JP3681995B2 - 光合分波器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信や光交換の分野で高密度に光信号を多重化する光合分波器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、増大する通信トラヒックに応えるべく、より多くの波長多重化の検討が進められている。また、光ファイバの低損失帯域や、エルビウム添加ファイバアンプをはじめとする低雑音な希土類添加光ファイバアンプの増幅帯域は限られているため、より狭い波長間隔で光信号を扱う光合分波器が求められている。このようなニーズに応える光合分波器として、アレイ導波路格子(AWG;Arrayed Waveguide Grating)がある。
【0003】
アレイ導波路格子は、1つの素子で非常に多くの信号を一括多重でき、光通信システムに使われ、既に現用システムにも導入されている。アレイ導波路格子のように多くの信号を扱う光合分波器(8波以上)では、1チャンネル毎のクロストークが極めて小さくなくては累積するノイズが大きくなり、光通信システムには使えなくなる。すでに100GHzチャンネル間隔のアレイ導波路格子では、−40dB以上の十分小さなクロストークが得られ、量産化がなされている。しかし、より狭い波長間隔である10GHzチャンネル間隔のアレイ導波路格子では、作製時の位相誤差を正確に評価し、かつ、それらの誤差を補正しないと小さなクロストークが得られないという問題があり、量産化は依然として進んでいない。
【0004】
アレイ導波路格子のほかにも光合分波する素子としてファイバグレーティングや多層膜干渉フィルタを用いたものなどがあるが、正確な波長間隔でチャンネルを並べること、過剰損失が小さいこと、各チャンネルでの損失バラツキが小さいこと等を同時に満たすことが難しく、数チャンネルの信号をあつかう光合分波器の報告例があるだけである。
【0005】
より狭い波長間隔で光信号を扱う光合分波器を実現するには、既存のアレイ導波路格子2台と、アレイ導波路格子のチャンネル間隔とFSR(Free Spectral Range;フリー・スペクトラル・レンジ)が等しいマッハ・ツェンダー(Mach-Zehnder)フィルタを図3に示す様に組み合わせる方法が提案されている(特願平10−24221号「光波長合分波器」参照)。なお、図3においては、301,302はアレイ導波路格子、303はマッハ・ツェンダー(Mach-Zehnder)フィルタ、304,305は方向性結合器、306は光路長差付与部、307,308は薄膜ヒータ型位相制御器である。
【0006】
この方法に用いると、既存のアレイ導波路格子を用いて見かけ上アレイ導波路格子のチャンネル数を倍加する光合分波器を合成することが可能になる。また、この方法は、アレイ導波路格子もマッハ・ツェンダー(Mach-Zehnder)フィルタも同様の光導波路で作成可能なため接続損失の問題が無く、同一基板上に一括形成することも容易である。また、なにより隣接するチャンネル以外のチャンネルのクロストークは、既存のアレイ導波路格子により十分に小さく抑えることが可能であるというメリットがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来例の透過スペクトルを図4に示すが、マッハ・ツェンダー(Mach-Zehnder)フィルタの消光する帯域が狭いため、この方法で合成した光合分波器の隣接チャンネルでの消光する帯域も狭く、信号光の波長変動幅を考えると隣接クロストークは十分小さくできない。また、信号光透過チャンネルにおいても、2つのフィルタを通過するため、透過帯域幅が狭くなる。このようにマッハ・ツェンダー(Mach-Zehnder)フィルタとアレイ導波路格子を組み合わせた光合分波器においては、信号光波長の許容幅が狭く制限されるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、狭チャンネルで多波長の光信号を扱う光合分波器において、透過帯域が広く、かつ、全てのチャンネルのクロストークが小さな光合分波器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、チャンネル間隔が相互に等しく、チャンネルの中心波長のずれが前記チャンネル間隔の1/2である2個のアレイ導波路格子を、繰り返し周期が前記チャンネル間隔と等しい周期的透過スペクトルを有する導波路型周回性フィルタの2出力のそれぞれに縦列接続した光合分波器において、前記導波路型周回性フィルタは、2本の光導波路と、該光導波路を3箇所の異なる位置にて結合する3個の方向性結合器とからなる構成を有し、前記方向性結合器にそれぞれ挟まれた2箇所の前記光導波路に光路長差を与え、入力側から1,2,3番目の前記方向性結合器の結合位相強度(但し、結合位相強度=sin−1√(パワー結合率))と入力側から1,2番目の前記光路長差とが、それぞれπ/4、(π/3)−x、(π/12)+x、L、2L±λ/2、またはπ/4、(π/6)+x、(π/12)+x、L、−2L(0.03≦x≦0.10)であることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、チャンネル間隔が相互に等しく、チャンネルの中心波長のずれが前記チャンネル間隔の1/2である2個のアレイ導波路格子を、繰り返し周期が前記チャンネル間隔と等しい周期的透過スペクトルを有する導波路型周回性フィルタの2出力のそれぞれに縦列接続した光合分波器において、前記導波路型周回性フィルタは、2本の光導波路と、該光導波路を3箇所の異なる位置にて結合する3個の方向性結合器とからなる構成を有し、前記方向性結合器にそれぞれ挟まれた2箇所の前記光導波路に光路長差を与え、入力側から1,2,3番目の前記方向性結合器の結合位相強度(但し、結合位相強度=sin−1ルート(パワー結合率))と入力側から1,2番目の前記光路長差とが、それぞれ(π/12)+x、(π/3)−x、π/4、2L±λ/2、L、または(π/12)+x、(π/6)+x、π/4、−2L、L(0.03≦x≦0.10)であることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記方向性結合器のうち少なくとも1つが、結合率可変な方向性結合器であることを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1、2または3に記載の発明において、前記光路長差をあたえる2本の導波路のうち少なくとも一方に位相制御器を設けたことを特徴とするものである。
【0016】
このように、本発明による導波路型周回性フィルタは、2本の光導波路と、光導波路をN+1箇所(Nは2以上の整数)の異なる位置にて結合するN+1個の方向性結合器とからなる構成を有しているので、アレイ導波路格子と導波路型周回性フィルタとを合成した光合分波器の隣接チャンネルの消光帯域を広げることができる。導波路型周回性フィルタとしては、透過域、阻止域共に広い矩形状の透過スペクトルを持つことができる二入力二出力光信号処理器を用いることが望ましい。これにより信号光の波長変動幅を考慮しても全てのチャンネルのクロストークを小さく抑えることが可能になる。
【0017】
また、透過チャンネルについても導波路型周回性フィルタの透過域が平坦なので、もともとのアレイ導波路格子の透過帯域を減少させることが無いという利点がある。
【0018】
したがって、本発明の構成の光導波路フィルタを用いることにより、既存のアレイ導波路格子のチャンネル数を倍加しても、透過帯域が広くかつ全てのチャンネルのクロストークが小さな光合分波器を提供できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の光合分波器の第1の実施形態を示す図で、図中符号101,102は、第1、第2のアレイ導波路格子であり、103は導波路型周回性フィルタである二入力二出力光信号処理器である。この二入力二出力光信号処理器103は、第1、第2、第3、第4の方向性結合器104,105,106,107と第1、第2、第3の光路長差付与部108,109,110とから構成されている。第1、第2、第3の光路長差付与部108,109,110には、作製時の位相誤差を補正する薄膜ヒータ型位相制御器111,112,113,114,115,116が取り付けられている。さらに、薄膜ヒータ型位相制御器111,112,113,114,115,116による調整状況を確認するために、アレイ導波路格子101の途中からモニタ用光導波路117を設けている。
【0021】
アレイ導波路格子101,102のチャンネル間隔は、100GHzで相互に中心波長が50GHzズレるように作製されている。また、二入力二出力光信号処理器103のFSRも100GHzに設定し、50GHz毎に出力ポートが切り替わるように作製されている。また、二入力二出力光信号処理器103が平坦なスペクトルを持つように、第1、第2、第3、第4の方向性結合器104,105,106,107の結合位相強度は、順にπ/4、3π/8、π/6、π/24になるように設計されている。また、第1、第2、第3の光路長差付与部108,109,110は、順にL、2L+λ/2、2L+λ/2となるように設計されている(但しλ=1553.6nm、nL=3mm、nは導波路の有効屈折率)。なお、パラメータの算出には、特願平11−162374号に示した計算方法を用いている。
【0022】
本実施例では上述したようなパラメータを用いたが、パラメータの組合せは一つではなく、本発明はこれら実施例の導波路パラメータの組合せに限られるものではない。
【0023】
実際の導波路は、Si基板上に、火炎堆積法により石英系ガラス厚膜を作製する技術と、フォトリソグラフィとドライエッチングにより導波路加工をする技術とを組み合わせて作製した。最終的にできた導波路の断面形状は、高さ7μm幅7μmで、比屈折差は0.75%であった。
【0024】
出来上がった導波路は、ダイシングソーにより端面を切り出し、日本国内で通常伝送路に用いられている分散シフトファイバを、入出力部にとりつけて評価した。エルビウム添加光ファイバアンプからでるASE(Amplified Spontaneous Emission)光を二入力二出力光信号処理器側103から入力し、モニタ用光導波路117のモニタポートから出てくる出力光を光スペクトルアナライザで観測しながら、薄膜ヒータ型位相制御器111,112,113,114,115,116の動作点を定めた。その後、ASE光を二入力二出力光信号処理器103側から入力し、アレイ導波路格子101,102から出てくる出力光を光スペクトルアナライザで評価した。このようにして本発明による回路全体の特性を評価した後、アレイ導波路格子101,102と二入力二出力光信号処理器103とをダイシングソーで切り分け、個別の透過スペクトルを評価した。
【0025】
図2は、回路全体の193.1THz近傍の透過スペクトルと、アレイ導波路格子のみと二入力二出力光信号処理器のみの透過スペクトルとを示した図である。アレイ導波路格子の透過域と二入力二出力光信号処理器の透過域とが一致しているのは、位相制御器の動作点を適切に定めた結果である。アレイ導波路格子と二入力二出力光信号処理器との2つの光フィルタを合成した結果、透過域中心波長193.1THzに対し、100GHz以遠の光はアレイ導波路格子により分離され、最近接チャンネルである50GHz隣の光は、二入力二出力光信号処理器により分離されているのが分かる。
【0026】
図3は、従来のマッハ・ツェンダー(Mach-Zehnder)フィルタとアレイ導波路格子との組み合わした光回路を示す図で、図4はその透過特性を示している。ここで、図4に示した光回路の透過特性と、図2に示した本発明による光回路の透過特性とを比較する。
【0027】
隣接チャンネルの透過スペクトルを拡大したものを図5に示す。両者とも193.15THzちょうどでは30dB以上の消光比が得られているが、消光している周波数幅には大きな違いがあることが判る。例えば、消光比30dB以上を得るためには、従来の光回路だと透過域中心波長から49GHz程度離れないといけないが、本発明による光回路だと45GHz離れれば十分である。すなわち、隣接チャンネルの近傍で30dB以上の消光比が得られる帯域は、従来例で2GHz程度、本発明の光回路によると10GHz程度である。チャンネル間隔50GHzと比較すると、従来の4%の範囲でしか消光しなかったが、本発明の光回路構成により20%と広い範囲で消光できるようになった。
【0028】
透過チャンネルの透過スペクトルを拡大したものを図6に示す。両者とも193.10THzちょうどでは透過率に差は殆どない。しかし周波数の変化に対する透過率の変化には大きな差が見られる。透過域中心波長での透過率に対し、1dBまでの透過率の劣化を許容する幅を1dB幅と定義すると、従来例では1dB幅は22GHzであるが、本発明の光回路では1dB幅は28GHzであった。チャンネル間隔50GHzと比較すると、透過率の劣化が1dB未満になるのは従来44%であったが、本発明の光回路構成によると56%に拡大していることが分かる。
【0029】
二入力二出力光信号処理器と2本の導波路のうち、どちら側を入力導波路として使用するかは、二入力二出力光信号処理器と2台のアレイ導波路格子との波長配置に依存する。しかし、本実施例の光合分波器では、位相制御器111または112のうちどちらか一方を動作させπだけ位相をシフトさせると入力導波路を切り替えることができるので、特に入力導波路を指定する必要はない。
【0030】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の光合分波器の第2の実施形態を示す図である。
第2の実施形態では使い方によって、隣接クロストークを小さく抑える使い方と、透過帯域幅を拡大する使い方との、2通りの使い方ができる。以下にその詳細を説明する。
【0031】
第2の実施形態は、大きく分けて2台のアレイ導波路格子701,702と、導波路型周回性フィルタである二入力二出力光信号処理器703とから構成されている。また、二入力二出力光信号処理器703は、方向性結合器704と結合率可変光結合器713,714と光路長差付与部709,711とから構成されている。結合率可変光結合器713は、2つの方向性結合器705,706とそれらに挟まれた光路長差付与部710とから構成されている。また、結合率可変光結合器714は、2つの方向性結合器707,708とそれらに挟まれた光路長差付与部712とから構成されている。また、光路長差付与部709,710,711,712には、作製時の位相誤差を補正する薄膜ヒータ型位相制御器715〜722が取り付けられている。さらに、薄膜ヒータ型位相制御器715〜722による調整状況を確認するために、アレイ導波路格子701の途中からモニタ用光導波路723を設けている。
【0032】
光路長差付与部709,711は、順にL、2L+λ/2となるように設計されている(但しλ=1553.6nm、nL=3mm、nは導波路の有効屈折率)。また、方向性結合器704,705,706,707,708の結合位相強度は、全てπ/4に設計され、また、光路長差付与部710,712は、順にλ/6、5λ/12(但しλ=1553.6nm)となるように設計されている。製造誤差がなければ結合率可変光結合器713,714の結合位相強度は、π/3とπ/12になる。また、方向性結合器と光路長に小さな位相誤差が生じても、位相制御器717,718,721,722を動作させることにより結合率可変光結合器713,714全体として結合位相強度が任意に調整でき、目的とするπ/3とπ/12に合わせることができる。さらに、(π/3)−x、(π/12)+xなど任意の結合位相強度に調整することも可能である。この第2の実施例中の二入力二出力光信号処理器の各パラメータも、特願平11−162374号に示した計算方法で目的とする値を算出した。
【0033】
本実施例では上述したようなパラメータを用いたが、パラメータの組合せは一つではなく、例えば、結合位相強度を(π/6)+x、(π/12)+x、光路長差をL、−2Lにとっても、また、逆順に並べても同様の効果が得られる。すなわち、本発明は上記実施例の導波路パラメータの組合せに限られるものではない。
【0034】
この第2の実施例もSi基板上に、火炎堆積法により石英系ガラス厚膜を作製する技術と、フォトリソグラフィとドライエッチングにより導波路加工をする技術とを組み合わせて作製した。最終的にできた導波路の断面形状は、高さ7μm幅7μmで、比屈折差は0.75%であった。
【0035】
出来上がった導波路は、第1の実施例と同様の方法で評価した。すなわち、ダイシングソーにより端面を切り出した後、日本国内で通常伝送路に用いられている分散シフトファイバを、入出力部にとりつけて評価した。エルビウム添加光ファイバアンプからでるASE光を前記二入力二出力光信号処理器側から入力し、モニタ用光導波路723のモニターポートから出てくる出力光を光スペクトルアナライザで観測しながら、位相制御器715〜722の動作点を定めた。その後、ASE光を二入力二出力光信号処理器側から入力し、アレイ導波路格子から出てくる出力光を光スペクトルアナライザで評価した。このようにして幾つかの測定を行った後、本発明による回路全体の特性を評価した後、アレイ導波路格子と二入力二出力光信号処理器とダイシングソーで切りわけ、個別の透過スペクトルを評価した。まず、隣接クロストークを小さく抑える使用方法とその特性について説明する。
【0036】
図8は、結合率可変光結合器713,714の結合位相強度を順にπ/3、π/12丁度に調整したときの、透過中心波長が193.1THzであるポートの透過スペクトルを示す図である。第1の実施例に比べ二入力二出力光信号処理器の消光比が大きくなっているのは、方向性結合器の製造時のバラツキを結合率可変光結合器を用いることにより修正しているためである。その結果、第2の実施形態の光回路は、隣接チャンネルである193.15THz近傍で40dB以上の消光比が得られた。
【0037】
次に、透過帯域幅を拡大する使用方法とその特性について説明する。
【0038】
結合率可変光結合器713,714の結合位相強度を順に(π/3)−x、(π/12)+xと表し、かつ、x=0.00、0.03、0.06のときの二入力二出力光信号処理器の透過帯域での詳細スペクトルを図9に示す。透過帯域中心波長である193.1THzでは、x=0.00のとき透過特性が平坦であるが、xが増加するに従って僅かな窪みが生じる。この窪みの曲率はxを変えることにより自由に設定できる。また1dB幅が僅かだが増加しているのが分かる。
【0039】
図10は、x=0.00、0.03、0.06のときアレイ導波路格子と組み合わせたときの透過帯域での詳細スペクトルを示す図である。図9の窪みに応じて透過帯域でのスペクトル形状もx=0.00のときは、上に凸だが、xが増加し0.06になると下に凸になった。第2の実施例では、x=0.03の時に透過中心波長近傍で平坦な領域が最大になった。
【0040】
xが0.00、0.03、0.06である時の、透過帯域での最小損失と、透過域中心波長での損失、透過帯域での最小損失に対する1dB幅と、この1dB幅がチャンネルに占める割合を、表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
x=0.03の時、透過帯域での最低損失が0.2dB弱劣化するが、透過帯域中心波長近傍で最も平坦な形状が得られた。また、x=0.06の時には、透過帯域での最低損失が0.4dB弱劣化し0.3dB弱の窪みが生じたが、1dB幅はx=0,0.03,0.06の中で最大で1dB幅が最も広くなり35GHzになった。その時、50GHzのチャンネル幅に対する1dB幅は70%程度と極めて大きな値となった。
【0043】
第2の実施例では、x=0.03の時に透過中心波長近傍で平坦な領域が最大になったが、xがどの値の時に最終的スペクトルがどの様になるかはアレイ導波路格子のスペクトル形状はアレイ導波路格子自体の設計による。しかし、概ねx=0.00〜0.10の間で平坦な領域が最大になる場合と、1dB幅が最大になる場合とが実現できる。
【0044】
第2の実施例も第1の実施例と同様に、二入力二出力光信号処理器の2本の導波路のうち、どちら側を入力導波路として使用するかは、二入力二出力光信号処理器と2台のアレイ導波路格子との波長配置に依存する。しかし、本実施例の光合分波器では、位相制御器715または716のうちどちらか一方を動作させ、πだけ位相をシフトさせると、入力導波路を切り替えることができるので、特に入力導波路を指定する必要はない。本発明はこれら実施例の導波路パラメータの組合せに限られるものではない。
【0045】
(第3の実施形態)
図11は、本発明の光合分波器の第3の実施形態を示す図である。
第2の実施形態の光合分波器は、大きく分けて4台のアレイ導波路格子1101,1102,1103,1104と、導波路型周回性フィルタである3台の二入力二出力光信号処理器1105,1106,1107とから構成されている。4台のアレイ導波路格子のチャンネル間隔と、二入力二出力光信号処理器1105,1106のFSRと、二入力二出力光信号処理器1107のチャンネル間隔とは互いに等しく設計されている。また、4台のアレイ導波路格子の中心波長は互いに、アレイ導波路格子のチャンネル間隔の4分の1だけズレるように、また、二入力二出力光信号処理器1105,1106の中心波長も、互いにアレイ導波路格子のチャンネル間隔の2分の1だけズレるように設計されている。
【0046】
第3の実施例中の3台の二入力二出力光信号処理器の各パラメータも、特願平11−162374号に示した計算方法で最適な値を算出した。
【0047】
第3の実施例も、第1、第2の実施例と同様な作成方法で光合分波器を作製して評価した。測定した第3の実施例の光合分波器の透過特性を図12に示す。第3の実施例では最近接チャンネルは193.125THzとなり、第1の実施例、第2の実施例の光合分波器の場合に比べさらに隣接チャンネルが近接しているが、193.125THz近傍で、30dB弱消光している。また、透過帯域である193.1THz近傍でも平坦な透過特性が得られている。
【0048】
第3の実施例の光合分波器の構成を図11に示したが、各二入力二出力光信号処理器の段数、および、光路長差付与部があたえる遅延量の正負、方向性結合器の結合位相強度等二入力二出力光信号処理器の設計パラメータの組合せは幾通りもある。また、二入力二出力光信号処理器1105と1106は同一の構造をとる必要はなく、また2本の導波路のうち、どちらの導波路を二入力二出力光信号処理器1107につなぐか等、同様の効果を得る構成が幾通りもある。
【0049】
また、第3の実施例では、4台のアレイ導波路格子と3台の二入力二出力光信号処理器を用いたが、この台数に限るものではなく、例えば、8台のアレイ導波路格子と7台の二入力二出力光信号処理器を用いても、多チャンネルでクロストークが小さく、透過帯域の広い光合分波器を作製することができる。すなわち、第3の実施例の光合分波器の構成を図11に示したが、本発明は、本実施例中の二入力二出力光信号処理器の設計パラメータの組合せ方や、アレイ導波路格子と二入力二出力光信号処理器の組合せ方に限られるものではない。
【0050】
以上、実施の形態を用いて本発明の構成および作用を説明したが、本発明はこれら実施例の形態に限られるものではない。例えば、本発明では石英系の光導波路を用いたが、半導体、LiNbO3、ポリマー等の別の材料で光導波路回路を形成することも可能である。また各実施形態の二入力二出力光信号処理器では方向性結合器を用いたが、全てまたは一部の方向性結合器をMMI(Multi-Mode Interferometor;多モード干渉型カップラ)、またはMMIと遅延線を組み合わせた任意結合率分岐回路と置き換えても損失は大きくなるものの同様な効果が得られる。MMIと遅延線を組み合わせた任意結合率分岐回路の例としては、T.Saida etc:“Silica-based 2×2 multimode interference coupler with arbitary power splitting ratio.”,Electron.Lett.,1999.vol.35,pp1-2などの報告がある。また、位相制御の方法として、各実施形態では熱光学効果を利用したが、電気光学効果、レーザー光照射効果等の他の手法により、位相制御を行うことも可能である。
【0051】
また、本発明では二入力二出力信号処理器の透過率の設計自由度が高いことを用いて、透過率スペクトルが優れた光合分波器を実現したが、本発明で用いた二入力二出力信号処理器は透過する光信号の群遅延特性も設計自由度が高く、盛んに研究されている。任意の群遅延量も実現する二入力二出力信号処理器の例としては、Takiguchi etc.“Variable groupdelay dispersion equaliser based on a lattice form programble optical filter”,Electron.Lett.,1995.vol.31,pp1240-1241などの報告がある。そのため、テーパー導波路やパラボラ形状導波路を用いたアレイ導波路格子の群遅延量や、二入力二出力信号処理器単体の群遅延量も、相互に組み合わせて用いるので、例えば、相互に打ち消し合わせる等、光合分波器全体として群遅延量を制御することが可能である。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、導波路型周回性フィルタは、2本の光導波路と、光導波路を3箇所の異なる位置にて結合する3個の方向性結合器とからなる構成を有し、方向性結合器にそれぞれ挟まれた2箇所の前記光導波路に光路長差を与え、方向性結合器の結合位相強度と、光導波路の光路長差とを規定することにより、透過域、阻止域共に広い矩形状の透過スペクトルを持つことができる二入力二出力光信号処理器を用いているので、アレイ導波路格子と導波路型周回性フィルタとを合成した光合分波器の隣接チャンネルの消光帯域を広げることができる。したがって、信号光の波長変動幅を考慮しても全てのチャンネルのクロストークを小さく抑えることが可能になる。
【0053】
また、透過チャンネルについても導波路型周回性フィルタの透過域が平坦なので、もともとのアレイ導波路格子の透過帯域を減少させることが無いという効果を奏する。
【0054】
したがって、本発明の構成の光合分波器を用いることにより、既存のアレイ導波路格子のチャンネル数を倍加しても、透過帯域が広くかつ全てのチャンネルのクロストークが小さな光合分波器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光合分波器の第1の実施形態を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の透過特性と構成する各部分の透過特性を示す図である。
【図3】従来の光合分波器の構造を示す図である。
【図4】従来の光合分波器の透過特性と構成する各部分の透過特性を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態と従来の光合分波器との隣接チャンネルでのクロストークを説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施形態と従来の光合分波器との透過帯域での詳細スペクトルを説明するための図である。
【図7】本発明の光合分波器の第2の実施形態を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の透過特性と構成する各部分の透過特性を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態を構成する二入力二出力導波路型フィルタの透過帯域での詳細スペクトルを説明するための図である。
【図10】本発明の第2の実施形態の透過帯域での詳細スペクトルを説明するための図である。
【図11】本発明の光合分波器の第3の実施形態を示す図である。
【図12】本発明の光合分波器の第3の実施形態の透過特性を示す図である。
【符号の説明】
101,102,301,302,701,702,1101,1102,1103,1104 アレイ導波路格子
103,703,1105,1106,1107 二入力二出力光信号処理器
303 マッハ・ツェンダー(Mach-Zehnder)フィルタ
104,105,106,107,304,305,704,705,706,707,708 方向性結合器
108,109,110,306,709,710,711,712 光路長差付与部
111,112,113,114,115,116,307,308,715,716,717,718,719,720,721,722 薄膜ヒータ型位相制御器
713,714 結合率可変光結合器
Claims (4)
- チャンネル間隔が相互に等しく、チャンネルの中心波長のずれが前記チャンネル間隔の1/2である2個のアレイ導波路格子を、繰り返し周期が前記チャンネル間隔と等しい周期的透過スペクトルを有する導波路型周回性フィルタの2出力のそれぞれに縦列接続した光合分波器において、
前記導波路型周回性フィルタは、2本の光導波路と、該光導波路を3箇所の異なる位置にて結合する3個の方向性結合器とからなる構成を有し、
前記方向性結合器にそれぞれ挟まれた2箇所の前記光導波路に光路長差を与え、
入力側から1,2,3番目の前記方向性結合器の結合位相強度(但し、結合位相強度=sin−1√(パワー結合率))と入力側から1,2番目の前記光路長差とが、それぞれπ/4、(π/3)−x、(π/12)+x、L、2L±λ/2、またはπ/4、(π/6)+x、(π/12)+x、L、−2L(0.03≦x≦0.10)であることを特徴とする光合分波器。 - チャンネル間隔が相互に等しく、チャンネルの中心波長のずれが前記チャンネル間隔の1/2である2個のアレイ導波路格子を、繰り返し周期が前記チャンネル間隔と等しい周期的透過スペクトルを有する導波路型周回性フィルタの2出力のそれぞれに縦列接続した光合分波器において、
前記導波路型周回性フィルタは、2本の光導波路と、該光導波路を3箇所の異なる位置にて結合する3個の方向性結合器とからなる構成を有し、
前記方向性結合器にそれぞれ挟まれた2箇所の前記光導波路に光路長差を与え、
入力側から1,2,3番目の前記方向性結合器の結合位相強度(但し、結合位相強度=sin−1√(パワー結合率))と入力側から1,2番目の前記光路長差とが、それぞれ(π/12)+x、(π/3)−x、π/4、2L±λ/2、L、または(π/12)+x、(π/6)+x、π/4、−2L、L(0.03≦x≦0.10)であることを特徴とする光合分波器。 - 前記方向性結合器のうち少なくとも1つが、結合率可変な方向性結合器であることを特徴とする請求項1または2に記載の光合分波器。
- 前記光路長差をあたえる2本の導波路のうち少なくとも一方に位相制御器を設けたことを特徴とする請求項1、2または3に記載の光合分波器。
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