JP3700995B2 - 二軸延伸ポリプロピレンフィルムおよび成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱成形用途に好適な二軸延伸ポリプロピレンフィルムおよびこれを用いた成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、弁当容器、フードパック等の食品包装容器や一般包装容器等は、ポリオレフィンシート、特にポリプロピレンシートを用いて、真空成形、圧空成形等の熱成形法により製造されている。そして近年、環境問題が重要視されるにつれて、これら材料による包装容器の使用は、増加傾向にある。
【0003】
この熱成形法は、シートやフィルムを加熱した後、機械力、真空、圧空等の外力により、該シートやフィルムを金型に密着させて成形する方法が一般的である。その際、金型で成形する前の加熱時に、シート等の中央部分が垂れ下がる現象(以下、ドローダウンと記す)が発生する。さらに加熱を続けると、シート等の中央部分が熱収縮により成形前の位置に戻る力が働き、そして成形は、垂れが成形前の位置に最も戻った時点で行われる。一般にドローダウンが大きいものほど、成形前の位置に戻りにくく、したがって、このドローダウンの程度が、成形精度に大きく関わってくる。
【0004】
そこで上記問題点を解決する目的で、例えば、特開平3−288641号公報には、結晶状態がスメクチック構造のポリプロピレンシートに、二軸延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートすることにより、ドローダウン性が改良された積層シートが開示されている。
【0005】
また、特開平7−173302号公報には、ポリプロピレンを溶融押出後、冷却し、結晶融点以下で結晶配向係数が0.1〜0.6となるように圧延することにより、剛性が改良されたポリプロピレンシートが開示されており、特開平7−76641号公報には、高結晶性ポリプロピレンとテルペンおよび/または石油樹脂よりなる、水蒸気バリヤー性および透明性が改良された二軸延伸ポリプロピレンフィルムが開示されている。
【0006】
一方、成形された成形体は、一般的に集積されて搬送されること、および、環境問題の観点から近年薄肉化されることが望まれている。
【0007】
しかしながら、特開平3−288641号公報に示されている積層シートでは、熱成形時に起こるドローダウンは防止できるものの、シート全体を薄肉化するほどの剛性改良においては、改良の余地があった。また、特開平7−173302号公報に示されているシートも、やはりシートの薄肉化においては改良の余地があった。
【0008】
また、特開平7−76641号公報に示されているフィルムは、高結晶ポリプロピレンを使用しているため、剛性改良効果は有するものの、成形精度においては、改良の余地があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、熱成形用途に使用されるフィルムにおいて、ドローダウンが小さく、成形精度が良好で、かつ、薄肉化が可能な剛性を有するフィルムが望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、特定の性質を有するポリプロピレンを特定の配向状態の延伸フィルムとすることで上記課題が解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、13C−NMRによるmmmmペンタッド分率が0.85〜0.95であるポリプロピレンよりなり、フィルムの流れ方向に対して直角となる方向(以下、TD方向と記す)におけるC軸配向係数が0.40〜0.60、面配向指数が0.60〜0.80であることを特徴とする二軸延伸ポリプロピレンフィルムおよび該フィルムを熱成形することを特徴とする成形体の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において使用されるポリプロピレンは、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のモノマーに由来する単量体単位との共重合体等を使用することができる。上記ポリプロピレンにおけるプロピレン以外のモノマーに由来する単量体単位の含有量としては、剛性を勘案すると、3モル%以下であることが好ましく、2モル%以下であることがより好ましい。プロピレン以外のモノマーとしては、炭素数が2〜12のα−オレフィンが好ましく、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等の炭素数が2〜8のα−オレフィンがより好ましい。
【0013】
本発明において使用されるポリプロピレンは、13C−NMRによるmmmmペンタッド分率が、0.85〜0.95であることが必要であり、0.86〜0.94であることがより好ましい。mmmmペンタッド分率が0.95より大きい場合は、熱成形性が低下するだけでなく、本発明で規定する特定のC軸配向係数と面配向係数を有する二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造することが困難となるため好ましくない。一方、mmmmペンタッド分率が0.85より小さい場合は、熱成形後の成形体の剛性が低下するため好ましくない。また、本発明において使用されるポリプロピレンの沸騰n−ヘプタン不溶分は、製膜性等を勘案すると、97.5重量%以上が好ましく、さらに98.0重量%以上が好適である。
【0014】
また、本発明において使用されるポリプロピレンのメルトフローレートは、製膜性を勘案すれば0.5〜20g/10分の範囲であることが好適である。
【0015】
本発明において使用されるポリプロピレンの製造方法は、特に限定されないが、代表的な製造方法として、特開平7−309913号公報に記載の製造方法を挙げることができる。
【0016】
即ち、
[A]チタン化合物
[B]有機アルミニウム化合物
[C]一般式 R1R2Si(OR3)2
(但し、R1、R2およびR3は、それぞれ同種または異種の炭素数1〜20の炭化水素基であり、R1およびR2のうち少なくとも一方はケイ素原子に直結する原子が、三級炭素である鎖状炭化水素基であるか、又は、二級炭素である環状炭化水素基である。)
で示される有機ケイ素化合物
[D]少なくとも1つのハロゲン原子を有するルイス酸化合物
の存在下に、まず、α−オレフィンまたはビニルシクロアルカンをチタン化合物1g当り0.1〜100g予備重合を施し、次いで、得られたチタン含有ポリオレフィン及び〔B〕有機アルミニウム化合物の存在下で、プロピレンの単独重合またはプロピレンとα−オレフィンとの共重合をおこなう方法である。
【0017】
上記製造方法により得られるポリプロピレンは、触媒残が少なく且つアタクチック成分が少なくなり、加工性等に優れるため、本発明において好適に使用することができる。
【0018】
また、上記ポリプロピレン中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の樹脂を混合することができる。混合する樹脂としては、特に制限されないが、一般的には、エチレン、1−ブテン等α−オレフィンの単独重合体およびこれらα−オレフィン同士の共重合体、またこれらの重合体の2種以上の混合物を用いることができる。
【0019】
さらに、上記ポリプロピレン中には、必要に応じて帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、結晶核剤、滑剤、滑り性付与およびアンチブロッキング性付与を目的とした界面活性剤、フィラー、発泡剤等の公知の添加剤を配合させて用いても良い。
【0020】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みは、剛性、延伸加工性および熱成形性を勘案すると、50〜250μmであることが好ましく、70〜200μmであることがより好ましく、100〜200μmであることがさらに好ましい。厚みが50μmより薄い場合は、剛性が不足するため好ましくなく、250μmより厚い場合は、熱成形性が低下するだけでなく、均一で厚み精度の良好な延伸フィルムを製造することが困難となるため好ましくない。
【0021】
また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚み精度は、成形体の強度バランスや熱成形性、特に成形精度を勘案すると、±20%以内であることが好ましく、±15%以内であることがより好ましく、±10%以内であることがさらに好ましい。
【0022】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、以下の性質を有していることが必要である。
【0023】
すなわち、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムのTD方向におけるC軸配向係数は、0.40〜0.60であることが必要であり、0.43〜0.55であることがより好ましい。TD方向におけるC軸配向係数が、0.60より大きい場合は、TD方向における結晶配向が増加するために熱成形性が低下するので好ましくない。一方、TD方向におけるC軸配向係数が、0.40より小さい場合は、ドローダウンが大きくなったり、TD方向の剛性が低下したりするだけでなく、均一で厚み精度の良好な延伸フィルムを得ることが困難となり成形精度が低下するため好ましくない。
【0024】
なお、本発明におけるC軸配向係数とは、X線回折法によって求められるポリプロピレン結晶C軸(分子鎖軸)の、TD方向への軸配向の程度を定量的に表す値である。詳しくは、ポリプロピレン結晶の(110)および(040)面の配向分布曲線(結晶面密度分布曲線)から、Z.W.Wilchinsky[“Advances in X−Ray Analysis” Vol.6 Plenum Press, New York(1963),p.231]記載の方法により、C軸配向係数が求められる。
【0025】
一方、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの面配向指数は、0.60〜0.80であることが必要であり、0.65〜0.77であることがより好ましい。面配向指数が0.80より大きい場合は、熱成形性が低下し、0.60より小さい場合はドローダウンが大きくなったり、フィルム全体の剛性が低下したりするだけでなく、均一で厚み精度の良好な延伸フィルムを得ることも困難となり成形精度が低下するため好ましくない。
【0026】
なお、本発明における面配向指数とは、X線回折法によって求められるポリプロピレン結晶010面のフィルム面に平行な面への面配向の程度を表す指標である。詳しくは、ポリプロピレンフィルムをフィルム面に垂直な軸を中心に高速で回転させながら、フィルム面に垂直な方向よりX線を入射させて回折強度を測定し、得られたX線回折強度曲線を非晶質ピークと各結晶質ピークにピーク分離を行い、ポリプロピレン結晶(α晶)からの111反射(2θ=21.4°)と040反射(2θ=17.1°)のピーク強度の比より下記式(1)で求められる。 面配向指数P010=log{1.508×I(111)/I(040)}(1)
ただし、I(111):111反射のピーク強度(counts)
I(040):040反射のピーク強度(counts)
ここで(1)式の係数1.508は、Z.Mencik(Z.Mencik,Journal of Macromoleculer Science,Physics B6,101(1972))より、ポリプロピレン結晶が完全にランダムに配向している場合のI(040)とI(111)の強度比I(040)/I(111)=116.9/77.5=1.508(I(111)/I(040)の値の逆数)である。例えば測定した試料のポリプロピレン結晶010面が、フィルム面に完全にランダムに配向しているならば、〔P010〕の値は0となり、ポリプロピレン結晶010面が、フィルム面に対して平行配向するほどに〔P010〕の値は大きくなり、逆に該010面がフィルム面に対して垂直に配向すれば〔P010〕は、負の値となる。
【0027】
また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの引張弾性率は、熱成形性、成形体にした時の剛性、内容物の保護性等を勘案すると、120〜350kgf/mm2であることが好ましく、140〜300kgf/mm2であることがさらに好ましい。
【0028】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造方法としては、本発明で規定する物性を満足するような方法を採用すればよく、代表的な方法を例示すれば、前記したポリプロピレンを溶融押出した後、二軸延伸する方法が挙げられる。
【0029】
上記二軸延伸する方法としては、MD方向およびTD方向の延伸自由度および厚み精度等を勘案すると、テンター法逐次二軸延伸方法が好適である。
【0030】
また、上記延伸方法の延伸条件としては、延伸倍率がフィルムの流れ方向(以下MD方向と記す)およびTD方向ともに、2〜7倍であることが好ましく、3〜6倍であることがより好ましく、かつ面積延伸倍率が、6〜30倍であることが好ましく、9〜28倍であることがより好ましく、10〜26倍であることがさらに好ましい。
【0031】
上記のように、前記した特定のポリプロピレンと、特定のMD方向及びTD方向の延伸倍率と面積延伸倍率とを組み合わせて二軸延伸することにより、本発明で規定する二軸延伸ポリプロピレンフィルムのC軸配向係数および面配向指数を容易に達成することができる。
【0032】
また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、他のフィルムを積層させた、2層以上の積層フィルムとすることもできる。他のフィルムを積層することで、接着性、ヒートシール性、ガスバリヤー性等の物性を付与することができる。この場合、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに積層する他のフィルムの厚みは積層フィルムの30%以下にすることが、本発明の効果を損なわないので好ましい。この際、積層する樹脂はポリオレフィンに限定されず、積層フィルムに付与する物性に応じて公知の樹脂を採用することができる。例えば、ガスバリヤー性能を付与するために、共押出法等によりフィルムの片面にエチレン−ビニルアルコール共重合体、例えば、株式会社クラレ製の商品名「エバール」を接着性樹脂等を介在させて積層することもできる。
【0033】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた成形体の成形方法は、特に制限されないが、熱成形法が最も好適に使用される。一般的には、真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の、加熱後金型等の型枠内にて賦形した後冷却される熱成形法が好適に採用され、これらに加えて、ブリスターパック等のブリスター加工、プレススルーパック等のドラム成形等も挙げることができる。熱成形法における加熱方法は、遠赤外線ヒーター等の間接加熱方法、熱板加熱等の接触加熱方法等の公知の方法が特に制限なく採用される。これら熱成形法の中で、真空圧空成形が特に好ましい。これらの成形方法による、容器、製品の形状としては、特に制限されないが、トレー、カップ、ケース、フードパック、フタ材、ブリスターパック、プレススルーパック、ポーションパック、スキンパック等を具体的に挙げることができる。
【0034】
熱成形法以外の成形方法としては、具体的に例示すると、カット、折り曲げ加工等をあげることができる。これらの成形方法による、容器、製品の形状としては、特に制限されないが、クリヤーケース等の折り曲げ加工容器、ファイル、バインダー、スタンディングパウチやレトルトパウチ等の基材、OHPシート等の基材、粘着テープ等のテープ基材、粘着ラベル等のラベル基材、熱シール加工される包装袋基材等を挙げることができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、ドローダウンが小さく、成形性が良好で、かつ、薄肉化が可能な剛性を有するフィルムである。また透明性、表面光沢に優れたフィルムともなるため、得られる成形体も透明性、表面光沢に優れたものとなる。さらに低温衝撃性にも優れたフィルムともなる。したがって本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、熱成形用途に好適に使用され、また食品包装分野および一般包装分野においても好適に使用することができる。
【0036】
【実施例】
以下に、本発明を具体的に説明するために実施例および比較例を掲げるが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、フィルム原料として使用したポリプロピレンは、表1に示すものである。
【0037】
【表1】
【0038】
また、以下の実施例及び比較例において用いた測定方法は次の方法により実施した。
【0039】
(1)ペンタッド分率(mmmm値)および共重合組成
日本電子社製のJNM−GSX−270(13C−核共鳴周波数67.8MHz)を用い、次の条件で測定した。
【0040】
測定モード: 1H−完全デカップリング
パルス幅 : 7.0マイクロ秒(C45度)
パルス繰り返し時間: 3秒
積算回数 : 10000回
溶媒 : オルトジクロルベンゼン/重ベンゼンの混合溶媒(90/10容量%)
試料濃度 : 120mg/2.5ml溶媒
測定温度 : 120℃
この場合、mmmmペンタッド分率は、13C−NMRスペクトルのメチル基領域における分裂ピークの測定により求めた。また、メチル基領域のピークの帰属は、A.Zambelli et al[Macromolecules 13,267(1980)]に従って行った。
【0041】
(2)C軸配向係数
日本電子社製のX線回折装置JDX−3500に、繊維試料装置を装着し、次の条件にて測定した。
【0042】
ターゲット :銅(Cu−Kα線)
管電圧−管電流 :40kV−400mA
X線入射法 :垂直ビーム透過法
単色化 :グラファイトモノクロメーター
コリメータ :1mmφピンホール
受光スリット :2mmφピンホール
検出機 :シンチレーションカウンター
1)2θ走査(ブラッグ角)の測定
測定角度範囲(2θ):8〜32°
ステップ角度 :0.1°
計数時間 :2.0秒
2)面内回転(β回転)測定
測定角範囲(β) :−20〜110゜
ステップ角度 :0.5゜
計数時間 :2.0秒
フィルムサンプルのTD方向を、広角ゴニオメーターを取り付けた、繊維試料装置の子午線方向と平行になるように装着し、まず、フィルム面に垂直にX線を入射させて垂直透過法にて2θ走査を行い、ポリプロピレン結晶の(110)および(040)面のブラッグ角2θを決定した。次に、(110)面のブラッグ角にカウンターを固定して、試料を面内回転(β回転)させ、(110)面に関して強度分布測定を行った。同様にして(040)面の強度分布測定を行った。
【0043】
2θ走査で測定したX線回折強度曲線の(110)および(040)反射の位置の空気散乱等によるバックグラウンド強度を求め、それぞれ(110)および(040)面の配向分布曲線(結晶面密度分布曲線)を求めた。これらの配向分布曲線から、Z.W.Wilchinsky[“Advances in X−Ray Analysis” Vol.6 Plenum Press, New York(1963),p.231]記載の方法により、C軸配向係数を求めた。
【0044】
(3)面配向指数
日本電子社製のX線回折装置JDX−3500に、透過法回転試料装置を装着し、次の条件にて測定した。
【0045】
ターゲット :銅(Cu−Kα線)
管電圧−管電流 :40kV−400mA
X線入射法 :垂直ビーム透過法
単色化 :グラファイトモノクロメーター
発散スリット :0.2mm
受光スリット :0.4mm
検出機 :シンチレーションカウンター
測定角度範囲 :9.0°〜31.0°
ステップ角度 :0.04°
計数時間 :4.0秒
試料回転数 :120rpm
縦横20mm×20mmのフィルムサンプルを、厚さ約3mmとなるように数十枚重ね、広角ゴニオメーターに取り付けた透過法回転試料装置に装着して測定した。ピーク分離は回折角(2θ)9°〜31°の範囲で空気散乱等によるバックグラウンドを除いた後、ガウス関数とローレンツ関数を用いた一般的なピーク分離法によって非晶質ピークと各結晶質ピークに分離した。面配向指数は前述した方法で040反射と111反射のピーク強度より算出した。
【0046】
図1は、実施例2のポリプロピレンフィルムの、X線回折曲線のピーク分離結果であり、A−BがI(040)=350countsであり、C−DがI(111)=1318countsである。したがって、この場合の面配向指数P010はlog(1.508×1318/350)=0.75となる。
【0047】
(4)剛性(引張弾性率)
試料を10mm幅の短冊状に切断し、測定長を20mmとして引張試験機によって引張速度20mm/分、チャート速度2000mm/分で立上がり角度をチャート紙に記録した。基点より20mmの点で垂線を引き、接線との交点の強度を読み取り、下式により引張弾性率を算出した。
【0048】
引張弾性率(kg/mm2)=〔強度(kg)×試料長(mm)×チャート速度(mm/分)〕÷〔引張り速度(mm/分)×20mm×フィルム厚み(mm)×フィルム幅(mm)〕
(5)ドローダウン性
クランプ枠(500mm×500mm)にフィルムを挟んで、遠赤外線ヒーターを300℃に設定し、フィルムを上下から加熱した。フィルム中央部の加熱前の位置から、垂れ下がり最下点までの長さを測定した。
【0049】
(6)成形性(熱成形性)
トレー(縦200mm、横250mm、高さ20mm)を真空圧空成形した際の容器の間仕切り部分(幅4mm、高さ15mm)の高さ15mmを100%とし、各条件の成形品の間仕切り部分の高さから、表2に従い成形性を評価した。
【0050】
【表2】
【0051】
(7)透明性(ヘイズ)
JIS K7105に準拠して測定した。
【0052】
(8)表面光沢
JIS K7105に準拠して測定した。
【0053】
(9)DSCによる主ピークの測定
約5〜6mgの試料を評量後、アルミパンに封入し、示差熱量計にて20ml/minの窒素気流中で室温から235℃まで昇温し、これらの温度で10分間保持し、次いで10℃/minで室温まで冷却する。この後、昇温速度10℃/minで得られる融解曲線により、主ピークの温度を測定した。
【0054】
実施例1〜3
表1に示すポリプロピレンを、Tダイ押出し機を用いて、280℃で加熱溶融下シート状に押出し、チルロール上で冷却固化した後、加熱ロール延伸機により延伸し、続いてテンター横延伸機で延伸した。延伸倍率を表3に示した。このフィルムを用いて真空圧空成形を行った。得られたフィルムの厚み、ヘイズ、C軸配向係数、面配向指数、剛性、ドローダウン性、真空圧空成形における成形性、成形品中央部の表面光沢を測定し、結果を表3に示した。
【0055】
比較例1〜3
表1に示すポリプロピレンを用いること、延伸倍率を表3に示したように変えること以外は実施例1と全く同様に製膜および成形評価を行った。結果を表3に示した。
【0056】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例2のポリプロピレンフィルムの、X線回折曲線のピークを示すチャート
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