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JP3723697B2 - 圧電共振子 - Google Patents

圧電共振子 Download PDF

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JP3723697B2
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耕世 神垣
健一 吉村
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は携帯電話、無線LAN等に用いられる圧電共振子に関し、特に、圧電体の厚み縦振動の共振を利用した圧電共振子に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、無線通信や電気回路に用いられる周波数の高周波数化に伴い、これらの電気信号に対して用いられるフィルターも高周波数に対応したものが開発されている。特に、無線通信においては2GHz近傍のマイクロ波が主流になりつつあり、また既に数GHz以上の規格策定の動きもあることから、それらの周波数に対応した安価で高性能なフィルターが求められている。
【0003】
最近注目されているのは、固体の表面を伝わる音響波である表面弾性波の共振を用いる、表面弾性波共振子(SAWR)を使ったフィルターである。このフィルターは、固体表面上に形成した櫛型の電極間に印加される高周波電界と表面弾性波の共振を用いており、周波数の選択性が高く、優れたバンドパスフィルターとして広く用いられている。
【0004】
しかしながら、SAWフィルターは、その櫛型電極間距離が共振周波数に反比例するという関係にあるため、1GHzを越える周波数領域では櫛形電極間距離が1μm以下となり、電極作製が非常に困難であった。
【0005】
そこで、近年、数GHz以上の高周波化に対応するために、圧電性を示す薄膜の厚み縦振動モードを用いた共振子が提案されている。
【0006】
これは、入力される高周波電気信号に対して、圧電薄膜が厚み縦振動を起こし、その振動が、薄膜の厚さ方向において共振を起こすことを用いた共振子であり、バルク弾性波共振子(BAWR)と呼ばれている。このBAWRは、SAWRに比べて、より高い周波数の共振周波数を持つレゾネーターの作製が可能となると期待され、開発が進められてきた。
【0007】
従来のBAWRとしては、図10に示すように、基体1と、該基体1表面上に形成された支持膜2と、該支持膜2上に形成されたバッファー層3と、該バッファー層3上に形成された第1電極4と、該第1電極4上に形成された圧電薄膜5と、該圧電薄膜5上に形成された2つの第2電極6とからなるものである(USP4,320,365号公報)。支持膜2は、基体1に形成された空間Aを被覆するように、基体1表面に支持膜2を形成することにより、第1電極4と圧電薄膜5と第2電極6とからなる振動部に接する支持膜2の部分も振動することになる。
【0008】
また、特開平9−55998号公報には、1対の電極間に複数の圧電体を一定の間隔を置いて配置し、複数の振動部を形成した圧電共振子が開示されている。この圧電共振子では、振動部と振動部との間には気体や液体が充填されており、この構造によって機械結合定数が大きくなり、実現可能な帯域が従来よりも2倍に拡大している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、USP4,320,365号公報に開示された圧電共振子では、ZnO、AlNのような比誘電率の小さい圧電体を用いているために、これらの圧電材料の電気機械結合係数が小さく、広帯域なGHz帯フィルターを実現するのは困難であった。また、ZnO、AlNは比誘電率が小さい為、マイクロ波回路で要求されるインピーダンスに整合させるために、1辺が100μmを越える大きな電極面積が必要であった。
【0010】
このように、ZnO、AlNのような比誘電率の小さい圧電体を用いると、電極サイズが膜厚に比べて100倍以上と非常に大きいために、不要振動を生じやすいという課題があった。これは、電極面積が膜厚に比べて十分大きい場合には、エネルギー閉じ込めモードの1つである面内伝播モードが存在し、無電極部分との境界で反射されて、厚み縦振動よりわずかに振動数の異なる定在波を生じ、不要振動が発生するためであった。
【0011】
また、特開平9−55998号公報に開示された圧電共振子では、振動部を分割して共振器の機械結合係数を改善しようとしているが、各振動部の周囲が空気や液体であるために自由端となり、電極間にある圧電体を構成する原子のうちで、空気や液体に接する原子が動きやすくなるので、不要な振動モードが発生してしまうという課題があった。
【0012】
本発明の目的は、GHz帯の高周波用フィルターを構成できるとともに、厚み縦振動モードの効果的なエネルギー閉じ込めを可能とし、主要振動以外の不要な振動を抑制してスプリアスの発生を防止でき、小型でインピーダンス特性の良好な圧電共振子を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の圧電共振子は、振動空間を有する基体と、該基体表面に前記振動空間を被覆して形成された支持膜と、該支持膜の前記振動空間と反対の面に当接され、圧電体を第1電極と第2電極とで挟持した振動体とを具備する圧電共振子であって、前記第1電極および前記第2電極は、それぞれ略平行に配列した複数の長尺状電極を電気的に接続して形成され、かつ、前記第1電極の長尺状電極と前記第2電極の長尺状電極とは、前記基体側から見て交差しており、長尺状電極の幅が3〜10μmであることを特徴とするものである。
【0014】
また、基体と、該基体表面に形成され、複数の絶縁体を積層してなる振動反射層と、該振動反射層の表面に形成され、圧電体を第1電極と第2電極で挟持した振動体とを具備する圧電共振子であって、前記第1電極および前記第2電極は、それぞれ略平行に配列した複数の長尺状電極を電気的に接続して形成され、かつ、前記第1電極の長尺状電極と前記第2電極の長尺状電極とは、前記基体側から見て交差していることを特徴とするものである。
【0015】
特に、圧電体が強誘電体からなることが望ましく、また、長尺状電極の幅が10μm以下であることが望ましい。
【0016】
【作用】
本発明の圧電共振子では、第1電極と第2電極とが、それぞれ略平行に配列した複数の長尺状電極で構成されており、これら第1電極と第2電極との長尺状電極は基体側から見て交差しているために、第1電極と第2電極との重なる部分が振動する領域(振動部)となり、その重なる領域の電極部分が、1つの振動部に対する電極(振動電極)となる。
【0017】
第1電極と第2電極との重なった領域で規定される各振動部は、第1電極の振動電極、圧電体、および第2電極の振動電極からなり、電極サイズは膜厚と同程度の大きさにできるため、面内伝播モードがなくなり、無電極部分との境界で反射定在波の発生を防いで不要振動の発生を抑制することができる。これは、各振動部の圧電体の周囲が、振動部間の圧電体で固定されることになるために、従来のような自由端の時に生ずる不要な振動モードを抑制することができるからである。
【0018】
一般に、振動体が小さくなるとインピーダンスは大きくなり、1つの振動体のインピーダンスでは、マイクロ波回路の伝送インピーダンスと整合がとれなくなる。しかし、本発明における各振動部は、振動が同期されているために、振動部数を制御することにより、使用する回路とのインピーダンス整合をとることができる。換言すれば、インピーダンス整合は、電極の総面積に起因するために、必要な面積に相当する数の振動電極を形成することで必要なインピーダンスを得ることができる。
【0019】
また、振動部を形成する圧電体が、比誘電率の大きな強誘電体を主成分とすることで、非強誘電体に比べて、振動部の静電容量を小さな面積で実現できる。
【0020】
特に、長尺状電極の幅を3〜10μmとすることにより、各振動部を10μm以下と十分小さくできるので、不要振動のない共振特性を示す、広帯域フィルターとして適切な小型のGHz帯共振子を提供できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の圧電共振子は、基体上に、支持膜、圧電薄膜、電極薄膜が形成された薄膜圧電共振子であり、図1および図2に示すように、振動空間Aを有する基体11と、該基体11の表面に形成された支持膜12と、該支持膜12上に形成された第1電極13と、該第1電極13上に形成された圧電体14と、該圧電体14上に形成された第2電極15とから構成されている。
【0022】
第1電極13は、等間隔で略平行に配列された5本の長尺状電極16aを有し、それらは基部電極17aにより電気的に連結され、櫛型形状を成している。また、第2電極15も第1電極13と同様の5本の長尺状電極16bを基部電極17bにより電気的に連結して構成されている。
【0023】
そして、本発明の圧電共振子では、図2から明らかなように、第1電極13の長尺状電極16aと第2電極15の長尺状電極16bが基体11から見て交差しており、これらの長尺状電極16a、16bの重なる部分が、振動部18とされている。振動部18は長尺状電極16a、16bが交差し、重なった部分に限定されるため、定在波の種類が限定され、不要振動が発生しにくくなる。
【0024】
基体11は、Siのような無機物であり、強誘電体薄膜を形成できる平坦な表面を保有していれば、特に限定するものではない。基体11の振動空間Aは、第1電極13と第2電極15に印加された電圧により励振された圧電体14の振動を基体11に伝達しないための空間であって、基体11に貫通孔を形成したり、図3のように基体11の支持膜12を形成する部分に凹状の窪み19を形成したりすることにより作製される。
【0025】
支持膜12は、スパッタ法やCVD法等の方法で形成され、音速が大きく、残留応力の小さいものが望まれる。厚みは、材料の音速に依存するが、低次の圧電共振を用いるためには2μm以下の厚みが望ましい。
【0026】
圧電体14は、ゾル・ゲル法、又はセラミック・スラリーを塗布し、加熱焼成する方法、あるいはスパッタ法に代表される気相合成法等で形成することが出来る。圧電体14の膜厚は、2μm以下であることが望ましい。これは、厚み縦振動により1GHz以上の共振周波数を得るためには、第1電極13と第2電極15との間隔が2μm以下でなければならないからである。
【0027】
第1電極13および第2電極15は、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などの気相合成法により作製した後に、成膜した電極を反応性イオンエッチング法などによって長尺状にエッチング加工して得られる。電極の膜厚は、0.05〜0.2μmの厚みが望ましく、特には、0.05〜0.1μmが好ましい。
【0028】
長尺状電極16a、16bの幅は10μm以下が良い。特には、7μm以下が望ましい。これは、10μmを超えると不要振動が発生しやすくなるからである。なお、第1電極13の長尺状電極16aの幅が、第2電極15の長尺状電極16bの幅と異なっても、電極の幅が10μm以下であれば何ら差し支えない。
【0029】
基体11は、シリコンやアルミナのような無機物であり、圧電体を形成できる平坦な表面を保有していれば、特に材料を限定するものではない。
【0030】
支持膜12としては、SiO2 、Al2 3 、ZrO2 、ダイヤモンド、BN、B4 C、SiC、Si3 4 などが用いられる。これらの中でも音速が大きく、残留歪みの小さい高強度膜が望ましい。中でもダイヤモンドは、高強度で、高音速でかつ弾性定数の温度変化率が小さい事から特に望ましい。
【0031】
また、ZnOやAlNのような強誘電体でない圧電体を用いて共振子を構成する場合、面積が大きくなり、小型な共振子を実現できないため、本発明の圧電体14には、比誘電率の大きい強誘電体が、特にその薄膜が用いられる。
【0032】
特に、Pb(Zr1-X TiX )O3 のようなペロブスカイト型構造をもつ強誘電体薄膜は、大きな自発分極を保有し、大きな圧電性が得られるとともに、強誘電体でないZnO、AlNなどの圧電体に比べ比誘電率が約100倍と大きく、インピーダンスを決定する要因の一つである電極面積を約1/100と小さくできるため、共振子のサイズを小さくできる。
【0033】
ペロブスカイト型構造をもつ強誘電体としては、上記Pb(Zr1-X TiX )O3 やPbTiO3 、BaTiO3 などがある。また、ペロブスカイト構造以外の強誘電体薄膜、例えばタングステンブロンズ構造をもつSr2 KNb5 15なども使用できる。
【0034】
強誘電体の中では、特にPb(Zr1-X TiX )O3 を基本組成としたものが好ましい。Pb(Zr1-X TiX )O3 を基本組成としたものは、薄膜にしても大きな圧電性と比誘電率を示すからである。BaTiO3 やSr2 KNb5 15などの強誘電体は結晶粒のサイズが小さくなると強誘電性が減少するサイズ効果が大きく、薄膜にすると強誘電性に起因した大きな圧電性が得られ難いからである。
【0035】
圧電体14を挟持する第1電極13、第2電極15には、従来より多く用いられているAl、Au等の金属材料が用いられる。圧電体14への質量負荷が小さく圧電振動を抑制し難い事と電気抵抗率が小さく共振子のQ値の低下が小さい事からAlが望ましい。
【0036】
尚、図1〜3において、実際に共振子として使用するためには、第1電極13、第2電極15の基部電極17a、17bには取り出し用の電極を形成することは言うまでもない。
【0037】
以上のように構成された圧電体共振子では、圧電体14に強誘電体を用いており、電極面積を小さくできるとともに、電極の数を任意に決定できるために、総電極面積で決定されるインピーダンスも制御することができる。
【0038】
また、各振動電極が小さく、各振動部の圧電体14aは振動部間の圧電体14bにより周囲を固定されているために、不要振動は改善され、厚み縦振動のエネルギーを1対の振動電極間に十分に閉じ込め、使用する共振周波数、反共振周波数近傍におけるスプリアスを抑制することができる。
【0039】
図4は本発明の他の圧電共振子の例を示すもので、この圧電共振子は、基体11と、該基体11の表面に形成された複数の絶縁体(32a、32b)の積層体からなる振動反射層32と、該振動反射層32上に形成された第1電極13と、該第1電極13上に形成された圧電体14と、該圧電体14上に形成された第2電極15とから構成されている。
【0040】
絶縁体32aと32bとは、音響インピーダンスの異なる2種類の材料であって、各層の厚みが、圧電体14の厚みの約半分であればよい。これは、圧電体14の厚み方向に、半波長の定在波が存在しており、絶縁体をこの定在波の1/4の波長に相当する厚みにして積層することによって反射をすることができるためである。このような振動反射層32を用いると振動空間を形成することなく基体の上に、共振子を形成でき、共振子の強度を大きくすることができるとともに、製造プロセスを簡略化させ、製造コストを低減することができる。
【0041】
そして、図1においては、振動部18と基体11とは、振動が伝わらないように振動空間Aが形成されていたが、図4においては音響インピーダンスの異なる絶縁体32aと32bとを積層して振動反射層32を形成しており、振動は振動反射層32で反射されて、振動部からの振動は基体に達しない。図4の構造は、図1に比べてウェットプロセスである基体の穴加工がなく、製造プロセスを簡素化できるとともに、振動部と共に振動する支持膜を省くことができるので、図1に比べて更に振動周波数を高くでき、高周波化に対応しやすくなる。
【0042】
さらに、図5に示すように、圧電体14は、音速の温度係数が逆符号の強誘電体からなる圧電体14c、14dの2層の積層体であっても良い。音速の温度係数が逆符号の強誘電体からなる圧電体14c、14dは、例えば組成相境界近傍の組成のPb(Zr1-X TiX )O3 を用いることにより実現できる。この温度係数が逆符号の強誘電体からなる圧電体14c、14dを積層することにより、共振周波数の温度係数を零に近づけた共振子を実現することができる。
【0043】
また、図6に示すように、圧電体14は、分極の方向が互いに逆向きの強誘電体からなる圧電体14e、14fの2層の積層体であっても良い。このような圧電共振子は、中間電極20と第1電極13及び第2電極15の間に、強誘電体からなる圧電体14e、14fの抗電界より大きい電界を印可することにより実現できる。高周波電界は第1電極13と第2電極15の間に印可するが、分極方向が逆向きの2層の圧電体14e、14fの積層体を用いるため、第1電極13と第2電極15との間に1波長の定在波が発生し、高周波化を促進できる。
【0044】
【実施例】
実施例1
まず、Si基板の裏面に窒化珪素膜をCVD法により形成した。次に、Si基板の表面にCVD法によりダイヤモンド膜を形成した。窒化珪素膜は反応性イオンエッチング法により、ビアーホール形成用のパターニングを行った後に、KOH溶液を用いてSi基板を異方性エッチングを行い、貫通孔(振動空間)を形成した。
【0045】
次に、マグネトロンスパッタ法を用いて、ダイヤモンド膜上に、500℃で100nm膜厚のAuからなる第1電極を形成した。
【0046】
フォトリソグラフ法を用いて長尺状電極および基部電極を形成し、櫛型形状に加工した。次に、以下に述べるように、長尺状電極の幅が3μm、7μm、10μmと異なる3種類の共振器を作製した。
【0047】
まず、幅3μm、長さ70μmの5本の長尺状電極を5μmの間隔で配置し、基部電極で連結したもの、次に幅7μm、長さ80μmの3本の長尺状電極を10μmの間隔で配置し、基部電極で連結したもの、最後に幅10μm、長さ100μmの2本の長尺状電極を10μmの間隔で配置し、基部電極で連結したものをそれぞれ作製した。
【0048】
その上に、ゾルゲル法により1μm膜厚のPbZr0.53Ti0.473 薄膜を形成した。この圧電体は以下のようにして作製した。まず、1M濃度の塗布溶液をスピンコート法によりSi基板の第1電極上に成膜乾燥し、熱処理(420℃、1分間)と成膜を10回繰り返した後、650℃で30分間結晶化処理を施し、1μm膜厚の強誘電体薄膜を得た。次に、フォトリソグラフ法とエッチングにより強誘電体膜の不要部分を除去して、基部電極を露出した。
【0049】
最後に、第2電極を作製した。膜厚100nmのPt電極膜をスパッタ法により500℃で形成した。リフトオフ法を用いて櫛型形状に加工した。長尺状電極の形状は第1電極と同じであるが、長尺状電極の数は以下のようにした。幅3、7、10μmの長尺状電極の数をそれぞれ5本、2本、2本とした。各長尺状電極の方向は第1電極の長尺状電極と直交するように形成することにより図1および図2に示した圧電共振子を作製した。
【0050】
次に、それについてRFインピーダンスアナライザ(HP4291A)とRFプローブを用いて、20Vの直流電圧を10秒間電極間に印可し、圧電体を分極処理した。
【0051】
次に、インピーダンス測定による圧電共振特性評価を行ったところ、同様なインピーダンス特性を示した。代表として長尺状電極幅7μmの場合を図7に示す。この図から、1.4GHz〜1.5GHzにおいて、インピーダンスが極小となる共振ピークと、極大となる反共振ピークが観測された。
【0052】
図7において、他のスプリアス振動に起因するピークは観測されず、単一モードの振動のみが得られた。また、長尺状電極幅3、10μmのピークも同様であった。
【0053】
実施例2
まず、Si基板表面にスパッタ法により音響インピーダンスの大きいタングステン膜と音響インピーダンスの小さい酸化珪素膜とをそれぞれ交互に5層(約0.5μm)ずつ形成し、振動反射層(1/4波長反射器)を形成した。次に、振動反射層の表面に、実施例1と同様に、第1電極、圧電体、第2電極を形成し、図4に示した圧電共振子を作製した。なお、第1電極、第2電極とも長尺状電極の寸法は、幅7μm、長さ70μmであった。
【0054】
実施例1と同様に、20Vの直流電圧を10秒間電極間に印可して、圧電体を分極処理し、インピーダンス測定による圧電共振特性評価を行った。
【0055】
図8に、インピーダンス特性を示す。1.4GHz〜1.5GHzにおいて、インピーダンスが極小となる共振ピークと、極大となる反共振ピークが観測された。他のスプリアス振動に起因するピークは観測されず、単一モードの振動のみが得られた。
【0056】
比較例
実施例1で作製した共振子と、作製方法、評価方法は同じであるが、上部電極、下部電極の形状を櫛型形状ではなく、通常の一辺が15μmの正方形からなる第1、第2電極を有する圧電共振子を作製した。
【0057】
図9に、インピーダンス特性を示す。共振、反共振ピークの間にスプリアス振動に起因したピークが観測された。
【0058】
【発明の効果】
本発明の圧電共振子では、第1、第2電極を、それぞれ略平行に配列した複数の長尺状電極を電気的に接続して構成するとともに、第1電極の長尺状電極と第2電極の長尺状電極とを、基体側から見て交差させたので、電極の重なった部位のみで振動し、圧電体の厚みと電極サイズを同程度にすることができ、これにより、不要な振動の発生を抑制することができ、不要振動のない小型の共振子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電共振子の断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】本発明の圧電共振子の他の例を示す断面図である。
【図4】振動反射層を有する本発明の圧電共振子を示す断面図である。
【図5】音速の温度係数の符号が互いに逆符号である2層の強誘電体を有する本発明の圧電共振子の断面図である。
【図6】分極の向きが互いに逆方向である2層の強誘電体を有する本発明の圧電共振子の断面図である。
【図7】実施例1の長尺状電極幅が7μmの圧電共振子のインピーダンス特性を示す図である。
【図8】実施例2の圧電共振子のインピーダンス特性を示す図である。
【図9】比較例の圧電共振子のインピーダンス特性を示す図である。。
【図10】従来の圧電共振子の構造の断面図である。
【符号の説明】
11・・・基体
12・・・支持膜
13・・・第1電極
14・・・圧電体
15・・・第2電極
16a、16b・・・長尺状電極
18・・・振動部
32a、32b・・・絶縁体
32・・・振動反射層
A・・振動空間

Claims (3)

  1. 振動空間を有する基体と、該基体の表面に前記振動空間を被覆して形成された支持膜と、該支持膜の前記振動空間と反対の面に当接され、圧電体を第1電極と第2電極とで挟持した振動体とを具備する圧電共振子であって、前記第1電極および前記第2電極は、それぞれ略平行に配列した複数の長尺状電極を電気的に接続して形成され、かつ、前記第1電極の長尺状電極と前記第2電極の長尺状電極とは、前記基体側から見て交差しており、長尺状電極の幅が3〜10μmであることを特徴とする圧電共振子。
  2. 基体と、該基体表面に形成され、複数の絶縁体を積層してなる振動反射層と、該振動反射層の表面に形成され、圧電体を第1電極と第2電極で挟持した振動体とを具備する圧電共振子であって、前記第1電極および前記第2電極は、それぞれ略平行に配列した複数の長尺状電極を電気的に接続して形成され、かつ、前記第1電極の長尺状電極と前記第2電極の長尺状電極とは、前記基体側から見て交差しており、長尺状電極の幅が3〜10μmであることを特徴とする圧電共振子。
  3. 圧電体が強誘電体からなることを特徴とする請求項1または2記載の圧電共振子。
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