JP3730336B2 - 油圧アクチュエータの速度制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧クレーン、油圧ショベル等の油圧機械における油圧アクチュエータの速度を制御する油圧アクチュエータの速度制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、油圧アクチュエータの速度制御装置として、電子制御方式によるもの、すなわち、
(イ)操作レバーの操作量をポテンショメータ等によって検出し、
(ロ)この検出されたレバー操作量に応じてアクチュエータの目標作動速度を設定し、
(ハ)アクチュエータの実際の作動速度を検出し、
(ニ)この実際速度と目標速度の偏差を求め、
(ホ)この偏差が解消される方向にアクチュエータの流入側、流出側圧力を制御する
方式のものが公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、公知のこの種の制御装置によると、上記のように速度偏差に基づくフィードバック制御のみによっているため、基本的に、操作レバーの操作に対する速度制御の追従性が悪いという問題があった。
【0004】
なお、この点の対策として、上記(ホ)の段階で、速度偏差に予め定めた比例ゲインと積分時間を用いて流入側、流出側圧力を求める比例積分演算を行うようにしている。
【0005】
この場合、応答遅れをなくするためには比例ゲインを大きくしなければならいが、比例ゲインを大きくすると油圧系がハンチングを起こす。従って、比例ゲインをあまり大きくすることができず、追従性能の向上には限界があった。
【0006】
そこで本発明は、レバー操作に対するアクチュエータ作動の追従性能を向上させることができる油圧アクチュエータの制御装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、操作レバーの操作により切換弁を作動させて油圧ポンプから油圧アクチュエータに圧油を供給する油圧アクチュエータの速度制御装置において、
(a)上記操作レバーの操作量を検出する操作量検出手段、
(b)この操作量検出手段によって検出されたレバー操作量に応じてアクチュエータの目標作動速度を設定する目標速度設定手段、
(c)アクチュエータの流入側圧力を検出する流入側圧力検出手段、
(d)アクチュエータの流出側圧力を検出する流出側圧力検出手段、
(e)アクチュエータの実際の作動速度を検出するアクチュエータ速度検出手段、
(f)アクチュエータ流入側圧力を設定する圧力制御弁、
(g)上記目標作動速度と、上記流出側圧力検出手段によって検出された流出側圧力とからアクチュエータを目標作動速度で作動させるのに必要な流入側圧力を演算し、この演算値に、上記実速度検出手段によって検出されたアクチュエータの実際の作動速度と上記目標作動速度の偏差に応じた補正を加え、この補正後圧力が得られるように上記圧力制御弁を制御する流入側圧力制御手段、
(h)上記目標作動速度と、上記流出側圧力検出手段によって検出された流出側圧力とから、アクチュエータを目標作動速度で作動させるために必要な上記切換弁の流出側開口面積を演算し、この演算値に、上記偏差に応じた補正を加え、この補正後開口面積が得られるように切換弁の位置を制御する流出側開口面積制御手段
を具備するものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、アクチュエータ速度検出手段によって検出されたアクチュエータの実際の作動速度と、流入側および流出側圧力検出手段によって検出された流入側および流出側圧力の差とに基づいて外乱による上記差圧の変動分を求める外乱演算手段が設けられ、流入側圧力制御手段が、この外乱演算部で求められた差圧変動分に応じた補正を加えるように構成されたものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2の構成において、目標速度設定手段は、操作レバーの操作量と、これに応じて設定される目標作動速度との関係を、アクチュエータの加速時と減速時とで異ならせるように構成されたものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3の構成において、目標速度設定手段は、減速時の速度特性を、さらにレバー操作速度に応じて変化させるように構成されたものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの構成において、流入側圧力制御手段は、操作レバーの減速操作時にそのときのアクチュエータの実際の作動速度においてアクチュエータの流入側でキャビテーションが発生しない圧力の下限値である最低補償圧を求め、指令圧がこの最低補償圧を下回る場合は最低補償圧が確保されるように圧力制御弁を制御するように構成されたものである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5の構成において、流入側圧力制御手段は、指令圧と最低補償圧の偏差を力積し、指令圧が最低補償圧を上回ったときに上記力積分を加えて補正するように構成されたものである。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかの構成において、目標速度設定手段は、操作レバーの操作量が大きいほど、このレバー操作量に対する目標作動速度の増加率が大きくなるように目標作動速度を設定するように構成されたものである。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかの構成において、目標速度設定手段は、操作レバーの全操作領域で目標作動速度が0から最大値まで変化するように、油圧ポンプの回転速度が高いほど目標作動速度の増加率が大きくなり、かつ、目標作動速度の最大値が大きくなるように目標作動速度を設定するように構成されたものである。
【0015】
請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかの構成において、流入側圧力制御手段は、流出側圧力検出手段によって検出された流出側圧力を用いて演算された流入側圧力の値と、流出側圧力について予め定められた値を用いて演算された流入側圧力の値のうち低圧選択を行うように構成されたものである。
【0016】
上記構成によると、レバー操作量に応じた目標速度と流出側圧力とから、アクチュエータを目標速度で作動させるのに必要な流入側圧力と流出側開口面積を求め、これにフィードバック量を加味して流入側圧力と流出側開口面積(差圧)を制御するため、すなわち、フィードバック量を補助的に用いたフィードフォワード制御方式をとるため、従来のフィードバックのみによる制御方式による場合と比較して、レバー操作に対するアクチュエータ作動の追従性能が格段に向上する。
【0017】
また、請求項2の構成によると、風や機械の傾き等の外乱による差圧の変動分に応じた補正を加えることにより、外乱があっても正確な速度制御を行うことができる。
【0018】
ところで、目標作動速度をレバー操作量のみに応じて設定すると、レバー操作量/目標作動速度の特性が加速時と減速時とで全く同じとなる。
【0019】
こうなると、たとえば加速時に、レバー操作量の大きい範囲で速度増加率が大きくなる速度特性を設定した場合に、レバー操作量が大きい状態から減速操作すると、わずかの操作量で速度が大きく変化する等、オペレータによっては操作性が悪くなる場合がある。
【0020】
この点、レバー操作量/目標作動速度の特性をアクチュエータの加速時と減速時とで異ならせる請求項3の構成によると、加速時特性と減速時特性をオペレータの好み等に応じて適宜設定することにより、操作性を改善することができる。
【0021】
この場合、請求項4のように、さらにレバー操作速度に応じて減速時の速度特性を変化させることにより、加速時の速度特性と減速時の速度特性との間のヒステリシスの幅を変化させ、操作性の一層の向上を期することができる。
【0022】
ところで、レバー操作によって急激な減速指令が出されると、アクチュエータ流入側の設定圧力が零近傍の小さな値となる場合がある。この場合、アクチュエータ流入側でキャビテーションが発生し、ショックが発生して操作性を悪化させる。
【0023】
この点、請求項5の構成によると、アクチュエータ作動速度に基づいてキャビテーションが発生しない最低補償圧を求め、指令圧がこの最低補償圧を下回らないように最低圧補償を行うため、キャビテーションの発生を防止することができる。
【0024】
ただし、このままでは、最低圧補償を行うことで減速分が不足する。そこで、請求項6のように、指令圧が最低補償圧を上回った時点で、上記不足する減速度とその時間を乗算した力積分を指令圧に加えることによって減速補償することができる。
【0025】
一方、請求項7の構成によると、操作レバーの操作量が大きいほど目標作動速度の増加率が大きくなるため、高速を要求しているオペレータの意思に沿って速度を速やかに上昇させることができ、オペレータの意思にマッチした良好な操作フィーリングを得ることができる。
【0026】
また、請求項8の構成によると、常に、目標作動速度の最小値(0)から最大値までの領域を操作レバーの全操作領域に割り当てることができる。
【0027】
従って、レバー操作量/目標作動速度の特性をポンプ回転数(ポンプ吐出量)に関係なく固定して定めた場合のように、高ポンプ回転数時に余剰流が多くなってポンプ効率が悪くなったり(目標作動速度を低めに設定した場合)、低ポンプ回転数時にアクチュエータ流量が不足したり(目標作動速度を高めに設定した場合)する不都合が生じない。
【0028】
ところで、アクチュエータ起動時には、流出側開口面積が小さく、この状態では流出側圧力は流入側圧力に対して敏感に変動し、瞬間的に数十kg/mm2も上昇する可能性がある。
【0029】
こうなると、流入側の圧力設定を行うフィードフォワード項としては、流出側圧力に対して目標速度で作動するのに必要な圧力を上乗せすることから、流入側圧力も大きく上昇し、回路保護のために設定される回路上限圧に達してしまう。
【0030】
このため、アクチュエータを目標速度で作動させるのに必要な差圧を確保できなくなる。
【0031】
この点、請求項9の構成によると、流出側圧力検出手段によって検出された流出側圧力を用いて演算された流入側圧力値と、流出側圧力について予め定められた値を用いて演算された流入側圧力値のうち低圧側を選択するため、アクチュエータ起動時の流出側開口面積が小さい状態で流出側圧力が大きく上昇した場合には、予め定められた値を用いて演算された流入側圧力値が選択されるため、流入側圧力が必要以上に高くなるおそれがない。
【0032】
これにより、アクチュエータを目標速度で作動させるのに必要な差圧を確保することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図によって説明する。
【0034】
以下の実施形態では、制御対象として、油圧クレーン、油圧ショベルにおける上部旋回体を旋回させる旋回用油圧モータを例にとっている。
【0035】
第1実施形態(図1〜図3参照)
1は旋回用油圧モータ(以下、旋回モータという)、2はこの旋回モータ1の油圧源としての油圧ポンプ、3は同ポンプ2を駆動するエンジンである。
【0036】
旋回モータ1と油圧ポンプ2との間には油圧パイロット式の三位置切換弁4が設けられ、この切換弁4によって旋回モータ1の回転方向(旋回体の旋回方向)と速度が制御される。
【0037】
ここで、切換弁4のストロークと、流入側(メータイン)、流出側(メータアウト)、ブリードオフ各通路の開口面積との関係は、図2に示すように、流出側通路が開き始める前にブリードオフ通路が閉じ、流入側通路がほぼ全開状態となるように設定されている。
【0038】
この設定により、切換弁4の位置制御を行うことで、流入側および流出側の圧力をほぼ独立して制御することができる。
【0039】
また、切換弁4は、流出側開口面積演算部5からの指令に基づいて切換弁コントローラ6から供給されるパイロット圧によって位置制御され、これによってモータ流出側の開口面積が制御される。
【0040】
一方、ポンプ2の吐出回路に電磁比例式の可変リリーフ弁7が設けられ、流入側圧力演算部8からの指令に基づくリリーフ弁コントローラ9からの指令信号によってこの可変リリーフ弁7の設定圧、すなわち、旋回モータ1に対する流入側圧力が制御される。
【0041】
10は旋回モータ1の回転方向と速度を指令する操作レバーで、この操作レバー10の操作方向と操作量が操作量検出手段としてのレバーセンサ(たとえばポテンショメータが用いられる)11によって検出され、この操作信号が目標速度設定部12に送られる。
【0042】
この目標速度設定部12は、レバーセンサ11からの信号(レバー操作量)を旋回モータ1の目標作動速度に変換する。
【0043】
このレバー操作量と目標作動速度の関係は、作業内容等に応じて任意に設定することができ、たとえば図3に示すようにレバー操作量が大きいほど目標作動速度の増加率が大きくなる二次曲線の特性をもって設定することができる。図3中、aは操作レバー10の遊び範囲を示す。
【0044】
このように設定すれば、高速を要求しているオペレータの意思に沿って速度を速やかに上昇させることができ、オペレータの意思にマッチした良好な操作フィーリングを得ることができる。
【0045】
なお、図3の二次曲線の特性に代えて三次曲線、四次曲線の特性をもって設定してもよい。また、図3中のレバー中立付近での遊び範囲aの大きさや、レバー最大操作量付近の飽和速度領域も目標速度設定部12内での係数の変更によって任意に変更することができる。
【0046】
一方、油圧ポンプ2の回転数(エンジン回転数)との関係においては、同ポンプ2の回転数が高いほど目標作動速度の増加率が大きくなり、かつ、目標作動速度の最大値が大きくなるように設定される。
【0047】
こうすれば、ポンプ回転数が変化しても、操作レバー10の全操作領域で目標作動速度が0から最大値まで変化するため、常に、目標作動速度の最小値(0)から最大値までの領域を操作レバー10の全操作領域に割り当てることができる。
【0048】
従って、レバー操作量/目標作動速度の特性をポンプ回転数(ポンプ吐出量)に関係なく固定して定めた場合のように、高ポンプ回転数時に余剰流が多くなってポンプ効率が悪くなったり(目標作動速度を低めに設定した場合)、低ポンプ回転数時にアクチュエータ流量が不足したり(目標作動速度を高めに設定した場合)する不都合が生じない。
【0049】
この目標速度設定部12で設定された目標速度信号は、流出側開口面積演算部5と、流入側圧力演算部8と、比例積分演算部13とに送られる。
【0050】
さらに、図1中、14,15は旋回モータ1の流入側、流出側圧力を検出する圧力センサで、この圧力センサ14,15で検出された圧力信号が、流出側開口面積演算部5と、流入側圧力演算部8と、外乱補正演算部16とに送られる。
【0051】
17は旋回モータ1の速度を検出するモータ速度センサで、同センサ17で検出されたモータ速度信号が比例積分演算部13に送られる。
【0052】
18はポンプ回転数を検出する回転数センサで、同センサ18で検出された回転数信号が目標速度設定部12に送られる。
【0053】
次に、この装置の作用を説明する。
【0054】
(イ)レバー操作量に応じた流入側圧力(フィードフォワード量)の演算
旋回モータ1の流出側圧力をPOUT、流入側圧力をPINとすると、旋回モータ1についての運動方程式は、
【0055】
【数1】
【0056】
そこで、旋回体を目標速度で旋回させるのに必要な流入側圧力は、
【0057】
【数2】
【0058】
となる。
【0059】
ただし、アクチュエータ起動時には、流出側開口面積が小さく、この状態では流出側圧力は流入側圧力に対して敏感に変動し、瞬間的に数十kg/mm2も上昇する可能性がある。
【0060】
こうなると、流入側圧力の設定を行うフィードフォワード項としては、流出側圧力に対して旋回モータ2を目標速度で作動するのに必要な圧力を上乗せすることから、流出側圧力も大きく上昇し、回路上限圧に達してしまう。
【0061】
このため、旋回モータ2を目標速度で作動させるのに必要な差圧を確保できなくなる。
【0062】
そこで、流入側圧力演算部8において、上記数2の式による演算と並行して、予め定められた流出側圧力POUTLMを用いて、
【0063】
【数3】
【0064】
の演算を行う。そして、数2と数3で求められた値のうち低い側の値を選択し、これをレバー操作量に応じた流入側圧力のフィードフォワード量として決定する。
【0065】
(ロ)レバー操作量に応じた流出側開口面積(フィードフォワード量)の演算流出側開口面積演算部5は、旋回モータ1の目標速度から、同モータ1に流れる流量に換算した値をQmMとし、流出側開口面積AOUTを、
【0066】
【数4】
【0067】
によって求める。ここで、Cは係数、VOUTは流出側の配管容積、Kは作動油の見かけの体積弾性係数、P0は油タンクの圧力である。
【0068】
ただし、上記数4において、右辺の分母√(POUT−P0)が零近傍の値になる場合には、微小な一定値を用いて零になることを回避する。
【0069】
(ハ)比例積分演算(フィードバック量)
比例積分演算部13では、設定された目標速度と、モータ速度センサ17で検出された旋回モータ1の実速度との偏差を求め、これをもとに比例積分処理を行う。
【0070】
すなわち、上記速度偏差に、予め定めた比例ゲインを乗算してなる比例項と、偏差を予め定めた積分時間内で積分してなる積分項との総和を求め、これを流入側圧力および流出側開口面積についてのフィードバック量PX,Xとして決定する。
【0071】
(ニ)風や機械の傾斜による外乱を考慮した外乱補正演算
外乱を含む場合の運動方程式を考えると、外乱が存在することで旋回モータ1の前後差圧に生じる変化分をWとすると、
【0072】
【数5】
【0073】
よって、外乱による圧力変動Wは、
【0074】
【数6】
【0075】
となる。
【0076】
(ホ)流入側目標圧力演算
流入側圧力演算部8では、上記(イ)(ハ)(ニ)から、流入側目標圧力PINLMを、
【0077】
【数7】
PINLM=PIN+PX−W
で求め、この値を可変リリーフ弁7の設定圧として、リリーフ弁コントローラ9を介して同リリーフ弁7に指令する。
【0078】
ところで、急激な旋回減速時に、旋回モータ1の流入側の圧力が小さな値となり、キャビテーションが発生してショックが生じる可能性がある。そこで、このような状況下でキャビテーションを発生させないためのモータ流入側の最低圧力を求め、上記リリーフ弁7の指令圧に補正を加える。
【0079】
すなわち、まず、急激な減速時のモータ流入側圧力PINの時間微分値は、次の数8のように表される。
【0080】
【数8】
【0081】
ここで、Piは切換弁4に流入する直前の油の圧力で、理想的にはPINと等価である。また、通常時はPIN<Pi、キャビテーション時はPIN>Piとなる。
【0082】
AINは切換弁4のメータイン開口面積である。
【0083】
【数9】
【0084】
係数αはキャビテーションを発生させないように設定する。また、λ,αは実験的に求めて設定しておく。
【0085】
そして、任意の旋回速度における最低補償圧PiMINは、
【0086】
【数10】
【0087】
これから、
【0088】
【数11】
【0089】
そして、演算で求められた流入側目標圧力PINLMがこの最低補償圧PiMINを下回るときは、最低補償圧PiMINを指令圧とする。
【0090】
また、この最低圧補償を行うことによって不足する減速分は、次のようにして補償する。
【0091】
図4において、t1は演算によって求められた流入側目標圧力PINLMが最低補償圧PiMINを下回っている区間(時間)を示し、上記最低圧補償作用により、この区間t1では最低補償圧PiMINが指令圧として出力される。
【0092】
この間、最低補償圧PiMINと流入側目標圧力PINLMとの偏差分を力積(時間積分)して領域Aの面積を求め、流入側目標圧力PINLMが最低補償圧PiMINを上回った時点から、流入側目標圧力PINLMの代わりに最低補償圧PiMINを指令圧として出力する。
【0093】
これと同時に、偏差分を力積し、この区間t2での領域Bの面積が両域Aの面積と等しくなった時点で指令圧を流入側目標圧力PINLMに戻す。
【0094】
この相殺作用により、最低圧補償を行ったことの減速分がカバーされる。
【0095】
(ヘ)流出側目標開口面積演算
流出側開口面積演算部5では、上記(ロ)(ハ)から、目標速度を得るための流出側目標開口面積AOUTLMを、
【0096】
【数12】
AOUTLM=AOUT+X
で求める。
【0097】
そして、この算出された値を切換弁コントローラ6に入力し、算出された流出側開口面積が得られるように同切換弁4の位置を制御する。
【0098】
以上により、流入側圧力PINLMおよび流出側開口面積AOUTLMが設定され、旋回モータ1が、操作レバー10によって設定された目標速度で回転する。
【0099】
第2実施形態
目標速度設定部12は、上記のようにレバー操作量に応じて目標速度を設定する。ただし、オペレータによっては、速度特性をレバー操作量のみでなくレバー操作方向(加速、減速)によっても変えたいという要望がある。
【0100】
たとえば、加速時に、レバー操作量の大きい範囲で速度増加率が大きくなる速度特性を設定した場合に、レバー操作量が大きい状態から減速操作すると、わずかの操作量で速度が大きく変化するため、不馴れなオペレータでは操作性が悪くなる。
【0101】
そこで、第2実施形態では、目標速度設定部12において、レバー操作量によって決まる目標速度を第1目標値とし、次式で示される処理を行って第2目標値を求め、これを最終目標速度として設定する。
【0102】
【数13】
【0103】
この処理により、図5に示すようにレバー操作量に対する目標速度の変化特性を加速時と減速時とで異ならせ、両者間にヒステリシスをもたせる。具体的には、減速時には、レバー操作量の大きい範囲でレバー操作に対する速度の変化率を加速時よりも小さくし、同じ操作量で速度の変化が小さく(緩やか)になるように速度特性を設定する。
【0104】
こうすれば、レバーを大きく操作すれば速やかに加速される一方で、減速時には同じレバー操作で緩やかに減速され、速度の急変を回避することができる。
【0105】
ここで、上記数13〜数15の処理により、図5の破線で示すようにレバー操作速度が高いほど減速時の速度変化曲線が図の左側にシフトし、加速時と減速時との間のヒステリシスの幅が大きくなる。
【0106】
ただし、このヒステリシス特性は操作レバーが操作されている間のみに設定され、レバーを停止させれば、加速してきた場合でも減速してきた場合でも、その位置S1に応じて設定される目標速度(第1目標値)となる。
【0107】
なお、オペレータによって操作される選択スイッチを設け、この第2実施形態の処理を行うか否かをオペレータが選択できるようにしてもよい。
【0108】
ところで、上記実施形態では油圧クレーンや油圧ショベルにおいて上部旋回体を旋回させる旋回モータを制御対象として例にとったが、本発明は、巻上用油圧モータやブーム起伏シリンダ等、他の油圧アクチュエータにも上記同様に適用することができる。
【0109】
【発明の効果】
上記のように本発明によるときは、レバー操作量に応じて設定された目標速度と、検出された流出側圧力とから、アクチュエータを目標速度で作動させるのに必要な流入側圧力と流出側開口面積を求め、これにフィードバック量を加味して流入側圧力と流出側開口面積(差圧)を制御する構成、すなわち、フィードバック量を補助的に用いたフィードフォワード制御方式をとる構成としたから、従来のフィードバックのみによる制御方式による場合と比較して、レバー操作に対するアクチュエータ作動の追従性能を格段に向上させることができる。
【0110】
また、請求項2の発明によると、風や機械の傾き等の外乱による差圧の変動分に応じた補正を加えることにより、外乱があっても正確な速度制御を行うことができる。
【0111】
一方、請求項3の発明によると、レバー操作量/目標作動速度の特性をアクチュエータの加速時と減速時とで異ならせるため、加速時特性と減速時特性をオペレータの好み等に応じて適宜設定することにより、操作性を改善することができる。
【0112】
この場合、請求項4の発明にように、さらにレバー操作速度に応じて減速時の速度特性を変化させることにより、加速時の速度特性と減速時の速度特性との間のヒステリシスの幅を変化させ、操作性の一層の向上を期することができる。
【0113】
また、請求項5の発明によると、アクチュエータ作動速度に基づいてキャビテーションが発生しない最低補償圧を求め、指令圧がこの最低補償圧を下回らないように最低圧補償を行うため、レバー操作によって急激な減速指令が出された場合のキャビテーションの発生を防止することができる。
【0114】
ここで、請求項5の構成を前提とする請求項6の発明によると、指令圧が最低補償圧を上回った時点で、上記不足する減速度とその時間を乗算した力積分を指令圧に加えることによって減速補償することができる。
【0115】
一方、請求項7の発明によると、操作レバーの操作量が大きいほど目標作動速度の増加率が大きくなるため、高速を要求しているオペレータの意思に沿って速度を速やかに上昇させることができ、オペレータの意思にマッチした良好な操作フィーリングを得ることができる。
【0116】
また、請求項8の発明によると、常に、目標作動速度の最小値(0)から最大値までの領域を操作レバーの全操作領域に割り当てることができる。
【0117】
従って、レバー操作量/目標作動速度の特性をポンプ回転数(ポンプ吐出量)に関係なく固定して定めた場合のように、高ポンプ回転数時に余剰流が多くなってポンプ効率が悪くなったり(目標作動速度を低めに設定した場合)、低ポンプ回転数時にアクチュエータ流量が不足したり(目標作動速度を高めに設定した場合)する不都合が生じない。
【0118】
一方、請求項9の発明によると、流出側圧力検出手段によって検出された流出側圧力を用いて演算された流入側圧力値と、流出側圧力について予め定められた値を用いて演算された流入側圧力値のうち低圧側を選択するため、アクチュエータ起動時の流出側開口面積が小さい状態で流出側圧力が大きく上昇した場合には、予め定められた値を用いて流入側圧力が演算されるため、流入側圧力が必要以上に高くなるおそれがない。
【0119】
これにより、アクチュエータを目標速度で作動させるのに必要な差圧を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる旋回モータの速度制御装置全体の構成図である。
【図2】同装置における旋回モータの作動を制御する切換弁のストロークと流入側、流出側両開口面積との関係を示す図である。
【図3】同装置における操作レバーの操作量と目標旋回速度との関係を示す図である。
【図4】最低圧補償を行った場合の力積補正を説明するための時間と圧力の関係を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態における目標速度設定部の速度設定作用を説明するためのレバー操作量/速度の特性図である。
【図6】同実施形態においてレバーを停止させた場合に加速時と減速時とに関係なく同じ目標速度に設定されることを説明するためのレバー操作量/速度の特性図である。
【符号の説明】
1 旋回モータ
2 油圧ポンプ
4 切換弁
5 流出側圧力制御手段を構成する流出側開口面積演算部
6 同切換弁コントローラ
8 流入側圧力制御手段を構成する流入側圧力演算部
9 同リリーフ弁コントローラ
7 圧力制御弁としての可変リリーフ弁
13 流出側開口面積制御手段および流入側圧力制御手段を構成する比例積分演算部
10 操作レバー
11 レバー操作量検出手段としてのレバーセンサ
12 目標速度設定手段としての目標速度設定部
16 外乱演算手段としての外乱補正演算部
14,15 流入側流出側圧力検出手段としての圧力センサ
17 アクチュエータ速度検出手段としてのモータ速度センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧クレーン、油圧ショベル等の油圧機械における油圧アクチュエータの速度を制御する油圧アクチュエータの速度制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、油圧アクチュエータの速度制御装置として、電子制御方式によるもの、すなわち、
(イ)操作レバーの操作量をポテンショメータ等によって検出し、
(ロ)この検出されたレバー操作量に応じてアクチュエータの目標作動速度を設定し、
(ハ)アクチュエータの実際の作動速度を検出し、
(ニ)この実際速度と目標速度の偏差を求め、
(ホ)この偏差が解消される方向にアクチュエータの流入側、流出側圧力を制御する
方式のものが公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、公知のこの種の制御装置によると、上記のように速度偏差に基づくフィードバック制御のみによっているため、基本的に、操作レバーの操作に対する速度制御の追従性が悪いという問題があった。
【0004】
なお、この点の対策として、上記(ホ)の段階で、速度偏差に予め定めた比例ゲインと積分時間を用いて流入側、流出側圧力を求める比例積分演算を行うようにしている。
【0005】
この場合、応答遅れをなくするためには比例ゲインを大きくしなければならいが、比例ゲインを大きくすると油圧系がハンチングを起こす。従って、比例ゲインをあまり大きくすることができず、追従性能の向上には限界があった。
【0006】
そこで本発明は、レバー操作に対するアクチュエータ作動の追従性能を向上させることができる油圧アクチュエータの制御装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、操作レバーの操作により切換弁を作動させて油圧ポンプから油圧アクチュエータに圧油を供給する油圧アクチュエータの速度制御装置において、
(a)上記操作レバーの操作量を検出する操作量検出手段、
(b)この操作量検出手段によって検出されたレバー操作量に応じてアクチュエータの目標作動速度を設定する目標速度設定手段、
(c)アクチュエータの流入側圧力を検出する流入側圧力検出手段、
(d)アクチュエータの流出側圧力を検出する流出側圧力検出手段、
(e)アクチュエータの実際の作動速度を検出するアクチュエータ速度検出手段、
(f)アクチュエータ流入側圧力を設定する圧力制御弁、
(g)上記目標作動速度と、上記流出側圧力検出手段によって検出された流出側圧力とからアクチュエータを目標作動速度で作動させるのに必要な流入側圧力を演算し、この演算値に、上記実速度検出手段によって検出されたアクチュエータの実際の作動速度と上記目標作動速度の偏差に応じた補正を加え、この補正後圧力が得られるように上記圧力制御弁を制御する流入側圧力制御手段、
(h)上記目標作動速度と、上記流出側圧力検出手段によって検出された流出側圧力とから、アクチュエータを目標作動速度で作動させるために必要な上記切換弁の流出側開口面積を演算し、この演算値に、上記偏差に応じた補正を加え、この補正後開口面積が得られるように切換弁の位置を制御する流出側開口面積制御手段
を具備するものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、アクチュエータ速度検出手段によって検出されたアクチュエータの実際の作動速度と、流入側および流出側圧力検出手段によって検出された流入側および流出側圧力の差とに基づいて外乱による上記差圧の変動分を求める外乱演算手段が設けられ、流入側圧力制御手段が、この外乱演算部で求められた差圧変動分に応じた補正を加えるように構成されたものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2の構成において、目標速度設定手段は、操作レバーの操作量と、これに応じて設定される目標作動速度との関係を、アクチュエータの加速時と減速時とで異ならせるように構成されたものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3の構成において、目標速度設定手段は、減速時の速度特性を、さらにレバー操作速度に応じて変化させるように構成されたものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの構成において、流入側圧力制御手段は、操作レバーの減速操作時にそのときのアクチュエータの実際の作動速度においてアクチュエータの流入側でキャビテーションが発生しない圧力の下限値である最低補償圧を求め、指令圧がこの最低補償圧を下回る場合は最低補償圧が確保されるように圧力制御弁を制御するように構成されたものである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5の構成において、流入側圧力制御手段は、指令圧と最低補償圧の偏差を力積し、指令圧が最低補償圧を上回ったときに上記力積分を加えて補正するように構成されたものである。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかの構成において、目標速度設定手段は、操作レバーの操作量が大きいほど、このレバー操作量に対する目標作動速度の増加率が大きくなるように目標作動速度を設定するように構成されたものである。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかの構成において、目標速度設定手段は、操作レバーの全操作領域で目標作動速度が0から最大値まで変化するように、油圧ポンプの回転速度が高いほど目標作動速度の増加率が大きくなり、かつ、目標作動速度の最大値が大きくなるように目標作動速度を設定するように構成されたものである。
【0015】
請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかの構成において、流入側圧力制御手段は、流出側圧力検出手段によって検出された流出側圧力を用いて演算された流入側圧力の値と、流出側圧力について予め定められた値を用いて演算された流入側圧力の値のうち低圧選択を行うように構成されたものである。
【0016】
上記構成によると、レバー操作量に応じた目標速度と流出側圧力とから、アクチュエータを目標速度で作動させるのに必要な流入側圧力と流出側開口面積を求め、これにフィードバック量を加味して流入側圧力と流出側開口面積(差圧)を制御するため、すなわち、フィードバック量を補助的に用いたフィードフォワード制御方式をとるため、従来のフィードバックのみによる制御方式による場合と比較して、レバー操作に対するアクチュエータ作動の追従性能が格段に向上する。
【0017】
また、請求項2の構成によると、風や機械の傾き等の外乱による差圧の変動分に応じた補正を加えることにより、外乱があっても正確な速度制御を行うことができる。
【0018】
ところで、目標作動速度をレバー操作量のみに応じて設定すると、レバー操作量/目標作動速度の特性が加速時と減速時とで全く同じとなる。
【0019】
こうなると、たとえば加速時に、レバー操作量の大きい範囲で速度増加率が大きくなる速度特性を設定した場合に、レバー操作量が大きい状態から減速操作すると、わずかの操作量で速度が大きく変化する等、オペレータによっては操作性が悪くなる場合がある。
【0020】
この点、レバー操作量/目標作動速度の特性をアクチュエータの加速時と減速時とで異ならせる請求項3の構成によると、加速時特性と減速時特性をオペレータの好み等に応じて適宜設定することにより、操作性を改善することができる。
【0021】
この場合、請求項4のように、さらにレバー操作速度に応じて減速時の速度特性を変化させることにより、加速時の速度特性と減速時の速度特性との間のヒステリシスの幅を変化させ、操作性の一層の向上を期することができる。
【0022】
ところで、レバー操作によって急激な減速指令が出されると、アクチュエータ流入側の設定圧力が零近傍の小さな値となる場合がある。この場合、アクチュエータ流入側でキャビテーションが発生し、ショックが発生して操作性を悪化させる。
【0023】
この点、請求項5の構成によると、アクチュエータ作動速度に基づいてキャビテーションが発生しない最低補償圧を求め、指令圧がこの最低補償圧を下回らないように最低圧補償を行うため、キャビテーションの発生を防止することができる。
【0024】
ただし、このままでは、最低圧補償を行うことで減速分が不足する。そこで、請求項6のように、指令圧が最低補償圧を上回った時点で、上記不足する減速度とその時間を乗算した力積分を指令圧に加えることによって減速補償することができる。
【0025】
一方、請求項7の構成によると、操作レバーの操作量が大きいほど目標作動速度の増加率が大きくなるため、高速を要求しているオペレータの意思に沿って速度を速やかに上昇させることができ、オペレータの意思にマッチした良好な操作フィーリングを得ることができる。
【0026】
また、請求項8の構成によると、常に、目標作動速度の最小値(0)から最大値までの領域を操作レバーの全操作領域に割り当てることができる。
【0027】
従って、レバー操作量/目標作動速度の特性をポンプ回転数(ポンプ吐出量)に関係なく固定して定めた場合のように、高ポンプ回転数時に余剰流が多くなってポンプ効率が悪くなったり(目標作動速度を低めに設定した場合)、低ポンプ回転数時にアクチュエータ流量が不足したり(目標作動速度を高めに設定した場合)する不都合が生じない。
【0028】
ところで、アクチュエータ起動時には、流出側開口面積が小さく、この状態では流出側圧力は流入側圧力に対して敏感に変動し、瞬間的に数十kg/mm2も上昇する可能性がある。
【0029】
こうなると、流入側の圧力設定を行うフィードフォワード項としては、流出側圧力に対して目標速度で作動するのに必要な圧力を上乗せすることから、流入側圧力も大きく上昇し、回路保護のために設定される回路上限圧に達してしまう。
【0030】
このため、アクチュエータを目標速度で作動させるのに必要な差圧を確保できなくなる。
【0031】
この点、請求項9の構成によると、流出側圧力検出手段によって検出された流出側圧力を用いて演算された流入側圧力値と、流出側圧力について予め定められた値を用いて演算された流入側圧力値のうち低圧側を選択するため、アクチュエータ起動時の流出側開口面積が小さい状態で流出側圧力が大きく上昇した場合には、予め定められた値を用いて演算された流入側圧力値が選択されるため、流入側圧力が必要以上に高くなるおそれがない。
【0032】
これにより、アクチュエータを目標速度で作動させるのに必要な差圧を確保することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図によって説明する。
【0034】
以下の実施形態では、制御対象として、油圧クレーン、油圧ショベルにおける上部旋回体を旋回させる旋回用油圧モータを例にとっている。
【0035】
第1実施形態(図1〜図3参照)
1は旋回用油圧モータ(以下、旋回モータという)、2はこの旋回モータ1の油圧源としての油圧ポンプ、3は同ポンプ2を駆動するエンジンである。
【0036】
旋回モータ1と油圧ポンプ2との間には油圧パイロット式の三位置切換弁4が設けられ、この切換弁4によって旋回モータ1の回転方向(旋回体の旋回方向)と速度が制御される。
【0037】
ここで、切換弁4のストロークと、流入側(メータイン)、流出側(メータアウト)、ブリードオフ各通路の開口面積との関係は、図2に示すように、流出側通路が開き始める前にブリードオフ通路が閉じ、流入側通路がほぼ全開状態となるように設定されている。
【0038】
この設定により、切換弁4の位置制御を行うことで、流入側および流出側の圧力をほぼ独立して制御することができる。
【0039】
また、切換弁4は、流出側開口面積演算部5からの指令に基づいて切換弁コントローラ6から供給されるパイロット圧によって位置制御され、これによってモータ流出側の開口面積が制御される。
【0040】
一方、ポンプ2の吐出回路に電磁比例式の可変リリーフ弁7が設けられ、流入側圧力演算部8からの指令に基づくリリーフ弁コントローラ9からの指令信号によってこの可変リリーフ弁7の設定圧、すなわち、旋回モータ1に対する流入側圧力が制御される。
【0041】
10は旋回モータ1の回転方向と速度を指令する操作レバーで、この操作レバー10の操作方向と操作量が操作量検出手段としてのレバーセンサ(たとえばポテンショメータが用いられる)11によって検出され、この操作信号が目標速度設定部12に送られる。
【0042】
この目標速度設定部12は、レバーセンサ11からの信号(レバー操作量)を旋回モータ1の目標作動速度に変換する。
【0043】
このレバー操作量と目標作動速度の関係は、作業内容等に応じて任意に設定することができ、たとえば図3に示すようにレバー操作量が大きいほど目標作動速度の増加率が大きくなる二次曲線の特性をもって設定することができる。図3中、aは操作レバー10の遊び範囲を示す。
【0044】
このように設定すれば、高速を要求しているオペレータの意思に沿って速度を速やかに上昇させることができ、オペレータの意思にマッチした良好な操作フィーリングを得ることができる。
【0045】
なお、図3の二次曲線の特性に代えて三次曲線、四次曲線の特性をもって設定してもよい。また、図3中のレバー中立付近での遊び範囲aの大きさや、レバー最大操作量付近の飽和速度領域も目標速度設定部12内での係数の変更によって任意に変更することができる。
【0046】
一方、油圧ポンプ2の回転数(エンジン回転数)との関係においては、同ポンプ2の回転数が高いほど目標作動速度の増加率が大きくなり、かつ、目標作動速度の最大値が大きくなるように設定される。
【0047】
こうすれば、ポンプ回転数が変化しても、操作レバー10の全操作領域で目標作動速度が0から最大値まで変化するため、常に、目標作動速度の最小値(0)から最大値までの領域を操作レバー10の全操作領域に割り当てることができる。
【0048】
従って、レバー操作量/目標作動速度の特性をポンプ回転数(ポンプ吐出量)に関係なく固定して定めた場合のように、高ポンプ回転数時に余剰流が多くなってポンプ効率が悪くなったり(目標作動速度を低めに設定した場合)、低ポンプ回転数時にアクチュエータ流量が不足したり(目標作動速度を高めに設定した場合)する不都合が生じない。
【0049】
この目標速度設定部12で設定された目標速度信号は、流出側開口面積演算部5と、流入側圧力演算部8と、比例積分演算部13とに送られる。
【0050】
さらに、図1中、14,15は旋回モータ1の流入側、流出側圧力を検出する圧力センサで、この圧力センサ14,15で検出された圧力信号が、流出側開口面積演算部5と、流入側圧力演算部8と、外乱補正演算部16とに送られる。
【0051】
17は旋回モータ1の速度を検出するモータ速度センサで、同センサ17で検出されたモータ速度信号が比例積分演算部13に送られる。
【0052】
18はポンプ回転数を検出する回転数センサで、同センサ18で検出された回転数信号が目標速度設定部12に送られる。
【0053】
次に、この装置の作用を説明する。
【0054】
(イ)レバー操作量に応じた流入側圧力(フィードフォワード量)の演算
旋回モータ1の流出側圧力をPOUT、流入側圧力をPINとすると、旋回モータ1についての運動方程式は、
【0055】
【数1】
【0056】
そこで、旋回体を目標速度で旋回させるのに必要な流入側圧力は、
【0057】
【数2】
【0058】
となる。
【0059】
ただし、アクチュエータ起動時には、流出側開口面積が小さく、この状態では流出側圧力は流入側圧力に対して敏感に変動し、瞬間的に数十kg/mm2も上昇する可能性がある。
【0060】
こうなると、流入側圧力の設定を行うフィードフォワード項としては、流出側圧力に対して旋回モータ2を目標速度で作動するのに必要な圧力を上乗せすることから、流出側圧力も大きく上昇し、回路上限圧に達してしまう。
【0061】
このため、旋回モータ2を目標速度で作動させるのに必要な差圧を確保できなくなる。
【0062】
そこで、流入側圧力演算部8において、上記数2の式による演算と並行して、予め定められた流出側圧力POUTLMを用いて、
【0063】
【数3】
【0064】
の演算を行う。そして、数2と数3で求められた値のうち低い側の値を選択し、これをレバー操作量に応じた流入側圧力のフィードフォワード量として決定する。
【0065】
(ロ)レバー操作量に応じた流出側開口面積(フィードフォワード量)の演算流出側開口面積演算部5は、旋回モータ1の目標速度から、同モータ1に流れる流量に換算した値をQmMとし、流出側開口面積AOUTを、
【0066】
【数4】
【0067】
によって求める。ここで、Cは係数、VOUTは流出側の配管容積、Kは作動油の見かけの体積弾性係数、P0は油タンクの圧力である。
【0068】
ただし、上記数4において、右辺の分母√(POUT−P0)が零近傍の値になる場合には、微小な一定値を用いて零になることを回避する。
【0069】
(ハ)比例積分演算(フィードバック量)
比例積分演算部13では、設定された目標速度と、モータ速度センサ17で検出された旋回モータ1の実速度との偏差を求め、これをもとに比例積分処理を行う。
【0070】
すなわち、上記速度偏差に、予め定めた比例ゲインを乗算してなる比例項と、偏差を予め定めた積分時間内で積分してなる積分項との総和を求め、これを流入側圧力および流出側開口面積についてのフィードバック量PX,Xとして決定する。
【0071】
(ニ)風や機械の傾斜による外乱を考慮した外乱補正演算
外乱を含む場合の運動方程式を考えると、外乱が存在することで旋回モータ1の前後差圧に生じる変化分をWとすると、
【0072】
【数5】
【0073】
よって、外乱による圧力変動Wは、
【0074】
【数6】
【0075】
となる。
【0076】
(ホ)流入側目標圧力演算
流入側圧力演算部8では、上記(イ)(ハ)(ニ)から、流入側目標圧力PINLMを、
【0077】
【数7】
PINLM=PIN+PX−W
で求め、この値を可変リリーフ弁7の設定圧として、リリーフ弁コントローラ9を介して同リリーフ弁7に指令する。
【0078】
ところで、急激な旋回減速時に、旋回モータ1の流入側の圧力が小さな値となり、キャビテーションが発生してショックが生じる可能性がある。そこで、このような状況下でキャビテーションを発生させないためのモータ流入側の最低圧力を求め、上記リリーフ弁7の指令圧に補正を加える。
【0079】
すなわち、まず、急激な減速時のモータ流入側圧力PINの時間微分値は、次の数8のように表される。
【0080】
【数8】
【0081】
ここで、Piは切換弁4に流入する直前の油の圧力で、理想的にはPINと等価である。また、通常時はPIN<Pi、キャビテーション時はPIN>Piとなる。
【0082】
AINは切換弁4のメータイン開口面積である。
【0083】
【数9】
【0084】
係数αはキャビテーションを発生させないように設定する。また、λ,αは実験的に求めて設定しておく。
【0085】
そして、任意の旋回速度における最低補償圧PiMINは、
【0086】
【数10】
【0087】
これから、
【0088】
【数11】
【0089】
そして、演算で求められた流入側目標圧力PINLMがこの最低補償圧PiMINを下回るときは、最低補償圧PiMINを指令圧とする。
【0090】
また、この最低圧補償を行うことによって不足する減速分は、次のようにして補償する。
【0091】
図4において、t1は演算によって求められた流入側目標圧力PINLMが最低補償圧PiMINを下回っている区間(時間)を示し、上記最低圧補償作用により、この区間t1では最低補償圧PiMINが指令圧として出力される。
【0092】
この間、最低補償圧PiMINと流入側目標圧力PINLMとの偏差分を力積(時間積分)して領域Aの面積を求め、流入側目標圧力PINLMが最低補償圧PiMINを上回った時点から、流入側目標圧力PINLMの代わりに最低補償圧PiMINを指令圧として出力する。
【0093】
これと同時に、偏差分を力積し、この区間t2での領域Bの面積が両域Aの面積と等しくなった時点で指令圧を流入側目標圧力PINLMに戻す。
【0094】
この相殺作用により、最低圧補償を行ったことの減速分がカバーされる。
【0095】
(ヘ)流出側目標開口面積演算
流出側開口面積演算部5では、上記(ロ)(ハ)から、目標速度を得るための流出側目標開口面積AOUTLMを、
【0096】
【数12】
AOUTLM=AOUT+X
で求める。
【0097】
そして、この算出された値を切換弁コントローラ6に入力し、算出された流出側開口面積が得られるように同切換弁4の位置を制御する。
【0098】
以上により、流入側圧力PINLMおよび流出側開口面積AOUTLMが設定され、旋回モータ1が、操作レバー10によって設定された目標速度で回転する。
【0099】
第2実施形態
目標速度設定部12は、上記のようにレバー操作量に応じて目標速度を設定する。ただし、オペレータによっては、速度特性をレバー操作量のみでなくレバー操作方向(加速、減速)によっても変えたいという要望がある。
【0100】
たとえば、加速時に、レバー操作量の大きい範囲で速度増加率が大きくなる速度特性を設定した場合に、レバー操作量が大きい状態から減速操作すると、わずかの操作量で速度が大きく変化するため、不馴れなオペレータでは操作性が悪くなる。
【0101】
そこで、第2実施形態では、目標速度設定部12において、レバー操作量によって決まる目標速度を第1目標値とし、次式で示される処理を行って第2目標値を求め、これを最終目標速度として設定する。
【0102】
【数13】
【0103】
この処理により、図5に示すようにレバー操作量に対する目標速度の変化特性を加速時と減速時とで異ならせ、両者間にヒステリシスをもたせる。具体的には、減速時には、レバー操作量の大きい範囲でレバー操作に対する速度の変化率を加速時よりも小さくし、同じ操作量で速度の変化が小さく(緩やか)になるように速度特性を設定する。
【0104】
こうすれば、レバーを大きく操作すれば速やかに加速される一方で、減速時には同じレバー操作で緩やかに減速され、速度の急変を回避することができる。
【0105】
ここで、上記数13〜数15の処理により、図5の破線で示すようにレバー操作速度が高いほど減速時の速度変化曲線が図の左側にシフトし、加速時と減速時との間のヒステリシスの幅が大きくなる。
【0106】
ただし、このヒステリシス特性は操作レバーが操作されている間のみに設定され、レバーを停止させれば、加速してきた場合でも減速してきた場合でも、その位置S1に応じて設定される目標速度(第1目標値)となる。
【0107】
なお、オペレータによって操作される選択スイッチを設け、この第2実施形態の処理を行うか否かをオペレータが選択できるようにしてもよい。
【0108】
ところで、上記実施形態では油圧クレーンや油圧ショベルにおいて上部旋回体を旋回させる旋回モータを制御対象として例にとったが、本発明は、巻上用油圧モータやブーム起伏シリンダ等、他の油圧アクチュエータにも上記同様に適用することができる。
【0109】
【発明の効果】
上記のように本発明によるときは、レバー操作量に応じて設定された目標速度と、検出された流出側圧力とから、アクチュエータを目標速度で作動させるのに必要な流入側圧力と流出側開口面積を求め、これにフィードバック量を加味して流入側圧力と流出側開口面積(差圧)を制御する構成、すなわち、フィードバック量を補助的に用いたフィードフォワード制御方式をとる構成としたから、従来のフィードバックのみによる制御方式による場合と比較して、レバー操作に対するアクチュエータ作動の追従性能を格段に向上させることができる。
【0110】
また、請求項2の発明によると、風や機械の傾き等の外乱による差圧の変動分に応じた補正を加えることにより、外乱があっても正確な速度制御を行うことができる。
【0111】
一方、請求項3の発明によると、レバー操作量/目標作動速度の特性をアクチュエータの加速時と減速時とで異ならせるため、加速時特性と減速時特性をオペレータの好み等に応じて適宜設定することにより、操作性を改善することができる。
【0112】
この場合、請求項4の発明にように、さらにレバー操作速度に応じて減速時の速度特性を変化させることにより、加速時の速度特性と減速時の速度特性との間のヒステリシスの幅を変化させ、操作性の一層の向上を期することができる。
【0113】
また、請求項5の発明によると、アクチュエータ作動速度に基づいてキャビテーションが発生しない最低補償圧を求め、指令圧がこの最低補償圧を下回らないように最低圧補償を行うため、レバー操作によって急激な減速指令が出された場合のキャビテーションの発生を防止することができる。
【0114】
ここで、請求項5の構成を前提とする請求項6の発明によると、指令圧が最低補償圧を上回った時点で、上記不足する減速度とその時間を乗算した力積分を指令圧に加えることによって減速補償することができる。
【0115】
一方、請求項7の発明によると、操作レバーの操作量が大きいほど目標作動速度の増加率が大きくなるため、高速を要求しているオペレータの意思に沿って速度を速やかに上昇させることができ、オペレータの意思にマッチした良好な操作フィーリングを得ることができる。
【0116】
また、請求項8の発明によると、常に、目標作動速度の最小値(0)から最大値までの領域を操作レバーの全操作領域に割り当てることができる。
【0117】
従って、レバー操作量/目標作動速度の特性をポンプ回転数(ポンプ吐出量)に関係なく固定して定めた場合のように、高ポンプ回転数時に余剰流が多くなってポンプ効率が悪くなったり(目標作動速度を低めに設定した場合)、低ポンプ回転数時にアクチュエータ流量が不足したり(目標作動速度を高めに設定した場合)する不都合が生じない。
【0118】
一方、請求項9の発明によると、流出側圧力検出手段によって検出された流出側圧力を用いて演算された流入側圧力値と、流出側圧力について予め定められた値を用いて演算された流入側圧力値のうち低圧側を選択するため、アクチュエータ起動時の流出側開口面積が小さい状態で流出側圧力が大きく上昇した場合には、予め定められた値を用いて流入側圧力が演算されるため、流入側圧力が必要以上に高くなるおそれがない。
【0119】
これにより、アクチュエータを目標速度で作動させるのに必要な差圧を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる旋回モータの速度制御装置全体の構成図である。
【図2】同装置における旋回モータの作動を制御する切換弁のストロークと流入側、流出側両開口面積との関係を示す図である。
【図3】同装置における操作レバーの操作量と目標旋回速度との関係を示す図である。
【図4】最低圧補償を行った場合の力積補正を説明するための時間と圧力の関係を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態における目標速度設定部の速度設定作用を説明するためのレバー操作量/速度の特性図である。
【図6】同実施形態においてレバーを停止させた場合に加速時と減速時とに関係なく同じ目標速度に設定されることを説明するためのレバー操作量/速度の特性図である。
【符号の説明】
1 旋回モータ
2 油圧ポンプ
4 切換弁
5 流出側圧力制御手段を構成する流出側開口面積演算部
6 同切換弁コントローラ
8 流入側圧力制御手段を構成する流入側圧力演算部
9 同リリーフ弁コントローラ
7 圧力制御弁としての可変リリーフ弁
13 流出側開口面積制御手段および流入側圧力制御手段を構成する比例積分演算部
10 操作レバー
11 レバー操作量検出手段としてのレバーセンサ
12 目標速度設定手段としての目標速度設定部
16 外乱演算手段としての外乱補正演算部
14,15 流入側流出側圧力検出手段としての圧力センサ
17 アクチュエータ速度検出手段としてのモータ速度センサ
Claims (9)
- 操作レバーの操作により切換弁を作動させて油圧ポンプから油圧アクチュエータに圧油を供給する油圧アクチュエータの速度制御装置において、
(a)上記操作レバーの操作量を検出する操作量検出手段、
(b)この操作量検出手段によって検出されたレバー操作量に応じてアクチュエータの目標作動速度を設定する目標速度設定手段、
(c)アクチュエータの流入側圧力を検出する流入側圧力検出手段、
(d)アクチュエータの流出側圧力を検出する流出側圧力検出手段、
(e)アクチュエータの実際の作動速度を検出するアクチュエータ速度検出手段、
(f)アクチュエータ流入側圧力を設定する圧力制御弁、
(g)上記目標作動速度と、上記流出側圧力検出手段によって検出された流出側圧力とからアクチュエータを目標作動速度で作動させるのに必要な流入側圧力を演算し、この演算値に、上記実速度検出手段によって検出されたアクチュエータの実際の作動速度と上記目標作動速度の偏差に応じた補正を加え、この補正後圧力を指令圧として上記圧力制御弁を制御する流入側圧力制御手段、
(h)上記目標作動速度と、上記流出側圧力検出手段によって検出された流出側圧力とから、アクチュエータを目標作動速度で作動させるために必要な上記切換弁の流出側開口面積を演算し、この演算値に、上記偏差に応じた補正を加え、この補正後開口面積が得られるように切換弁の位置を制御する流出側開口面積制御手段
を具備することを特徴とする油圧アクチュエータの速度制御装置。 - 請求項1記載の油圧アクチュエータの速度制御装置において、アクチュエータ速度検出手段によって検出されたアクチュエータの実際の作動速度と、流入側および流出側圧力検出手段によって検出された流入側および流出側圧力の差とに基づいて外乱による上記差圧の変動分を求める外乱演算手段が設けられ、流入側圧力制御手段が、この外乱演算部で求められた差圧変動分に応じた補正を加えるように構成されたことを特徴とする油圧アクチュエータの速度制御装置。
- 請求項1または2記載の油圧アクチュエータの速度制御装置において、目標速度設定手段は、操作レバーの操作量と、これに応じて設定される目標作動速度との関係を、アクチュエータの加速時と減速時とで異ならせるように構成されたことを特徴とする油圧アクチュエータの速度制御装置。
- 請求項3記載の油圧アクチュエータの速度制御装置において、目標速度設定手段は、減速時の速度特性を、さらにレバー操作速度に応じて変化させるように構成されたことを特徴とする油圧アクチュエータの速度制御装置。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の油圧アクチュエータの速度制御装置において、流入側圧力制御手段は、操作レバーの減速操作時にそのときのアクチュエータの実際の作動速度においてアクチュエータの流入側でキャビテーションが発生しない圧力の下限値である最低補償圧を求め、指令圧がこの最低補償圧を下回る場合は最低補償圧が確保されるように圧力制御弁を制御するように構成されたことを特徴とする油圧アクチュエータの速度制御装置。
- 請求項5記載の油圧アクチュエータの速度制御装置において、流入側圧力制御手段は、指令圧と最低補償圧の偏差を力積し、指令圧が最低補償圧を上回ったときに上記力積分を加えて補正するように構成されたことを特徴とする油圧アクチュエータの速度制御装置。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の油圧アクチュエータの速度制御装置において、目標速度設定手段は、操作レバーの操作量が大きいほど、このレバー操作量に対する目標作動速度の増加率が大きくなるように目標作動速度を設定するように構成されたことを特徴とする油圧アクチュエータの速度制御装置。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の油圧アクチュエータの速度制御装置において、目標速度設定手段は、操作レバーの全操作領域で目標作動速度が0から最大値まで変化するように、油圧ポンプの回転速度が高いほど目標作動速度の増加率が大きくなり、かつ、目標作動速度の最大値が大きくなるように目標作動速度を設定するように構成されたことを特徴とする油圧アクチュエータの速度制御装置。
- 請求項1乃至8のいずれかの構成において、流入側圧力制御手段は、流出側圧力検出手段によって検出された流出側圧力を用いて演算された流入側圧力の値と、流出側圧力について予め定められた値を用いて演算された流入側圧力の値のうち低圧選択を行うように構成されたことを特徴とする油圧アクチュエータの速度制御装置。
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