JP3736164B2 - 焼却炉の運転方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、廃棄物を焼却する焼却炉の運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
雑芥や廃油などの廃棄物の焼却に関しては、公害防止対策上種々の規制があり、特に近年では規制が厳しくなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この発明が解決しようとする課題は、廃棄物を短時間で完全に焼却でき、しかも有害燃焼排気物の排出を低減した焼却炉の運転方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、請求項1に記載の発明は、固形廃棄物を燃焼させる第一燃焼領域および前記固形破棄物から分離した可燃性ガスや燃料を燃焼させる第二燃焼領域を有する焼却炉の運転方法であって、前記第一燃焼領域および前記第二燃焼領域への空気の供給量のうち、少なくとも一方を調整し、少なくとも第一焼却段階と第二焼却段階とを含み、前記第二焼却段階では、前記第一燃焼領域2への空気の供給量を前記第一焼却段階より多くするとともに、前記第二燃焼領域3への空気の供給量を前記第一焼却段階より少なくし、前記第二焼却段階を、前記第一焼却段階を開始してから所定時間経過後に開始することを特徴としている。
【0005】
請求項2に記載の発明は、固形廃棄物を燃焼させる第一燃焼領域2および前記固形破棄物から分離した可燃性ガスや燃料を燃焼させる第二燃焼領域3を有する焼却炉の運転方法であって、前記第一燃焼領域2および前記第二燃焼領域3への空気の供給量のうち、少なくとも一方を調整し、少なくとも第一焼却段階と第二焼却段階とを含み、前記第二焼却段階では、前記第一燃焼領域2への空気の供給量を前記第一焼却段階より多くするとともに、前記第二燃焼領域3への空気の供給量を前記第一焼却段階より少なくし、前記第二焼却段階を、前記第一焼却段階を開始してから所定時間経過後であって、焼却炉出口の排ガス温度が所定温度以下となったとき開始することを特徴としている。
【0011】
【実施の形態】
この発明は、第一燃焼領域および第二燃焼領域を有する焼却炉において実施される。第一燃焼領域は、固形廃棄物自体を燃焼させる領域である。第二燃焼領域は、固形廃棄物から分離した可燃性ガスを燃焼させるほか、液体廃棄物(廃油,アルコール廃液など),燃料(液体燃料や気体燃料)などを燃焼させる領域である。
【0012】
この発明の焼却炉の運転方法では、前述の第一燃焼領域および第二燃焼領域への空気の供給量のうち、少なくとも一方を調整する。この運転方法によると、各燃焼領域における固形廃棄物,固形廃棄物から分離する可燃性ガス,燃料の燃焼状態(燃焼速度や燃焼温度など)に応じて空気の供給量を適切に調整できるため、各燃焼領域における燃焼状態を良好に保つことができる。
【0013】
さらに、この発明に係る焼却炉の運転方法は、少なくとも第一焼却段階と第二焼却段階とを行うものである。第一焼却段階は、第一燃焼領域で固形廃棄物の燃焼が始まったとき開始する。固形廃棄物の燃焼が始まると、この固形廃棄物からは、可燃性ガスが分離し始める。そこで、第一焼却段階においては、この可燃性ガスを燃焼させ得る量の空気を第二燃焼領域へ供給し、第二燃焼領域に流入する前述の可燃性ガスを完全燃焼させる。そして、第一燃焼領域において、固形廃棄物から分離する可燃性ガスが僅かになり(または無くなり)、固形廃棄物がほぼ燃え尽きるころ(ほぼ炭化した状態)には、この固形廃棄物はおき火燃焼状態となり、第一燃焼領域内の温度が低下し始める。そこで、第一焼却段階から第二焼却段階に移行し、第一燃焼領域への空気の供給量を第一焼却段階よりも多くし、第二燃焼領域への空気の供給量を第一焼却段階よりも少なくする。第二焼却段階において、第一燃焼領域への空気の供給量を増加すると、固形廃棄物の燃焼速度が高まるため、固形廃棄物は短時間で完全燃焼する。また、第二焼却段階においては、固形廃棄物からの可燃性ガスの量が僅か、または無くなっているため、第二燃焼領域への空気の供給量を減少させることにより、第二燃焼領域の温度低下を防止できる。
【0014】
以上のように、第一焼却段階と第二焼却段階とによって固形廃棄物の焼却を行うことにより、固形廃棄物を短時間で完全に焼却することができ、しかも有害燃焼排気物の排出を低減することができる。また、第一焼却段階を開始する前に、予熱段階を行う場合、第一燃焼領域や第二燃焼領域への空気の供給量を少なくする(または、無くする)と、焼却炉内の予熱時間を短縮でき、また充分な予熱が可能であるため、焼却時間を短縮できる。
【0015】
ここで、第一焼却段階における第一燃焼領域への空気の供給量および第二焼却段階における第二燃焼領域への空気の供給量は、0とする場合を含む。また、第二焼却段階において、第一燃焼領域への空気の供給量は、所定時間で固形廃棄物を完全に焼却するときに必要な単位時間当たりの空気量に基づいて求められるもので、このときに必要な単位時間当たりの空気量の数分の一から数十分の一(たとえば、1/5〜1/50)とする。また、第一焼却段階と第二焼却段階とにおける第一燃焼領域への空気の供給量の差と第二燃焼領域への空気の供給量の差をほぼ同じとすることもできる。ここで、第一燃焼領域には、第一焼却段階においても前述の第二焼却段階における空気の供給量の数分の一から十数分の一程度の空気を供給するのが好ましい。この理由は、第一焼却段階において若干の空気があると、前述の可燃性ガスの分離が促進されるためである。
【0016】
前述の第一焼却段階は、第一燃焼領域で固形廃棄物の燃焼が始まったとき開始するが、この固形廃棄物の燃焼の開始は、たとえば焼却炉出口(たとえば、各燃焼領域の下流側,煙道内,煙突内など)の排ガス温度に基づいて検出することができる。この焼却炉出口は、第一燃焼領域および第二燃焼領域からの排ガスが合流する箇所よりも下流側とする。
【0017】
一方、前述の第二焼却段階の開始は、焼却炉出口の排ガス温度に基づいて、たとえば排ガス温度が所定温度以下に低下したときに行う。また、第二焼却段階の開始は、第一焼却段階を開始してから所定時間経過後とすることもできる。これは、第一燃焼領域に収容される固形廃棄物の量から、焼却時間が見積もることができるためである。さらに、第二焼却段階の開始は、第一焼却段階を開始してから所定時間経過後、前述の排ガス温度が所定温度以下となったときとすることもできる。したがって、第一焼却段階や第二焼却段階の開始は、焼却炉出口の排ガス温度や第一焼却段階の開始からの時間に基づいて制御するため、特殊なセンサを用いること無く行うことができる。
【0018】
さらに、この発明の焼却炉の運転方法においては、前述の第一焼却段階と第二焼却段階を同時に切り替えるほか、第一焼却段階と第二焼却段階とをオーバーラップさせて切り替えることも、第一焼却段階と第二焼却段階との間隔を空けて切り替えるようにすることもできる。第一焼却段階と第二焼却段階とをオーバーラップさせて切り替える場合には、前述の第二焼却段階の開始時期を早める側において行う。
【0019】
さらに、この発明の焼却炉の運転方法においては、前述の第二焼却段階のみを行うようにすることもできる。すなわち、第二燃焼領域への空気の供給量を、焼却炉の運転中全体でほぼ一定に保ち、第一燃焼領域への空気の供給量を、固形廃棄物がおき火燃焼状態となってから増加させる。このように運転することにより、固形廃棄物のおき火燃焼状態になってからの燃焼速度を高めることができ、固形廃棄物の焼却時間を短縮できる。
【0020】
さらに、この発明の運転方法を実施する焼却炉は、以下のような構成のものを含む。まず、焼却炉内の一部の領域を第一燃焼領域とし、残りの領域を第二燃焼領域とした焼却炉や、第一燃焼領域および第二燃焼領域を隔壁などにより区画して形成した焼却炉である。第一燃焼領域および第二燃焼領域を区画して形成する場合は、各燃焼領域を独立した容器として構成した焼却炉を含む。第一燃焼領域および第二燃焼領域を区画して形成した焼却炉の場合には、両燃焼領域間を連通する連通路を設けた構成とする。
【0021】
前述の連通路は、第一燃焼領域の固形廃棄物から分離する可燃性ガスを第二燃焼領域に導入し燃焼させるためのもので、ロストルやダクトなどである。特に、焼却炉が、第二燃焼領域の上方に第一燃焼領域を配置し、これらの両燃焼領域を隔壁によって区画した構造の場合には、連通路をロストルとするのが好ましい。その理由は、固形廃棄物が燃焼しながらバラバラに崩れ、ロストルを介して第二燃焼領域に落下しながら完全燃焼するためである。また、第一燃焼領域と第二燃焼領域とが独立の容器として構成されている焼却炉の場合には、連通路をダクトとする。
【0022】
さらに、この焼却炉は、第二燃焼領域にバーナを設けたものである。このバーナは、前述の液体廃棄物や燃料を燃焼させるほか、前述の固形廃棄物から分離した可燃性ガスを燃焼させる。また、このバーナは、間接的または直接的に固形廃棄物に着火する機能を有するものである。すなわち、このバーナは、第一燃焼領域と第二燃焼領域との区画が無い場合には、両燃焼領域を加熱することにより、直接的に固形廃棄物に着火する。また、このバーナは、第一燃焼領域と第二燃焼領域とが区画されている場合には、第二燃焼領域を加熱した際の熱が連通路を介して第一燃焼領域に伝達されることにより、間接的に固形廃棄物に着火する。ここで、このバーナは、前述の液体廃棄物,燃料,可燃性ガスなどを燃焼させるためにのみ使用することも、固形廃棄物の着火のみに使用することもできる。さらに、固形廃棄物への着火のためのバーナを第一燃焼領域に設けることもできる。
【0023】
さらに、第二燃焼領域にバーナを備えた焼却炉の場合には、第一焼却段階における第二燃焼領域への空気の供給は、バーナへの空気量を調整することによって行うほか、バーナへの空気供給路から分岐させてバーナの周囲の所定箇所から供給するようにしたり、バーナへの空気供給路とは別系統で供給することによって行うこともできる。バーナとは別系統で供給する場合、空気の供給箇所は、第二燃焼領域内であれば限定されない。
【0024】
さらに、バーナの燃料としては、通常の液体燃料(灯油,軽油,重油など)や気体燃料(都市ガス,天然ガス,プロパンガス,水素ガスなど)を用いるほか、廃油やアルコール廃液などの可燃性廃液を使用することもでき、さらにこの可燃性廃液と前述の液体燃料とを混合して使用することもできる。
【0025】
【実施例】
以下、この発明に係る焼却炉の運転方法について、具体的な一実施例を説明する。図1は、この発明に係る焼却炉の運転方法の一実施例と、この実施例における焼却炉出口の排ガス温度の変化とを示す説明図、図2は、この発明を実施する焼却炉の一例を示す説明図、図3は、図2の III−III 線に沿う断面の説明図、図4は、図2のIV−IV線に沿う断面の説明図である。
【0026】
まず、図2〜図4を参照しながら、この発明を適用する焼却炉の一例について説明する。図面に示す焼却炉1は、その上部に第一燃焼領域としての第一燃焼室2を備え、その下部に第二燃焼領域としての第二燃焼室3を備えている。前記第一燃焼室2と前記第二燃焼室3との間は、隔壁4によって区画してある。
【0027】
前記第一燃焼室2の側面には、廃棄物投入口5を設けてある。また、前記第一燃焼室2の内部には、前記隔壁4の近くに空気噴出ノズル6を設けてある。すなわち、この空気噴出ノズル6は、前記第一燃焼室2の両側壁7に適宜の間隔で、所定数配置してある。前記各空気噴出ノズル6には、第一空気供給ライン8を接続してある。この第一空気供給ライン8には、空気供給量調整手段として、バルブ装置9とオリフィス装置10とを並列に接続してある。
【0028】
前記第二燃焼室3には、その一方の側面(図2の左側の側面)にバーナ11を配置してある。このバーナ11には、第二空気供給ライン12と燃料供給ライン13とを接続してある。前記第二空気供給ライン12には、空気供給量調整手段としてのダンパ装置14を設けてある。また、前記燃料供給ライン13は、この実施例では、燃料として廃油を供給する。
【0029】
前記隔壁4の前記バーナ11側の部分には、連通路としてのロストル15を形成し、前記第一燃焼室2と前記第二燃焼室3との間を部分的に連通させてある。
【0030】
さらに、前記第二燃焼室3の前記バーナ11に対向する側(図2の右側)には、煙道16を設けてある。この煙道16は、前記第二燃焼室3の端部にほぼ垂直方向に形成され、前記第一燃焼室2の一つの側壁17によって前記第一燃焼室2と区画されている。前記煙道16の終端には、排ガスの排出を促進するとともに冷却を行うためのエゼクタ装置18を設けてあり、このエゼクタ装置18を介して煙突(図示省略)が接続される。前記煙道16の下流側には、温度検出器19を設けてある。この温度検出器19の取付位置は、焼却炉出口近くとしてある。
【0031】
前記バルブ装置9,前記ダンパ装置14,前記温度検出器19は、制御装置20に接続してある。この制御装置20は、前記温度検出器19によって検出した排ガス温度に基づいて、前記バルブ装置9,前記ダンパ装置14を制御するものである。前記制御装置20は、前記焼却炉1を予熱する予熱段階のあと、第一焼却段階,第二焼却段階を実行することによって固形廃棄物を焼却する。以下、前記制御装置20の制御の内容を図1にしたがって説明する。
【0032】
まず、前記廃棄物投入口5を開き、前記第一燃焼室2内に固形廃棄物を収容する。このとき、生ゴミのような燃え難いものは、前記ロストル15上に置き、合成樹脂製品のような燃え易いものは隔壁4の奥側に置く。そして、前記廃棄物投入口5を閉じた後、前記第一空気供給ライン8から前記オリフィス装置10を介して前記各空気噴出ノズル6に空気を供給するとともに、前記第二空気供給ライン12から前記バーナ11に空気を供給する。前記第一燃焼室2に供給する空気の単位時間当たりの供給量は、固形廃棄物を完全に燃焼させるときに必要な単位時間当たりの空気の供給量の数十分の一程度の量である。この実施例においては、固形廃棄物の重量20kgに対して空気の供給量を10m3/hとしてある。一方、前記バーナ11への空気の単位時間当たりの供給量は、前記バーナ11へ供給される燃料に対してほぼ適正か若干多めの空気比となるように予め設定された量である。
【0033】
この状態で、前記燃料供給ライン13から前記バーナ11へ廃油を供給して着火し、予熱段階を開始する。この状態では、前記バーナ11のみの燃焼のため、後述する第一焼却段階よりも低空気比での燃焼となり、前記焼却炉1の予熱を短時間で行うことができる。
【0034】
前記バーナ11によって発生する熱は、前記ロストル15を介して輻射熱として、また対流熱として前記第一燃焼室2内に伝わる。すると、前記第一燃焼室2内の固形廃棄物が加熱されて、固形廃棄物から可燃性ガスが分離し始め、この分離の開始と前後して固形廃棄物の燃焼が始まる。そして、この可燃性ガスは、前記ロストル15を介して前記第二燃焼室3内に流入し、前記バーナ11の火炎によって燃焼する。以上のように固形廃棄物やこの固形廃棄物から分離した可燃性ガスが燃焼し始めると、この燃焼によって空気が消費されて空気比が低下することもあって、前記煙道16内での排ガス温度が急激に上昇する。この変化は、800℃近辺(750〜850℃)で発生する。
【0035】
この排ガスの温度変化は、前記温度検出器19によって監視されており、前記制御装置20は、前記煙道16内の排ガス温度が、所定温度(たとえば800℃)に達すると、第一焼却段階を開始する。この第一焼却段階の開始は、前記ダンパ装置14を開方向に作動させ、前記バーナ11への空気の供給量を増加させることによって行う。すると、前記第二燃焼室3内の空気比が高くなるため、燃焼温度は制限される。また、空気を十分供給しているため、固形廃棄物を含めて不完全燃焼は生じない。このとき、前記バーナ11への空気の供給量の増加分は、固形廃棄物からの可燃性ガスを燃焼させ得る量である。この実施例においては、この空気の供給量の増加分を42m3/hとしてある。
【0036】
この第一焼却段階では、前述したように、固形廃棄物は、空気の供給量が大幅に少ない状態で若干の火炎を伴いながら燃焼し、同時にこの固形廃棄物からは可燃性ガスが分離する。この可燃性ガスは前記ロストル15を介して前記第二燃焼室3内に流入し、前記バーナ11の火炎によって燃焼する。また、固形廃棄物は、前記第一燃焼室2内で燃焼中に小片に分解しながら前記ロストル15を介して前記第二燃焼室3内に落下する。そして、この固形廃棄物の小片は、前記第二燃焼室3内で落下しながら完全燃焼する。そのため、飛灰(「フライアッシュ」と称す場合もある。)が生じたり、煤,黒煙が煙突から排出されることも無い。
【0037】
前記第一燃焼室2内において、固形廃棄物がほぼ燃え尽き、所謂おき火燃焼状態となるころには発熱量が不足し、前記第一燃焼室2および前記第二燃焼室3内の温度が低下し始める。このおき火燃焼状態となるまでの時間は、第一焼却段階を開始してから一定の時間で見積もることもできる。たとえば、この実施例の場合で、20kg程度の固形廃棄物ならば40分程度でおき火燃焼状態になる。そこで、前記制御装置20は、第一焼却段階の開始後40分に達した段階で第一焼却段階を終了し、第二焼却段階を開始する。
【0038】
第二焼却段階においては、前記第一燃焼室2への空気の供給量を増加させるとともに、前記第二燃焼室3への空気の供給量を減少させる。すなわち、前記バルブ装置9を開くとともに、前記ダンパ装置14を閉方向に作動させる。この状態では、前記各空気噴出ノズル6には、前記オリフィス装置10を経由して供給される空気量に、前記バルブ装置9を経由して供給される空気量が追加される。前記第一燃焼室2に追加される空気量は、第一焼却段階で供給している空気量の数倍、または前述の固形廃棄物を完全に燃焼させる量の十数分の一程度の量である。この実施例においては、固形廃棄物の重量20kgに対して空気の供給量は40m3/hとしてある。この第二焼却段階における前記第一燃焼室2への空気の供給量は、前述の第一焼却段階における前記第二燃焼室3への空気の供給量の増加分とほぼ同じとしてある。また、この第二焼却段階における前記第二燃焼室3への空気の供給量は、前記予熱段階における空気の供給量と同じとしてある。
【0039】
この第二焼却段階では、前記各空気噴出ノズル6から噴出する空気により、前記第一燃焼室2内が攪拌され、固形廃棄物の燃焼速度が高まる。したがって、焼却炉1内における炉全体の熱バランス、酸素バランスを維持できる。そして、固形廃棄物の焼却が完全に終了する時点では、余剰空気があって前記バーナ11の空気比を高める結果、焼却炉内の温度を過剰に高めることがない。
【0040】
以上のように、第一焼却段階と第二焼却段階とによって固形廃棄物の焼却を行うことにより、複雑な燃焼制御を行うこと無く、第一燃焼室2および第二燃焼室3への空気の供給量の制御のみで固形廃棄物を短時間で完全燃焼することができ、しかも有害燃焼排気物の排出を低減することができる。さらに、また、第一焼却段階を開始する前には、空気の供給量を少なくしてあるため、焼却炉1内の予熱時間を短縮でき、また充分な予熱が可能であるため、焼却時間を短縮できる。
【0041】
ここで、前記第二焼却段階の開始は、第一焼却段階を開始してから排ガス温度が所定温度以下に低下した場合に行うように構成することもできる。たとえば、第一焼却段階を開始してから前述の排ガス温度が870℃以下に低下したときとする。これは、図1に示すように、前記煙道16内の排ガス温度は、固形廃棄物の燃焼が始まると上昇し、ある温度に達した後、低下していく点に着目したものである。また、前記第二焼却段階の開始は、前記第一焼却段階を開始してから所定時間経過後、排ガス温度が所定温度以下に低下した場合に行うように構成することもできる。たとえば、前記第一焼却段階を開始して20分経過後であって、排ガス温度870℃以下に低下したときとする。すなわち、第一焼却段階や第二焼却段階の開始は、焼却炉出口の排ガス温度や第一焼却段階の開始からの時間に基づいて制御するため、特殊なセンサを用いること無く行うことができる。
【0042】
さらに、以上で説明した焼却炉の運転方法においては、第一焼却段階と第二焼却段階を同時に切り替えるように制御しているが、第一焼却段階と第二焼却段階とをオーバーラップさせて切り替えることもできる。第一焼却段階と第二焼却段階とをオーバーラップさせて切り替える場合には、前述の第二焼却段階の開始時期を早める側において行う。たとえば、第一焼却段階をその開始後40分で終了する場合、第二焼却段階は第一焼却段階を開始してから35分経過後に開始するように構成する。
【0043】
さらに、この発明に係る焼却炉の運転方法は、図1〜図4に示すような第一燃焼領域(第一燃焼室)2と第二燃焼領域(第二燃焼室)3とを隔壁4によって明確に区画したもののほか、図5に示すように、一つの燃焼室内に、第一燃焼領域と第二燃焼領域とを有する焼却炉においても実施できるものである。以下、図5に示す焼却炉について、その構成と運転方法について説明する。ここで、図5に示す焼却炉において、図1〜図4に示す焼却炉と対応する部材には、同一参照番号を附してその詳細説明を省略する。
【0044】
図5に示す焼却炉21は、その内部に1つの燃焼室22を備えており、この燃焼室22の底壁部分をロストル23としてある。そして、このロストル23の下方には、所定個数の空気噴出ノズル6を配置してある。さらに、前記焼却炉21は、その一方の側面(図5の左側の側面)の上方にバーナ11を備えている。そして、前記焼却炉21の上部において、前記バーナ11と対向する側(図5の右側上方)には、焼却炉出口としての排気口24を設けてある。この排気口24には、煙突(図示省略)が接続される。
【0045】
図5に示す焼却炉21は、前記ロストル23上に固形廃棄物を収容するものである。したがって、前記燃焼室22内において、固形廃棄物が占める領域およびその近傍が第一燃焼領域25であり、その上方の空間部分が第二燃焼領域26である。
【0046】
図5に示す焼却炉21においては、以下のような運転制御を行う。まず、前記廃棄物投入口5を開き、前記燃焼室22内に固形廃棄物を収容する。前記燃焼室22の底部はすべて前記ロストル23としてあるため、生ゴミのような燃え難いものや、合成樹脂製品のような燃え易いものを区別して収容する必要はない。そして、前記廃棄物投入口5を閉じた後、前記第一空気供給ライン8から前記オリフィス装置10を介して前記各空気噴出ノズル6に空気を供給するとともに、前記第二空気供給ライン12から前記バーナ11に空気を供給する。
【0047】
この状態で、前記燃料供給ライン13から前記バーナ11へ燃料としての廃油を供給して着火し、予熱段階を開始する。この状態では、前記バーナ11のみの燃焼のため、第一焼却段階よりも低空気比での燃焼となり、前記燃焼室22の予熱を短時間で行うことができる。
【0048】
この予熱段階では、前記バーナ11によって固形廃棄物27が加熱され着火される。すると、固形廃棄物27から可燃性ガスが分離し始め、この分離の開始とほぼ同時に固形廃棄物27の燃焼が始まる。この可燃性ガスは、前記第二燃焼領域26に上昇し、前記第二燃焼領域26において前記バーナ11の火炎によって燃焼し、前記排気口24から排出される。固形廃棄物やこの固形廃棄物から分離した可燃性ガスが燃焼し始めると、この燃焼によって空気が消費されて空気比が低下することもあって、前記排気口24内での排ガス温度が急激に上昇する。
【0049】
前述の排ガス温度が所定温度(たとえば800℃)に達したことを、前記温度検出器19によって検出すると、前記制御装置20は、第一焼却段階を開始する。この第一焼却段階の開始は、前記ダンパ装置14を開方向に作動させ、前記バーナ11への空気量を増加させることによって行う。すると、前記バーナ11における空気比が高くなるため、燃焼温度は制限される。また、空気を十分供給しているため、固形廃棄物を含めて不完全燃焼は生じない。
【0050】
この第一焼却段階では、前述したように、固形廃棄物27は、空気量が大幅に少ない状態で若干の火炎を伴いながら燃焼し、同時に固形廃棄物からは可燃性ガスが分離される。この可燃性ガスは前記第二燃焼領域26に流入し、前記バーナ11の火炎によって燃焼する。このとき、固形廃棄物27には、前記空気噴出ノズル6によって前記ロストル23の下方から空気が供給されているため、可燃性ガスの分離が促進される。
【0051】
そして、固形廃棄物27がおき火燃焼状態となるころには、前記燃焼室22内の温度が低下し始める。前記制御装置20は、前記燃焼室22内の温度の低下を前記排気口24における排ガス温度の低下として検出し、この排ガス温度が所定温度(たとえば870℃)以下に低下すると、第一焼却段階を終了して第二焼却段階を開始する。
【0052】
この第二焼却段階においては、前記バルブ装置9を開いて前記第一燃焼領域25への空気の供給量を増加させるとともに、前記ダンパ装置14を閉方向に作動させることにより前記第二燃焼領域26への空気の供給量を減少させる。この状態では、前記各空気噴出ノズル6には、前記オリフィス装置10を経由して供給される空気量に、前記バルブ装置9を経由した空気量が追加される。この第二焼却段階では、前記各空気噴出ノズル6から噴出する空気により、前記燃焼室22内が攪拌され、固形廃棄物の燃焼速度が高まる。そして、固形廃棄物の焼却が完全に終了する時点では、余剰空気があって前記バーナ11の空気比を高める結果、燃焼炉内の温度を過剰に高めることがない。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の請求項1に係る焼却炉の運転方法によれば、温度センサを用いることなく、第二焼却段階への移行を制御するので、制御を簡易に行うことができる効果を奏し、また補正後の請求2によれば、時間による制御と温度による制御を組み合わせているので、第二焼却段階への移行を確実に制御することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る焼却炉の運転方法の一実施例と、この実施例における焼却炉出口の排ガス温度の変化とを示す説明図である。
【図2】この発明を実施する焼却炉の一例を示す説明図である。
【図3】図2の III−III 線に沿う断面の説明図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿う断面の説明図である。
【図5】この発明を実施する焼却炉の他の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 焼却炉
2 第一燃焼領域(第一燃焼室)
3 第二燃焼領域(第二燃焼室)
4 隔壁
11 バーナ
15 ロストル
16 煙道
19 温度検出器
21 焼却炉
22 燃焼室
23 ロストル
24 排気口
25 第一燃焼領域
26 第二燃焼領域
Claims (2)
- 固形廃棄物を燃焼させる第一燃焼領域2および前記固形破棄物から分離した可燃性ガスや燃料を燃焼させる第二燃焼領域3を有する焼却炉の運転方法であって、前記第一燃焼領域2および前記第二燃焼領域3への空気の供給量のうち、少なくとも一方を調整し、少なくとも第一焼却段階と第二焼却段階とを含み、前記第二焼却段階では、前記第一燃焼領域2への空気の供給量を前記第一焼却段階より多くするとともに、前記第二燃焼領域3への空気の供給量を前記第一焼却段階より少なくし、前記第二焼却段階を、前記第一焼却段階を開始してから所定時間経過後に開始することを特徴とする焼却炉の運転方法。
- 固形廃棄物を燃焼させる第一燃焼領域2および前記固形破棄物から分離した可燃性ガスや燃料を燃焼させる第二燃焼領域3を有する焼却炉の運転方法であって、前記第一燃焼領域2および前記第二燃焼領域3への空気の供給量のうち、少なくとも一方を調整し、少なくとも第一焼却段階と第二焼却段階とを含み、前記第二焼却段階では、前記第一燃焼領域2への空気の供給量を前記第一焼却段階より多くするとともに、前記第二燃焼領域3への空気の供給量を前記第一焼却段階より少なくし、前記第二焼却段階を、前記第一焼却段階を開始してから所定時間経過後であって、焼却炉出口の排ガス温度が所定温度以下となったとき開始することを特徴とする焼却炉の運転方法。
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