JP3720714B2 - 被測定物の状態評価方法および状態評価装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙、不織布等の被測定物の状態を評価する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維で構成されるシート状物は、その構成繊維の偏在によって外観上の良否を生じることは周知の事実である。しかし、構成繊維の偏在は、単に外観上の良否に留まらず、例えば貼付薬基材における伸縮性、電池用基材(セパレータ)や不織布を熱圧着して絶縁基板に用いる絶縁基板用基材における耐ショート性などといった用途上の機能にも大きく影響するものである。従って、構成繊維の偏在を解消するため、シート状物の生産技術自体の向上は勿論のこと、その指標となる偏在評価技術も重要度を増している。
【0003】
かかる繊維の偏在(地合)を評価する技術として、予め用意された数段階の偏在度合いを有するシート状物と測定対象とを対比し、これらの繊維の偏在状態(地合)を単に目視により比較するといった主観評価が従来より行われてきたが、近年の電子機器の発達により、この繊維の偏在状態の評価は電子機器を利用した客観評価へと移り替わってきている。
【0004】
このような電子機器を利用した繊維の偏在状態の評価技術としては種々のものが提案されており、その多くは測定対象であるシート状物に光を照射し、その反射光若しくは透過光を、例えば256階調(8bit)の濃淡で識別し得る固体撮像素子(CCD)などによって輝度情報として数値化し、この数値を演算処理するという手法が採られている。
【0005】
このようなCCDを利用した測定技術として、”1996 Nonwovens Conference”予稿集P239〜244(「CHARACTERIZING NONWOVEN WEB STRUCTURE USING IMAGE ANALYSIS TECHNIQUES」、R.R.Breseeら、1996年3月11〜13日に米国で開催)には、対象となるシート状物から得られた輝度情報を種々に演算処理した結果が報告されている。特に、Fig.9には、測定対象となる不織布をスキャンする際の測定面積を種々に変え、各解像度で得られた輝度情報(256階調)の標準偏差σを算術平均Xで割った変動係数CV(%)を求め、測定面積を正方形とみなした場合の一辺の寸法に相当する画像サイズ(mm)に対して変動係数CVをプロットした測定結果が示されている。そして測定結果が示されたグラフを検討し、CV値を見比べることで、対比される不織布のうちいずれの不織布がより均一性に優れているかの判断が可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の繊維の偏在状態(地合)の評価方法では、対比される不織布の均一性の優劣の判断は可能であっても、均一性の度合いを具体的な数値として表すことができなかったため、繊維の偏在状態の評価手段としては不十分なものであった。
【0007】
また、特殊金属箔の表面状態を評価する場合や、プリントされたシートのプリント状態を評価する場合にも同様の問題があった。
【0008】
そこで本発明は、前記測定技術を応用し、被測定物の状態の評価を具体的な数値として表すことにより、被測定物の状態の定量化を図ることができる状態評価方法および状態評価装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、小さな構造上の特徴は、その測定面積が増加するにつれて物理的に均一化されるため、種々の測定寸法とCV値との相関を採り、その相関関係に基づいて被測定物の状態を評価できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明に係る被測定物の状態評価方法は、(1)被測定物の所定領域に光を照射し所定領域からの反射光または透過光を受光して輝度情報を取得する工程と、(2)被測定物の所定領域を所定の画像サイズにより分割し、分割された各区画の輝度値を輝度情報に基づいて算出し、各区画の輝度値を平均して所定領域全体の輝度平均及び標準偏差を算出し、当該所定の画像サイズについて輝度平均に対する標準偏差の比である変動係数を算出する工程と、(3)所定の画像サイズの大きさを変えながら変動係数の算出を繰り返す工程と、(4)複数の画像サイズの対数と複数の変動係数とに基づいて測定結果群座標を生成し、生成された測定結果群座標を所定平面上にプロットし一次直線に回帰して得られる直線と所定の基準線との間に形成される面積を算出する工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また本発明に係る被測定物の状態評価装置は、(1)被測定物に対して光を照射する光源と、(2)被測定物の所定領域において反射または透過された反射光または透過光を受光して輝度情報を取得するための受光手段と、(3)被測定物の所定領域を所定の画像サイズにより分割し、分割された各区画の輝度値を輝度情報に基づいて算出し、各区画の輝度値を平均して所定領域全体の輝度平均及び標準偏差を算出し、当該所定の画像サイズについて輝度平均に対する標準偏差の比である変動係数を算出する第1の演算手段と、(4)所定の画像サイズの大きさを変更するための変更手段と、(5)複数の画像サイズの対数と複数の変動係数とに基づいて測定結果群座標を生成し、生成された測定結果群座標を所定平面上にプロットし一次直線に回帰して得られる直線と所定の基準線との間に形成される面積を算出する第2の演算手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
かかる構成としたことにより、光源から被測定物に対して照射された光のうち、被測定物の所定領域において反射または透過された反射光または透過光が受光手段によって受光され輝度情報が取得される。次いで、第1の演算手段により、被測定物の所定領域が所定の画像サイズにより分割され、分割された各区画の輝度値が上記輝度情報に基づいて算出され、当該各区画の輝度値を平均して所定領域全体の輝度平均及び標準偏差が算出され、当該所定の画像サイズについて輝度平均に対する標準偏差の比である変動係数が算出される。そして、変更手段により上記所定の画像サイズの大きさが変更されながら、上記変動係数の算出が繰り返される。
【0013】
その後、第2の演算手段により、複数の画像サイズの対数と複数の変動係数とに基づいて測定結果群座標が生成され、生成された測定結果群座標を所定平面上にプロットし一次直線に回帰して得られる直線と所定の基準線との間に形成される面積が算出される。このようにして算出された面積に基づいて、被測定物の状態の客観的な評価が可能となる。
【0014】
特に、生成された測定結果群座標を所定平面上にプロットし一次直線に回帰して得られる直線と所定の基準線との間に形成される面積を算出するため、所定の基準線との間に形成される面積の算出が容易になる。
【0015】
また本発明に係る被測定物の状態評価方法および評価装置では、測定結果群座標の一次直線への回帰を最小二乗法により行うことを特徴としてもよい。このようにすれば、測定結果群座標の一次直線への回帰が最小二乗法により行われる。
【0016】
また本発明に係る被測定物の状態評価方法は、算出された面積と、予め得られた他の被測定物についての面積との比を算出する工程を更に含むことを特徴としてもよい。また本発明の被測定物の状態評価装置は、第2の演算手段により算出された面積と、予め得られた他の被測定物についての面積との比を算出する第3の演算手段を更に備えることを特徴としてもよい。
【0017】
このようにすれば、第3の演算手段により、被測定物について第2の演算手段により算出された面積と、予め得られた他の被測定物についての面積との比に基づいて、被測定物の状態の相対的な評価が可能となる。特に、他の被測定物が基準となるサンプルである場合は、その基準に対する状態の優劣の度合いを客観的な数値として得ることができる。
【0018】
また本発明に係る被測定物の状態評価方法および状態評価装置では、輝度情報は、上記反射光または上記透過光を赤、緑、及び青の光成分に分光して得られた各光成分ごとの輝度情報を含むことを特徴としてもよい。このようにすれば、各光成分ごとの輝度情報、すなわち各色ごとの輝度情報を用いて、被測定物の状態の評価をより詳細に行うことが可能となる。
【0019】
また本発明に係る被測定物の状態評価方法および状態評価装置では、被測定物は、繊維で構成されるシート状物であることを特徴としてもよい。このように、本発明の被測定物の状態評価方法および状態評価装置は、例えば紙、不織布等の繊維で構成されるシート状物の地合の評価に好適に用いることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、本発明の被測定物の状態評価方法および状態評価装置の好適な実施形態について説明する。尚、図面において同一の要素には同一の符号を附し、重複する説明を省略する。ここで本明細書において被測定物とは、主として紙、不織布、特殊金属箔、プリントされたシート等のシート状物を意味し、被測定物の状態とは、被測定物構造の状態や被測定物表面の状態を意味する。具体的には、例えば紙、不織布などの繊維で構成されるシート状物の繊維の偏在状態(地合)、特殊金属箔の表面状態、プリントされたシートのプリント状態などを意味する。以下の実施形態では、特に紙、不織布等の繊維で構成されるシート状物の地合を評価する場合について説明する。
【0021】
図1は、本発明にかかる被測定物の状態評価装置(以下、評価装置ともいう)の第1実施形態を示す斜視図である。
【0022】
図1に示すように、紙、不織布等の繊維で構成されたシート状物(被測定物)3は、生産された後に図示しない搬送手段により矢印5で示す方向に搬送される。
【0023】
その際、シート状物3の繊維の偏在、いわゆる地合を評価するために、評価装置1はシート状物3の所定領域の輝度情報を測定可能な光学測定手段を備えている。光学測定手段は、シート状物3の下側に配置された光源、例えば蛍光灯7と、シート状物3の上方に配置されシート状物3を透過した光を受光する受光手段、例えばCCDカメラ9とを備えている。このCCDカメラ9は、透過光を分光することなくそのまま受光して輝度情報を生成する構成としてもよいし、透過光を赤(R)、緑(G)、青(B)の光成分に分光し、これら光成分を受光して各光成分ごとの輝度情報を生成する構成としてもよい。
【0024】
また評価装置1は、CCDカメラ9からの透過映像信号を処理するためのコンピュータ11と、処理結果を表示するためのディスプレイ15を備えている。このCCDカメラ9とコンピュータ11とは電気的に接続されており、CCDカメラ9からの透過映像信号はコンピュータ11に伝送され、所定領域における輝度情報として蓄積される。コンピュータ11は内部に種々の演算を行うための演算部13を備えており、所定領域における輝度情報は演算部13において画像処理ソフトを用いて処理され、その結果として地合の評価がディスプレイ15上に表示されるようになっている。
【0025】
なお、本実施形態の評価装置1では、蛍光灯7とCCDカメラ9とをシート状物3に対して同一の側に配置し、CCDカメラ9はシート状物3において反射された反射光を検出する構成としてもよい。また、シート状物3の所定領域における輝度情報をページスキャナで読み取る構成としてもよい。
【0026】
コンピュータ11の演算部13は、図2に示すように、変動係数演算部(第1の演算手段)17、画像サイズ変更部(変更手段)19、面積演算部(第2の演算手段)21および比演算部(第3の演算手段)23を備えている。
【0027】
変動係数演算部17は、CCDカメラ9から伝送されてきた輝度情報に基づいて、シート状物3の所定領域を所定の画像サイズにより分割して各区画の輝度値を算出し、当該各区画の輝度値に基づいて当該所定の画像サイズに対応する変動係数を算出する。
【0028】
画像サイズ変更部19は、変動係数演算部17と接続されており、シート状物3の所定領域を分割する画像サイズを変更するための信号を変動係数演算部17に伝送する。
【0029】
面積演算部21は、変動係数演算部17と接続されており、画像サイズを変更することにより得られた複数の画像サイズと、それに対応するように算出された複数の変動係数とに基づいて測定結果群座標を生成し、生成された測定結果群座標を所定平面上にプロットして得られるグラフと、所定の基準線との間に形成される面積を算出する。
【0030】
比演算部23は、面積演算部21と接続されており、面積演算部21において算出された面積と、記憶手段25において記憶されている他のシート状物(他の被測定物)についての面積との比を算出する。
【0031】
このRAM等により構成される記憶手段25は、演算部13と接続されており、演算部13において演算された種々の値を記憶したり、予め記憶されているデータを演算部13に供給したりする。
【0032】
次に、上記した構成の本実施形態に係る評価装置1を用いたシート状物3の地合の評価方法について、図3のデータ処理手順を示すフローチャートに沿って説明する。
【0033】
まず、生産ライン中で光源7からシート状物3に光を当て、その透過光をCCDカメラ9により受光して所定領域における輝度情報をコンピュータ11に蓄積する(S1)。この場合、解像度は任意に設定可能であるが、通常400dpi程度の精度で解析を行う。各画素における輝度を構成する数値は、8bitの場合0〜255のデジタル化された階調で表される。なお輝度情報としては、透過光を分光することなくそのまま受光して生成された輝度情報を用いてもよいし、透過光を赤(R)、緑(G)、青(B)の光成分に分光し、これら光成分を受光して生成された各光成分ごとの輝度情報を用いてもよい。ただし、各光成分ごとの輝度情報、すなわち各色ごとの輝度情報を用いれば、シート状物3の地合の評価をより詳細に行うことが可能となる。例えば、色のついた繊維の分布状態などの評価が可能となる。
【0034】
次に、コンピュータ11の演算部13において、より詳細には変動係数演算部17において、上記方法により得られた所定領域分のbitmapデータを、画像処理ソフトを用いて所定の同一画像サイズに等分割する(S2)。この場合、好ましくは正方形状の少なくとも2区画以上、より好ましくは4区画以上に等分割する。そして、画像サイズ変更部19から変動係数演算部17に対して画像サイズを変更する信号を送り、所定領域の分割作業を少なくとも2種以上の画像サイズSnについて行って複数の分割パターンを得る。なお、画像サイズSnの数(分割パターン)が、最低2つあれば地合の評価は可能であるが、画像サイズSnの数が増えれば後述する地合指数Pの信頼性が増すため、3種類以上の画像サイズSnについて分割作業を行うことが好ましい。また、各区画が互いに重畳しないように上記所定領域を分割すれば、変動係数CVを有意に求めることができ、その結果、後述する地合指数Pの信頼性がより一層向上する。また、分割された各区画の輝度情報は、以下の処理において必ずしもすべて用いる必要はない。更に、所定領域を非正方形状に等分割してもよい。例えば、長方形状、円形状に等分割してもよい。
【0035】
次に、同じく変動係数演算部17において、n個の画像サイズS1〜Snに対応するn個の分割パターンの各分割パターンごとに、等分割された正方形の各区画の輝度値を算出し、輝度値群G1〜Gnを求める(S3)。
【0036】
ここで、簡単のためn=2の場合、すなわち2種類の画像サイズで所定領域を等分割して、2つの輝度値群を求める場合について、図4を参照して説明する。図4(a)は、15cm角のシート状物3をページスキャナによりスキャンし、画像サイズS1(分割パターン1)として7.5cm角の4個の同一画像サイズに分割した場合を示し、図4(b)は15cm角のシート状物3を画像サイズS2(分割パターン2)として5cm角の9個の同一画像サイズに分割した場合を示している。例えば、スキャナの精度が400dpiであり、画像サイズがS1の場合を考えると、各区画の輝度値g11〜g14は、それぞれ約1180×1180({400÷25.4×75}2)個の画素における輝度の平均値で代表され、画像サイズS1(分割パターン1)に対応する輝度値群G1=(g11,g12,g13,g14)が得られる。また、画像サイズがS2の場合を考えると、各区画の輝度値g21〜g2 9は、それぞれ約787×787({400÷25.4×50}2)個の画素における輝度の平均値で代表され、画像サイズS2(分割パターン2)に対応する輝度値群G2=(g21,g22,・・・,g28,g29)が得られる。
【0037】
次に、各輝度値群G1〜Gnごとの輝度平均X1〜Xnを算出する。(S4)
これは、単純に輝度値の算術平均として求められる。例えば、前述の画像サイズがS1の場合を考えると、輝度平均X1は、
X1=(g11+g12+g13+g14)/4
として求めることができる。
【0038】
次に、各輝度値群G1〜Gnごとの標準偏差σ1〜σnを算出する(S5)。例えば、前述の画像サイズがS1の場合を考えると、標準偏差σ1は、
として求めることができる。
【0039】
次に、標準偏差σ1〜σnを輝度平均X1〜Xnで割った変動係数CV1〜CVn(CVn=σn/Xn)を算出する(S6)。例えば、前述の画像サイズがS1の場合を考えると、変動係数CV1は、
CV1=σ1/X1
として求められる。なお、変動係数CVnは百分率で求めるのが一般的であるが、本実施形態では後述するように地合指数として面積kMとkRとの比を採るため、変動係数CVnとして単に標準偏差σnを輝度平均Xnで割ったものを用いても同一の地合指数が得られる。
【0040】
次に、面積演算部21において画像サイズS1〜Snの対数をx座標、変動係数CV1〜CVnをy座標とした測定結果群座標{(LogaS1,CV1),・・・・,(LogaSn,CVn)}(但し、aは1を除く正数)を生成し、生成された測定結果群座標を最小二乗法により一次直線に回帰する(S7)。なお、x座標として画像サイズの対数を採っているため、読み取り領域の面積を画像サイズの代わりに用いることもできる。
【0041】
そして、図5に示すように、x軸と一次直線との間に形成された面積kMを算出する(S7)。面積kMを算出する際の画像サイズの変域は、例えばCV値を求めた画像サイズの最小値Sminから最大値Smaxまでとする。
【0042】
最後に、比演算部23において、面積演算部21で算出された面積kMと、記憶手段25に予め記憶されている基準サンプル(他の被測定物)の面積kRとの比を採り、これを地合指数Pとして算出する(S8)。即ち、Pは、
P=kM/kR
として表される。
【0043】
このように本実施形態では、画像サイズSnの対数と変動係数CVnとにより得られる測定結果群座標{(LogaS1,CV1),・・・・,(LogaSn,CVn)}を一次直線に回帰することによって、変動係数CVnの平均化の度合いはx軸と一次直線との間に形成される面積という形で定量化されるため、シート状物3の地合を具体的な数値として客観的に評価することができる。例えば、シート状物3の均一性が高ければ、その面積kMは小さくなるという結果として反映される。また、この面積kMと、基準サンプルについて予め得られた面積kRとの比を採り、この比を地合指数Pとして算出することにより、所定基準に対する客観的な地合の評価を高い再現性で実現することができる。
【0044】
また本実施形態では、生産ライン中で連続的に流れてくるシート状物3を一定時間ごとにスキャンし、面積kMを一定時間ごとに算出することで、シート状物3の品質の変化を監視するようにしてもよい。また、地合指数Pを、所定基準に対する地合の評価として用いるだけでなく、互いに異なるシート状物の地合の状態の相対的な評価に用いてもよい。
【0045】
なお、本実施形態に係る被測定物の状態評価方法及び評価装置では、画像サイズS1〜Snの対数をx座標、変動係数CV1〜CVnをy座標とする測定結果群座標を生成し、これを一次直線に回帰して得られた一次直線とx軸との間に形成される面積を算出した。しかし、これに限られず、図6(a)に示すように、画像サイズS1〜Snの対数をx座標、変動係数CV1〜CVnをy座標とする測定結果群座標を一次直線に回帰することなく、x−y平面にプロットされた座標を直線等でそれぞれ結び、得られたグラフとx軸との間に形成される面積を算出するようにしてもよい。
【0046】
また、図6(b)に示すように、画像サイズS1〜Snの対数でなく画像サイズS1〜Snそのものをx座標、変動係数CV1〜CVnをy座標とする測定結果群座標を生成し、これを曲線に回帰して得られた曲線とx軸との間に形成される面積を算出するようにしてもよい。
【0047】
さらに、図6(c)に示すように、画像サイズS1〜Snそのものをx座標、変動係数CV1〜CVnをy座標とする測定結果群座標を生成し、これを曲線に回帰することなく、x−y平面にプロットされた座標を直線等でそれぞれ結び、得られたグラフとx軸との間に形成される面積を算出するようにしてもよい。
【0048】
このように、図6(a)〜(c)を参照して説明した手法で面積を算出する方法も、本発明の技術思想の範囲に含まれるものである。よって、本願において「生成された該測定結果群座標を所定平面上にプロットして得られるグラフ」には、図6(a)〜(c)に示すようにして測定結果群座標に基づいて生成されるグラフが含まれる。
【0049】
ただし、図5に示すように、x軸と1次直線との間に形成される面積を算出するようにすれば、単なる台形の面積を算出するだけで済むため、演算が簡素化され演算速度が速くなる。
次に、本発明に係る被測定物の状態評価装置を用いた状態評価方法を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0050】
【実施例】
シート状物として水流絡合された地合の異なる2つの不織布を測定サンプル1,2とした。
【0051】
サンプル1は、(1)繊維軸を中心として、ポリエチレン成分とポリプロピレン成分とが交互に配列した、オレンジ状の繊維断面形状を有する、繊度1.43dtex、繊維長25mmの複合繊維40mass%、(2)ポリプロピレン成分を芯成分とし、ポリエチレン成分を鞘成分とした、繊度1.65dtex、繊維長51mmの芯鞘型複合繊維25mass%、(3)繊度1.32dtex、繊維長45mmのポリプロピレン繊維35mass%、とからなる乾式熱融着不織布(面密度:20g/m2、厚さ:0.12mm)であった。
【0052】
またサンプル2は、(1)ポリプロピレン成分を芯成分とし、ポリエチレン成分を鞘成分とした、繊度0.8dtex、繊維長5mmの芯鞘型複合繊維80mass%、(3)繊度2.2dtex、繊維長10mmのポリプロピレン繊維20mass%、とからなる湿式熱融着不織布(面密度:52g/m2、厚さ:0.22mm)であった。
【0053】
サンプル1及び2の状態をそれぞれ図7及び図8に示す。図7及び図8から分かるように、サンプル2の方がサンプル1に比べて目視上の地合に優れている。
【0054】
これら2つのサンプルを市販のページスキャナにかけ、分解能を400dpiに設定し、画像サイズ3mm角〜24mm角の4つの分割パターンで輝度情報を取得・演算処理した。なお、この際の演算は、ページスキャナからパソコンに輝度情報を送り、その情報をMicrosoft Excelで処理した。
【0055】
図9は、画像サイズの対数をx座標とし、変動係数をy座標とした場合に、演算の結果得られた測定結果群座標をプロットしたグラフである。
【0056】
サンプル1の測定結果群座標(図中白丸で示す)を最小二乗法により一次直線に回帰した場合の直線L1の式は、
y=−0.8839x+4.8765
と求められる。よって、x軸と直線L1との間に形成される面積kMは約8と求められる。ここでは、画像サイズ間の目盛りを1として面積kMを算出した。
【0057】
また、基準となるサンプル2の測定結果群座標(図中三角で示す)を最小二乗法により一次直線に回帰した場合の直線L2の式は、
y=−0.155x+0.9385
と求められる。よって、x軸と直線L2との間に形成される面積kRは約1.65と求められる。ここでも、画像サイズ間の目盛りを1として面積kRを算出した。
【0058】
その結果、図7及び図8の目視比較からも分かるとおり、地合が優れているほど面積が小さくなることが分かった。また、地合指数P(=kM/kR)は約4.85となった。この地合指数Pにより、基準となるサンプル2に対するサンプル1の地合を相対的に判断することができた。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、被測定物の状態評価を具体的な数値として表すことにより、被測定物の状態の定量化を図ることができる状態評価方法及び状態評価装置が得られる。従って、目視による主観評価と比較してより客観的な指標が得られるとともに、電子機器を利用して多数の被測定物の状態評価を、高い信頼性の下で行うことが可能となる。
【0060】
また本発明によれば、被測定物に大きなムラがある場合であっても、目視と前記面積との間に高い相関関係があるため、前記面積から状態を評価することができる。
【0061】
更に、本発明によれば、測定サイズが小さくても大きくても、被測定物の状態評価にはあまり影響がなく、小さい測定サイズで被測定物全体の状態を評価できるため、特殊な装置を必要としない、簡易な状態評価装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる被測定物の状態評価装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】コンピュータの演算部の構成を模式的に示すブロック図である。
【図3】本実施形態において、地合を評価する際のデータ処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図4(a)は、所定領域を4つの区画に等分割した分割例を示す説明図である。また図4(b)は、所定領域を9つの区画に等分割した分割例を示す説明図である。
【図5】測定結果群座標(LogaSn,CVn)を一次直線に回帰したときの、x軸と一次直線との間に形成される面積を模式的に示す図である。
【図6】測定結果群座標に基づくグラフとx軸との間に形成される面積の算出方法の他の例を示す図である。
【図7】実施例におけるサンプル1の状態のイメージを示す写真である。
【図8】実施例におけるサンプル2の状態のイメージを示す写真である。
【図9】実施例において演算処理して得られた両サンプルの測定結果群座標(LogaSn,CVn)をプロットしたグラフである。
【符号の説明】
1…被測定物の状態評価装置、3…シート状物、7…光源、9…CCDカメラ、11…コンピュータ、13…演算部、15…ディスプレイ、17…変動係数演算部、19…画像サイズ変更部、21…面積演算部、23…比演算部、25…記憶手段。
Claims (10)
- 被測定物の所定領域に光を照射し該所定領域からの反射光または透過光を受光して輝度情報を取得する工程と、
前記被測定物の前記所定領域を所定の画像サイズにより分割し、分割された各区画の輝度値を前記輝度情報に基づいて算出し、当該各区画の輝度値を平均して前記所定領域全体の輝度平均及び標準偏差を算出し、当該所定の画像サイズについて該輝度平均に対する該標準偏差の比である変動係数を算出する工程と、
前記所定の画像サイズの大きさを変えながら前記変動係数の算出を繰り返す工程と、
複数の前記画像サイズの対数と複数の前記変動係数とに基づいて測定結果群座標を生成し、生成された該測定結果群座標を所定平面上にプロットし一次直線に回帰して得られる直線と所定の基準線との間に形成される面積を算出する工程と、
を含むことを特徴とする被測定物の状態評価方法。 - 前記測定結果群座標の一次直線への回帰を最小二乗法により行うことを特徴とする請求項1に記載の被測定物の状態評価方法。
- 算出された前記面積と、予め得られた他の被測定物についての面積との比を算出する工程を更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の被測定物の状態評価方法。
- 前記輝度情報は、前記反射光または前記透過光を赤、緑、及び青の光成分に分光して得られた各光成分ごとの輝度情報を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の被測定物の状態評価方法。
- 前記被測定物は、繊維で構成されるシート状物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の被測定物の状態評価方法。
- 被測定物に対して光を照射する光源と、
前記被測定物の所定領域において反射または透過された反射光または透過光を受光して輝度情報を取得するための受光手段と、
前記被測定物の前記所定領域を所定の画像サイズにより分割し、分割された各区画の輝度値を前記輝度情報に基づいて算出し、当該各区画の輝度値を平均して前記所定領域全体の輝度平均及び標準偏差を算出し、当該所定の画像サイズについて該輝度平均に対する該標準偏差の比である変動係数を算出する第1の演算手段と、
前記所定の画像サイズの大きさを変更するための変更手段と、
複数の前記画像サイズの対数と複数の前記変動係数とに基づいて測定結果群座標を生成し、生成された該測定結果群座標を所定平面上にプロットし一次直線に回帰して得られる直線と所定の基準線との間に形成される面積を算出する第2の演算手段と、
を備えることを特徴とする被測定物の状態評価装置。 - 前記測定結果群座標の一次直線への回帰を最小二乗法により行うことを特徴とする請求項6に記載の被測定物の状態評価装置。
- 前記第2の演算手段により算出された前記面積と、予め得られた他の被測定物についての面積との比を算出する第3の演算手段を更に備えることを特徴とする請求項6又は7に記載の被測定物の状態評価装置。
- 前記輝度情報は、前記反射光または前記透過光を赤、緑、及び青の光成分に分光して得られた各光成分ごとの輝度情報を含むことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の被測定物の状態評価装置。
- 前記被測定物は、繊維で構成されるシート状物であることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の被測定物の状態評価装置。
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