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JP3727232B2 - 亜鉛回収法 - Google Patents

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JP3727232B2 JP2000291982A JP2000291982A JP3727232B2 JP 3727232 B2 JP3727232 B2 JP 3727232B2 JP 2000291982 A JP2000291982 A JP 2000291982A JP 2000291982 A JP2000291982 A JP 2000291982A JP 3727232 B2 JP3727232 B2 JP 3727232B2
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竹四 阿座上
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竹四 阿座上
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、亜鉛回収法に関し、特に、鉄屑精錬炉、鉄鋼製錬、非鉄製錬で発生する酸化亜鉛含有ダストなど酸化亜鉛含有物(以下、酸化亜鉛含有原料とも記す)から有価金属である金属亜鉛および鉄原料を回収する亜鉛回収法に関する。
【0002】
【従来の技術】
年産1億トンに及ぶ我が国の鉄鋼生産量の30%以上を電気炉製鋼が占めており、電気炉製鋼においては主原料としてスクラップを用いている。
このため、電気炉製鋼ダスト中には亜鉛めっき鋼板に起因する亜鉛分が濃縮し、ダスト中の亜鉛含有量は20〜30%となっている。
【0003】
一方、産業廃棄物である電気炉製鋼ダストは、2次公害を防ぐため、廃棄も埋め立ても禁止され、処理費を負担して専門業者に処理を委託せざるを得ないのが現状である。
しかしながら、電気炉製鋼ダスト中の亜鉛量は15万トンにも達し、我が国の年間亜鉛生産量:70万トンの20%にも相当し、ダストからの亜鉛回収は資源確保、省資源の観点から極めて重要かつ緊急の技術課題である。
【0004】
これに対して、現在実施されている電気炉製鋼ダストの処理法は、ダストに石炭、粉コークスなどを添加して還元揮発させ、再酸化された低純度の酸化亜鉛(以下、粗酸化亜鉛とも記す)を回収し、再度コークスを還元剤として乾式製錬する方式である。
上記した電気炉製鋼ダストの還元揮発法は、ダスト中の亜鉛の濃縮には有効であるが、上記したように、還元揮発後に、ガス中に含まれる生成CO2 、還元時の加熱用バーナの未反応O2(未燃O2:過剰空気中のO2)などの酸化性ガスによって金属亜鉛の再酸化が生じ、生成した酸化亜鉛を主体とする粗酸化亜鉛を再度コークスを還元剤として還元する必要がある。
【0005】
すなわち、従来の酸化亜鉛含有ダストの処理法は、2段階の還元工程が必要であり非効率的な処理法であると共に、多量のコークスが必要であり省資源の面で問題がある。
また、粗酸化亜鉛を処理し、金属亜鉛を製造することが可能な製錬所が限定されるという問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来技術の問題点を解決し、鉄屑精錬炉、鉄鋼製錬、非鉄製錬で発生する酸化亜鉛含有ダストなど酸化亜鉛含有物(:酸化亜鉛含有原料)から、直接、有価金属である金属亜鉛を回収することが可能な亜鉛回収法並びに還元剤の使用量を削減し省資源を達成することが可能な亜鉛回収法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、酸化亜鉛および酸化鉄を含有する原料に還元剤を添加し、温度1000〜1200℃で加熱し、生成した金属亜鉛蒸気の再酸化によって生じた粗酸化亜鉛と、生成した金属鉄含有物をそれぞれ回収し、得られた粗酸化亜鉛および金属鉄含有物を混合し、さらに温度 1000 1200 かつ圧力1×103 Pa以下で加熱し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を回収することを特徴とする亜鉛回収法である
【0011】
前記した第の発明においては、前記回収によって得られた金属鉄含有物を粉砕し、得られた粉末と前記回収によって得られた粗酸化亜鉛との混合物を加熱し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を回収することが好ましい(第の発明の第1の好適態様)。
なお、上記した第の発明の第1の好適態様においては、前記回収によって得られた金属鉄含有物および粗酸化亜鉛の両者を別個にもしくは混合状態で粉砕した後、金属鉄含有物および粗酸化亜鉛の混合粉末を加熱し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を回収してもよい。
【0012】
また、前記した第の発明、第の発明の第1の好適態様においては、前記回収によって得られた粗酸化亜鉛を加熱処理し鉛含有量を1.0 %以下とし、得られた精製酸化亜鉛もしくは該精製酸化亜鉛を粉砕して得られた粉末と、前記回収によって得られた金属鉄含有物もしくは該金属鉄含有物を粉砕して得られた粉末との混合物を加熱し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を回収することがより好ましい(第の発明の第2の好適態様、第3の好適態様)。
【0013】
の発明は、酸化亜鉛および酸化鉄を含有する原料に還元剤を添加し、温度1000〜1200℃で加熱し、生成した金属亜鉛蒸気の再酸化によって生じた粗酸化亜鉛と、生成した金属鉄含有物をそれぞれ回収し、得られた粗酸化亜鉛および金属鉄含有物に、結合剤またはさらに水を添加、混練、成型し、得られた成型物を温度1000〜1200℃かつ圧力1×103 Pa以下で加熱し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を回収することを特徴とする亜鉛回収法である。
【0014】
前記した第の発明においては、前記回収によって得られた金属鉄含有物を粉砕し、得られた粉末および前記回収によって得られた粗酸化亜鉛に、結合剤またはさらに水を添加、混練、成型し、得られた成型物を加熱し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を回収することが好ましい(第の発明の第1の好適態様)。
【0015】
なお、上記した第の発明の第1の好適態様においては、前記回収によって得られた金属鉄含有物および粗酸化亜鉛の両者を別個にもしくは混合状態で粉砕した後、金属鉄含有物および粗酸化亜鉛の混合粉末に結合剤またはさらに水を添加、混練、成型し、得られた成型物を加熱し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を回収してもよい。
【0016】
また、前記した第の発明、第の発明の第1の好適態様においては、前記回収によって得られた粗酸化亜鉛を加熱処理し鉛含有量を1.0 %以下とし、得られた精製酸化亜鉛もしくは該精製酸化亜鉛を粉砕して得られた粉末および前記回収によって得られた金属鉄含有物もしくは該金属鉄含有物を粉砕して得られた粉末に、結合剤またはさらに水を添加、混練、成型し、得られた成型物を加熱することがより好ましい(第の発明の第2の好適態様、第3の好適態様)。
【0017】
また、前記した第の発明、第の発明の第1の好適態様〜第3の好適態様においては、前記した混練時の混練物の水分含有量は、結合剤および水分を含めた全配合原料中で、好ましくは1.0 %以上、より好ましくは2.0 %以上、さらに好ましくは2.0 %以上、10.0%以下であることが好ましい(第の発明の第4の好適態様〜第7の好適態様)。
【0018】
また、前記した第の発明、第の発明の第1の好適態様〜第3の好適態様、第の発明、第の発明の第1の好適態様〜第7の好適態様においては、前記した生成した金属亜鉛蒸気の再酸化によって生じた粗酸化亜鉛が、生成した金属亜鉛蒸気を含有するガス中に随伴されるCO2 および/または前記した還元剤を添加、加熱時に該加熱・還元炉に流入する空気中O2の未反応O2である酸化性ガスおよび/または上記した金属亜鉛蒸気を含有するガス中に導入する空気中のO2によって再酸化された粗酸化亜鉛であることが好ましい(第の発明の第4の好適態様〜第7の好適態様、第の発明の第8の好適態様〜第15の好適態様)。
【0019】
さらに、前記した第2の発明、第2の発明の第1の好適態様〜 15の好適態様においては、前記した結合剤としてアルカリ土類金属の水酸化物および/またはベントナイトを用いることが好ましく、アルカリ土類金属の水酸化物としては水酸化カルシウムを用いることが特に好ましい。
【0020】
また、上記した結合剤の添加量は、その合計量として、該結合剤を含む全配合原料(乾量)中において乾量で1〜15%であることが好ましく、さらには1〜10%であることが好ましい。
なお、前記した第の発明、第の発明における粗酸化亜鉛とは、酸化亜鉛以外の不純物と酸化亜鉛とを含有する物質を示す。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
通常、亜鉛製錬工程で酸化亜鉛を還元して金属亜鉛を製造する場合、還元剤としてコークスなど炭素質還元剤を使用し、生成する亜鉛蒸気を冷却捕集する。
また、電気炉製鋼ダストなどの鉄屑精錬炉発生ダストから金属亜鉛を製造する場合は、前記したように、ダストに石炭、粉コークスなどを添加して還元揮発させる。
【0022】
上記で還元揮発した金属亜鉛は、随伴される雰囲気ガス中のCO2 、還元時の加熱用バーナの未反応O2(未燃O2:過剰空気中のO2)並びにZnO フューム形成によるZn回収率の増加および冷却のために導入する空気中のO2などによってほとんど再酸化され、再酸化によって生成した粗酸化亜鉛を、従来の亜鉛製錬工程で金属亜鉛とする。
【0023】
上記した方法は、乾式亜鉛製錬発生ダスト、鉄屑精錬炉発生ダストからの亜鉛の回収方法それぞれにおいて共通する普遍的な技術として常用されている。
しかしながら、上記した還元揮発法は、ダスト中の低濃度の亜鉛の濃縮法であり、還元揮発後に、ガス中に含まれる生成CO2 、未反応O2(未燃O2)などの酸化性ガスによって金属亜鉛の再酸化が生じ、生成した酸化亜鉛を主成分とする粗酸化亜鉛を再度コークスを還元剤として還元する必要がある。
【0024】
すなわち、従来の酸化亜鉛含有ダストの処理法は、2段階の還元工程が必要であり非効率的な処理法であると共に、多量のコークスが必要であり省資源の面で問題がある。
これに対して、本発明の亜鉛回収法は、金属鉄と金属亜鉛の対酸素親和力の温度依存性が逆であることを利用し、酸化亜鉛と金属鉄を共存せしめることによって、直接、金属亜鉛を回収するものである。
【0025】
本発明における主反応は、下記式(1) で示される。
ZnO(S)+Fe(S) =Zn(g) +FeO(S)………(1)
本発明者らは、上記した式(1) の反応によって生成するZn(g) の平衡分圧は、熱力学的計算によると、1200℃において1気圧を超え、工業的応用が可能であると考えた。
【0026】
このため、本発明者らは、上記した反応に関して鋭意実験を行い、スケールアップ実験によって、下記知見(1) 〜(2) を見出し、酸化亜鉛含有原料から金属亜鉛を高収率で回収することに成功し、本発明を完成した
【0027】
(1) 酸化亜鉛−酸化鉄含有原料を用いた粗酸化亜鉛製造時の金属鉄含有副生物の活用による金属亜鉛の回収(第の発明、第の発明):
本発明は、前記したように、酸化亜鉛の還元剤として金属鉄粉などの金属鉄含有粉末を用いることに一つの大きな特徴を有する。
【0028】
このため、上記した金属鉄含有粉末の供給源が重要となる。
本発明においては、上記した金属鉄含有粉末として、好ましくは、例えば、鉄鋼製造工程で生じる転炉ダスト、厚板のショットブラストで使用後の細かいショット粒(以下、厚板ショットと記す)などの廃鉄粉を用いることができる。
さらに、本発明者らは、本発明において重要な金属鉄含有粉末の供給源について鋭意検討した。
【0029】
その結果、電気炉製鋼ダストなどの鉄屑精錬炉発生ダストから粗酸化亜鉛を回収する際に発生するクリンカー(:ウエルツからみ)などの金属鉄含有副生物に着目し、下記式(2) 〜(4) の反応で構成される亜鉛回収法に想到した(第の発明、第の発明)。
反応装置A:ZnO(S)+Fe2O3(S)+ 2C=Zn(g) +2Fe(S) +2CO2……(2)
蒸発金属亜鉛回収装置:Zn(g) +αO2+βCO2 =ZnO(S)………………(3)
反応装置B:ZnO(S)+Fe(S) =Zn(g) +FeO(S)…………………………(4)
すなわち、電気炉製鋼ダストなどの鉄屑精錬炉発生ダストから上記反応装置A、蒸発金属亜鉛回収装置によってコークスなどの還元剤を用いて上記式(2) 、(3) に従って亜鉛を濃縮し、粗酸化亜鉛を回収する場合、反応装置Aにおいて発生する副生物〔クリンカー(:ウエルツからみ)〕は、上記式(2) によって生成する金属鉄を含有し、従来はセメント製造の際の鉄原料として使用されていたが、その使用量は限定されていた。
【0030】
これに対して、本発明によれば、鉄屑精錬炉発生ダストなどの酸化亜鉛および酸化鉄を共に含有する原料にコークスなどの還元剤を添加、加熱する際に得られる金属鉄含有副生物を、前記反応装置Bにおいて酸化亜鉛の還元剤として用いることによって、高収率で金属亜鉛の回収が可能となると共に、本発明において重要な金属鉄含有粉末の供給源が確保でき、従来の亜鉛製錬工程で必要であったコークスが不要となり、省資源を達成することができる。
【0031】
また、従来、酸化亜鉛の濃縮、回収にとどまっていた鉄屑精錬炉発生ダストなどの酸化亜鉛含有原料を用いた酸化亜鉛の回収設備において、金属亜鉛の回収が可能となる。
(2) 結合剤を添加した混合原料成型物の使用によるハンドリング性の向上および反応率の向上(第2の発明)
結合剤および水を用いて混練、成型して得られた成型物を用いることによって、金属亜鉛回収時の原料のハンドリング性および回収後の副生物のハンドリング性が向上するばかりでなく、前記した式(1)[式(4)]における反応率が向上し、生産性に優れた方法で金属亜鉛を回収できる。
【0032】
以下、第1の発明、第2の発明の順に述べる
【0051】
〔第の発明、第の発明:〕
(第の発明:)
の発明は、酸化亜鉛および酸化鉄を含有する原料に還元剤を添加、加熱(以下、前段加熱とも記す)し、生成した金属亜鉛蒸気の再酸化によって生じた粗酸化亜鉛と、生成した金属鉄含有物をそれぞれ回収し、得られた粗酸化亜鉛および金属鉄含有物を混合、加熱(以下、後段加熱とも記す)し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を回収する亜鉛回収法である。
【0052】
本発明においては、上記した前段加熱時の温度 1000〜1200℃とする。さらには1100〜1200℃であることが好ましい。
これは、前段加熱時の温度が1000℃未満の場合は、酸化亜鉛の還元、蒸発速度および酸化鉄の還元速度が遅くなり、生産性が低下し、逆に1200℃を超える場合は、上記還元、蒸発速度および還元速度の増加効果が小さくなると共に、エネルギー消費量が増加し、また炉内滞留物の溶融が生じるなど操業面の問題が生じるためである。
【0053】
また、上記した後段加熱時の温度は 1000〜1200℃とする。好ましくは1100〜1200℃である。これは、加熱時の温度(反応温度)が 1000 ℃未満の場合、反応速度が遅く、反応炉内(還元炉内)における必要滞留時間が長くなり、生産性が低下し、逆に 1200 ℃を超える場合は、エネルギー消費量が過大となり、経済的でないと共に、炉内装入物が溶融するなど操業上の問題が生じるためである。
また、上記した後段加熱時の雰囲気ガスの圧力(絶対圧)は、1×103Pa(:7.5Torr)以下とする。好ましくは4×102Pa(:3.0Torr)以下である。これは、雰囲気ガスの圧力(絶対圧)を1× 10 3 Pa 以下とすることによって、前記した式 (1)[ (4)] の反応の反応速度が増加し、生産性の向上、反応温度の低下が可能となるためである。
【0054】
上記した後段加熱時の雰囲気ガスの圧力(絶対圧)の下限値は、特に制限されるものではない。
なお、本発明における還元剤としては、コークス、石炭、重油または灯油などを用いることができ、またこれらを2種以上併用して用いることもできる。
また、本発明においては、COおよび/またはH2を含有する還元性ガスを用いることもできる。
【0055】
さらに、本発明においては、出発原料である酸化亜鉛および酸化鉄を含有する原料が、鉄屑精錬炉発生ダストなど酸化亜鉛および酸化鉄を含有する物質の成型物であることが好ましい。
これは、前記した酸化亜鉛および酸化鉄を含有する原料として成型物を用いることによって、原料のハンドリング性が良好となると共に、後記する傾斜型筒状回転式加熱炉(ロータリーキルン式加熱炉)など工業的に好適な加熱炉を使用し易くなるためである。
【0056】
次に、図1に、本発明(:第の発明)の亜鉛回収法の工程図の一例を、反応式と併せて示す。
図1において、1は傾斜型筒状回転式加熱炉(ロータリーキルン式加熱炉)など加熱炉(以下、前段加熱炉とも記す)、2は還元炉(以下、後段加熱炉とも記す)、3は粗酸化亜鉛捕集槽、4、6は電気集塵機、5は金属亜鉛捕集槽、7は排ガス浄化装置、8aは粉砕機、9は選別機、10a 、10b はガス・生成物送給配管、10c はガス送給配管を示す。
【0057】
還元炉2(:後段加熱炉)としては、傾斜型筒状回転式加熱炉の外周の壁内に抵抗発熱体(電気ヒータ)などを配設した外熱式の傾斜型筒状回転式加熱炉、固定式竪型加熱炉などを用いることができ、その方式、型式は特に制限されるものではない。
なお、上記した還元炉2内は、非酸化性雰囲気とすることが必要であり、このためには、還元炉2内にN2などの不活性ガスを吹き込むことが好ましく、また、不活性ガスの吹き込みに代えて、真空ポンプなど排気装置によって炉内ガスを吸引し、還元炉2内を減圧条件とすることがさらに好ましい。
【0058】
すなわち、本発明においては、還元炉2(:後段加熱炉)内を減圧条件とすることによって、還元炉2における反応温度を低下させることが可能であり、還元炉2の設備面での制約を軽減できる。
図1に示す亜鉛回収工程においては、下記(1) 〜(3) の工程によって、電気炉製鋼ダスト(以下、製鋼煙灰とも記す)から金属亜鉛を回収する。
【0059】
(1) 粗酸化亜鉛の製造工程:
製鋼煙灰〔造粒物(ペレット)〕およびコークスなどの還元剤を加熱炉1に供給すると共に、バーナの燃焼ガスなどの高温燃焼ガスを加熱炉(:前段加熱炉)1に吹き込む。
加熱炉1内で生成した金属亜鉛の蒸気は、粗酸化亜鉛捕集槽3へ送給される過程で、随伴されるガス中のCO2 、加熱用高温燃焼ガス中の未反応O2(過剰空気中のO2)並びにZnO フューム形成によるZn回収率の増加および冷却のために導入する空気中のO2によって再酸化され、粗酸化亜鉛捕集槽3、電気集塵機4で純度の低い酸化亜鉛(:粗酸化亜鉛)として捕集される。
【0060】
一方、加熱炉1内においては、製鋼煙灰中の酸化鉄が還元され、金属鉄(以下、M.Feとも記す)を含有する物質(金属鉄含有物)が生成する。
(2) 金属亜鉛の回収工程:
図1に示す本発明の亜鉛回収工程においては、上記した粗酸化亜鉛の製造工程で得られた粗酸化亜鉛と金属鉄含有物を還元炉(:後段加熱炉)2に供給する。
【0061】
また、加熱炉1から排出される金属鉄含有物中にスラグ、未燃コークスが混入する場合は、図1に示すように、粉砕機8aによって金属鉄含有物を粉砕し、選別機9によって、金属鉄粉(M.Fe)とスラグ、未燃コークスとを分離し、得られた金属鉄粉(M.Fe)を還元炉2に供給することが好ましい。
選別機9としては、比重選鉱機、磁選機、篩分け機などを用いることができる。
【0062】
なお、加熱炉1から排出される金属鉄含有物中のスラグ、未燃コークスが少ない場合は、選別機9を用いず粉砕機8aによって粉砕した金属鉄(M.Fe)含有物を還元炉2に供給してもよい。
また、粗酸化亜鉛は、必要に応じて粉砕機によって粉砕した後、還元炉2に供給してもよい。
【0063】
炉内雰囲気を非酸化性条件に保った還元炉(:後段加熱炉)2においては、前記した式(1)[式(4)]にしたがって、酸化亜鉛が金属亜鉛に還元され、金属亜鉛は亜鉛蒸気となる。
還元炉2内で生成した金属亜鉛の蒸気は、ガス・生成物送給配管10a を経由して金属亜鉛捕集槽5へ送給され、凝縮されて、金属亜鉛捕集槽5で高純度の金属亜鉛が回収される。
【0064】
一方、還元炉2内で生成した酸化鉄・金属鉄混合固形物は、製鉄所の鉄源、セメント原料などとして有効活用できる。
なお、図1に示す亜鉛回収工程においては、前記したように、好ましくは還元炉2と金属亜鉛捕集槽5との間のガス・生成物送給配管10a 、もしくは金属亜鉛捕集槽5の後流側のガス・生成物送給配管10b 、ガス送給配管10c に真空ポンプなどの排気装置(減圧装置)を配設し、還元炉2内を減圧することによって、還元炉2における反応速度を大とするか、もしくは反応温度を低下することが可能である。
【0065】
この場合の還元炉2内の圧力(絶対圧)は、前記と同様の理由で、1×103Pa(:7.5Torr)以下であることが好ましく、さらには4×102Pa(:3.0Torr)以下であることがより好ましい。
なお、還元炉2内の圧力(絶対圧)の下限値は、特に制限されるものではない。
【0066】
(3) 排ガスの浄化工程:
図1に示す亜鉛回収工程において発生する排ガスは電気集塵機4、6で除塵された後、排ガス浄化装置7に送給され、さらに浄化され、清浄ガスが系外へ放散される。
排ガス浄化装置7としては、ガス洗浄塔を配設することが好ましい。
【0067】
〔第の発明:〕
の発明は、酸化亜鉛および酸化鉄を含有する原料に還元剤を添加、加熱(:前段加熱)し、生成した金属亜鉛蒸気の再酸化によって生じた粗酸化亜鉛と、生成した金属鉄含有物をそれぞれ回収し、得られた粗酸化亜鉛および金属鉄含有物に、結合剤またはさらに水を添加、混練、成型し、得られた成型物を加熱(:後段加熱)し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を回収する亜鉛回収法である。
【0068】
図2に、本発明の亜鉛回収法の工程図の一例を、反応式と併せて示す。
図2において、11は混練機、12は成型機を示し、その他の符号は前記した図1と同様の内容を示す。
図2に示す亜鉛回収工程においては、前記した図1に示す亜鉛回収工程の各工程(1) 〜(3) と同様の工程によって、電気炉製鋼ダスト(:製鋼煙灰)から金属亜鉛を製造するが、粗酸化亜鉛捕集槽3および電気集塵機4で捕集された粗酸化亜鉛および加熱炉(:前段加熱炉)1から排出される金属鉄(M.Fe)含有物に結合剤またはさらに水を添加し、混練機11で混練した後、成型機12で成型し、得られた成型物を還元炉(:後段加熱炉)2に供給する。
【0069】
なお、結合剤またはさらに水に加えて必要に応じて廃鉄粉などの金属鉄粉を添加してもよい。
本発明によれば、粗酸化亜鉛および金属鉄含有物に結合剤またはさらに水を添加、混練、成型し、得られた成型物を用いて反応せしめることによって、酸化亜鉛の金属鉄による還元時の原料のハンドリング性および生成する酸化鉄のハンドリング性が向上するばかりでなく、酸化亜鉛の反応性が向上し、単位時間当たりの金属亜鉛の蒸発率が増加し、生産性が向上する。
【0070】
本発明における成型法としては、特に制限を受けるものではなく、転動造粒法、プレス成型法、押し出し成型法などを用いることができる。
また、結合剤の種類としては、酸化亜鉛含有原料粒子と金属鉄粉粒子との結合を強化することが可能な結合剤であれば特に制限を受けるものではなく、好ましくはアルカリ土類金属の水酸化物、ベントナイトまたはパルプ廃液などが例示され、これら2種以上を併用してもよい。
【0071】
本発明においては、単位時間当たりの金属亜鉛蒸発率の増加効果の面から、結合剤としてアルカリ土類金属の水酸化物および/またはベントナイトを用いることがより好ましい。
また、上記した結合剤の添加量は、その合計量として、該結合剤を含む全配合原料(乾量)中において乾量で1〜15%であることが好ましく、さらには1〜10%であることがより好ましい。
【0072】
上記した結合剤の添加量が1%未満の場合は、前記した本発明における結合剤の添加効果が小さく、15%を超える場合は本発明における結合剤の添加効果が実用上飽和し、経済的でない。
前記したアルカリ土類金属の水酸化物としては、Ca(OH)2 および/またはMg(OH)2 を用いることが好ましい。
【0073】
さらに、本発明においては、結合剤としては、Ca(OH)2 を用いることが特に好ましい。すなわち、結合剤として Ca(OH) 2 を用いることによって、酸化亜鉛の活量係数および原料粉末粒子間の結合力が増加し、反応性が向上すると共に、生成する酸化鉄と未反応金属鉄を含有する残渣を含有する電気炉製鋼などにおける鉄源として用いる場合、 Ca(OH) 2 および/または Ca(OH) 2 の熱分解生成物である CaO が電気炉製鋼などにおける造滓剤として有効に活用される。
なお、混練時の混練物の水分含有量は、結合剤および水分を含めた全配合原料中で、好ましくは1.0 %以上、より好ましくは2.0 %以上、さらに好ましくは2.0 %以上、10.0%以下であることが好ましい。これは、水分含有量が 1.0 %未満の場合は、原料粉末粒子同士の結合が不十分となり、得られる成型物の強度が低下するばかりでなく、成型物加熱時の単位時間当たりの金属亜鉛の蒸発率が低下し、生産性が低下し、逆に水分含有量が 10.0 %を超える場合は、得られる成型物の強度向上効果が実用上飽和し、また得られた成型物の加熱時に過剰のエネルギーを消費する結果となるためである。
【0074】
なお、本発明においては、上記した水分は、混練に際して添加する水に限定されることはなく、予め原料中および/または結合剤中に所定量以上の水分が含まれている場合は、必ずしも混練に際して新たに水を添加する必要はない。
酸化亜鉛および酸化鉄を含有する原料に還元剤を添加した後の加熱時の温度、すなわち前段加熱時の温度は、前記した第3の発明と同様の理由 1000〜1200℃とする。さらには1100〜1200℃であることが好ましい。
【0075】
また、成型物の加熱(:後段加熱)時の温度、すなわち反応温度は、前記した第1の発明と同様の理由 1000〜1200℃とする。好ましくは1100〜1200℃である。
また、成型物の加熱時の雰囲気ガスの圧力(絶対圧)は、前記した第1の発明と同様の理由で1×103Pa(:7.5Torr)以下とする。好ましくは4×102Pa(:3.0Torr)以下である。
【0076】
成型物の加熱時の雰囲気ガスの圧力(絶対圧)の下限値は、特に制限されるものではない。
また、図2に示す亜鉛回収工程においては、加熱炉1から排出される金属鉄含有物中にスラグ、未燃コークスが混入する場合は、図2に示すように、粉砕機8aによって金属鉄含有物を粉砕し、選別機9によって、金属鉄粉(M.Fe)とスラグ、未燃コークスとを分離し、得られた金属鉄粉(M.Fe)を混練機11に供給することが好ましい。
【0077】
選別機9としては、比重選鉱機、磁選機、篩分け機などを用いることができる。
なお、加熱炉1から排出される金属鉄含有物中のスラグ、未燃コークスが少ない場合は、選別機9を用いず粉砕機8aによって粉砕した金属鉄(M.Fe)含有物を混練機11に供給してもよい。
【0078】
また、粗酸化亜鉛は、必要に応じて粉砕機によって粉砕した後、混練機11に供給してもよい。
上記した図2に示す亜鉛回収工程によれば、還元炉2の原料として粗酸化亜鉛、金属鉄含有物および結合剤を含有する混合原料の成型物を用いることによって、酸化亜鉛の金属鉄による還元時の原料のハンドリング性および生成する副生物である酸化鉄のハンドリング性が向上するばかりでなく、酸化亜鉛の反応性が向上し、単位時間当たりの金属亜鉛の蒸発率が増加し、生産性が向上する。
【0079】
図3に、上記した第の発明の亜鉛回収法の工程図の他の一例を、反応式と併せて示す。
図3において、8bは粉砕機、15は傾斜型筒状回転式加熱炉(ロータリーキルン式加熱炉)など加熱炉(以下、精製炉とも記す)、16は排ガス洗浄塔、17は電気集塵機を示し、その他の符号は前記した図1、図2と同様の内容を示す。
【0080】
図3に示す亜鉛回収工程においては、前記した図2に示す亜鉛回収工程の各工程と同様の工程によって、電気炉製鋼ダスト(:製鋼煙灰)から金属亜鉛を回収するが、粗酸化亜鉛捕集槽3および電気集塵機4で捕集された粗酸化亜鉛をさらに加熱炉(:精製炉)15によって熱処理し、Pb、Cd、Na、K、Cl、Fなどの不純物を揮発除去する。
【0081】
すなわち、第の発明においては、粗酸化亜鉛中にPbが含まれている場合は、粗酸化亜鉛を、好ましくは処理温度:600 〜1100℃の条件下で予め加熱処理(:予備加熱処理)し、Pb含有量を1.0 %以下とし、得られた精製酸化亜鉛を用いることが好ましい。これは、処理温度が 600 ℃未満の場合は、 Pb の除去率が低下し、 1100 ℃を超える場合は、 Pb の除去効果が実用上飽和し経済的でないためである。
また、不純物を揮発除去して得られる精製酸化亜鉛および加熱炉1から排出される金属鉄(M.Fe)含有物に、結合剤またはさらに水を添加し、混練機11で混練した後、成型機12で成型し、得られた成型物を還元炉2に供給する。
【0082】
なお、結合剤またはさらに水に加えて必要に応じて廃鉄粉などの金属鉄粉を添加してもよい。
また、図3に示す亜鉛回収工程においては、加熱炉1から排出される金属鉄含有物中にスラグ、未燃コークスが混入する場合は、図3に示すように、粉砕機8aによって金属鉄含有物を粉砕し、選別機9によって、金属鉄粉(M.Fe)とスラグ、未燃コークスとを分離し、得られた金属鉄粉(M.Fe)を混練機11に供給することが好ましい。
【0083】
選別機9としては、比重選鉱機、磁選機、篩分け機などを用いることができる。
なお、加熱炉1から排出される金属鉄含有物中のスラグ、未燃コークスが少ない場合は、選別機9を用いず粉砕機8aによって粉砕した金属鉄(M.Fe)含有物を混練機11に供給してもよい。
【0084】
また、図3に示すように、精製酸化亜鉛は、粉砕機8bによって粉砕した後、混練機11に供給することが好ましい。
上記した図3に示す亜鉛回収工程によれば、電気炉製鋼ダストに含まれるPbなどの不純物が加熱炉(:精製炉)15において揮発除去されるため、最終的に金属亜鉛捕集槽5で得られる金属亜鉛の純度がさらに向上する。
【0085】
以上、本発明(第1の発明〜第の発明)について述べたが、本発明によれば、酸化亜鉛と金属鉄との混合原料、好ましくはさらに結合剤および水もしくはさらに必要に応じて廃鉄粉などの金属鉄粉を添加、混練、成型して得られたブリケットあるいはペレットなどの成型物(造粒物)を、好ましくは不活性ガス雰囲気下、さらに好ましくは減圧下で、加熱することによって、迅速に金属亜鉛蒸気が生成し、得られた蒸気を冷却することによって、高純度の金属亜鉛を効率よく生産性に優れた方法で回収することができる。
【0086】
なお、前記した式(1)[(4)]の反応における生成ガスは、Zn(g) のみであり、本発明は、CO2 、O2、COなどの共存気体との反応によって、酸化亜鉛の再酸化が不可避な前記した従来技術とは基本的に異なり、直接、高純度の金属亜鉛が容易に得られることが本発明の大きな特徴の一つである。
さらに、本発明によれば、産業廃棄物を有効活用し、貴重な有価金属である金属亜鉛を直接回収することが可能となると共に、金属亜鉛回収後に得られる酸化鉄および未反応金属鉄を含有する残渣は、そのまま自溶性還元ペレットなどの形態で電気炉などに鉄源としてリサイクルでき、省資源および省エネルギーに大きく寄与することが可能となった。
【0087】
また、本発明によれば、粗酸化亜鉛の製造工程で副生し、従来セメント製造の際の鉄原料として使用されていたクリンカー(:ウエルツからみ)を還元剤として用いることによって、従来の亜鉛製錬におけるコークスなどの還元剤の使用量を削減し省資源を達成することができる。
【0088】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
(実施例1)
精製酸化亜鉛並びに金属鉄粉を用いて、金属亜鉛の回収実験を行った。
精製酸化亜鉛としては、電気炉製鋼ダスト(:製鋼煙灰)をコークスで還元し、金属亜鉛を蒸発せしめ、回収工程における再酸化で得られた粗酸化亜鉛を加熱処理、粉砕して得られた表1に示す組成の精製酸化亜鉛の粉末を用いた。
【0089】
また、金属鉄粉としては、表1に示す組成の厚板ショット(:鉄鋼製造工程における厚板のショットブラストで使用後の細かいショット粒)を用いた。
反応器としては、図4に示す実験還元炉を用いた。
なお、図4において、20は精製酸化亜鉛・金属鉄粉(M.Fe)・結合剤混合成型物(以下、混合原料成型物とも記す)、21は溶融金属亜鉛、22は反応室、23はルツボ、24は金属亜鉛凝縮室、25はコンデンサー(凝縮器)、26は冷却用ジャケット、26a は冷却水、27はリザーバー、28は抵抗発熱体、29は排気管、30は真空ポンプ、31a 、31b は熱電対、32は破砕シャモットレンガ、33は破砕シャモットレンガの支持材(多孔板)、34は蓋(多孔板)、35は黒鉛製のリング、36はドラフトチャンバを示す。
【0090】
なお、コンデンサー25の上部は多孔板で構成し、炉内(反応室、金属亜鉛凝縮室)のガスを真空ポンプ30で排気した。
また、破砕シャモットレンガ32は、生成した液体金属亜鉛の液滴が高温の反応室22内に滴下し再蒸発を繰り返したり、飛沫同伴により不純分が金属亜鉛を汚染することを防止するために配設した。
【0091】
本実験においては、先ず、精製酸化亜鉛の粉末と厚板ショットに、結合剤として消石灰あるいはベントナイト(表2参照)の粉末および水を添加し、混練した後、プレス成型し、精製酸化亜鉛・厚板ショット・結合剤混合原料成型物(:混合原料成型物、以下ブリケットとも記す)を製造した。
なお、厚板ショットおよび結合剤の添加量は、全配合原料(乾量)中において乾量でそれぞれ57%および5%とし、混練物の水分は3.5 %に調整した。
【0092】
次に、得られた混合原料成型物(:ブリケット)を、図4に示す実験還元炉の反応室22内に充填した後、抵抗発熱体28に通電し、反応室22周囲温度を1050℃に昇温した。
反応室22周囲温度=1050℃、反応室22内圧力(絶対圧)=(3〜4)×102Pa(2〜3Torr)に保持し、1時間経過後、降温した。
【0093】
次に、下記方法で本実験還元炉における金属亜鉛蒸発率、金属亜鉛回収率を調査した。
〔金属亜鉛蒸発率、金属亜鉛回収率:〕
(金属亜鉛回収量A:)
上記した実験終了後、実験還元炉炉内から、混合原料成型物(ブリケット)20、ルツボ23、コンデンサー25、リザーバー27、破砕シャモットレンガ32、支持材(多孔板)33、蓋(多孔板)34、リング35を取り出した。
【0094】
次に、ブリケット以外の上記各部材のそれぞれの質量を測定し、得られたそれぞれの質量とそれぞれの実験前の質量との差を合計し、その合計値を金属亜鉛回収量A(g) とした。
金属亜鉛蒸発量B:)
実験前のブリケットの質量M1(g) 、Zn含有量Zn1 (%)、実験後のブリケットの質量M2(g) 、Zn含有量Zn2 (%)から、下記式(5) に基づき、金属亜鉛蒸発量Bを求めた。
【0095】
金属亜鉛蒸発量B(g) =(M1×Zn1 −M2×Zn2 )/100……………………(5)
(金属亜鉛蒸発率:)
上記の測定値、分析値から、下記式(6) に基づき、金属亜鉛蒸発率を求めた。
金属亜鉛蒸発率(%)=[(M1×Zn1 −M2×Zn2)/(M1×Zn1)] ×100 ……(6)
(金属亜鉛回収率:)
前記で求めた金属亜鉛回収量A(g) および金属亜鉛蒸発量B(g) に基づき、下記式(7) から金属亜鉛回収率を求めた。
【0096】
金属亜鉛回収率(%)=(金属亜鉛回収量A/ 金属亜鉛蒸発量B)/100…(7)
【0097】
【表1】
Figure 0003727232
【0104】
(実施例
図5に、得られた実験結果のうちの金属亜鉛蒸発率を示す。
【0105】
に示されるように、酸化亜鉛含有原料および金属鉄粉に結合剤としてベントナイトを添加、混練、成型し、得られた成型物を加熱することによって、消石灰添加の場合と同程度に、単位反応時間当たりの金属亜鉛蒸発率を増加し、生産性を向上することが可能であることが分かった。
【0106】
【表2】
Figure 0003727232
【0107】
(実施例
に示す亜鉛回収工程にしたがって、電気炉製鋼ダスト(:製鋼煙灰)(ペレット)から金属亜鉛を回収した。
なお、図において、40は還元実験装置、41は実験還元炉を示し、その他の符号は前記した図1、図2と同様の内容を示す。
【0108】
なお、図に示す加熱炉1としては、傾斜型筒状回転式加熱炉(ロータリーキルン式加熱炉)を用い、実験還元炉41としては、前記した図4に示す実験還元炉を用いた。
本実施例においては、図に示す亜鉛回収工程において、表に示す組成の電気炉製鋼ダスト(:製鋼煙灰)のペレットおよびコークスを加熱炉1に供給すると共に、バーナによる重油燃焼高温燃焼ガスを加熱炉1に吹き込んだ。
【0109】
また、加熱炉1内で生成した金属亜鉛の蒸気を、粗酸化亜鉛捕集槽3、電気集塵機4に送給し、金属亜鉛の再酸化生成物である粗酸化亜鉛として捕集し、加熱炉1内で生成した金属鉄(M.Fe)を含有する金属鉄含有物を加熱炉1の炉尻から排出し、粉砕、回収した。
に、上記で得られた粗酸化亜鉛粉末および金属鉄含有物粉末の組成を示す。
【0110】
次に、上記で得られた粗酸化亜鉛粉末と金属鉄含有物粉末に、金属鉄補給用廃鉄粉(厚板ショット)、消石灰粉末および水を添加し、混練した後、プレス成型し、粗酸化亜鉛・金属鉄含有物・廃鉄粉・結合剤混合原料成型物(:ブリケット)を製造した。
なお、金属鉄含有物、金属鉄補給用廃鉄粉および消石灰の添加量は、全配合原料(乾量)中において乾量でそれぞれ53%、18%および5%とし、混練物の水分は3.5 %に調整した。
【0111】
次に、上記した混合原料成型物(:ブリケット)を、図4に示す実験還元炉の反応室22内に充填した後、抵抗発熱体28に通電し、反応室22周囲温度を1050℃に昇温した。
反応室22周囲温度=1050℃、反応室22内圧力(絶対圧)=(3〜4)×102Pa(2〜3Torr)に保持し、1時間経過後、降温した。
【0112】
次に、前記した実施例1と同じ方法で、本実験還元炉における金属亜鉛蒸発率、金属亜鉛回収率を調査した。
に、得られた実験結果を示す。
また、表に、コンデンサー25、リザーバー27各々に付着、蓄積した回収亜鉛の成分分析結果を示す。
【0113】
および表に示されるように、本発明によれば、酸化亜鉛含有ダストなど酸化亜鉛含有物(酸化亜鉛含有原料)から、粗酸化亜鉛の揮発精製工程および従来の亜鉛製錬における酸化亜鉛のコークスを用いた再還元工程を経ることなく、直接、有価金属である金属亜鉛を、高純度かつ高収率で回収することが可能であることが分かった。
【0114】
【表3】
Figure 0003727232
【0115】
【表4】
Figure 0003727232
【0116】
【表5】
Figure 0003727232
【0117】
【発明の効果】
本発明によれば、鉄屑精錬炉、鉄鋼製錬、非鉄製錬などで発生する酸化亜鉛含有ダストなど酸化亜鉛含有物から、従来の亜鉛製錬における酸化亜鉛のコークスを用いた再還元工程を経ることなく、直接、有価金属である金属亜鉛を、高純度かつ高収率で、さらには生産性に優れた方法で回収することが可能となった。
【0118】
また、本発明によれば、産業廃棄物の合理的処理と貴重な有価金属である亜鉛の直接リサイクルが可能となり、さらには、金属亜鉛回収後に得られる酸化鉄および未反応金属鉄を含有する残渣はそのまま自溶性ペレットなどの形態で電気炉などに鉄源としてリサイクル可能であり、省資源および省エネルギーの両面に大いに寄与する。
【0119】
さらに、本発明によれば、従来の亜鉛製錬における酸化亜鉛のコークスを用いた再還元工程が不要となるため、還元剤の使用量を削減し省資源を達成することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の亜鉛回収法の一例を示す工程図である。
【図2】 本発明の亜鉛回収法の一例を示す工程図である。
【図3】 本発明の亜鉛回収法の一例を示す工程図である。
【図4】 実施例で用いた還元炉(実験還元炉)を示す側断面図である。
【図】 消石灰またはベントナイト添加時の反応温度、雰囲気条件および反応時間と金属亜鉛蒸発率との関係を示すグラフである。
【図】 実施例の亜鉛回収法を示す工程図である。
【符号の説明】
1 加熱炉(:前段加熱炉)〔傾斜型筒状回転式加熱炉〕
2 還元炉(:後段加熱炉)
3 粗酸化亜鉛捕集槽
4、6、17 電気集塵機
5 金属亜鉛捕集槽
7 排ガス浄化装置
8a、8b 粉砕機
9 選別機
10a 、10b ガス・生成物送給配管
10c ガス送給配管
11 混練機
12 成型機(造粒機)
15 加熱炉(:精製炉)〔傾斜型筒状回転式加熱炉〕
16 排ガス洗浄塔
20 混合原料成型物(ブリケット)
21 溶融金属亜鉛
22 反応室
23 ルツボ
24 金属亜鉛凝縮室
25 コンデンサー(凝縮器)
26 冷却用ジャケット
26a 冷却水
27 リザーバー
28 抵抗発熱体
29 排気管
30 真空ポンプ
31a 、31b 熱電対
32 破砕シャモットレンガ
33 破砕シャモットレンガの支持材(多孔板)
34 蓋(多孔板)
35 リング
36 ドラフトチャンバー
40 還元実験装置
41 実験還元炉

Claims (2)

  1. 酸化亜鉛および酸化鉄を含有する原料に還元剤を添加し、温度1000〜1200℃で加熱し、生成した金属亜鉛蒸気の再酸化によって生じた粗酸化亜鉛と、生成した金属鉄含有物をそれぞれ回収し、得られた粗酸化亜鉛および金属鉄含有物を混合し、さらに温度1000〜1200℃かつ圧力1×103 Pa以下で加熱し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を回収することを特徴とする亜鉛回収法。
  2. 酸化亜鉛および酸化鉄を含有する原料に還元剤を添加し、温度1000〜1200℃で加熱し、生成した金属亜鉛蒸気の再酸化によって生じた粗酸化亜鉛と、生成した金属鉄含有物をそれぞれ回収し、得られた粗酸化亜鉛および金属鉄含有物に、結合剤またはさらに水を添加、混練、成型し、得られた成型物を温度1000〜1200℃かつ圧力1×103 Pa以下で加熱し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を回収することを特徴とする亜鉛回収法。
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