JP3690250B2 - センサレスモータの駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラシレスDCモータやステップモータ等のセンサレスモータの駆動装置に関し、特に、センサレスモータの駆動対象に設けられた位置検出器を利用してセンサレスモータの転流制御を行うようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
ブラシレスDCモータやHB型ステップモータ等のように回転子に永久磁石を用いたモータの回転子位置を検出する技術として、従来から、固定子巻線の開放相(無通電相)に発生する逆起電圧を利用したものがある。
【0003】
すなわち、励磁コイルから得られる逆起電圧を検出し、この検出した逆起電圧が中性点電圧とクロスするゼロクロス点を求めて回転子位置を検出するものである。この場合の転流制御は、例えば前記ゼロクロス点から位相を30度シフトした点で転流動作を行うことにより実現している。
【0004】
このため、モータが停止しているときには、励磁コイルから逆起電圧は得られず、センサレス駆動を行うことができないため、モータ停止状態から回転駆動を行うモータ起動時には、いわゆる強制転流を行って回転子を強制駆動し、これにより励磁コイルから所定値以上の逆起電圧が得られるモータ速度になってから、センサレス駆動に移行するようにしている。
【0005】
このようなモータのセンサレス制御に対し、モータにホール素子を設けこれによって回転子の位置を検出し、これに基づいてモータを駆動する方法等も知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、逆起電圧に基づいてセンサレス制御を行う場合には、上述のように低速では転流制御を行うことができないため、停止、起動を繰り返すような制御を行う場合には不向きである。また、ホール素子等を用いて制御する方法によれば、低速でも制御を行うことができるが、回転子磁極の磁極分割幅のばらつきや、ホール素子の設置位置のばらつき等が、そのまま転流タイミングの誤差として制御の精度に影響するため、逆起電圧が検出可能な速度範囲での動作では、逆起電圧に基づくセンサレス制御の方が前述のような誤差を含まないために安定するのが現状であり、低速であっても制御を行うことができ、且つより高精度にモータをセンサレス制御することの可能な駆動方法が望まれていた。
【0007】
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、低速であっても確実に転流制御を行うことが可能であり、且つより高精度にセンサレスモータの制御を行うことの可能な、センサレスモータの駆動装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るセンサレスモータの駆動装置は、回転子と固定子巻線とを備えたセンサレスモータの駆動装置であって、前記センサレスモータからの動力が伝達されて駆動される駆動対象物には、当該駆動対象物の移動に伴って位置検出用のパルス信号を出力する位置検出器が設けられ、前記パルス信号に基づいて前記駆動対象物の位置制御が行われるようになっているものにおいて、前記パルス信号を利用して前記センサレスモータの転流制御を行う転流制御手段と、前記転流制御における転流の基準点となる転流原点を設定する転流原点設定手段と、を備え、当該転流原点設定手段は、初回起動時に前記センサレスモータの励磁相を、互いに電気角180度またはその整数倍の電気角位置ではない、異なる二つの引き込み位置に順次切り換えて励磁し、二回励磁した後回転子が静止した時点で、前記転流原点を設定することを特徴としている。
また、請求項2に係るセンサレスモータの駆動装置は、前記転流制御手段は、前記パルス信号をカウントし、そのカウント値に基づいて前記センサレスモータの転流制御を行うことを特徴としている。
【0009】
この請求項1及び請求項2に係る発明では、センサレスモータの駆動対象物が移動すると、これに伴って、この駆動対象物に設けられた位置検出用の位置検出器からパルス信号が出力され、このパルス信号に基づいて転流制御が行われる。この転流制御における転流の基準点となる転流原点は転流原点設定手段によって設定され、転流原点設定手段では、初回起動時にセンサレスモータの固定子巻線を励磁したときの静止位置、即ち引き込み位置に基づいて転流原点を設定する。
【0010】
ここで、初回起動直前の回転子の停止位置によっては一回の励磁では回転子が回転しない場合があるが、励磁相を、互いに電気角180度またはその整数倍の電気角位置ではない、異なる二つの引き込み位置に順次切り換えて二回の励磁を行えば、回転子は確実に回転する。そして、回転子が引き込み位置に移動し、静止した時の位置において転流原点を設定すれば、転流原点は回転子の回転時に転流すべき位置と一致する。
【0011】
したがって、転流原点を基準点として転流制御を行い、例えば、転流原点を基準点としてパルス信号をカウントし、このカウント値が、例えば予め設定した一転流区間のパルス信号数の倍数となる毎に転流を行えば、回転子が転流すべき位置に到達する毎に転流が行われることになり、的確なタイミングで転流を行うことが可能となる。
【0012】
また、請求項3に係るセンサレスモータの駆動装置は、請求項2に記載のセンサレスモータの駆動装置において、前記転流原点設定手段は、前記転流原点を前記センサレスモータの回転方向毎に設定し、前記転流制御手段は、回転方向に応じて、各回転方向毎に設定した転流原点からのパルス信号数に基づいて転流制御を行うようになっていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項4に係るセンサレスモータの駆動装置は、請求項3記載のセンサレスモータの駆動装置において、前記転流原点設定手段は、前記センサレスモータの回転方向毎に設定した前記各転流原点の位置の差に相当するパルス信号数をオフセット値として検出し、前記転流制御手段は、一方の転流原点を基準としてパルス信号をカウントし、回転方向が替わる毎に前記パルス信号のカウント値を前記オフセット値に応じて補正するようになっていることを特徴としている。
【0014】
この請求項3及び4に係る発明では、転流原点をセンサレスモータの回転方向毎に設定している。ここで、例えばセンサレスモータの回転運動をプーリを介してベルトの直線運動に変換し、ベルトに設けられた駆動対象物を移動させるような場合には、回転方向によってベルトの伸び量が異なること等に起因して、駆動対象物の絶対位置に対する回転子の絶対位置が回転方向によって異なる場合がある。このようにずれが生じている状態で、一回転方向について設定した一つの転流原点を基準とするパルス信号カウント値に基づいて転流制御を行うと、回転方向によっては、真の回転子の転流タイミングと、パルス信号カウント値に基づく転流タイミングとがずれることになる。
【0015】
しかしながら、前記請求項3及び4に係る発明では、転流原点をセンサレスモータの回転方向毎に設定し、回転方向に応じて、各回転方向毎に設定した転流原点からのパルス信号数に基づいて転流制御を行うから、回転方向によって転流タイミングにずれが発生するのを回避することが可能となる。
【0016】
このとき、請求項4に係る発明のように、センサレスモータの回転方向毎に設定した各転流原点の位置の差に相当するパルス信号数をオフセット値として検出し、何れか一方の転流原点を基準としてパルス信号をカウントし、回転方向に応じた転流原点を基準とするカウント値となるように、回転方向が替わる毎にパルス信号のカウント値をオフセット値に応じて補正すれば、回転方向毎にカウント変数を用意する必要がなくなる。
【0017】
また、請求項5に係るセンサレスモータの駆動装置は、請求項1乃至4の何れかに記載のセンサレスモータの駆動装置において、前記センサレスモータの開放相に発生する逆起電力を検出する逆起電力検出手段と、当該逆起電力検出手段で検出した逆起電力に基づいて転流タイミングを生成する転流タイミング生成手段と、を備え、前記転流原点設定手段は、前記転流タイミング生成手段で生成した転流タイミングの時点で、前記転流原点を更新設定するようになっていることを特徴としている。
【0018】
また、請求項6に係るセンサレスモータの駆動装置は、請求項5に記載のセンサレスモータの駆動装置において、前記転流タイミング検出手段は、前記センサレスモータの何れか一つの相の逆起電力に基づいて転流タイミングを生成するようになっていることを特徴としている。
【0019】
この請求項5及び6に係る発明では、逆起電力検出手段によってセンサレスモータの開放相つまり無通電相に発生する逆起電力が検出される。検出された逆起電力に基づいて回転子の位置を検出して転流タイミングが生成され、生成された転流タイミングの時点で転流原点が更新設定される。
【0020】
ここで逆起電力に基づいて検出される回転子の位置は、請求項1乃至4で述べた、励磁によって回転子を静止位置に引き込んで決める回転子の位置より、高い精度が得られる。つまり、励磁によって回転子を静止位置に引き込んだ場合には、摩擦負荷等の外力とモータの発生するトルクとの釣り合いにより、回転子が電気的な安定静止点から少しずれた位置で静止するのに対し、逆起電力に基づいて検出される回転子の位置は摩擦負荷等によるずれの要因を含まないからである。
【0021】
したがって、逆起電力に基づき転流タイミングを生成できる状態となった時点で、より高精度に回転子の位置を検出可能な逆起電力に基づいて回転子の位置を検出し、転流タイミングを生成して転流原点を更新設定する。以後、この転流原点を基準としてパルス信号をカウントし、これに基づき転流が行われるから、より高精度に転流制御を行うことが可能となる。
【0022】
このとき、従来の逆起電力を用いたセンサレス制御の場合には、全ての相の逆起電力を順次検出し、その都度転流タイミングを生成する必要があったが、請求項6に係る発明のように、転流タイミング生成手段では、センサレスモータの全ての相ではなく、何れか一つの相の逆起電力に基づいて転流タイミングを生成するから、逆起電力を検出する回路の数を減らすことが出来ると共に、転流タイミングの生成に要する処理も軽減することが可能となる。
【0023】
また、請求項7に係るセンサレスモータの駆動装置は、請求項5又は6に記載のセンサレスモータの駆動装置において、前記転流タイミング生成手段は、前記センサレスモータの回転方向毎に前記転流タイミングを生成し、前記転流原点設定手段は、前記回転方向毎の転流タイミングに基づき回転方向毎に前記転流原点を各々更新設定するようになっていることを特徴としている。
【0024】
また、請求項8に係るセンサレスモータの駆動装置は、請求項7記載のセンサレスモータの駆動装置において、前記転流原点設定手段は、前記転流タイミング生成手段で回転方向毎に生成した転流タイミングに基づいて更新設定した各転流原点の位置の差に相当するパルス信号数をオフセット値として検出し、さらに前記オフセット値を記憶する記憶手段を有し、前記転流制御手段は、前記パルス信号をカウントし、そのカウント値に基づいて前記センサレスモータの転流制御を行い、且つ、前記更新設定した一方の転流原点を基準としてパルス信号をカウントし、回転方向が替わる毎に前記パルス信号のカウント値を前記記憶手段に記憶した前記オフセット値に応じて補正するようになっていることを特徴としている。
【0025】
この請求項7乃至8に係る発明では、転流原点設定手段では、回転方向毎に転流タイミング生成手段で生成した転流タイミングに基づき、回転方向毎に転流原点を更新設定する。ここで、例えばセンサレスモータの回転運動を、プーリを介してベルトの直線運動に変換し、ベルトに設けられた駆動対象物を移動させるような場合には、回転方向によってベルトの伸び量が異なること等に起因して、駆動対象物の絶対位置に対する回転子の絶対位置が回転方向によって異なる場合がある。このようにずれが生じている状態で、一回転方向について設定した一つの転流原点を基準とするパルス信号カウント値に基づいて転流制御を行うと、回転方向によっては、真の回転子の転流タイミングと、パルス信号カウント値に基づく転流タイミングとがずれることになる。
【0026】
しかしながら、前記請求項7乃至8に係る発明では、センサレスモータの回転方向毎に逆起電力に基づいて転流タイミングを生成し、これに基づき回転方向毎に各々転流原点を更新設定するようにしたから、回転方向によって転流タイミングにずれが発生するのを回避することが可能となる。
【0027】
このとき、請求項8に係る発明のように、センサレスモータの回転方向毎に更新設定した各転流原点の位置の差に相当するパルス信号数をオフセット値として検出し、さらに前記オフセット値を記憶手段に記憶しておいて、更新設定後の何れか一方の転流原点を基準としてパルス信号をカウントすると共に、回転方向が替わる毎にパルス信号のカウント値を前記記憶しておいたオフセット値に応じて補正し、回転方向に応じた転流原点を基準とするカウント値となるようにすれば、回転方向毎に別のカウント変数を用意する必要がない。
【0028】
また、請求項9に係るセンサレスモータの駆動装置は、請求項5乃至8の何れかに記載のセンサレスモータの駆動装置において、前記転流制御手段は、前記転流タイミング生成手段で生成した転流タイミングに基づく転流原点の更新を、前記センサレスモータの制御を開始したときに行うことを特徴としている。
【0029】
また、請求項10に係るセンサレスモータの駆動装置は、請求項5乃至9の何れかに記載のセンサレスモータの駆動装置において、前記転流制御手段は、前記転流タイミング生成手段で生成した転流タイミングに基づく転流原点の更新を、前記センサレスモータの制御開始時点から所定時間経過後に行うことを特徴としている。
【0030】
また、請求項11に係るセンサレスモータの駆動装置は、請求項5乃至10の何れかに記載のセンサレスモータの駆動装置において、前記転流制御手段は、前記転流タイミング生成手段で生成した転流タイミングに基づく転流原点の更新を、前記センサレスモータの制御開始時点から所定時間経過する毎に行うことを特徴としている。
【0031】
さらに、請求項12に係るセンサレスモータの駆動装置は、請求項5乃至11の何れかに記載のセンサレスモータの駆動装置において、前記転流制御手段は、転流タイミング生成手段で生成した転流タイミングに基づく転流原点の更新を、前記センサレスモータを起動する毎に行うことを特徴としている。
【0032】
この請求項9乃至12に係る発明では、転流タイミング生成手段で生成した転流タイミングに基づく転流原点の更新を、前記センサレスモータの制御を開始したときに行うから、センサレスモータの制御が開始されてセンサレスモータが回転し、その逆起電力に基づき転流タイミングを生成することが可能となった時点で転流原点の更新設定を行うことによって、制御開始の初期段階より高精度な転流原点を設定することができる。
【0033】
また、転流原点の更新を、制御開始時点から所定時間経過後に行い、例えばセンサレスモータの駆動開始に伴う温度環境の変化が平衡状態となった時点で転流原点を更新設定することによって、温度環境が安定した状態での転流原点を設定することができる。また、センサレスモータの制御開始時点から所定時間経過する毎に転流原点を更新設定することにより、温度環境の変化に応じて転流原点を設定することができる。さらには、センサレスモータを起動する毎、つまりセンサレスモータが動き始める毎に行うことによって、現状に応じた転流原点を設定することが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を伴って説明する。
【0035】
まず、本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0036】
図1は、本発明を適用したブラシレスモータ1の駆動回路10を示す構成図である。
【0037】
センサレスモータとしてのブラシレスモータ1は、U相、V相、W相という三つの固定子巻線がスター結線された三相ブラシレスモータである。駆動回路10は、インバータ11を有し、そのインバータ11の各出力端子が、ブラシレスモータ1のU相〜W相の各端子に接続されている。インバータ11は、例えば電源側トランジスタ及び接地側トランジタを接続した組をU相〜W相に対応して三組備えた公知の構成を備えていて、インバータに含まれる合計六つのトランジスタのオン・オフが、転流制御回路12から供給される転流信号によって制御されることによって、ブラシレスモータ1の各相が順に励磁されて回転駆動されるようになっている。
【0038】
前記ブラシレスモータ1の回転軸には、例えばプーリを介してプリンタのキャリッジ移動機構が連結されている。例えば図2に示すように、二つのプーリ22a,22b間に渡したベルト23にキャリッジ21が取り付けられ、ブラシレスモータ1の回転力を一方のプーリ22bに伝達することによって、ベルト23が移動し、これによってキャリッジ21を移動させるようになっている。
【0039】
前記キャリッジ21には、キャリッジ位置を検出するためのリニアエンコーダ等の位置検出器15が設けられ、この位置検出器15からのパルス信号に基づいてブラシレスモータ1の転流制御を行うように構成されている。
【0040】
前記転流制御回路12は、例えばマイクロコンピュータ、後述の転流定数T等を記憶するための記憶装置(記憶手段)、等を含んで構成されている。また、前記転流制御回路12には前記位置検出器15から二種類の検出信号が入力されている。また、前記転流制御回路12は、カウント変数としての積算値Sを有しており、ブラシレスモータ1に対して初期励磁引き込みを行った際、回転子が移動し、静止した時の引き込み位置を、転流タイミングを生成する際の基準となる転流原点として、積算値Sを“0”に設定する。そして、前記位置検出器15からのパルス信号を受信する毎にブラシレスモータ1の回転方向を考慮して、積算値Sに予め設定した転流定数Tを加算或いは減算し、これに基づき転流タイミングを生成する。なお、前記転流定数Tは、一転流区間におけるパルス信号数である区間パルス数Mの逆数1/Mである。
【0041】
また、前記転流制御回路12は、インバータ11の各トランジスタのうち、オンさせるトランジスタの組み合わせを数値化して管理する転流モードという変数を有しており、前記転流モードの値に1対1に対応する転流信号を出力するように構成されている。前記転流信号は、インバータ11の図示しない各トランジスタのオン・オフを個別に制御する信号列で、生成した前記転流タイミングに同期して前記転流モードの値を適切に切り換え(以降転流モード切換と呼ぶ)ていくことによって、ブラシレスモータ1の固定子巻線U相〜W相の励磁切換が適切に行われ、ブラシレスモータ1の回転が実現される。さらに、前記転流制御回路12は、公知のブラシレスモータにおける駆動制御処理と同様にして、前記位置検出器15からのパルス信号から、キャリッジの速度或いは位置をリアルタイムで計測し、例えばPWM信号のような制御信号を前記転流信号に重畳して、キャリッジの速度制御、位置制御を実現するように構成されている。
【0042】
前記転流定数Tは、次のようにして設定する。つまり、転流定数Tを区間パルス数M回加算したときに一転流区間となるから、例えばブラシレスモータ1が一回転する間に位置検出器15から出力されるパルス信号数を計測し、計測した回転子一回転当たりのパルス信号数を、回転子一回転に必要な転流回数で除して一転流区間におけるパルス信号数を算出し、この逆数を転流定数Tとする。
【0043】
次に、上記第1の実施の形態の動作を、転流制御回路12での処理手順の一例を示すフローチャートに基づいて説明する。
【0044】
転流制御回路12では、例えばプリンタの電源スイッチがオンされるなどして、前記制御回路10が起動されると、図3に示すメインルーチンが起動され、まず、ステップS101で図4に示す転流原点設定処理を実行する。ここで、転流制御回路12は、転流原点設定手段としての初期引き込み処理を行い、転流原点を設定する。すなわち、まず、ステップS201でブラシレスモータ1の励磁する相を表す転流モードを、予め設定した値に初期化する。すると、公知の転流制御処理と同様にして、初期化した転流モードで指定された相を励磁するための転流信号が生成され、これをインバータ11を構成する各トランジスタに出力し、各トランジスタを制御して指定された相を励磁する。これにより、一回目の回転子引き込みが行われる。
【0045】
次に、ステップS202で回転子が静止したかどうかを判定し、静止していればステップS203に移行する。ステップS203では、上位装置から転流モード切換指示があったかどうかを判定し、転流モード切換指示がなければ、指示があるまで待機する。転流モード切換指示があればステップS204に移行して、公知の転流制御処理と同様にして転流モードを切り換える。これにより、二回目の回転子引き込みが行われる。その後、ステップS205で回転子が静止したかどうかを判定し、静止状態となったときにステップS206に移行して、この静止位置を転流原点として、積算値SをS=0に設定する。図4の転流原点設定処理が完了すると、図3のメインルーチンに戻り、ステップS102に移行する。
【0046】
ここで、転流原点設定処理を行なう場合の回転子の動きについて説明する。図6のブラシレスモータ1の回転子の位置変化に伴う励磁相とトルクとの対応を表す説明図に示すように、回転子が例えば電気角で180度の位置にある場合には、転流モードの初期値としてB相からC相に電流が流れるように制御した場合、回転子が図6において角度が増加する方向に回転して270度の位置に移動し、さらに転流モードを切り換えてB相からA相に電流が流れるように制御すると、回転子が同方向にさらに回転して330度の位置に移動する。
【0047】
ここで、一回目の励磁で回転子が動かない場合を考える。二通りの場合が考えられるが、まず一通り目の場合は、回転子の停止位置が、一回目の励磁による引き込み位置と電気角で180度ずれた位相関係であった場合である。この場合、励磁により回転子は右回転方向と左回転方向の両方向に同じ大きさの回転トルクを受けるため、回転力が釣り合ってしまって動けない状態になる。例えば図6において回転子が90度の位置で静止していた場合、転流モードの初期値としてB相からC相に電流が流れるように制御すると、引き込み位置は270度の位置になるので、電気角で180度ずれた位相関係となり、回転力が釣り合ってしまって動けない状態になる。この位置を「不安定静止点」と称するが、これは本来一回目の励磁によって引き込まれるべき「安定静止点」と異なる位置であるため、この位置を引き込み位置であるとして転流原点を設定すると、それ以降、誤った位置で転流を行うことになってしまい、正しい制御ができなくなる。しかし、励磁相を、互いに電気角180度またはその整数倍の電気角位置ではない、異なる二つの引き込み位置に順次切り換えて二回の励磁を行えば、一回目の励磁のときに引き込み位置から電気角で180度ずれた位相関係にあって回転子が静止したままであった場合でも、二回目の励磁を始めるときの回転子の位置は、二回目の励磁による引き込み位置とは必ず180度以外の位相関係となり、回転子は確実に回転する。例えば回転子が前記90度の位置で静止しており、一回目の励磁で動けなかった場合、二回目の励磁をB相からA相に電流が流れるように制御すると、引き込み位置は330度の位置になるので回転子は図6で角度が減少する方向に移動するトルクを受けて回転し、所定の位置に引き込まれることになる。なお、図6の横軸は電気角を示しているので、90度の位置は450度の位置と同じである。そして、回転子が引き込み位置に移動し、静止した時の位置において転流原点を設定すれば、転流原点は回転子の回転時に転流すべき位置と一致する。
【0048】
したがって、転流原点をカウント基準点としてパルス信号をカウントし、このカウント値が、例えば予め設定した一転流区間のパルス信号数の倍数となる毎に転流を行えば、回転子が転流すべき位置に到達する毎に転流が行われることになり、的確なタイミングで転流を行うことが可能となる。
【0049】
次に、一回目の励磁で回転子が動かない場合の二通り目の場合としては、図6においてB相からC相に電流が流れるように制御したときに、予め回転子が270度の近く、例えば260度の位置にあり、回転子に作用する引き込みトルクが、モータの回転軸に作用する摩擦トルク等よりも小さく、回転子が回転しない場合がある。しかしながら、一回目の励磁でB相からC相に電流が流れるように制御した場合に回転子が回転しなくても、二回目の励磁で転流モードを切り換えてB相からA相に電流が流れるように制御すると、回転子は図6で角度が増加する方向のトルクを受けて回転し、330度の位置に引き込まれる。
【0050】
つまり、一回の励磁を行っただけでは、回転子の停止位置によっては回転子が引き込みたい位置に移動しない場合があるが、互いに電気角180度またはその整数倍の電気角位置ではない、異なる二つの引き込み位置に順次切り換えて二回の励磁を行えば、二回目の励磁では必ず回転子は移動する。そして、回転子が引き込み位置に移動し、静止した時の位置において転流原点を設定し、積算値SをS=0にセットする。
【0051】
ここで、一回目の励磁と二回目の励磁とは、電気角で180度またはその整数倍以外の位相関係であれば良く、たとえば三相モータであれば60度、120度、240度、270度等のいずれでも良い。
【0052】
このようにして、精算値Sを初期値“0”に設定する、すなわち転流原点を設定すると、以後ブラシレスモータ1の転流制御が可能となる。ステップS102で上位装置からモータの起動指令が入力されると、ステップS103に移行して、図5に示す起動処理を実行する。図5の起動処理においては、まずステップS301において、上位装置から出される回転指示方向を判別し、正転方向への回転指示が出されていれば正転方向に励磁位相を切り換える等して正転時起動処理を実行し(ステップS302)、逆転方向への回転指示が出されていれば逆転方向に励磁位相を切り換える等して逆転時起動処理を実行する(ステップS302)。その後、図3のメインルーチンに戻り、ステップS104に移行する。ステップS103の起動処理によって、ブラシレスモータ1が回転し、その回転力がプーリ22bを介してキャリッジ21に伝達されキャリッジ21が移動すると、キャリッジ21に取り付けられた位置検出器15から位相の異なる二種類のパルス信号が出力される。
【0053】
ステップS104において、位置検出器15からのパルス信号のエッジが検出されると、ステップS105に移行し、図7に示す転流制御処理を実行する。図7の転流制御処理においては、まず二種類のパルス信号からブラシレスモータ1が正転しているか逆転しているかを判定する(ステップS401)。正転している場合には、ステップS401からステップS402に移行し、積算値Sに、予め設定し所定の記憶領域に格納している転流定数Tを加算する。次に、ステップS403に移行し、積算値Sが“1”以上かどうかを判定し、積算値Sが“1”以上でないときにはそのまま転流制御処理を終了する。
【0054】
また、ステップS403で積算値Sが“1”以上であるときには、ステップS404に移行し、転流タイミングであるとして正転方向に転流モードを切り換える。そして、ステップS405に移行して、積算値Sから“1”を減算した後、転流制御処理を終了する。
【0055】
一方、ステップS401でブラシレスモータ1が逆転していると判定された場合には、ステップ301からステップ306に移行し、積算値Sから転流定数Tを減算する。次に、ステップS407に移行し、積算値Sが“0”以下かどうかを判定し、積算値Sが“0”以下でないときにはそのまま転流制御処理を終了する。
【0056】
また、ステップS407で積算値Sが“0”以下であるときには、ステップS408に移行し、転流タイミングであるとして逆転方向に転流モードを切り換える。そして、ステップS409に移行して、積算値Sに“1”を加算した後、転流制御処理を終了する。
【0057】
以上のようにして図7の転流制御処理が終了すると、図3のメインルーチンに戻り、ステップS106に移行する。ステップS106では、プリンタの電源スイッチがオフされるなどして、上位装置からメインルーチンの終了指示が出されたかどうかを判別する。終了指示が出されれば、図3のメインルーチンを終了し、終了指示が出されていなければ、ステップS102に戻る。
【0058】
以後、ステップS102→S104→S105→S106の処理を繰り返し行い、エンコーダパルスエッジが検出される毎に、実際の回転方向に応じて積算値Sに転流定数Tを加算又は減算し、積算値Sの値が加算時には“1”以上、減算時には“0”以下になる毎に転流を行う。また、キャリッジ21が停止している間は、図3のメインルーチンでは、ステップS102→S104→S106の処理が繰り返し行われ、停止状態から例えばキャリッジ21を反転させるために、上位装置より再び起動指令が出されれば、ステップS102からステップS103に移行し、以後上述したのと同様に転流制御が行われる。
【0059】
このように、上記第1の実施の形態においては、転流の基準となる転流原点を設定する際に、互いに電気角180度またはその整数倍の電気角位置ではない、異なる二つの引き込み位置に順次切り換えて励磁することにしたので、引き込む前の回転子の位置に関係なく、確実に回転子を引き込み位置に移動させることができ、したがって、転流原点における積算値Sの値を高い位置精度で“0”に設定することが可能となる。
【0060】
さらに、パルス信号あたりのモータの回転量から転流定数Tを算出し、ブラシレスモータ1の回転に伴って、パルス信号のエッジが検出される毎にその回転方向に応じて積算値Sに対して転流定数Tを加減算する。このとき、積算値Sに対して加算している時には、積算値Sが“1”以上となる毎に転流を行うと同時に積算値Sから“1”を減算し、また積算値Sに対して減算している時には、積算値Sが“0”以下となる毎に転流を行うと同時に積算値Sに“1”を加算するようにしたから、ブラシレスモータ1の回転速度に関係なく、高精度な転流制御を行うことができると共に、積算値Sの桁数の増加を回避することができることから、演算に要する資源を節約することもできる。
【0061】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0062】
この第2の実施の形態は、図8に示すように、駆動回路10に、逆起電力検出手段としてのゼロクロス検出回路13が追加され、転流制御回路12での処理手順が異なること以外は、上記第1の実施の形態と同様であるので同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
【0063】
前記ゼロクロス検出回路13は、例えばコンパレータ等で構成され、インバータ11の何れか一つの相の逆起電力電圧を検出し、前記逆起電力電圧の中点電圧を検出した時点つまりゼロクロスで、前記ゼロクロス直前の逆起電力電圧の極性を判別し、その極性が正ならば“H”レベルの信号、逆に極性が負であるときには“L”レベルの信号を前記転流制御回路12に出力するよう構成される。
【0064】
前記転流制御回路12では、上記第1の実施の形態と同様にして積算値Sに基づいて転流モードの切り換えを行うと共に、ブラシレスモータ1が、前記逆起電圧のゼロクロスに基づいて転流タイミングの生成を行うことが可能な回転速度となったときには、ゼロクロスに基づき転流タイミングを生成し、転流原点の更新設定を行う。
【0065】
すなわち、この第2の実施の形態では、例えばプリンタの電源スイッチがオンされるなどして、前記制御回路10が起動されると、前記転流制御回路12は、上記第1の実施の形態と同様に、図3に示すメインルーチンを起動する。そしてまずステップS101で、第1の実施の形態と同様に図4に示した転流原点設定処理を実行し、積算値SをS=0に設定して転流原点を設定した後、ステップS102に移行する。そして上位装置からブラシレスモータ1の起動指令があると、ステップS103に移行し、第1の実施の形態と同様に図5に示した起動処理を実行する。これによって、ブラシレスモータ1が回転し、その回転力がプーリ22bを介してキャリッジ21に伝達されキャリッジ21が移動すると、キャリッジ21に取り付けられた位置検出器15から位相の異なる二種類のパルス信号が出力される。
【0066】
ステップS104において、位置検出器15からのパルス信号のエッジが検出されると、ステップS105に移行し、図9に示す転流制御処理を実行する。図9の転流制御処理においては、まず、ステップS501で転流原点リセットフラグFRSが“0”であるかどうかを判定し、FRS=0であるときには、ステップS502に移行する。なお、前記転流原点リセットフラグFRSは、転流原点の更新設定が完了していれば“1”、完了していなければ“0”の値をとり、初回起動時にはFRS=0に設定されている。
【0067】
ステップS502では、転流原点のリセットが可能であるかどうか、つまり、ブラシレスモータ1が、逆起電力電圧に基づき転流タイミングを生成することの可能な速度にあるかどうかを、例えば、単位時間当たりのパルス信号数等に基づいて判定し、転流原点リセットが可能でないとき、つまり、ブラシレスモータ1が低速で回転している状態では、ステップS502からステップS505に移行し、前記図6に示した転流制御処理を実行する。
【0068】
つまり、例えば正転しているときには図7のステップS401からステップS402に移行して、パルス信号のエッジを検出する毎に予め設定した転流定数Tを積算値Sに加算し、積算値Sが“1”以上になったときにステップS403からステップS404に移行して転流モードの切り換えを行い、ステップS405に移行して積算値Sから“1”を減算する。
そして、ブラシレスモータ1の回転速度が上がり、逆起電力電圧を検出可能な速度を越えると、ステップS502からステップS503に移行し、図10に示す、転流タイミング生成手段としての転流原点リセット処理を実行する。
【0069】
図10の転流原点リセット処理においては、まずステップS601で、ゼロクロス検出回路13で逆起電圧のゼロクロスを検出したかどうかを判定し、ゼロクロスを検出したときにステップS602に移行する。そして、カウンタCTとして、一転流区間の位置検出器15からのパルス信号数の1/2の値を設定する。例えば、予め転流定数Tを算出する際に検出した一転流区間におけるパルス信号数Pの1/2を四捨五入した整数値round(P/2) を設定する。
【0070】
次に、ステップS603に移行し、位置検出器15から出力されるパルス信号のエッジを検出すると、ステップS603からステップS604に移行し、カウンタCTを“1”だけデクリメントする。そして、カウンタCTの値が“0”となっていないときには、ステップS605からステップS603に戻り、次のパルスエッジが検出されるのを待ち、カウンタCTがCT=0になると、転流すべきタイミングになったとしてステップS606に移行する。すなわち、逆起電圧のゼロクロスが検出されてから、一転流区間の1/2の期間つまり電気角で30度分位相を遅らせた時点を以て転流タイミングとする。ステップS606では、実際に回転している方向が正転かどうかを判別し、正転していればステップS607に移行して正転方向に転流モードを切り換えて、ステップS609に移行する。また、逆転していればステップS606からステップS608に移行して逆転方向に転流モードを切り換えて、ステップS609に移行する。そしてステップS609で転流原点を更新設定したとして積算値Sの値を“0”にリセットし、転流原点の更新設定を完了する。その後、図10から図9に戻り、ステップS503からステップS504に移行し、転流原点リセットフラグFRSを“1”にセットする。
【0071】
以後、転流原点リセットフラグFRSがFRS=1に設定されているから、図3においてステップS104でパルスエッジが検出される毎に、図9のステップS501からステップS505に移行して、上記第1の実施の形態において説明した図7の転流制御処理を実行し、順次更新される積算値Sの値に基づいて転流モードの切り換えを行う。
【0072】
したがって、上記第2の実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同等の作用効果を得ることができる。さらに、上記第2の実施の形態においては、開放相に発生する逆起電圧のゼロクロスから、一転流区間の1/2の期間つまり電気角で30度分位相を遅らせた時点を以て転流タイミングを生成し、この瞬間に積算値Sをリセットすなわち転流原点を更新設定するようにしているから、初回起動時、ステップS101において設定した転流原点に比較的大きな誤差が生じたとしても、ステップS503における転流原点の更新設定後には、回転子の位置に対する転流原点の位置の誤差すなわち転流タイミングの精度を位置検出器15から出力されるパルス信号の1パルス間隔以内に収めることができる。よって、転流タイミングの精度をより向上させることができると共に、常に高い精度を保つことができる。従って、トルクリップルや定速回転での速度変動を低減させることができる。
【0073】
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
【0074】
この第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、転流制御回路12での処理手順が異なること以外は同様であるので、同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
【0075】
第3の実施の形態では、キャリッジ21が右方向に移動する際に基準とする転流原点と、左方向に移動する際に基準とする転流原点との二つを有している。上記二つの転流原点は、キャリッジ21が特定された転流原点設定位置にある時に設定される。ここでは、上記転流原点設定位置を、例えばベルト23の中央部付近とする。
プリンタの電源スイッチがオンされるなどして、前記制御回路10が起動されると、前記転流制御回路12は図11に示すメインルーチンを起動する。そして、まずステップS701で、キャリッジ21を上記転流原点設定位置に移動させるために使用する仮の転流原点を設定する。ステップS701では上記第1の実施の形態と同様に、図4に示す転流原点設定処理が実行される。次にステップS702に移行し、上記転流原点設定位置方向へブラシレスモータ1を起動する。ブラシレスモータ1が回転起動してキャリッジ21が移動し、ステップS703で位置検出器15から出力されるパルスエッジが検出されるとステップS704に移行し、図7に示した転流制御処理を実行する。そしてステップS705でキャリッジ21が転流原点設定位置に到達したかどうか判断し、到達していなければ、ステップS703に戻り、転流原点設定位置に到達するまでステップS703〜S705を繰り返し実行する。ステップS705でキャリッジ21が転流原点設定位置に到達したことが確認されると、ステップS706に移行する。この時、転流モードは直前に実行されたステップS704すなわち図7の転流制御処理終了時の転流モードの値がそのまま保持されるため、その保持された転流モードにおける引き込み位置にブラシレスモータ1の回転子が移動し、静止する。そしてステップS706では、図12に示す転流原点設定処理を実行する。
【0076】
図12の転流原点設定処理では、まず、ステップS801でブラシレスモータ1の回転子が引き込み位置で停止しているかどうかを確認する。ステップS801で引き込み位置に停止したことが確認されると、ステップS802で、正転方向(ここではキャリッジ21が右方向に移動)に強制的に1回転流モードを切り換えてステップS803に移行する。ステップS803では、ブラシレスモータ1の回転子が引き込み位置に停止したかどうかを判定する。停止していればステップS804に移行する。停止していなければ、回転子が引き込み位置に停止するまで、ステップS803の処理を繰り返し実行する。ステップS804で、この位置をキャリッジ21が右方向に移動するときの転流原点として積算値SR の値をSR =1に設定し、さらにキャリッジ21が左方向に移動する際の転流制御に用いられる積算値SL の値をSL =1に設定する。次にステップS805に移行し、後述する図13における積算値SR 、SL の値に基づいた転流モードの自動切換を禁止した後にステップS806に移行する。ステップS806では、今度は逆転方向(ここではキャリッジ21が左方向に移動)に強制的に1回転流モードを切り換えてステップS808に移行する。ステップS808では積算値SR 、SL のカウント処理としての図13に示すカウント処理を実行する。
【0077】
図13のカウント処理においては、まずステップS901で、二種類のパルス信号からブラシレスモータ1が正転しているか逆転しているか、すなわちキャリッジ21が右方向に移動しているか左方向に移動しているかを判定する。正転している場合には、上記積算値SR 、SL に予め設定した転流定数Tをそれぞれ加算する(ステップS902)。
【0078】
ここで、前記転流定数Tは、上記第1の実施の形態と同様に、一転流区間におけるパルス信号数である区間パルス数Mの逆数1/Mである。
【0079】
次にステップS903に移行し、 積算値SL の値が“1”以上であるかどうかを判定する。SL の値が“1”未満であれば、ステップS905に移行する。また、SL の値が“1”以上であれば、ステップS904に移行し、SLの値から“1”を減算した後、ステップS905に移行する。ステップS905では、今度は積算値SR の値が“1”以上であるかどうかを判定する。SRの値が“1”未満であれば、図13の転流カウント処理を終了し、 SR の値が“1”以上であれば、転流タイミングであるとしてステップS906に移行する。ステップS906では、転流タイミングにあたるため通常は正転方向に転流モードを切り換えるが、ここで説明している図13の転流カウント処理は、図12のステップS808で実行される処理になっており、ステップS805でSR 、SL の値に基づく転流モードの自動切換が禁止されているので、ステップS906での転流モード切換は行わずにステップS907に移行する。ステップS907では、SR の値から“1”を減算した後、図13の転流カウント処理を終了する。
【0080】
一方、ステップS901において逆転していると判定された場合には、ステップS908に移行し、積算値SR 、SL から転流定数Tをそれぞれ減算する。次にステップS909に移行し、 積算値SR の値が“0”以下であるかどうかを判定する。 SR の値が“0”より大きければ、ステップS911に移行し、一方、SR の値が“0”以下であれば、ステップS910に移行し、SR の値に“1”を加算した後、ステップS911に移行する。ステップS911では、今度は積算値SL の値が“0”以下であるかどうかを判定する。SLの値が“0”より大きければ、図13の転流カウント処理を終了し、 SL の値が“0”以下であれば、転流タイミングであるとしてステップS912に移行する。ステップS912では、転流タイミングにあたるため通常は逆転方向に転流モードを切り換えるが、ここでの図13の転流カウント処理は、上述したように、SR 、SL の値に基づく転流モードの自動切換が禁止されているので、ステップS912で転流モード切替は行わずにステップS913に移行する。ステップS913では、SL の値に“1”を加算した後、図13の転流カウント処理を終了する。
【0081】
図12のステップS808つまり図13の処理が終了すると、ステップS809に移行し、ブラシレスモータ1の回転子が引き込み位置に停止したかどうかを判定する。停止していなければ、ステップS807に移行し、以後回転子が引き込み位置に停止するまで、ステップS807〜S809の処理を繰り返し実行する。つまり、パルスエッジが検出される毎に、回転方向に応じて上記積算値SR、SL に転流定数Tを加算又は減算し、SR 、SL の値が“1”以上又は“0”以下となる毎にSR 、SL の値に“1”を減算または加算することにより、SR 、SL のカウント処理を行う。なおこの時、SR 、SL の値に依らず転流モードの切り換えは行わない。
【0082】
ステップS809で回転子が引き込み位置に停止したことが確認されると、この位置を、キャリッジ21が左方向に移動するときの転流原点として、積算値SL の値を更新設定する。ここで、上位装置から指示される転流原点設定処理完了後の回転方向によって、積算値SL には異なる値を設定する。ステップS810で前記回転方向が正転(ここではキャリッジ21が右方向に移動)と指示されている場合には、ステップS811に移行し、積算値SL をSL =0に設定する。一方、ステップS810で前記回転方向が逆転(ここではキャリッジ21が左方向に移動)と指示されている場合には、ステップS812に移行し、積算値SL をSL =1に設定する。その後ステップS813に移行し、積算値SR 、SL の値に基づく転流モードの自動切換を許可して、図12に示した転流原点設定処理が完了する。
【0083】
図12の転流原点設定処理、すなわち図11のステップS706の処理が終了すると、図12のステップS707に移行し、上位装置からブラシレスモータ1の起動指令パルスが出されているかどうかを判別し、起動指令パルスが出されていると、ステップS708に移行し、第1の実施の形態と同様に図5に示した起動処理を実行し、ステップS709に移行する。キャリッジ21が移動し、位置検出器15から出力される信号のパルスエッジがステップS709で検出されると、ステップS710に移行し、今度は転流制御処理として、図13に示した転流制御処理を実行する。つまり、図13のステップS906又はS912に移行したときに、ここでは、正転方向又は逆転方向に転流モードを切り換える。それ以外の処理については、上述した図12におけるステップS808での転流カウント処理と同一であるので、同じ説明は省略する。ステップS710の転流制御処理を実行すると、次にステップS711に移行し、プリンタの電源スイッチがオフされるなどして、上位装置からメインルーチンの終了指示が出されたかどうかを判別する。終了指示が出されれば、図11のメインルーチンを終了し、終了指示が出されていなければ、ステップS707に戻る。
【0084】
以後、キャリッジ21が移動している間は、ステップS707→S709→S711の処理を繰り返し行う。繰り返し処理の途中、ステップS709でパルスエッジが検出される毎にステップS710の処理を行い、実際の回転方向に応じて積算値SR 、SL に転流定数Tを加算又は減算し、キャリッジ21が右方向に移動しているときには右方向の積算値SR の値が“1”以上となる毎に転流モードを切り換え、左方向に移動しているときには左方向の積算値SL の値が“0”以下となる毎に転流モードを切り換えることによって転流制御を行う。
【0085】
また、キャリッジ21が停止している間は、図11のメインルーチンでは、ステップS707→S709→S711の処理だけが繰り返し行われ、停止状態から例えばキャリッジ21を反転させるために、上位装置より再び起動指令が出されれば、ステップS707からステップS708に移行し、以後上述したのと同様に転流制御が行われる。
【0086】
ここで、例えば前記図2に示すように、ブラシレスモータ1の回転運動をプーリ22a,22bによってベルト23の直線運動に変換し、このベルト23によってキャリッジ21を駆動するような場合、ブラシレスモータ1の回転力がキャリッジ21に伝達されるまでの経路、つまりベルト23の長さが、正転時と逆転時とでは異なるため、回転方向を切り替えるとベルト23の伸び量に応じて、回転子位置とキャリッジ21の絶対位置とがずれることになる。つまりキャリッジ21の絶対位置に対する回転子の絶対位置が回転方向によって異なることになる。
【0087】
しかしながら、上記第3の実施の形態においては、正転時と逆転時とで転流原点を個別に設け、正転時には積算値SR 、逆転時には積算値SL に基づいて転流タイミングを生成するようにしたから、ベルトの伸び量に応じた誤差が除去されることになって、ブラシレスモータ1の回転方向の違いに起因する転流タイミングのずれの発生を回避することができ、的確なタイミングで転流を行うことができる。
【0088】
したがって、例えば経時変化等によってキャリッジの動きが重くなったとき、或いはベルト全体が伸びやすくなってしまった場合等においても的確なタイミングで転流を行うことができる。
【0089】
なお、このとき、図12のステップS811又はステップS812の処理で積算値SL の値をSL =0又はSL =1に設定したときの積算値SR の値を原点誤差ΔSとし、例えば積算値SR を基準として、回転方向が切り換わる毎に、前記原点誤差ΔSを前記積算値SR に加算又は減算して転流原点をオフセットするようにしてもよい。
【0090】
すなわち、図11のステップS708の起動処理において、ここでは図14に示す起動処理を実行する。図14の起動処理では、まずステップS1001で上位装置から指示される回転指示方向を判別し、正転と指示されている場合にはステップS1002に移行し、回転方向が変更されたかどうかを判別する。回転方向が変更されていない場合、つまり引き続き正転で起動する場合には、ステップS1002からステップS1006に移行し、正転時の起動処理を行う。回転方向が変更されている場合、つまり逆転から正転に反転する場合には、ステップS1002からステップS1003に移行し、積算値SR の値に原点誤差ΔSを加算する。次いでステップS1004に移行し、積算値SR の値が“1”以上であるかどうか判定し、“1”未満であればそのままステップS1006に移行し、“1”以上であれば、ステップS1005に移行してSR の値から“1”を減算した後ステップS1006に移行して、正転時の起動処理を行い、図14の起動処理を終了する。
【0091】
一方、ステップS1001で上位装置から逆転方向と指示されている場合には、ステップS1007に移行し、同様に回転方向が変更されたかどうかを判別する。回転方向が変更されていない場合、つまり引き続き逆転で起動する場合には、ステップS1007からステップS1011に移行し、逆転時の起動処理を行う。回転方向が変更されている場合、つまり正転か逆転に反転する場合には、ステップS1007からステップS1008に移行し、積算値SR の値から原点誤差ΔSを減算する。次いでステップS1009に移行し、積算値SR の値が“0”以下であるかどうか判定し、“0”より大きければそのままステップS1011に移行し、“0”以下であれば、ステップS1010に移行してSR の値に“1”を加算した後ステップS1011に移行して、逆転時の起動処理を行い、図14の起動処理を終了する。
【0092】
このようにすることで、その後実行される転流制御処理は、図7に示した転流制御処理中の積算値SをSRに置き換えたもので実現することが可能になる。つまり、回転方向が切り替わる毎に、積算値SRの値を原点誤差ΔSを用いて補正すれば、転流制御処理を簡略化することが可能になる。
【0093】
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
【0094】
この第4の実施の形態は、上記第2の実施の形態において、転流制御回路12での処理手順が異なること以外は同様であるので、同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
【0095】
第4の実施の形態では、上記第3の実施の形態と同様に、キャリッジ21が右方向に移動する際に基準とする転流原点と、左方向に移動する際に基準とする転流原点との二つを有し、上記ゼロクロス検出回路13で検出される、ブラシレスモータ1の固定子巻線の開放相に発生する逆起電圧のゼロクロスに基づいて、前記二つの転流原点を更新設定する。
【0096】
プリンタの電源スイッチがオンされるなどして、前記制御回路10が起動されると、前記転流制御回路12は、上記第1の実施の形態と同様に、図3に示すメインルーチンを起動する。そして、まずステップS101において、図15に示す転流原点設定処理を実行する。図15の転流原点設定処理では、第1の実施の形態における図4の転流原点設定処理と同様に、ステップS201〜S205において、回転子の引き込み動作を2回行う。回転子が引き込み位置で静止したとき、ステップS205からステップS207に移行して、キャリッジ21が右方向に移動する際の転流制御に用いられる積算値SR の値を“0”に、左方向に移動する際の転流制御に用いられる積算値SL の値を“1”に設定し、転流原点を設定する。その後、ステップS102に移行し、上位装置からブラシレスモータ1の起動指令があると、ステップS103に移行し、第1の実施の形態と同様に図5に示した起動処理を実行する。キャリッジ21が移動し、位置検出器15から出力される信号のパルスエッジが検出されると(ステップS104)、ステップS105に移行し、図16に示す転流制御処理を実行する。
【0097】
図16の転流制御処理においては、右方向の転流原点リセットフラグFR と、左方向の転流原点リセットフラグFL とを参照する。 ここで、FR はキャリッジ21が右方向に移動する際の転流原点の更新設定が完了していれば“1”、完了していなければ“0”の値をとり、 FL はキャリッジ21が左方向に移動する際の転流原点の更新設定が完了していれば“1”、完了していなければ“0”の値をとる。なお、初回起動時にはFR 、FL 共“0”の値に設定されている。まず、ステップS1101で、ブラシレスモータ1が実際に回転している方向が正転かどうかを判別する。正転(ここではキャリッジ21が右方向に移動)していればステップS1102に移行し、逆転(ここではキャリッジ21が左方向に移動)していればステップS1106に移行する。正転の場合、ステップS1102でFR の値が“0”かどうかを判定し、 FR が“0”の場合、つまり右方向の転流原点の更新設定が完了していないうちはステップS1103に移行する。ステップS1103では、第2の実施の形態で説明したのと同様に、転流原点のリセットが可能であるかどうかを判定する。ブラシレスモータ1の回転速度が低速で、逆起電圧に基づく転流原点のリセットが可能でない場合には、ステップS1103からステップS1110に移行し、第3の実施の形態で説明したのと同様に、図13に示した転流制御処理を実行する。つまり、パルスエッジが検出される毎に、実際の回転方向に応じて積算値SR 、SL に転流定数Tを加算又は減算し、キャリッジ21が右方向に移動しているときには右方向の積算値SR の値が“1”以上となる毎に転流モードを切り換え、左方向に移動しているときには左方向の積算値SL の値が“0”以下となる毎に転流モードを切り換えることによって転流制御を行う。
【0098】
そして、ブラシレスモータ1の回転速度が上がり、逆起電圧を検出可能な速度を越えると、ステップS1103からステップS1104に移行し、第2の実施の形態で説明したのと同様に、図10に示した転流原点リセット処理を実行する。図10の転流原点リセット処理において、逆起電圧のゼロクロスから一転流区間の1/2だけ位相を遅らせた時点で転流タイミングが生成され(図10ステップS601〜S608)、この転流タイミングを以て転流原点とし、転流原点の更新設定を実施する。すなわち、図16のステップS1104からステップS1105に移行し、右方向の積算値SR の値を“0”にリセットすると共に、右方向の転流原点更新設定が完了したとして、 FR の値を“1”にセットする。
【0099】
一方、ステップS1101で逆転していると判別された場合は、ステップS1ステップS1106に移行し、FL の値が“0”かどうかを判定する。 FLの値が“0”の場合、つまり左方向の転流原点の更新設定が完了していないうちはステップS1107に移行する。ステップS1107ではステップS1103と同様に転流原点のリセットが可能であるかどうかを判定する。逆起電圧に基づく転流原点のリセットが可能でない場合には、ステップS1107からステップS1110に移行し、図13に示した転流制御処理を実行し、転流原点のリセットが可能である場合には、ステップS1107からステップS1108に移行し、ステップS1104と同様に、図10に示した転流原点リセット処理を実行する。そしてステップS1109に移行し、左方向の積算値SL の値を“1”にリセットすると共に、左方向の転流原点更新設定が完了したとして、 FL の値を“1”にセットする。
【0100】
このように、右方向、左方向それぞれにおいて、逆起電圧に基づく転流原点の更新設定が完了し、 FR 、FL の値が共に“1”にセットされると、以後は図3においてパルスエッジが検出される毎に(ステップS104→S105)、図16のステップS1102或いはステップS1106からステップS1110に移行して、上記第3の実施の形態において説明した図13の転流制御処理が実行される。
【0101】
以上述べたように、上記第4の実施の形態においては、正転時と逆転時とで転流原点を個別に設け、かつそれらの転流原点を、逆起電圧に基づいて生成された転流タイミングによって更新設定するようにしたから、上記第2、第3の実施の形態における作用効果を同時に満足することが可能となる。すなわち、ベルトの伸び等に起因して、キャリッジ21の位置に対する回転子の位置が正転時と逆転時とで異なってしまうような場合にも、正転、逆転どちらにおいても転流タイミングの精度を位置検出器15から出力されるパルス信号の1パルス間隔以内に収めることができる。したがって、例えば経時変化等によってキャリッジの動きが重くなったり、ベルト全体が伸びてしまった場合等においても、正転、逆転とも常に高い精度で転流制御を行うことができ、トルクリップルや定速回転での速度変動を常に低減させることが可能となる。
【0102】
なお、上記各実施の形態においては、プリンタのキャリッジに設けられたエンコーダ等からのパルス信号に基づいて、キャリッジを駆動するモータの転流タイミングを検出するようにした場合について説明したがこれに限るものではなく、モータの駆動に伴って、その駆動対象物の移動量に応じて位置検出器からパルス信号を得ることが可能な構成であれば、適用することができる。
【0103】
また、ポテンショメータ等駆動対象の位置を検出するようなセンサであっても適用することができ、この場合には、例えばポテンショメータの位置情報に基づき駆動対象が所定量移動したときにパルス信号を出力するパルス生成回路を設け、このパルス生成回路が出力するパルス信号に基づき上記各実施の形態と同様に制御を行うようにすれば、上記各実施の形態と同等の作用効果を得ることができる。
【0104】
また、上記各実施の形態においては、位置検出器15からの検出信号に基づいて、転流制御を行うようにした場合について説明したが、この位置検出器15からの検出信号に基づいて、転流制御だけではなく、同時に速度制御或いは位相制御を行うようにしてもよい。
【0105】
また、上記各実施の形態においては、DCブラシレスモータを適用した場合について説明したが、これに限らず、ステップモータ等を適用することもできる。また、エンコーダとしてリニアエンコーダなど適用した場合について説明したがこれに限るものではなく、また、光学式或いは磁気式のエンコーダであっても適用することができる。
【0106】
また、上記各実施の形態においては、三相ブラシレスモータに適用した場合について説明したがこれに限るものではなく、一相又は二相、或いは四相以上のブラシレスモータに適用することも可能である。
【0107】
また、上記各実施の形態においては、ゼロクロス検出回路13では、何れか一相の逆起電力を検出し、これに基づいてゼロクロスを検出するようにした場合について説明したが、これに限るものではなく、全ての相についてゼロクロスを検出するようにしてもよい。しかし、一相のみについてゼロクロスを検出する場合と、三相全てについてゼロクロスを検出する場合とでは、精度的にはほぼ同等であるから、一相のみを検出するようにした方が構成および処理を簡略化することができる。
【0108】
また、上記各実施の形態においては、転流原点の更新設定を、ブラシレスモータ1の回転速度が大きくなり、逆起電圧のゼロクロスを検出できるようになった時点で行うようにした場合について説明したが、これは、例えば、駆動回路10を起動した際に、転流原点の更新設定を行うためにブラシレスモータ1を回転させ、転流原点を更新設定した後、上位装置からの指令信号に基づいて駆動制御するようにすればよい。また、駆動回路10の起動時だけでなく、ブラシレスモータ1の駆動に伴う温度変化の影響を除去するために、ブラシレスモータ1の駆動制御を開始した後、所定時間毎にも転流原点の更新設定を行うようにしてもよく、このようにすれば、温度変化に起因する転流原点誤差を除去することができる。また、所定時間毎ではなく、温度変化が平衡状態となる所定時間経過した時点で転流原点の更新設定を行うようにしてもよい。
【0109】
また、転流原点の更新設定は、ブラシレスモータ1が起動されて、転流タイミングの検出が可能な回転速度となる毎に行うようにしてもよい。
【0110】
また、予め原点誤差ΔSを計測してROM等の記憶領域に記憶しておき、一方の回転方向における転流原点を設定したならば、回転方向が切り替わる毎に、この転流原点を基準として、記憶している原点誤差ΔSをもとに、積算値Sを補正するようにしてもよい。
【0111】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1及び2に係るセンサレスモータの駆動装置によれば、初回起動時に、互いに電気角180度またはその整数倍の電気角位置ではない、異なる二つの引き込み位置に順次切り換えて励磁し、二回励磁を行った後の回転子の静止位置において転流原点を設定し、この転流原点に基づいて転流制御を行うようにしたから、高精度に転流制御を行うことができる。
【0112】
また、請求項3及び4に係るセンサレスモータの駆動装置によれば、回転方向毎に転流原点を設定するようにしたから、回転方向の違いに起因する転流タイミングのずれの発生を回避することができ、このとき、回転方向の違いに起因する転流タイミングのずれに相当するパルス信号数をオフセット値として検出し、何れか一方の回転方向を基準として回転方向が切り換わる毎にオフセット値に基づきパルス信号のカウント値を補正するようにしたから、回転方向毎にカウント変数を用意する必要がなくなる。
【0113】
また、請求項5及び6に係るセンサレスモータの駆動装置によれば、開放相に発生する逆起電力に基づき転流タイミングを生成できる状態となった時点で、より高精度に回転子の位置を検出可能な逆起電力に基づいて回転子の位置を検出し、転流タイミングを生成して転流原点を更新設定するようにしたから、より高精度に転流制御を行うことができる。このとき、ブラシレスモータの全ての相ではなく、何れか一つの相の逆起電力に基づき転流タイミングを生成するようにしたから、逆起電力を検出する回路の数を減らすことが出来ると共に、転流タイミングの生成に要する処理も軽減することが可能となる。
また、請求項7乃至8に係るセンサレスモータの駆動装置によれば、ブラシレスモータの回転方向毎に、転流タイミング生成手段で転流タイミングを生成し、前記各転流タイミングの時点で、回転方向毎に新たな転流原点を各々更新設定するようにしたから、回転方向の違いに起因する転流タイミングのずれの発生を回避することができる。このとき、センサレスモータの回転方向毎に更新設定した各転流原点の位置の差に相当するパルス信号数をオフセット値として検出し、さらに前記オフセット値を記憶手段に記憶しておいて、更新設定後の何れか一方の転流原点を基準としてパルス信号をカウントすると共に、回転方向が替わる毎にパルス信号のカウント値を前記記憶しておいたオフセット値に応じて補正し、回転方向に応じた転流原点を基準とするカウント値となるようにしたから、回転方向毎に別のカウント変数を用意する必要がなくなった。
【0114】
また、請求項9乃至12に係るセンサレスモータの駆動装置によれば、転流タイミング生成手段で生成した転流タイミングに基づく転流原点の更新設定を、センサレスモータの制御を開始したときに行うから、制御開始の初期段階から高精度に転流制御を行うことができる。また、制御開始時点から所定時間経過後に転流原点の更新設定を行うから、温度環境の変化の影響を受けない転流原点を設定することができる。また、センサレスモータの制御開始時点から所定時間経過する毎に転流原点の更新設定を行うから、温度環境の変化に応じて的確な転流原点を設定することができる。さらに、センサレスモータを起動する毎に転流原点の更新設定を行うから、現状に応じた転流原点を設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の実施の形態におけるセンサレスモータの駆動回路の概略構成を示す構成図である。
【図2】駆動対象としてのキャリッジを駆動する場合の概略構成図である。
【図3】第1、第2、第4の実施の形態におけるメインルーチンの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】第1、第2、第4の実施の形態における転流原点設定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】起動処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】回転子位置の変化に対する、励磁相とトルクとの関係を表す説明図である。
【図7】第1、第2の実施の形態における転流制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】第2、第4の実施の形態におけるセンサレスモータの駆動回路の概略構成を示す構成図である。
【図9】第2の実施の形態における転流制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】第2、第4の実施の形態における転流原点リセット処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態におけるメインルーチンの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】第3の実施の形態における転流原点設定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】第3、第4の実施の形態における転流制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】第3、第4の実施の形態における起動処理の処理手順の一例を示すフローチャーである。
【図15】第4の実施の形態における転流原点設定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図16】第4の実施の形態における転流制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ブラシレスモータ
10 駆動回路
11 インバータ
12 転流制御回路
13 ゼロクロス検出回路
15 位置検出器
Claims (12)
- 回転子と固定子巻線とを備えたセンサレスモータの駆動装置であって、
前記センサレスモータからの動力が伝達されて駆動される駆動対象物には、当該駆動対象物の移動に伴って位置検出用のパルス信号を出力する位置検出器が設けられ、前記パルス信号に基づいて前記駆動対象物の位置制御が行われるようになっているものにおいて、
前記パルス信号を利用して前記センサレスモータの転流制御を行う転流制御手段と、
前記転流制御における転流の基準点となる転流原点を設定する転流原点設定手段と、を備え、
当該転流原点設定手段は、初回起動時に前記センサレスモータの励磁相を、互いに電気角180度またはその整数倍の電気角位置ではない、異なる二つの引き込み位置に順次切り換えて励磁し、二回励磁した後回転子が静止した時点で、前記転流原点を設定することを特徴とするセンサレスモータの駆動装置。 - 前記転流制御手段は、前記パルス信号をカウントし、そのカウント値に基づいて前記センサレスモータの転流制御を行うことを特徴とする請求項1記載のセンサレスモータの駆動装置。
- 前記転流原点設定手段は、前記転流原点を前記センサレスモータの回転方向毎に設定し、前記転流制御手段は、回転方向に応じて、各回転方向毎に設定した転流原点からのパルス信号数に基づいて転流制御を行うようになっていることを特徴とする請求項2記載のセンサレスモータの駆動装置。
- 前記転流原点設定手段は、前記センサレスモータの回転方向毎に設定した前記各転流原点の位置の差に相当するパルス信号数をオフセット値として検出し、前記転流制御手段は、一方の転流原点を基準としてパルス信号をカウントし、回転方向が替わる毎に前記パルス信号のカウント値を前記オフセット値に応じて補正するようになっていることを特徴とする請求項3記載のセンサレスモータの駆動装置。
- 前記センサレスモータの開放相に発生する逆起電力を検出する逆起電力検出手段と、当該逆起電力検出手段で検出した逆起電力に基づいて転流タイミングを生成する転流タイミング生成手段と、を備え、
前記転流原点設定手段は、前記転流タイミング生成手段で生成した転流タイミングの時点で、前記転流原点を更新設定するようになっていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のセンサレスモータの駆動装置。 - 前記転流タイミング生成手段は、前記センサレスモータの何れか一つの相の逆起電力に基づいて転流タイミングを生成するようになっていることを特徴とする請求項5記載のセンサレスモータの駆動装置。
- 前記転流タイミング生成手段は、前記センサレスモータの回転方向毎に前記転流タイミングを生成し、前記転流原点設定手段は、前記回転方向毎の転流タイミングに基づき回転方向毎に前記転流原点を各々更新設定するようになっていることを特徴とする請求項5又は6に記載のセンサレスモータの駆動装置。
- 前記転流原点設定手段は、前記転流タイミング生成手段で回転方向毎に生成した転流タイミングに基づいて更新設定した各転流原点の位置の差に相当するパルス信号数をオフセット値として検出し、さらに前記オフセット値を記憶する記憶手段を有し、
前記転流制御手段は、前記パルス信号をカウントし、そのカウント値に基づいて前記センサレスモータの転流制御を行い、且つ、前記更新設定した一方の転流原点を基準としてパルス信号をカウントし、回転方向が替わる毎に前記パルス信号のカウント値を前記記憶手段に記憶した前記オフセット値に応じて補正するようになっていることを特徴とする請求項7記載のセンサレスモータの駆動装置。 - 前記転流制御手段は、前記転流タイミング生成手段で生成した転流タイミングに基づく転流原点の更新を、前記センサレスモータの制御を開始したときに行うことを特徴とする請求項5乃至8の何れかに記載のセンサレスモータの駆動装置。
- 前記転流制御手段は、前記転流タイミング生成手段で生成した転流タイミングに基づく転流原点の更新を、前記センサレスモータの制御開始時点から所定時間経過後に行うことを特徴とする請求項5乃至9の何れかに記載のセンサレスモータの駆動装置。
- 前記転流制御手段は、前記転流タイミング生成手段で生成した転流タイミングに基づく転流原点の更新を、前記センサレスモータの制御開始時点から所定時間経過する毎に行うことを特徴とする請求項5乃至10の何れかに記載のセンサレスモータの駆動装置。
- 前記転流制御手段は、前記転流タイミング生成手段で生成した転流タイミングに基づく転流原点の更新を、前記センサレスモータを起動する毎に行うことを特徴とする請求項5乃至11の何れかに記載のセンサレスモータの駆動装置。
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