JP3717211B2 - アルコキシシラン類の製造方法 - Google Patents
アルコキシシラン類の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3717211B2 JP3717211B2 JP25504895A JP25504895A JP3717211B2 JP 3717211 B2 JP3717211 B2 JP 3717211B2 JP 25504895 A JP25504895 A JP 25504895A JP 25504895 A JP25504895 A JP 25504895A JP 3717211 B2 JP3717211 B2 JP 3717211B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- alcohol
- reaction
- alkoxysilanes
- methanol
- silicon
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Landscapes
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルコキシシラン類の製造方法に関するものである。詳しくは、珪素とアルコールとを触媒の存在下に反応させてアルコキシシラン類を製造する方法に関するものである。
アルコキシシラン類の製造方法としては、下記(1)式のように、クロルシラン類と低級アルコールを反応させる方法が知られている。
【0002】
SiH4-mClm + m ROH → SiH4-m (OR)m + m HCl (1)
(式中、 ROHは脂肪族低級アルコール、mは1〜4の正の整数を示す。)
この方法によれば、目的とするアルコキシシラン類の他に塩酸が副生する。塩酸は反応生成物からの回収が困難で、反応装置などの機器を腐食させるばかりでなく、生成したアルコキシシラン類の一部を分解するので、プロセス上好ましくない。一方、アルコキシシラン類の他の製造法として下記(2)式のように、金属珪素と低級アルコールを反応させる方法も知られている。
【0003】
Si + m ROH → SiH4-m (OR)m + (m-2) H2 (2)
この方法は銅触媒の存在下に気相または液相で実施される。また触媒としてナトリウムメトキサイドを用い液相で実施する方法も公知である。式(2)の反応は、例えばm=3では22kcal/mole 、m=4では68kcal/mole もの大きな発熱反応である。従って、この反応を気相法で実施する場合には、反応で発生する熱の除去が容易ではなく、特定のアルコキシシランを高選択率で製造するための反応制御が難しい。例えば、一般に、気相法ではトリアルコキシシランを高収率で製造することは困難である。一方、この反応を液相法で実施する場合には、除熱の問題はかなり緩和される。例えば、除熱を容易にし、反応を円滑に進行させる目的で、種々の溶媒を使用して反応を行う方法の提案が数多くなされている。(例えば、特公昭51−1692号公報、特開昭54−163529号公報等)このような理由で、工業的にアルコキシシラン類を製造する方法としては、液相法が用いられる。
【0004】
上記の反応で得られた反応組成物はアルコキシシラン類・溶媒・未反応アルコールを含有しており、最終的な製品としてアルコキシシラン類を得るには、通常、溶媒を分離する工程、未反応アルコールを分離する工程が設けられる。工業的にアルコキシシラン類を製造するに当たっては、通常、分離した溶媒及び未反応アルコールは再使用される。
【0005】
溶媒を再使用する方法については、特公平7−23383号公報に詳しい記載がなされている。
一方、未反応アルコールを再使用する方法については、例えばテトラアルコキシシランの製造方法に関する特公平7−23385号公報には再使用できるとの記載は有るが、その具体的な方法の記載はなされていない。また特公平7−17657号公報には、トリメトキシシランの製造に於いて、反応器に直結した蒸留塔に反応生成物を導入し、トリメトキシシラン−メタノール共沸混合物を反応器に循環させる方法が述べられている。この方法の目的は、同公報に記載されているように、反応生成物の抽出蒸留工程を排除し且つ同時にトリメトキシシラン−メタノール共沸混合物を破壊する為の第三成分の添加を必要としないトリメトキシシランの製造方法を提供すること、及び粗製トリメトキシシラン生成物の貯蔵の必要を排除すること等にある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らは、珪素とアルコールとを触媒の存在下に液相中で反応させてアルコキシシラン類を製造する液相法において、反応組成物より分離し回収した未反応アルコール中には幾つかの不純物が存在するため、未反応アルコールを全量再使用するとその不純物濃度が逐次上昇し、精製後のアルコキシシラン類の品質が低下することを見出した。例えば、メタノールと金属珪素の反応で、テトラメトキシシランを製造する場合、回収した未反応メタノール中には、メチルトリメトキシシラン及びホウ素化合物が存在し、回収メタノールを全量再使用するとそれらの濃度が逐次上昇し、精製後のテトラメトキシシラン中にメチルトリメトキシシラン及びホウ素化合物が混入する。これらの混入は、例えばテトラメトキシシランを用いゾル・ゲル法により合成石英粉を製造する場合、メチルトリメトキシシランの混入量が多いと合成石英粉中に黒色粒子を発生させる原因となることが本発明者らによって見いだされている。またこの場合、ホウ素化合物が多いと合成石英粉中のホウ素濃度も高くなり、半導体製造分野の成形体原料としての使用が難しくなる。
【0007】
このような理由で、高純度が要求されるアルコキシシラン類を工業的に製造するにあたっては、回収した未反応アルコール中の不純物濃度の推移には十分に留意する必要が有るにも係わらず、従来、この種の問題は看過されていた。
本発明は、珪素とアルコールを液相系で反応させ、高純度のアルコキシシラン類を合理的な手法で効率的に製造する方法を提案することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、珪素とアルコールとを触媒の存在下に反応させてアルコキシシラン類を製造する方法において、反応組成物より分離し回収した未反応アルコールを再使用するアルコキシシラン類の製造方法であって、リサイクルする未反応アルコールのループから2%以上を取り出し、廃棄するか、もしくは精製のための別のループにまわし再度リサイクルのループに戻すことにより、再使用するアルコール中のアルキルアルコキシシランの濃度が50重量%以下、ホウ素の濃度が100ppm以下とすることを特徴とするアルコキシシラン類の製造方法に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における原料の1つである珪素としては、通常、純度が80〜99%の金属珪素が使用される。金属珪素の形状はとくに限定的ではないが、通常、500μm以下、好ましくは200μm以下の平均粒度に粉砕されたものが用いられる。反応帯域への珪素の供給形態と供給形式についてもとくに限定的されない。
【0010】
本発明における他の原料である低級アルコールは、炭素数1〜6の脂肪族低級アルコールである。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、 tert−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノールおよびシクロヘキサノール等である。本発明にはメタノールが特に好適である。低級アルコールの使用量は、珪素の使用量1グラム原子に対しO.O5〜500モル、好ましくは0.5〜100モル、更に好ましくは1〜50モルの範囲から選択される。
【0011】
本発明においては、使用するアルコールの少なくとも一部に、珪素とアルコールとを触媒の存在下に反応させて得られた反応組成物より分離し回収した未反応アルコールを使用する。その使用比率は特に限定されるものではないが、通常、アルコールの転化率見合いで決定される。即ち、反応で消費されるアルコールの相当量のフレッシュなアルコールを使用し、未反応アルコールの相当量に回収アルコールを使用する。ここでいうフレッシュなアルコールとしては、例えばJIS K1501−69を満足する純度に相当する程度のものを用いることができる。
【0012】
本発明においては、反応組成物より回収したアルコールのうち、2%以上を、好ましくは5%以上を取り出し(以下「パージ」と称す場合がある。)た後に再使用する。すなわち、直接リサイクルするメタノールのループから2%以上を取り出し、廃棄するか、もしくは精製のための別のループにまわし、再度リサイクルのループに戻すのである。回収したアルコール中には、幾つかの不純物が存在し未反応アルコールを全量再使用するとその不純物濃度が逐次上昇し、アルコキシシラン類の分離生成が困難となり、精製後のアルコキシシラン類の品質が低下する為である。例えば、メタノールと金属珪素の反応で、テトラメトキシシランを製造する場合、回収した未反応メタノール中には、メチルトリメトキシシラン及びホウ素化合物が存在し、回収メタノールを全量再使用するとそれらの濃度が逐次上昇し、精製後のテトラメトキシシラン中にメチルトリメトキシシラン及びホウ素化合物が混入する。
【0013】
通常、溶剤をリサイクル使用する際、定常状態における不純物の濃度はそのパージ率に依存し、パージ率が2%の場合は初期濃度の50倍に、パージ率が5%の場合は初期濃度の20倍となる。再使用するアルコール中のアルキルアルコキシシランの濃度は50重量%以下である事がのぞましい。さもなければ、後述するアルコキシシラン類の分離精製設備の負荷が大きくなり設備が巨大化する。
【0014】
本反応では、フレッシュなアルコールのみを用いた場合、回収したアルコール中にはアルキルアルコキシシランが1重量%程度含まれているので、定常状態におけるアルキルアルコキシシランの濃度を50重量%以下とするには、パージ率を2%以上とする必要がある。また、再使用するアルコール中のホウ素の濃度は100ppm以下であることが望ましい。さもなければ、後述する分離精製設備の負荷が大きくなり設備が巨大化する。回収したアルコール中のホウ素の初期濃度は2ppm前後であるので、定常状態におけるホウ素濃度を100ppm以下とするには、パージ率を2%以上とする必要がある。
【0015】
パージしたアルコールを水と接触させることにより、アルコール中に含有するアルキルアルコキシシラン及びホウ素化合物は容易に加水分解されアルコールが生成する。この混合液を蒸留することにより、アルキルアルコキシシラン及びホウ素を全く含有しない実質的に無水のアルコールを回収するすることができるので、反応に再使用すると、実質的にアルコールのロスを皆無にできる。
【0016】
パージしたアルコールと接触させる水は、アルカリ水を用いることが望ましい。アルカリ水を用いることにより、アルキルアルコキシシラン及びホウ素化合物の加水分解速度が向上し、アルコールの回収率が向上する。
本発明におけるケイ素とアルコールとの反応には、銅触媒が使用される。銅触媒としては、金属銅、銅合金または銅化合物が用いられる。銅化合物としては、酸化銅、無機酸塩、有機酸塩及び種々の錯化合物が好適に用いられる。その具体例としては、酸化第一銅、酸化第二銅、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、、沃化第一銅、硫化第一銅、蟻酸第二銅、酢酸第二銅、シュウ酸第二銅、ビス(アセチルアセトン)銅(〓)などが挙げられる。これらの銅触媒はそのままの形であるいは好適な担体上に担持した形で使用される。銅触媒の積算使用量は、珪素の積算使用量1グラム原子に対して、銅として0.0001〜0.5グラム原子の範囲から選ばれる。触媒の供給形態と供給形式についてはとくに限定的ではなく、例えば、珪素と独立にあるいは同時に供給することが可能である。
【0017】
溶媒の具体例としては、クメン、n−ブチルベンゼン、シメン、ヘキサメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ドデシルベンゼン、ビフェニル、ターフェニル等の置換ベンゼン類、
ナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、プロピルナフタレン、ジプロピルナフタレン、トリプロピルナフタレン、アントラセン、メチルアントラセン、ジメチルアントラセン、t−ブチルアントラセン等の無置換および置換の多環芳香族炭化水素類、
n−デカン、ドデカン、オクタデカン、流動n−パラフィン、イソパラフィン、ドデシルシクロヘキサン、ジシクロヘキシル、トリシクロヘキシル等の脂肪族炭化水素類、
ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジトリルメタン、ベンジルトルエン、ジ、ベンジルトルエン、ベンジルキシレン、ジフェニルエタン、トリジフェニルエタン等のアリールアルカン類、
ジフェニルエーテル、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6等のエーテル類、
ヘキサ(n−ブトキシ)ジシロキサン、オクタ(n−プロポキシ)トリシロキサン、ヘプタメトキシジエトキシテトラシロキサン、ドデカメトキシペンタシロキサン等が挙げられる。
【0018】
これらの溶媒の中では、殊に沸点が250℃以上の溶媒がプロセスの都合上好適に使用される。溶媒の積算使用量は、珪素の積算使用量の1グラムに対して0.1〜1000mlの範囲、好ましくは1〜100mlの範囲で選択される。
本発明の製造方法においては、反応そのものに直接影響しないが、プロセスを円滑に進める目的で、不活性気体を使用することが可能である。不活性気体の具体例としては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、及び水素が挙げられる。不活性気体の使用量は、特に限定されないが、通常は反応帯域の液相部と気相部の合計容量を導入不活性気体容量で除した値が0.001 〜0.05/Hr の範囲が好ましい。 珪素とアルコールの反応は、液相系で回分的あるいは連続的に実施される。回分法は密閉形式でも、或いはまた、生成アルコキシシラン類の一部を反応経過中に反応帯域外に取り出す方法を含む開放形式のいずれでも実施可能である。反応圧力は0.01〜200atomの中の任意の条件が選ばれるが、反応経過中にアルコキシシラン類を反応帯域外に取り出す為には、反応圧力を比較的低く設定する事が望ましい。好ましい反応圧力は、0.05〜20atm、更に好ましくは0.1〜5atmの範囲である。反応温度は150〜300℃、好ましくは200〜250℃、更に好ましくは215〜235℃の範囲から選択される。
【0019】
アルコールは所定の反応温度に高められた反応帯域に、連続的、或いは断続的に供給しつつ反応が行われる。予め、その一部を反応帯域に添加しておき反応を行ってもよい。
反応中に供給するアルコールを液状及びガス状で供給する方法が好ましい。
本反応は、前述のとおり、150〜300℃と比較的高い温度で実施される。一方、本反応:式(2)の反応は、
Si + m ROH → SiH4-m (OR)m + (m-2) H2
例えばm=3では22kcal/mole 、m=4では68kcal/mole もの大きな発熱反応である。従って、この反応を所定の温度で制御するには、反応前に所定温度まで加熱しておき、反応開始後、反応熱見合いで冷却する必要がある。工業的サイズでこのような操作を行うのは、極めて煩雑であり、通常以上の伝熱面積を有する特殊な反応装置を用いないと急速な熱の授受が難しく、所定の反応温度を一定に保つことが出来ない。反応温度が変化すると反応速度及び選択率が変化しアルコキシシラン類の歩留りが変動するので、工業的な生産を行うに当たって、生産の管理が困難になる。しかしながら、上記のように供給アルコールを液状及びガス状で供給すれば、冷却にアルコールの気化熱を用いることができ、反応速度見合いで液状アルコールとガス状アルコールの比率を変えることにより容易に内温を一定とすることが可能となり、歩留りが安定する。供給する液状アルコールの総量とガス状のアルコールの総量の比率は、選択する反応温度・反応装置の形状・反応装置の断熱状態・アルコールの供給速度等により異なるが、通常、供給アルコールの総量に対する液状で供給するアルコールの比率は10〜80%で行われる。
【0020】
具体的には単位時間当たりの反応量が多い反応前段では液状アルコールの比率を高め、反応量が低下する反応後段ではガス状アルコールの比率を高めることとなる。
本反応は、通常、反応開始にあたって誘導期がみられる。即ち、所定温度に反応器内温を設定し、アルコールの供給を開始後、一定の期間反応熱の発生は見られない。この誘導期発現の原因は必ずしも明らかではないが、原料に使用する金属珪素粒子の表面は酸化珪素の皮膜で覆われており、その皮膜が破壊された後に反応が開始するので、皮膜破壊までの期間が誘導期として発現すると考えられる。いずれにしろ、この誘導期の間は、反応熱の発生がないので、液状のアルコールのみを供給すると反応器の内温は低下する。そこで、ガス状のアルコールを反応器の放熱量見合いで供給する。そうすれば、反応器の内温を所定の温度に保つことが可能となる。
【0021】
誘導期が終了すると、反応が開始し反応熱発生による内温の上昇が検知される。反応開始直後は、単位時間当たりの発熱量が大きいので、液状のアルコールのみを供給することにより反応器の内温を所定の温度に保つことが可能となる。
続いて、単位時間当たりの発熱量は徐々に低下するので、ガス状のアルコールと液状のアルコールの比率を調節し、反応器の内温を200〜250℃の間の所定の温度に制御する。具体的なガス状のアルコールと液状のアルコールの比率の調節方法の例を、図1に示す概念図に示す。反応器内温を温度センサー1で測定し設定温度との温度差を算出し、アルコール供給ポンプ2の吐出る側に設けられた流量調節バルブ3及び4の開度を調節する事となる。近年の計算機の進歩によりこのような制御システムの構築は極めて容易である。概念図中、5はガス側流量計、6は液側流量計である。
【0022】
液状のアルコールとガス状のアルコールは同一の導入管で反応帯域に供給することは可能であるが、異なる導入管より反応帯域に供給しつつ反応を行う方が好ましい。
金属珪素の転化率が上昇しする反応終盤では、単位時間当たりの反応熱発生量は大幅に低下するので、ガス状のアルコールのみを供給する事となる。ここでいう反応終盤とは、金属珪素の転化率が85%以上の領域を指す。
【0023】
このようにして得られた反応組成物中には、目的物質であるアルコキシシラン類の他に、溶媒、未反応アルコール、不溶成分及び副生物であるアルキルアルコキシシラン、ホウ素化合物と珪素含有オリゴマーを含有している。
そこで、まず、不溶成分及びアルコキシシラン類に比べ高沸成分の珪素含有オリゴマー及び溶媒を分離することができる。不溶成分は、反応液中に固体として分散しているので、濾過により分離するか、或いは、薄膜蒸発機を用い高沸成分と共に蒸留残渣として分離される。高沸成分の含有率を更に低減するために、再度、蒸留処理を行ってもよい。続いて、アルコキシシラン類に比べ低沸成分の未反応アルコール、ホウ素化合物及びアルキルアルコキシシランを蒸留分離することができる。
【0024】
不溶成分を除去した後の精製方法としては、先ず、アルコキシシラン類に比べ低沸成分の未反応のアルコール、ホウ素化合物及びアルキルアルコキシシランを蒸留分離し、続い高沸成分の分離蒸留を行ってもよい。
回分法で操作を行う場合は、必然的に、後者の方法となる。
アルコキシシラン類に比べ低沸成分の未反応のアルコール、ホウ素化合物及びアルキルアルコキシシランの蒸留分離は、通常の蒸留装置が使用される。操作は、回分・連続のいずれでも実施できる。
【0025】
蒸留を精密に行うために、蒸留塔内には棚段或いは充填物が設置される。その段数は5〜50段で、塔径は処理条件により決定される。圧力は、通常、常圧あるいは減圧で操作される。分離を精密に行うために、塔頂凝縮液の一部は塔に還流させつつ操作するが、その還流比は、通常、0.1〜5である。回分で蒸留を行う場合は、流出する液の組成見合いで還流比を変化させつつ操作を行ってもよい。又、回分操作では、低沸成分に引き続き、高純度のアルコキシシラン類が流出することとなるが、連続操作では、高純度のアルコキシシラン類は、リボイラーから抜き出す事となり、操作時に於ける装置からの微量金属の混入が発生するので、再度、蒸留処理を施し高純度化を行うのが望ましい。
【0026】
但し、アルコールがメタノールで、アルコキシシランがトリメトキシヒドロシランの場合は、共沸混合物を形成するので第3成分の添加等により共沸組成を破壊する等の操作が必要である。
このようにして、アルキルアルコキシシラン及びホウ素化合物を含有する未反応アルコールが回収される。本発明に於いては、回収したアルコールのうち、少なくとも2%をパージした後に再使用することを必須の要件とする。回収したアルコール中には、幾つかの不純物が存在し未反応アルコールを全量再使用するとその不純物濃度が逐次上昇し、アルコキシシラン類の分離生成が困難となり、精製後のアルコキシシラン類の品質が低下する為である。
次に、実施の一例をフローシートに従い説明する。
【0027】
図2のフローシートに於いて、回収したメタノール及びフレッシュなメタノールはアルコールタンク7に貯蔵される。回収した溶媒及びフレッシュな溶媒は溶媒タンク8に貯蔵される。
所定量の溶媒を、溶媒タンク8から第1反応器9に仕込んだ後、珪素粉用シューター10を用い金属珪素粉を同じく第1反応器9に仕込む。つづいて、触媒用シューター11より触媒を仕込む。系内を窒素置換した後、反応器を所定の温度に加熱する。
【0028】
第1反応器9には、通常、図示外の温度計、圧力計、攪拌機、加熱用ジャケットを備えた容器が使用される。
次に、メタノールをアルコールタンク7よりポンプ12を介して第1反応器9に供給する。反応の誘導期が終了し反応温度の上昇が検知されるまでは、アルコール気化器13で気化したメタノールのみを供給するが、反応開始後は流量調整システム14により、内温が一定となるように、液とガスで供給する比率を調整しつつ反応を行う。
【0029】
反応により、トリメトキシハイドロシラン及びテトラメトキシシランが生成するが、副生する水素に同伴され未反応メタノールとともに、反応器上部に設置された反応混合ガスライン15より凝縮器16に導かれ、未反応メタノール、トリメトキシハイドロシラン及びテトラメトキシシランは液化され、第2反応器17に貯蔵される。
【0030】
水素ガスの発生がなくなるまで、メタノールの供給は続けられる。
第2反応器17に貯蔵された凝縮液に触媒を添加し、トリメトキシハイドロシランとメタノールの反応を行い、トリメトキシハイドロシランの全量をテトラメトキシシランに変換する。
第2反応器17は、通常、図示外の温度計、圧力計、攪拌機、冷却用ジャケットを備えた容器が使用される。
【0031】
水素ガスの発生がなくなるまで、反応は続けられる。
得られた反応組成物を反応液タンク18に移送する。
反応組成物は、連続的に、ライン19を介して、薄膜蒸発器20に供給され、含有する固形分及び高沸副生物が分離され、テトラメトキシシラン及び未反応メタノールはガス化される。このガスは、連続的に、ライン21を介して第1蒸留塔22に供給される。未反応メタノール及び低沸不純物を塔頂に付設した凝縮器で液化し所定の還流比で凝縮液をライン23を介して塔内に戻し、他はライン18を介してタンク7に供給する。その際、ライン25より所定量の液を加水分解槽26にパージする。
一方、蒸留塔22下部にはリボイラー27が付設されており、その液面が一定になるように、テトラメトキシシランを主成分とする、缶出液を連続的にライン28より抜き出し、第2蒸留塔29に、連続的に供給する。
【0032】
テトラメトキシシランを塔頂に付設した凝縮器で液化し所定の還流比で凝縮液をライン30を介して塔内に戻し、他はライン31を介して精製テトラメトキシシランタンク32に貯蔵する。蒸留塔29下部にはリボイラー33が付設されており、その液面が一定になるように、高沸不純物及びテトラメトキシシランを成分とする、缶出液は連続的にライン34より抜き出し反応液タンク18に戻す。
【0033】
加水分解槽26には、連続的に、NaOH水溶液を供給し、アルコキシシラン類及びその他の金属のアルコキサイドを加水分解する。加水分解槽26の反応液はライン35を介して蒸留塔36に連続的に供給される。
水と分離されたメタノールを塔頂に付設した凝縮器で液化し所定の還流比で凝縮液をライン37を介して塔内に戻し、他はライン38を介してタンク7に供給する。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
〔実施例1〕
図2に示すフローに従って、金属珪素とメタノールの反応を行い、メタノールの繰り返し使用を行いつつ、テトラメトキシシランの製造を行った。
【0035】
第1反応器9での反応の溶媒はドデシルベンゼン、触媒は塩化第一銅を用いた。
第2反応器17での反応の触媒は酸化カルシウムを用いた。
また、蒸留塔22の塔頂より回収されるメタノールの内、10重量%を加水分解槽26に供給し、NaOH水溶液と混合して回収されるメタノール中に混入する金属メトキサイドの加水分解を行った後、蒸留塔36により加水分解液中のメタノールを回収した。
【0036】
第1反応器9での反応を10回及び30回繰り返した時点で、蒸留塔22で回収したメタノール及び蒸留塔29で回収したテトラメトキシシラン中の不純物の濃度は、各々表1及び表2に示す値であった。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
〔参考例1〕
蒸留塔22の塔頂より回収されるメタノールの全量をタンク7に戻した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
第1反応器9での反応を10回及び30回繰り返した時点で、蒸留塔22で回収したメタノール及び蒸留塔29で回収したテトラメトキシシラン中の不純物の濃度は、各々表3及び表4に示す値であった。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【発明の効果】
本発明により、珪素とアルコールを液相系で反応させ、高純度のアルコキシシラン類を合理的な手法で効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるガス状のアルコールと液状のアルコールの比率の調節方法の一例の概念図を示す図
【図2】本発明の製造方法の一例を示す図
【符号の説明】
7:アルコールタンク
8:溶媒タンク
9:第1反応器
13:アルコール気化器
14:流量制御システム
15:反応混合ガスライン
17:第2反応器
18:反応液タンク
20:薄膜蒸発器
22:第1蒸留塔
24:回収アルコールライン
25:回収アルコールパージライン
26:加水分解槽
28:粗アルコキシシランライン
29:第2蒸留塔
31:精製アルコキシシランライン
32:精製アルコキシシランタンク
36:アルコール回収蒸留塔
Claims (5)
- 珪素とアルコールとを触媒の存在下に反応させてアルコキシシラン類を製造する方法において、反応組成物より分離し回収した未反応アルコールを再使用するアルコキシシラン類の製造方法であって、リサイクルする未反応アルコールのループから2%以上を取り出し、廃棄するか、もしくは精製のための別のループにまわし再度リサイクルのループに戻すことにより、再使用するアルコール中のアルキルアルコキシシランの濃度が50重量%以下、ホウ素の濃度が100ppm以下とすることを特徴とするアルコキシシラン類の製造方法。
- 取り出したアルコールを水と接触させた後、混合液より含水率が1000ppm以下のアルコールを回収し、再使用することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 取り出したアルコールと接触させる水が、アルカリ水であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
- アルコールがメタノールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- アルコキシシランがテトラメトキシシランであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25504895A JP3717211B2 (ja) | 1995-10-02 | 1995-10-02 | アルコキシシラン類の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25504895A JP3717211B2 (ja) | 1995-10-02 | 1995-10-02 | アルコキシシラン類の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0995491A JPH0995491A (ja) | 1997-04-08 |
JP3717211B2 true JP3717211B2 (ja) | 2005-11-16 |
Family
ID=17273441
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25504895A Expired - Fee Related JP3717211B2 (ja) | 1995-10-02 | 1995-10-02 | アルコキシシラン類の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3717211B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0965593B2 (en) * | 1998-06-19 | 2008-12-03 | Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. | Distillation of (meth)acryloxybearing alkoxysilane |
KR100785221B1 (ko) * | 2005-05-23 | 2007-12-11 | 주식회사 엘지화학 | 유기실리케이트 중합체 용액의 농축방법 |
WO2019131600A1 (ja) * | 2017-12-27 | 2019-07-04 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 酸化カルシウムを用いるテトラアルコキシシランの製造方法 |
CN115253957A (zh) * | 2022-05-27 | 2022-11-01 | 中化学华陆新材料有限公司 | 一种硅粉直接法连续生产正硅酸烷基酯的装置及方法 |
-
1995
- 1995-10-02 JP JP25504895A patent/JP3717211B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0995491A (ja) | 1997-04-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR900004927B1 (ko) | 에피클로로 히드린의 제조방법 | |
JP3632243B2 (ja) | ジフルオロ酢酸フルオリドおよびジフルオロ酢酸エステルの製造方法 | |
KR930010407B1 (ko) | 디메틸 카보네이트 연속 제조방법 | |
US4999446A (en) | Trimethoxysilane preparation via the methanol-silicon reaction with recycle | |
US4226793A (en) | Process for the manufacture of monomeric and oligomeric silicic acid esters | |
JP4447788B2 (ja) | 有機金属化合物の製造のための改良された方法および装置 | |
US4318942A (en) | Process for producing polycrystalline silicon | |
EP0878455B1 (en) | Preparation of methyl chloride | |
JP3880025B2 (ja) | 高純度トリメチルインジウムおよびその合成方法 | |
KR101644239B1 (ko) | 트리클로로실란 제조방법 | |
JP3717211B2 (ja) | アルコキシシラン類の製造方法 | |
JPH05194540A (ja) | トリアルコキシシランの製造方法 | |
EP1444181A1 (en) | Method for the preparation of n-propyl bromide | |
IL183175A (en) | Process for production of 1,2,2,2-tetrafluoro ethyl difluoro methyl ether | |
KR100315571B1 (ko) | 1,2-디클로로에탄의제조방법및이러한방법을수행하기위한장치 | |
JP2710382B2 (ja) | 高純度ジクロロシランの製造方法 | |
EP0501501B1 (en) | Method for the preparation of methyl chloride from carbon tetrachloride and methyl alcohol | |
US3891746A (en) | Process for preparing alpha-trichloride particles | |
KR102405910B1 (ko) | 펜타클로로디실란의 제조 방법 및 이 방법에 의해 제조되는 펜타클로로디실란 | |
JP3717209B2 (ja) | アルコキシシラン類の製造方法 | |
US4642363A (en) | Method of preparing trialkyl organo-oxysilanes | |
JPH11106387A (ja) | アルコキシシラン類の製造方法 | |
JPH08291189A (ja) | 6−オキソ−(6H)−ジベンズ−[c,e][1,2]−オキサフオスフオリンの製造法 | |
US5084589A (en) | Process for synthesis of methoxy substituted methylsilanes | |
JPS62114991A (ja) | アルコキシシランの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050422 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050510 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050630 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20050630 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20050630 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050830 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050830 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080909 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090909 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090909 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100909 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110909 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120909 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130909 Year of fee payment: 8 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |