JP3743499B2 - 排気昇温装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼室内に直接燃料を噴射し火花点火して層状燃焼させる筒内噴射型内燃エンジンのリーン燃焼運転継続時等に、排気を昇温させることにより排気浄化装置を早期活性化する排気昇温装置に関する。
【0002】
【関連する背景技術】
近年、車両に搭載される火花点火式内燃エンジンにおいて、有害排出ガス成分の低減や燃費の向上等を図るため、旧来の吸気管噴射型に代えて燃焼室に直接燃料を噴射する筒内噴射型のガソリンエンジンが種々提案されている。
筒内噴射型のガソリンエンジンでは、例えば、燃料噴射弁からピストン頂部に設けたキャビティ(窪み)内に燃料を噴射することで、点火時点において点火プラグの周囲に理論空燃比に近い空燃比の混合気を生成させている。これにより、全体に希薄な空燃比でも着火が可能となり、COやHCの排出量が減少するとともに、アイドル運転時や低負荷走行時の燃費を大幅に向上させることができる。
【0003】
また、このようなガソリンエンジンでは、エンジンの運転状態、つまりエンジン負荷に応じて圧縮行程噴射モードと吸気行程噴射モードとを切り換えるようにしている。このように制御モードを切り換えることにより、低負荷運転時には、圧縮行程噴射モードに設定して主として圧縮行程中に燃料を噴射し、点火プラグの周囲やキャビティ内に局所的に理論空燃比に近い混合気を形成させ、全体として希薄な空燃比でも良好な層状燃焼が可能なようにしている(この制御モードを圧縮リーンモードともいう)。
【0004】
一方、中高負荷運転時には、吸気行程噴射モードに設定して主として吸気行程中に燃料を噴射し、燃焼室内に均一な空燃比の混合気を形成させ、吸気管噴射型のガソリンエンジンと同様に、多量の燃料を燃焼させて加速時や高速走行時に要求される出力を確保するようにしている。
このような筒内噴射型内燃エンジンの冷機始動時や外気温度が低い環境下での低負荷運転時等において、排気通路に配設した排気浄化装置(単に触媒ともいう)が始動後なかなか活性化しなかったり、一旦活性化した触媒が例えば上記圧縮リーンモード運転(燃料噴射量に対し吸入空気量が多く、リーン燃焼のために排気温度が低くなる場合がある)により冷やされて不活性になり易いという問題がある。このような問題に対処するために、排気温度を昇温させて触媒を早期活性化を図る手法が種々提案されている。
【0005】
例えば、膨張行程中に追加噴射した燃料を付加デバイス(点火プラグ等)無しで確実に筒内で再燃焼させる手法が、特開平8−100638号公報に提案されている。この提案は、通常の燃料噴射(主燃焼のための燃焼噴射)の他に、膨張行程の初期から中期の間に追加の燃料を噴射し、この追加燃料を主燃焼の火炎伝播により着火燃焼させ、排気温度を昇温させようとするものである。この手法によると、再燃焼させる際に点火プラグを再作動させることなく排気温度を通常よりも高くでき、触媒を早期に活性化させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記提案の手法では、筒内で確実に再燃焼させるために、膨張行程中の追加燃料の噴射時期を、主燃焼の火炎の伝播によって確実に着火できる膨張行程初期から中期の時期(上記特開平8ー100638号公報にはクランク角度で10°ATDC〜80°ATDCと記載されている)に設定しなければならない。このような膨張行程の早い時期に追加燃料を噴射すると、追加燃料が再燃焼することで発生した熱エネルギの一部が膨脹仕事に奪われてしまい、本来の目的である排気昇温が良好に実施されないことになる。そして、このような場合、充分な排気温度上昇率を得るために追加燃料を増加させることになり、余分な燃料の増加に繋がり好ましいことではない。
【0007】
本発明は、上述した事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、燃料の消費量を極力少なく抑えながら効率よく確実に排気を昇温可能な排気昇温装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、少なくとも圧縮行程時に該燃料噴射弁より燃料噴射し火花点火して層状燃焼させる筒内噴射型内燃エンジンの排気昇温装置において、排気昇温が要求されるエンジン運転時に、点火プラグの周りにリッチ混合気を局所的に生成する量の燃料を前記エンジンの圧縮行程で噴射するよう前記燃料噴射弁を制御する燃料噴射制御手段と、前記燃料噴射制御手段の作動時に、前記圧縮行程で噴射された燃料が火花点火により着火燃焼するとともに、該着火燃焼した燃料の一部が不完全燃焼し不完全燃焼物とされ、該不完全燃焼物が筒内流動に伴い筒内の余剰酸素と混合し再燃焼するようにエンジン制御パラメータを制御するエンジン制御手段とを備え、前記燃料噴射制御手段は、前記燃焼室内の全体空燃比が略理論空燃比或いは理論空燃比よりも若干リーンな空燃比となるように前記燃料噴射弁を制御することを特徴としている。
【0009】
このように、燃料噴射制御手段により点火プラグ周りの空燃比が局所的にリッチとされた状態で層状燃焼が成立すると、ピストンの圧縮上死点近傍で点火が実施されたときにおいて、局所的な空気量不足により点火プラグ周りでは燃料が完全に燃焼せず、エンジン制御手段のエンジン制御パラメータの制御により、その一部が不完全燃焼を起こしてHC、CO等の不完全燃焼物が発生する。その後、膨張行程となりピストンが下降を始めると、これらの不完全燃焼物は燃焼室内で周囲に拡散することになる。このとき、不完全燃焼物は、燃焼後の高温雰囲気中に存在して燃焼可能な程度の活性化エネルギを有しているため、燃焼室内に点火プラグから離間して存在する空気中のO2(酸素)と好適に反応し再燃焼することになる。しかしながら、この再燃焼は緩やかなものであるため、膨張仕事に使用されることなく排気温度を好適に上昇させることになり、故に触媒が速やかに加熱され早期に活性化される。
【0010】
また、この際、燃焼室内の全体空燃比は略理論空燃比或いは理論空燃比よりも若干リーンな空燃比となるように制御されるので、燃費の悪化を防止しながら、触媒が良好に加熱され確実に活性化される。
また、請求項2の発明では、前記燃料噴射制御手段は、前記点火プラグの周りに局所的に生成するリッチ混合気の空燃比が8〜10程度となるように前記エンジンの圧縮行程で噴射する燃料量を制御することを特徴としている。
【0011】
このように、点火プラグの周りに局所的に生成するリッチ混合気の空燃比が8〜10程度の適当なものとされると、必要十分な量の不完全燃焼が生成されて再燃焼が良好なものとされ、排気温度が好適に上昇し、触媒が良好に加熱され活性化される。
また、請求項3の発明では、前記燃料噴射制御手段は、前記燃焼室内の全体空燃比が14〜18程度となるように前記エンジンの圧縮行程で噴射する燃料量を制御することを特徴としている。
【0012】
このように、燃焼室内の全体空燃比が14〜18程度となるように制御されると、全体空燃比は略理論空燃比或いは理論空燃比よりも若干リーンな空燃比となり、燃費の悪化を防止しながら、排気温度が好適に上昇し、触媒が良好に加熱され活性化される。
また、請求項4の発明では、前記燃料噴射制御手段と前記エンジン制御手段は、排気昇温が要求されるエンジン運転を検出した後、所定期間が経過するまで或いは前記エンジンの排気通路に設けられた触媒が活性化温度に達するまで、それぞれ前記点火プラグの周りにリッチ混合気を局所的に生成する量の燃料を前記エンジンの圧縮行程で噴射するよう前記燃料噴射弁を制御し続けるとともに前記不完全燃焼物が筒内流動に伴い筒内の余剰酸素と混合し再燃焼するようにエンジン制御パラメータを制御し続けることを特徴としている。
【0013】
これにより、排気昇温が過不足なく十分な期間に亘り実施され、不要な排気昇温による燃費の悪化を防止しながら、触媒が良好に加熱され確実に活性化される。
また、請求項5の発明では、前記燃料噴射制御手段は、燃料の一部を吸気行程の初期から前記圧縮行程の初期までの間に、前記圧縮行程の前記点火プラグの周りにリッチ混合気を局所的に生成するための燃料噴射に先行して噴射するよう前記燃料噴射弁を制御することを特徴としている。
【0014】
このように圧縮行程時に燃料が噴射される前の段階で予め燃料の一部が燃焼室内に供給されると、予め供給された燃料によって形成される混合気は希薄であるため、主燃焼の火炎が伝播できずに未燃状態のまま残留する。しかしながら、この希薄な混合気は圧縮や主燃焼の熱を受け、所謂前炎反応を起こして活性な化学反応種へと変化する。従って、燃焼室内にはO2等と共に燃焼直前状態の活性な化学反応種(例えば、CHO、H2O2、OH等)、即ち前炎反応生成物が多く存在することになる。そして、膨脹行程において不完全燃焼物が燃焼室内で周囲に拡散したとき、当該不完全燃焼物が点火プラグから離間して存在するO2と反応し再燃焼が進むのであるが、このとき上記前炎反応生成物が着火誘導剤の役割を果たし、再燃焼がより一層良好に進むことになる。これにより、排気温度はさらに高いものとされ、故に触媒がより早期に活性化される。
【0015】
また、請求項6の発明では、前記先行して噴射すべき燃料の量は、前記エンジンの一気筒1サイクルあたりに噴射すべき燃料の総量の10%〜40%に設定されることを特徴としている。
これにより、先行して噴射すべき燃料量は内燃エンジンの一気筒1サイクルあたりに噴射される燃料総量の10%〜40%の範囲内とされ、燃焼室内には、膨張仕事に寄与させない程度であって且つ好適に着火誘導剤としての役割を果たし排気を昇温させることの可能な適正量の前炎反応生成物を存在させることが可能とされる。
【0016】
また、請求項7の発明では、前記エンジン制御手段は、前記燃料噴射制御手段による前記燃料噴射弁の制御が行われているとき、エンジン制御パラメータとしての燃料噴射時期を、排気昇温が要求されていないエンジン運転時の圧縮行程の燃料噴射時期よりも遅延させることを特徴としている。
このように、エンジン制御手段により圧縮行程時の燃料噴射時期が遅延され、且つ燃料噴射制御手段により点火プラグ周りの空燃比が局所的にリッチとされた状態で層状燃焼が成立すると、ピストンの圧縮上死点近傍で点火が実施されたときにおいて、局所的な空気量不足と燃料噴射時期の遅延による霧化時間不足により点火プラグ周りでは燃料の燃焼がより不完全となり、HC、CO等の不完全燃焼物が多く発生する。その後、膨張行程となりピストンが下降を始めると、上記同様に、不完全燃焼物は再燃焼することになり、排気温度が好適に上昇して触媒が速やかに加熱され早期に活性化される。
【0017】
また、請求項8の発明では、前記エンジン制御手段は、前記燃料噴射制御手段による前記燃料噴射弁の制御が行われているとき、エンジン制御パラメータとしての点火時期を、排気昇温が要求されていないエンジン運転時の点火時期よりも遅延させることを特徴としている。
これにより、燃焼が緩慢となり、より効果的な排気昇温が可能とされる。
【0018】
また、請求項9の発明では、燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、少なくとも圧縮行程時に該燃料噴射弁より燃料噴射し火花点火して層状燃焼させる筒内噴射型内燃エンジンの排気昇温装置において、排気昇温が要求されるエンジン運転時に、点火プラグの周りにリッチ混合気を局所的に生成する量の燃料を前記エンジンの圧縮行程で噴射するよう前記燃料噴射弁を制御する燃料噴射制御手段と、前記燃料噴射制御手段の作動時に、前記圧縮行程で噴射された燃料が火花点火により着火燃焼するとともに、該着火燃焼した燃料の一部が不完全燃焼し不完全燃焼物とされ、該不完全燃焼物が筒内流動に伴い筒内の余剰酸素と混合し再燃焼するようにエンジン制御パラメータを制御するエンジン制御手段とを備え、前記燃料噴射制御手段と前記エンジン制御手段は、排気昇温が要求されるエンジン運転を検出した後、前記点火プラグの周りにリッチ混合気を局所的に生成するよう前記燃料噴射弁を制御し且つ前記不完全燃焼物が筒内の余剰酸素と混合し燃焼するようエンジン制御パラメータを制御する排気昇温制御の実施期間が所定期間経過したとき或いは前記エンジンの排気通路に設けられた触媒が活性化温度に達したとき、該排気昇温制御を終了するよう前記燃料噴射弁と前記エンジン制御パラメータをそれぞれ制御することを特徴としている。
【0019】
このように、燃料噴射制御手段により点火プラグ周りの空燃比が局所的にリッチとされた状態で層状燃焼が成立すると、ピストンの圧縮上死点近傍で点火が実施されたときにおいて、局所的な空気量不足により点火プラグ周りでは燃料が完全に燃焼せず、エンジン制御手段のエンジン制御パラメータの制御により、その一部が不完全燃焼を起こしてHC、CO等の不完全燃焼物が発生する。その後、膨張行程となりピストンが下降を始めると、これらの不完全燃焼物は燃焼室内で周囲に拡散することになる。このとき、不完全燃焼物は、燃焼後の高温雰囲気中に存在して燃焼可能な程度の活性化エネルギを有しているため、燃焼室内に点火プラグから離間して存在する空気中のO2(酸素)と好適に反応し再燃焼することになる。しかしながら、この再燃焼は緩やかなものであるため、膨張仕事に使用されることなく排気温度を好適に上昇させることになり、故に触媒が速やかに加熱され早期に活性化される。
【0020】
また、この際、点火プラグの周りにリッチ混合気を局所的に生成するよう燃料噴射弁を制御し且つ不完全燃焼物が筒内の余剰酸素と混合し燃焼するようエンジン制御パラメータを制御する排気昇温制御は、排気昇温が要求されるエンジン運転を検出した後、所定期間経過したとき或いはエンジンの排気通路に設けられた触媒が活性化温度に達したときに終了することになるので、排気昇温が過不足なく十分な期間に亘り実施されることになり、不要な排気昇温による燃費の悪化を防止しながら、触媒が良好に加熱され確実に活性化される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態としての実施例を詳細に説明する。
図1は、車両に搭載された筒内噴射ガソリンエンジンの制御装置を示す概略構成図であって、本発明に係る排気昇温装置を示す図である。図1において、符号1は、火花点火式で、且つ燃焼室内に燃料を直接噴射する自動車用筒内噴射型直列4気筒ガソリンエンジン(以下、単にエンジンという)であり、吸気、圧縮、膨張、排気の各行程を1サイクル中に備える内燃エンジン、即ち4サイクルエンジンである。そして、このエンジン1は、燃焼室1aを始め吸気装置やEGR装置10等が筒内噴射専用に設計されている。
【0022】
エンジン1のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ35と共に電磁式の燃料噴射弁8も取り付けられており、燃焼室1a内に直接燃料が噴射されるようになっている。また、シリンダ内を摺動して往復動するピストン1bの頂面には、上死点(TDC)近傍で燃料噴射弁8からの燃料噴霧が到達する位置に、半球状の窪み、即ちキャビティ1cが形成されている。また、このエンジン1の理論圧縮比は、吸気管噴射型のものに比べ、高く(本実施例では、12程度)設定されている。動弁機構としてはDOHC4弁式が採用されており、シリンダヘッドの上部には、吸排気弁4,5をそれぞれ駆動するべく、吸気側カムシャフトと排気側カムシャフトとが回転自在に保持されている。
【0023】
シリンダヘッドには、両カムシャフトの間を抜けるようにして、略直立方向に吸気ポート2aが形成されており、この吸気ポート2aを通過した吸気流が燃焼室1a内で所謂逆タンブル流を発生可能になっている。一方、排気ポート3aについては、通常のエンジンと同様に略水平方向に形成されているが、斜めに大径のEGRポート(図示せず)が分岐している。
【0024】
図中、符号19は冷却水温Twを検出する水温センサであり、符号21は各気筒の所定のクランク位置(本実施例では、5°BTDCおよび75°BTDC)でクランク角信号SGTを出力するクランク角センサであり、符号34は点火プラグ35に高電圧を出力する点火コイルである。なお、クランクシャフトの半分の回転数で回転するカムシャフトには、気筒判別信号SGCを出力する気筒判別センサ(図示せず)が配設されており、このセンサからの信号によってクランク角信号SGTがどの気筒のものかを判別する。
【0025】
図1に示したように、吸気ポート2aには、サージタンク2bを有する吸気マニホールド2を介して、エアクリーナ6a,スロットルボディ6b,ステッパモータ式のアイドルスピードコントロールバルブ(アイドル調整弁)16を備えた吸気管6が接続している。さらに、吸気管6には、スロットルボディ6bを迂回して吸気マニホールド2に吸入空気を導入する大径のエアバイパスパイプ50aが併設されており、その管路にはリニアソレノイド式で大型のエアバイパスバルブ(ABV、即ち空気量調整手段)50が設けられている。なお、エアバイパスパイプ50aは、吸気管6に準ずる流路面積を有しており、ABV50の全開時にはエンジン1の低中速域で要求される量の吸入気が流通可能となっている。一方、アイドル調整弁16は、ABV50より小さい流路面積を有しており、吸入空気量を精度よく調整する場合にはアイドル調整弁16を使用する。
【0026】
スロットルボディ6bには、流路を開閉するバタフライ式のスロットル弁7と共に、スロットル開度θthを検出することでアクセル開度情報を検出するスロットルセンサ14と、全閉状態を検出するアイドルスイッチ15とが備えられている。また、エアクリーナ6aの内部には、吸気密度を求めるための吸気温センサ12、大気圧センサ13が配設されており、大気圧Pa、吸気温度Taに対応する信号をそれぞれ出力する。さらに、吸気管6の入口近傍には、カルマン渦式のエアフローセンサ11が配設されており、一吸気行程当たりの体積空気流量Qaに比例した渦発生信号を出力する。
【0027】
また、前述したEGRポートは、大径のEGRパイプ10bを介して、スロットル弁7の下流、且つ、吸気マニホールド2の上流に接続されており、その管路にはステッパモータ式のEGR弁10aが配設されている。
一方、排気ポート3aには、O2センサ17が取付けられた排気マニホールド3が接続されており、さらに、排気浄化用触媒としての触媒コンバータ9や図示しないマフラー等を備えた排気パイプ3bが接続されている。O2センサ17は排ガス中の酸素濃度を検出して検出信号を出力するものである。また、触媒コンバータ9の下流側部分には、触媒若しくはその近傍の温度、つまり触媒温度Tccを検出する触媒温度センサ26が取り付けられている。
【0028】
即ち、燃焼室1aから排気マニホールド3に排出された排ガスは、触媒コンバータ9で排ガス中のCO,HC,NOxの3つの有害成分が浄化された後、マフラで消音されて大気側へ放出されるようになっている。特に、本エンジン1は、空燃比を燃料希薄側(リーン側)にしながら節約運転を行なえるエンジンであり、このリーン燃焼運転時には、通常の三元触媒だけでは排ガス中のNOxを充分に浄化できないため、触媒コンバータ9は、リーンNOx触媒9aと三元触媒9bとを組み合わせたものになっている。詳しくは、リーンNOx触媒9aの下流に、理論空燃比下で排出ガス中のCO,HC及びNOxを浄化可能な三元機能を有する三元触媒9bを備えるようにしている。つまり、三元触媒9bをリーンNOx触媒9aの上流に配置してリーンNOx触媒9aでのNOx浄化を妨げることがないようにしながら、リーンNOx触媒では充分に浄化できなかったCOやHCを確実に浄化するようにしている。なお、リーンNOx触媒が三元機能をも併せて有する場合にはリーンNOx触媒を1つだけ配置するようにしてもよい。
【0029】
車体後部には、図示しない燃料タンクが設置されている。そして、燃料タンクに貯留された燃料は、電動式の低圧燃料ポンプで吸い上げられ、低圧フィードパイプを介して、エンジン1側に送給される。エンジン1側に送給された燃料は、シリンダヘッドに取り付けられた高圧燃料ポンプ(これらは図示されない)により、高圧フィードパイプとデリバリパイプとを介して、各燃料噴射弁8に送給される。
【0030】
車室内には、電子制御ユニット(ECU)23が設置されており、このECU23は、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM,不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備え、エンジン1の総合的な制御を行っている。
ECU23の入力側には、作動時にエンジン1の負荷となるエアコン装置、パワーステアリング装置、自動変速装置等の作動状況を検出するスイッチ類等がそれぞれ接続され、各検出信号が供給される。なお、ECU23の入力側には、上述した各種のセンサ類やスイッチ類の他に、図示しない多数のスイッチやセンサ類が入力側に接続されており、出力側にも各種警告灯や多数の機器類等が接続されている。
【0031】
ECU23は、上述した各種センサ類及びスイッチ類からの入力信号に基づき、燃料噴射モードや燃料噴射量を始めとして、燃料噴射終了時期、点火時期やEGRガスの導入量等を決定し、燃料噴射弁8、点火コイル34、EGR弁10a等を駆動制御する。
以下、上記のように構成された筒内噴射ガソリンエンジンの制御装置におけるエンジン1の通常制御、即ち、排気昇温が要求されておらず、後述の排気昇温制御を行わない場合の制御について簡単に説明する。
【0032】
冷機時のエンジン始動にあっては、ECU23は、吸気行程噴射モードを選択し、比較的リッチな空燃比となるように燃料を噴射する。このとき、ECU23は、始動時にはABV50を閉鎖するため、燃焼室1aへの吸入空気はスロットル弁7の隙間やアイドル調整弁16から供給される。
そして、始動後冷却水温TWが所定値に上昇するまでは、ECU23は、始動時と同様に吸気行程噴射モードを選択して燃料を噴射するとともに、ABV50も継続して閉鎖する。また、エアコン等の補機類の負荷の増減に応じたアイドル回転数の制御は、吸気管噴射型と同様にアイドル調整弁16(必要に応じてABV50も開弁される)によって行われる。さらに、所定サイクルが経過してO2センサ17が活性温度に達すると、ECU23は、O2センサ17の出力電圧に応じて空燃比フィードバック制御を開始し、有害排出ガス成分を触媒コンバータ9により浄化させる。このように、冷機時においては、吸気管噴射型と略同様の燃料噴射制御が行われる。
【0033】
エンジン1の暖機が終了すると、ECU23は、スロットル開度θth等から得た目標平均有効圧(目標負荷)Peとエンジン回転速度Neとに基づき、図2の燃料噴射制御マップからエンジン1の現在の燃料噴射制御領域を検索し、燃料噴射モードと燃料噴射量とを決定して燃料噴射弁8を駆動するとともにABV50やEGR弁45の開弁制御等も行う。
【0034】
例えば、アイドル運転時等の低負荷・低回転運転時には、運転領域は図2中斜線で示す圧縮行程噴射リーン域となり、ECU23は、圧縮行程噴射モードを選択するとともにABV50及びEGR弁10aを運転状態に応じて開弁し、リーンな空燃比(ここでは、20〜40程度)となるように燃料を噴射する。
この場合、吸気ポート2aから流入した吸気流は燃焼室1a内で逆タンブル流を形成するため、噴射された燃料噴霧は拡散することなくピストン1bのキャビティ1c内に略保存される。その結果、点火時点において点火プラグ35の周囲には理論空燃比近傍の混合気が形成されることになり、全体として極めてリーンな空燃比(例えば、全体空燃比で50程度)でも着火が可能となる。これにより、COやHCの排出が極く少量になるとともに、排ガスの還流によってNOxの排出量も低く抑えられる。さらに、ABV50及びEGR弁10aを開弁することによるポンピングロスの低減も相俟って燃費が大幅に向上する。また、ここでは、負荷の増減に応じたアイドル回転数の制御は燃料噴射量の増減によって行われるため、制御応答性も非常に高くなる。
【0035】
また、低中速走行時には、その負荷状態やエンジン回転速度Neに応じて、運転領域は図2中の吸気行程リーン域あるいはストイキオフィードバック域(理論空燃比フィードバック制御域、以下S−F/B域という)となるため、ECU23は、吸気行程噴射モードを選択するとともに、所定の空燃比となるように燃料を噴射する。
【0036】
即ち、吸気行程リーン域では、比較的リーンな空燃比(例えば、20〜23程度)となるようにABV50の開弁量と燃料噴射量とを制御し、S−F/B域では、ABV50とEGR弁10aとを開閉制御するとともに(但し、EGR弁10aの開閉制御はS−F/B域の特定の領域のみで行われる)、O2センサ17の出力電圧に応じて空燃比フィードバック制御を行う。
【0037】
また、急加速時や高速走行時には、運転領域は図2中のオープンループ域となり、ECU23は、吸気行程噴射モードを選択するとともにABV50を閉鎖し、スロットル開度θthやエンジン回転速度Ne等に応じて、比較的リッチな空燃比となるように燃料を噴射する。
さらに、中高速走行中の惰行運転時等には、運転領域は図2中の燃料カット域となるため、ECU23は、燃料噴射を完全に停止する。なお、燃料カットは、エンジン回転速度Neが復帰回転速度より低下した場合や、運転者がアクセルペダルを踏み込んだ場合には即座に中止される。
【0038】
次に、本発明に係る排気昇温装置の制御手順について説明する。ここでは、実施例1及び実施例2について説明する。なお、この排気昇温制御は、上述した通常制御の実施に拘わらず排気昇温の要求に応じて適宜実施されるものである。
先ず、実施例1について説明する。
図3を参照すると、ECU23が実行する排気昇温制御のメインルーチンのフローチャートが示されており、以下同図を参照して説明する。なお、当該ルーチンは、上述した通常制御が実行されている間、クランク角センサ21からクランク角信号SGTが出力される毎に繰り返し実行される。
【0039】
先ず、ステップS10では、触媒温度Tcc、冷却水温Tw、吸入空気流量Qa、スロットル開度θth、エンジン回転速度Ne、大気圧Pa、吸気温Ta等の各種エンジン運転状態量を読み込む。
次のステップS12及びステップS18乃至ステップS22は、排気昇温制御の実施判別を行うステップであり、これらの各ステップの全ての条件が成立することで排気昇温制御が開始される。
【0040】
ステップS12では、運転領域が圧縮行程噴射リーン域或いは吸気行程リーン域のようなリーン燃焼運転域にあって且つスロットル開度θthの変化が小さく車両が定常走行状態にあり、層状燃焼または予混合リーン燃焼が行われているか否かを判別する。つまり、運転状態がリーン燃焼運転状態であるか否かを判別する。判別結果が偽(No)で、運転領域がリーン燃焼運転域ではなく、またスロットル開度θthの変化が大きく層状燃焼或いは予混合リーン燃焼が行われていないと判定される場合、即ち予混合燃焼(理論空燃比近傍での運転)である場合には、次にステップS14に進み、上述の通常制御、即ち各運転領域での通常の燃料噴射制御及び通常の点火時期制御を実施する。
【0041】
そして、ステップS16では、後述のタイマTMを値0にリセットする。
上記ステップS12の判別結果が真(Yes)で、運転領域が圧縮行程噴射リーン域或いは吸気行程リーン域のようなリーン燃焼運転域にあり、且つスロットル開度θthの変化が小さく車両が定常走行状態にあって層状燃焼または予混合リーン燃焼が行われていると判定される場合には、排気昇温制御が必要な状況とみなし、次にステップS18に進む。
【0042】
即ち、空燃比がリーン空燃比(例えば、20〜40程度)であるようなときには、上述したように燃焼による熱の発生が元来少なく、故にこのようなリーン燃焼運転状態であって、特に層状燃焼状態であるときには排気温度Texは低いままに保持されることになり、従って、このような場合にあっては、触媒コンバータ9の触媒温度Tccが触媒機能を維持する活性下限温度T1(例えば、400℃)未満となる虞があると判定し、排気昇温制御を実施すべく次にステップS18に進むのである。
【0043】
ステップS18では、スロットル開度θthが一定で所定時間経過したか否を判別する。即ち、ここでは、リーン燃焼運転状態であり且つスロットル開度θthが変化なく一定であって、触媒コンバータ9の触媒温度Tccがより低下し易い状況であるか否かを判別する。判別結果が偽の場合には、上記ステップS14に進んで上述の通常制御を実施する。
【0044】
一方、ステップS18の判別結果が真で、スロットル開度θthが一定のままに所定時間経過したと判定された場合、例えば、運転領域が圧縮行程噴射リーン域にあってアイドル運転が所定時間継続されているような場合には、排気昇温制御が必要な状況とみなし、次にステップS20に進む。
ステップS20では、排気昇温制御の開始と同時に経時を開始する後述のタイマTMの計時時間が所定時間TM1未満であるか否かを判別する。排気昇温制御が一旦実施され、当該ステップS20の判別結果が偽でタイマTMの計時時間が所定時間TM1に達していると判定された場合には、上記ステップS14に進んでやはり上述の通常制御を実施する。
【0045】
一方、ステップS20の判別結果が真で、排気昇温制御が一旦実施された後それほど時間が経過しておらずタイマTMの計時時間が所定時間TM1未満である場合、或いは上記ステップS16の実行によりタイマTMが値0にリセットされている場合には、次にステップS22に進む。
ステップS22では、触媒コンバータ9が活性状態にあるか否かを判別する。即ち、触媒コンバータ9の触媒温度Tccが上記活性下限温度T1(例えば、400℃)以上であるか否かを判別する。判別結果が真で触媒温度Tccが活性下限温度T1(例えば、400℃)以上である場合には、排気昇温制御を実施する必要はなく、この場合には、上記ステップS14に進んで上述の通常制御を実施する。
【0046】
一方、ステップS22の判別結果が偽である場合には、排気昇温制御が必要な条件が成立するので、次にステップS24に進み、排気昇温制御を実施する。
このとき、排気昇温制御が実施される前の運転状態が圧縮行程噴射モード(層状燃焼)であれば、トルク段差が生じないようにしながら燃料噴射量、燃料噴射時期及び点火時期等を排気昇温制御用の設定に切換え、吸気行程噴射モード(予混合リーン燃焼)の場合は、トルク段差が生じないようにしながら燃料噴射量、燃料噴射時期及び点火時期等を圧縮行程噴射モードに切換える。また、通常は、ABV50等の開度は、排気昇温制御前の通常制御時と排気昇温制御時とで略一定とし、特に開閉制御は行わないものとする。
【0047】
ステップS24の排気昇温制御では、図4の排気昇温制御ルーチンが実行される。以下、図4に沿って排気昇温制御について説明する。なお、排気昇温制御では、燃料噴射は上記通常制御の圧縮行程噴射モードの場合と同様に圧縮行程において実施される。
ステップS30では、燃料噴射時期(エンジン制御パラメータ)が通常制御の場合に対してリタード(遅延)設定される(エンジン制御手段)。つまり、ここでは、通常制御時の圧縮行程噴射モードにおいて例えば57°BTDCとされた燃料噴射時期を20°BTDC〜TDCと大きくリタードする。ここに、燃料噴射時期は、望ましくは15°BTDC〜5°BTDCとされるのがよい。
【0048】
また、ステップS32において、燃料噴射量がピストン1bのキャビティ1c内において局所的にリッチとなるように設定される(燃料噴射制御手段)。即ち、上記圧縮行程噴射モードの場合にあってはキャビティ1c内の空燃比が局所的に理論空燃比近傍となるようにされるのであるが、ここでは、キャビティ1c内の空燃比がリッチ(例えば、8〜10程度)となるよう燃料噴射量を設定する。また、このとき、全体空燃比は理論空燃比或いは若干リーンな空燃比(例えば、14〜18程度)とされる。
【0049】
さらに、次のステップS34では、点火時期(エンジン制御パラメータ)が上記燃料噴射時期と同様に通常制御の場合に対してリタード(遅延)設定される(エンジン制御手段)。つまり、ここでは、通常制御時の圧縮行程噴射モードにおいて例えば20°BTDC〜25°BTDCとされた点火時期を上記燃料噴射時期に応じて15°BTDC〜5°ATDCと大きくリタードする。ここに、点火時期は、望ましくは燃料噴射時期に応じて10°BTDC〜TDCとされるのがよい。
【0050】
そして、次のステップS36において、上記設定された燃料噴射時期、燃料噴射量に基づいて燃料噴射を行い、ステップS38において、上記設定された点火時期の設定に基づいて点火を行う。
ここで、図5を参照すると、上記排気昇温制御を行った場合の燃焼室1a内の様子が時系列的に(a)乃至(d)に示されており、以下、同図に基づき排気昇温制御の作用を説明する。
【0051】
先ず、図(a)に示されるように、圧縮行程において、燃料が燃料噴射弁8によって通常よりも多く、即ち局所空燃比がリッチ(例えば、8〜10程度)となるよう噴射される。このとき、燃料噴射時期は上述したように20°BTDC〜TDCとリタードされるため、ピストン1bは通常のピストン位置(破線)よりも上昇した位置とされている。
【0052】
そして、図(b)に示されるように、15°BTDC〜5°ATDCにおいて点火が実施される。
ところで、通常であれば、燃料噴射時期(57°BTDC)と点火時期(20°BTDC〜25°BTDC)とのクランク角差は32°〜37°であり、点火が実施されるときには燃料噴霧は点火プラグ35に達しているのであるが、当該排気昇温制御を行った場合には、燃料噴射時期(20°BTDC〜TDC)と燃料噴射時期に応じた点火時期(15°BTDC〜5°ATDC)とのクランク角差は5°とされ、同図に示すように、点火が実施される時点で燃料噴霧の先端がようやく点火プラグ35に到達する程度にされている。これは、即ち、点火プラグ35周りの空燃比が完全にリッチ状態とされたときに点火が行われても、空気量が少ないことから燃料に良好に着火しない一方、このように燃料噴霧の先端が点火プラグ35に到達した時点で点火を行うようにすると点火プラグ35周りには充分に空気があることから良好に着火し燃焼が開始されるためである。
【0053】
このように燃焼が開始されると、燃料噴霧の先端の燃焼火炎は、図(c)に示すように、キャビティ1c内の燃料噴霧とO2との熱炎反応により火炎伝搬し、燃焼ガスが膨張を開始する。しかしながら、この時点では、キャビティ1c内の空燃比は局所的にリッチ(例えば、8〜10程度)とされているため、燃焼に充分なだけのO2がなく、故に燃料噴霧の一部は、オーバリッチ状態となって不完全燃焼し、HC、CO等の不完全燃焼物とされる。
【0054】
そして、燃焼ガスの膨張によりピストン1bが押し下げられることになるが、このとき、上記不完全燃焼により発生したHC、CO等の不完全燃焼物は、図(d)に示すように、燃焼室1a内でキャビティ1c内から周囲に拡散することになる。
ところで、この時点では、キャビティ1c内以外の燃焼室1a内には、吸気行程で吸気した空気が存在しており、故に、上記不完全燃焼物は、この空気中のO2と良好に反応して再燃焼が実施される。この不完全燃焼物の再燃焼は、膨脹行程により燃焼室1a内の圧力が低下していくため、急激には進展せず比較的緩慢なものとなり、故に膨張仕事には殆ど寄与することはない。しかしながら、一方でその燃焼は排気行程に移行するまで緩やかに継続されることになる。
【0055】
ここで、図6を参照すると、膨脹行程におけるTDC近傍からのクランク角変化と熱発生率との関係がグラフで示されており、図中実線が上記排気昇温制御を行った場合の熱発生率を、一点鎖線が圧縮行程噴射モードで通常制御を行った場合の熱発生率を示している。
同図から明らかなように、排気昇温制御を行った場合(実線)には、通常制御を行った場合(一点鎖線)に比べて点火時の燃焼が緩慢である一方、膨張行程中は熱発生率が高い状態に保持される。
【0056】
従って、排気温度Texを温度T2(例えば、800℃程度)まで良好に上昇させることができ、触媒コンバータ9を速やかに加熱して早期に活性化させることが可能となる。
このようにして排気昇温制御が開始されたら、図3のステップS26において上記タイマTMをセットし、排気昇温制御が実施されてからの経過時間を計時する。
【0057】
そして、上記ステップS20での判別結果が偽、即ちタイマTMの計時時間が所定時間(所定期間)TM1に達したと判定され、或いは、ステップS22の判別結果が真とされ触媒コンバータ9が活性状態(活性化温度)になったと判定されると、排気昇温制御は終了することになり、ステップS16においてタイマTMは値0にリセットされる。
【0058】
次に、実施例2について説明する。
実施例2では、排気昇温制御の部分だけが上記実施例1と異なるため、ここでは排気昇温制御についてのみ説明する。
この実施例2では、排気昇温制御時において、圧縮行程での燃料噴射(以下、主噴射という)の他に吸気行程でも燃料の一部を先行して噴射(以下、吸気行程先行噴射という)するようにしており、つまり、ここでは、上記実施例1の1段噴射に対し吸気行程先行噴射と主噴射との2段噴射を実施するようにしている(燃料噴射制御手段)。
【0059】
図7を参照すると、実施例2における排気昇温制御ルーチンが示されており、以下、図7に沿って説明する。
ステップS40及びステップS42では、上記実施例1の場合と同様にして、主噴射の燃料噴射時期が通常制御の場合に対してリタード設定され、また主噴射の燃料噴射量が、やはりピストン1bのキャビティ1c内において局所的にリッチ(例えば、8〜10程度)となるように設定される。
【0060】
次のステップS44では、吸気行程先行噴射の燃料噴射時期と燃料噴射量とが設定される。吸気行程先行噴射の燃料噴射時期は、燃料噴射量が少なく燃料が短時間で霧化するため圧縮行程の初期であってもよい。望ましくは、当該燃料噴射時期は、吸気行程の初期に設定されるのがよく、ここでは、例えば320°BTDCとされる。
【0061】
また、吸気行程先行噴射の燃料噴射量は、1サイクル中における全燃料噴射量(噴射すべき燃料の総量)の10%〜40%に設定される。
ここで、図8を参照すると、吸気行程先行噴射時の全燃料噴射量に対する燃料比率と排気温度Texとの関係がグラフで示されており、また、図9を参照すると、上記吸気行程先行噴射時の燃料比率と排気ポート3aからの未燃炭化水素THC(Total Hydrocarbon)の排出量との関係がグラフで示されている。これらのグラフより、吸気行程先行噴射の燃料噴射量が上記10%〜40%の範囲に設定されると、排気温度Texを上記実施例1の場合に達成される温度T2(例えば、800℃程度)よりも大きくしながら、有害物質である未燃炭化水素THCの大気中への排出量を比較的小さく抑えることが可能であることがわかる。従って、ここでは、吸気行程先行噴射の燃料噴射量を全燃料噴射量の10%〜40%に設定するようにするのである。
【0062】
また、同図を参照すると、燃料比率が20%近傍であるときにおいて、排気温度Texが最大とされ、未燃炭化水素THCの排出量が最小に抑えられている。従って、吸気行程先行噴射の燃料比率は、望ましくは全燃料噴射量の20%程度であるのがよい。
次のステップS46では、上記実施例1の場合と同様にして、点火時期が通常制御の場合に対してリタード設定される。
【0063】
そして、ステップS48において、先ず吸気行程先行噴射が実施される。
ここで、図10を参照すると、吸気行程において上記吸気行程先行噴射が実施された場合の吸気行程から圧縮行程初期にかけての燃焼室1a内の様子が時系列的に(e)乃至(g)に示されており、以下、同図に基づき吸気行程先行噴射による作用を説明する。
【0064】
先ず、図(e)に示されるように、吸気行程の320°BTDCにおいて、上述したように全燃料噴射量の10%〜40%の燃料が噴射される。
そして、このように吸気行程先行噴射された燃料は、図(f)に示すように、ピストン1bの下降に応じて吸気による慣性気流(タンブル流)とともに燃焼室1a内で拡散される。このとき、この吸気行程先行噴射された燃料は、ピストン1bの上昇による圧縮や主燃焼からの熱を受け、燃焼直前状態の連鎖反応を推し進めるのに有効な活性な化学反応種(例えば、CHO、H2O2、OH等)、即ち前炎反応生成物を形成する。
【0065】
そして、この前炎反応生成物が燃焼室1a内に充満した状態で、図(g)に示すように、圧縮行程に移行してピストン1bが上昇することになる。
このようにピストン1bが上昇すると、図7のステップS50において主燃料が噴射され、ステップS52において点火が行われることになるが、このときの燃焼室1a内の様子は上記実施例1において図5(c)に基づき説明した通りである。そして、図5(d)に示すように、ピストン1bの下降に伴い、不完全燃焼物が燃焼室1a内でキャビティ1c内から周囲に拡散する。このとき、燃焼室1a内には、上述したとおり、前炎反応生成物が浮遊しているため、この前炎反応生成物が着火誘導剤の役割を果たすことになり、実施例1の場合よりも不完全燃焼物の燃焼が助けられて再燃焼が継続する。
【0066】
以上のようにして、当該実施例2では、吸気行程先行噴射と主噴射の2段噴射がそれぞれ吸気行程、圧縮行程で実施されるのであるが、以下、吸気行程先行噴射を行ったことによる効果をより詳しく説明する。
図11を参照すると、先の図6と同様のグラフが示されており、同図中には、実施例2の2段噴射での排気昇温制御を行った場合の熱発生率が点線で示されている。さらに同図には、併せて上記実施例1の排気昇温制御を行った場合の熱発生率が実線で、圧縮行程噴射モードで通常制御を行った場合の熱発生率が一点鎖線で示されている。
【0067】
同図から明らかなように、2段噴射による排気昇温制御を行った実施例2の場合(点線)には、実施例1の場合(実線)に比べて熱発生率が膨張行程で全体的に高くなっている。これは、即ち、不完全燃焼により発生したHC、CO等の不完全燃焼物が、燃焼室1a内でキャビティ1c内から周囲に拡散してO2と反応し再燃焼が実施されるのであるが(図5(d)参照)、当該実施例2の場合にあっては、燃焼室1a内に吸気行程先行噴射による前炎反応生成物が存在しており、故にこの前炎反応生成物が上述したように着火誘導剤の役割を果たすことになり、不完全燃焼物の再燃焼がO2の存在のみの場合よりも良好に促進されるためである。
【0068】
これにより、実施例1では温度T2(例えば、800℃程度)まで上昇可能とされた排気温度Texをさらに上昇させることができる。
つまり、図12を参照すると、通常制御、1段噴射(実施例1の場合)、2段噴射(実施例2の場合)のそれぞれにおける排気温度Texを比較して示してあるが、同図から明らかなように、通常制御時にあっては、排気温度Texをせいぜい活性下限温度T1(例えば、400℃)程度にしかできないのに対し、実施例1の場合には温度T2(例えば、800℃程度)にでき、実施例2の場合にはさらに温度を上げて温度T3(例えば、900℃程度)と大きなものとすることができるのである。これにより、触媒コンバータ9をより一層速やかに加熱してより早期に活性化させることが可能となる。
【0069】
また、図13を参照すると、通常制御、1段噴射(実施例1の場合)、2段噴射(実施例2の場合)のそれぞれにおける上記未燃炭化水素THCの排出量が参考までに示してあるが、同図に示すように、通常制御の場合よりも実施例1における1段噴射の方が未燃炭化水素THCの排出量は抑えられており、実施例2のように2段噴射を行った場合には、さらに小さく抑えられている。これにより、上記排気昇温制御中、即ち触媒コンバータ9が活性化されていない状態のときにおける有害物質の大気中への放散が好適に防止されることになる。特に実施例2のように2段噴射を行った場合には、有害物質の発散防止効果は大きいものとされる。
【0070】
以上、説明したように、本発明の排気昇温装置では、筒内噴射ガソリンエンジンの制御装置において、触媒コンバータ9の温度Tccが下がり触媒機能が低下したときには、圧縮行程で燃料を多く噴射してピストン1bのキャビティ1c内にリッチ(例えば、8〜10程度)な空燃比の燃料噴霧を形成させ、このリッチ燃焼により発生した不完全燃焼物(HC、CO等)を膨脹行程でキャビティ1c内以外の燃焼室1a内の空気中のO2と緩慢に反応させて排気温度Texを通常制御時よりも上昇させるようにしている。
【0071】
従って、従来のように膨張行程の早い時期に追加燃料を噴射して燃焼させたときに発生したような熱エネルギの膨張仕事への寄与を好適に防止しながら、且つ燃費の悪化を防止しながら、触媒コンバータ9を良好に加熱して確実に活性化させることができる。
なお、本実施例では、通常制御から排気昇温制御への変更の際、ABV50、即ち空気量調節手段を特に変化させず、吸入空気量を略一定の状態に保持して切換えることを前提としているが、排気昇温制御開始時にABV50の開度を開制御し、吸入空気量を積極的に増大させるとともに燃料噴射量も増量して排気昇温効果をさらに得るようにしてもよい。この際、排気昇温制御移行時にトルク段差が生じないように燃料噴射時期や点火時期等のエンジン制御パラメータを制御することはいうまでもない。また、本実施例では、ABV50を空気量調節手段としているが、電気的にスロットル弁を制御する電子スロットル弁を用いた場合には、この電子スロットル弁を空気量調節手段とし、当該電子スロットル弁の開度を排気昇温制御時に変化させるようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施例では、タンブル流を利用した筒内噴射ガソリンエンジンについて説明したが、スワール流を利用した筒内噴射ガソリンエンジンにも適用できる。即ち、エンジンは、少なくとも圧縮行程時に燃料噴射弁より燃料を噴射した後火花点火して層状燃焼を行わせることの可能なエンジンであればいかなるエンジンであってもよい。
【0073】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1の排気昇温装置によれば、排気昇温のための燃焼(再燃焼)を膨張仕事で使用してしまうことなく排気温度を上昇させることが可能となり、全体空燃比を略理論空燃比或いは理論空燃比よりも若干リーンな空燃比として燃費の悪化を防止しながら、触媒を速やかに加熱し早期に活性化させることができる。
【0074】
また、請求項2の排気昇温装置によれば、点火プラグの周りに局所的に生成するリッチ混合気の空燃比を8〜10程度の適当なものとすることで、必要十分な量の不完全燃焼が生成されて再燃焼が良好なものとされ、排気温度を好適に上昇させて触媒を良好に加熱し活性化させることができる。
また、請求項3の排気昇温装置によれば、燃焼室内の全体空燃比を14〜18程度となるように制御することで、全体空燃比を略理論空燃比或いは理論空燃比よりも若干リーンな空燃比として燃費の悪化を防止しながら、排気温度を好適に上昇させて触媒を良好に加熱し活性化させることができる。
【0075】
また、請求項4の排気昇温装置によれば、排気昇温が過不足なく十分な期間に亘って実施されることになり、不要な排気昇温による燃費の悪化を防止しながら、触媒を良好に加熱し確実に活性化させることができる。
また、請求項5の排気昇温装置によれば、主燃焼後、膨脹行程において不完全燃焼物がピストンの下降に伴い燃焼室内で周囲に拡散したとき、先行して噴射された燃料が前炎反応生成物に変化し、この前炎反応生成物が着火誘導剤として機能することで、不完全燃焼物をO2と極めて良好に反応させ再燃焼させることができ、排気温度をさらに高いものにして触媒をより早期に活性化させることができる。
【0076】
また、請求項6の排気昇温装置によれば、先行噴射による燃料量を、膨張仕事に寄与しない程度であって且つ前炎反応生成物が着火誘導剤としての役割を好適に果たし排気を昇温させることの可能な程度(内燃エンジンの一気筒1サイクルあたりに噴射すべき燃料の総量の10%〜40%の範囲)とすることで、排気昇温をより効果的に実施し触媒をさらに早期に活性化させることができる。
【0077】
また、請求項7の排気昇温装置によれば、圧縮行程時の燃料噴射時期を遅延させることにより、良好に排気温度を上昇させることが可能となり、触媒を速やかに加熱させ早期に活性化させることができる。
また、請求項8排気昇温装置によれば、燃焼を緩慢にでき、効果的に排気昇温を実施することができる。
【0078】
また、請求項9排気昇温装置によれば、排気昇温のための燃焼(再燃焼)を膨張仕事で使用してしまうことなく排気温度を上昇させることが可能となり、また排気昇温が過不足なく十分な期間に亘って実施されることになり、不要な排気昇温による燃費の悪化を防止しながら、触媒を速やかに加熱し早期且つ確実に活性化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排気昇温装置を含むエンジン制御装置の概略構成図である。
【図2】通常運転時の燃料噴射制御マップを示す図である。
【図3】実施例1の排気昇温装置の昇温制御のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図4】実施例1の排気昇温制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】実施例1の排気昇温制御を行った場合の燃焼室内の様子を時系列的に示した図であって、実施例1の排気昇温制御の作用を説明する図である。
【図6】実施例1の実施結果を示し、膨脹行程におけるTDC近傍からのクランク角変化と熱発生率との関係を示すグラフである。
【図7】実施例2の排気昇温制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】実施例2における吸気行程先行噴射時の全燃料噴射量に対する燃料比率と排気温度Texとの関係を示すグラフである。
【図9】実施例2における吸気行程先行噴射時の燃料比率と排気ポートからの未燃炭化水素THCの排出量との関係を示すグラフである。
【図10】実施例2の吸気行程先行噴射を行った場合の燃焼室内の様子を時系列的に示した図である。
【図11】実施例2の実施結果を示し、膨脹行程におけるTDC近傍からのクランク角変化と熱発生率との関係を示すグラフである。
【図12】通常制御、実施例1の1段噴射、実施例2の2段噴射のそれぞれにおける排気温度Texを比較して示した図である。
【図13】通常制御、実施例1の1段噴射、実施例2の2段噴射のそれぞれにおける未燃炭化水素THCの排出量を示した図である。
【符号の説明】
1 筒内噴射型火花点火式内燃エンジン
1a 燃焼室
1b ピストン
1c キャビティ
8 燃料噴射弁
9 触媒コンバータ
9a リーンNOx触媒
9b 三元触媒
21 クランク角センサ
23 電子制御ユニット(ECU)
26 触媒温度センサ
35 点火プラグ
50 エアバイパスバルブ(ABV)
Claims (9)
- 燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、少なくとも圧縮行程時に該燃料噴射弁より燃料噴射し火花点火して層状燃焼させる筒内噴射型内燃エンジンの排気昇温装置において、
排気昇温が要求されるエンジン運転時に、点火プラグの周りにリッチ混合気を局所的に生成する量の燃料を前記エンジンの圧縮行程で噴射するよう前記燃料噴射弁を制御する燃料噴射制御手段と、
前記燃料噴射制御手段の作動時に、前記圧縮行程で噴射された燃料が火花点火により着火燃焼するとともに、該着火燃焼した燃料の一部が不完全燃焼し不完全燃焼物とされ、該不完全燃焼物が筒内流動に伴い筒内の余剰酸素と混合し再燃焼するようにエンジン制御パラメータを制御するエンジン制御手段とを備え、
前記燃料噴射制御手段は、前記燃焼室内の全体空燃比が略理論空燃比或いは理論空燃比よりも若干リーンな空燃比となるように前記燃料噴射弁を制御することを特徴とする排気昇温装置。 - 前記燃料噴射制御手段は、前記点火プラグの周りに局所的に生成するリッチ混合気の空燃比が8〜10程度となるように前記エンジンの圧縮行程で噴射する燃料量を制御することを特徴とする、請求項1記載の排気昇温装置。
- 前記燃料噴射制御手段は、前記燃焼室内の全体空燃比が14〜18程度となるように前記エンジンの圧縮行程で噴射する燃料量を制御することを特徴とする、請求項1記載の排気昇温装置。
- 前記燃料噴射制御手段と前記エンジン制御手段は、排気昇温が要求されるエンジン運転を検出した後、所定期間が経過するまで或いは前記エンジンの排気通路に設けられた触媒が活性化温度に達するまで、それぞれ前記点火プラグの周りにリッチ混合気を局所的に生成する量の燃料を前記エンジンの圧縮行程で噴射するよう前記燃料噴射弁を制御し続けるとともに前記不完全燃焼物が筒内流動に伴い筒内の余剰酸素と混合し再燃焼するようにエンジン制御パラメータを制御し続けることを特徴とする、請求項1記載の排気昇温装置。
- 前記燃料噴射制御手段は、燃料の一部を吸気行程の初期から前記圧縮行程の初期までの間に、前記圧縮行程の前記点火プラグの周りにリッチ混合気を局所的に生成するための燃料噴射に先行して噴射するよう前記燃料噴射弁を制御することを特徴とする、請求項1記載の排気昇温装置。
- 前記先行して噴射すべき燃料の量は、前記エンジンの一気筒1サイクルあたりに噴射すべき燃料の総量の10%〜40%に設定されることを特徴とする、請求項5記載の排気昇温装置。
- 前記エンジン制御手段は、前記燃料噴射制御手段による前記燃料噴射弁の制御が行われているとき、エンジン制御パラメータとしての燃料噴射時期を、排気昇温が要求されていないエンジン運転時の圧縮行程の燃料噴射時期よりも遅延させることを特徴とする、請求項1記載の排気昇温装置。
- 前記エンジン制御手段は、前記燃料噴射制御手段による前記燃料噴射弁の制御が行われているとき、エンジン制御パラメータとしての点火時期を、排気昇温が要求されていないエンジン運転時の点火時期よりも遅延させることを特徴とする、請求項1記載の排気昇温装置。
- 燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、少なくとも圧縮行程時に該燃料噴射弁より燃料噴射し火花点火して層状燃焼させる筒内噴射型内燃エンジンの排気昇温装置において、
排気昇温が要求されるエンジン運転時に、点火プラグの周りにリッチ混合気を局所的に生成する量の燃料を前記エンジンの圧縮行程で噴射するよう前記燃料噴射弁を制御する燃料噴射制御手段と、
前記燃料噴射制御手段の作動時に、前記圧縮行程で噴射された燃料が火花点火により着火燃焼するとともに、該着火燃焼した燃料の一部が不完全燃焼し不完全燃焼物とされ、該 不完全燃焼物が筒内流動に伴い筒内の余剰酸素と混合し再燃焼するようにエンジン制御パラメータを制御するエンジン制御手段とを備え、
前記燃料噴射制御手段と前記エンジン制御手段は、排気昇温が要求されるエンジン運転を検出した後、前記点火プラグの周りにリッチ混合気を局所的に生成するよう前記燃料噴射弁を制御し且つ前記不完全燃焼物が筒内の余剰酸素と混合し燃焼するようエンジン制御パラメータを制御する排気昇温制御の実施期間が所定期間経過したとき或いは前記エンジンの排気通路に設けられた触媒が活性化温度に達したとき、該排気昇温制御を終了するよう前記燃料噴射弁と前記エンジン制御パラメータをそれぞれ制御することを特徴とする排気昇温装置。
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