが、端部シールのための押圧力が、パイプの圧縮変形の押圧力に比較して大きいことから、その制御は困難を極める。ピストン前端から受ける加工液の反力を消去あるいは緩和することができれば、パイプの端部を押圧する力は小さなものとなるため、軸押装置は小型化が可能であり、また、パイプの圧縮変形を積極的に利用する場合にも押圧力の制御は容易になる。
【0004】
ピストンが受ける反力を消去する技術として、例えば、特開昭38−17158号公報に記載されるような技術が存在する。この公報に記載された軸押装置は、パイプの軸直内断面積(軸直断面においてパイプの内壁面によって区画される部分の面積;丸パイプの場合は内径を直径とする円の面積となる)と同じ軸直断面積をもつようにピストンの後端部を成形し、その後端部をシリンダの後方に突出させ、加工液が充満しシリンダとは別体として形成された反力消去室にその後端部を挿入して構成される軸押装置である。この軸押装置によれば、ピストンに設けられた軸方向に貫通する孔により、パイプの内部と反力消去室とは加工液が導通するようになっており、パイプの内の液圧は反力消去室に導圧されることで、ピストンの前端が受ける加工液からの反力を、ピストン後端が受ける反力消去室の加工液からの力とバランスさせて消去することが可能となる。
【0005】
この軸押装置は、上記作用により反力が消去することで、パイプ端部を押圧するためにシリンダが発生させなければならない押圧力を小さくできるという効果が得られる。しかし、反力消去室を、シリンダとは別体として設けているため、その軸押装置では、装置全体の小型化は達成されていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来からのハイドロフォーミング成形に用いられる軸押装置の抱える問題を解決することを目的としてなされたものであり、ピストンが受ける反力をバランスさせることが可能であることに加え、極めて小型に構成することのできる軸押装置を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明のハイドロフォーム成形用軸押装置は、パイプの内部に加工液を充満しその液圧によって該パイプを成形するハイドロフォーム成形において用いられ、該パイプの開口端を軸方向に押圧するための軸押装置であって、前端が前記パイプの開口端に当接するピストンと、前記ピストンを内装し、該ピストンに軸方向に圧力を負荷するシリンダとを備えてなり、前記シリンダ内に該シリンダと前記ピストンとにより区画され該ピストンの移動に伴って容積が変化する空間が形成され、かつ、該ピストン内に該空間と前記パイプの内部とを導通する導通路が形成され、前記空間および前記導通路に前記加工液が充満することにより、該空間が、加工液からの反力に対する抗力をピストンへ与える反力バランス室として機能する。
【0008】
つまり、本発明の軸押装置は、ピストン前端が受ける加工液からの反力をバランスさせるための反力バランス室を、シリンダ内に設けるものである。ピストン内に形成された導通路は、成形されるパイプの内部とこの反力バランス室とを導通することで、パイプ内部の液圧が反力バランス室に導圧され、ピストンの前端が受ける加工液からの反力に抗う力を後方から負荷することで、両者の力をバランスさせることが可能となる。したがって、パイプ端を押圧するためにシリンダからピストンに負荷される力は小さなものとすることができる。言い換えれば、本発明の軸押装置は、加工液の液圧によって駆動するもうひとつのシリンダ装置をシリンダ内に内蔵する装置、すなわち二重構造のシリンダ装置と考えることができる。
【0009】
上述した従来からの軸押装置においては反力消去室がシリンダの外部に別室として存在しているのに対し、シリンダ内部に反力バランス室を設けたことで、本発明の軸押装置は、ピストンが受ける反力をバランスさせることが可能であることに加え、極めて小型の軸押装置となる。
【0010】
この反力バランス室となる前記空間は、前記ピストンに軸方向に穿設され後端部に開口する有底孔と前記シリンダの後端部から軸方向前方に突出し該有底孔に嵌挿されるロッドとにより区画され、前記ピストン内部に形成されているように構成される。
【0011】
ここで、「軸方向前方」とは、ピストンがパイプを押圧する向きを意味する。つまり、ピストン前端がパイプの端部を押圧すべく移動しようとする向きを意味する。また、シリンダの「後端部」とは、シリンダにおいて軸方向後方(前記「軸方向前方」の反対方向を意味する)に位置する部分を意味する。一般のシリンダ装置がそうであるように、有底円筒状のシリンダの場合は、その底部を意味する。
【0012】
本態様の軸押装置では、ピストン内部に穿設された有底孔がもう一つのシリンダとして機能し、シリンダから突出するロッドがもう一つのピストンとして機能することになる。つまり、シリンダ内部のさらにピストン内部に別途シリンダ装置を内装する二重構造のシリンダ装置となる。本態様の軸押装置は、ピストン内部に反力バランス室が存在することで、極めて小型の軸押装置となる。
【0013】
望ましい態様として、シリンダの後端部から軸方向前方に突出し該有底孔に嵌挿されるロッドは、シリンダの一部をなしている。
【0014】
ハイドロフォーム成形を行う場合、パイプ内部に充満させる加工液は、通常、軸押装置のピストンの前端からパイプ内に供給される。本発明の軸押装置の場合、上記導通路がパイプ内部に導通するようにピストンに形成されているため、その導通路の途中から分岐されピストン外面で装置外部に通じる供給路を設け、この通路から供給することができる。そして、この供給路を外部配管等によって加圧装置に接続し、その加圧装置によって加工液を加圧すればよい。また、成形時にパイプの内部に空気等の気体が残存すると成形に悪影響を及ぼすため、パイプ内の気体を装置外へ逃がす必要がある。導通路から分岐する上記通路は、気体を逃がすための排出路として用いることもできる。
【0015】
ところが、ピストンに加工液の供給路あるいは気体を逃がすための排出路を設ける場合、ピストンは成形過程において前方移動するため、加圧装置等の外部装置とピストンまでの配管は、ホース等のフレキシブルなものとしなければならない。このようなフレキシブルな配管は、加工液の液圧が高圧であることから、その構造が複雑になってしまうことに加え、また、その取り回しも煩雑なものとなってしまう。そこで、本発明の軸押装置では、ピストン内部に反力バランス室を設ける上記態様の場合において、前記空間と前記シリンダ外部とを導通する第2の導通路が前記ロッドに形成されているように構成することができる(請求項1に対応)。
【0016】
つまり、この態様の軸押装置では、上記第2の導通路は、シリンダ外部から反力バランス室およびパイプ内部に加工液を供給するための加工液の供給路、あるいは、パイプ内部および反力バランス室に残存する気体を逃がすための排出路となる。この第2の導通路は、シリンダ後部で装置外部へ通じる。成形時においてシリンダは移動せず固定されているため、加圧装置等の外部装置までの外部配管は固定配管でよく、構造的にも単純でかつ取り回しに特別な配慮を必要とせず、この態様の軸押装置を用いる場合、ハイドロフォーム成形システム自体をシンプルな構成とすることが可能になる。
【0017】
(2)ピストンに穿設した有底孔とそれに嵌挿されシリンダより突出するロッドとで区画される空間を反力バランス室とする上記態様を採用する場合において、その反力バランス室が発生するピストンへの反力に抗う力は、そのロッドの軸直断面積との大きさに比例するものとなる。そこで、かかる態様の本発明の軸押装置では、前記ロッドを、その軸直断面積が前記パイプの軸直内断面積に略等しく形成するように構成することができる(請求項2に対応)。
【0018】
パイプ内の加工液からの反力は、そのパイプの軸直内断面積に比例して大きくなる。パイプの軸直内断面積とロッドの軸直断面積とを等しくする場合、パイプ内部の加工液がピストンを後方に押す反力と、反力バランス室内の加工液がピストンを前方に押し戻そうとする抗力とは、理論的にはその大きさが等しく、両者は釣り合う。したがって、この態様の本発明の軸押装置では、反力が消去され、極めて小さな押圧力を発生するだけでよく、装置自体を極めて小型化することが可能となる。
【0019】
なお、パイプの軸直内断面積に比較してロッドの軸直断面積が小さい場合は、反力に比べて抗力が小さいため、両者の差分だけパイプを押圧する力を余分に要する。また、パイプの軸直内断面積に比較してロッドの軸直断面積が大きい場合は、抗力が反力に勝るため、逆に、軸押装置によってピストンを後退させようとする向きに圧力を発生させなければならない。しかし、これらの場合であっても、両断面積の差がそれほど大きくないときは、軸押装置に必要とされる押圧力は小さく、軸押装置の小型化という目的は充分に達成される。
【0020】
(3)本発明の軸押装置では、前記ピストンは、前記パイプに当接する前端を含む前端部分がパイプの外形に応じて交換可能な構造とすることもできる(請求項3に対応)。一般に、軸押装置のピストンは、その前端部が成形型の内部に挿入される。したがって、被成形物であるパイプの太さ、例えば丸パイプの場合はその外径によって、成形型に挿入される前端部の形状を変更しなければならない。従来の通常の軸押装置では、ピストンがその前端部までもが一体となる構造をなしていたため、被成形物を変更する際に軸押装置自体を交換しなければならなかった。この軸押装置の交換は、煩雑であり、長時間を要するものとなっていた。これに対し、本態様の軸押装置では、前端部分のみを交換可能であるため、被成形物の変更に簡便かつ迅速に対応できるという点で実用的であり、本装置を用いれば、設備コストの低減に加え、段取り替えにおける時間ロスの少ない作業が担保される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態について、図を参照しつつ、その一例となるものを詳細に説明し、さらに、その変形形態を説明した後、他の実施形態にまで言及する。
【0022】
〈一例としての実施形態〉
図1および図2に、本発明の一実施形態である軸押装置を用いたハイドロフォーミング成形システムの主要部を示す。図1は、成形前の状態を示しており、図2は、成形途中の状態を示している。
【0023】
本ハイドロフォーミング成形システムは、主に、本発明の実施形態である軸押装置1と、上型2aと下型2bとからなる成形型2とから構成される。図では省略してあるが、軸押装置1は、成形型2の左右両側に1対配置されている。成形型2には、被成形物となるパイプ3が定置され、成形に供される。
【0024】
軸押装置1は、簡単に言えば、ピストン10と、ピストン10を内装するシリンダ20とからなる。図では省略しているが、成形型2およびシリンダ20は、共にベース(架台)に固定して取り付けられており、成形型2に対しシリンダ20はその位置が固定されており、成形型2に対してピストン10が変位するようになっている。本軸押装置1は、油圧で作動する複動シリンダ装置であり、ピストン10は、大きく分けて、前部に位置する棒状のロッド部10aと後部に位置する油圧を受ける受圧部10bとからなり、それぞれシリンダ20の内壁面とOリング31a、31bによりシールされることにより、2つの油圧室32a、32bが形成されている。シリンダ20にはそれぞれシリンダ20外に通ずる油供給路33a、33bが設けられており、これらからそれぞれの油圧室32a、32bに作動油が供給される。なお、油供給路33a、33bは、図示していない油圧配管が接続され、この油圧配管は図示していない油圧ポンプに繋がっており、その油圧ポンプを駆動させることで、ピストン10はシリンダ20から軸方向に圧力を負荷され、前進移動または後退移動が可能となり、軸押装置1の押圧力が発生する。
【0025】
また、ピストン10のロッド部10aは、その一部、詳しくはシリンダ20の外部に位置する前端部10cが脱着可能に形成されており、後で詳しく説明するが、被成形物であるパイプに応じて交換することができる。この前端部10cは、成形型内に挿入され、その前端10dがパイプ3の開口端3aに当接するようになっており、軸押装置1によってパイプ3はその開口端3aが軸方向に押圧されることになる。
【0026】
本軸押装置1は、シリンダ20の内部に、シリンダ20とピストン10とで区画されピストン10の移動に伴って容積が変化する空間41が形成されている。詳しくは、その空間41は、ピストン10に軸方向に穿設され後端部に開口する有底孔11と、シリンダ20の一部をなしシリンダ20の後端部から軸方向前方に突出し有底孔11に嵌挿されるロッド21とにより区画され、ピストン20の内部に形成されている。
【0027】
そして、ピストン10の前端10dがパイプ3の開口端3aに当接した状態において、ピストン10の内部にその空間41とパイプ3の内部とを導通する導通路42が形成されている。詳しくは、ピストン10の軸方向に真っ直ぐに穿設された貫通孔が空間41とパイプ3の内部を導通し、加工液が自由に通過することができるようになっている。
【0028】
さらに、本軸押装置1では、空間41とシリンダ20の外部とを導通する第2の導通路43がロッド21に形成されている。詳しくは、ロッド21およびシリンダ20の後部をともに貫通する貫通孔が形成されている。この第2の導通路43は、図示していない加圧装置(例えば、油圧水圧コンバータ等が該当する)に繋がっており、この第2の導通路43を経由して加工液(主に、水等が用いられる)が供給されるとともに、パイプ3の内部に液圧を負荷できるようになっている。
【0029】
なお、図示していないもう一方の軸押装置にはこの第2の導通路は必ずしも必要ないが、同様に第2の導通路を設けた場合、その第2の導通路は、加工液をパイプ内部に供給する際に、パイプ内部に残存する空気を系外に排出する排出路としての役割を果たすことが可能となる。ちなみに、成形時には、その第2の導通路はバルブ等で塞ぎ、加工液に液圧を与えればよい。
【0030】
図1に示すように、成形前には、成形型2は開型しており、パイプ3は所定の位置にセットされる。その後、成形型2は閉型し、次いで、軸押装置1のピストン10が前進して前端10dが成形型2内のパイプ3の開口端3aに当接する。そして、加圧装置に繋がる第2の導通路42より加工液が、パイプ3の内部に供給される。加工液が供給された状態においては、上記空間41および上記導通路41に加工液が充満する状態となる。
【0031】
ピストン10によって所定の力をパイプ3の開口端3aに加えることによって、その開口端3aとピストン10の前端10dとの間からの加工液の漏れ出しを阻止した状態で、加圧装置によって加工液に圧力を加える。加工液の液圧によって、パイプ3は内部から成形圧が加えられることになり、パイプ3は拡管変形して成形型2のキャビティに押し付けられ成形される。パイプ3の拡管は軸方向にも変形を伴う。つまり、パイプ3はその長さが短くなるため、開口端3aの後退に追従してピストン10を前進させる。また、より積極的に圧縮変形をさせるべく、ピストン10によりパイプを加圧しつつピストンを前進させてもよい。
【0032】
成形時には、加工液の液圧により、ピストン10は前端10dより反力を受ける。本軸押装置1では、上記空間41は、その反力を消去する抗力をピストンに与える。つまり、空間41は、反力バランス室として機能する。空間41内にも導通路42によりパイプ3の内部の液圧が導圧されており、空間41内の液圧により、ピストンは押し戻す力を与えられる。ちなみに、本軸押装置1では、パイプ3の軸直内断面積(図2において、パイプ内の加工液がピストン10の前端10dに接する面積に相当)と、空間41の軸直断面積(図2において、ロッド21の前端が空間41内の加工液に接する面積に相当)とが等しく設計されており、上記反力とそれに抗う抗力とはその大きさが等しいため、両者は消去される。したがって、小さい押圧力をパイプ3の開口端3aに加えれるだけでパイプ3の開口端3aはシールさせることになり、軸押装置のより小型化が図れる。
【0033】
また、押圧力をさらに加えて積極的にパイプの圧縮変形を利用して成形を行う場合も、その押圧力は本軸押装置1によって負荷される。その際、成形途中に加工液からの反力は変化し続けるため、その変化に追従するように押圧力を変化させなければならない。パイプ3からの上記反力は圧力バランス室(空間41)による抗力とバランスしているため、パイプ内部の液圧を検知しその値をフィードバックして軸押装置の押圧力を制御するといった複雑な制御を必要とせず、極めて簡便な制御で良好なハイドロフォーム成形が可能になる。
【0034】
本軸押装置1を要約すれば、シリンダ装置の中にロッド21がピストンとなり、かつ、ピストン10の有底孔11がシリンダとなるもう一つのシリンダ装置が内蔵されていると考えることができる。つまり、二重構造のシリンダ装置である。そこで内装されるシリンダ装置としての機能を担保するため、ピストン10の前端部10cとロッド部10a本体との間、有底孔11とロッド21との摺動部、ロッド21のシリンダ20の本体との接続面のそれぞれは、Oリング34でシールされる構造となっている。本軸押装置1は、二重構造のシリンダ装置という構造を採用することで、極めて小型の軸押装置が達成される。
【0035】
〈2つの変形実施形態〉
上述した軸押装置では、ピストン10の前端部10cが脱着可能に形成されている。そこで、被成形物となるパイプの断面形状に対応して、その前端部10cを取り替えて実施する形態について説明する。図3に、太いパイプに対応する形式のピストン前端部を装備する軸押装置を示し、図4に、細いパイプに対応する形式のピストン前端部を装備する軸押装置を示す。図3および図4に示すいずれの軸押装置1も、上記軸押装置のピストンの前端部のみを交換しただけのものであることから、その詳しい説明は省略する。
【0036】
いずれの軸押装置1も、パイプ3の内部の液圧によるピストン10に対する反力が発生し、ピストン10の内部に形成された空間41が反力バランス室として機能することで、その反力に抗う抗力がピストン後部より負荷される。図3に示す装置の場合は、パイプの軸直内断面積に比べてロッド21の軸直断面積が小さいため、反力に比べて抗力が小さいものとなっている。そこでその差分に相当する押圧力をパイプ3の開口端3aに余分に負荷しなければならない。逆に、図4に示す装置の場合は、パイプの軸直内断面積に比べてロッド21の軸直断面積が大きいため、反力に比べて抗力が大きいものとなっている。そこでその差分に相当する分だけ押圧力を減少させる必要がある。
【0037】
このような軸押装置の押圧力の調整は、反力と抗力との差が大きくない場合には比較的容易に行えることから、反力バランス室としての効果は充分に発揮されることになる。ピストンの前端部のみを交換することで、各種サイズのパイプの成形に、軸押装置自体を交換することなく対応できることから、本実施形態の軸押装置は、極めて実用的な装置となる。
【0038】
〈その他の実施形態〉
上記実施形態の軸押装置はあくまで一例であり、本発明の軸押装置は決して上記実施形態に限定されるものではない。本発明の軸押装置は、上記実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
【0039】
例えば、上記実施形態のハイドロフォーミング成形の場合は、成形型の両側に、つまり、パイプの両方の開口端をシールする態様で軸押装置が2つ設置されている。この態様に代え、パイプの一方の開口端のみ軸押装置で押圧し、もう一方の開口端は、成形型の内壁面に当接させることで、軸押装置を1つのみ用いるハイドロフォーム成形が可能となる。
【0040】
また、上記実施形態の場合は、加工液を供給するためまたは残存する空気を排出するための第2の導通路が両方の軸押装置に形成されているが、何らかの空気排出手段を設ければ、加工液を供給し加圧する目的の第2の導通路をいずれか一方の軸押装置に設ける態様のものであってもよい。
【0041】
さらに、上記軸押装置の第2の導通路は、ロッドを通ってシリンダの後端に通ずるものであるが、この態様に代えて、例えば、図5に示すように、反力バランス室(空間41)とパイプ内部とを導通する導通路42に分岐を設け、その導通路42からピストン外へ通ずる加工液の供給路44とすることができ、この供給路44を外部の加圧装置に繋いで加工液を加圧し、その液圧でパイプを成形するものであってもよい。
【0042】
【発明の効果】
ハイドロフォーミング成形に用いられる本発明の軸押装置は、従来の軸押装置と異なり、パイプ内部の液圧から受ける反力に抗う抗力を発生させる反力バランス室をピストン内部に穿設された有底孔とシリンダの後端部から突出し有底孔に嵌挿されるロッドとにより区画し、シリンダに内蔵するように構成したものである。つまり二重構造のシリンダ装置として構成されている。このような構成としたことで、本発明の軸押装置は、ピストンが受ける反力をバランスさせることが可能であることに加え、極めて小型化された軸押装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態である軸押装置を用いたハイドロフォーミング成形システムの主要部であって、成形前の状態を示す。
【図2】 本発明の一実施形態である軸押装置を用いたハイドロフォーミング成形システムの主要部であって、成形途中の状態を示す。
【図3】 太いパイプに対応する形式のピストン前端部を装備する態様の本発明の軸押装置を示す。
【図4】 細いパイプに対応する形式のピストン前端部を装備する態様の本発明の軸押装置を示す。
【図5】 、反力バランス室とパイプ内部とを導通する導通路から分岐されピストン外へ通ずる加工液の供給路を有する態様の本発明の軸押装置を示す。
【符号の説明】
1:軸押装置
10:ピストン
10a:ロッド部 10b:受圧部
10c:前端部 10d:前端
11:有底孔
20:シリンダ
21:ロッド
31a、31b:Oリング
32a、32b:油圧室
33a、33b:油供給路
34:Oリング
41:空間(反力バランス室)
42:導通路 43:第2の導通路
44:供給路
2:成形型
2a:上型 2b:下型
3:パイプ(被成形物)
3a:開口端
Claims (3)
- パイプの内部に加工液を充満しその液圧によって該パイプを成形するハイドロフォーム成形において用いられ、該パイプの開口端を軸方向に押圧するための軸押装置であって、
前端が前記パイプの開口端に当接するピストンと、
前記ピストンを内装し、該ピストンに軸方向に圧力を負荷するシリンダとを備えてなり、
前記ピストン内において、
前記ピストン内部に軸方向に穿設され後端部に開口する有底孔と、前記シリンダの後端部から軸方向前方に突出し、該有底孔に嵌挿される該シリンダに対して固定されているロッドとにより区画され、該ピストンの移動に伴って容積が変化する空間と、
前記パイプの内部と前記空間とを導通する導通路と、
該ロッドに形成された該空間と該シリンダ外部とを導通する第2の導通路と、
が形成され、
前記空間および前記導通路に前記加工液が充満することにより、該空間が、加工液からの反力に対する抗力をピストンへ与える反力バランス室として機能することを特徴とするハイドロフォーム成形用軸押装置。 - 前記ロッドは、その軸直断面積が前記パイプの軸直内断面積に略等しく形成されている請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のハイドロフォーム成形用軸押装置。
- 前記ピストンは、前記パイプに当接する前端を含む前端部分がパイプの外形に応じて交換可能な構造をなす請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のハイドロフォーム成形用軸押装置。
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