JP3750458B2 - Fm−cwレーダ装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、静止または移動する観測地点から所定角度範囲内に電波を走査し、方位毎の送信波と受信波との差分信号からターゲットを検出するレーダ装置に関するもので、殊にこの発明は、周波数変調された送信波を用いてターゲットを高精度に認識するFM−CWレーダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車輌の追突防止などの目的に用いられるFM−CWレーダ装置は、一定の周期で周波数変調を施した電波を観測地点から各方位に向けて順次送信し、方位毎に得られる反射波と送信波とをミキシングして得られるビート信号を用いて、検出目標の物体(ターゲット)の方位や観測地点からターゲットまでの距離を得るようにしている。
【0003】
図5は、FM−CW式レーダ装置において、観測地点に対するターゲットの相対速度がゼロの場合の送信波と受信波との関係を示す。
図中TXは送信波の周波数であって、周期TにおいてΔFの幅をもって三角状に変調するように設定されている。この送信波に対する受信波は、ターゲットまでの距離Rに応じた時間だけ位相のずれた信号となり、送信波の周波数が上昇または下降している間に送信波および受信波の各周波数TX,RXを差分することにより、ビート周波数frが得られる。
なお図中、f0は、送信波の中心周波数である。
【0004】
同図において、前記送信波の変調周波数をfm(=1/T)とすると、送信波の単位時間あたりの周波数の変化量は、つぎの(1)式で表される。
df/dt=ΔF/(T/2)=2ΔF・fm ・・・(1)
【0005】
一方、送信波が距離Rだけ離れた対象物に到達して元の送信点に戻ってくるまでに要する時間Trは、光の速度をCとおくと、つぎの(2)式により表される。
Tr=2R/C ・・・(2)
【0006】
よって送信波と受信波との周波数の差(ビート周波数)frは、(3)式のようになる。
【0007】
観測地点に対しターゲットが相対的に移動している場合、前記送信波はターゲットの相対速度に応じたドップラシフトを受けて反射する。このため、受信波は、図6に示すようにドップラ周波数fdが加わった状態で変調し、送信波の周波数が上昇する期間のビート周波数は、前記frよりfdだけ小さくなり、下降する期間のビート周波数は、frよりfdだけ大きくなる。
【0008】
しかしながら送信波の変調周期を十分に短く設定すれば、前記ドップラ周波数fdによるビート周波数の変動を誤差の範囲として無視することができる。したがって送信波の周波数が上昇または下降している間の任意の時点において、上記送信波の周波数TXと受信波の周波数RXとの差分をビート周波数frとおき、その値を上記(3)式にあてはめることにより、ターゲットまでの距離Rを算出することができる。
【0009】
従来のFM−CW式レーダ装置では、上記の原理に鑑み、周波数変調が施された電波を走査しつつ、方位毎に得られたビート信号を高速フーリエ変換(以下「FFT」と略す)し、ビート信号に含まれる周波数のスペクトル分布を抽出する。この分布における各周波数は、観測地点からの距離に相当するもので、観測地点から所定距離離れた地点にターゲットが存在する場合、その距離に対応する周波数のパワーが特に高くなるようなスペクトル分布が得られることになる。
【0010】
各方位におけるFFT処理の結果は、順次メモリ内に蓄積される。そして1サイクル分の走査が終了すると、メモリ内に蓄積された方位毎のFFT処理の結果に対し、スペクトルの平滑化処理や距離に起因するパワー値の補正処理などが施された後、これら補正処理後のデータの中から所定数のピークが抽出される。これらピークは、それぞれ個々のターゲットの位置を代表するもので、各ピークの表す方位はターゲットの方位として、各ピークの表す距離は観測地点からのターゲットまでの距離として、それぞれ認識されることになる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記のFM−CW式レーダ装置は、方位毎のFFT処理により得られる多数のデータを用いた演算処理により、ターゲットまでの距離を高精度で検出することができる。ただし車輌の衝突防止などの目的を達成する実用的なレーダ装置を提供するには、できるだけ広い視野を設定して、密な走査を行うことが求められる。
【0012】
たとえば視野角を±25度として1度おきの走査を行う場合、1往復の走査を1サイクルとすると、計51回の計測が行われることになる。また方位毎にそれぞれ観測地点から100mまでの範囲を1mおきに観測するには、毎時のFFT処理により100件のデータを抽出する必要があるから、1サイクル分の走査が行われる間に5100件ものデータが抽出されることになる。
【0013】
いま1サイクルの走査に要する時間が100msであって、データの取込みに50msを要するものとすると、上記の設定では、50msの時間内に5100件のデータを処理する必要がある。しかしながら現行の演算器でこのような高度な演算能力を具備するものは高価であり、性能のよいレーダ装置を安価で提供するのは不可能である。
【0014】
この発明は上記問題点に着目してなされたもので、走査が行われている間に、ターゲットを代表するピークの候補を抽出する処理を、方位毎に分散させて行うことにより、ハード構成を変更することなく多量のデータを効率良く処理して、高性能のレーダ装置を安価で提供することを、目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明のFM−CWレーダ装置は、周波数変調された電波をその方位を所定角度ずつ変更しながら送信し、各方位毎に送信波と受信波との差分によりビート信号を生成する計測手段、1方位に対する電波の送受信およびその送受信に対するビート信号の生成が行われる都度、当該ビート信号に対するFFT処理と、その処理結果からピークとなる所定数のデータを抽出する処理とを、電波の送受信の方位がつぎの方位に変更されるまでの間に実行するデータ処理手段、前記走査範囲に含まれる全方位について前記計測手段およびデータ処理手段による処理が終了した時点で、前記データ処理手段により抽出された方位毎のピークの中からターゲットを代表するピークを特定するピーク特定手段、前記ピーク特定手段による特定結果を用いてターゲットを認識する認識手段、の各手段を具備する。
【0016】
前記計測手段は、電波の送受信用のアンテナ、このアンテナの方位を変更するための走査手段、アンテナに送信用の電波を供給するための発振器、ビート信号を生成するためのミキシング回路などにより構成される。なおアンテナの走査手段は、モータやその駆動回路などにより構成されるが、これに代えて送信波の位相を電気的に遅延させる電子走査式の回路を用いることも可能である。
【0017】
データ処理手段、ピーク特定手段、認識手段は、コンピュータを主体とする制御回路により構成される。好ましくは、電波を走査する間に動作するデータ処理手段については、FPGA(プログラマブルゲートアレイ)など、コンピュータ本体とは独立の機構が設けられる。
なおピーク特定手段における処理は、少なくとも走査範囲に対し、一端から他端までの片道分の走査が終了した時点で実行されるが、これに限らず、一往復分の走査が終了した時点としてもよい。
【0018】
請求項2の発明では、前記ピーク特定手段は、前記データ処理手段により抽出された方位毎のピークを、それぞれFFT処理によりそのピークに隣接する位置で抽出されたデータと比較し、比較対象のデータよりも高い値をとるピークを、前記ターゲットを代表するピークとして特定するようにしている。
【0019】
請求項3の発明では、前記認識手段は、前記ピーク特定手段により特定されたピークおよび前記FFT処理によりこのピークの近傍で抽出されたデータについて、方位および距離のそれぞれにおける加重平均演算を行って、その演算結果からターゲットの方位およびターゲットまでの距離を認識するように構成される。
【0020】
【作用】
請求項1の発明によれば、電波を走査している間に、方位毎にビート信号が生成される都度、FFT処理を行うとともに、このFFT処理により抽出されたデータの中から所定数のピークを抽出しておく。そして走査範囲に対する走査が終了した時点で、前記方位毎に抽出されたピークの中からターゲットを代表するピークを特定する。このように走査を行いながら方位毎に代表となるピークの候補を絞り込んでおくので、走査が終了した時点での演算にかかる負担が軽減され、高性能の演算器を用いなくとも十分に対応することができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、前記ピーク特定手段は、方位毎に絞り込んだデータの中から、隣接位置で抽出されたデータよりも高い値をとるものをターゲットを代表するピークとして特定する。このピークは、方位毎のFFT処理の結果から得られる山状のスペクトル分布の頂点に相当するもので、このピークを特定することにより、FFT処理により得られた多数のデータの中からターゲットの方位や距離を最も良く反映したデータが抽出されることになる。
【0022】
請求項3の発明によれば、ターゲットを代表するピークおよびその近傍で抽出されたデータについて、方位および距離のそれぞれにおける加重平均処理を行い、方位の平均値がターゲットの方位として、距離の平均値がターゲットまでの距離として、それぞれ認識される。前記ピークおよびその近傍のデータは、電波の走査間隔およびFFT処理のサンプリング間隔に応じた離散的なデータから抽出されたものであるが、これらのデータの加重平均をとることにより、ターゲットの方位やターゲットまでの距離を、前記離散データの間隔よりも細かい単位で抽出することが可能となる。
【0023】
【実施例】
図1は、この発明の一実施例にかかるFW−CW方式レーダ装置の構成例を示す。
この装置は、車輌において前方車輌などの物体への衝突を防止するためのシステムに組み込まれるもので、CPU10を主体に、FPGA11(プログラマブルゲートアレイ),メモリ12から成る制御部13を有するほか、アレイアンテナ1,アンテナ走査部2,ミリ波発生部3,ミキシング部4,サーキュレータ5,位相器6,フィルタ7,アンプ8,A/D変換器9などを具備する。
【0024】
前記アレイアンテナ1は、送受信用のアンテナ素子(図示せず)を複数個配列して成る。複数のアンテナ素子で1つのアンテナを構成することによって、高利得かつ指向性の強いアンテナが形成される。アンテナ走査部2は、所定視野内において前記アレイアンテナ1の方位を所定角度ずつ変化させるためのもので、モータやその駆動回路などにより構成される。ただしアンテナ走査部2は、機械的な走査を行うものに限らず、各アンテナ素子に供給されるミリ波の位相の遅延量を所定量だけ可変できる電子走査式のアンテナを用いても良い。
【0025】
ミリ波発生部3は、前記アレイアンテナ1の各アンテナ素子に送信用のミリ波を供給するためのもので、ガンダイオードのような発振素子を有する発振器(VCO)やアンプ(いずれも図示せず)を有する。前記発振器は、CPU10またはFPGA11からの制御信号に応じて発振周波数が三角状に変調するミリ波を発生させるもので、発生したミリ波は、アンプにより送信レベルにまで増幅された後に、サーキュレータ5を介して各アンテナ素子に与えられ、前記アンテナ走査部2により定められた方位に送出される。
なお前記ミリ波発生部3による送信波の変調周期は、前記アンテナ走査部2によりアレイアンテナ1の方位が変更されるタイミングに合うように調整されており、一方位毎に所定周期分の変調がかけられたミリ波が送信される。
【0026】
前記アレイアンテナ1の各アンテナ素子より送信されたミリ波は、ターゲット上で反射した後にアレイアンテナ1へと帰還する。各アンテナ素子が受信したミリ波は、サーキュレータ5を介して位相器6に入力され、ここで受信波間の位相のずれが補正されてからミキシング部4へと与えられる。ミキシング部4には、ミリ波発生部3により発生させた送信波も入力されており、この送信波と各アンテナ素子による受信波とをミキシングさせて、ビート信号を生成する。
【0027】
前記フィルタ7は、ミキシング部4により生成されたビート信号から直流成分や高周波成分を取り除くためのもので、このフィルタ7によりノイズの除去されたビート信号は、アンプ8を介してA/D変換器9に与えられ、ディジタル変換される。
FPGA11は、アレイアンテナ1の方位が変更される毎に、A/D変換器9からのディジタル用のビート信号を所定のタイミングで取り込んでFFT処理を実行するように設計されている。
【0028】
この実施例では、観測地点に対するターゲットの相対速度を無視できるように送信波の変調周期を短く設定し、送信波の周波数が上昇または下降している間にビート信号をサンプリングすることにより、ターゲットの距離を精度良く反映したビート周波数を得るようにしている。
前記FFT処理では、観測地点から所定距離(たとえば100m)の範囲内を所定長さ(たとえば1m)単位で区切って複数の計測地点を設定し、観測地点から各計測地点までの距離に対応する周波数毎に前記ビート信号を切り分ける。したがってFFT処理により得られるスペクトル分布は、1方位における各計測地点からの反射波により得られるビート周波数の分布状態を表すものとなり、ターゲットが存在する計測地点に対応する周波数成分が特に高いレベルで抽出されることになる。
なお、観測地点から各計測地点までの距離は、前記(3)式により、容易に周波数に換算することができる。
【0029】
さらにこの実施例のFPGA11は、つぎの方位に対する計測処理が行われるまでの間に、前記FFT処理の結果に平滑化処理や補正処理を施し(詳細は後記する)、さらにその補正後のスペクトル分布から所定数のピークを抽出するように設計されている。
【0030】
方位毎のFFT処理の結果および前記ピークの抽出結果は、FPGA11よりCPU10を介してメモリ12に与えられ、保持される。CPU10は、視野内の全方位に対する計測処理が終了すると、前記メモリ12より方位毎のピークを読み出し、各ピークをそれぞれそのピークに隣接する方位におけるFFT処理の結果と比較する。そして前後、左右、斜めのいずれの計測地点よりも高いレベル値をとるピークを、ターゲットの位置を代表するピーク(以下このピークを「代表ピーク」という)として特定する。
【0031】
さらにCPU10は、特定された代表ピークおよび代表ピークの近傍の計測地点で抽出されたデータについて、方位および距離(周波数)の加重平均処理を実行する。この演算により得られた方位の加重平均値はターゲットの方位として、また距離の加重平均値は観測地点からターゲットまでの距離として、それぞれ認識され、外部のモニタ装置などに出力される。
なおこの実施例では、アレイアンテナ1が視野の一端から他端に振られるまでの片道分の走査が終了した時点で、代表ピークの特定および加重平均処理を実施するものとするが、これらの処理は、アレイアンテナ1が視野内を一往復した時点で行ってもよい。
【0032】
図2は、上記FM−CW式レーダ装置における一連の手順を示す。なお図中のSTは、処理のステップである。
まずST1で、CPU10は、アンテナ走査部2を駆動してアレイアンテナ1の方位を所定方向に設定する。続くST2では、ミリ波発生部3が、CPU10またはFPGA11による制御信号に基づいて所定の周期で変調するミリ波を発生させる。そしてミキシング部4において、前記送信波と、この送信波がターゲットに反射してアレイアンテナ1まで還ってきたミリ波とのミキシングが行われ、ターゲットの捕捉状態を反映したビート信号が生成される。
【0033】
以下のST3〜ST8の処理は、主としてFPGA11により行われるもので、アレイアンテナ1の方位が変更されるまでの時間内に実行される。
まずST3で、FPGA11は所定のタイミングで得られたビート信号にFFT処理を施して、各計測地点に対応する周波数毎のレベルを抽出する。そして続くST4では、FFT処理により得られた各データを、それぞれそのデータおよび前後2個のデータによる3データの平均値に置き換えて、スペクトルを平滑化する。
【0034】
前記したように、アレイアンテナ1が向けられた方位において、所定の地点にターゲットが位置する場合、FFT処理を行うと、ターゲットの位置する地点に対応する周波数のレベルが特に大きくなると考えられる。ただし電波は伝送距離が長くなるほど減衰量が大きくなるので、つぎのST5では、各周波数の抽出レベルから距離による減衰量の影響を除去し、所定のターゲットがいずれの計測位置に存在しても、同様のレベルが得られるように補正している。
一般に所定距離Rだけ離れた物体に向けてミリ波を送信すると、その物体からの反射波は、40×log(2R)まで減衰する。したがってこの実施例では、各周波数毎のレベル値に前記40×Log(2R)の逆数を掛けるか、あらかじめ実測データから求めた補正曲線を用いた補正を行うことにより、距離に起因する減衰量が除去された周波数スペクトルを取得し、後続の処理を簡単化している。
【0035】
上記の平滑化処理および補正処理を経たスペクトルにおける各データは、CPU10を介してメモリ12内に保存される(ST6)。さらにFPGA11は、つぎのST7で、補正された各データの中から所定のしきい値を越えるものを抽出した後、抽出された各データを、それぞれそのデータの前方および後方に相当するデータと比較することにより、ピークとなるデータを抽出し、さらにこれらピークの中から上位3個を順に抽出する(ST8)。抽出された各ピークは、方位および距離(周波数)に対応づけられてメモリ12内に格納される。
なおピークの抽出数は3個に限らず、観測条件に応じて適宜、変更可能である。
【0036】
この後、ST9からST1に戻ってアレイアンテナ1の方位が変更され、以下、同様にして、FFT処理からピークの抽出までの処理が繰り返し実行される。そしてFFT処理に平滑化および距離に応じた補正を施したデータは、順次メモリ12に蓄積され(以下このデータを「蓄積データ」という)、別途、1方位につき3個のピークの抽出結果が、メモリ12内に保存されていく。
こうして全方位に対する終了すると、ST9からST10へと進み、CPU10による処理に移行する。
【0037】
まずST10では、CPU10は、方位毎に3個ずつ抽出されたピークの中から代表ピークを特定する。
視野内にターゲットが存在する場合、方位毎のFFT処理によるスペクトル分布をまとめると、図3に示すように、方位,距離,レベルを軸とする3次元空間内に、ターゲットを表す山状の分布パターンが形成される。代表ピークPは、この山の頂点に相当するデータである。この実施例では、メモリ12内の蓄積データを用いて、方位毎に抽出されたピークをそれぞれそのピークの周囲の計測地点で得られたデータと比較し、比較対象のすべてのデータよりも高くなるピークを代表ピークであると判断している。
【0038】
図4は、代表ピークを特定するための具体的な方法を示す。
図中、15は所定の方位で抽出されたピークであって、このピーク15の抽出された方位およびピーク15の抽出地点を、それぞれa,bのポインタで表してある。なお(a−1)は、このピークの抽出された方位aより1ステップ前に処理された方位であり、(a+1)は方位aより1ステップ後に処理された方位を示す。また(b−1)、(b+1)はピーク15の抽出地点より1段階前方および1段階後方の計測地点を示す。
【0039】
この実施例では、メモリ12内の蓄積データの中からピーク15の左右,斜め前、斜め後の各計測地点(a−1,b)(a+1,b)(a−1,b−1)(a−1,b+1)(a+1,b−1)(a+1,b+1)における計6個のデータを読み出し、これらのデータを順次前記ピーク15と比較する。そしてこれら6個のデータ全てに対し、ピーク15が高いレベルをとる場合に、このピーク15が代表ピークであると判断する。
なおピーク15の前後の計測地点(a,b−1)(a,b+1)に対する比較処理は、既にこのピーク15を抽出する際(前記ST7,8の処理時)に完了しているので、これらの2地点におけるデータは、代表ピークの特定処理の時点では、処理対象外となる。
【0040】
このようにして代表ピークが特定されると、ST11からST12へと進み、前記ST10で特定された代表ピークおよびその近傍で抽出されたデータを用いた加重平均処理が実行される。ここで処理対象とするデータは、図3のU,Vに示す範囲、すなわち視野内におけるスペクトル分布の山の頂部分に相当するデータであって、Uの範囲に含まれる各データについて(4)式を、Vの範囲に含まれる各データについて(5)式を、それぞれ適用することにより、方位,距離における加重平均値θG,RGが算出される。
【0041】
なお(4)(5)式において、aは方位を表すポインタ,bは観測地点から計測地点までの距離を表すポインタであって、いずれも1ずつ変動する。またx(a,b)は、各ポインタa,bにより表される計測地点においてFFT処理により抽出されたレベルを、θ(a)は前記ポインタaに対応する方位角を、r(b)は前記ポインタbに対応する距離(周波数)を、それぞれ示す。また最大ピークはポインタ(a,b)の位置にあり、この最大ピークを中心としてU,Vの各範囲とも±p個(p>1)のデータが含まれるものとする。
【0042】
【数1】
【0043】
【数2】
【0044】
上記(4)(5)式により得られる加重平均値θG,RGは、前記スペクトル分布の山の頂部分の重心位置に相当する。CPU10は、方位の加重平均値θGをターゲットの方位として、距離の加重平均値RGを観測地点からターゲットまでの距離として、それぞれ外部に出力する(ST13)。
【0045】
このように一連の処理により得られた代表ピークとその近傍で抽出されたデータとの加重平均処理により、ターゲットの方位および距離を求めるので、アレイアンテナ1の走査間隔およびFFT処理におけるサンプリング間隔よりも細かい単位でターゲットの方位や距離を特定することができ、単に代表ピークの位置をもってターゲットの方位や距離を認識するよりも精度の高い認識結果を得ることができる。
【0046】
以下同様にして、ユーザーによる終了操作が行われるなどして観測終了となるまで、アレイアンテナ1が繰り返し走査され、全方位に対する走査が終了する都度、ターゲットの方位および距離が認識され、その結果が出力される。
なお視野内に複数のターゲットが存在する場合は、ターゲット毎に代表ピークが抽出されて、これらピーク毎に加重平均処理が行われ、各ターゲットの方位および距離が求められる。また視野内にターゲットが存在しなかったり、ターゲットが観測地点よりはるか遠方に位置する場合は、いずれの方位においてもピークが抽出されず、その結果、代表ピークを特定できない、という事態が生じるが、この場合は、ST11が「NO」となり、ST12,13の処理はスキップされる。
また観測地点の近傍では、1つのターゲットについて複数個のピークが抽出される可能性があるので、観測地点の近傍においては、代表ピーク選別の際に電力比較する隣接方位のデータの範囲を、左右の一方位ずつではなく、左右の数方位ずつに広げるなどして、得られる代表ピークの数が少なくなるように調整してもよい。
【0047】
従来の方法では、走査が行われている間には、単に、方位毎にFFT処理を行うだけであるので、1サイクル分の走査が終了してから、蓄積データを1つずつ近傍のデータと比較して代表ピークであるかどうかを判断する必要があり、データ量が多くなると対応が不可能になる虞がある。これに対し上記の処理方法では、アレイアンテナ1の走査が行われている間に、1方位分の走査が終了する都度、その方位におけるピークを抽出することにより、多数のデータの中から代表ピークの候補となるデータを絞り込んでおくので、全方位に対する走査が終了した時点では、前記絞り込まれたデータの中から代表ピークを特定すればよく、代表ピークの特定に要する処理時間は、従来と比較して大幅に短縮される。
よって従来と同様のハード構成で、より広い視野を密に走査することが可能となり、コストをかけずに広視野かつ高精度の処理を行うことが可能となる。
【0048】
【発明の効果】
上記したようにこの発明では、電波を走査する間に、方位毎に、FFT処理により抽出された多数のデータの中から、ターゲットを代表するピークの候補を絞り込んでおき、走査範囲に対する走査が終了した時点で、絞り込んだ候補のみを対象として、ターゲットを代表するピークの特定処理を行うので、代表となるピークの特定に要する処理時間を大幅に短縮することができる。よって従来と同様のハード構成のまま、より広い視野を密に走査することが可能となり、コストをかけることなく、高性能のレーダー装置を提供することが可能となる。
特に請求項3の発明では、ターゲットを代表するピークおよびその近傍のデータの加重平均処理により、電波の走査間隔およびFFT処理におけるサンプリング間隔よりも細かい単位でターゲットの方位や距離を特定することができ、ターゲットの認識精度をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例にかかるFM−CWレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】上記FM−CWレーダ装置における処理手順を示すフローチャートである。
【図3】方位毎のFFT処理結果をまとめた3次元の分布パターン、および代表ピークに基づく加重平均処理の範囲を示す説明図である。
【図4】代表ピークの特定方法を示す説明図である。
【図5】FM−CWレーダ装置の原理を示す説明図である。
【図6】FM−CWレーダ装置の原理を示す説明図である。
【符号の説明】
1 アレイアンテナ
2 アンテナ走査部
3 ミリ波発生部
4 ミキシング部
10 CPU
11 FPGA
Claims (3)
- 周波数変調された電波を走査してその走査範囲に含まれるターゲットを検出するFM−CWレーダ装置において、
前記電波をその方位を所定角度ずつ変更しながら送信し、各方位毎に送信波と受信波との差分によりビート信号を生成する計測手段と、
1方位に対する電波の送受信およびその送受信に対するビート信号の生成が行われる都度、当該ビート信号に対するFFT処理と、その処理結果からピークとなる所定数のデータを抽出する処理とを、電波の送受信の方位がつぎの方位に変更されるまでの間に実行するデータ処理手段と、
前記走査範囲に含まれる全方位について前記計測手段およびデータ処理手段による処理が終了した時点で、前記データ処理手段により抽出された方位毎のピークの中からターゲットを代表するピークを特定するピーク特定手段と、
前記ピーク特定手段による特定結果を用いてターゲットを認識する認識手段とを具備して成るFM−CWレーダ装置。 - 前記ピーク特定手段は、前記データ処理手段により抽出された方位毎のピークを、それぞれFFT処理によりそのピークに隣接する位置で抽出されたデータと比較し、比較対象のデータよりも高い値をとるピークを前記ターゲットを代表するピークとして特定する請求項1に記載されたFM−CWレーダ装置。
- 前記認識手段は、前記ピーク特定手段により特定されたピークおよび前記FFT処理によりこのピークの近傍で抽出されたデータについて、方位および距離のそれぞれにおける加重平均演算を行って、その演算結果からターゲットの方位およびターゲットまでの距離を認識する請求項1に記載されたFM−CWレーダ装置。
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