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JP3710935B2 - 磁性流体を用いた制動部材 - Google Patents

磁性流体を用いた制動部材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁性流体を用いた制動部材に関し、詳細にはエンジンマウント、クラッチ、ブレーキ、ダンパー、アクチュエーター等多種の態様に用いられる制動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車等は電子制御化の発達のため、その制動部材としても、電気または磁気印加による反応応答性を利用した手段が多く検討されている。
例えば、作動流体として電気レオロジー流体(以下、ER流体ともいう)または磁性レオロジー流体(以下、MR流体または磁性流体ともいう)を用い、該流体に印加する電場または磁場を制御して該流体の状態を変化させることにより、該流体に接する物体および該物体に発生する動作を制御する制動部材が検討または一部で実用化されている。なお、ER流体およびMR流体とは、それぞれ電気的又は磁気的に作用を受ける粉体粒子がベース液中に分散され、電場又は磁場を制御することにより、その粘性、流動性等を変化させることができるものである。
【0003】
レオロジー流体は、通常は液体状態であり、流動性を示すが、電場あるいは磁場または電場磁場の両者を印加することにより、著しく粘度が上昇し、さらには流動性を全く示さないゲル状態にまで変化する機能性流体である。
ER流体としては、これまである種の高分子溶液、または各種粒子を分散させた懸濁液が提案されているが、前者は印加電圧に対する粘度増加率が小さく、ER流体として十分な機能を示さず、これまで主として後者の粒子分散系流体を中心に検討がなされている。すなわち、粒子分散系のER流体は、高分子溶液系と比べて比較的良好な電圧印加による粘度増加(ウインズロー効果)を示すものである。
ところで、ER流体の油性媒体中に分散させる粒子として、これまでシリカ、イオン交換樹脂、チタン酸バリウム、含水フェノール樹脂、結晶性ゼオライトなど種々のものが知られているが、その中でも無機物はER流体効果が大きく、ポリマー粒子は分散性が良いということから、ポリマー粒子の表面に無機物の微粒子を付着させて無機・有機複合型の二重構造とし、ER流体用粉体とすることも提案されている(「月刊トライボロジ」1994年8月号24頁)。
磁場に作動する流体としては、磁性体粒子に界面活性剤を吸着させて電気絶縁性液体に分散させたMR流体がある。代表的な磁性流体として、マグネタイト粒子にオレイン酸を吸着させて、ケロシンに分散させたものが知られている。
この磁性流体は、粒子を分散しコロイドとするために、粒径0.006〜0.015μmの磁性体超微粒子が使われている。しかし、磁性流体では、超微粒子の表面に界面活性剤の層を形成するため、液中の磁性体粒子の濃度が35%程度が限界であり、また磁性体粒子が小さいため、大きな粒子に比べ磁性の強さ(磁化)が70〜80%と小さい。そのため、レオロジー流体とした場合、流体の作動力が小さく、所望の作動力が得られなかったり、非常に強い磁場が必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、ER流体は、ベース液中での分散性は良いが、電場に対する応答性が弱いため、このER流体を用いた制動部材は期待される程の成果が得られていない。
また、従来のMR流体は磁場に対する応答性を良くするため、磁性の強いものを用いることを試みると、どうしても磁性粉体の粒径が大きいものを用いざるを得なかった。
磁性粉体の粒径が大きくなると、その重量も大きくなるため、ベース液中での分散性が悪くなる。MR流体を用いる制動部材は、その制動性の安定を維持するため、粉体粒子がベース液中に、十分な分散状態が維持されていなければならない。
また、重量を小さくするため、その粒径を小さくしても十分な強さの磁性を有する磁性粉体もあるが、これらの殆どは金属磁性粉体であり、長期間の使用中に酸素、水、熱等の影響を受け、その能力が劣化してくる問題があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を克服し、制動性が安定、かつ強力で長期間の使用においても性能が維持される磁性流体を用いた制動部材を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、磁性流体として、従来のものよりも磁性および耐酸化性が強く、かつ磁性粉体粒子のベース液に対する分散性が優れたものを用いることにより、上記従来技術の欠点を克服した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の構成よりなる。
(1)作動流体として磁性流体を用い、該磁性流体に印加する磁場を制御して該磁性流体の状態を変化させることにより、該磁性流体に接する物体および該物体に発生する動作を制御する制動部材において、
該磁性流体は、0.01〜2nmの膜厚のシリカ膜で被覆された5〜20nmの平均粒径の金属鉄粒子が、溶媒中に安定に分散され、その分散状態が維持され、シリカ膜のSiO と金属鉄粒子のFeの重量割合(SiO /Fe)が0.1〜10wt%であることを特徴とする制動部材。
【0008】
(2)シリカ膜で被覆された金属鉄粒子の飽和磁化が、70〜200emu/gであることを特徴とする前記(1)の制動部材
【0009】
シリカ膜で被覆された金属鉄粒子が、酸化鉄粒子の表面にシリカ膜を形成し、このシリカ膜を形成した酸化鉄粒子を還元して得られたものであることを特徴とする前記(1)の制動部材。
酸化鉄粒子の粒径が4〜20nmであることを特徴とする前記()の制動部材。
シリカ膜を形成した酸化鉄粒子の還元が、水素ガス雰囲気下300〜800℃の焼成により行われることを特徴とする前記()の記載の制動部材。
【0010】
本発明の磁性流体を用いた制動部材は上記のように、磁性超微粒子に酸化物被覆金属、特にシリカ被覆金属鉄粉などを用いることにより、従来に比べ、磁性の強い磁性流体を用い、耐酸化性が強く、磁性の低下が少なく、耐久性を有し、過酷な条件で作動し、強力な制動力が得られる。
従って、従来の磁性流体と異なり、実用化が真空中や不活性ガス中に限定されない。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の制動部材に用いられる磁性流体について詳細に説明する。
本発明において、前記磁性流体に用いられる、酸化防止膜で被覆された磁性金属粒子の基体となる金属成分としては、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、マンガン、アルミニウム、銅、サマリウム、ネオジム等の金属、また鉄−ニッケル、鉄−コバルト、鉄−銅、鉄−コバルトーアルミニウム合金等の金属合金が挙げられる。
【0012】
また、本発明の磁性流体において、酸化防止膜とは、前記磁性金属粒子の基体である金属成分の酸化を長期にまたは半永久的に防止するものである。酸化防止膜の物質としては、前記磁性金属粒子の金属成分の酸化を長期にまたは半永久的に防止するものであれば特に限定されないが、緻密な酸化物等が挙げられ、強度、成膜性等の点から金属酸化物が好ましい。
前記酸化防止膜に適用される金属酸化物としては、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、錫、鉄、マンガン、ニッケル、クロム、亜鉛、カドミウム、鉛、リチウム、インジウム、ネオジウム、ビスマス、セリウム、アンチモン、カルシウム、マグネシウム、バリウム等の金属の酸化物が挙げられる。
【0013】
本発明の磁性流体に用いられる磁性粉体、即ち、酸化防止膜で被覆された磁性金属粒子の製造方法としては、1)強磁性金属からなる基体粒子の表面に金属酸化物等の酸化防止膜を形成する方法;2)磁性金属粒子の原料となる酸化物粒子の表面に酸化物膜を形成し、この酸化物膜を形成した原料酸化物粒子を還元する方法がある。
前記1)の方法では、強磁性金属からなる基体粒子をプラズマ法、気相中での製膜法(CVD法、PVD法)などで形成し、この金属基体粒子が溶媒中に安定に存在すれば、これにゾル−ゲル法などで酸化膜を形成して、真空中あるいは不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより強固な酸化防止膜とするものである。
【0014】
また、前記2)の方法については、以下に詳細に説明する。
磁性金属粒子の原料となる酸化物粒子(以下、磁性金属粒子原料酸化物粒子という)とは、該酸化物が還元により強磁性の金属の単体または合金になるものである。
この磁性金属粒子原料酸化物粒子の具体例としては、マグネタイトやCoフェライト、Niフェライトに代表されるフェライト粒子および複合金属フェライト粒子を挙げることができる。
これら磁性金属粒子原料酸化物粒子は、公知の共沈法や金属イオンの還元法、CVD法等により作成可能である。特に、フェライト粒子の場合には共沈法で作成することにより、粒径数nm〜数十nm程度の粒径の揃った微粒子を得ることができる。
磁性金属粒子原料酸化物粒子の平均粒径の範囲は、4〜30nmであり、好ましくは5〜20nm、さらに好ましくは5〜15nmであり、5〜10nmならば最適である。4nm未満では磁性が弱くなり、30nmを超えて大きくなると、磁性流体中で沈降が生じ、共に不適である。
【0015】
また、本発明においては、前記磁性金属粒子原料を、ゾル−ゲル法、ゲル−ゾル法、共沈法などで、溶媒中で酸化物粒子あるいは水酸化物粒子とする方法も用いられる。
例えば、共沈法により形成する場合には、前記磁性金属粒子原料の塩の水溶液にアルカリ溶液を添加することにより中和、加水分解する方法、また反応にエネルギーが必要な場合にはウォーターバス、オイルバス、オートクレーブなどで加熱することにより、磁性金属粒子原料酸化物粒子を形成する。
前記磁性金属の塩としては、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、炭酸塩、無機塩類、あるいは有機酸塩などの塩類が好ましい。
【0016】
前記2)の磁性金属粒子原料酸化物粒子の表面に酸化物膜を形成する場合には、イ)有機溶媒中で金属アルコキシドを用いて酸化物膜を形成する方法;ロ)水中で金属塩類を中和、加水分解する方法などがある。
【0017】
前記金属アルコキシドの加水分解による、金属酸化物の膜を形成する方法としては、金属アルコキシドの溶液(有機溶剤または有機溶剤と水の混合溶剤であることが多い。)中に、前記磁性金属粒子原料酸化物粒子を分散し、分散させた溶液に水または弱いアルカリ性水溶液を添加して金属アルコキシドを加水分解することにより、前記粒子の表面上にその金属の酸化物皮膜を生成させる方法である。
この方法により多層金属酸化物膜粉体を製造する方法は、特開平6−228604号公報や特開平7−90310号公報等に記載されている。
【0018】
この加水分解による金属酸化物の製造方法はゾル−ゲル法と呼ばれ、微細で均一な組成の酸化物が形成されるものであって、この方法を磁性金属粒子原料酸化物粒子に対して適用することにより、磁性金属粒子原料酸化物粒子の上に均一な厚さでかつ緻密な膜が得られる。
金属アルコキシドとしては、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、錫、鉄、マンガン等必要な金属酸化物に対応する金属のアルコキシドが選択される。
【0019】
金属アルコキシドは、一般に水により分解する場合には、有機溶媒の溶液として使用される。有機溶媒は、アルコール、例えばエタノール、メタノール等、またはケトン類等が使用される。有機溶媒は脱水したものを使用することが好ましい。金属アルコキシド溶液の濃度は、溶解する金属アルコキシドの種類や有機溶媒の種類によって変わるが、最適な条件を設定する。金属アルコキシド溶液の濃度と金属アルコキシド溶液の磁性金属粒子原料酸化物粒子に対する使用量により、磁性金属粒子原料酸化物粒子上の金属水酸化物膜の厚さが決まる。
【0020】
前記ロ)の水中で金属塩類を中和、加水分解する方法としては、金属塩の反応のうち、最も一般的である金属塩水溶液の反応による沈殿という処理に用いられる金属塩についていうと、金属の酸性塩の場合が特に問題となる。金属塩の反応においては、中和や熱分解が代表的に用いられるが、それ以外の反応でもよい。本発明において、金属塩として使用される金属は、鉄、ニッケル、クロム、チタン、亜鉛、アルミニウム、カドミウム、ジルコニウム、ケイ素、錫、鉛、マンガン、リチウム、インジウム、ネオジウム、ビスマス、セリウム、アンチモン等の他、カルシウム、マグネシウム、バリウム等が挙げられる。
【0021】
また、これら金属の塩としては、硫酸、硝酸、塩酸、シュウ酸、炭酸やカルボン酸の塩が挙げられる。さらにまた、前記金属のキレート錯体も含まれる。本発明において使用される金属塩の種類は、その粉体の表面に付与しようとする性質や製造に際して適用する手段に応じてそれに適するものが選択される。
【0022】
上記のごとく処理することにより、磁性金属粒子原料酸化物粒子の表面に酸化物膜を形成した磁性金属粒子原料酸化物粒子が得られる。
そして、以上のようにして得られた酸化物膜被覆磁性金属粒子原料酸化物粒子を含む溶液を静置して液相と固相とに相分離させ、液相中に浮遊する超微粒子のみを採取する。ここで、遠心分離器を用いて超微粒子のみを採取することもできる。この超微粒子は平均粒径10nm〜数十nm程度であり、10nm程度が好ましく、後述される磁性流体とした際に、該流体中で沈降することなく優れた分散性が得られる。
【0023】
この酸化物膜を被覆した磁性金属粒子原料酸化物粒子を還元し、基体を金属化して磁性を強くし、酸化物膜を完全な酸化防止膜とした磁性金属粒子を得ることができる。
前記還元は、水素ガス雰囲気に保った炉の中で、温度範囲は300〜800℃であり、好ましくは400〜700℃で焼成を行う。300℃以下では酸化防止膜が完全にならないことがあり、800℃を超えた温度では粒子同志が焼結することがあり、共に不適である。
この炉中での焼成時間は1〜10時間であり、好ましくは3〜8時間である。
【0024】
本発明では、前記還元・焼成処理により、磁性金属粒子原料酸化物粒子が金属に還元されると同時に、高温による前記酸化物膜の固化と前記磁性金属粒子の表面の溶融化が同時に進行し、酸化物膜と磁性金属粒子の界面において結合が生じ、この結果、酸化物膜が完全な酸化防止膜になるものと思われる。
また、前記還元・焼成処理の際、酸化防止膜は還元処理中の焼結防止膜としても働く。
更に粒子焼結防止と酸化物被覆磁性粒子の磁性流体化を効率よく行うために回転式チューブ炉を用いることもできる。
【0025】
上記の還元・焼成処理条件は、それ自体公知の方法であるが、主に磁気記録媒体用として好適に使用することができる磁気特性の優れたマグネタイト、マグヘマイト、金属鉄などの針状の磁性粉末(長軸:0.1〜0.3μm)を得るための処理として用いられてきたが(例えば、特開昭59−213626号公報、特開昭58−161709号公報)、本発明においては、磁気流体の磁性金属粒子原料酸化物粒子を還元し、基体を金属化し、磁性を強くした酸化防止膜被覆磁性金属粒子を得ることが目的であり、平均粒径が、5〜20nmである超微粒子に適用し、優れた結果を得ることができた。
【0026】
なお酸化防止膜は、磁性金属粒子との熱反応性による磁化減少防止など必要に応じて複数膜でもよい。
酸化防止膜で被覆された磁性金属粒子の平均粒径の範囲は、5〜20nmであり、好ましくは6〜15nm、さらに好ましくは7〜12nmであり、8〜10nmならば最適である。5nm未満では磁性が弱くなり、20nmを超えて大きくなると、磁性流体中で沈降が生じ、共に不適である。
酸化防止膜で被覆された磁性金属粒子の飽和磁化の数値範囲は、70〜200emu/gであり、好ましくは100〜200emu/gである。
【0027】
酸化防止膜の膜厚の数値範囲は0.01〜2nmであり、好ましくは0.01〜1nmである。更に好ましくは0.01〜0.5nmである。0.01nm未満では焼成時に焼結が起きやすくなり、2nmを超えて厚くなると磁性が弱くなり、共に不適である。
なお、酸化防止膜としてシリカ膜を、磁性金属粒子の金属成分として鉄を用いた場合には、SiO2 とFeの重量割合(SiO2 /Fe)が0.1〜20wt%、好ましくは0.1〜10wt%、さらに好ましくは0.5〜7wt%である。
酸化防止膜または磁性金属粒子の金属成分として、それぞれ別のものを適用する場合には、適宜好ましい重量割合を設定すればよい。
【0028】
本発明において、上記の酸化防止膜被覆磁性金属粒子を溶媒中に安定に分散させる磁性流体化は、溶媒と分散剤を適当に選ぶことにより達成できる。
媒体である溶媒としての水、あるいは極性の大きい溶媒としては、ダンパー、アクチュエーターの用途には比較的沸点の高い物質であれば良く、エタノール、プロパノール等の低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4ブタジオールから1,10デカノールまでの高級アルコールなどの極性溶媒などが用いられる。
【0029】
水やこれらの極性溶媒中でオレイン酸、リノレン酸、リノール酸などの不飽和脂肪酸を被覆し、粒子の表面を親溶媒性に処理した後、ドデシルベンゼンスルホン酸やドデシル硫酸などの陰イオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン系界面活性剤などの界面活性剤を添加し、さらに、テトラメチルアンモニウムなどのような陽イオン系界面活性剤を加えることにより、磁性流体とすることができる。
また、ヒドロキシアルキルセルロースなどの高分子分散剤も使用できる。
一方、極性のないケロシン、α−オレフィン、アルキルナフタレンなどの炭化水素、ポリフェニルエーテルなどのエーテル類、ジメチルシロキサンなどのシリコン油類には、オレイン酸などの不飽和脂肪酸、メルカプト変性シロキサンやカルボキシ変性シロキサンなどの反応性シロキサンなどのシリコン分散剤が使用できる。
【0030】
上記の表面処理に使用される界面活性剤としては、次の各種のうち1種類あるいは複数種用いることができるが、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などの不飽和脂肪酸のアルカリ塩類、アルキルエーテル酢酸などのカルボン酸及びその塩類、スルホン酸及びその塩類、硫酸及び亜硫酸エステル塩、燐酸エステル及びその塩類、ホウ素系、重合型高分子系、重縮合型高分子などの陰イオン性界面活性剤、脂肪族アミン類及びそのアンモニウム塩、芳香族アミン類及びそのアンモニウム塩、複素環アミン類及びそのアンモニウム塩、ポリアルキレンポリアミン型、高分子型などの陽イオン性界面活性剤、エーテル型、エステルエーテル型、エステル型、デキストリンなどの多糖類、ヒドロキシアルキルセルロースなどのセルロース類などの高分子系、カルボキシ変性、アミノ変性などの変性シリコンオイル、含窒素型などの非イオン性界面活性剤、ベタイン型あるいはアミノ有機酸型などの両イオン性界面活性剤、また、シランカップリング剤やチタンカップリング剤のような反応性界面活性剤などを用いることができる。その添加量としては、適宜決定される。
【0031】
また、油ベース磁性流体を制動部材として使用した場合には、防水制動部材として使用でき、逆に親水性溶媒磁性流体を使用した場合には防油制動部材とすることも可能である。
その他、本発明の磁性流体は、磁性超微粒子に酸化物被覆金属、特にシリカ被覆金属鉄粉などを用いることにより、従来のマグネタイト磁性流体の問題点であった過熱性がなく放熱性があり、溶媒の蒸発も防止でき、防塵性を有し、耐酸化性が強く、磁性の低下が少なく、耐久性を有する。
【0032】
本発明は、上記のような磁性の強い磁性流体を用いることにより、強い制動力が得られる制動部材を提供するものである。
例えば、図1に示される装置において、外筒2に、磁性流体5と一端に軸を付けたより円周の小さい内筒3を入れ、外筒2の中を、内筒3が回転運動または垂直運動ができるようにする。
この場合、内筒3は磁場のない状態ではより小さい力で動かすことができる。
一方、外筒2に垂直あるいは平行に磁場を印加すると磁性流体5は、超微粒子がクラスターを形成し、粘性を増加するため、大きな力が必要である。
磁場を印加する際、印加する磁場の大きさおよび方向を変えることにより、内筒3の運動速度を変化することができる。その際に印加する磁場の大きさを徐々に変化させると、内筒3の運動は徐々に変化し、逆に急速に磁場をかけると内筒3は急速に止まる。
【0033】
上記の特性の応用例として、ダンパーがある。内筒3の一方の端に急速に力がかかった場合、これに対し徐々に磁場を強くかけていくことにより、適当な速さで力を吸収することできる。
このような運動する物体に対し、所望の反発力を発生し、制御するためには、作動流体中の磁性超微粒子は均一に分散している必要がある。そうでない場合 所望の作動力が得られない。
また、磁性については、大きな力に対抗するためには、磁場が印加された際に、より大きな力が発生されるよう、より強い磁場が要求される。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、勿論本発明の範囲は、この実施例のみに限定されるものではない。
〔実施例1〕
下記工程により磁性流体を作成した。
(磁性金属粒子原料酸化物粒子)
0.125mol/リットルの塩化第1鉄試薬と0.25mol/リットルの塩化第2鉄試薬を溶解した溶液150mlを準備し、これに、1mol/リットルのNaOH溶液をpHが12になるまで添加し、鉄分を沈殿させた後蒸留水を用いて傾斜洗浄を繰り返し、マグネタイト超微粒子20gを得た。得られたマグネタイトの平均粒径は7.5nmであった。
【0035】
(酸化物膜の被覆)
得られたマグネタイト20gを含む水溶液1リットルに、Na2 O・3SiO3 含有量が37.7%の濃度の水ガラスを6.8gを加えて、十分攪拌分散後、1Nの塩酸でpH8にし、温度を70℃に保持したウォーターバス中に入れ、2時間反応させた。
反応終了後、固形分を濾過し、蒸留水5リットルで洗浄し、電解質を除去した。
【0036】
(酸化物被覆金属超微粒子製造)
固形分を乾燥後、アルミナボートに入れ、回転式チューブ炉に入れ、10分間、窒素ガス500ml/min.で窒素ガス置換後、水素ガスを500ml/min.で流しながら650℃まで3時間で昇温し5時間保持した後、窒素ガス500ml/min.に変えて、放冷した。
得られたシリカ被覆金属鉄超微粒子は鉄に対するSiO2 の被覆量は3.5wt%であった。また得られたシリカ被覆金属鉄超微粒子の平均粒径は9.5nmであった。
また、磁場10kOeでの磁化は、125.5emu/gであった。
さらに、大気中では150℃まで酸化は認められなかった。
【0037】
(磁性流体化)
得られたシリカ被覆金属鉄超微粒子10gを10%オレイン酸水溶液100ml中に入れ、1時間攪拌し、オレイン酸を吸着した。その後過剩のオレイン酸を除去するために、沈殿物を濾過後、1リットルの水で8回洗浄を行った。濾過後粉末を60℃で8時間乾燥した。
乾燥した粉末を、ドデシルベンゼンスルホン酸3.2gとテトラメチルアンモニウム0.5gを含むエチレングリコール2.9gを加えホモジナイザーで1100rpm.で2時間攪拌後、シリカ被覆金属鉄超微粒子濃度が70%の磁性流体を得た。
得られた磁性流体の粘性は220cP、密度1.8Kg/m3 であり、非常に分散が良かった。また、磁場10kOeでの磁化は72.6emu/gで、20週間静置したが、磁性変化はなかった。
【0038】
得られた磁性流体を用いて、前記測定装置による実験を行い、磁性流体の粘度特性を測定した。
図1において、測定装置1は、外筒2及び内筒3からなる同心二重円筒と、該同心二重円筒を挟んで対向する一対の磁極4a,4bを有する磁石4とから構成される。従って、磁界は磁極4a,4b方向においては同方向に発生し、一方該磁極4a,4bの垂直方向では直交して発生する。
なお、外筒2の径は30mm,内筒3の径は27mm、回転数は0〜360r.p.m.とした。
【0039】
前記測定装置1の外筒2と内筒3との間に磁性レオロジー流体5を充填し、更に内筒3を回転し、該回転と同時に磁界を作用させた時の剪断応力と剪断速度との関係を求めた。
一定強度(但し、外筒表面において185kA/m、内筒中心部では110kA/m)の磁界を作用させて、測定を行った。また、磁界を作用させない場合の測定も行った。測定結果を図2に示す。
【0040】
〔比較例1〕
上記実施例1の磁性流体の代わりに、特開昭54−40069号公報に示される方法で調製した70%のマグネタイト濃度の磁性流体を用いた以外は、実施例1と同様にして剪断応力と剪断速度との関係を求めた。測定結果を図2に示す。
【0041】
図示されるように、磁界の作用により剪断応力が上昇しており、例えば、無磁界(図中●印)の場合より、磁界を作用させた場合(図中○印)は大きな剪断応力を示しており、磁界の作用による凝集効果が現れていることがわかる。
また、比較例の磁性流体は剪断応力にも大幅な増加がみられない。
上記の結果から、明らかなように、本発明に係わる実施例の磁性流体は、比較例の磁性流体比較して、磁界の作用によりクラスターの形成から崩壊までの時間が促進されて、応答性が向上していることがわかる。また、長期耐久性が認められ、満足すべき結果を得た。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る磁性流体を用いた制動部材は、外部磁場の作用により、強力にかつ精度良く作動し、耐酸化性、さらに分散安定性のよい優れた高性能流体を使用することにより、従来のマグネタイト磁性流体以上の磁性を有するため、従来の磁性流体に比べ、外部磁場に強く応答し、また磁力線方向に配向してクラスターを形成する。
従って、磁力線が同一方向となるように磁界を作用させることにより、前記クラスターの凝集力が増強され、より大きな剪断応力が得られる。しかも、磁界作用に応答するため、制御に関する自由度が増加するとともに、より細かな粘度制御を行うことも可能である。このことは、本発明に係る磁性流体をダンパーやアクチュエータ等の作動流体に使用した際に、特に有益となり、コンパクトにでき、また従来磁性流体では応用できなかった分野にも利用できる。
【0043】
更に、磁性流体中に分散される粒子も平均粒径4〜20nm程度で、しかもその表面に酸化防止膜が形成された超微粒子であるため、分散性が大幅に改善されて優れた磁気的凝集効果が得られるとともに、経時安定性にも優れるため、コスト面でも優位となる。
このように、本発明に係る磁性流体を用いた制動部材は、極めて高い実用性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において使用した粘度測定装置を示す概略斜視図である。
【図2】実施例1および比較例1における剪断応力と剪断速度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 粘度測定装置
2 外筒
3 内筒
4 磁石
5 磁性レオロジー流体

Claims (5)

  1. 作動流体として磁性流体を用い、該磁性流体に印加する磁場を制御して該磁性流体の状態を変化させることにより、該磁性流体に接する物体および該物体に発生する動作を制御する制動部材において、
    該磁性流体は、0.01〜2nmの膜厚のシリカ膜で被覆された5〜20nmの平均粒径の金属鉄粒子が、溶媒中に安定に分散され、その分散状態が維持され、シリカ膜のSiO と金属鉄粒子のFeの重量割合(SiO /Fe)が0.1〜10wt%であることを特徴とする制動部材。
  2. シリカ膜で被覆された金属鉄粒子の飽和磁化が、70〜200emu/gであることを特徴とする請求項1記載の制動部材。
  3. シリカ膜で被覆された金属鉄粒子が、酸化鉄粒子の表面にシリカ膜を形成し、このシリカ膜を形成した酸化鉄粒子を還元して得られたものであることを特徴とする請求項1記載の制動部材。
  4. 酸化鉄粒子の粒径が4〜20nmであることを特徴とする請求項記載の制動部材。
  5. シリカ膜を形成した酸化鉄粒子の還元が、水素ガス雰囲気下300〜800℃の焼成により行われることを特徴とする請求項記載の制動部材。
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