JP3722296B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は磁気記録媒体に関する。詳しくは、ディジタル媒体として必要な高CN比やオーバーライト特性が得られると共に、多湿下での走行耐久性に優れ、且つヘッドクロッグ特性にも優れた磁気記録媒体に関する。
【0002】
【発明の背景】
特開平3−88120号、特開昭64−79931号、特開平1−191321号において、上、下層の陰性官能基のモル数、上、下層のポリウレタンの分子量、上、下層のカーボン併用系についての技術が公開されている。しかし、本発明者の研究によれば、下層が磁性層であったり、最上層の膜厚が1.0μm以上と比較的厚いため、膜厚損失や、自己減磁損失が発生し、ディジタル記録媒体として必要な高CN比やオーバーライト特性が得られなかった。又、特開昭63−187418号において非磁性粉末を結合剤中に分散させてなる下層を設けた重層記録媒体が開示されているが、上、下層に用いられる結合剤に含有される極性基の量関係についての規定は特にされていない。
【0003】
従来は磁性層からなる重層記録媒体が一般的であったが、その場合、上、下層の塗料物性をできるだけ同じにした方が、界面粗れを防止できるため、用いられる結合剤もできるだけ類似したものを用いる方が好ましかった。ところが、本発明のように上、下層で用いられるフィラーの性質が異なる場合には、むしろそれに合わせて結合剤の極性基量、分子量も変更させる方が、界面粗れを防いで、平滑な最上層表面を得るためには好ましいことが判明した。
【0004】
【発明の目的】
そこで本発明の目的は、ディジタル媒体として必要な高CN比やオーバーライト特性が得られると共に、多湿下での走行耐久性に優れ、且つヘッドクロッグ特性にも優れた磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0005】
【目的を達成するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る磁気記録媒体は、▲1▼非磁性支持体上に上層及び下層を形成し、上層の磁性層の膜厚が0.1〜0.4μmであり、上層の磁性層及び下層の結合剤として極性基を含有する塩化ビニル系樹脂及び極性基を含有するポリウレタン樹脂が含まれ、上層の磁性層に用いられる結合剤の極性基量が、下層に用いられる結合剤の極性基量より大きく、且つ下層が非磁性粉末を含む非磁性層であること、▲2▼前記ポリウレタンの数平均分子量が2万以下であること、又は▲3▼上層の磁性層が平均粒径10〜30nmと30nmより大きい2種以上のカーボンブラックを含有していること、を各々特徴とする。
【0006】
【発明の具体的構成】
CN比やオーバーライト特性を向上させるためには最上層の磁性層の膜厚は0.1〜0.4μmである。
【0007】
また上層の磁性層に用いられる結合剤の極性基量A(mmol/g)は、通常0.005〜1.0mmol/g、好ましくは0.01〜0.5mmol/g、より好ましくは0.02〜0.2mmol/gであり、下層に用いられる結合剤の極性基量B(mmol/g)は、通常0.001〜0.5mmol/g、好ましくは0.002〜0.2mmol/g、より好ましくは0.005〜0.1mmol/gであり、A>Bであり、好ましくはAがBより0.005mmol/g以上、より好ましくは0.01mmol/g以上大きい方がよい。
【0008】
さらにまた、用いられるポリウレタンの数平均分子量は、通常5000〜50000であるが、好ましくは8000〜30000、より好ましくは10000〜20000である。また上層の磁性層に用いられるポリウレタンの数平均分子量(Mn)をC、下層に用いられるポリウレタンのMnをDとする時、CがDより大きく、好ましくは2000以上、より好ましくは5000以上大きい方がよい。
【0009】
また上層の磁性層に用いられる平均粒径10〜30nmのカーボンブラックをE、30nmより大きいカーボンブラックをFとする時、Eの平均粒径は15〜25nmであるのがより好ましく、Fの平均粒径は30〜300nmであるのが好ましく、より好ましくは40〜150nmである。Eの量は磁性粉100重量部に対して通常1〜15wt%、好ましくは2〜10%であり、Fの量は通常0.1〜2wt%、好ましくは0.1〜1wt%、より好ましくは0.2〜0.8wt%である。
【0010】
(層構成)
本発明の磁気記録媒体は、基本的に、非磁性支持体上に、上層である磁性層と、その磁性層と非磁性支持体との間に存在する下層とを形成してなる。なお、非磁性支持体上の上記磁性層が設けられていない面(裏面)には、磁気記録媒体の走行性の向上、帯電防止および転写防止などを目的として、バックコート層を設けるのが好ましく、また磁性層と非磁性支持体との間には、下引き層を設けることもできる。
【0011】
(非磁性支持体)
前記非磁性支持体を形成する材料としては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート等のセルロース誘導体、ポリアミド、ポリカーボネート等のプラスチックを挙げることができる。
【0012】
前記非磁性支持体の形態は特に制限はなく、主にテープ状、フィルム状、シート状、カード状、ディスク状、ドラム状などがある。
【0013】
非磁性支持体の厚みには特に制約はないが、たとえばフィルム状やシート状の場合は通常3〜100μm、好ましくは5〜50μmであり、ディスクやカード状の場合は30μm〜10mm程度、ドラム状の場合はレコーダー等に応じて適宜に選択される。
【0014】
尚、この非磁性支持体は単独構造のものであっても多層構造のものであってもよい。また、この非磁性支持体は、たとえばコロナ放電処理等の表面処理を施されたものであってもよい。
【0015】
なお又、非磁性支持体上の上記磁性層が設けられていない面(表面)には、磁気記録媒体の走行性の向上、帯電防止および転写防止などを目的として、バックコート層を設けるのが好ましく、また磁性層と非磁性支持体との間には、下引き層を設けることができることは前記したとおりである。
【0016】
(磁性層)
本発明においては、上層が磁性層である。この磁性層は、基本的には磁性粉をバインダー樹脂中に分散せしめてなる。
【0017】
この上層の磁性層には、強磁性金属粉末および/または六方晶系磁性粉を含有することが好ましい。また、上層の膜厚は0.1〜0.4μmである。これらの条件を満足することによって、本発明の磁気記録媒体は、本発明の目的を達成することができる。
【0018】
上層に好ましく用いられる強磁性金属粉末としては、Fe、Coをはじめ、Fe−Al系、Fe−Al−Ni系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Co系、Fe−Al−Ca系、Fe−Ni系、Fe−Ni−Al系、Fe−Ni−Co系、Fe−Ni−Si−Al−Mn系、Fe−Ni−Si−Al−Zn系、Fe−Al−Si系、Fe−Ni−Zn系、Fe−Ni−Mn系、Fe−Ni−Si系、Fe−Mn−Zn系、Fe−Co−Ni−P系、Ni−Co系、Fe、Ni、Co等を主成分とするメタル磁性粉等の強磁性粉が挙げられる。中でも、Fe系金属粉が電気的特性に優れる。
【0019】
他方、耐蝕性および分散性の点から見ると、Fe−Al系、Fe−Al−Ca系、Fe−Al−Ni系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Co系、Fe−Ni−Si−Al−Zn系、Fe−Ni−Si−Al−Mn系などのFe−Al系金属粉が好ましい。
【0020】
特に、本発明の目的に好ましい強磁性金属粉は、鉄を主成分とする金属磁性粉であり、Alまたは、AlおよびCaを、Alについては重量比でFe:Al=100:0.5〜100:20、Caについては重量比でFe:Ca=100:0.1〜100:10の範囲で含有するのが望ましい。
【0021】
Fe:Alの比率をこのような範囲にすることで耐蝕性が著しく改良され、またFe:Caの比率をこのような範囲にすることで電磁変換特性を向上させ、ドロップアウトを減少させることができる。電磁変換特性の向上やドロップアウトの減少がもたらされる理由は明らかでないが、分散性が向上することによる保磁力のアップや凝集物の減少等が理由として考えられる。
【0022】
強磁性金属粉末は、その平均長軸長が0.25μm未満、特に0.10〜0.22μm、より好ましくは0.10〜0.17μmでかつ結晶サイズが200Å未満、特に100〜180Åであることが好ましい。又軸比(平均長軸長/平均短軸長)が12以下、好ましくは10以下、さらに好ましくは5〜9であるのが良い。強磁性金属粉末の平均長軸長および結晶サイズ、軸比が前記範囲内にあるとさらに電磁変換特性の向上を図ることができる。
また、強磁性金属粉末は、その保磁力(Hc)が通常600〜5,000 Oeの範囲にあることが好ましい。この保磁力が600 Oe未満であると、電磁変換特性が劣化することがあり、また保磁力が5,000 Oeを超えると、通常のヘッドでは記録不能になることがあるので好ましくない。
また、上記強磁性粉末は、磁気特性である飽和磁化量(σs)が通常、70emu/g以上であることが好ましい。この飽和磁化量が70emu/g未満であると、電磁変換特性が劣化することがある。
さらに本発明においては、記録の高密度化に応じて、BET法による比表面積で30m2/g以上、特に45m2/g以上の強磁性金属粉末が好ましく用いられる。
【0023】
この比表面積ならびにその測定方法については、「粉体の測定」(J.M.Dallavelle,Clyeorr Jr.共著、牟田その他訳:産業図書社刊)に詳述されており、また「化学便覧」応用編P1170〜1171(日本化学会編:丸善(株)昭和41年4月30日発行)にも記載されている。
比表面積の測定は、たとえば粉末を105℃前後で13分間加熱処理しながら脱気して粉末に吸着されているもの除去し、その後、この粉末を測定装置に導入して窒素の初期圧力を0.5kg/m2に設定し、窒素により液体窒素温度(−105℃)で10分間測定を行なう。
測定装置は例えばカウンターソープ(湯浅アイオニクス(株)製)を使用する。
【0024】
さらに、好ましい強磁性粉末の構造としては、該強磁性粉末に含有されているFe原子とAl原子との含有量比が原子数比でFe:Al=100:1〜100:20であり、且つ該強磁性粉末のESCAによる分析深度で100Å以下の表面域に存在するFe原子とAl原子との含有量比が原子数比でFe:Al=30:70〜70:30である構造を有するものである。或いは、Fe原子とNi原子とAl原子とSi原子とが強磁性粉末に含有され、さらにZn原子とMn原子との少なくとも一方が該強磁性粉末に含有され、Fe原子の含有量が90原子%以上、Ni原子の含有量が1原子%以上、10原子%未満、Al原子の含有量が0.1原子%以上、5原子%未満、Si原子の含有量が0.1原子%以上、5原子%未満、Zn原子の含有量および/またはMn原子の含有量(但し、Zn原子とMn原子との両方を含有する場合はこの合計量)が0.1原子%以上、5原子%未満であり、前記強磁性粉末のESCAによる分析深度で100Å以下の表面域に存在するFe原子とNi原子とAl原子とSi原子とZn原子および/またはMn原子の含有量比が原子数比でFe:Ni:Al:Si(Znおよび/またはMn)=100:(4以下):(10〜60):(10〜70):(20〜80)である構造を有する強磁性粉末等が挙げられる。
【0025】
本発明に好ましく用いられる六方晶系の磁性粉としては、たとえば、六方晶系フェライトを挙げることができる。このような六方晶系フェライトは、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等からなり、鉄元素の一部が他の元素(たとえば、Ti、Co、Zn、In、Mn、Ge、Hb等)で置換されていても良い。このフェライト磁性体については、IEEE Trans,on MAG−18 16(1982)に詳しく述べられている。
本発明において、特に好ましい六方晶系の磁性粉としては、バリウムフェライト(以下Ba−フェライトと記す)磁性粉を挙げることができる。
【0026】
本発明で用いることのできる好ましいBa−フェライト磁性粉は、Ba−フェライト粉の、Feの一部が少なくともCoおよびZnで置換された平均粒径(六方晶系フェライトの板面の対角線の長さ)400〜900Å、板状比(六方晶系フェライトの板面の対角線の長さを板厚で除した値)2.0〜10.0、より好ましくは2.0〜6.0、保磁力(Hc)450〜1500のBa−フェライトである。
【0027】
Ba−フェライト粉は、FeをCoで一部置換することにより、保磁力が適正な値に制御されており、さらにZnで一部置換することにより、Co置換のみでは得られない高い飽和磁化を実現し、高い再生出力を有する電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を得ることができる。また、さらにFeの一部をNbで置換することにより、より高い再生出力を有する電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を得ることができる。また、本発明に用いられるBa−フェライトは、さらにFeの一部がTi、In、Mn、Cu、Ge、Sn等の遷移金属で置換されていても差支えない。
【0028】
なお、本発明に使用するBa−フェライトは次の一般式で表される。
BaOn((Fe1-mMm)2O3)
[ただし、m>0.36(ただし、Co+Zn=0.08〜0.3、Co/Zn=0.5〜10、尚mは1より小さい値である。)であり、nは5.4〜11.0であり、好ましくは5.4〜6.0であり、Mは置換金属を表し、平均個数が3となる2種以上の元素の組合せになる磁性粒子が好ましい。]
本発明において、Ba−フェライトの平均粒径、板状比、保磁力が前記好ましい範囲内にあると好ましい理由は、次の通りである。すなわち、平均粒径400Å未満の場合は、磁気記録媒体としたときの再生出力が不十分となり、逆に900Åを超えると、磁気記録媒体としたときの表面平滑性が著しく悪化し、ノイズレベルが高くなりすぎることがあり、また、板状比が2.0未満では、磁気記録媒体としたときに高密度記録に適した垂直配向率が得られず、逆に板状比が10.0を越えると磁気記録媒体としたときの表面平滑性が著しく悪化し、ノイズレベルが高くなりすぎ、さらに、保磁力が350 Oe未満の場合には、記録信号の保持が困難になり、2000 Oeを越えると、ヘッドが飽和現象を起こし記録が困難になることがあるからである。
【0029】
六方晶系の磁性粉は、磁気特性である飽和磁化量(σs)が通常、50emu/g以上であることが望ましい。この飽和磁化量が50emu/g未満であると、電磁変換特性が劣化することがある。
【0030】
本発明に用いられるBa−フェライトの好ましい一具体例としては、Co−置換Baフェライトを挙げることができる。
【0031】
六方晶系の磁性粉を製造する方法としては、たとえば目的とするBa−フェライトを形成するのに必要な各元素の酸化物、炭酸化物を、たとえばホウ酸のようなガラス形成物質とともに溶融し、得られた融液を急冷してガラスを形成し、次いでこのガラスを所定温度で熱処理して目的とするBa−フェライトの結晶粉を析出させ、最後にガラス成分を熱処理によって除去するという方法のガラス結晶化法の他、共沈−焼成法、水熱合成法、フラックス法、アルコキシド法、プラズマジェット法等が適用可能である。
なお、本発明においては、強磁性金属粉末と六方晶系の磁性粉とを混合して使用することもできる。
この磁性層中の強磁性金属粉末および/または六方晶系の磁性粉の含有量は通常、50〜99重量%であり、好ましくは60〜99重量%であり、特に好ましくは75〜90重量%である。
【0032】
ところで、上層である磁性層以外の、非磁性粉末を含有する下層は、磁性層の膜厚が0.1〜0.4μmであるので、上層である磁性層に対して潤滑剤を補給する層として機能する。磁性層に対して下層となる層が潤滑剤補給層として良く機能するために、磁性層の下の層に含まれる非磁性粉末は、その吸油量ができるだけ少ないことが好ましく、通常200ミリリットル/100g以下、好ましくは100ミリリットル/100g以下である。
【0033】
(カーボンブラック)
本発明において、磁性層に含有せしめるカーボンブラックとして各種遮光用カーボンブラック、例えばコロンビアカーボン社製のラーベン2000(比表面積190m2 /g、粒径18mμ)、2100、1170、1000、三菱化成(株)製#100、#75、#40、#35、#30等が使用可能である。また、導電性カーボンブラックも使用可能であり、これには、例えばコロンビアカーボン社のコンダクテックス(Conductex)975(BET値(以下BETと略)250m2 /g、DBP吸油量(以下DBPと略)170ml/100gr、粒径24mμ)、コンダクテックス900(BET125m2 /g、粒径27mμ)、コンダクテックス40−220(粒径20mμ)、コンダクテックスSC(BET220m2 /gr、DBP115ml/100gr、粒径20mμ)、キャボット社製のバルカン(Cabot Vulcan)XC−72(比表面積254m2 /g、粒径30mμ)、バルカンP(BET143m2 /gr、DBP118ml/100gr、粒径20mμ)、ラーベン1040、420、ブラックパールズ2000(粒径15mμ)、三菱化成(株)製#44等がある。
【0034】
また、本発明で使用可能な他のカーボンブラックとしてはコロンビアン・カーボン社製のコンダクテックス(Conductex)−SC.(BET220m2 /g、DBP115ml/100g、粒径20mμ)、キャボット社製のバルカン(Vulcan)9(BET140m2 /g、DBP114ml/100g、粒径19mμ)、旭カーボン社製の#80(BET117m2 /g、DBP113ml/100g、粒径23mμ)、電気化学社製のHS100(BET32m2 /g、DBP180ml/100g、粒径53mμ)、三菱化成社製の#22B(BET55m2 /g、DBP131ml/100g、粒径40mμ)、#20B(BET56m2 /g、DBP115ml/100g、粒径40mμ)、#3500(BET47m2 /g、DBP187ml/100g、粒径40mμ)があり、その他にも、三菱化成社製のCF−9、#4000、MA−600、キャボット社製のブラック・パールズ(Black Pearls)L、モナーク(Monarck)800、ブラック・パールズ700、ブラック・パールズ1000、ブラック・パールズ880、ブラック・パールズ900、ブラック・パールズ1300、ブラック・パールズ2000、スターリング(Sterling)V、コロンビアン・カーボン社製のラーベン(Raven)410、ラーベン3200、ラーベン430、ラーベン450、ラーベン825、ラーベン1255、ラーベン1035、ラーベン1000、ラーベン5000、ラーベンMT−P、ケッチェンブラックFC等が挙げられる。
【0035】
本発明においては、これらカーボンブラックについて、平均粒径10〜30nmの範囲のものと、30nmより大きいものとの2種以上を組合せ用いればよい。
【0036】
[非磁性粉末を含む下層]
本発明においては、非磁性支持体の上に上層及び下層が形成されており、上層以外の下層、好ましくは上層に隣接する下層には、非磁性粉末が含有されている。
【0037】
(非磁性粉末)
本発明における非磁性粉末としては、この種磁気記録媒体に使用される公知の各種の非磁性粉末から、前記特性を備えたものを適宜に選択して使用することができる。この非磁性粉末としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン、硫酸バリウム、ZnS、MgCo3、CaCO3、ZnO、CaO,二硫化タングステン、二硫化モリブデン、窒化ホウ酸、MgO、SnO2、SiO2、Cr2O3、α−Al2O3、SiC、酸化セリウム、コランダム、人造ダイヤモンド、α−酸化鉄、ザクロ石、ガーネット、ケイ石、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化モリブデン、炭化ホウ素、炭化タングステン、チタンカーバイド、トリポリ、ケイソウ土、ドロマイトや、ポリエチレン等のポリマー粉末等を挙げることができる。
【0038】
これらの中でも好ましいのは、カーボンブラック、CaCO3、酸化チタン、硫酸バリウム、α−Al2O3、α−酸化鉄、等の無機粉末やポリエチレン等のポリマー粉末等である。
【0039】
前記非磁性粉末の平均粒径としては、通常1〜300nmであり、好ましくは1〜100nmであり、特に好ましくは1〜50nmである。前記範囲の平均粒径を有する非磁性粉末を使用すると、非磁性層(下層)中の非磁性粉末による磁性層(上層)の表面性に悪影響が生じない点で好ましい。
【0040】
前記非磁性粉末の非磁性層(下層)中における含有量としては、非磁性層(下層)を構成する全成分の合計に対して5〜99重量%、好ましくは60〜95重量%、特に好ましくは75〜95重量%である。非磁性粉末の含有量が前記範囲内にあると、磁性層からなる上層の表面の状態を良好にすることができる。
【0047】
この本発明の磁気記録媒体は導電性粉末を含有していることが好ましい。この導電性粉末としては、カーボンブラック、グラファイト、酸化錫、銀粉、酸化銀、硝酸銀、銀の有機化合物、銅粉等の金属粒子等、酸化亜鉛、硝酸バリウム、酸化チタン等の金属酸化物等の顔料を酸化錫被膜、又はアンチモン固溶酸化被膜等の導電性物質でコーティング処理したもの等がある。
【0048】
(バインダー)
上層である磁性層及び下層を形成するのに使用されるバインダーとしては、前記極性基を含有する塩化ビニル系共重合体と極性基を含有するポリウレタンが用いられ、極性基を有するポリウレタン樹脂は−SO3M、−OSO3M、−COOMおよび−PO(OM1)2、−OPO(OM1)2、から選ばれた少なくとも一種の極性基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。
【0049】
ただし、上記極性基において、Mは水素原子あるいはNa、K、Li等のアルカリ金属を表わし、またM1は水素原子、Na、K、Li等のアルカリ原子を表す。
前記本発明の極性基を含有する塩化ビニル系共重合体は、公知の方法で容易に合成できる。
【0050】
結合剤(バインダー)の磁性層における含有率は、強磁性粉末100重量部に対して通常、10〜40重量部、好ましくは15〜30重量部である。
結合剤(バインダー)は一種単独に限らず、二種以上を組み合わせて用いることができる。本発明で用いられるポリウレタンと本発明で用いられる塩化ビニル系樹脂との比は、重量比で通常、90:10〜10:90が好ましく、より好ましくは70:30〜30:70の範囲であり、特に30:70〜50:50の範囲である。
【0051】
次に、本発明で用いられるポリウレタンに付いて述べる。
これは、ポリオールとポリイソシアネートとの反応から得られる。
ポリオールとしては、一般にポリオールと多塩基酸との反応によって得られるポリエステルポリオールが使用されている。
したがって、極性基を有するポリエステルポリオールを原料として用いれば、極性基を有するポリウレタンを合成することができる。
【0052】
ポリイソシアネートの例としては、ジフェニルメタン−4−4′−ジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、1.5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、リジンイソシアネートメチルエステル(LDI)等が挙げられる。
【0053】
また、極性基を有するポリウレタンの他の合成方法として、水酸基を有するポリウレタンと極性基および塩素原子を有する下記の化合物との付加反応も有効である。
Cl−CH2CH2SO3M、Cl−CH2CH2OSO3M、Cl−CH2COOM、Cl−CH2−P(=0)(OM1)2
尚、上記M及びM 1 は段落番号[0049]に記載のM及びM 1 と同義であってMは水素原子あるいはNa、K、Li等のアルカリ金属を表し、またM 1 は水素原子、Na、K、Li等のアルカリ原子を表す。
なお、ポリウレタンへの極性基導入に関する技術としては、特公昭58−41565号、特開昭57−92422号、同57−92423号、同59−8127号、同59−5423号、同59−5424号、同62−121923号等の公報に記載があり、本発明においてもこれらを利用することができる。
【0054】
本発明においては、結合剤として下記の樹脂を(好ましくは全結合剤の20重量%以下の使用量で)併用することができる。
その樹脂としては、重量平均分子量が10,000〜200,000である、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂、各種の合成ゴム系樹脂等が挙げられる。
【0055】
(その他の成分)
本発明では、磁性層の耐久性を向上させるために、本発明のカーボンブラックを含有させること、及びポリイソシアネートを磁性層に含有させることが望ましい。
ポリイソシアネートとしては、たとえばトリレンジイソシアネート(TDI)等と活性水素化合物との付加体などの芳香族ポリイソシアネートと、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等と活性水素化合物との付加体などの脂肪族ポリイソシアネートがある。ポリイソシアネートの重量平均分子量は、100〜3,000の範囲にあることが望ましい。
【0056】
本発明では、磁性層に必要に応じて分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤および充填剤などの添加剤を含有させることができる。
まず、分散剤としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの炭素数12〜18の脂肪族;これらのアルカリ金属の塩またはアルカリ土類金属の塩あるいはこれらのアミド:ポリアルキレンオキサイドアルキル酸エステル;レシチン;トリアルキルポリオレフィンオキシ第四アンモニウム塩:カルボキシル基およびスルホン酸基を有するアゾ系化合物などを挙げることができる。これらの分散剤は、通常、強磁性粉に対して0.5〜5重量%の範囲で用いられる。
【0057】
次に、潤滑剤としては、脂肪酸および/または脂肪酸エステルを使用することができる。この場合、脂肪酸の添加量は強磁性粉に対し0.2〜10重量%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい。添加量が0.2重量%未満であると、走行性が低下し易く、また10重量%を超えると、脂肪酸が磁性層の表面にしみ出したり、出力低下が生じ易くなる。
【0058】
また、脂肪酸エステルの添加量も強磁性粉に対して0.2〜10重量%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい。その添加量が0.2重量%未満であると、スチル耐久性が劣化し易く、また10重量%を超えると、脂肪酸エステルが磁性層の表面にしみ出したり、出力低下が生じ易くなる。
【0059】
脂肪酸と脂肪酸エステルとを併用して潤滑効果をより高めたい場合には、脂肪酸と脂肪酸エステルは重量比で10:90〜90:10が好ましく、より好ましくは30:70〜70:30である。
【0060】
脂肪酸としては一塩基酸であっても二塩基酸であってもよく、炭素数は6〜30が好ましく、12〜22の範囲がより好ましい。
脂肪酸の具体例としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノレン酸、オレイン酸、エライジン酸、ベヘン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1.12−ドデカンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸などが挙げられる。
【0061】
脂肪酸エステルの具体例としては、オレイルオレート、イソセチルステアレート、ジオレイルマレート、ブチルステアレート、ブチルパルミテート、ブチルミリステート、オクチルミリステート、オクチルパルミテート、ペンチルステアレート、ペンチルパルミテート、イソブチルオレエート、ステアリルステアレート、ラウリルオレエート、オクチルオレエート、イソブチルオレエート、エチルオレエート、イソトリデシルオレエート、2−エチルヘキシルステアレート、2−エチルヘキシルパルミテート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、ブチルラウレート、セチル−2−エチルヘキサレート、ジオレイルアジペート、ジエチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソデシルアジペート、オレイルステアレート、2−エチルヘキシルミリステート、イソペンチルパルミテート、イソペンチルステアレート、ジエチレングリコール−モノ−ブチルエーテルパルミテート、ジエチレングリコール−モノ−ブチルエーテルパルミテートなどが挙げられる。
【0062】
また、上記脂肪酸、脂肪酸エステル以外の潤滑剤として、例えばシリコーンオイル、グラファイト、フッ化カーボン、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、脂肪酸アミド、α−オレフィンオキサイドなども使用することができる。
【0063】
次に、研磨剤の具体例としては、α−アルミナ、溶融アルミナ、酸化クロム、酸化チタン、α−酸化鉄、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化タングステン、炭化モリブデン、炭化ホウ素、コランダム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素などが挙げられる。研磨剤の平均粒子径は0.05〜0.6μmが好ましく、0.1〜0.3μmがより好ましい。
【0064】
次に、帯電防止剤としては、カーボンブラック、グラファイト等の導電性粉末;第四級アミン等のカチオン界面活性剤;スルホン酸、硫酸、リン酸、リン酸エステル、カルボン酸等の酸基を含むアニオン界面活性剤;アミノスルホン酸等の両性界面活性剤;サポニン等の天然界面活性剤等を挙げることができる。
上述した帯電防止剤は、通常、結合剤に対して0.01〜40重量%の範囲で添加される。
【0065】
(磁気記録媒体の製造)
本発明の磁気記録媒体はその製造方法に特に制限はなく、公知の単層または複数層構造型の磁気記録媒体の製造に使用される方法に準じて製造することができる。
たとえば、一般的には強磁性粉、結合剤、分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等を溶媒中で混練及び分散して磁性塗料を調整した後、この磁性塗料を非磁性支持体の表面に塗布する。
【0066】
上記溶媒としては、たとえばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン系;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル類;メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭素水素等を用いることができる。
【0067】
磁性層形成成分の混練分散にあたっては、各種の混練分散機を使用することができる。
この混練分散機としては、たとえば二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、コボルミル、トロンミル、サンドミル、サンドグラインダー、Sqegvariアトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパー、高速ミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機、オープンニーダー、連続ニーダー、加圧ニーダーなどが挙げられる。
上記混練分散機のうち、0.05〜0.5KW(磁性粉1Kg当たり)の消費電力負荷を提供することのできる混練分散機は、加圧ニーダー、オープンニーダー、連続ニーダー、二本ロールミル、三本ロールミルである。
【0068】
非磁性支持体上に磁性層を塗布するには、本発明の磁気記録媒体の製造に当たっては、特に効果の点からウェット−オン−ウェット重層塗布方式による同時重層塗布を行なうのがよい。具体的には、図1に示すように、まず供給ロール32から繰出したフィルム状支持体1に、エクストルージョン方式の押し出しコーター10、11により、磁性層の各塗料をウェット−オン−ウェット方式で重層塗布した後、配向用磁石または垂直配向用磁石33に通過し、乾燥器34に導入し、ここで上下に配したノズルから熱風を吹き付けて乾燥する。次に、乾燥した各塗布層付きの支持体1をカレンダーロール38の組合せからなるスーパーカレンダー装置37に導き、ここでカレンダー処理した後に、巻き取りロール39に巻き取る。このようにして得られた磁性フィルムを所望幅のテープ状に裁断してたとえば8mmビデオカメラ用磁気記録テープを製造することができる。
【0069】
上記の方法において、各塗料は、図示しないインラインミキサーを通して押し出しコーター10、11へと供給してもよい。なお、図中、矢印Dは非磁性ベースフィルムの搬送方向を示す。押し出しコーター10、11には夫々、液溜まり部13、14が設けられ、各コーターからの塗料をウェット−オン−ウェット方式で重ねる。即ち、下層用塗料の塗布直後(未乾燥状態のとき)に上層磁性層塗料を重層塗布する。
【0070】
前記コーターヘッドは、図2に示した(ウ)のヘッドが本願発明においては好ましい。
【0071】
ウェット−オン−ウェット重層塗布方法は、リバースロールと押し出しコーターとの組み合わせ、グラビアロールと押し出しコーターとの組み合わせなども使用することができる。さらにはエアドクターコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、スクィズコーター、含浸コーター、トランスファロールコーター、キスコーター、キャストコーター、スプレイコーター等を組み合わせることもできる。
【0072】
このウェット−オン−ウェット方式による重層塗布においては、下層が湿潤状態になったままで上層の磁性層を塗布するので、下層の表面(即ち、上層と境界面)が滑らかになるとともに上層の表面性が良好になり、かつ、上下層間の接触性も向上する。この結果、特に高密度記録のために高出力、低ノイズの要求されるたとえば磁気テープとしての要求性能を満たしたものとなりかつ、高耐久性の性能が要求されることに対しても膜剥離をなくし、膜強度が向上し、耐久性が十分となる。また、ウェット−オン−ウェット重層塗布方式により、ドロップアウトも低減することができ、信頼性も向上する。
【0073】
上記塗料に配合される溶媒あるいはこの塗料の塗布時の希釈溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類:メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレングリコールセノアセテート等のエステル類:グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類:ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素:メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等のものが使用できる。これらの各種の溶媒は単独で使用することもできるし、またそれらの二種以上を併用することもできる。
【0074】
前記配向磁石あるいは垂直配向用磁石における磁場は、20〜5,000ガウス程度であり、乾燥器による乾燥温度は約30〜120℃であり、乾燥時間は約0.1〜10分間程度である。
【0075】
次にカレンダリングにより表面平滑化処理が行なわれる。
その後は、必要に応じてバーニッシュ処理またはブレード処理を行なってスリッティングされる。この際、上記表面平滑化処理は、本発明の目的を達成するのに効果的である。
表面平滑化処理においては、カレンダー条件として温度、線圧力、C/S(コーティングスピード)等を挙げることができる。
【0076】
本発明の目的達成のためには、通常、上記温度を50〜120℃、上記線圧力を50〜400kg/cm、上記C/Sを20〜600m/分に保持することが好ましい。これらの数値の範囲を外れると、磁性層の表面状態を本発明の如く特定することが実施困難になるか、あるいはそれが不可能になることがある。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、ディジタル媒体として必要な高CN比やオーバーライト特性が得られると共に、多湿下で走行耐久性の高い磁気記録媒体を得ることができ、且つヘッドクロッグ特性にも優れている。
【0078】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
以下に示す成分、割合、操作順序は本発明の範囲から逸脱しない範囲において種々変更し得る。なお、下記の実施例において「部」はすべて重量部である。
【0079】
実施例1
下記組成物の各成分をニーダー・サンドミルを用いて混練分散して上層用磁性塗料及び下層用塗料を調製した。
【0080】
【0081】
[上層用塗料B]
上層用塗料AにおけるFe−Al系強磁性金属粉末に代えてCo置換バリウムフェライト(Hc:1100 Oe、BET45m2/g、σs:64emu/g、板状比4)を用いた以外はAと同じ。
【0082】
【0083】
[下層用塗料D]
下層用塗料CにおいてTiO2にかえてFe−Si−Alセンダスト合金粉末(保磁力Hc=40A/m、μi=200H/m、球状粒径50nm)を用いた以外はCと同じ。
【0084】
[上層用塗料E、F]
塗料A、Bにおいて用いられるスルホン酸金属塩含有塩化ビニル系樹脂のスルホン酸金属塩濃度を0.03mmol/gに、スルホン酸金属塩含有ポリウレタン樹脂のスルホン酸金属塩濃度を0.08mmol/gに変更し、カーボンブラック(平均粒子径40nm)0.5部を用いなかった以外はA、Bと同様にした。
【0085】
[下層用塗料G]
塗料CにおいてTiO290部にかえてCo−γFe2O3(平均粒径0.16μm、結晶子サイズ330Å、Hc:800Oe、σs:78emu/g)90部を用いた以外はCと同様にした。
【0086】
[上層用塗料H、I]
塗料A、Bにおいて用いられるスルホン酸金属塩含有塩化ビニル系樹脂のスルホン酸金属塩濃度を0.08mmol/gに、スルホン酸金属塩含有ポリウレタン樹脂のスルホン酸金属塩濃度を0.18mmol/gに変更し、カーボンブラック(平均粒子径40nm)0.5部のかわりにカーボンブラック(平均粒子径95nm)0.5部を用いた以外はA、Bと同様にした。
【0087】
次に、得られた上層用磁性塗料と下層用塗料とにそれぞれポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン工業社製)5部を添加した。
【0088】
(実施例1〜5、及び比較例1〜8、A)
表1に示された組成の塗膜構成により、ウェット・オン・ウェット方式により厚み10μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布したのち、塗膜が未乾燥であるうちに磁場配向処理を行ない、続いて乾燥を施してから、カレンダーで表面平滑処理を行ない、厚み2.0μmの下層と、表1に示す膜厚の上層とからなる磁性層を形成した。
【0089】
さらに、この磁性層とは反対側の上記ポリエチレンフタレートフィルムの面(裏面)に下記の組成を有する塗料を塗布し、この塗膜を乾燥し、カレンダー加工をすることによって、厚み0.8μmのバックコート層を形成し、広幅の原反磁気テープを得た。
【0090】
[バックコート層用塗料]
カーボンブラック(ラベン1035) 40部
硫酸バリウム(平均粒径300nm) 10部
ニトロセルロース 25部
ポリウレタン系樹脂(日本ポリウレタン社製、N−2301) 25部
ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製、コロネートL)10部
シクロヘキサノン 400部
メチルエチルケトン 250部
トルエン 250部
【0091】
こうして得られた原反をスリットして8mmビデオ用テープを作成した。
このビデオ用テープのCN特性、オーバーライト特性そして走行耐久性及びヘッドクロッグ特性を下記の要領で測定した。その結果を表1に示す。
【0092】
(CN特性)
9MHzの単一波を記録し、その信号を再生した際の出力レベルを基準サンプル(比較例1)との比較で表した。
【0093】
(オーバーライト特性)
2MHzの信号を飽和レベルで記録し、その後に9MHzの信号を(上書き)記録した際の2MHzの信号の残留出力レベルを測定した。残留出力レベルの低いほどオーバーライト特性は良好であるとする。
【0094】
(20℃、60%RH下での走行耐久性)
20℃、60%RHの環境下でS−550(ソニー社製)を用い、テープ先頭5分間の再生を200パス以上繰り返し、エッジダメージの有無を観察した。
【0095】
(ヘッドクロック特性)
40℃、20%RH下の環境下で、S−550(ソニー社製)を用いてテープを全長走行させ、RF出力が2dB以上、1秒以上継続して起こった場合をヘッド目づまりとし、回数を数えた。
【0096】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】ウエット−オン−ウエット塗布方式による磁性層の同時重層塗布を説明するための図
【図2】磁性層塗料を塗布するためのコーターヘッドの図
【産業上の利用分野】
本発明は磁気記録媒体に関する。詳しくは、ディジタル媒体として必要な高CN比やオーバーライト特性が得られると共に、多湿下での走行耐久性に優れ、且つヘッドクロッグ特性にも優れた磁気記録媒体に関する。
【0002】
【発明の背景】
特開平3−88120号、特開昭64−79931号、特開平1−191321号において、上、下層の陰性官能基のモル数、上、下層のポリウレタンの分子量、上、下層のカーボン併用系についての技術が公開されている。しかし、本発明者の研究によれば、下層が磁性層であったり、最上層の膜厚が1.0μm以上と比較的厚いため、膜厚損失や、自己減磁損失が発生し、ディジタル記録媒体として必要な高CN比やオーバーライト特性が得られなかった。又、特開昭63−187418号において非磁性粉末を結合剤中に分散させてなる下層を設けた重層記録媒体が開示されているが、上、下層に用いられる結合剤に含有される極性基の量関係についての規定は特にされていない。
【0003】
従来は磁性層からなる重層記録媒体が一般的であったが、その場合、上、下層の塗料物性をできるだけ同じにした方が、界面粗れを防止できるため、用いられる結合剤もできるだけ類似したものを用いる方が好ましかった。ところが、本発明のように上、下層で用いられるフィラーの性質が異なる場合には、むしろそれに合わせて結合剤の極性基量、分子量も変更させる方が、界面粗れを防いで、平滑な最上層表面を得るためには好ましいことが判明した。
【0004】
【発明の目的】
そこで本発明の目的は、ディジタル媒体として必要な高CN比やオーバーライト特性が得られると共に、多湿下での走行耐久性に優れ、且つヘッドクロッグ特性にも優れた磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0005】
【目的を達成するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る磁気記録媒体は、▲1▼非磁性支持体上に上層及び下層を形成し、上層の磁性層の膜厚が0.1〜0.4μmであり、上層の磁性層及び下層の結合剤として極性基を含有する塩化ビニル系樹脂及び極性基を含有するポリウレタン樹脂が含まれ、上層の磁性層に用いられる結合剤の極性基量が、下層に用いられる結合剤の極性基量より大きく、且つ下層が非磁性粉末を含む非磁性層であること、▲2▼前記ポリウレタンの数平均分子量が2万以下であること、又は▲3▼上層の磁性層が平均粒径10〜30nmと30nmより大きい2種以上のカーボンブラックを含有していること、を各々特徴とする。
【0006】
【発明の具体的構成】
CN比やオーバーライト特性を向上させるためには最上層の磁性層の膜厚は0.1〜0.4μmである。
【0007】
また上層の磁性層に用いられる結合剤の極性基量A(mmol/g)は、通常0.005〜1.0mmol/g、好ましくは0.01〜0.5mmol/g、より好ましくは0.02〜0.2mmol/gであり、下層に用いられる結合剤の極性基量B(mmol/g)は、通常0.001〜0.5mmol/g、好ましくは0.002〜0.2mmol/g、より好ましくは0.005〜0.1mmol/gであり、A>Bであり、好ましくはAがBより0.005mmol/g以上、より好ましくは0.01mmol/g以上大きい方がよい。
【0008】
さらにまた、用いられるポリウレタンの数平均分子量は、通常5000〜50000であるが、好ましくは8000〜30000、より好ましくは10000〜20000である。また上層の磁性層に用いられるポリウレタンの数平均分子量(Mn)をC、下層に用いられるポリウレタンのMnをDとする時、CがDより大きく、好ましくは2000以上、より好ましくは5000以上大きい方がよい。
【0009】
また上層の磁性層に用いられる平均粒径10〜30nmのカーボンブラックをE、30nmより大きいカーボンブラックをFとする時、Eの平均粒径は15〜25nmであるのがより好ましく、Fの平均粒径は30〜300nmであるのが好ましく、より好ましくは40〜150nmである。Eの量は磁性粉100重量部に対して通常1〜15wt%、好ましくは2〜10%であり、Fの量は通常0.1〜2wt%、好ましくは0.1〜1wt%、より好ましくは0.2〜0.8wt%である。
【0010】
(層構成)
本発明の磁気記録媒体は、基本的に、非磁性支持体上に、上層である磁性層と、その磁性層と非磁性支持体との間に存在する下層とを形成してなる。なお、非磁性支持体上の上記磁性層が設けられていない面(裏面)には、磁気記録媒体の走行性の向上、帯電防止および転写防止などを目的として、バックコート層を設けるのが好ましく、また磁性層と非磁性支持体との間には、下引き層を設けることもできる。
【0011】
(非磁性支持体)
前記非磁性支持体を形成する材料としては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート等のセルロース誘導体、ポリアミド、ポリカーボネート等のプラスチックを挙げることができる。
【0012】
前記非磁性支持体の形態は特に制限はなく、主にテープ状、フィルム状、シート状、カード状、ディスク状、ドラム状などがある。
【0013】
非磁性支持体の厚みには特に制約はないが、たとえばフィルム状やシート状の場合は通常3〜100μm、好ましくは5〜50μmであり、ディスクやカード状の場合は30μm〜10mm程度、ドラム状の場合はレコーダー等に応じて適宜に選択される。
【0014】
尚、この非磁性支持体は単独構造のものであっても多層構造のものであってもよい。また、この非磁性支持体は、たとえばコロナ放電処理等の表面処理を施されたものであってもよい。
【0015】
なお又、非磁性支持体上の上記磁性層が設けられていない面(表面)には、磁気記録媒体の走行性の向上、帯電防止および転写防止などを目的として、バックコート層を設けるのが好ましく、また磁性層と非磁性支持体との間には、下引き層を設けることができることは前記したとおりである。
【0016】
(磁性層)
本発明においては、上層が磁性層である。この磁性層は、基本的には磁性粉をバインダー樹脂中に分散せしめてなる。
【0017】
この上層の磁性層には、強磁性金属粉末および/または六方晶系磁性粉を含有することが好ましい。また、上層の膜厚は0.1〜0.4μmである。これらの条件を満足することによって、本発明の磁気記録媒体は、本発明の目的を達成することができる。
【0018】
上層に好ましく用いられる強磁性金属粉末としては、Fe、Coをはじめ、Fe−Al系、Fe−Al−Ni系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Co系、Fe−Al−Ca系、Fe−Ni系、Fe−Ni−Al系、Fe−Ni−Co系、Fe−Ni−Si−Al−Mn系、Fe−Ni−Si−Al−Zn系、Fe−Al−Si系、Fe−Ni−Zn系、Fe−Ni−Mn系、Fe−Ni−Si系、Fe−Mn−Zn系、Fe−Co−Ni−P系、Ni−Co系、Fe、Ni、Co等を主成分とするメタル磁性粉等の強磁性粉が挙げられる。中でも、Fe系金属粉が電気的特性に優れる。
【0019】
他方、耐蝕性および分散性の点から見ると、Fe−Al系、Fe−Al−Ca系、Fe−Al−Ni系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Co系、Fe−Ni−Si−Al−Zn系、Fe−Ni−Si−Al−Mn系などのFe−Al系金属粉が好ましい。
【0020】
特に、本発明の目的に好ましい強磁性金属粉は、鉄を主成分とする金属磁性粉であり、Alまたは、AlおよびCaを、Alについては重量比でFe:Al=100:0.5〜100:20、Caについては重量比でFe:Ca=100:0.1〜100:10の範囲で含有するのが望ましい。
【0021】
Fe:Alの比率をこのような範囲にすることで耐蝕性が著しく改良され、またFe:Caの比率をこのような範囲にすることで電磁変換特性を向上させ、ドロップアウトを減少させることができる。電磁変換特性の向上やドロップアウトの減少がもたらされる理由は明らかでないが、分散性が向上することによる保磁力のアップや凝集物の減少等が理由として考えられる。
【0022】
強磁性金属粉末は、その平均長軸長が0.25μm未満、特に0.10〜0.22μm、より好ましくは0.10〜0.17μmでかつ結晶サイズが200Å未満、特に100〜180Åであることが好ましい。又軸比(平均長軸長/平均短軸長)が12以下、好ましくは10以下、さらに好ましくは5〜9であるのが良い。強磁性金属粉末の平均長軸長および結晶サイズ、軸比が前記範囲内にあるとさらに電磁変換特性の向上を図ることができる。
また、強磁性金属粉末は、その保磁力(Hc)が通常600〜5,000 Oeの範囲にあることが好ましい。この保磁力が600 Oe未満であると、電磁変換特性が劣化することがあり、また保磁力が5,000 Oeを超えると、通常のヘッドでは記録不能になることがあるので好ましくない。
また、上記強磁性粉末は、磁気特性である飽和磁化量(σs)が通常、70emu/g以上であることが好ましい。この飽和磁化量が70emu/g未満であると、電磁変換特性が劣化することがある。
さらに本発明においては、記録の高密度化に応じて、BET法による比表面積で30m2/g以上、特に45m2/g以上の強磁性金属粉末が好ましく用いられる。
【0023】
この比表面積ならびにその測定方法については、「粉体の測定」(J.M.Dallavelle,Clyeorr Jr.共著、牟田その他訳:産業図書社刊)に詳述されており、また「化学便覧」応用編P1170〜1171(日本化学会編:丸善(株)昭和41年4月30日発行)にも記載されている。
比表面積の測定は、たとえば粉末を105℃前後で13分間加熱処理しながら脱気して粉末に吸着されているもの除去し、その後、この粉末を測定装置に導入して窒素の初期圧力を0.5kg/m2に設定し、窒素により液体窒素温度(−105℃)で10分間測定を行なう。
測定装置は例えばカウンターソープ(湯浅アイオニクス(株)製)を使用する。
【0024】
さらに、好ましい強磁性粉末の構造としては、該強磁性粉末に含有されているFe原子とAl原子との含有量比が原子数比でFe:Al=100:1〜100:20であり、且つ該強磁性粉末のESCAによる分析深度で100Å以下の表面域に存在するFe原子とAl原子との含有量比が原子数比でFe:Al=30:70〜70:30である構造を有するものである。或いは、Fe原子とNi原子とAl原子とSi原子とが強磁性粉末に含有され、さらにZn原子とMn原子との少なくとも一方が該強磁性粉末に含有され、Fe原子の含有量が90原子%以上、Ni原子の含有量が1原子%以上、10原子%未満、Al原子の含有量が0.1原子%以上、5原子%未満、Si原子の含有量が0.1原子%以上、5原子%未満、Zn原子の含有量および/またはMn原子の含有量(但し、Zn原子とMn原子との両方を含有する場合はこの合計量)が0.1原子%以上、5原子%未満であり、前記強磁性粉末のESCAによる分析深度で100Å以下の表面域に存在するFe原子とNi原子とAl原子とSi原子とZn原子および/またはMn原子の含有量比が原子数比でFe:Ni:Al:Si(Znおよび/またはMn)=100:(4以下):(10〜60):(10〜70):(20〜80)である構造を有する強磁性粉末等が挙げられる。
【0025】
本発明に好ましく用いられる六方晶系の磁性粉としては、たとえば、六方晶系フェライトを挙げることができる。このような六方晶系フェライトは、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等からなり、鉄元素の一部が他の元素(たとえば、Ti、Co、Zn、In、Mn、Ge、Hb等)で置換されていても良い。このフェライト磁性体については、IEEE Trans,on MAG−18 16(1982)に詳しく述べられている。
本発明において、特に好ましい六方晶系の磁性粉としては、バリウムフェライト(以下Ba−フェライトと記す)磁性粉を挙げることができる。
【0026】
本発明で用いることのできる好ましいBa−フェライト磁性粉は、Ba−フェライト粉の、Feの一部が少なくともCoおよびZnで置換された平均粒径(六方晶系フェライトの板面の対角線の長さ)400〜900Å、板状比(六方晶系フェライトの板面の対角線の長さを板厚で除した値)2.0〜10.0、より好ましくは2.0〜6.0、保磁力(Hc)450〜1500のBa−フェライトである。
【0027】
Ba−フェライト粉は、FeをCoで一部置換することにより、保磁力が適正な値に制御されており、さらにZnで一部置換することにより、Co置換のみでは得られない高い飽和磁化を実現し、高い再生出力を有する電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を得ることができる。また、さらにFeの一部をNbで置換することにより、より高い再生出力を有する電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を得ることができる。また、本発明に用いられるBa−フェライトは、さらにFeの一部がTi、In、Mn、Cu、Ge、Sn等の遷移金属で置換されていても差支えない。
【0028】
なお、本発明に使用するBa−フェライトは次の一般式で表される。
BaOn((Fe1-mMm)2O3)
[ただし、m>0.36(ただし、Co+Zn=0.08〜0.3、Co/Zn=0.5〜10、尚mは1より小さい値である。)であり、nは5.4〜11.0であり、好ましくは5.4〜6.0であり、Mは置換金属を表し、平均個数が3となる2種以上の元素の組合せになる磁性粒子が好ましい。]
本発明において、Ba−フェライトの平均粒径、板状比、保磁力が前記好ましい範囲内にあると好ましい理由は、次の通りである。すなわち、平均粒径400Å未満の場合は、磁気記録媒体としたときの再生出力が不十分となり、逆に900Åを超えると、磁気記録媒体としたときの表面平滑性が著しく悪化し、ノイズレベルが高くなりすぎることがあり、また、板状比が2.0未満では、磁気記録媒体としたときに高密度記録に適した垂直配向率が得られず、逆に板状比が10.0を越えると磁気記録媒体としたときの表面平滑性が著しく悪化し、ノイズレベルが高くなりすぎ、さらに、保磁力が350 Oe未満の場合には、記録信号の保持が困難になり、2000 Oeを越えると、ヘッドが飽和現象を起こし記録が困難になることがあるからである。
【0029】
六方晶系の磁性粉は、磁気特性である飽和磁化量(σs)が通常、50emu/g以上であることが望ましい。この飽和磁化量が50emu/g未満であると、電磁変換特性が劣化することがある。
【0030】
本発明に用いられるBa−フェライトの好ましい一具体例としては、Co−置換Baフェライトを挙げることができる。
【0031】
六方晶系の磁性粉を製造する方法としては、たとえば目的とするBa−フェライトを形成するのに必要な各元素の酸化物、炭酸化物を、たとえばホウ酸のようなガラス形成物質とともに溶融し、得られた融液を急冷してガラスを形成し、次いでこのガラスを所定温度で熱処理して目的とするBa−フェライトの結晶粉を析出させ、最後にガラス成分を熱処理によって除去するという方法のガラス結晶化法の他、共沈−焼成法、水熱合成法、フラックス法、アルコキシド法、プラズマジェット法等が適用可能である。
なお、本発明においては、強磁性金属粉末と六方晶系の磁性粉とを混合して使用することもできる。
この磁性層中の強磁性金属粉末および/または六方晶系の磁性粉の含有量は通常、50〜99重量%であり、好ましくは60〜99重量%であり、特に好ましくは75〜90重量%である。
【0032】
ところで、上層である磁性層以外の、非磁性粉末を含有する下層は、磁性層の膜厚が0.1〜0.4μmであるので、上層である磁性層に対して潤滑剤を補給する層として機能する。磁性層に対して下層となる層が潤滑剤補給層として良く機能するために、磁性層の下の層に含まれる非磁性粉末は、その吸油量ができるだけ少ないことが好ましく、通常200ミリリットル/100g以下、好ましくは100ミリリットル/100g以下である。
【0033】
(カーボンブラック)
本発明において、磁性層に含有せしめるカーボンブラックとして各種遮光用カーボンブラック、例えばコロンビアカーボン社製のラーベン2000(比表面積190m2 /g、粒径18mμ)、2100、1170、1000、三菱化成(株)製#100、#75、#40、#35、#30等が使用可能である。また、導電性カーボンブラックも使用可能であり、これには、例えばコロンビアカーボン社のコンダクテックス(Conductex)975(BET値(以下BETと略)250m2 /g、DBP吸油量(以下DBPと略)170ml/100gr、粒径24mμ)、コンダクテックス900(BET125m2 /g、粒径27mμ)、コンダクテックス40−220(粒径20mμ)、コンダクテックスSC(BET220m2 /gr、DBP115ml/100gr、粒径20mμ)、キャボット社製のバルカン(Cabot Vulcan)XC−72(比表面積254m2 /g、粒径30mμ)、バルカンP(BET143m2 /gr、DBP118ml/100gr、粒径20mμ)、ラーベン1040、420、ブラックパールズ2000(粒径15mμ)、三菱化成(株)製#44等がある。
【0034】
また、本発明で使用可能な他のカーボンブラックとしてはコロンビアン・カーボン社製のコンダクテックス(Conductex)−SC.(BET220m2 /g、DBP115ml/100g、粒径20mμ)、キャボット社製のバルカン(Vulcan)9(BET140m2 /g、DBP114ml/100g、粒径19mμ)、旭カーボン社製の#80(BET117m2 /g、DBP113ml/100g、粒径23mμ)、電気化学社製のHS100(BET32m2 /g、DBP180ml/100g、粒径53mμ)、三菱化成社製の#22B(BET55m2 /g、DBP131ml/100g、粒径40mμ)、#20B(BET56m2 /g、DBP115ml/100g、粒径40mμ)、#3500(BET47m2 /g、DBP187ml/100g、粒径40mμ)があり、その他にも、三菱化成社製のCF−9、#4000、MA−600、キャボット社製のブラック・パールズ(Black Pearls)L、モナーク(Monarck)800、ブラック・パールズ700、ブラック・パールズ1000、ブラック・パールズ880、ブラック・パールズ900、ブラック・パールズ1300、ブラック・パールズ2000、スターリング(Sterling)V、コロンビアン・カーボン社製のラーベン(Raven)410、ラーベン3200、ラーベン430、ラーベン450、ラーベン825、ラーベン1255、ラーベン1035、ラーベン1000、ラーベン5000、ラーベンMT−P、ケッチェンブラックFC等が挙げられる。
【0035】
本発明においては、これらカーボンブラックについて、平均粒径10〜30nmの範囲のものと、30nmより大きいものとの2種以上を組合せ用いればよい。
【0036】
[非磁性粉末を含む下層]
本発明においては、非磁性支持体の上に上層及び下層が形成されており、上層以外の下層、好ましくは上層に隣接する下層には、非磁性粉末が含有されている。
【0037】
(非磁性粉末)
本発明における非磁性粉末としては、この種磁気記録媒体に使用される公知の各種の非磁性粉末から、前記特性を備えたものを適宜に選択して使用することができる。この非磁性粉末としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン、硫酸バリウム、ZnS、MgCo3、CaCO3、ZnO、CaO,二硫化タングステン、二硫化モリブデン、窒化ホウ酸、MgO、SnO2、SiO2、Cr2O3、α−Al2O3、SiC、酸化セリウム、コランダム、人造ダイヤモンド、α−酸化鉄、ザクロ石、ガーネット、ケイ石、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化モリブデン、炭化ホウ素、炭化タングステン、チタンカーバイド、トリポリ、ケイソウ土、ドロマイトや、ポリエチレン等のポリマー粉末等を挙げることができる。
【0038】
これらの中でも好ましいのは、カーボンブラック、CaCO3、酸化チタン、硫酸バリウム、α−Al2O3、α−酸化鉄、等の無機粉末やポリエチレン等のポリマー粉末等である。
【0039】
前記非磁性粉末の平均粒径としては、通常1〜300nmであり、好ましくは1〜100nmであり、特に好ましくは1〜50nmである。前記範囲の平均粒径を有する非磁性粉末を使用すると、非磁性層(下層)中の非磁性粉末による磁性層(上層)の表面性に悪影響が生じない点で好ましい。
【0040】
前記非磁性粉末の非磁性層(下層)中における含有量としては、非磁性層(下層)を構成する全成分の合計に対して5〜99重量%、好ましくは60〜95重量%、特に好ましくは75〜95重量%である。非磁性粉末の含有量が前記範囲内にあると、磁性層からなる上層の表面の状態を良好にすることができる。
【0047】
この本発明の磁気記録媒体は導電性粉末を含有していることが好ましい。この導電性粉末としては、カーボンブラック、グラファイト、酸化錫、銀粉、酸化銀、硝酸銀、銀の有機化合物、銅粉等の金属粒子等、酸化亜鉛、硝酸バリウム、酸化チタン等の金属酸化物等の顔料を酸化錫被膜、又はアンチモン固溶酸化被膜等の導電性物質でコーティング処理したもの等がある。
【0048】
(バインダー)
上層である磁性層及び下層を形成するのに使用されるバインダーとしては、前記極性基を含有する塩化ビニル系共重合体と極性基を含有するポリウレタンが用いられ、極性基を有するポリウレタン樹脂は−SO3M、−OSO3M、−COOMおよび−PO(OM1)2、−OPO(OM1)2、から選ばれた少なくとも一種の極性基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。
【0049】
ただし、上記極性基において、Mは水素原子あるいはNa、K、Li等のアルカリ金属を表わし、またM1は水素原子、Na、K、Li等のアルカリ原子を表す。
前記本発明の極性基を含有する塩化ビニル系共重合体は、公知の方法で容易に合成できる。
【0050】
結合剤(バインダー)の磁性層における含有率は、強磁性粉末100重量部に対して通常、10〜40重量部、好ましくは15〜30重量部である。
結合剤(バインダー)は一種単独に限らず、二種以上を組み合わせて用いることができる。本発明で用いられるポリウレタンと本発明で用いられる塩化ビニル系樹脂との比は、重量比で通常、90:10〜10:90が好ましく、より好ましくは70:30〜30:70の範囲であり、特に30:70〜50:50の範囲である。
【0051】
次に、本発明で用いられるポリウレタンに付いて述べる。
これは、ポリオールとポリイソシアネートとの反応から得られる。
ポリオールとしては、一般にポリオールと多塩基酸との反応によって得られるポリエステルポリオールが使用されている。
したがって、極性基を有するポリエステルポリオールを原料として用いれば、極性基を有するポリウレタンを合成することができる。
【0052】
ポリイソシアネートの例としては、ジフェニルメタン−4−4′−ジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、1.5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、リジンイソシアネートメチルエステル(LDI)等が挙げられる。
【0053】
また、極性基を有するポリウレタンの他の合成方法として、水酸基を有するポリウレタンと極性基および塩素原子を有する下記の化合物との付加反応も有効である。
Cl−CH2CH2SO3M、Cl−CH2CH2OSO3M、Cl−CH2COOM、Cl−CH2−P(=0)(OM1)2
尚、上記M及びM 1 は段落番号[0049]に記載のM及びM 1 と同義であってMは水素原子あるいはNa、K、Li等のアルカリ金属を表し、またM 1 は水素原子、Na、K、Li等のアルカリ原子を表す。
なお、ポリウレタンへの極性基導入に関する技術としては、特公昭58−41565号、特開昭57−92422号、同57−92423号、同59−8127号、同59−5423号、同59−5424号、同62−121923号等の公報に記載があり、本発明においてもこれらを利用することができる。
【0054】
本発明においては、結合剤として下記の樹脂を(好ましくは全結合剤の20重量%以下の使用量で)併用することができる。
その樹脂としては、重量平均分子量が10,000〜200,000である、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂、各種の合成ゴム系樹脂等が挙げられる。
【0055】
(その他の成分)
本発明では、磁性層の耐久性を向上させるために、本発明のカーボンブラックを含有させること、及びポリイソシアネートを磁性層に含有させることが望ましい。
ポリイソシアネートとしては、たとえばトリレンジイソシアネート(TDI)等と活性水素化合物との付加体などの芳香族ポリイソシアネートと、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等と活性水素化合物との付加体などの脂肪族ポリイソシアネートがある。ポリイソシアネートの重量平均分子量は、100〜3,000の範囲にあることが望ましい。
【0056】
本発明では、磁性層に必要に応じて分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤および充填剤などの添加剤を含有させることができる。
まず、分散剤としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの炭素数12〜18の脂肪族;これらのアルカリ金属の塩またはアルカリ土類金属の塩あるいはこれらのアミド:ポリアルキレンオキサイドアルキル酸エステル;レシチン;トリアルキルポリオレフィンオキシ第四アンモニウム塩:カルボキシル基およびスルホン酸基を有するアゾ系化合物などを挙げることができる。これらの分散剤は、通常、強磁性粉に対して0.5〜5重量%の範囲で用いられる。
【0057】
次に、潤滑剤としては、脂肪酸および/または脂肪酸エステルを使用することができる。この場合、脂肪酸の添加量は強磁性粉に対し0.2〜10重量%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい。添加量が0.2重量%未満であると、走行性が低下し易く、また10重量%を超えると、脂肪酸が磁性層の表面にしみ出したり、出力低下が生じ易くなる。
【0058】
また、脂肪酸エステルの添加量も強磁性粉に対して0.2〜10重量%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい。その添加量が0.2重量%未満であると、スチル耐久性が劣化し易く、また10重量%を超えると、脂肪酸エステルが磁性層の表面にしみ出したり、出力低下が生じ易くなる。
【0059】
脂肪酸と脂肪酸エステルとを併用して潤滑効果をより高めたい場合には、脂肪酸と脂肪酸エステルは重量比で10:90〜90:10が好ましく、より好ましくは30:70〜70:30である。
【0060】
脂肪酸としては一塩基酸であっても二塩基酸であってもよく、炭素数は6〜30が好ましく、12〜22の範囲がより好ましい。
脂肪酸の具体例としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノレン酸、オレイン酸、エライジン酸、ベヘン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1.12−ドデカンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸などが挙げられる。
【0061】
脂肪酸エステルの具体例としては、オレイルオレート、イソセチルステアレート、ジオレイルマレート、ブチルステアレート、ブチルパルミテート、ブチルミリステート、オクチルミリステート、オクチルパルミテート、ペンチルステアレート、ペンチルパルミテート、イソブチルオレエート、ステアリルステアレート、ラウリルオレエート、オクチルオレエート、イソブチルオレエート、エチルオレエート、イソトリデシルオレエート、2−エチルヘキシルステアレート、2−エチルヘキシルパルミテート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、ブチルラウレート、セチル−2−エチルヘキサレート、ジオレイルアジペート、ジエチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソデシルアジペート、オレイルステアレート、2−エチルヘキシルミリステート、イソペンチルパルミテート、イソペンチルステアレート、ジエチレングリコール−モノ−ブチルエーテルパルミテート、ジエチレングリコール−モノ−ブチルエーテルパルミテートなどが挙げられる。
【0062】
また、上記脂肪酸、脂肪酸エステル以外の潤滑剤として、例えばシリコーンオイル、グラファイト、フッ化カーボン、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、脂肪酸アミド、α−オレフィンオキサイドなども使用することができる。
【0063】
次に、研磨剤の具体例としては、α−アルミナ、溶融アルミナ、酸化クロム、酸化チタン、α−酸化鉄、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化タングステン、炭化モリブデン、炭化ホウ素、コランダム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素などが挙げられる。研磨剤の平均粒子径は0.05〜0.6μmが好ましく、0.1〜0.3μmがより好ましい。
【0064】
次に、帯電防止剤としては、カーボンブラック、グラファイト等の導電性粉末;第四級アミン等のカチオン界面活性剤;スルホン酸、硫酸、リン酸、リン酸エステル、カルボン酸等の酸基を含むアニオン界面活性剤;アミノスルホン酸等の両性界面活性剤;サポニン等の天然界面活性剤等を挙げることができる。
上述した帯電防止剤は、通常、結合剤に対して0.01〜40重量%の範囲で添加される。
【0065】
(磁気記録媒体の製造)
本発明の磁気記録媒体はその製造方法に特に制限はなく、公知の単層または複数層構造型の磁気記録媒体の製造に使用される方法に準じて製造することができる。
たとえば、一般的には強磁性粉、結合剤、分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等を溶媒中で混練及び分散して磁性塗料を調整した後、この磁性塗料を非磁性支持体の表面に塗布する。
【0066】
上記溶媒としては、たとえばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン系;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル類;メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭素水素等を用いることができる。
【0067】
磁性層形成成分の混練分散にあたっては、各種の混練分散機を使用することができる。
この混練分散機としては、たとえば二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、コボルミル、トロンミル、サンドミル、サンドグラインダー、Sqegvariアトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパー、高速ミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機、オープンニーダー、連続ニーダー、加圧ニーダーなどが挙げられる。
上記混練分散機のうち、0.05〜0.5KW(磁性粉1Kg当たり)の消費電力負荷を提供することのできる混練分散機は、加圧ニーダー、オープンニーダー、連続ニーダー、二本ロールミル、三本ロールミルである。
【0068】
非磁性支持体上に磁性層を塗布するには、本発明の磁気記録媒体の製造に当たっては、特に効果の点からウェット−オン−ウェット重層塗布方式による同時重層塗布を行なうのがよい。具体的には、図1に示すように、まず供給ロール32から繰出したフィルム状支持体1に、エクストルージョン方式の押し出しコーター10、11により、磁性層の各塗料をウェット−オン−ウェット方式で重層塗布した後、配向用磁石または垂直配向用磁石33に通過し、乾燥器34に導入し、ここで上下に配したノズルから熱風を吹き付けて乾燥する。次に、乾燥した各塗布層付きの支持体1をカレンダーロール38の組合せからなるスーパーカレンダー装置37に導き、ここでカレンダー処理した後に、巻き取りロール39に巻き取る。このようにして得られた磁性フィルムを所望幅のテープ状に裁断してたとえば8mmビデオカメラ用磁気記録テープを製造することができる。
【0069】
上記の方法において、各塗料は、図示しないインラインミキサーを通して押し出しコーター10、11へと供給してもよい。なお、図中、矢印Dは非磁性ベースフィルムの搬送方向を示す。押し出しコーター10、11には夫々、液溜まり部13、14が設けられ、各コーターからの塗料をウェット−オン−ウェット方式で重ねる。即ち、下層用塗料の塗布直後(未乾燥状態のとき)に上層磁性層塗料を重層塗布する。
【0070】
前記コーターヘッドは、図2に示した(ウ)のヘッドが本願発明においては好ましい。
【0071】
ウェット−オン−ウェット重層塗布方法は、リバースロールと押し出しコーターとの組み合わせ、グラビアロールと押し出しコーターとの組み合わせなども使用することができる。さらにはエアドクターコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、スクィズコーター、含浸コーター、トランスファロールコーター、キスコーター、キャストコーター、スプレイコーター等を組み合わせることもできる。
【0072】
このウェット−オン−ウェット方式による重層塗布においては、下層が湿潤状態になったままで上層の磁性層を塗布するので、下層の表面(即ち、上層と境界面)が滑らかになるとともに上層の表面性が良好になり、かつ、上下層間の接触性も向上する。この結果、特に高密度記録のために高出力、低ノイズの要求されるたとえば磁気テープとしての要求性能を満たしたものとなりかつ、高耐久性の性能が要求されることに対しても膜剥離をなくし、膜強度が向上し、耐久性が十分となる。また、ウェット−オン−ウェット重層塗布方式により、ドロップアウトも低減することができ、信頼性も向上する。
【0073】
上記塗料に配合される溶媒あるいはこの塗料の塗布時の希釈溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類:メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレングリコールセノアセテート等のエステル類:グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類:ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素:メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等のものが使用できる。これらの各種の溶媒は単独で使用することもできるし、またそれらの二種以上を併用することもできる。
【0074】
前記配向磁石あるいは垂直配向用磁石における磁場は、20〜5,000ガウス程度であり、乾燥器による乾燥温度は約30〜120℃であり、乾燥時間は約0.1〜10分間程度である。
【0075】
次にカレンダリングにより表面平滑化処理が行なわれる。
その後は、必要に応じてバーニッシュ処理またはブレード処理を行なってスリッティングされる。この際、上記表面平滑化処理は、本発明の目的を達成するのに効果的である。
表面平滑化処理においては、カレンダー条件として温度、線圧力、C/S(コーティングスピード)等を挙げることができる。
【0076】
本発明の目的達成のためには、通常、上記温度を50〜120℃、上記線圧力を50〜400kg/cm、上記C/Sを20〜600m/分に保持することが好ましい。これらの数値の範囲を外れると、磁性層の表面状態を本発明の如く特定することが実施困難になるか、あるいはそれが不可能になることがある。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、ディジタル媒体として必要な高CN比やオーバーライト特性が得られると共に、多湿下で走行耐久性の高い磁気記録媒体を得ることができ、且つヘッドクロッグ特性にも優れている。
【0078】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
以下に示す成分、割合、操作順序は本発明の範囲から逸脱しない範囲において種々変更し得る。なお、下記の実施例において「部」はすべて重量部である。
【0079】
実施例1
下記組成物の各成分をニーダー・サンドミルを用いて混練分散して上層用磁性塗料及び下層用塗料を調製した。
【0080】
【0081】
[上層用塗料B]
上層用塗料AにおけるFe−Al系強磁性金属粉末に代えてCo置換バリウムフェライト(Hc:1100 Oe、BET45m2/g、σs:64emu/g、板状比4)を用いた以外はAと同じ。
【0082】
【0083】
[下層用塗料D]
下層用塗料CにおいてTiO2にかえてFe−Si−Alセンダスト合金粉末(保磁力Hc=40A/m、μi=200H/m、球状粒径50nm)を用いた以外はCと同じ。
【0084】
[上層用塗料E、F]
塗料A、Bにおいて用いられるスルホン酸金属塩含有塩化ビニル系樹脂のスルホン酸金属塩濃度を0.03mmol/gに、スルホン酸金属塩含有ポリウレタン樹脂のスルホン酸金属塩濃度を0.08mmol/gに変更し、カーボンブラック(平均粒子径40nm)0.5部を用いなかった以外はA、Bと同様にした。
【0085】
[下層用塗料G]
塗料CにおいてTiO290部にかえてCo−γFe2O3(平均粒径0.16μm、結晶子サイズ330Å、Hc:800Oe、σs:78emu/g)90部を用いた以外はCと同様にした。
【0086】
[上層用塗料H、I]
塗料A、Bにおいて用いられるスルホン酸金属塩含有塩化ビニル系樹脂のスルホン酸金属塩濃度を0.08mmol/gに、スルホン酸金属塩含有ポリウレタン樹脂のスルホン酸金属塩濃度を0.18mmol/gに変更し、カーボンブラック(平均粒子径40nm)0.5部のかわりにカーボンブラック(平均粒子径95nm)0.5部を用いた以外はA、Bと同様にした。
【0087】
次に、得られた上層用磁性塗料と下層用塗料とにそれぞれポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン工業社製)5部を添加した。
【0088】
(実施例1〜5、及び比較例1〜8、A)
表1に示された組成の塗膜構成により、ウェット・オン・ウェット方式により厚み10μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布したのち、塗膜が未乾燥であるうちに磁場配向処理を行ない、続いて乾燥を施してから、カレンダーで表面平滑処理を行ない、厚み2.0μmの下層と、表1に示す膜厚の上層とからなる磁性層を形成した。
【0089】
さらに、この磁性層とは反対側の上記ポリエチレンフタレートフィルムの面(裏面)に下記の組成を有する塗料を塗布し、この塗膜を乾燥し、カレンダー加工をすることによって、厚み0.8μmのバックコート層を形成し、広幅の原反磁気テープを得た。
【0090】
[バックコート層用塗料]
カーボンブラック(ラベン1035) 40部
硫酸バリウム(平均粒径300nm) 10部
ニトロセルロース 25部
ポリウレタン系樹脂(日本ポリウレタン社製、N−2301) 25部
ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製、コロネートL)10部
シクロヘキサノン 400部
メチルエチルケトン 250部
トルエン 250部
【0091】
こうして得られた原反をスリットして8mmビデオ用テープを作成した。
このビデオ用テープのCN特性、オーバーライト特性そして走行耐久性及びヘッドクロッグ特性を下記の要領で測定した。その結果を表1に示す。
【0092】
(CN特性)
9MHzの単一波を記録し、その信号を再生した際の出力レベルを基準サンプル(比較例1)との比較で表した。
【0093】
(オーバーライト特性)
2MHzの信号を飽和レベルで記録し、その後に9MHzの信号を(上書き)記録した際の2MHzの信号の残留出力レベルを測定した。残留出力レベルの低いほどオーバーライト特性は良好であるとする。
【0094】
(20℃、60%RH下での走行耐久性)
20℃、60%RHの環境下でS−550(ソニー社製)を用い、テープ先頭5分間の再生を200パス以上繰り返し、エッジダメージの有無を観察した。
【0095】
(ヘッドクロック特性)
40℃、20%RH下の環境下で、S−550(ソニー社製)を用いてテープを全長走行させ、RF出力が2dB以上、1秒以上継続して起こった場合をヘッド目づまりとし、回数を数えた。
【0096】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】ウエット−オン−ウエット塗布方式による磁性層の同時重層塗布を説明するための図
【図2】磁性層塗料を塗布するためのコーターヘッドの図
Claims (3)
- 非磁性支持体上に上層及び下層を形成し、上層の磁性層の膜厚が0.1〜0.4μmであり、上層の磁性層及び下層の結合剤として極性基を含有する塩化ビニル系樹脂及び極性基を含有するポリウレタン樹脂が含まれ、上層の磁性層に用いられる結合剤の極性基量が、下層に用いられる結合剤の極性基量より大きく、且つ下層が非磁性粉末を含む非磁性層であることを特徴とする磁気記録媒体。
- 前記ポリウレタンの数平均分子量が2万以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
- 上層の磁性層が平均粒径10〜30nmと30nmより大きい2種以上のカーボンブラックを含有していることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
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