JP3720490B2 - 能動的除振装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、床振動の除振台への伝播を抑制する能動的除振装置に関する。本発明は、特に、露光用XYステージを搭載してなる半導体露光装置の一構成ユニットとして好適に使用される能動的除振装置であって、空気バネアクチュエータを用いた空気バネ式能動的除振装置に好適に適用される。
【0002】
【従来の技術】
除振台上には振動を嫌う機器群が搭載される。例えば、光学顕微鏡や露光用XYステージなどである。特に、ステップアンドリピート方式の半導体露光装置における露光用XYステージの場合、適切かつ迅速な露光が行なわれるべく外部から伝達する振動を極力排除した除振台上に同ステージは搭載されねばならない。なぜならば、露光は露光用XYステージが完全停止の状態で行なわれねばならないからである。さらに、露光用XYステージはステップアンドリピートという間欠運動を動作モードとして持ち、繰り返しのステップ振動を自身が発生しこれが除振台の揺れを惹起せしめることにも注意せねばならない。この種の振動が整定しきれないで残留する場合にも、露光動作に入ることは不可能である。したがって、除振台には、外部振動に対する除振と、搭載機器自身の運動に起因した強制振動に対する制振性能をバランスよく実現することが求められる。
【0003】
なお、近年XYステージを完全停止させてから同ステージ上搭載のシリコンウエハに対して露光光を照射するステップアンドリピート方式の半導体露光装置に代わって、XYステージなどをスキャンさせながら露光光をシリコンウエハ上に照射するスキャン方式の半導体露光装置も登場してきた。このような装置に使われる除振台に対しても、外部振動の除振と、搭載機器の運動に起因した強制振動に対する制振性能とをバランスよく満たすことが求められることは同様である。
【0004】
さて、周知のように除振台は受動的なものと能動的なものとに実現形態が分類される。除振台上の搭載機器に求められる高精度位置決め、高精度スキャン、高速移動などへの要求に応えるべく近年は能動的除振装置を用いる傾向にある。それに用いられるアクチュエータとしては空気バネ、VCM(ボイスコイルモータ)、圧電素子などが知られている。ここでは、先ず、空気バネをアクチュエータとした能動的除振装置を対象にして具体的説明を行なう。
【0005】
図6は、空気バネをアクチュエータとする従来の能動的除振装置の構成を示す。同図において、1はXYステージなどの精密機器を搭載する除振台、2a〜dは空気バネと動作流体の空気を給排気するサーボバルブ(不図示)とを含めた空気バネアクチュエータ、3a〜dは鉛直方向の変位を計測する位置検出手段、4a〜dは鉛直方向の振動を検出する振動検出手段である。位置検出手段3a〜dとしては、渦電流式変位センサ、静電容量センサ、光電変換素子を応用した位置検出センサなどが、振動検出手段4a〜dとしては加速度センサやジオフォンセンサなどが使用できる。除振台1の4隅には、上述の空気バネアクチュエータ2a〜d、位置検出手段3a〜dおよび振動検出手段4a〜dなどを主たる構成要素として内蔵する空気バネ式支持脚5a〜dを配置し除振台1とその上に搭載する機器とを支持している。なお、除振台1を水平方向に支持する主構成要素については不図示であるが、上述した鉛直方向と同様になる。
【0006】
次に、空気バネ式支持脚5a〜dに対するフィードバック装置の構成とその動作を説明する。まず、加速度センサなどの振動検出手段4a〜dの出力は、適切な増幅度と時定数とを有するゲイン補償器6a〜dを介して空気バネアクチュエータに含めたサーボバルブ(不図示)の弁開閉用の電圧電流変換器7a〜dの前段に負帰還している。この加速度フィードバックループによりダンピングが付与され機構の安定化が図られている。さらに、位置検出手段3a〜dの出力は変位増幅器8a〜dを通って比較器9a〜dへの入力となっている。ここでは、目標電圧入力端子10a〜dに設定した電圧との比較が行なわれて位置偏差信号(ea ,eb ,ec ,ed )を生成する。目標電圧入力端子10a〜dに設定する電圧は、空気バネ式支持脚5a〜dの設置面を基準にした除振台1の平衡位置と等価なものである。続いて、位置偏差信号はPI補償器11a〜dを通り、この信号と加速度フィードバックループの負帰還信号とを加算してなる駆動信号で電圧電流変換器7a〜dをドライブする。すると、サーボバルブの弁開閉によって空気バネの内圧が調整されて除振台1は目標電圧入力端子10a〜dで設定した所望の位置に定常偏差なく保持できる。ここで、PI補償器のPは比例を、Iは積分動作をそれぞれ意味する。空気バネアクチュエータを有する空気バネ式支持脚5a〜dは、大重量物を搭載する除振台を支持する能力がある。
【0007】
図7は、除振台1の上に搭載され強烈な加減速運転を行うXYステージ12の構造を示す。同図において、13はXステージ、14はXステージ13の上に搭載するシリコンウエハ15を微細に位置決めするための微動ステージ、16はYステージ、17YRと17YLはともにYステージ16を駆動するリニアモータの可動子(Xステージ13の可動子は不図示)、18XはXステージ13を駆動するリニアモータの固定子であるコイル、19YRと19YLはYステージ16を駆動するために左右に配置したリニアモータの固定子であるコイル、20はステージ定盤、21XはX軸計測用のバーミラ、21YはY軸計測用のバーミラである。
【0008】
さて、空気バネ式能動的除振装置は、応答性は悪いが荷重支持能力が高いという特徴がある。対して、ボイスコイルモータに代表される電磁式アクチュエータを用いた能動的除振装置は、速い応答性を持つものの支持荷重能力は高くない。上述した空気バネ式能動的除振装置の特徴を踏まえ図8の実験事実を観察する。同図(A)は、除振台搭載のXYステージ12がステップアンドリピート駆動したときの、空気バネ式能動的除振装置の位置偏差信号の一例である。XYステージのステップ駆動に原因した過渡現象としての先鋭的な揺動に、ステップ駆動が繰り返され且つその極性が反転することに原因した低周波の大きなうねりが重畳した位置偏差信号になっている。このような挙動は適切な数学モデルを使った数値実験でも確認できる。同図(B),(C)に数値実験の一例を示すが、実測結果と同様の傾向が模擬できていることが分かる。
【0009】
ここで、位置偏差信号の振る舞いを定性的に解釈する。まず、XYステージ12を略一定周期で急激に加減速する際のパルス状波形(以下、「バンバン状の波形」と称する)によるステップ駆動によって空気バネ式能動的除振装置の固有周期で過渡現象が引き起こされる。この過渡現象の零への収束は時間が掛かるが、位置偏差信号が零に収束しきれないうちに次のステップ駆動がなされ再び過渡現象が生起される。その現象も収束が不十分な状態となり、次々とステップ駆動を受けるので収束しきれない位置偏差が蓄積していき、結果として位置偏差信号のシフトが生じる。位置偏差信号のシフトには、上述した収束性の悪さに原因するものに加え、ステップアンドリピートによってXYステージ12の可動部が移動するという移動荷重によっても引き起こされることに注意したい。
【0010】
さて、位置偏差信号のシフトは、もちろん除振台を含めた本体装置が目標電圧で指定した平衡位置からずれることを意味する。例えば、図8に示す位置偏差信号がX方向の位置偏差信号である場合には、除振台を含めた本体装置が初期の平衡位置から徐々にX方向に移動してしまったことを意味する。また、その位置偏差信号がx軸回りの回転である場合には、除振台を含めた本体装置が初期の平衡位置から徐々にx軸回りに傾いたことを意味する。
【0011】
このような現象抑制のため、XYステージの駆動信号を適切に補償しそれを能動的除振装置のアクチュエータにフィードフォワードする技術が開示されている。例えば、特開平6−216003号『ステージ装置』が挙げられる。しかし、空気バネ式能動的除振装置の応答は緩慢でありフィードフォワードによって図8(A)の如き位置偏差信号の揺動が抑制できるものではない。また、ボイスコイルモータなどの電磁アクチュエータを使用する能動的除振装置の場合、XYステージのステップ駆動に原因する除振台の過渡現象を抑制する能力はあるものの、除振台のシフトを補正して平衡位置に戻す能力は持ち合わせていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
空気バネ式能動的除振装置における課題を整理すると以下の通りである。
同能動的除振台に搭載される機器の中でXYステージは、ステップアンドリピートという間欠運転を動作モードとして持つ。この動作は強烈な駆動反力を除振台に与える。また、スループット(生産性)向上のため、ステップアンドリピートの周期は徐々に短縮化されている。このとき、除振台の固有周波数は例えば2〜3Hzといった低周波域にあり、それよりも格段に速い周期でXYステージが駆動されること、およびXYステージの連続駆動によって除振台に対する荷重が移動するということに起因した問題が発生する。
【0013】
除振台の固有周期よりもはるかに早い周期の運転がなされると、ステップ駆動に起因した過渡現象が減衰しきれないうちに次々とステップ駆動がなされ、結果として位置偏差信号のマクロトレンドがシフトしてしまう。時変の移動荷重があると、その影響を抑制する駆動力は発生するが、これも応答が間に合わず位置偏差信号のシフトを引き起こすのである。
【0014】
極低周波のシフト成分の存在は、除振台の平衡位置からの移動、あるいは回転があることを意味する。ステップアンドリピート中の除振台のシフトと回転は、除振台を含めた本体に静的動的な歪を与え、半導体露光装置の場合には投影光学系(不図示)を歪ませることにつながり装置性能の劣化を招く。また、除振台を含めた装置全体あるいは不図示の精密機器の設置規準を侵害することがあった。
【0015】
本発明は、上述の従来例における問題点に鑑みてなされたもので、除振台の目標位置からのずれを防止することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段および作用】
上記目的を達成するため、本発明では、除振台と、該除振台に駆動力を付与する空気バネアクチュエータと、前記除振台の振動を検出する振動検出手段と、前記除振台の位置を検出する位置検出手段と、前記振動検出手段の出力によってダンピングを与える加速度フィードバックループと、前記位置検出手段の出力と目標電圧入力端子に入力された目標電圧に基づいて位置偏差信号を生成して補償を掛ける位置ループとを有し、前記除振台を所望の位置に位置決めする能動的除振装置において、前記除振台に搭載されるXYステージのステップアンドリピート駆動により発生する前記位置偏差信号のオフセットを修正するために、前記XYステージがステップ駆動の繰り返しによりある一方向に駆動されている間は、前記目標電圧入力端子に入力される目標電圧に、前記XYステージのステップ駆動の繰り返しによって前記除振台がオフセット状に変位する方向とは逆方向に該除振台を変位させるように一定値の補正電圧パターンを重畳する手段を設けたことを特徴とする。
【0017】
本発明では、ステップアンドリピート駆動で発生する位置偏差信号のオフセットの様子が特徴的であることを利用している。連続するバンバン状のステップ駆動の極性が反転するごとに、概ね一定なオフセットの極性も反転する。そこでステップ駆動の極性反転を周期とする一定電圧の補正電圧を、除振台を位置決めする目標電圧に重畳させている。したがって、補正分圧の印加により、オフセットをキャンセルするように作用する。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、参考例を含めて説明する。
【0019】
図8(A)の実測結果および同図(B),(C)の数値実験結果を参照して明らかなように、ステップアンドリピート中の位置偏差信号を観察すると、ステップ駆動に起因する過渡現象波形と、その連続駆動および移動荷重に原因したシフトが重畳したものになっている。
ここで、本発明の実施例を説明する前に、空気バネ式能動除振装置に関する参考例について説明する。以下に説明する参考例1では、後者の現象を位置フィードバックの補償器を変えることによって抑制する装置構成を与える。
【0020】
[参考例1]
図1に参考例1に係る空気バネ式能動的除振装置の構成を示す。図1の装置では、ステップアンドリピート駆動を受けたとき、オフセットが生じやすい運動モードを選択し、この運動モード偏差信号の補償を行なう補償器を従来のPI補償器からPI2 補償器に変更している。ここで、PI補償器のPは比例を、Iは積分動作をそれぞれ意味することは周知のことであり、一般的に次式の伝達関数を持つ補償器である。
【0021】
【数1】
ただし、k1 は比例ゲイン、k2 は積分ゲインである。
【0022】
また、ここでPI2と呼称する補償器は次式のように(1)式に対して積分器を1個追加した伝達関数を持つ補償器である。
【0023】
【数2】
【0024】
実験事実によれば、オフセットは、特にX軸およびY軸回りの回転の運動モード偏差信号に重畳する。その理由は、ステップアンドリピート駆動時には除振台1上のXYステージ12の位置決め場所が逐次移動するので、これが除振台1を傾かせるよう支配的に作用するからである。
【0025】
以下、図1を参照しながら動作説明をする。まず、位置検出手段3a〜dの出力は変位増幅器8a〜dによって電気信号に変換され、比較器9a〜dへの入力となっている。目標電圧入力端子10a〜dに加える電圧と変位増幅器8a〜dの出力とを比較して位置偏差信号(ea,eb,ec,ed)を得る。次いで、これら位置偏差信号は除振台1の並進や回転といった運動モードを表わす運動モード偏差信号(Sz,Sθx,Sθy)を抽出する運動モード抽出手段22に導かれる。ここで、Sz はZ軸方向の並進運動を、SθxはX軸回りの回転運動を、SθyはY軸回りの回転運動を示す運動モード偏差信号である。運動モード偏差信号(Sz,Sθx,Sθy)は位置ループに対する安定化補償器23に入力されている。より具体的には、Szに対してはPI補償器24Zが、SθxとSθyに対してはPI2補償器24X,24Yが準備されており、補償信号(Cz,Cθx,Cθy)を生成している。
【0026】
一方、振動検出手段4a〜dの出力である電気信号は、加速度に関する運動モード信号を抽出する運動モード抽出手段25に導かれ(az,aθx,aθy)を演算出力する。ここで、az はZ軸方向の並進を、aθx はX軸回りの回転を、aθy はY軸回りの回転を示す加速度に関するそれぞれの運動モード信号である。(az,aθx,aθy )はゲインとフィルタリング機能を併せ持つゲイン補償器26Z,26X,26Yに導かれ、運動モード別の負帰還信号(Az ,Aθx ,Aθy )を生成する。(Az ,Aθx ,Aθy )は補償信号(Cz ,Cθx ,Cθy )と合成され運動モード別の駆動信号(Dz ,Dθx ,Dθy )となる。(Dz ,Dθx ,Dθy )は、空間的に配置された各空気バネ式支持脚内の空気バネアクチュエータ2a〜dのドライブ信号を生成する運動モード分配手段27への入力となり、運動モード分配手段27の出力は電圧電流変換器7a〜dを介して空気バネアクチュエータ2a〜dに印加される。
【0027】
さて、空気バネ式能動的除振装置に対しては、除振と制振の両性能を満たすパラメータ調整がなされている。位置フィードバックループの補償器をPIからPI2 へ単純に変更することは従来のパラメータ調整状態を崩す。何故ならば、制御ループに積分器を1個追加という単純な行為ではあるが、その安定性に及ぼす影響は大きいからである。すなわち、運動モード別のフィードバックループを有する図1の能動的除振装置において、運動モードに対する位置の補償器全部をPIからPI2 へと置換することは、従来装置での除振制振性能を対象にしたパラメータ調整の状態を崩すので再調整の必要がある。しかし、ステップアンドリピート駆動において位置偏差信号にオフセットが生じる運動モードは、X軸回りおよびY軸回りの回転運動モードのみであり、Z軸方向の並進運動にはほとんど生じていない。したがって、本参考例のようにPI補償器からPI2 補償器への変更は問題とするオフセットが生じている運動モードにのみ挿入することでパラメータ再調整は軽微となる。あるいは、選択的にPI2 補償器を挿入したので、従来のパラメータ調整における性能からのずれは僅少であり、ほとんど無調整で済ますこともできる。
【0028】
参考例1の有効性を示す数値実験は図2に与える。同図(A)はステップアンドリピート駆動信号を、(B)は位置偏差信号をそれぞれ示す。(B)の中で、一点鎖線は、補償器24X,24YをPI補償器とした場合の応答を、実線は従来のPI補償器に代えPI2 補償器を使用した場合の応答をそれぞれ示す。連続する5回のバンバン状波形によるステップ駆動の後に、極性が反転したステップ駆動が5回入力する。後者の駆動で、すなわちステップアンドリピートの駆動が進行するにしたがって位置偏差信号のオフセットが除去されてバイポーラな信号に漸近することが分かる。したがって、これが回転運動モードの位置偏差信号である場合、ステップアンドリピート駆動の進行に応じて本体装置の傾きが修正されて平衡位置に漸近することが分かる。したがって、これが回転運動モードの位置偏差信号である場合、ステップアンドリピート駆動の進行に応じて本体装置の傾きが修正されて平衡位置に漸近することを示すのである。
【0029】
[参考例2]
図1の装置では、X軸およびY軸回りの運動モード偏差信号に対してのみPI2 補償器を使用した。勿論、Z軸並進運動に対してもPI2 補償器を使用し、結局のところ全運動モードに対してPI補償器に代えてPI2 補償器を使用することもできる。また、図1では位置および加速度の信号は並進や回転といった運動モードに基づいて制御ループが構成されているが、一般的である各軸独立の制御ループを持つ従来の空気バネ式能動的除振装置に対し、PI補償器に代えてPI2 補償器を使用することもできる。この各軸独立の制御ループを持つ装置構成は図3に示す。図6のPI補償器11a〜dは、図3の安定化補償器23に置換されており、その中身はPI2 補償器23a〜dである。
【0030】
なお、PI補償器に積分器を1個追加してPI2 補償器とした場合、安定性確保のため必要に応じ位相進み補償などの位相回復手段をPI2 補償器の中に同時に組み込むことは妨げられない。
【0031】
[実施例]
次に、図4および5を参照して本発明の実施例を説明する。
本実施例は、駆動パターンの時系列が極性反転する周期で概ね一定なオフセットの極性も反転することに注目したものであり、上記の各参考例で説明した目標電圧入力端子10a〜dに加える電圧を操作した装置構成を与える。すなわち、図1または図3に示した除振台1を所望の位置に位置決めする目標の電圧に、ステップアンドリピート駆動中に発生する位置偏差信号のオフセットを修正するための補正電圧を重畳する。例えば、Yステージ16がY軸方向にステップアンドリピートする場合を考える。図4を参照して紙面手前側に連続ステップ駆動がなされたとき、除振台1にX軸回りの回転が生じる。位置検出手段3aと3bは除振台1の接近(沈み込み)を、3cと3dはその逆(浮き)を検出する。しかも、バンバン状のステップ駆動が連続する期間の低周波成分としての回転量は概ね一定なので、空気バネアクチュエータ2a,2bにはより大きな駆動力を付与し、逆に空気バネアクチュエータ2c,2dの駆動力は抜く操作を行なえば、位置偏差信号のオフセットがキャンセルできるのである。
【0032】
より具体的に、図4を参照しながら説明する。図中、先に説明した他の図と同一符号をつけた箇所の説明は省略する。図4において、28はXYステージ12のY軸方向の位置計測用のレーザ干渉計であり、出射する光線をY軸計測用のバーミラ21Y(図7参照)に当てYステージ16の移動量が計測される。この信号は位置検出手段29を通って位置信号となり、Yステージ16への位置目標端子30の値と比較して位置偏差信号となる。位置偏差信号は、PID補償器に代表される補償器31に導かれ、その出力信号でYステージ16を位置決め駆動するリニアモータの固定子19YR,19YLに電流を通電する電力アンプ32をドライブする。Xステージ13に対する制御系もYステージ16に対する上述した制御系と同様の構成である。さて、位置目標端子30に印加するYステージ16へのステップアンドリピート指令はプロファイラ33から供給されている。このステップアンドリピートの駆動パターン34は予め既知であることに注意したい。本実施例では既知の駆動パターン34から、バンバン状のステップ駆動が連続する期間を半周期とする補正電圧のパターン35を生成している。補正電圧のパターン35は分配器36に導かれ、その出力は目標電圧設定手段37a〜dの電圧を印加する目標電圧入力端子10a〜dに加算されている。分配器36では各軸にとって適切な振幅と極性を有する補正電圧を生成している。
【0033】
上述したように、除振台1に対するXYステージ12の駆動方向によって、空気バネ式能動的除振装置における位置偏差信号に重畳するオフセットの極性は一意に定まり、その大きさもほぼ一定している。そこで、極性同一のバンバン状のステップ駆動信号の時系列が入力されている期間だけ目標電圧入力端子10a〜dに、除振台1を所望位置に位置決めする目標電圧の他に、オフセットを除去するに足る一定電圧の補正電圧を重畳することにしたのである。なお、本実施例の場合、安定化補償器23は必ずしもPI2 補償器である必要はなく、従来通りPI補償器でよい。
【0034】
本実施例の有効性を示す数値実験を図5に与える。図中、(A)はステップアンドリピート駆動信号を、(B)は補正電圧とその印加タイミングを、(C)は補正電圧の有無による位置偏差信号を示す。(C)の中で一点鎖線は補正電圧なしの場合を、実線は目標電圧入力端子10a〜dに補正電圧を重畳した場合の応答を示す。補正電圧の印加により、位置偏差信号の大きなうねりが平坦化されていることが分かる。すなわち、この位置偏差信号が除振台1の回転運動のものである場合、傾斜に偏りを発生させることなく、常に目標電圧で指定した平衡姿勢の周りに除振台を位置させることができているのである。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果がもたらされる。
(1)除振台に搭載されるXYステージのステップアンドリピート駆動により発生する位置偏差信号のオフセットを修正するために、XYステージがステップ駆動の繰り返しによりある一方向に駆動されている間は、目標電圧入力端子に入力される目標電圧に、XYステージのステップ駆動の繰り返しによって除振台がオフセット状に変位する方向とは逆方向に該除振台を変位させるように一定値の補正電圧パターンを重畳することにより、空気バネ式支持脚に対する制御ループの骨格を変えずに、XYステージのステップアンドリピート駆動による位置偏差信号のオフセットをキャンセルすることができる。したがって、除振台を含めた本体装置に無用の歪を与えることがない、という効果がある。しかも、コストアップは招かない。
(2)ステップアンドリピート駆動に原因した本体装置の位置ずれを抑制することができるので、装置の設置規準等を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1に係る空気バネ式能動的除振装置の構成図である。
【図2】 図1の装置の有効性を示す数値実験結果を表わす波形図である。
【図3】 参考例2に係る空気バネ式能動的除振装置の構成図である。
【図4】 本発明の一実施例に係る空気バネ式能動的除振装置の構成図である。
【図5】 図4の装置の効果を示す数値実験結果を表わす波形図である。
【図6】 従来の空気バネ式能動的除振装置を示す図である。
【図7】 XYステージの構造を示す図である。
【図8】 ステップアンドリピート駆動時の位置偏差信号の一例を示す実測結果と数値実験結果である。
【符号の説明】
1:除振台、2,2a〜d:空気バネアクチュエータ、3,3a〜d:位置検出手段、4,4a〜d:振動検出手段、5,5a〜d:空気バネ式支持脚、6,6a〜d:ゲイン補償器、7,7a〜d:電圧電流変換器、8,8a〜d:変位増幅器、9,9a〜d:比較器、10,10a〜d:目標電圧入力端子、11,11a〜d:PI補償器、12:XYステージ、13:Xステージ、14:微動ステージ、15:シリコンウエハ、16:Yステージ、17YR,17YL:リニアモータの可動子、18X:リニアモータの固定子であるコイル、19YR,19YL:リニアモータの固定子であるコイル、20:ステージ定盤、21X:X軸計測用のバーミラ、21Y:Y軸計測用のバーミラ、22:運動モード抽出手段、23:安定化補償器、23a〜d:PI2 補償器、24Z:PI補償器、24X,24Y:PI2 補償器、25:運動モード抽出手段、26Z,26X,26Y:ゲイン補償器、27:運動モード分配手段、28:レーザ干渉計、29:位置検出手段、30:位置目標端子、31:PID補償器、32:電力アンプ、33:プロファイラ、34:駆動パターン、35:補正電圧のパターン、36:分配器、37a〜d:目標電圧設定手段。
Claims (4)
- 除振台と、該除振台に駆動力を付与する空気バネアクチュエータと、前記除振台の振動を検出する振動検出手段と、前記除振台の位置を検出する位置検出手段と、前記振動検出手段の出力によってダンピングを与える加速度フィードバックループと、前記位置検出手段の出力と目標電圧入力端子に入力された目標電圧に基づいて位置偏差信号を生成して補償を掛ける位置ループとを有し、前記除振台を所望の位置に位置決めする能動的除振装置において、
前記除振台に搭載されるXYステージのステップアンドリピート駆動により発生する前記位置偏差信号のオフセットを修正するために、前記XYステージがステップ駆動の繰り返しによりある一方向に駆動されている間は、前記目標電圧入力端子に入力される目標電圧に、前記XYステージのステップ駆動の繰り返しによって前記除振台がオフセット状に変位する方向とは逆方向に該除振台を変位させるように一定値の補正電圧パターンを重畳する手段を設けたことを特徴とする能動的除振装置。 - 前記振動検出手段は加速度センサであることを特徴とする請求項1に記載の能動的除振装置。
- 前記補正電圧パターンは、予め既知である前記XYステージの駆動パターンに基づいて生成されることを特徴とする請求項1または2に記載の能動的除振装置。
- 前記補正電圧パターンの極性は、前記XYステージのステップ駆動の繰り返される方向が反転する周期で反転することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の能動的除振装置。
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