JP3743561B2 - 放射線像変換パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、輝尽性蛍光体を利用する放射線像変換方法に用いられる放射線像変換パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の放射線写真法に代わる方法として、たとえば特開昭55−12145号に記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線像変換方法が知られている。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シート)を利用するもので、被写体を透過した、あるいは被検体から発せられた放射線をパネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、そののちに輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光)として放出させ、この蛍光を光電的に読み取って電気信号を得、次いで得られた電気信号に基づいて被写体あるいは被検体の放射線画像を可視像として再生するものである。読取りを終えたパネルは、残存する画像の消去が行なわれた後、次の撮影のために備えられる。すなわち、放射線像変換パネルは繰り返し使用される。
【0003】
この放射線像変換方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。さらに、従来の放射線写真法では一回の撮影ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対して、この放射線像変換方法では放射線像変換パネルを繰返し使用するので資源保護、経済効率の面からも有利である。
【0004】
このように、放射線像変換方法は非常に有利な画像形成方法であるが、この方法に用いられる放射線像変換パネルも従来の放射線写真法に用いられる増感紙と同様に、高感度で良好な画質を与えるものであって、放射線画像の画質を劣化させることなく長期間の使用に耐える性能を有するものであることが望ましい。
【0005】
しかし、放射線像変換パネルの製造に用いられる輝尽性蛍光体は一般に吸湿性が大きく、通常の気候条件の室内に放置すると空気中の水分を吸収し、吸収した水分の増大にともなって蛍光体の放射線感度が低下し、時間の経過とともに著しく劣化するという問題があった。
【0006】
また、一般に、輝尽性蛍光体に記録された放射線画像の潜像は、放射線照射後の時間の経過にともなって退行するため、再生される放射線画像信号の強度は放射線照射から励起光による走査までの時間が長いほど小さくなるという性質を有するが、輝尽性蛍光体が吸湿するとこの潜像退行の速さが速くなるため、吸湿した輝尽性蛍光体を有する放射線像変換パネルを用いると、放射線画像の読み取り時における再生信号の再現性が低下する傾向にあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような輝尽性蛍光体の吸湿による劣化現象を防止するために、透湿度の低い防湿性保護層として、例えば、三フッ化塩化エチレン等のフィルムで輝尽性蛍光体を被覆することにより蛍光体層に到達する水分を低減させる方法がとられてきた。しかし、上記三フッ化塩化エチレン等のフィルムは高価であり厚みも大きく、フロンを原料として作られるために環境を汚染するという問題点がある。
【0008】
このような問題に対し、特公平4−76440号には、吸湿性の異なる2種類の保護層のうち、より吸湿性の高い層を蛍光体層側に設けた構成が記載され、特許第1927597号には、窒素と酸素を含む珪素化合物を保護層に含有させた構成が記載されている。しかし、これらの構成によって達成される防湿度は必ずしも満足できるレベルのものではない。また、特開平10−12376号には、電界蛍光灯用としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に金属酸化物、窒化ケイ素などの薄膜を蒸着したフィルムを2〜8枚積層してなる積層フィルムを使用する方法が記載されているが、この方法では防湿性保護フィルムに起因する画像欠陥や、防湿性保護フィルムと蛍光体面との接着状態に起因する画像欠陥等の問題が生じ、専ら病気診断用に使用される放射線像変換パネル用の防湿性保護フィルムとしては採用することはできない。
【0009】
一方、放射線像変換パネル用としては、特開平11−344698号に、少なくとも1層以上の金属酸化物を蒸着した樹脂フィルムを含む複数の樹脂フィルムが層状に接着されてなる積層フィルムを蛍光体層面側に設けたものが記載されているが、積層フィルムが接着層によって接着されているため、その接着状態によっては画像にムラが発生し、また防湿層全体が厚くなって画質が劣化してしまうという問題がある。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、防湿性、耐久性に優れ、長期間良好な状態で使用することのできる高感度で良好な画質を与える放射線像変換パネルを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の放射線像変換パネルは、輝尽性蛍光体からなる蛍光体層と透明保護層とを有する放射線像変換パネルにおいて、前記透明保護層が、50μm以下の層厚を有し、前記透明保護層を支持する透明保護層支持体上に透明無機層と有機層とを交互に少なくとも4層以上積層したものであることを特徴とするものである。
【0012】
透明無機層と有機層は、透明保護層支持体上に交互に少なくとも4層以上積層されていれば、透明保護層支持体上に直接積層されるのは透明無機層であっても、有機層であってもよく、また、最後に積層される層が透明無機層であっても有機層であってもよい。前記透明保護層は50μm以下の層厚を有するものであって、より好ましくは25μm以下の層厚であることが望ましい。
【0013】
前記透明無機層は、金属酸化物、金属窒化物または金属酸窒化物からなり、真空堆積法によって形成されたものであることが好ましい。前記有機層は、塗布または真空堆積法によって形成されたものであることが好ましい。
【0014】
本発明の放射線像変換パネルは、輝尽性蛍光体からなる蛍光体層と透明保護層とを有する放射線像変換パネルにおいて、前記透明保護層の25℃における空気透過度が0.5cc/m2/24h以下であって、かつ透湿度が0.5g/m2/24h以下であることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の効果】
本発明の放射線像変換パネルは、輝尽性蛍光体からなる蛍光体層と透明保護層とを有する放射線像変換パネルにおいて、透明保護層を、透明保護層を支持する透明保護層支持体上に透明無機層と有機層とを交互に少なくとも4層以上積層したものとしたので、極めて高い防湿性と耐久性を有するパネルとすることができ、また、透明保護層の層厚を50μm以下としたので、高感度で良好な画質を与えることが可能となる。
【0016】
また、透明無機層を金属酸化物、金属窒化物または金属酸窒化物からなり、真空堆積法によって形成されたものとすることにより、また、有機層を塗布または真空堆積法によって形成されたものとすることにより、防湿性をより向上させることができるとともに、透明無機層と有機層とを接着剤によって貼り合わせる必要がないため、接着状態に起因する画像ムラの発生を防止することが可能となり、加えて、透明保護層全体をより薄く形成することが可能であるため、高画質を実現することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の第一の実施の形態を示す放射線像変換パネルの概略断面図、図2は本発明の第二の実施の形態を示す放射線像変換パネルの概略断面図である。
【0018】
図1に示すように、第一の実施の形態による放射線像変換パネル1は、支持体2上に輝尽性蛍光体からなる蛍光体層3と透明保護層4とを有し、透明保護層4は、この透明保護層4を支持する透明保護層支持体5上に、第一の透明無機層6a、第一の有機層7a、第二の透明無機層6b、第二の有機層7bをこの順に積層してなるものである。図1では透明保護層支持体5上に透明無機層6aが直接積層されている場合を示しているが、有機層が透明保護層支持体5上に直接積層されていてもかまわない。この場合、有機層と透明無機層を交互に4層積層すると、放射線像変換パネル1の最上面は透明無機層となるが、このように最上面が透明無機層であってもかまわない。もちろん、放射線像変換パネルの製造方法の都合上や特殊な使用に用いられる場合であって、放射線像変換パネルの表面上が有機層である必要があれば、さらに透明無機層上に有機層を積層してもよい。また、ここでは透明無機層と有機層を交互に4層積層したものを例にとって説明しているが、透明保護層に許容される層厚(50μm以下)の範囲であれば、5層といった奇数層の積層であっても、さらにはこれ以上の積層であってもよい。また、有機層、透明無機層が複数回に分割されて形成され、複数層からなっていてもよい。
【0019】
透明無機層6a、6bのそれぞれの層厚は、交互に積層される透明無機層と有機層の積層数によっても異なるが、10〜1000nm、好ましくは15〜700nm、さらには20〜500nmであることが好ましい。層厚が10nm未満の場合には、透明無機層に穴があくなどして均一で滑らかな層を形成することが困難であるとともに、充分な防湿効果が得られず、一方1000nmよりも厚い場合には、形成した透明無機層が剥離したり、亀裂がはいりやすくなる。
【0020】
有機層7a、7bのそれぞれの層厚も、透明無機層と同様、積層数によって異なるため一概には言えないが、0.25〜10μm、好ましくは0.3〜7μm、さらには0.5〜5μmであることが好ましい。層厚が0.25μm未満の場合には、有機層に穴があくなどして均一で滑らかな層を形成することが困難であるとともに、充分な防湿効果が得られず、一方、10μmよりも厚い場合には、高画質を実現することが難しくなる。
【0021】
透明保護層4の層厚は50μm以下であって、好ましくは25μm以下の層厚であることが望ましい。層厚が50μmよりも厚くなると、高画質の実現が困難となる。
【0022】
本発明の放射線像変換パネルは、透明無機層と有機層を交互に少なくとも4層以上積層させることにより、高い防湿性能を発揮することができる。従って、蛍光体層上に透明保護層が積層されていれば、第一の実施の形態に示すように、蛍光体層3上に透明保護層支持体5が接するように形成されていても、図2に示す放射線像変換パネル10のように、支持体12上に輝尽性蛍光体からなる蛍光体層13と透明保護層14とを有し、透明保護層14が、この透明保護層14を支持する透明保護層支持体15上に、第一の透明無機層16a、第一の有機層17a、第二の透明無機層16b、第二の有機層17bをこの順に積層してなり、この透明保護層14を第二の有機層17b側を蛍光体層13と接するように形成されていてもよい。なお、この場合、第二の有機層17b上にさらに第三の透明無機層を設け、この第三の透明無機層が蛍光体層13と接するように形成されていてもよい。
【0023】
本発明の放射線像変換パネルの透明保護層の形成は、蛍光体層上に、透明保護層支持体を接着剤などで接着あるいは減圧ラミネートし、この透明保護層支持体上に真空堆積法によって透明無機層を形成し、この上に塗布または真空堆積法によって有機層を形成し、さらに同様の方法で透明無機層、有機層を順に積層させてもよいし、透明保護層を別に作製した後、蛍光体層に接着、すなわち、透明保護層支持体上に真空堆積法によって透明無機層を形成し、この上に塗布または真空堆積法によって有機層を形成し、さらに同様の方法で透明無機層、有機層を順に積層させた後、透明保護層支持体側を接着剤などで蛍光体層上に接着するかあるいは、最後に積層された有機層側または透明無機層側を接着剤などで蛍光体層上に接着あるいは減圧ラミネートしてもよい。
【0024】
透明無機層は波長300nmから1000nmで光吸収がなくかつガスバリア性を有する無機物質を蒸着した透明な蒸着層である。波長300nmから1000nmで光吸収がない無機物質としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化窒化ケイ素、酸化窒化アルミニウム等を好ましくあげることができる。酸化アルミと酸化ケイ素は単独で蒸着しても良いが、両方を共に蒸着するとガスバリア性をより高くすることができるので、酸化アルミと酸化ケイ素を用いる場合には、両方を蒸着することがより好ましい。これらのうち特に酸化窒化ケイ素、酸化窒化アルミニウムは光透過率が高くかつガスバリア性が高い、すなわちクラックやマイクロポアが少なく緻密な膜を形成することができるのでより好ましく用いることができる。
【0025】
透明無機層の形成は、上述のように真空堆積法によって、透明保護層支持体または有機層上に直接形成する。この場合、透明保護層支持体または有機層には50nm以上またはアスペクト比10以下のフィラーが実質上存在していないことが好ましい。真空堆積法としては、具体的には、スパッタリング、PVD法(Physical Vapor Deposition、物理蒸着法)または、CVD法(Chemical Vapor Deposition、化学蒸着法)等のいずれであってもよい。いずれの方法によっても、透明無機層の透明性、バリヤー性は大きく変わらないので、適宜選択することが可能であるが、形成上の容易性、簡便性の観点からはCVD法、中でもPE−CVD(Plasma enhanced CVD )、ECR−PE−CVD法等の方法が好ましい。
【0026】
有機層は、たとえば、酢酸セルロース、ニトロセルロースなどのセルロース誘導体;あるいはポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル、ポリパラキシリレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩酸ゴム、塩化ビニリデン共重合体等の合成高分子物質のような透明な高分子物質を用いることができる。有機層を形成するこれらの合成高分子物質はポリマーとして用いても、モノマーとして用いてもかまわない。
【0027】
また、有機層には、有機層組成物の塗布性、蒸着性および硬化後の薄膜の物性の改善や、塗膜に対する感光性の付与等を目的として、例えば水酸基を有する種々のポリマーやモノマー、顔料または染料等の着色剤、黄変防止剤、老化防止剤や紫外線吸収剤等の安定化剤、熱酸発生剤、感光性酸発生剤、界面活性剤、溶剤、架橋剤、硬膜剤、重合禁止剤等の各種の添加剤を目的に応じて含有させることができる。
【0028】
有機層の形成は、上記原料となるポリマー、モノマー、各種添加剤、溶剤を混合して有機層形成用塗布液とし、これをドクターブレード、ディップコーター、スライドコーター、エクストルージョンコーターなどの塗布手段を用いて無機層上に塗布・乾燥・硬化するか、あるいは無機層を設けたと同様の蒸着によって形成することができる。
【0029】
透明保護層支持体としては、PET、ポリウレタン、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどからなるプラスチックシートを使用することができる。なお、上記の有機層を形成する原料によって薄膜形成により作製してもよい。
【0030】
本発明の有機層及び透明保護層支持体には、耐久性の向上、ニジムラを防止するため、有機、または無機の粉末が含まれていても良い。含有させる場合は、有機層重量当り0.5〜60重量%で、5〜50重量%程度であることがより好ましい。粉末は特定の帯域に吸収を有するもの、例えば群青等を使用する場合もあるが、概して300〜900nmの波長域で特異な吸収を示さない白色粉末が好ましい。これら粉末の平均粒径は0.01〜10μm程度が好ましく、0.3〜3μm程度がより好ましい。一般に、これら粒子の粒子サイズには分布があるが、分布が狭い方が好ましい。
【0031】
透明保護層は、乾燥雰囲気下で、蛍光体層上に透明保護層支持体側あるいは有機層側または透明無機層側を接着剤で接着することにより、または減圧ラミネートによって形成することができる。いずれの場合も、減圧封止によって行うことがより好ましい。このようにすることにより、特に気圧の低い状態における、蛍光体層と透明保護層支持体あるいは有機層または透明無機層との間の剥離を抑制することができる。
【0032】
蛍光体層と透明保護層支持体あるいは蛍光体層と有機層の間の接着に使用できる接着剤としては、特に限定されるものではなく、ドライラミネーション等で頻繁に使用される、ビニル系、アクリル系、ポリアミド系、エポキシ系、ゴム系、ウレタン系等の各種の接着剤を使用することができる。
【0033】
また、蛍光体層の側面からの吸湿を充分に防止するため、ガラス、エポキシ樹脂、UV硬化樹脂あるいは金属(ソルダー)等で放射線像変換パネルの側面を封止することが好ましい。また、蛍光体層の吸湿による性能劣化を防ぐため、蒸着槽(蒸着機)からの取り出しから端面の封止までは、真空あるいは乾燥した空気または不活性ガスや疎水性の不活性ガス中で行うことが好ましい。
【0034】
本発明の放射線像変換パネルに用いられる輝尽性蛍光体の例としては、
特公平7-84588号等に記載されている一般式 (M1-f・Mf I)X・bMIIIX3″:cA(I)で表される輝尽性蛍光体が好ましい。輝尽発光輝度の点から一般式(I)における MIとしては、Rb,Csおよび/またはCsを含有したNa、同Kが好ましく、特にRbおよびCsから選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属が好ましい。MIII としてはY,La,Lu,Al,GaおよびInから選ばれる少なくとも一種の三価金属が好ましい。X″としては、F,ClおよびBrから選ばれる少なくとも一種のハロゲンが好ましい。MIIIX3″の含有率を表すb値は0≦b≦10-2の範囲から選ばれるのが好ましい。
【0035】
一般式(I)において、賦活剤AとしてはEu,Tb,Ce,Tm,Dy,Ho,Gd,Sm,TlおよびNaから選ばれる少なくとも一種の金属が好ましく、特にEu,Ce,Sm,TlおよびNaから選ばれる少なくとも一種の金属が好ましい。また、賦活剤の量を表すC値は10-6<C<0.1の範囲から選ばれるのが輝尽発光輝度の点から好ましい。
【0036】
また、さらに以下の輝尽性蛍光体も用いることができる。
米国特許第3,859,527号明細書に記載されているSrS:Ce,Sm、SrS:Eu,Sm、ThO2:Er、およびLa2O2S:Eu,Sm、
【0037】
特開昭55-12142号に記載されている ZnS:Cu,Pb、BaO・xAl2O3:Eu(ただし、0.8≦x≦10)、および、MIIO・xSiO2 :A(ただし、MIIはMg,Ca,Sr,Zn,Cd、またはBaであり、AはCe,Tb,Eu,Tm,Pb,Tl,BiまたはMnであり、xは0.5≦x≦2.5である)、
【0038】
特開昭55-12143号に記載されている (Ba1-X-y ,MgX ,Cay )FX:aEu2+(ただし、X はClおよびBrのうちの少なくとも一種であり、xおよびyは、0<x+y≦0.6、かつxy≠0であり、aは、10-6≦a≦5×10-2である)、
【0039】
特開昭55-12144号に記載されている LnOX:xA(ただし、LnはLa,Y,Gd、およびLuのうちの少なくとも一種、XはClおよびBrのうちの少なくとも一種、AはCeおよびTbのうちの少なくとも一種、そして、xは、0<x<0.1である)、
【0040】
特開昭55-12145号に記載されている(Ba1-X,M2+ X)FX:yA(ただし、M2+はMg,Ca,Sr,Zn、およびCdのうちの少なくとも一種、XはCl,BrおよびIのうちの少なくとも一種、AはEu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,YbおよびErのうちの少なくとも一種、そしてxは0≦x≦0.6、yは0≦y≦0.2である)、
【0041】
特開昭55-160078号に記載されているMIIFX・xA:yLn(ただし、MIIはBa,Ca,Sr,Mg,ZnおよびCdのうちの少なくとも一種、AはBeO,MgO,CaO,SrO,BaO,ZnO,Al2O3,Y2O3,La2O3,In2O3,SiO2,TiO2,ZrO2,GeO2,SnO2,Nb2O5,Ta2O5 およびThO2 のうちの少なくとも一種、LnはEu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,SmおよびGdのうちの少なくとも一種、XはCl,BrおよびIのうちの少なくとも一種であり、xおよびyはそれぞれ 5×10-5≦x≦0.5、および0<y≦0.2である)の組成式で表わされる蛍光体、
【0042】
特開昭56-116777号に記載されている(Ba1-X,MII X)F2・aBaX2:yEu,zA(ただし、MIIはベリリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,亜鉛およびカドミウムのうちの少なくとも一種、Xは塩素,臭素およびヨウ素のうちの少なくとも一種、Aはジルコニウムおよびスカンジウムのうちの少なくとも一種であり、a、x、y、およびzはそれぞれ 0.5≦a≦1.25、0≦x≦1、10-6≦y≦2×10-1、および0<z≦10-2である)の組成式で表わされる蛍光体、
【0043】
特開昭57-23673号に記載されている(Ba1-X,MII X)F2・aBaX2:yEu,zB(ただし、MII はベリリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,亜鉛およびカドミウムのうちの少なくとも一種、Xは塩素,臭素およびヨウ素のうちの少なくとも一種であり、a、x、y、およびzはそれぞれ0.5≦a≦1.25、0≦x≦1、10-6≦y≦2×10-1、および0<z≦10-2である)の組成式で表わされる蛍光体、
【0044】
特開昭57-23675号に記載されている(Ba1-X,MII X)F2・aBaX2:yEu,zA(ただし、MIIはベリリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,亜鉛およびカドミウムのうちの少なくとも一種、Xは塩素,臭素およびヨウ素のうちの少なくとも一種、Aは砒素および硅素のうちの少なくとも一種であり、a、x、y、およびzはそれぞれ0.5≦a≦1.25、0≦x≦1、10-6≦y≦2×10-1、および0<z≦5×10-1である)の組成式で表わされる蛍光体、
【0045】
特開昭58-69281号に記載されている MIIIOX:xCe(ただし、MIIIはPr,Nd,Pm,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、XはClおよびBrのうちのいずれか一方あるいはその両方であり、xは0<x<0.1である)の組成式で表わされる蛍光体、
【0046】
特開昭58-206678号に記載されているBa1-XMX/2LX/2FX:yEu2+(ただし、MはLi,Na,K,RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表わし;Lは、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,Ga,InおよびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属を表わし;X は、Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表わし;そして、xは10-2≦x≦0.5、yは0<y≦0.1である)の組成式で表わされる蛍光体、
【0047】
特開昭59-27980号に記載のBaFX・xA:yEu2+(ただし、Xは、Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;Aはテトラフルオロホウ酸化合物の焼成物であり;そして、xは10-6 ≦x≦0.1、yは0<y≦0.1 である)の組成式で表わされる蛍光体、
【0048】
特開昭59-47289号に記載されているBaFX・xA:yEu2+(ただし、Xは、Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;Aは、ヘキサフルオロケイ酸,ヘキサフルオロチタン酸およびヘキサフルオロジルコニウム酸の一価もしくは二価金属の塩からなるヘキサフルオロ化合物群より選ばれる少なくとも一種の化合物の焼成物であり;そして、xは10-6≦x≦0.1、yは0<y≦0.1 である)の組成式で表わされる蛍光体、
【0049】
特開昭59-56479号に記載されているBaFX・xNaX′:aEu2+(ただし、XおよびX′は、それぞれCl、Br、およびIのうちの少なくとも一種であり、xおよびaはそれぞれ0<x≦2、および0<a≦0.2である)の組成式で表わされる蛍光体、
【0050】
特開昭59-56480号に記載されているMIIFX・xNaX′:yEu2+:zA(ただし、MIIは、Ba,SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;X およびX′は、それぞれCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;Aは、V,Cr,Mn,Fe,CoおよびNiより選ばれる少なくとも一種の遷移金属であり;そして、xは0<x≦2、yは0<y≦0.2、およびzは0<z≦10-2である)の組成式で表わされる蛍光体、
【0051】
特開昭59-75200号に記載されている MIIFX・aMIX′・bM′IIX″2・cMIIIX3・xA:yEu2+(ただし、MIIはBa,SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;MI はLi,Na,K,RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;M′IIはBeおよびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の二価金属であり;MIII はAl,Ga,InおよびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;Aは金属酸化物であり;XはCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;X′,X″および Xは、F,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そして、aは0≦a≦2、bは0≦b≦10-2、cは0≦c≦10-2、かつa+b+c≧10-6 であり;x は0<x≦0.5、yは0<y≦0.2 である)の組成式で表わされる蛍光体、
【0052】
特開昭60-84381号に記載されている MII X2・aMIIX′2:xEu2+(ただし、MII はBa,Srおよび Caからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XおよびX′はCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつ X≠X′であり;そしてaは0.1≦a≦10.0、xは0<x≦0.2である)の組成式で表わされる輝尽性蛍光体、
【0053】
特開昭60-101173号に記載されているMIIFX・aMI X′:xEu2+(ただし、MII はBa,SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;MI はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XはCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;X′はF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaおよびxはそれぞれ0≦a≦4.0および0<x≦0.2である)の組成式で表わされる輝尽性蛍光体、
【0054】
特開昭62-25189号に記載されているMI X:xBi( ただし、MI はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X はCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてxは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表わされる輝尽性蛍光体、
【0055】
特開平2-229882号に記載のLnOX:xCe(但し、LnはLa,Y,GdおよびLuのうちの少なくとも一つ、XはCl,BrおよびIのうちの少なくとも一つ、xは0<x≦0.2 であり、LnとXとの比率が原子比で0.500<X/Ln≦0.998であり、かつ輝尽性励起スペクトルの極大波長λが550nm<λ<700nm)で表わされるセリウム賦活希土類オキシハロゲン化物蛍光体、
などをあげることができる。
【0056】
また、上記特開昭60-84381号に記載されているMIIX2・aMIIX′2:xEu2+輝尽性蛍光体には、以下に示すような添加物がMIIX2・aMIIX′2 1モル当り以下の割合で含まれていてもよい。
【0057】
特開昭60−166379号に記載されているbMIX″(ただし、MIはRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、X″はF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、そしてbは0<b≦10.0である);特開昭60-221483号に記載されているbKX″・cMgX2 ・dMIII X′3(ただし、MIII はSc,Y,La,Gdおよび Luからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、X″、X およびX′はいずれもF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、そしてb、cおよびdはそれぞれ、0≦b≦2.0、0≦c≦2.0、0≦d≦2.0であって、かつ2×10-5≦b+c+dである);特開昭60-228592号に記載されている yB(ただし、yは2×10-4≦y≦2×10-1である);特開昭60-228593号に記載されている bA(ただし、AはSiO2 およびP2O5からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物であり、そしてbは10-4 ≦b≦2×10-1 である);特開昭61−120883号に記載されているbSiO(ただし、bは0<b≦3×10-2 である);特開昭61−120885号に記載されているbSnX″2 (ただし、X″はF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、そしてbは0<b≦10-3である);特開昭61-235486号に記載されているbCsX″・cSnX2 (ただし、X″およびX はそれぞれF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、そしてbおよびcはそれぞれ、0<b≦10.0 および10-6≦c≦2×10-2である);および特開昭61-235487号に記載されているbCsX″・yLn3+(ただし、X″はF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、LnはSc,Y,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり、そしてbおよびyはそれぞれ、0<b≦10.0および10-6≦y≦1.8×10-1である)。
【0058】
上記の輝尽性蛍光体のうちで、二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系蛍光体(例えば BaFI:Eu)、ユーロピウム賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体(例えば CsBr:Eu)、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する希土類元素賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、およびヨウ素を含有するビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は高輝度の輝尽発光を示すことから好ましく用いることができ、またこれらの蛍光体は針状結晶とすることができるので、特に吸湿性が問題となりやすいため、本発明の透明保護層を用いることによって効果的な防湿を図ることができる。
【0059】
蛍光体層は、蒸着法、スパッタ法、塗布法など公知の方法により支持体上に形成することができる。蒸着法においては、まず支持体を蒸着装置内に設置した後、装置内を排気して10-4 Pa程度の真空度とする。次いで、輝尽性蛍光体の少なくとも一つを抵抗加熱法、エレクトロンビーム法等の方法で加熱蒸発させて支持体表面に輝尽性蛍光体を所望の厚さに堆積させる。これにより結着剤を含有しない輝尽性蛍光体層を形成することができる。蒸着工程を複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。また、蒸着工程では複数の抵抗加熱器あるいはエレクトロンビームを用いて共蒸着し、支持体上で目的とする輝尽性蛍光体を合成すると同時に輝尽性蛍光体層を形成することもできる。蒸着終了後、輝尽性蛍光体層を加熱処理してもよい。
【0060】
スパッタ法においては、蒸着法と同様に支持体をスパッタ装置内に設置した後装置内を一旦排気して10-4 Pa程度の真空度とし、次いでスパッタ用のガスとしてAr,Ne等の不活性ガスをスパッタ装置内に導入して10-1 Pa程度のガス圧とする。次に、輝尽性蛍光体をターゲットとして、スパッタリングすることにより、保護層表面に輝尽性蛍光体を所望の厚さに堆積させる。スパッタ工程においても蒸着法と同様に、複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成することも可能であるし、また、それぞれ異なった輝尽性蛍光体からなる複数のターゲットを用いて、同時あるいは順次、ターゲットをスパッタリングして輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。また、スパッタ法においては、必要に応じてO2 ,H2 やハロゲン等のガスを導入して反応性スパッタを行ってもよい。スパッタ終了後、輝尽性蛍光体層を加熱処理してもよい。
【0061】
塗布法においては、蛍光体を溶剤とともに充分に混合して結合剤溶液中に輝尽性蛍光体が均一に分散した塗布液を調製し、この塗布液を支持体の表面に均一に塗布することにより塗膜を形成する。この塗布操作は、通常の塗布手段、たとえば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどを用いることにより行なうことができる。
【0062】
蛍光体層に用いられる結合剤としては、常温で弾力を持ち、加熱されると流動性を持つようになる熱可塑性エラストマーを好適に用いることができる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、天然ゴム、フッ素ゴム、ポリイソプレン、塩素化ポリエチレン、スチレン−ブタジエンゴム、シリコンゴムなどを好ましくあげることができる。これらの熱可塑性エラストマーは、軟化温度または融点が30℃〜300℃であるものが一般的に用いられるが、30℃〜200℃のものを用いることが好ましく、30℃〜150℃のものを用いることがより好ましい。
【0063】
溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどの低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、などのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル;エチレングリコールモノプロピルエーテル、などのエーテル;トルエン、キシレン、シクロヘキサン、などの炭化水素;および、それらの混合物をあげることができる。
【0064】
塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との混合比は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種類などによって異なるが、一般には結合剤と蛍光体との混合比は、1:1〜1:100(重量比)の範囲から選ばれ、1:8〜1:40(重量比)の範囲から選ぶのがより好ましい。
【0065】
支持体としては、従来の放射線像変換パネルの支持体として公知の材料から任意に選ぶことができる。また、支持体と蛍光体層の結合を強化するため、あるいは放射線像変換パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状性)を向上させるために、蛍光体層が設けられる側の支持体表面にゼラチンなどの高分子物質を塗布して接着性付与層としたり、あるいは二酸化チタンなどの光反射性物質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックなどの光吸収性物質からなる光吸収層などを設けることが知られているが、本発明において用いられる支持体についても、これらの各種の層を設けることができる。それらの構成は所望の放射線像変換パネルの目的、用途などに応じて任意に選択することができる。
【0066】
さらに特開昭58−200200号 に記載されているように、得られる画像の鮮鋭度を向上させる目的で、支持体の蛍光体層側の表面(支持体の蛍光体層側の表面に接着性付与層、光反射層または光吸収層などが設けられている場合には、その表面を意味する)に微小凹凸が形成されていてもよい。
【0067】
上記の方法により支持体上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。蛍光体層の層厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なり、20μm〜1mm程度とするのが一般的であるが、50μm〜500μmとすることがより好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0068】
【実施例】
(実施例1)
<透明保護層の作製>
エチレングリコールジアクリレートを減圧下加熱してガス抜きをした後、減圧加熱により霧化させ、ドラムにより冷却された6μm厚ポリエチレンテレフタレート(PET)上へ凝集させ、次いでUV照射して架橋させることで約1μmの有機層を形成した。続いてこの有機層上に酸化窒化ケイ素をプラズマCVDにより350オングストローム厚堆積させることにより透明無機層を形成した。さらに、この透明無機層上に同じ材料により有機層、透明無機層を交互に形成し、PET上に5層の多層構造(全厚約9μm)を作製した。作製した多層構造の保護層の25℃における空気透過度は0.4cc/m2・d、透湿度は0.4g/m2・dであった。
【0069】
<輝尽性蛍光体層の作製>
基板として、片面に縁部(縁幅10mm)を除いて凹凸および反射処理をした8mm厚のソーダガラス板を処理面上に蒸着されるように蒸着機中に設置した。次に所定の位置にEuBr2 タブレットおよびCsBrタブレットを配置し、蒸着機を排気して1×10-3Paの真空度とした。続いて、基板をヒーターで200℃に加熱した。その後、白金ボート中のEuBr2 タブレットおよびCsBrタブレットに電子銃から4.0kVの加速電圧の電子線を照射し、4μm/分の速度で縁部を除いた基板上一面に輝尽性蛍光体(CsBr:Eu)を500μm堆積させた。乾燥雰囲気下、蒸着機中を大気圧に戻し、基板を取り出した。基板上には太さ5μm、長さ500μmの針状の輝尽性蛍光体が密に立って堆積していた。
【0070】
<放射線像変換パネルの作製>
乾燥雰囲気下で、基板の蛍光体層が形成されていない縁部にポリウレタン接着剤をディスペンサーで線引き塗布し、枠状ガラススペーサー(平均厚さ0.5mm、幅7mm、フロート製法によるソーダライム板ガラスをアブレシブウォータージェット加工により加工されたもの)を貼り付け圧着した。引き続き乾燥雰囲気下、オーブンで80℃乾燥硬化した。貼り付けたガラススペーサー上にポリウレタン接着剤をディスペンサーで線引き塗布し、先に用意した透明保護層のPET側の画像を形成する部分に透明粘着層(層厚1.5μm)を付与し、ガラススペーサー接着部をプラズマ表面処理後、蒸着蛍光体層上にラミネートした。乾燥雰囲気下から取り出し、25℃で24時間、さらに50℃で3日硬化させた。以上のようにして、蛍光体とガラスと透明保護層により封止された放射線像変換パネルを作製した。
【0071】
(実施例2)
透明保護層の有機層をすべてアクリル樹脂を塗布することによって形成、すなわち塗布し、乾燥し、続いてUV照射して架橋することによって作製し、透明保護層の全厚を15μmとした以外は実施例1と同様にして放射線像変換パネルを作製した。
【0072】
(実施例3)
透明保護層の多層構造をPET上に11層形成し、透明保護層の全厚を13μmとした以外は実施例1と同様にして放射線像変換パネルを作製した。
【0073】
(実施例4)
透明無機層として酸化アルミニウム層をスパッタリングにより厚さ200オングストローム厚で堆積した以外は実施例1と同様にして放射線像変換パネルを作製した。
【0074】
(実施例5)
透明保護層の多層構造表面(有機層側)に透明アクリル樹脂接着剤を1mm厚で塗布し、蛍光体層上にラミネートした以外は実施例1と同様にして放射線像変換パネルを作製した。
【0075】
(比較例1)
12μm厚のPET上に、酸化ケイ素膜を500オングストローム厚で真空堆積法により形成したもの4枚を、各々透明ポリウレタン樹脂層(3μm)でラミネートし、透明保護層(全厚57μm)を作製した以外は実施例1と同様にして放射線像変換パネルを作製した。
【0076】
(評価実験)
上記実施例1〜5、比較例1で作製された放射線像変換パネルを輝尽発光光低下率及び鮮鋭度において評価した。結果を表1に示す。なお、輝尽発光光低下率および鮮鋭度は以下の方法により測定したものである。
【0077】
<輝尽発光光低下率>
放射線像変換パネルにX線を照射し、ラインセンサーにて保護層側から線状の励起光を照射し、その際に検出された輝尽発光光検出量を初期値とし、この放射線像変換パネルを55℃95%恒温槽中で30日間経時し、再び輝尽発光光(サーモ後値)を測定し、以下の式により輝尽発光光低下率を算出した。
輝尽発光光低下率(%)={(初期値−サーモ後値)/初期値}×100
【0078】
<鮮鋭度>
放射線像変換パネルに、管電圧80kVpのX線を照射したのち、波長650nmで走査して蛍光体を励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光して電気信号に変換し、これを画像再生装置によって画像として再生して表示装置上に画像を得た。これをコンピュータで解析することにより、得られた画像の変調伝達関数(MTF)(空間周波数:2サイクル/mm)を得た。MTF値が高いほど鮮鋭度がよいことを示す。
結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
表1から明らかなように、本発明の放射線像変換パネルは、空気透過度、透湿度の低い透明保護層によって保護されているため、水分による蛍光体の劣化が小さく、従って、放射線像変換パネルを鮮鋭度が高く輝尽発光光低下率の小さいものとすることができ、高画質かつ高い耐久性のものとすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示す放射線像変換パネルの概略断面図
【図2】本発明の第二の実施の形態を示す放射線像変換パネルの概略断面図
【符号の説明】
1 放射線像変換パネル
2 支持体
3 蛍光体層
4 透明保護層
5 透明保護層支持体
6a 透明無機層
6b 透明無機層
7a 有機層
7b 有機層
Claims (2)
- 輝尽性蛍光体からなる蛍光体層と透明保護層とを有する放射線像変換パネルにおいて、前記透明保護層が、50μm以下の層厚を有し、前記透明保護層を支持する透明保護層支持体上に透明無機層と有機層とを交互に少なくとも4層以上積層したものであって、前記有機層が塗布または真空堆積法によって形成されたものであることを特徴とする放射線像変換パネル。
- 前記透明無機層が金属酸化物、金属窒化物または金属酸窒化物からなり、真空堆積法によって形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の放射線像変換パネル。
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