JP3726778B2 - 溶銑保持容器 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉等から出銑される溶銑を収容し、収容した溶銑の脱硫処理及び脱燐処理の両方が行われる溶銑保持容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高炉−転炉による銑鋼一貫型の製鉄所においては、高炉から出銑された溶銑に対して、転炉で精錬される前に溶銑予備処理と呼ばれる脱硫処理、脱珪処理及び脱燐処理が施されている。当初、これらの溶銑予備処理は、鋼材の品質面から低燐化や低硫化が要求される品種について実施されていたが、近年では、転炉におけるスラグ発生量の削減、Mn鉱石還元によるコスト削減、及び転炉生産性向上等により、品質面からの要求のみならず、製鋼工程のトータルコストを削減する手段として、ほぼ全ての溶銑に対して溶銑予備処理が施されるようになった。
【0003】
溶銑予備処理は、高炉から出銑される溶銑を受銑し、この溶銑を転炉まで搬送する溶銑鍋(「高炉鍋」とも呼ぶ)やトーピードカー等の溶銑保持容器内で行われ、しかも、精錬剤としてソーダ灰や融剤の蛍石を加えた生石灰等を用いて行われる。これらの精錬剤は耐火物に対する強力な浸食性を有し、そのため、溶銑保持容器の内張り耐火物は激しい浸食作用を受けるようになった。
【0004】
更に、脱硫処理後及び脱燐処理後には、復燐防止及び復硫防止のためにそれぞれ添加した精錬剤を排出する必要があり、この場合、溶銑保持容器を傾斜させ、精錬剤の排出し易い状態にして排出作業を行うため、その度に溶銑から露出される溶銑保持容器側壁面の内張り煉瓦は温度昇降を繰り返し、激しい熱衝撃を受けるようになった。
【0005】
このような内張り煉瓦の受ける浸食作用及び熱衝撃は、特に同一の溶銑保持容器内でこれら一連の溶銑予備処理を行う場合に極めて激しくなる。これは、精錬剤との接触回数並びに排滓作業回数が共に増加するためである。
【0006】
そのため、溶銑保持容器の内張り煉瓦として耐浸食性並びに耐スポーリング性に優れた耐火材料が種々提案され、広く用いられるようになった。そのうちの1つとして、アルミナ−マグネシア−炭素質耐火物が、例えば特開平3−205355号公報等に提案されている。この耐火物は、使用中の受熱によりアルミナとマグネシアとでスピネル(MgO・Al2 O3 )をマトリックス部に形成させ、耐浸食性を向上させると同時に、炭素添加により耐スポーリング性を向上させた耐火物である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、脱硫処理及び脱燐処理の一連の溶銑予備処理を同一の溶銑保持容器内で行う場合には、アルミナ−マグネシア−炭素質耐火物を溶銑保持容器の内張り煉瓦として使用しても、期待したほどの延命化が達成されていないのが現状である。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、脱硫処理及び脱燐処理の一連の溶銑予備処理を同一の溶銑保持容器内で行う場合に、アルミナ−マグネシア−炭素質耐火物の有する特性を如何なく発揮させ、溶銑保持容器の延命化を達成することの可能な構造の溶銑保持容器を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。以下に検討結果を説明する。
【0010】
アルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦が内張りされた溶銑鍋から使用済みのアルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦を回収し、回収した煉瓦のX線回折及びミクロ組織を調査した。その結果、溶銑と接触する稼働面ではアルミナとマグネシアとによりスピネル(MgO・Al2 O3 )が形成されていたが、稼働面から数mm以上離れた位置ではスピネルは形成されていなかった。
【0011】
一方、溶鋼を収容する取鍋に設置されたアルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦及びアルミナ−マグネシア煉瓦を回収してX線回折及びミクロ組織を調査した場合には、稼働面のみならず、稼働面から数十mmの範囲にわたってスピネルが形成されていることが確認できた。
【0012】
そこで、溶銑を収容する溶銑鍋と溶鋼を収容する取鍋とでこのような差が生ずる理由を検討した。
【0013】
煉瓦中のアルミナとマグネシアとを反応させてスピネルを生成させるには、当該煉瓦を高温状態に保持する必要がある。溶鋼を収容する取鍋の場合、1600℃以上、高い場合には1650℃以上の温度の溶鋼が転炉等製鋼炉から取鍋内に出湯されるため、この溶鋼と接触する内張り煉瓦は1600℃以上の高温域まで加熱されることになる。そして、凝固相が析出しない範囲の温度、具体的にはおよそ1550℃以上の状態のままで溶鋼を保持するので、内張り煉瓦の稼働面から離れた位置でも相当の高温域に曝されることが分かる。
【0014】
一方、高炉から出銑される溶銑の温度は溶鋼に比べて格段に低く、且つ、高炉鋳床に設置された長さ20m以上にも及ぶ樋を流れてから溶銑鍋に受銑されるため、高くとも1400℃程度で通常は1350℃以下である。
【0015】
即ち、溶鋼を収容する取鍋と溶銑を収容する溶銑鍋とでは、使用中の収容物による加熱温度に200℃以上の差があり、このため、溶銑鍋では温度の高い稼働面近傍ではスピネルが形成されるものの、稼働面から離れた位置では温度が低く、アルミナとマグネシアとの反応によるスピネルが形成され難いことが分かった。従って、溶銑の有する熱を有効に利用して溶銑鍋の内張り煉瓦を高温域に保持すれば、温度の低い溶銑を保持する溶銑鍋でもスピネル生成反応が起こり、耐火物の延命化が達成されるとの知見が得られた。
【0016】
本発明は、上記検討結果に基づきなされたもので、第1の発明に係る溶銑保持容器は、収容した溶銑に対して脱硫処理及び脱燐処理の両方の溶銑予備処理を行う溶銑保持容器であって、炭素を3〜20mass%、マグネシアを1〜20mass%、アルミナを60〜96mass%含有するアルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦を内張り煉瓦とし、ロウ石煉瓦若しくはシャモット煉瓦を永久張り煉瓦としたことを特徴とするものである。
【0017】
第2の発明に係る溶銑保持容器は、第1の発明において、前記アルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦は、更に15mass%以下の炭化珪素を含有することを特徴とし、又、第3の発明に係る溶銑保持容器は、第1の発明又は第2の発明において、前記内張り煉瓦と溶銑保持容器鉄皮との間に更に断熱材が設置されていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明では、耐火物のなかでも特に熱伝導性の低いロウ石煉瓦若しくはシャモット煉瓦をアルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦の裏側に設置するので、溶銑保持容器の鉄皮側に伝達される熱エネルギーが抑制され、溶銑の有する熱はアルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦に効率良く蓄積され、当該煉瓦を高温域に保持することが可能となる。その結果、アルミナとマグネシアとのスピネル生成反応が促進され、内張り煉瓦の延命化が達成される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1及び図2は、本発明の実施形態の1例を示す図であって、図1は本発明に係る溶銑鍋を側面から見た部分断面図、図2は、図1におけるA部の詳細図である。
【0020】
図において、溶銑鍋1は、溶銑保持容器として高炉から出銑された溶銑を受銑し、受銑した溶銑を転炉まで搬送するものである。そして、転炉までの搬送途中で収容した溶銑に対して脱硫処理及び脱燐処理が施される。この溶銑鍋1は、その外側を鉄皮2で覆われ、その内側に、永久張り煉瓦5としてロウ石煉瓦若しくはシャモット煉瓦が設けられている。永久張り煉瓦5は溶銑鍋1の耐火物張り替えの際には繰り返し再使用されるものであり、図において、永久張り煉瓦5は2層設置されているが、2層に限るわけではなく、1層若しくは2層以上としても良い。又、配置される部位でその形状が異なるが、全て永久張り煉瓦5と称す。
【0021】
そして、溶銑鍋1の永久張り煉瓦5の内面側には、アルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦が内張り煉瓦4として設けられている。内張り煉瓦4は、溶銑や精錬剤及び溶融スラグと直接接触してこれらを保持するものでワーク煉瓦とも呼ばれる。この内張り煉瓦4の上側には1段の押え煉瓦7が設けられ、溶銑鍋1の内周壁が形成されている。押え煉瓦7は、鉄皮2の上端円周方向に設けた鉄皮フランジ3により、モルタル8を介して押さえ付けられており、このようにして内張り煉瓦4が押え煉瓦7により押え付けられている。
【0022】
又、2層にわたる永久張り煉瓦5の外側と内側との間には、セラミックシート、キャスタブル耐火物及びセラミックファイバー等からなる断熱材6が設けられている。断熱材6の設置により鉄皮2側への熱伝達量が抑制され、内張り煉瓦4の温度を上昇させることができるので、本発明においては断熱材6を設置することが好ましい。図では断熱材6が2層にわたる永久張り煉瓦5の外側と内側との間に設置されているが、鉄皮2と永久張り煉瓦5との間に設置しても、又、内張り煉瓦4と永久張り煉瓦5との間に設置しても良く、更に、これらの二箇所以上に設置しても良い。
【0023】
そして、内張り煉瓦4を、炭素含有量が3〜20mass%、マグネシア含有量が1〜20mass%、アルミナ含有量が60〜96mass%からなるアルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦とする。
【0024】
本発明で用いるアルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦において、炭素含有量が3mass%未満では耐スポーリング性を付与することが困難であり、一方、20mass%を越える場合には煉瓦の稼働面における脱炭が激しくなり、スラグに対する耐浸食性が低下する。それ故、炭素含有量は3〜20mass%の範囲内にする必要があり、望ましくは10〜15mass%の範囲内とする。炭素は、鱗状黒鉛や土状黒鉛等の黒鉛を用いることが好ましい。
【0025】
マグネシア含有量が1mass%未満ではスピネル生成量が少なく、スピネル生成による耐浸食性の向上を期待できず、一方、20mass%を越えるとスピネル生成による膨張量が多くなり、この膨張により煉瓦組織が破壊され、煉瓦寿命を低下させる。それ故、マグネシア含有量は1〜20mass%の範囲にする必要があり、望ましくは5〜8mas%の範囲内とする。
【0026】
炭化珪素は耐火物の低膨張化による耐スポーリング性の向上と耐火物中炭素の酸化抑制に効果があり、従って、上記成分に加えて更に炭化珪素を配合させることが好ましい。炭化珪素の配合量としては15mass%以下、望ましくは3mass%以下とする。15mass%を越えるとマトリックス部の耐浸食性に低下を来すため好ましくない。アルミナ含有量は、これらの残部とする。
【0027】
このようにして構成される溶銑鍋1を用いて高炉から出銑される溶銑を受銑し、そして、転炉までの搬送途中で収容した溶銑に対して脱硫処理及び脱燐処理を施す。この場合、脱燐処理に先立ち脱珪処理を行うこともある。脱硫処理及び脱燐処理の順序は特に限定する必要はなく、各製鉄所のレイアウト等により適宜定められるものである。又、脱硫処理及び脱燐処理は通常の処理方法、即ち生石灰やソーダ灰等を精錬剤として用いた方法で実施する。
【0028】
溶銑鍋1は上記のように構成されているので、収容された溶銑からの熱が内張り煉瓦4に蓄積され、内張り煉瓦4中のアルミナとマグネシアとが溶銑鍋1の使用中に反応して内張り煉瓦4のマトリックス部にスピネルが生成され、内張り煉瓦4の耐浸食性が向上する。又、内張り煉瓦4には耐スポーリング性向上のために炭素が含有されており、その結果、内張り煉瓦4は頻繁に行われる脱硫処理及び脱燐処理にも拘わらず損耗量が抑制され、長期間安定して使用することが可能となる。
【0029】
尚、上記説明は、溶銑保持容器として溶銑鍋1の例を説明したが、トーピードカーであっても上記に沿って本発明を適用することができる。又、本発明は上記説明に限る訳でなく種々の変更が可能である。例えば、押え煉瓦7は1段に限るわけではなく、溶銑鍋1の寸法や溶銑の収納量等から、最上段から下方に2〜3段或いは4〜5段と適宜設けることができ、又、キャスタブル耐火物の適用も可能である。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、脱硫処理及び脱燐処理の両方の溶銑予備処理を行う溶銑保持容器において、アルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦を内張り煉瓦とし、ロウ石煉瓦若しくはシャモット煉瓦を永久張り煉瓦としたので、内張り煉瓦であるアルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦のスピネル化が促進され、内張り煉瓦の耐浸食性を大幅に向上させることが可能となる。その結果、炭素配合による耐スポーリング性の向上と相まって、溶銑保持容器の延命化を達成することが可能となり、耐火物原単価の大幅な削減等の工業上有益な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の1例を示す図であって、本発明に係る溶銑鍋を側面から見た部分断面図である。
【図2】図1におけるA部の詳細図である。
【符号の説明】
1 溶銑鍋
2 鉄皮
3 鉄皮フランジ
4 内張り煉瓦
5 永久張り煉瓦
6 断熱材
7 押え煉瓦
8 モルタル
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉等から出銑される溶銑を収容し、収容した溶銑の脱硫処理及び脱燐処理の両方が行われる溶銑保持容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高炉−転炉による銑鋼一貫型の製鉄所においては、高炉から出銑された溶銑に対して、転炉で精錬される前に溶銑予備処理と呼ばれる脱硫処理、脱珪処理及び脱燐処理が施されている。当初、これらの溶銑予備処理は、鋼材の品質面から低燐化や低硫化が要求される品種について実施されていたが、近年では、転炉におけるスラグ発生量の削減、Mn鉱石還元によるコスト削減、及び転炉生産性向上等により、品質面からの要求のみならず、製鋼工程のトータルコストを削減する手段として、ほぼ全ての溶銑に対して溶銑予備処理が施されるようになった。
【0003】
溶銑予備処理は、高炉から出銑される溶銑を受銑し、この溶銑を転炉まで搬送する溶銑鍋(「高炉鍋」とも呼ぶ)やトーピードカー等の溶銑保持容器内で行われ、しかも、精錬剤としてソーダ灰や融剤の蛍石を加えた生石灰等を用いて行われる。これらの精錬剤は耐火物に対する強力な浸食性を有し、そのため、溶銑保持容器の内張り耐火物は激しい浸食作用を受けるようになった。
【0004】
更に、脱硫処理後及び脱燐処理後には、復燐防止及び復硫防止のためにそれぞれ添加した精錬剤を排出する必要があり、この場合、溶銑保持容器を傾斜させ、精錬剤の排出し易い状態にして排出作業を行うため、その度に溶銑から露出される溶銑保持容器側壁面の内張り煉瓦は温度昇降を繰り返し、激しい熱衝撃を受けるようになった。
【0005】
このような内張り煉瓦の受ける浸食作用及び熱衝撃は、特に同一の溶銑保持容器内でこれら一連の溶銑予備処理を行う場合に極めて激しくなる。これは、精錬剤との接触回数並びに排滓作業回数が共に増加するためである。
【0006】
そのため、溶銑保持容器の内張り煉瓦として耐浸食性並びに耐スポーリング性に優れた耐火材料が種々提案され、広く用いられるようになった。そのうちの1つとして、アルミナ−マグネシア−炭素質耐火物が、例えば特開平3−205355号公報等に提案されている。この耐火物は、使用中の受熱によりアルミナとマグネシアとでスピネル(MgO・Al2 O3 )をマトリックス部に形成させ、耐浸食性を向上させると同時に、炭素添加により耐スポーリング性を向上させた耐火物である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、脱硫処理及び脱燐処理の一連の溶銑予備処理を同一の溶銑保持容器内で行う場合には、アルミナ−マグネシア−炭素質耐火物を溶銑保持容器の内張り煉瓦として使用しても、期待したほどの延命化が達成されていないのが現状である。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、脱硫処理及び脱燐処理の一連の溶銑予備処理を同一の溶銑保持容器内で行う場合に、アルミナ−マグネシア−炭素質耐火物の有する特性を如何なく発揮させ、溶銑保持容器の延命化を達成することの可能な構造の溶銑保持容器を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。以下に検討結果を説明する。
【0010】
アルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦が内張りされた溶銑鍋から使用済みのアルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦を回収し、回収した煉瓦のX線回折及びミクロ組織を調査した。その結果、溶銑と接触する稼働面ではアルミナとマグネシアとによりスピネル(MgO・Al2 O3 )が形成されていたが、稼働面から数mm以上離れた位置ではスピネルは形成されていなかった。
【0011】
一方、溶鋼を収容する取鍋に設置されたアルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦及びアルミナ−マグネシア煉瓦を回収してX線回折及びミクロ組織を調査した場合には、稼働面のみならず、稼働面から数十mmの範囲にわたってスピネルが形成されていることが確認できた。
【0012】
そこで、溶銑を収容する溶銑鍋と溶鋼を収容する取鍋とでこのような差が生ずる理由を検討した。
【0013】
煉瓦中のアルミナとマグネシアとを反応させてスピネルを生成させるには、当該煉瓦を高温状態に保持する必要がある。溶鋼を収容する取鍋の場合、1600℃以上、高い場合には1650℃以上の温度の溶鋼が転炉等製鋼炉から取鍋内に出湯されるため、この溶鋼と接触する内張り煉瓦は1600℃以上の高温域まで加熱されることになる。そして、凝固相が析出しない範囲の温度、具体的にはおよそ1550℃以上の状態のままで溶鋼を保持するので、内張り煉瓦の稼働面から離れた位置でも相当の高温域に曝されることが分かる。
【0014】
一方、高炉から出銑される溶銑の温度は溶鋼に比べて格段に低く、且つ、高炉鋳床に設置された長さ20m以上にも及ぶ樋を流れてから溶銑鍋に受銑されるため、高くとも1400℃程度で通常は1350℃以下である。
【0015】
即ち、溶鋼を収容する取鍋と溶銑を収容する溶銑鍋とでは、使用中の収容物による加熱温度に200℃以上の差があり、このため、溶銑鍋では温度の高い稼働面近傍ではスピネルが形成されるものの、稼働面から離れた位置では温度が低く、アルミナとマグネシアとの反応によるスピネルが形成され難いことが分かった。従って、溶銑の有する熱を有効に利用して溶銑鍋の内張り煉瓦を高温域に保持すれば、温度の低い溶銑を保持する溶銑鍋でもスピネル生成反応が起こり、耐火物の延命化が達成されるとの知見が得られた。
【0016】
本発明は、上記検討結果に基づきなされたもので、第1の発明に係る溶銑保持容器は、収容した溶銑に対して脱硫処理及び脱燐処理の両方の溶銑予備処理を行う溶銑保持容器であって、炭素を3〜20mass%、マグネシアを1〜20mass%、アルミナを60〜96mass%含有するアルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦を内張り煉瓦とし、ロウ石煉瓦若しくはシャモット煉瓦を永久張り煉瓦としたことを特徴とするものである。
【0017】
第2の発明に係る溶銑保持容器は、第1の発明において、前記アルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦は、更に15mass%以下の炭化珪素を含有することを特徴とし、又、第3の発明に係る溶銑保持容器は、第1の発明又は第2の発明において、前記内張り煉瓦と溶銑保持容器鉄皮との間に更に断熱材が設置されていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明では、耐火物のなかでも特に熱伝導性の低いロウ石煉瓦若しくはシャモット煉瓦をアルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦の裏側に設置するので、溶銑保持容器の鉄皮側に伝達される熱エネルギーが抑制され、溶銑の有する熱はアルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦に効率良く蓄積され、当該煉瓦を高温域に保持することが可能となる。その結果、アルミナとマグネシアとのスピネル生成反応が促進され、内張り煉瓦の延命化が達成される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1及び図2は、本発明の実施形態の1例を示す図であって、図1は本発明に係る溶銑鍋を側面から見た部分断面図、図2は、図1におけるA部の詳細図である。
【0020】
図において、溶銑鍋1は、溶銑保持容器として高炉から出銑された溶銑を受銑し、受銑した溶銑を転炉まで搬送するものである。そして、転炉までの搬送途中で収容した溶銑に対して脱硫処理及び脱燐処理が施される。この溶銑鍋1は、その外側を鉄皮2で覆われ、その内側に、永久張り煉瓦5としてロウ石煉瓦若しくはシャモット煉瓦が設けられている。永久張り煉瓦5は溶銑鍋1の耐火物張り替えの際には繰り返し再使用されるものであり、図において、永久張り煉瓦5は2層設置されているが、2層に限るわけではなく、1層若しくは2層以上としても良い。又、配置される部位でその形状が異なるが、全て永久張り煉瓦5と称す。
【0021】
そして、溶銑鍋1の永久張り煉瓦5の内面側には、アルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦が内張り煉瓦4として設けられている。内張り煉瓦4は、溶銑や精錬剤及び溶融スラグと直接接触してこれらを保持するものでワーク煉瓦とも呼ばれる。この内張り煉瓦4の上側には1段の押え煉瓦7が設けられ、溶銑鍋1の内周壁が形成されている。押え煉瓦7は、鉄皮2の上端円周方向に設けた鉄皮フランジ3により、モルタル8を介して押さえ付けられており、このようにして内張り煉瓦4が押え煉瓦7により押え付けられている。
【0022】
又、2層にわたる永久張り煉瓦5の外側と内側との間には、セラミックシート、キャスタブル耐火物及びセラミックファイバー等からなる断熱材6が設けられている。断熱材6の設置により鉄皮2側への熱伝達量が抑制され、内張り煉瓦4の温度を上昇させることができるので、本発明においては断熱材6を設置することが好ましい。図では断熱材6が2層にわたる永久張り煉瓦5の外側と内側との間に設置されているが、鉄皮2と永久張り煉瓦5との間に設置しても、又、内張り煉瓦4と永久張り煉瓦5との間に設置しても良く、更に、これらの二箇所以上に設置しても良い。
【0023】
そして、内張り煉瓦4を、炭素含有量が3〜20mass%、マグネシア含有量が1〜20mass%、アルミナ含有量が60〜96mass%からなるアルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦とする。
【0024】
本発明で用いるアルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦において、炭素含有量が3mass%未満では耐スポーリング性を付与することが困難であり、一方、20mass%を越える場合には煉瓦の稼働面における脱炭が激しくなり、スラグに対する耐浸食性が低下する。それ故、炭素含有量は3〜20mass%の範囲内にする必要があり、望ましくは10〜15mass%の範囲内とする。炭素は、鱗状黒鉛や土状黒鉛等の黒鉛を用いることが好ましい。
【0025】
マグネシア含有量が1mass%未満ではスピネル生成量が少なく、スピネル生成による耐浸食性の向上を期待できず、一方、20mass%を越えるとスピネル生成による膨張量が多くなり、この膨張により煉瓦組織が破壊され、煉瓦寿命を低下させる。それ故、マグネシア含有量は1〜20mass%の範囲にする必要があり、望ましくは5〜8mas%の範囲内とする。
【0026】
炭化珪素は耐火物の低膨張化による耐スポーリング性の向上と耐火物中炭素の酸化抑制に効果があり、従って、上記成分に加えて更に炭化珪素を配合させることが好ましい。炭化珪素の配合量としては15mass%以下、望ましくは3mass%以下とする。15mass%を越えるとマトリックス部の耐浸食性に低下を来すため好ましくない。アルミナ含有量は、これらの残部とする。
【0027】
このようにして構成される溶銑鍋1を用いて高炉から出銑される溶銑を受銑し、そして、転炉までの搬送途中で収容した溶銑に対して脱硫処理及び脱燐処理を施す。この場合、脱燐処理に先立ち脱珪処理を行うこともある。脱硫処理及び脱燐処理の順序は特に限定する必要はなく、各製鉄所のレイアウト等により適宜定められるものである。又、脱硫処理及び脱燐処理は通常の処理方法、即ち生石灰やソーダ灰等を精錬剤として用いた方法で実施する。
【0028】
溶銑鍋1は上記のように構成されているので、収容された溶銑からの熱が内張り煉瓦4に蓄積され、内張り煉瓦4中のアルミナとマグネシアとが溶銑鍋1の使用中に反応して内張り煉瓦4のマトリックス部にスピネルが生成され、内張り煉瓦4の耐浸食性が向上する。又、内張り煉瓦4には耐スポーリング性向上のために炭素が含有されており、その結果、内張り煉瓦4は頻繁に行われる脱硫処理及び脱燐処理にも拘わらず損耗量が抑制され、長期間安定して使用することが可能となる。
【0029】
尚、上記説明は、溶銑保持容器として溶銑鍋1の例を説明したが、トーピードカーであっても上記に沿って本発明を適用することができる。又、本発明は上記説明に限る訳でなく種々の変更が可能である。例えば、押え煉瓦7は1段に限るわけではなく、溶銑鍋1の寸法や溶銑の収納量等から、最上段から下方に2〜3段或いは4〜5段と適宜設けることができ、又、キャスタブル耐火物の適用も可能である。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、脱硫処理及び脱燐処理の両方の溶銑予備処理を行う溶銑保持容器において、アルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦を内張り煉瓦とし、ロウ石煉瓦若しくはシャモット煉瓦を永久張り煉瓦としたので、内張り煉瓦であるアルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦のスピネル化が促進され、内張り煉瓦の耐浸食性を大幅に向上させることが可能となる。その結果、炭素配合による耐スポーリング性の向上と相まって、溶銑保持容器の延命化を達成することが可能となり、耐火物原単価の大幅な削減等の工業上有益な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の1例を示す図であって、本発明に係る溶銑鍋を側面から見た部分断面図である。
【図2】図1におけるA部の詳細図である。
【符号の説明】
1 溶銑鍋
2 鉄皮
3 鉄皮フランジ
4 内張り煉瓦
5 永久張り煉瓦
6 断熱材
7 押え煉瓦
8 モルタル
Claims (3)
- 収容した溶銑に対して脱硫処理及び脱燐処理の両方の溶銑予備処理を行う溶銑保持容器であって、炭素を3〜20mass%、マグネシアを1〜20mass%、アルミナを60〜96mass%含有するアルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦を内張り煉瓦とし、ロウ石煉瓦若しくはシャモット煉瓦を永久張り煉瓦としたことを特徴とする溶銑保持容器。
- 前記アルミナ−マグネシア−炭素質煉瓦は、更に15mass%以下の炭化珪素を含有することを特徴とする請求項1に記載の溶銑保持容器。
- 前記内張り煉瓦と溶銑保持容器鉄皮との間に更に断熱材が設置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の溶銑保持容器。
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