JP3681405B2 - 癌関連遺伝子 - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は癌化により発現量が変化する遺伝子の発現産物を検出することを特徴とする、癌細胞の検出方法に関する。また本発明は癌化により発現量が変化する遺伝子及び該遺伝子産物に関する。
背景技術
癌は1981年以降日本における死因の1位を占め、中でも胃癌は最も頻度の高い癌である。近年正常細胞が癌になるまでの多段階発癌機構が存在することが知られてきており〔フィーロンE.R.(Fearon,E.R.)ら、セル(Cell)、第61巻、第759〜767頁(1990)、スギムラT.(Sugimura,T.)、サイエンス(Science)、第258巻、第603〜607頁(1992)〕、DNA修復遺伝子、癌抑制遺伝子、及び癌遺伝子を含む複数の遺伝子異常の蓄積が必要とされている。一般に、遺伝子の不安定性と癌抑制遺伝子の不活化は癌の発生に、癌遺伝子の活性化及び/又は増殖因子の過剰発現は癌の進展、悪性化に関与する。
遺伝子の不安定性には、DNAミスマッチ修復系の異常に関連した遺伝子の不安定性と染色体レベルの不安定性がある。前者の例としてゲノム中に存在する単純繰り返し配列の鎖長が同一人の癌部と非癌部で異なること(マイクロサテライト不安定性)〔シボドーS.N.(Thibodeau,S.N.)ら、サイエンス、第260巻、第816〜819頁(1993)〕、後者の例として、染色体間の転座が挙げられる。この染色体間の転座は、正常細胞では認められないタンパク質を発現させたり、正常細胞において発現しているタンパク質であっても、その発現量に影響を与える場合がある。実際、ヒトの慢性骨髄性白血病において、染色体間の転座により、bcr遺伝子とc-abl遺伝子の融合が起こり、正常細胞では存在しないbcr-abl融合遺伝子より転写されたハイブリッドmRNAの発現が確認された。更に、bcr-abl融合遺伝子を動物に導入すると白血病を発症することが確認された〔ワトソン(Watson,J.D.)ら著、組み換えDNAの分子生物学 第2版;丸善株式会社、第309頁(1992)〕。
癌抑制遺伝子の不活化としては、例えば、p53遺伝子の不活化が挙げられる。不活化の原因としては、遺伝子内の欠失かコード領域の特定の部分に起こる点突然変異によると考えられている〔ニグロJ.M.(Nigro,J.M.)ら、ネーチャー(Nature)、第342巻、第705〜708頁(1989)、マルキンD(Malkin,D.)ら、サイエンス、第250巻、第1233〜1238頁(1990)〕。また、p53遺伝子の欠失及び点突然変異は多くの種類の癌で観察され、例えば胃癌では早期癌の6割以上の症例に認められることから〔ヨコザキH.(Yokozaki,H.)ら、ジャーナル オブ キャンサー リサーチ アンド クリニカルオンコロジー(Journal of Cancer Research and Clinical Oncology)、第119巻、第67〜70頁(1992)〕、これらの変異の検出は、癌の早期検出に利用できると考えられる。
一方、p16/MTS1遺伝子はホモ欠失により不活化する遺伝子として知られておりグリオーマや膵癌、ぼうこう癌などで高頻度のホモ欠失が観察されている〔ケアンズP.(Cairns,P.)ら、ネーチャー ジェネティクス(Nature genetics)、第11巻、第210〜212頁(1995)〕。p16タンパク質は細胞周期を調節しておりp16発現異常は細胞の癌化に関与することが示唆されている〔オカモトA.(Okamoto,A.)ら、プロシーディングズ オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ USA(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)、第91巻、第11045〜11049頁(1994)〕。
癌遺伝子の活性化としては、例えば、癌遺伝子近傍における、ウィルスの挿入突然変異や、染色体間の転座が原因として挙げられる。例えば、トリ白血病ウィルスavian leukosis virus(ALV)によって起こる、ニワトリのリンパ腫において、ウィルスによる挿入突然変異が確認されている。この場合、ALVのDNAが遺伝子の一種であるc-mycの近傍に挿入され、ウィルスの強いエンハンサーとプロモーターにより、正常なc-mycが過剰発現したり、正常な遺伝子とは一部異なった新しい配列が発現されることが確認された。また、ある種のヒトB細胞の腫瘍では、染色体間の転座により、癌遺伝子の一つであるc-mycが免疫グロブリンの強い転写シグナルのもとに置かれ、そのmRNA発現量が増加することが確認されている。この場合、癌細胞におけるc-mycタンパク質は、正常細胞に発現している該c-mycタンパク質と差は認められず、癌化は、c-myc mRNA発現量の増加に起因していると考えられている〔ワトソン(Watson,J.D.)ら著、組み換えDNAの分子生物学 第2版;丸善株式会社、第305〜308頁(1992)〕。
増殖因子の過剰発現としては、例えば、肝細胞増殖因子レセプターをコードするC-Metの過剰発現が挙げられる。このC-Metの発現現象は、胃癌の発生初期から正常粘膜には認められない6.0kbの長さを有するmRNAの発現が見られたり〔クニヤスH.(Kuniyasu,H.)ら、インターナショナル ジャーナル オブ キャンサー(International Journal of Cancer)、第55巻、第72〜75頁(1993)〕、高頻度で見られ、遺伝子増幅と癌の悪性度に相関性が確認されている〔クニヤスH.ら、バイオケミカル アンド バイオフィジカル リサーチ コミュニケーションズ(Biochemical and Biophysical Research Communications)、第189巻、第227〜232頁(1992)〕。
遺伝子異常と癌の悪性度に相関が確認されている例として、上記c-Metのほか、癌遺伝子であるC-erbB2遺伝子の増幅及び/又はその過剰発現が、乳癌、卵巣癌、胃癌、子宮癌などにおいて〔ライトC.(Wright,C.)ら、キャンサー リサーチ(Cancer Research)、第49巻、第2087〜2090頁(1989)、サファリB.(Saffari,B.)ら、キャンサー リサーチ、第55巻、第5693〜5698頁(1995)〕、癌遺伝子K-sam遺伝子の増幅及び/又はその過剰発現が、胃癌の1組織型である低分化腺癌において〔タハラE.(Tahara,E.)ら著、ガストリック キャンサー,東京(Gastric Cancer,Tokyo)、スプリンガー社(Springer-Verlag)、1993年発行、第209〜217頁〕それぞれ確認されている。
このように癌の発生、進展に関与する遺伝子、及び該遺伝子異常に関する情報は増えてきており、生検材料からの遺伝子診断をすることにより、癌の早期診断や悪性度の判定に役立つことが予想される。しかし、発癌機構は多段階であり、複数の変異の蓄積が必要とされることから、癌化に関連する遺伝子についてはまだまだ未知の部分が多く、更なる研究が必要である。また近年、正常型のp53遺伝子を癌細胞に導入することにより、癌細胞の増殖を抑制する遺伝子治療も治験段階で行われており、癌抑制遺伝子の解明は診断のみならず遺伝子治療の可能性を生み出す。
したがって、本発明の第1の目的は、発癌の指標となりうる遺伝子、特に、細胞の癌化に伴い発現状態が変化する遺伝子を見出し、体外摘出試料における該遺伝子の発現量の測定に基づく癌化した細胞の検出方法、並びにその悪性度の判定方法を提供することにある。本発明の第2の目的は、上記癌細胞の検出方法及び/又は該細胞の悪性度の判定方法に使用されるキットを提供することである。本発明の第3の目的は発癌の指標となりうる遺伝子又は該遺伝子発現産物への特異的結合物を用いた癌細胞増殖の制御方法である。更に本発明の第4の目的は癌化に関連した新規なペプチド、及び該ペプチドをコードする核酸を提供することにある。
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は体外摘出試料中の癌細胞の検出方法に関する発明であって、配列表の配列番号:1〜16のいずれかに示される塩基配列を含有するDNA又は配列表の配列番号:1〜16のいずれかに示される核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAをcDNAとする遺伝子から選択される遺伝子の発現量の変化を、例えばmRNAの発現量の変化、タンパク質の発現量の変化により調べることを特徴とする。
本発明の第2の発明は、本発明の検出方法により癌を検出するためのキットに関する発明であって、発現量の変化の指標となるmRNAを増幅するためのプライマー、又は該mRNAにハイブリダイズするプローブ、あるいは発現量の変化の指標となるタンパク質を認識する抗体のいずれかを構成の必須要件とすることを特徴とする。
本発明の第3の発明は遺伝子又は遺伝子発現産物の特異的結合物を用いた癌細胞の増殖制御方法であって、遺伝子cDNAが配列表の配列番号:1〜16のいずれかに示される塩基配列を含有するDNA又は配列表の配列番号:1〜16のいずれかに示されるDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAであることを特徴とし、該遺伝子の転写制御及び/又は発現産物の機能制御等からなる。
本発明の第4の発明は、癌の検出に利用できるペプチド及び該ペプチドをコードする核酸に関する発明であって、配列表の配列番号:17〜19に示されるアミノ酸配列の全部又はその一部を含有するアミノ酸配列からなるペプチド及び該ペプチドをコードする核酸であることを特徴とする。
本発明の第5の発明は、上記第4の発明のペプチドを認識する癌の検出に利用できる抗体に関する。
なお、本明細書において、「体外摘出試料」とは、血液、尿、糞便、外科的手法により摘出した組織等を指す。一方、「癌関連遺伝子」とは、細胞の癌化に伴い発現状態が変化する遺伝子を指す。
発明の開示
本発明者らは、上記目的を達成するために癌患者の癌組織及び対照正常組織における、遺伝子の細胞内発現量を個別に比較することにより、癌関連遺伝子を見出し、該遺伝子の発現量の比較により、癌細胞の検出が可能であることを見出した。また該癌関連遺伝子中に新規遺伝子を見出し、本発明を完成するに至った。
なお本明細書における「癌組織」及び「対照正常組織」とは、多細胞からなる個体において癌病変部を構成する組織及び同一の個体において癌組織と空間的に同一の領域を構成し且つ正常な機能を営んでいる組織を意味する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、癌関連遺伝子をDD法にて検出した場合の、得られたDNA断片の電気泳動のパターンを示すオートラジオグラムの図である。
第2図は、癌関連遺伝子mRNAの発現量の変化を、ノーザンハイブリダイゼーション法により検出した場合の、RNAを電気泳動後、目的mRNAに標識プローブをハイブリダイズさせることにより得られたオートラジオグラムの図である。
第3図は、癌関連遺伝子の発現変化を、RT−PCR法により検出した場合の、得られたDNA断片の電気泳動のパターンを示す図である。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の第1の発明は、癌関連遺伝子の発現量を指標した癌細胞検出方法を提供する。
本発明にかかわる、癌化の指標となりうる遺伝子は、細胞の癌化に伴ってその発現状態が変化する、言い換えれば、その発現が有意に誘導、あるいは抑制される遺伝子である。このような遺伝子は、例えば、ゲノム中の遺伝子のコピー数や染色体の転座のパターンの解析のほか、正常細胞と癌化した細胞における遺伝子産物の発現量を比較し、両細胞間で差異のあるものを特定することにより検出することができる。遺伝子産物としては、例えば、遺伝子より転写されるmRNAや翻訳産物であるタンパク質が挙げられる。本発明における癌関連遺伝子の検出においては、遺伝子操作技術の進歩に伴い、その解析に様々な手法が開発されているmRNAの発現量を指標とするのが効率的である。mRNAの発現量を指標にした遺伝子発現量の変化を確認する手法としてはサブトラクティブハイブリダイゼーション法〔ツィムメルマンC.R.(Zimmermann.C.R.)ら、セル、第21巻、第709〜715頁(1989)〕、リプレゼンテーション ディファレンス アナリシス(Representational Difference Analysis)(RDA)法〔リシツィンN.(Lisitsyn,N.)ら、サイエンス、第259巻、第946〜951頁(1993)〕、分子インデックス法(特開平8−322598号)、ディファレンシャルディスプレイ(DD)法〔ライアンP.(Liang,P.)、及びパーディーA.B.(Pardee,A.B.)、サイエンス、第257巻、第967〜971頁(1992)〕等があるが、DD法は操作が簡便であり、本発明における遺伝子のスクリーニングに適している。以下、本発明で利用したDD法を用いた癌関連遺伝子のスクリーニング方法について、詳細に説明する。
まず、比較したい癌組織と対照正常組織より個別に抽出されたRNAを各々DNase処理することによりゲノムDNAを除いた粗RNA試料と、オリゴ(dT)アンカープライマー、及び逆転写酵素reverse transcriptase(RTase)を用いた逆転写反応によりmRNAをcDNAに変換する。その後、オリゴ(dT)アンカープライマーと種々のランダムプライマーを組合せたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により核酸増幅を行う。
次に、比較すべき組織より個別に得られたPCR増幅産物を、同一プライマー対の組合せから得られた増幅産物毎にポリアクリルアミド電気泳動を行い、そのバンドパターンを比較し、正常及び癌細胞間で差異のあるバンドを見出す。このバンドをゲルより切り出し、バンド中に含まれる核酸を抽出することにより、癌関連遺伝子mRNAの一部領域に相補的であると思われるDNA断片を得ることができる。
次に、上記DD法で得られた該DNA断片により、真に癌関連遺伝子mRNAの発現量の変化を確認できるか検討する。癌組織より正常組織の方がmRNAの発現量が高いと確認された場合、該癌関連遺伝子は癌化により発現量が低下する遺伝子と判断する。一方、正常組織より癌組織の方がmRNAの発現量が高いと確認された場合、該癌関連遺伝子は癌化により発現が増幅される遺伝子と判断する。
mRNAの発現量の確認は、例えば、得られた該DNA断片を標識し、これを検出用プローブとして癌組織及び対照正常組織より抽出された粗RNA試料に対しノーザンハイブリダイゼーションを行い、得られるシグナル強度の差をデンシトメーター等を用いて確認することにより実施することができる。すなわち、シグナル強度が強いほどmRNAの発現量が高いと判断できる。例えば、オートラジオグラム等で得られるバンドの体積値〔IOD(Integrated optical density)〕としてシグナル強度を表す事ができ、該IOD値が大きいほど該バンドを与えるmRNAの発現量が高いと判断出来る。
mRNAの発現量が低くノーザンハイブリダイゼーション解析でmRNAの発現の変化を確認できない場合は、上記DD法で得られた、癌関連遺伝子より発現したと推定されるmRNAを鋳型とした増幅DNA断片より作製したRNAをプローブとして用いた、より感度の高いRNaseプロテクションアッセイ〔クリーグP.A.(Krieg,P.A.)、及びメルトンD.A.(Melton,D.A.)、メソッズ イン エンザイモロジー(Methods in Enzymology)、第155巻、第397〜415頁(1987)〕により確認することも可能である。本方法は、一本鎖RNAには切断活性を示すが、二本鎖RNAには切断活性を示さない基質特異性を有するRNaseを利用する。すなわち、検出対象となるmRNAと過剰量のプローブを正常組織より抽出した粗RNA試料及び癌組織由来粗RNA試料に添加し、対象となるmRNAと添加プローブとのハイブリッドを形成させ上記基質特異性を有するRNaseを作用させる。mRNAの発現量の確認は、上記RNase消化後の残存二本鎖RNA量を測定することにより実施することができる。すなわち、残存二本鎖RNA量が多いほどmRNAの発現量が高いと判断できる。
また、上記DD法で得られた、癌関連遺伝子より発現したと推定されるmRNAを鋳型とした増幅DNA断片の塩基配列を、PCRダイレクトシークエンシング〔エーリッヒH.A.(Erlich,H.A.)著、PCRテクノロジー(PCR Technology)、ストックトン プレス(Stockton Press)1989年発行、第45〜60頁〕や、TAクローニング〔ミードD.A.(Mead,D.A.)ら、バイオ/テクノロジー(Bio/Technology)、第9巻、第657〜663頁(1991)〕と通常の塩基配列決定法を組合せることにより決定し、その塩基配列情報を基に設計した増幅プライマーを用いたRT−PCR法による増幅産物量の比較によりmRNAの発現量を確認することも可能である。すなわち、得られた増幅産物の量が多いほど、mRNAの発現量が高いと判断できる。
なお、上記DD法で得られた、癌関連遺伝子より発現したと推定されるmRNAを鋳型とした増幅DNA断片は、必ずしも、癌関連遺伝子mRNA全長に相補的なcDNAではない。癌関連遺伝子cDNAを得るためには、例えば、スクリーニングに用いた組織のcDNAライブラリィを作成し、上記DD法で得られた、癌関連遺伝子により発現したと推定されるmRNAを鋳型とした増幅DNA断片を標識し、これを検出用プローブとしてプラークハイブリダイゼーションを行うことにより癌関連遺伝子cDNAクローンを単離することができる。
本発明者らは、胃癌組織と対照の正常組織を用い、上記の方法により、14種の癌関連遺伝子cDNAの一部塩基配列をそれぞれ含むDNA断片を単離することに成功した。こうして得られたDNA断片の塩基配列を含有する塩基配列で示されるcDNAに対応するmRNAを発現する遺伝子を、それぞれCA11、CA13、CC24、GG24、AG26、GC31、GC32、GC33、GG33、CC34、GC35、GC36、CA42、CC62と命名した。表1に、14種類の癌関連遺伝子各cDNAの塩基配列において今回塩基配列を決定した領域の塩基配列を示した配列表の配列番号と、本発明者らが命名した上記遺伝子名との対応を示す。
上記癌関連遺伝子は、癌化により発現量が減少するものと増加するものとに大別することができる。前者としてはCA11、AG26、GC35、GC36、CC62、また後者としてはCA13、CC24、GG24、GC31、GC32、GC33、GG33、CC34、CA42が挙げられる。
上記のようにして得られた各遺伝子の発現量の比較により、癌細胞の検出を行うことができる。この場合、指標となる癌関連遺伝子は、上記遺伝子より適宜選択すればよく、1種類であっても、また、数種の組合せであってもよい。また癌細胞検出の指標とする癌関連遺伝子は、上記14種の遺伝子に特に限定されず、細胞の癌化により該遺伝子発現量が異なれば、配列表の配列番号:1〜16のいずれかに示されるDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAをcDNAとする遺伝子であってもよい。
本明細書におけるハイブリダイズ可能な条件とは、例えばDNAを固定したナイロン膜を、6×SSC(1×SSCは塩化ナトリウム8.76g、クエン酸ナトリウム4.41gを1リットルの水に溶かしたもの)、1% SDS、100μg/mlサケ精子DNA、0.1% ウシ血清アルブミン、0.1% ポリビニルピロリドン、0.1% フィコールを含む溶液中で65℃にて20時間プローブと共に保温してハイブリダイゼーション可能であることをいう。
実際、本発明においても上記性質を有する遺伝子の存在が確認された。CC34遺伝子cDNAの塩基配列中には配列表の配列番号:10に示す塩基配列が存在するが、該配列の塩基番号935のTがAに置換、及び3’末端のGTTAAGの配列からなる6塩基が欠失した塩基配列で示されるDNAが、正常組織より調製したRNAと癌組織より調製したRNAを用いたDD法において増幅量の異なるDNA断片として得られた。この増幅DNA断片には配列表の配列番号:10に示すDNAがハイブリダイズ可能である。従って、本発明におけるDD法において得られた該DNA断片を与えるmRNAを発現する遺伝子も、本発明における癌細胞を検出するための癌関連遺伝子に包含される。
癌細胞であるか否かの判定は、まず、複数の正常組織を用い、適当な検出方法により癌化の指標とする癌関連遺伝子の発現量の正常域値を確認し、次に体外摘出試料における癌関連遺伝子の発現量を測定し、正常域値と比較することにより実施する。すなわち指標となる癌関連遺伝子が、癌化により発現が抑制される場合、体外摘出試料において、該癌関連遺伝子の発現が確認されない、あるいは該癌関連遺伝子の発現量が正常域値より低ければ、癌陽性であると判定する。一方、指標とする癌関連遺伝子が、癌化により発現が増幅される場合、該癌関連遺伝子の発現量が正常域値より高ければ、癌陽性であると判定する。癌関連遺伝子の発現量の比較には、該遺伝子より発現されたmRNAの量又はタンパク質の量のいずれを用いてもよい。なお、本明細書における正常域値は、適当な検出方法により求めた複数の正常組織における癌関連遺伝子の発現量を基に以下の式で表わされる。
式1
〔正常域値〕
=〔正常組織における癌関連遺伝子発現量の平均値〕±2×〔標準偏差〕
上記正常域値には計算上、癌関連遺伝子発現量を測定した正常組織の95%が包含されることになる。
mRNAを利用した検出方法としては、例えば、RT−PCR法、RNaseプロテクションアッセイ法、あるいはノーザンハイブリダイゼーション法が挙げられる。
RT−PCR(Reverse transcribed−Polymerase chain reaction)法とは、mRNAを鋳型とし、逆転写酵素反応によりcDNAを合成後、PCRによる核酸増幅を行う方法[Kawasaki,E.S.,et al.,Amplification of RNA.In PCR Protocol,A Guide to methods AND applications,Academic Press,Inc.,SanDiego,21-27(1991)]であるが、本発明において、核酸増幅反応は特に限定されず、ストランド ディスプレースメント アンプリフィケーション(Strand Displacement Amplification)(SDA)法〔ウォーカーG.T.(Walker,G.T.)ら、ヌクレイック アシッズ リサーチ(Nucleic Acids Res.)、第20巻、第1691〜1696頁(1992)〕、ヌクレイック アシッド シークェンス−ベースド アンプリフィケーション(Nucleic Acid Sequense-Based Amplification)(NASBA)法〔コムプトンJ.(Compton,J.)、ネーチャー、第350巻、第91〜92頁(1991)〕等であってもよく、その反応条件も特に限定されない。また、癌関連遺伝子cDNAの増幅領域は、必ずしもcDNA全長である必要はなく、増幅産物の確認に支障が無ければ、該cDNAの一部領域であってもよい。核酸増幅反応に使用するプライマー対は、該cDNAのみを特異的に増幅するように設計するのが好ましいが、該領域の増幅産物の確認に支障が無ければ、検出対象以外のcDNAを増幅しても構わない。なお本明細書における「プライマー」とは、DNAポリメラーゼによるプライマー伸長生成物の合成が開始される条件、即ち、適切な緩衝溶液(緩衝溶液はpH、イオン強度、補因子等で決定される)中に4種類の異なるヌクレオチドトリフォスフェート及びDNAポリメラーゼの存在下、適切な温度において、鋳型核酸にハイブリダイズした場合に、DNA合成の開始点として作用する事が出来るオリゴヌクレオチドを指し、典型的には10〜30個のヌクレオチドを含む。例えば本明細書におけるCA11遺伝子の場合、前者のプライマー対として配列表の配列番号:20及び21で示されるDNAの組み合わせを例示する事が出来る。なお、本明細書における増幅産物の確認における支障とは、例えば、増幅DNA断片をアガロースゲル電気泳動に供した後、ゲルをエチジウムブロマイド(EtBr)染色し確認する場合、核酸増幅反応により、同程度の塩基数を有する増幅DNA断片が多数生じ、各増幅DNA断片の分離が不完全となり、検出対象となる癌関連遺伝子mRNAに対応する増幅DNA断片の存在量が確認できない場合が挙げられる。
増幅DNA量は、例えば、上記核酸増幅反応液をアガロースゲル電気泳動に供した後、目的増幅断片に特異的にハイブリダイズする標識プローブを用い、検出されるバンドの位置とそのシグナル強度により確認できる。したがって、体外摘出試料より抽出した一定量の粗RNA試料を用いて得られる該シグナル強度が強いほど、検出対象とした癌関連遺伝子の発現量が高いと判定できる。該プローブの標識は特に限定されず、例えば、32Pに代表される放射性物質のほか、フルオレセインに代表される蛍光物質を用いることができる。シグナル強度は、例えば上記方法により得られるオートラジオグラム或いは蛍光イメージ上のバンドのIODにより表す事ができる。
一方、十分量の増幅産物が得られる場合には、アガロースゲル電気泳動を行った後、ゲルをEtBr染色し、増幅DNA断片の位置とその蛍光強度により確認することも可能である。したがって、該蛍光強度が高いほど、検出対象とした癌関連遺伝子の発現量が高いと判断できる。また蛍光強度の代わりに蛍光イメージ上のバンドのIODにより癌関連遺伝子の発現量を判断してもよい。
より正確な判定を行うには、増幅の程度を数値化する必要がある。例えば、核酸増幅反応の段階において、定量的PCR法(特表平5−504886号)の適用により、その目的を達成することができる。代表的な方法は目的遺伝子の増幅に用いるプライマー塩基配列を両端に有し、内部配列や大きさが異なる既知量の核酸を内部標品として添加しPCR反応で増幅し、目的物の最終増幅量の内部標品の最終増幅量に照らして目的の遺伝子量を推定するものである。本発明において、内部標品は、外部よりの添加標品に限定されず、正常組織及び癌組織において同等に発現している遺伝子のmRNAを鋳型としたcDNAを用いても良い。このようなcDNAとして、例えば、細胞骨格の構成成分であるβ−アクチン遺伝子cDNAを挙げることができる。
例えば、胃癌組織細胞より抽出した粗RNA試料を用いたRT−PCR法において、配列表の配列番号:20及び21の塩基配列を有する合成オリゴヌクレオチドを核酸増幅反応用のプライマー対とした場合、第3図の(a)に示すように、本明細書におけるCA11遺伝子のcDNA塩基配列のうち配列表の配列番号:1において塩基番号46〜411で示される塩基配列領域のみを増幅することが可能である。
RNaseプロテクションアッセイによる癌関連遺伝子発現量の測定は、体外摘出試料より抽出された一定量の粗RNA試料に、検出対象となる癌関連遺伝子mRNA又はその一部と特異的にハイブリダイズする過剰量のRNAであるプローブを添加し、更にRNase消化した後の残存RNA量を測定することにより実施することができる。すなわち、該残存RNA量が多いほど、癌関連遺伝子の発現量が高いと判断できる。
なお、該方法で用いるプローブは、例えば、80%ホルムアミド、40mM Pipes(pH6.4)、400mM NaCl、1mM EDTAからなるハイブリダイゼーション緩衝液中45℃、20時間保温してハイブリダイズ可能であり、かつ、検出対象となる癌関連遺伝子mRNAに特異的な塩基配列に相補的な塩基配列を有しているRNAであれば特に限定されない。また、該プローブの標識も特に限定されず、例えば、32Pに代表される放射性物質のほか、フルオレセインに代表される蛍光物質を用いることができる。
ノーザンハイブリダイゼーション法による癌関連遺伝子発現量の測定は、試料組織より抽出された一定量の粗RNA試料を分子量等による分画後ナイロンフィルター等に固定し、検出対象となる癌関連遺伝子mRNAと過剰量の該遺伝子検出用プローブを接触させ、固定化されたRNAにハイブリダイズしたプローブより得られるシグナル強度を測定することにより実施することができる。すなわち、該シグナル強度が強いほど、癌関連遺伝子の発現量が高いと判断できる。
なお、該方法においてハイブリダイズするとは、例えば、50%ホルムアミド、0.65M NaCl、0.1Mナトリウム−Pipes、5×デンハート液、0.1%SDS、5mM EDTAからなるハイブリダイゼーション緩衝液中42℃、20時間保温してハイブリダイズ可能であることを指す。検出用プローブは、検出対象となる癌関連遺伝子mRNAに特異的な塩基配列に相補的な塩基配列を有する核酸であることが好ましいが、RNAの検出において数カ所にシグナルが得られるような塩基配列であっても、シグナル位置により検出対象mRNAを特定することができれば、特に限定されない。該プローブの標識も特に限定されず、例えば、32Pに代表される放射性物質のほか、フルオレセインに代表される蛍光物質を用いることができる。
第2図に、癌関連遺伝子mRNAの発現量の変化を、ノーザンハイブリダイゼーション法により検出した一例を示す。なお該図は、癌組織及び対照正常組織より得られたRNAを個別に電気泳動後、本明細書におけるCA11遺伝子mRNA検出用標識プローブをハイブリダイズさせることにより得られたオートラジオグラムを再現した写真である。
また、癌関連遺伝子の発現量の変化を、タンパク質を指標に確認する際には、該タンパク質の生物活性により確認することも可能であるが、本発明においては、その簡便さより、該タンパク質に対する抗体を用いた検出が好適である。
本発明における抗体とは、癌関連遺伝子にコードされるタンパク質に特異的に結合する抗体である。したがって、体外摘出試料より抽出した一定量の粗タンパク質に対し、該抗体の結合量が多ければ、該癌関連遺伝子の発現量が高いと判断できる。
該抗体を得るための抗原としてのタンパク質は、該遺伝子を発現している癌細胞より精製し得ることもできるが、遺伝子工学手法を用いることにより得ることもできる。例えば、該タンパク質をコードする核酸は、上記、DD法及び目的タンパク質を発現している細胞より調製したcDNAライブラリーのスクリーニングの組合せにより得ることができる。目的タンパク質は、得られたcDNAを適当な発現ベクターに組込み、適当な宿主中で発現させることにより得ることができる。更に、本タンパク質は、融合タンパク質として発現させてもよい。例えば、目的タンパク質の発現量を増加させるために他のタンパク質由来のN末端又はC末端に適当なペプチド鎖を付加して発現させ、このペプチド鎖に親和性を持つ担体を使用することにより目的タンパク質の精製を容易にすることができる。
また、抗体を得るための抗原は、必ずしも該タンパク質全体を用いなくともよく、抗体が認識可能な、該タンパク質に特異的なアミノ酸配列領域を有するペプチドであってもよい。
なお該抗体の取得法は、例えば、常法により、ペプチドをアジュバンドと共に動物に免疫させることにより、抗血清として得ることができる。また、ガルフレらの方法[Galfre,G.ら、ネーチャー、第266巻、第550〜552頁(1977)〕により、モノクローナル抗体として得ることもできる。
抗体を用いたタンパク質の検出方法としては、例えば、ウェスタンブロット法が挙げられる。
本方法は、細胞を界面活性剤で処理して細胞内タンパク質を溶解後、該タンパク質を、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動で分離させた後ニトロセルロース膜などに転写し特異抗体によって検出する方法である。タンパク質と結合した抗体は、例えば、25I−標識プロテインA、ペルオキシダーゼ結合抗IgG抗体などを用いて二次的に検出することができる。
本発明の第2の発明は、癌細胞検出用キットを提供する。すなわち、本発明の第1の発明である、癌細胞の検出方法を利用することにより、癌細胞検出用キットを提供することができる。具体的には、細胞内における、癌関連遺伝子の発現量の変化を検出する方法において、該遺伝子より発現されるmRNAの量あるいはタンパク質の量を指標に検出するキットが例示される。
mRNAの発現量を指標とし、上記癌細胞検出方法に記載の核酸増幅法を用いた検出方法により癌細胞を検出するためのキットの場合、配列表の配列番号:1〜16のいずれかに示される塩基配列を含有する塩基配列で示されるDNA又は配列表の配列番号:1〜16のいずれかに示されるDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAをcDNAとするmRNAを検出可能な、上記、癌細胞の検出方法で述べた性質を有するプライマー対を構成の必須要件とする。例えば、検出方法にRT−PCRを利用した本発明におけるキットは、上記プライマー対の他に、逆転写酵素、dNTP、耐熱性DNAポリメラーゼが組み込まれていてもよい。なお本キットにより検出される癌関連遺伝子の種類及びその数は特に限定されない。従って本キットを構成するプライマー対も特に限定されなく、検出対象とする癌関連遺伝子の種類及びその数により適宜選択すればよい。
本発明の癌関連遺伝子cDNAを鋳型とし、その一部領域のみを特異的に増幅させるプライマー対の一例を、表2に示す。各表のプライマー対において、アルファベットと数字を組合せた記号は、本発明におけるプライマー名称を、各記号に付した括弧内の数字は、各プライマーの塩基配列を示した、配列表の配列番号を示す。なお、表2に示したβ−アクチンは、体外摘出試料より抽出した粗RNA試料中の癌関連遺伝子mRNAの定量を目的とした内部標準として選択した遺伝子である。
一方、mRNAを指標とし、RNaseプロテクションアッセイやノーザンハイブリダイゼーション法を用いた検出方法により癌細胞を検出するためのキットの場合、cDNAが配列番号:1〜16のいずれかに示される塩基配列を含有する塩基配列で示されるDNA又は配列表の配列番号:1〜16のいずれかに示されるDNAがストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAである癌関連遺伝子のmRNAを検出可能な、上記、癌の検出方法で述べた性質を有するプローブを構成の必須要件とする。例えばRNaseプロテクションアッセイを利用したキットの場合、上記プローブの他、RNase、RNase用濃縮反応液などが組み込まれていてもよい。本キットにより検出される上記癌関連遺伝子の種類又は数は特に限定されない。従って本キットを構成するプローブも検出対象の癌関連遺伝子の種類及びその数により適宜選択すればよく特に限定されない。
一方、タンパク質を指標とし、抗体を用いた検出方法により癌細胞を検出するためのキットの場合、配列番号:1〜16のいずれかに示される塩基配列を含有する塩基配列で示されるDNA又は配列表の配列番号:1〜16のいずれかに示されるDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAの塩基配列を含有する塩基配列で示されるDNAにコードされるペプチドに対し、個別に特異的に結合する、上記癌細胞検出方法に記載の性質を有する抗体を構成の必須要件とする。本キットにより検出される癌関連遺伝子の種類及び数は特に限定されない。従って本キットを構成する抗体は、検出する癌関連遺伝子の種類及び数により適宜選択すればよく、特に限定されない。
かかるキットを用いることにより簡単に癌細胞を検出することができる。従って、該キットを用いて、癌関連遺伝子の発現量の測定に基づく癌の診断が可能となる。即ち該キットを用いた癌細胞の検出方法により癌細胞の存在が確認されたヒトは癌陽性であると判断する事ができる。
本発明の第3の発明は、癌関連遺伝子又は該遺伝子発現産物への特異的結合物を用いた癌細胞の増殖制御方法である。本明細書における特異的結合物とは、核酸、抗体、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)等を挙げることが出来る。
例えば、慢性骨髄性白血病によく検出されるbcr-ablキメラ蛋白質は高いチロシンキナーゼ活性を有し白血病の発生、増殖に重要な役割を演じている。本キメラ蛋白質をコードする遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドはin vivoで本遺伝子発現腫瘍の増殖を抑制することができる(Skorski,T.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91 4504 1994)。一方、従来から癌細胞に特異的に発現される蛋白質の癌特有なペプチドは、癌細胞に対するT細胞免疫応答の標的となることが知られており、この融合蛋白質の融合部近傍のペプチドで免疫することで本融合蛋白質に反応性のT細胞が得られる(Chen,W.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89,1468 1992)。その実施方法としては例えば以下の報告に述べられている技術が利用できる。すなわち、ヒトT細胞において第12番アミノ酸グリシンを他のアミノ酸に置換したrasペプチドに特異的に反応し、HLA-DRの拘束性を有するCD4+T細胞が分離され(Jung,S.J.Exp.Med.173,273 1991)、61番アミノ酸に変異をもつras蛋白質を産生できる組み替えワクシニアウイルスで免疫されたマウスから、その変異部位を含む8アミノ酸からなるペプチドに対するCTLを誘導できる(Skipper,J.J.Exp.Med.177,1493 1993)。さらに、遺伝子組み替えで作製した可溶性変異ras蛋白質で免疫したマウスでは同一変異を持った癌細胞のin vivoでの増殖が抑制され(Fenton,R.G.J.Natl.Cancer Inst.85,1294 1993)、変異rasペプチドで感作した脾臓細胞から、同一の変異rasを発現している癌細胞に細胞障害活性を示すCTLが得られる(Peace,D.J.J.Exp.Med.179,473 1994)。
従って、本発明において細胞の癌化と関連が認められた遺伝子についても同様のアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用する事により細胞増殖を制御出来る可能性がある。更に癌化により発現量が増加すると考えられる遺伝子にコードされる蛋白質に反応性のT細胞が得られれば、該蛋白質を高発現している細胞の増殖を抑制することが可能となる。
本発明の第4の発明は、癌検出に利用できる新規なペプチド及び該ペプチドをコードする核酸を提供する。本発明者らにより、明らかにされた癌関連遺伝子において、遺伝子の塩基配列情報を収録したデータベースを用いたホモロジー検索により、CA11、CA13、GG33、GC35、GC36、CA42を除くものは既に単離、同定された遺伝子であることが明らかとなった。すなわちCC24はチトクロームcオキシダーゼ サブユニットI遺伝子〔ホーライS.(Horai,S.)ら、プロシーディングズ オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ USA、第92巻、第532〜536頁(1995)〕、AG26はp190−B遺伝子〔バーベロP.D.(Burbelo,P.D.)ら、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(Journal of Biological Chemistry)、第270巻、第30919〜30926頁(1995)〕、GC31はチトクロームcオキシダーゼ サブユニットII遺伝子〔パワーM.D.(Power,M.D.)ら、ヌクレイック アシッズ リサーチ、第17巻、第6734頁(1989)〕、GC32はチトクロームb遺伝子〔アンダーソンS.(Anderson,S.)ら、ネーチャー、第290巻、第457〜465頁(1981)〕、GC33はインテグリン α 6 サブユニット遺伝子〔タムラR.N.(Tamura,R.N.)ら、ジャーナル オブ セル バイオロジー(Journal of Cell Biology)、第111巻、第1593〜1604頁(1990)〕、GG24はF1−ATPエース β サブユニット遺伝子〔オータS.(Ohta,S.)ら、ザ ジャーナル オブ バイオケミストリー(The Journal of Biochemistry)、第99巻、第135〜141頁(1986)〕、CC62はラクトフェリィン遺伝子〔レイM.W.(Rey,M.W.)ら、ヌクレイック アシッズ リサーチ、第18巻、第5288頁(1990)〕に相当しており、一方、CC34cDNAクローンは16SrRNAをコードするcDNAの塩基配列〔ホーライS.ら、プロシーディングズ オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ USA、第92巻、第532〜536頁(1995)〕の一部領域と7塩基が異なるクローンであった。なお、これらの遺伝子については発癌との関連は知られていない。
一方、CA11、CA13、GG33、GC35、GC36、CA42、の各遺伝子については、各遺伝子cDNAにおいて今回解析した領域その塩基配列、及びそこにコードされるアミノ酸配列と同一の配列、あるいはこれらとホモロジーのある配列も報告されていない。すなわちCA11、CA13、GG33、GC35、GC36、CA42の各遺伝子cDNAの塩基配列において、本発明により明らかにした塩基配列を有する核酸は、本発明者らによって始めて単離された新規な核酸である。
表1に示すように、配列表の配列番号:1、2、及び13に示す塩基配列からなる、本発明における新規な核酸にコードされるペプチドは、該塩基配列より、それぞれ配列表の配列番号:17、18、及び19に記載のアミノ酸配列からなると推定されるが、これらに限定されるものではない。すなわち、▲1▼配列表の配列番号:17〜19のいずれかに記載のアミノ酸配列の全部又は一部を含むペプチド、▲2▼配列表の配列番号:17〜19のいずれかに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が付加、欠失若しくは置換されており、かつ細胞の癌化により発現量が変化するペプチドも包含する。それは、以下の理由による。
天然に存在するタンパク質にはそれをコードする遺伝子の多型や変異のほか、生成後のタンパク質の生体内及び精製中の修飾反応などによってそのアミノ酸配列中にアミノ酸の欠失、挿入、付加、置換等の変異が起こりうる。しかしこのような変異が該タンパク質の活性や構造の保持に関して重要でない部分に存在する場合には、変異を有しないタンパク質と実質的に同等の生理、生物学的活性を示すものがあることが知られているからである。
また、人為的にタンパク質のアミノ酸配列に上記のような変異を導入した場合も同様であり、この場合には更に多種多様の変異体を作製することが可能である。例えば、ヒトインターロイキン2(IL−2)のアミノ酸配列中のあるシステイン残基をセリンに置換したポリペプチドがインターロイキン2活性を保持することが知られている〔ワングA.(Wang,A.)ら、サイエンス、第224巻、第1431〜1433頁(1984)〕。したがって、本発明によって開示されたアミノ酸配列に1若しくは数個のアミノ酸残基の欠失、挿入、付加、置換が生じたアミノ酸配列によって示されるものであっても、癌化による発現量の変化に差異が見られないものであれば本発明の範囲内に属するものである。
更に、ある種のタンパク質は、活性には必須でないペプチド領域を有していることが知られている。例えば細胞外に分泌されるタンパク質に存在するシグナルペプチドや、プロテアーゼの前駆体等に見られるプロ配列などがこれに当り、これらの領域のほとんどは翻訳後、あるいは活性型タンパク質への転換に際して除去される。このようなタンパク質は一次構造上は異なった形で存在しているが、最終的には同等の機能を発現するタンパク質である。
遺伝子工学的にタンパク質の生産を行う場合には、目的のタンパク質のアミノ末端、あるいはカルボキシル末端に該タンパク質の活性とは無関係のペプチド鎖が付加されることがある。例えば、目的のタンパク質の発現量を上げるために、使用される宿主中で高発現されているタンパク質のアミノ末端領域の一部を目的のタンパク質のアミノ末端に付加した融合タンパク質が作製されることがある。あるいは発現されたタンパク質の精製を容易にするために、特定の物質に親和性を有するペプチドを目的のタンパク質のアミノ末端、あるいはカルボキシル末端に付加することも行われている。これらの付加されたペプチドは目的タンパク質の活性に悪影響を及ぼさない場合には付加されたままであってもよく、また必要であれば適当な処理、例えばプロテアーゼによる限定分解などによって目的タンパク質から除去できるようにすることもできる。
上記したような、そのタンパク質の機能には必須でないペプチドを保持した、あるいは付加されたものであっても、同等の機能を発現できる限りにおいては本発明のタンパク質の範囲内に属するものである。なお、本明細書において「ペプチド」とは、2以上のアミノ酸がペプチド結合によってつながったものを示し、「タンパク質」として記載されているものを包含する。
本発明における新規な核酸の一部は、配列表の配列番号:17〜19のいずれかに記載のアミノ酸配列を有するペプチドをコードする核酸からなるものであり、その塩基配列は、表1に示すように、例えば、配列表の配列番号:1、2及び13のいずれかに記載の塩基配列が挙げられる。すなわち、配列表の配列番号:17に記載のアミノ酸配列を有するペプチドは、配列表の配列番号:1に示す塩基配列の塩基番号3〜584に、配列表の配列番号:18に記載のアミノ酸配列を有するペプチドは、配列表の配列番号:2に示す塩基配列の塩基番号1698〜1850に、配列表の配列番号:19に記載のアミノ酸配列を有するペプチドは、配列表の配列番号:13に示す塩基配列の塩基番号8〜196にそれぞれコードされているが、本発明における新規なペプチドをコードする核酸はこれらに限定されない。すなわち、▲1▼配列表の配列番号:17〜19にいずれかに記載のアミノ酸配列の全部又は一部を含むペプチドであって、癌細胞の検出に利用することができるペプチドをコードする核酸、▲2▼本発明の新規核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能な、細胞の癌化によってその発現量が変化するペプチドをコードする核酸、▲3▼配列表の配列番号:17〜19にいずれかに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が付加、欠失若しくは置換されており、かつ発現量の変化で癌細胞の検出に利用できるペプチドをコードする核酸等も本発明の範囲内である。
本明細書に記載の「アミノ酸配列をコードする核酸」なる用語について説明する。遺伝子上でアミノ酸を指定するコドン(3つの塩基の組合せ)はアミノ酸の種類ごとに1〜6種類ずつが存在することが知られている。したがって、あるアミノ酸配列をコードする核酸はそのアミノ酸配列にもよるが多数生存することができる。遺伝子は自然界において決して安定に存在しているものではなく、その塩基配列に変異が起こることはまれではない。遺伝子上に起こった変異がそこにコードされるアミノ酸配列には変化を与えない場合(サイレント変異と呼ばれる)もあり、この場合には同じアミノ酸配列をコードする異なる核酸が生じたといえる。したがって、ある特定のアミノ酸配列をコードする核酸が単離されても、それを含有する生物が継代されていくうちに同じアミノ酸配列をコードする多種類の核酸ができていく可能性は否定できない。更に同じアミノ酸配列をコードする多種類の核酸を人為的に作製することは種々の遺伝子工学的手法を用いれば困難なことではない。例えば遺伝子工学的なタンパク質の生産において、目的のタンパク質をコードする本来の核酸上で使用されているコドンが宿主中では使用頻度の低いものであった場合には、タンパク質の発現量が低いことがある。このような場合にはコードされているアミノ酸配列に変化を与えることなく、コドンを宿主で繁用されているものに人為的に変換することにより、目的タンパク質の高発現を図ることが行われている(例えば特公平7−102146号)。このように特定のアミノ酸配列をコードする多種類の核酸は人為的に作製可能なことはいうまでもなく、自然界においても生成されうるものである。したがって、本明細書中に開示された塩基配列と同一の核酸ではなくても、それが本明細書中に開示されたアミノ酸配列をコードする限り本発明に含有されるものである。
実際、本発明においても、塩基配列は若干異なるがコードされるアミノ酸配列は同一である核酸が得られている。CA13遺伝子cDNAの塩基配列に含有される、配列表の配列番号:2に示す塩基配列において、塩基番号1784のRがA、塩基番号1985のKがTであるが、配列表の配列番号:2に示す塩基配列において、塩基番号1784のRがG、塩基番号1985のKがTであるcDNAや、塩基番号1784のRがA、塩基番号1985のKがGである核酸も得られている。しかし、この2箇所の塩基配列の違いは、配列表の配列番号:2に示した塩基配列の塩基番号1698〜1850にコードされるアミノ酸配列には影響を与えず、上記3種の核酸にコードされるペプチドはいずれも、配列表の配列番号:18に示すアミノ酸配列を有する。
更に、本発明の新規な遺伝子のうちGG33、GC35、及びGC36遺伝子のcDNAは、それぞれ配列表の配列番号:9、11及び12、15、16に記載の塩基配列を有する。
更に、本発明の新規な核酸は、配列表の配列番号:9、11及び12、15、16のいずれかに記載の塩基配列で示される核酸がストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能であり、且つ細胞の癌化によって発現量が変化するmRNAの塩基配列に相補的な核酸も本発明に含有されるものである。実際、本発明においても上記性質を有する核酸が得られている。例えば、塩基配列は若干異なるがコードされるアミノ酸配列は同一である上記核酸、また本発明の新規核酸ではないが、CC34遺伝子cDNAは、配列表の配列番号:10に示す塩基配列を含有するが、配列表の配列番号:10に示す塩基配列の塩基番号935のTがAに置換され、3’末端のGTTAAGの配列からなる6塩基が欠失した別種の核酸が得られている。
また、本発明の第5の発明は、本発明における新規な核酸にコードされるペプチドに対する抗体を提供する。該抗体は、上記記載の癌細胞の検出に利用することができる。
以下、本発明を実施例をもって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものでない。
実施例1 癌関連遺伝子の解析
1)癌検出の指標となりうるmRNAの存在の確認
癌化により発現量の変化するmRNAが存在するか、以下に示す、胃の癌化病変組織部と対照正常組織部のmRNAの発現を比較するDD法により確認した。
まず、低分化腺癌の進行癌患者より摘出された胃の癌組織と対照正常組織よりそれぞれTRIzolTM試薬(ギブコBRL社製)を用いてRNAを抽出し、粗RNA試料とした。こうして得られた粗RNA試料のうち50μgを最終5mM MgCl2と20単位のRNase阻害剤(宝酒造社製)存在下で10単位のDNaseI(宝酒造社製)と37℃、30分間反応し、ゲノムDNAを除去した。本RNAを用いDifferential DisplayTM Kit(ディスプレイシステム社製)並びにEnzyme Set−DD(宝酒造社製)を用いキット添付の説明書記載の手順に従いRT−PCRを行った。
すなわち、逆転写反応は、1反応につき、上記DNase処理した粗RNA試料200ngと配列表の配列番号:56〜64に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのいずれか一種をプライマーとして混合後、70℃、10分間熱処理、急冷後、AMV逆転写酵素と55℃、30分反応を行った。他の下流プライマーについても個々に同様の反応を行い、合計9種類の一本鎖cDNAサンプルを作製した。
続くPCRによる核酸増幅反応は、上記、9種類の一本鎖cDNAを個別に鋳型とし、逆転写反応時と同一のオリゴ(dT)プライマーを下流プライマー、配列表の配列番号:50〜55に示す塩基配列を有するキット中の10merのオリゴヌクレオチドのいずれか一種を上流プライマーとしてPCRにて核酸増幅を行い、合計54種類の増幅DNAサンプルを作製した。
なお、PCR時のMgCl2濃度は3mM、基質としてdATP、dGTP、dCTP、dTTPを各々15μM、更に標識化合物として[α−33P]−dATP(アマシャム社製)を1.85kBq/ml添加し94℃で30秒、40℃で60秒、72℃で60秒からなる行程を1サイクルとし40サイクル反応した。反応終了後、等量の95%ホルムアルデヒドを添加し、90℃、2分間熱変性し電気泳動用サンプルとした。泳動は7M尿素変性5%ポリアクリルアミドゲルで行いオートラジオグラフィーにより多数のバンドよりなるフィンガープリントが得られ、癌組織を基に得られたオートラジオグラムと対照正常組織部試料を基に得られたオートラジオグラムでシグナル強度の異なるバンドが存在した。
一例として、下流プライマーとして配列表の配列番号:59に示す塩基配列を有するD4、上流プライマーとして配列表の配列番号:50に示す塩基配列を有するU1を用いた結果を、第1図に示す。すなわち第1図は、癌関連遺伝子をDD法にて検出した場合の、得られたDNA断片の電気泳動のパターンを示すオートラジオグラムを再現した写真である。なお、第1図において、1Nは低分化腺癌型胃癌患者の正常組織部より得られた粗RNA試料を鋳型として得られた増幅DNA断片を、1Tは同一低分化腺癌型胃癌患者の癌組織部より得られた粗RNA試料を鋳型として得られた増幅DNA断片を、それぞれアクリルアミドゲル上で泳動したレーンであることを示す。第1図の→で示した塩基数約750bpの位置に、癌組織試料を基に得られたオートラジオグラムに比べ、シグナル強度の強いバンドが、対照正常組織試料を基に得られたオートラジオグラムに存在した。本発明者らは、この強度差のあるバンドを生じさせるmRNAを発現する遺伝子をCA11と命名した。
表3に、DD法により本発明者らが検出し、命名した各遺伝子について、それぞれのmRNAの発現量の違いをDD法により検出するための上流プライマー及び下流プライマーの組合せ、増幅DNA断片のおおよそのサイズ、癌組織と対照正常組織試料を基にRT−PCRで得られた増幅DNA量の差を示した。なお、表3のプライマー欄において、アルファベットと数字を組合せた記号はプライマー名称を示し、各記号に付した括弧内の番号は、配列表において該プライマーの塩基配列を示した配列番号を示す。
2)癌検出の指標となるmRNAの同定
1)記載のDD法を用いて確認された、表3に記載の各遺伝子由来増幅DNA断片の鋳型となったmRNAの発現量の変化が、真に癌化に関連しているか検討した。
まず、ノーザンハイブリダイゼーション法による検討を行った。すなわち、癌組織及び対照正常組織において発現される癌関連遺伝子のmRNAの発現量の差を、1)記載の方法により得られた各増幅DNA断片をプローブとして検出できるか検討した。
検出用プローブは、以下のように作製した。すなわち、1)記載の、DD法により得られた増幅DNA断片を泳動したアクリルアミドゲルより、表3に示す各増幅DNA断片を含む領域を切り出し、100μlの水を加え熱抽出により、含まれるDNA断片を個別に回収した。これらのDNA断片を個々に鋳型とし、表3に示す各DNA断片を得るために用いた上流、下流プライマーの組合せによるPCRにて再増幅した。更に各増幅DNA断片約100ngをランダムプライマーDNAラベリングキット(宝酒造社製)により32P標識することにより、14種類の検出用プローブを作製した。これとは別に、各組織より抽出した粗RNA試料の陽性コントロールとして、β−アクチン遺伝子mRNAを選択し、配列表の配列番号:65に示す塩基配列を有する合成オリゴヌクレオチドを同様に32P標識し、β−アクチン遺伝子mRNA検出用プローブとした。次いで、前記検出用プローブを、個別に、ニシン精子DNAを100μg/mlになるように混合後、熱変性したものとともに、ハイブリダイゼーション緩衝液(50%ホルムアミド、0.65M NaCl、0.1Mナトリウム−Pipes、5×デンハート液、0.1%SDS、5mM EDTA)に加え、ノーザンハイブリダイゼーションにおける検出用プローブ液15種類を調製した。
ノーザンハイブリダイゼーションは、以下のように行った。まず、前述の方法により調製した胃癌患者の癌組織及び対照正常組織より抽出した粗RNA試料を、各々個別に1ウェルにつきそれぞれ20μgずつホルマリン変性1%アガロースゲルにて電気泳動後、ハイボンドN+メンブラン(アマシャム社製)にブロッティングした。次に、ハイブリバック(コスモ・バイオ社製)にブロッティングメンブランと、熱変性ニシン精子DNAを最終濃度100μg/mlになるように添加したハイブリダイゼーション緩衝液を加え、42℃、2hr放置後、緩衝液を捨て、プレハイブリダイゼーション処理メンブランを作製した。上記のメンブランを15枚作製後、個別に、前記15種類のノーザンハイブリダイゼーション用検出プローブ液を加え42℃、16hrハイブリダイゼーションを行った。次に各ブロッティングメンブランをハイブリバックより取り出し、洗浄液I(2×SSC、0.2%ピロリン酸ナトリウム、0.1%SDS)中42℃、20分洗浄後、洗浄液II(0.5×SSC、0.2%ピロリン酸ナトリウム、0.1%SDS)にて42℃、20分洗浄した。なお、この洗浄液IIによる洗浄は、洗浄液を交換しながら2回繰り返した。洗い終えたメンブランをラップに包み高感度X線フィルム(コダック社製)に一昼夜露光し、得られるオートラジオグラムにおけるシグナル強度より癌組織と対照正常組織での発現量を比較した。
一例として、第2図にCA11遺伝子mRNAを検出した結果を示す。第2図において、1Nは低分化腺癌型胃癌患者の正常組織より得られた粗RNA試料、1Tは同一低分化腺癌型胃癌患者の癌組織より得られた粗RNA試料を、アガロースゲル上で泳動したレーンに相当する領域であることを示す。(a)は、CA11検出用プローブ、(b)はβ−アクチン検出用プローブを用いた結果を示す。(b)に示したように1N及び1T共、β−アクチン検出用プローブでシグナルが得られていることから、両試料においてRNAが、過度の分解を受けず抽出されていることが明らかである。一方、(a)において、→で示した約1.1Kb付近に、レーン1Nのみ明瞭なシグナルが存在し、レーン1Tにはシグナルが存在しないことから、CA11は癌化により発現量の低下する遺伝子であることが判明した。同様に、CC62は約2.6Kb付近に、対照正常胃組織部より得られたオートラジオグラムにのみバンドが得られた。一方、GC31、GC32、CC34に関しては、それぞれ約1.0Kb付近、1.6Kb付近、1.7Kb付近にバンドが認められたが、いずれも胃癌組織より得られた粗RNA試料の方が、対照正常胃組織より調製した粗RNA試料より強いシグナルが得られた。なおシグナル強度はオートラジオグラムの各バンドをデンシトメーターにより測定した。次に該オートラジオグラムで得られた各バンドのIODをFMBIO−100(日立ソフトエンジニアリング社製)により計算し、下式により癌関連遺伝子であるかを判断するための指標値を計算した。
式2
〔指標値〕=(X×βY)/(Y×βX)
上式において各記号は以下の値を表す。
X:胃癌組織より得られた表3記載遺伝子mRNA由来バンドのIOD
Y:対照正常胃組織より得られた表3記載遺伝子mRNA由来バンドのIOD
βX:胃癌組織より得られたβ−アクチン遺伝子mRNA由来バンドのIOD
βY:対照正常胃組織より得られたβ−アクチン遺伝子mRNA由来バンドのIOD
ノーザンハイブリダイゼーションでシグナルが得られなかった、CA13、CC24、GG24、AG26、GC33、GG33、GC35、GC36、CA42、の各遺伝子に関してはRT−PCRにて発現量の比較を行うことにした。RT−PCRにおける核酸増幅反応用プライマーの設計のため、ノーザンハイブリダイゼーションにおいてプローブとして用いたDNA断片を、PCRによるダイレクトシークエンシング、又はTAクローニングにて各DNA断片をクローン化した後、ダイデオキシ法により、塩基配列を決定した。得られた塩基配列情報より設計し、各遺伝子由来mRNAを鋳型としたRT−PCRに用いたプライマーの塩基配列を、配列表の配列番号:22〜29、34〜37及び38〜43に示した。表2に、遺伝子と、その発現確認に使用したプライマーの対応を示す。
RT−PCRによるmRNAの発現量の変化の確認は、1)記載の方法で調製した胃癌患者の癌組織及び対照正常組織より得られた粗RNA試料をDNaseI処理後、それぞれ40ngを100μlの反応系でTaKaRa RNA PCR Kit Ver.2.1を用い、キット添付の説明書記載の手順に従いRT−PCRを行った。すなわち、鋳型として粗RNA試料40ng、下流プライマーとしてオリゴ(dT)プライマー(終濃度2.5μM)を用い、逆転写反応液(10mM トリス−HCl、pH8.3、50mM KCl、5mM MgCl2、1mM各dNTP、100単位RNaseインヒビター、25単位AMV逆転写酵素)を調製し、30℃で10分間、55℃で20分間、95℃で5分間逆転写反応を行った。上記逆転写反応液各10μlを、CA13、CC24、GG24、AG26、GC33、GG33、GC35、GC36、CA42、及びβ−アクチンの各遺伝子mRNA検出用のプライマー対(0.2μM)を個別に含む10種類のPCR反応液(終濃度10mM トリス−HCl、pH8.3、50mM KCl、2.5mM MgCl2、1.25単位TaKaRa Taq DNAポリメラーゼ)40μlに加え50μlとした。PCRにおける1サイクルは、まず94℃、2分のインキュベーションの後、94℃で30秒、55℃で60秒、72℃で60秒からなる行程とした。増幅DNA産物量の確認は、増幅DNA産物をアガロースゲル電気泳動したのち、ゲルをエチジウムブロマイド染色後、該蛍光イメージ上の各バンドのIODをFMBIO−100により計算し、前記式2により癌関連遺伝子であるか判断するための指標値を計算した。
上記、ノーザンハイブリダイゼーション法及びRT−PCR法の結果、及び該結果より明らかとなった各遺伝子の癌化による発現変化のパターンを表4に示した。なお、該表の発現変化のパターンの項において、癌化により発現が増幅される遺伝子は、↑、癌化により発現が抑制される遺伝子は、↓で示した。すなわち表4において指標値が1より大きい遺伝子は癌化により遺伝子発現量が増加する遺伝子、指標値が1より小さい遺伝子は癌化により遺伝子発現量が低下する遺伝子であると判断した。この結果、CA13、CC24、GG24、GC31、GC32、GC33、GG33、CC34、CA42遺伝子は癌化により発現量が増加する遺伝子、CA11、AG26、GC35、GC36、CC62各遺伝子は癌化により発現量が低下する遺伝子であることが明らかとなった。
3)癌関連遺伝子cDNAの取得
次にこれら該癌関連遺伝子のcDNA断片をクローニングした。まず、1)記載の方法により調製した、癌組織と正常組織の粗RNA試料より、mRNA精製キット(ファルマシア社製)を用い、オリゴ(dT)カラムでmRNAを分画し、ZAP−cDNA合成キット(ストラタジーン社製)を用い、キット添付のプロトコールに従い10cm×14cmの角プレートに1枚当り約40,000プラークとなるようファージと宿主菌XLI−Blue MRF’をプレーティングし、cDNAライブラリーを調製した。次に、ファージ粒子をハイボンドN+メンブランにトランスファーし、2)記載のノーザンハイブリダイゼーションの際と同一のプローブを用いプラークハイブリダイゼーションによりスクリーニングを行い、目的のcDNA遺伝子を含むUni−ZAP XRクローンを見出した。この組換えUni−ZAP XRクローンよりイン ビトロ エキシジョン(in vitro excision)法によりpBluescriptファージミドに変換した。この組換えファージミドに組込まれているDNA断片の塩基配列を蛍光DNAシークエンサー(ABI社製)を用いて決定した。ファージミドに組み込まれているDNA断片の塩基配列を基にしたウォーキング(Walking)によりcDNAライブラリーに含まれるcDNA断片を連結した結果得られた塩基配列を配列表の配列番号:1〜14に示す。なお、GC36遺伝子に関しては約2.6kbpのcDNAクローンが得られた。該cDNAクローンの5’末端側及び3’末端側から塩基配列を解析したところ、配列表の配列番号:15及び配列番号:16に示す塩基配列情報が得られた。
こうして得られた塩基配列を、BLASTプログラム〔アルトシュルS.F.(Altschul,S.F.)、ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー(Journal of Molecular Biology)、第215巻、第403〜410頁(1990)〕を用い、ジーンバンク(Genebank)に収められた既知遺伝子cDNAの塩基配列とホモロジーサーチを行った。その結果CA11、CA13、GG33、GC35、GC36、CA42、の各遺伝子cDNAについては相当する配列が報告されておらず、これらの遺伝子は新規遺伝子と判断された。更に、CA11、CA13、CA42、各遺伝子cDNAに含有される塩基配列より、遺伝子産物の読み取り枠(オープンリーディングフレイム)を検索したところ、CA11cDNAは、配列表の配列番号:17に示すアミノ酸配列を、CA13cDNAは、配列表の配列番号:18に示すアミノ酸配列を、CA42cDNAは、配列表の配列番号:19に示すアミノ酸配列を、それぞれコードしていると予想された。一方、CC24はチトクロームcオキシダーゼ サブユニットI遺伝子、AG26はp190−B遺伝子、GC31はチトクロームcオキシダーゼ サブユニットII遺伝子、GC32はチトクロームb遺伝子、GC33はインテグリン α 6 サブユニット遺伝子、GG24はF1−ATPエース β サブユニット遺伝子、CC62はラクトフェリィン遺伝子に相当していた。一方、CC34cDNAの配列表の配列番号:10に示す塩基配列領域は、ミトコンドリア16SrRNAをコードするcDNAの一部領域と7塩基の違いが認められた。
ところで、本実施例におけるCC34由来増幅DNA断片をプローブとして使用したcDNAライブラリィからのスクリーニングでは、配列表の配列番号:10に示す塩基配列を有するcDNAクローンのほかに、更に別種の陽性cDNAクローンが得られた。該cDNAの塩基配列は、配列表の配列番号:10に示す塩基配列における塩基番号935のTがAに置換し、更に3’末端のGTTAAG配列からなる6塩基が欠失した塩基配列を有しており、全塩基配列1546塩基中1540塩基がミトコンドリア16SrRNAをコードするcDNAの一部領域と同一配列を有することが明らかとなった。
実施例2 癌組織における遺伝子発現の変化の確認
実施例1で確認された癌関連遺伝子について、実施例1とは異なる癌組織を用い該遺伝子発現と細胞癌化との関連を調べた。
1)印環細胞型胃癌患者の癌組織における遺伝子発現の変化の確認
実施例1の1)及び2)で用いた組織の提供を受けた癌患者とは異なる、印環細胞型胃癌患者より摘出された癌組織と対照正常組織より実施例1の1)と同様に調製した粗RNA試料を用い、実施例1の2)記載のノーザンハイブリダイゼーション又はRT−PCRを行い、実施例1の3)で明らかとなった14種の癌関連遺伝子それぞれにつき癌組織と正常組織における発現量を、mRNAの発現量を指標に比較した。一例として、第3図にRT−PCR法によるCA11遺伝子mRNAの検出結果を示す。すなわち第3図は、癌関連遺伝子の発現量の変化を、RT−PCR法により検出した場合の、得られたDNA断片の電気泳動の蛍光イメージを示す写真である。RT−PCRの反応条件は、実施例1の2)記載の方法に従い、PCRのサイクル数は25、及び30の2通りを設定した。第3図において、(a)は癌関連遺伝子CA11の発現を、(b)は陽性コントロールとしてβ−アクチンの発現を検出した結果を示す。第3図において、2Tは印環細胞型胃癌患者の胃癌組織より抽出した粗RNA試料を鋳型として得られた増幅DNA断片を、2Nは印環細胞型胃癌患者の正常胃組織より抽出した粗RNA試料を鋳型として得られた増幅DNA断片であることを示す。また、第3図における25及び30は、RT−PCR法における核酸増幅サイクル数を示す。表5に第3図に示した蛍光イメージ上のバンドのIODを計算した結果を示す。なお表5における指標値は実施例1の2)に記した式2により計算した値である。
表5において蛍光イメージ上得られたβ−アクチン由来のバンドのIOD値はPCRサイクル数25及び30において2T及び2Nともほぼ同等の値が得られている事から、全ての試料においてRNAが抽出されていることが明らかとなった。しかし指標値はPCRサイクル、25及び30とも1より小さいことから、CA11は印環細胞型胃癌患者においても、癌化により発現量が低下する遺伝子であることが明らかとなった。なお、CA11以外の13種の癌関連遺伝子についても、実施例1の2)と同様の発現量の変化が認められ、実施例1の3)で明らかとなった14種の癌関連遺伝子の発現量の変化が実施例1の1)に用いた患者組織固有の変化でないことが明らかとなった。
実施例3
癌の検出キット構築
以下に示す構成成分を有する、RT−PCR法を利用した癌の検出キットを構築した。
すなわち、DNaseI、AMV逆転写酵素、RNaseインヒビター、10×RT−PCR緩衝液(100mM トリス−HCl、pH8.3、500mM KCl)、25mM MgCl2、各々2.5mMのdATP、dGTP、dCTP、dTTPから成る混合物、オリゴ(dT)プライマー、Taq、DNAポリメラーゼ、表2に示す各々の遺伝子に特異的なプライマー対及び陽性コントロールとしてのβ−アクチン遺伝子の増幅のためのプライマー対を含む。なお、表2のプライマー対欄において、アルファベットと数字の組合せの記号はプライマー名称を示し、該記号に付随する( )内の数字は、配列表における該プライマーの塩基配列を示した配列番号を示す。
産業上の利用可能性
本発明により癌を簡便かつ迅速に検出することが可能となる。また、癌に関連する新規な核酸の存在が明らかとなった。
均等物
当業者であれば、単なる日常的な実験手法によって、本明細書に記載された発明の具体的態様に対する多くの均等物を認識し、あるいは確認することができるであろう。そのような均等物は、下記クレームに記載されるような本発明の範疇に含まれるものである。
配列表
配列番号:1
配列の長さ:738
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:2
配列の長さ:2042
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:3
配列の長さ:1539
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:4
配列の長さ:1807
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:5
配列の長さ:4992
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:6
配列の長さ:708
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:7
配列の長さ:1140
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:8
配列の長さ:5629
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:9
配列の長さ:580
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:10
配列の長さ:1552
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:11
配列の長さ:2116
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:12
配列の長さ:173
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:13
配列の長さ:655
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:14
配列の長さ:2619
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:15
配列の長さ:892
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:16
配列の長さ:508
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:17
配列の長さ:194
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ペプチド
配列
配列番号:18
配列の長さ:51
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ペプチド
配列
配列番号:19
配列の長さ:63
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ペプチド
配列
配列番号:20
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:21
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:22
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:23
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:24
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:25
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:26
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:27
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:28
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:29
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:30
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:31
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:32
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:33
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:34
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:35
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:36
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:37
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:38
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:39
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:40
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:41
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:42
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:43
配列の長さ:19
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:44
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:45
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:46
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:47
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:48
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:49
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:50
配列の長さ:10
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:51
配列の長さ:10
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:52
配列の長さ:10
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:53
配列の長さ:10
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:54
配列の長さ:10
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:55
配列の長さ:10
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:56
配列の長さ:13
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:57
配列の長さ:13
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:58
配列の長さ:13
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:59
配列の長さ:13
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:60
配列の長さ:13
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:61
配列の長さ:13
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:62
配列の長さ:13
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:63
配列の長さ:13
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:64
配列の長さ:13
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:65
配列の長さ:264
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
配列
本発明は癌化により発現量が変化する遺伝子の発現産物を検出することを特徴とする、癌細胞の検出方法に関する。また本発明は癌化により発現量が変化する遺伝子及び該遺伝子産物に関する。
背景技術
癌は1981年以降日本における死因の1位を占め、中でも胃癌は最も頻度の高い癌である。近年正常細胞が癌になるまでの多段階発癌機構が存在することが知られてきており〔フィーロンE.R.(Fearon,E.R.)ら、セル(Cell)、第61巻、第759〜767頁(1990)、スギムラT.(Sugimura,T.)、サイエンス(Science)、第258巻、第603〜607頁(1992)〕、DNA修復遺伝子、癌抑制遺伝子、及び癌遺伝子を含む複数の遺伝子異常の蓄積が必要とされている。一般に、遺伝子の不安定性と癌抑制遺伝子の不活化は癌の発生に、癌遺伝子の活性化及び/又は増殖因子の過剰発現は癌の進展、悪性化に関与する。
遺伝子の不安定性には、DNAミスマッチ修復系の異常に関連した遺伝子の不安定性と染色体レベルの不安定性がある。前者の例としてゲノム中に存在する単純繰り返し配列の鎖長が同一人の癌部と非癌部で異なること(マイクロサテライト不安定性)〔シボドーS.N.(Thibodeau,S.N.)ら、サイエンス、第260巻、第816〜819頁(1993)〕、後者の例として、染色体間の転座が挙げられる。この染色体間の転座は、正常細胞では認められないタンパク質を発現させたり、正常細胞において発現しているタンパク質であっても、その発現量に影響を与える場合がある。実際、ヒトの慢性骨髄性白血病において、染色体間の転座により、bcr遺伝子とc-abl遺伝子の融合が起こり、正常細胞では存在しないbcr-abl融合遺伝子より転写されたハイブリッドmRNAの発現が確認された。更に、bcr-abl融合遺伝子を動物に導入すると白血病を発症することが確認された〔ワトソン(Watson,J.D.)ら著、組み換えDNAの分子生物学 第2版;丸善株式会社、第309頁(1992)〕。
癌抑制遺伝子の不活化としては、例えば、p53遺伝子の不活化が挙げられる。不活化の原因としては、遺伝子内の欠失かコード領域の特定の部分に起こる点突然変異によると考えられている〔ニグロJ.M.(Nigro,J.M.)ら、ネーチャー(Nature)、第342巻、第705〜708頁(1989)、マルキンD(Malkin,D.)ら、サイエンス、第250巻、第1233〜1238頁(1990)〕。また、p53遺伝子の欠失及び点突然変異は多くの種類の癌で観察され、例えば胃癌では早期癌の6割以上の症例に認められることから〔ヨコザキH.(Yokozaki,H.)ら、ジャーナル オブ キャンサー リサーチ アンド クリニカルオンコロジー(Journal of Cancer Research and Clinical Oncology)、第119巻、第67〜70頁(1992)〕、これらの変異の検出は、癌の早期検出に利用できると考えられる。
一方、p16/MTS1遺伝子はホモ欠失により不活化する遺伝子として知られておりグリオーマや膵癌、ぼうこう癌などで高頻度のホモ欠失が観察されている〔ケアンズP.(Cairns,P.)ら、ネーチャー ジェネティクス(Nature genetics)、第11巻、第210〜212頁(1995)〕。p16タンパク質は細胞周期を調節しておりp16発現異常は細胞の癌化に関与することが示唆されている〔オカモトA.(Okamoto,A.)ら、プロシーディングズ オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ USA(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)、第91巻、第11045〜11049頁(1994)〕。
癌遺伝子の活性化としては、例えば、癌遺伝子近傍における、ウィルスの挿入突然変異や、染色体間の転座が原因として挙げられる。例えば、トリ白血病ウィルスavian leukosis virus(ALV)によって起こる、ニワトリのリンパ腫において、ウィルスによる挿入突然変異が確認されている。この場合、ALVのDNAが遺伝子の一種であるc-mycの近傍に挿入され、ウィルスの強いエンハンサーとプロモーターにより、正常なc-mycが過剰発現したり、正常な遺伝子とは一部異なった新しい配列が発現されることが確認された。また、ある種のヒトB細胞の腫瘍では、染色体間の転座により、癌遺伝子の一つであるc-mycが免疫グロブリンの強い転写シグナルのもとに置かれ、そのmRNA発現量が増加することが確認されている。この場合、癌細胞におけるc-mycタンパク質は、正常細胞に発現している該c-mycタンパク質と差は認められず、癌化は、c-myc mRNA発現量の増加に起因していると考えられている〔ワトソン(Watson,J.D.)ら著、組み換えDNAの分子生物学 第2版;丸善株式会社、第305〜308頁(1992)〕。
増殖因子の過剰発現としては、例えば、肝細胞増殖因子レセプターをコードするC-Metの過剰発現が挙げられる。このC-Metの発現現象は、胃癌の発生初期から正常粘膜には認められない6.0kbの長さを有するmRNAの発現が見られたり〔クニヤスH.(Kuniyasu,H.)ら、インターナショナル ジャーナル オブ キャンサー(International Journal of Cancer)、第55巻、第72〜75頁(1993)〕、高頻度で見られ、遺伝子増幅と癌の悪性度に相関性が確認されている〔クニヤスH.ら、バイオケミカル アンド バイオフィジカル リサーチ コミュニケーションズ(Biochemical and Biophysical Research Communications)、第189巻、第227〜232頁(1992)〕。
遺伝子異常と癌の悪性度に相関が確認されている例として、上記c-Metのほか、癌遺伝子であるC-erbB2遺伝子の増幅及び/又はその過剰発現が、乳癌、卵巣癌、胃癌、子宮癌などにおいて〔ライトC.(Wright,C.)ら、キャンサー リサーチ(Cancer Research)、第49巻、第2087〜2090頁(1989)、サファリB.(Saffari,B.)ら、キャンサー リサーチ、第55巻、第5693〜5698頁(1995)〕、癌遺伝子K-sam遺伝子の増幅及び/又はその過剰発現が、胃癌の1組織型である低分化腺癌において〔タハラE.(Tahara,E.)ら著、ガストリック キャンサー,東京(Gastric Cancer,Tokyo)、スプリンガー社(Springer-Verlag)、1993年発行、第209〜217頁〕それぞれ確認されている。
このように癌の発生、進展に関与する遺伝子、及び該遺伝子異常に関する情報は増えてきており、生検材料からの遺伝子診断をすることにより、癌の早期診断や悪性度の判定に役立つことが予想される。しかし、発癌機構は多段階であり、複数の変異の蓄積が必要とされることから、癌化に関連する遺伝子についてはまだまだ未知の部分が多く、更なる研究が必要である。また近年、正常型のp53遺伝子を癌細胞に導入することにより、癌細胞の増殖を抑制する遺伝子治療も治験段階で行われており、癌抑制遺伝子の解明は診断のみならず遺伝子治療の可能性を生み出す。
したがって、本発明の第1の目的は、発癌の指標となりうる遺伝子、特に、細胞の癌化に伴い発現状態が変化する遺伝子を見出し、体外摘出試料における該遺伝子の発現量の測定に基づく癌化した細胞の検出方法、並びにその悪性度の判定方法を提供することにある。本発明の第2の目的は、上記癌細胞の検出方法及び/又は該細胞の悪性度の判定方法に使用されるキットを提供することである。本発明の第3の目的は発癌の指標となりうる遺伝子又は該遺伝子発現産物への特異的結合物を用いた癌細胞増殖の制御方法である。更に本発明の第4の目的は癌化に関連した新規なペプチド、及び該ペプチドをコードする核酸を提供することにある。
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は体外摘出試料中の癌細胞の検出方法に関する発明であって、配列表の配列番号:1〜16のいずれかに示される塩基配列を含有するDNA又は配列表の配列番号:1〜16のいずれかに示される核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAをcDNAとする遺伝子から選択される遺伝子の発現量の変化を、例えばmRNAの発現量の変化、タンパク質の発現量の変化により調べることを特徴とする。
本発明の第2の発明は、本発明の検出方法により癌を検出するためのキットに関する発明であって、発現量の変化の指標となるmRNAを増幅するためのプライマー、又は該mRNAにハイブリダイズするプローブ、あるいは発現量の変化の指標となるタンパク質を認識する抗体のいずれかを構成の必須要件とすることを特徴とする。
本発明の第3の発明は遺伝子又は遺伝子発現産物の特異的結合物を用いた癌細胞の増殖制御方法であって、遺伝子cDNAが配列表の配列番号:1〜16のいずれかに示される塩基配列を含有するDNA又は配列表の配列番号:1〜16のいずれかに示されるDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAであることを特徴とし、該遺伝子の転写制御及び/又は発現産物の機能制御等からなる。
本発明の第4の発明は、癌の検出に利用できるペプチド及び該ペプチドをコードする核酸に関する発明であって、配列表の配列番号:17〜19に示されるアミノ酸配列の全部又はその一部を含有するアミノ酸配列からなるペプチド及び該ペプチドをコードする核酸であることを特徴とする。
本発明の第5の発明は、上記第4の発明のペプチドを認識する癌の検出に利用できる抗体に関する。
なお、本明細書において、「体外摘出試料」とは、血液、尿、糞便、外科的手法により摘出した組織等を指す。一方、「癌関連遺伝子」とは、細胞の癌化に伴い発現状態が変化する遺伝子を指す。
発明の開示
本発明者らは、上記目的を達成するために癌患者の癌組織及び対照正常組織における、遺伝子の細胞内発現量を個別に比較することにより、癌関連遺伝子を見出し、該遺伝子の発現量の比較により、癌細胞の検出が可能であることを見出した。また該癌関連遺伝子中に新規遺伝子を見出し、本発明を完成するに至った。
なお本明細書における「癌組織」及び「対照正常組織」とは、多細胞からなる個体において癌病変部を構成する組織及び同一の個体において癌組織と空間的に同一の領域を構成し且つ正常な機能を営んでいる組織を意味する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、癌関連遺伝子をDD法にて検出した場合の、得られたDNA断片の電気泳動のパターンを示すオートラジオグラムの図である。
第2図は、癌関連遺伝子mRNAの発現量の変化を、ノーザンハイブリダイゼーション法により検出した場合の、RNAを電気泳動後、目的mRNAに標識プローブをハイブリダイズさせることにより得られたオートラジオグラムの図である。
第3図は、癌関連遺伝子の発現変化を、RT−PCR法により検出した場合の、得られたDNA断片の電気泳動のパターンを示す図である。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の第1の発明は、癌関連遺伝子の発現量を指標した癌細胞検出方法を提供する。
本発明にかかわる、癌化の指標となりうる遺伝子は、細胞の癌化に伴ってその発現状態が変化する、言い換えれば、その発現が有意に誘導、あるいは抑制される遺伝子である。このような遺伝子は、例えば、ゲノム中の遺伝子のコピー数や染色体の転座のパターンの解析のほか、正常細胞と癌化した細胞における遺伝子産物の発現量を比較し、両細胞間で差異のあるものを特定することにより検出することができる。遺伝子産物としては、例えば、遺伝子より転写されるmRNAや翻訳産物であるタンパク質が挙げられる。本発明における癌関連遺伝子の検出においては、遺伝子操作技術の進歩に伴い、その解析に様々な手法が開発されているmRNAの発現量を指標とするのが効率的である。mRNAの発現量を指標にした遺伝子発現量の変化を確認する手法としてはサブトラクティブハイブリダイゼーション法〔ツィムメルマンC.R.(Zimmermann.C.R.)ら、セル、第21巻、第709〜715頁(1989)〕、リプレゼンテーション ディファレンス アナリシス(Representational Difference Analysis)(RDA)法〔リシツィンN.(Lisitsyn,N.)ら、サイエンス、第259巻、第946〜951頁(1993)〕、分子インデックス法(特開平8−322598号)、ディファレンシャルディスプレイ(DD)法〔ライアンP.(Liang,P.)、及びパーディーA.B.(Pardee,A.B.)、サイエンス、第257巻、第967〜971頁(1992)〕等があるが、DD法は操作が簡便であり、本発明における遺伝子のスクリーニングに適している。以下、本発明で利用したDD法を用いた癌関連遺伝子のスクリーニング方法について、詳細に説明する。
まず、比較したい癌組織と対照正常組織より個別に抽出されたRNAを各々DNase処理することによりゲノムDNAを除いた粗RNA試料と、オリゴ(dT)アンカープライマー、及び逆転写酵素reverse transcriptase(RTase)を用いた逆転写反応によりmRNAをcDNAに変換する。その後、オリゴ(dT)アンカープライマーと種々のランダムプライマーを組合せたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により核酸増幅を行う。
次に、比較すべき組織より個別に得られたPCR増幅産物を、同一プライマー対の組合せから得られた増幅産物毎にポリアクリルアミド電気泳動を行い、そのバンドパターンを比較し、正常及び癌細胞間で差異のあるバンドを見出す。このバンドをゲルより切り出し、バンド中に含まれる核酸を抽出することにより、癌関連遺伝子mRNAの一部領域に相補的であると思われるDNA断片を得ることができる。
次に、上記DD法で得られた該DNA断片により、真に癌関連遺伝子mRNAの発現量の変化を確認できるか検討する。癌組織より正常組織の方がmRNAの発現量が高いと確認された場合、該癌関連遺伝子は癌化により発現量が低下する遺伝子と判断する。一方、正常組織より癌組織の方がmRNAの発現量が高いと確認された場合、該癌関連遺伝子は癌化により発現が増幅される遺伝子と判断する。
mRNAの発現量の確認は、例えば、得られた該DNA断片を標識し、これを検出用プローブとして癌組織及び対照正常組織より抽出された粗RNA試料に対しノーザンハイブリダイゼーションを行い、得られるシグナル強度の差をデンシトメーター等を用いて確認することにより実施することができる。すなわち、シグナル強度が強いほどmRNAの発現量が高いと判断できる。例えば、オートラジオグラム等で得られるバンドの体積値〔IOD(Integrated optical density)〕としてシグナル強度を表す事ができ、該IOD値が大きいほど該バンドを与えるmRNAの発現量が高いと判断出来る。
mRNAの発現量が低くノーザンハイブリダイゼーション解析でmRNAの発現の変化を確認できない場合は、上記DD法で得られた、癌関連遺伝子より発現したと推定されるmRNAを鋳型とした増幅DNA断片より作製したRNAをプローブとして用いた、より感度の高いRNaseプロテクションアッセイ〔クリーグP.A.(Krieg,P.A.)、及びメルトンD.A.(Melton,D.A.)、メソッズ イン エンザイモロジー(Methods in Enzymology)、第155巻、第397〜415頁(1987)〕により確認することも可能である。本方法は、一本鎖RNAには切断活性を示すが、二本鎖RNAには切断活性を示さない基質特異性を有するRNaseを利用する。すなわち、検出対象となるmRNAと過剰量のプローブを正常組織より抽出した粗RNA試料及び癌組織由来粗RNA試料に添加し、対象となるmRNAと添加プローブとのハイブリッドを形成させ上記基質特異性を有するRNaseを作用させる。mRNAの発現量の確認は、上記RNase消化後の残存二本鎖RNA量を測定することにより実施することができる。すなわち、残存二本鎖RNA量が多いほどmRNAの発現量が高いと判断できる。
また、上記DD法で得られた、癌関連遺伝子より発現したと推定されるmRNAを鋳型とした増幅DNA断片の塩基配列を、PCRダイレクトシークエンシング〔エーリッヒH.A.(Erlich,H.A.)著、PCRテクノロジー(PCR Technology)、ストックトン プレス(Stockton Press)1989年発行、第45〜60頁〕や、TAクローニング〔ミードD.A.(Mead,D.A.)ら、バイオ/テクノロジー(Bio/Technology)、第9巻、第657〜663頁(1991)〕と通常の塩基配列決定法を組合せることにより決定し、その塩基配列情報を基に設計した増幅プライマーを用いたRT−PCR法による増幅産物量の比較によりmRNAの発現量を確認することも可能である。すなわち、得られた増幅産物の量が多いほど、mRNAの発現量が高いと判断できる。
なお、上記DD法で得られた、癌関連遺伝子より発現したと推定されるmRNAを鋳型とした増幅DNA断片は、必ずしも、癌関連遺伝子mRNA全長に相補的なcDNAではない。癌関連遺伝子cDNAを得るためには、例えば、スクリーニングに用いた組織のcDNAライブラリィを作成し、上記DD法で得られた、癌関連遺伝子により発現したと推定されるmRNAを鋳型とした増幅DNA断片を標識し、これを検出用プローブとしてプラークハイブリダイゼーションを行うことにより癌関連遺伝子cDNAクローンを単離することができる。
本発明者らは、胃癌組織と対照の正常組織を用い、上記の方法により、14種の癌関連遺伝子cDNAの一部塩基配列をそれぞれ含むDNA断片を単離することに成功した。こうして得られたDNA断片の塩基配列を含有する塩基配列で示されるcDNAに対応するmRNAを発現する遺伝子を、それぞれCA11、CA13、CC24、GG24、AG26、GC31、GC32、GC33、GG33、CC34、GC35、GC36、CA42、CC62と命名した。表1に、14種類の癌関連遺伝子各cDNAの塩基配列において今回塩基配列を決定した領域の塩基配列を示した配列表の配列番号と、本発明者らが命名した上記遺伝子名との対応を示す。
上記癌関連遺伝子は、癌化により発現量が減少するものと増加するものとに大別することができる。前者としてはCA11、AG26、GC35、GC36、CC62、また後者としてはCA13、CC24、GG24、GC31、GC32、GC33、GG33、CC34、CA42が挙げられる。
上記のようにして得られた各遺伝子の発現量の比較により、癌細胞の検出を行うことができる。この場合、指標となる癌関連遺伝子は、上記遺伝子より適宜選択すればよく、1種類であっても、また、数種の組合せであってもよい。また癌細胞検出の指標とする癌関連遺伝子は、上記14種の遺伝子に特に限定されず、細胞の癌化により該遺伝子発現量が異なれば、配列表の配列番号:1〜16のいずれかに示されるDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAをcDNAとする遺伝子であってもよい。
本明細書におけるハイブリダイズ可能な条件とは、例えばDNAを固定したナイロン膜を、6×SSC(1×SSCは塩化ナトリウム8.76g、クエン酸ナトリウム4.41gを1リットルの水に溶かしたもの)、1% SDS、100μg/mlサケ精子DNA、0.1% ウシ血清アルブミン、0.1% ポリビニルピロリドン、0.1% フィコールを含む溶液中で65℃にて20時間プローブと共に保温してハイブリダイゼーション可能であることをいう。
実際、本発明においても上記性質を有する遺伝子の存在が確認された。CC34遺伝子cDNAの塩基配列中には配列表の配列番号:10に示す塩基配列が存在するが、該配列の塩基番号935のTがAに置換、及び3’末端のGTTAAGの配列からなる6塩基が欠失した塩基配列で示されるDNAが、正常組織より調製したRNAと癌組織より調製したRNAを用いたDD法において増幅量の異なるDNA断片として得られた。この増幅DNA断片には配列表の配列番号:10に示すDNAがハイブリダイズ可能である。従って、本発明におけるDD法において得られた該DNA断片を与えるmRNAを発現する遺伝子も、本発明における癌細胞を検出するための癌関連遺伝子に包含される。
癌細胞であるか否かの判定は、まず、複数の正常組織を用い、適当な検出方法により癌化の指標とする癌関連遺伝子の発現量の正常域値を確認し、次に体外摘出試料における癌関連遺伝子の発現量を測定し、正常域値と比較することにより実施する。すなわち指標となる癌関連遺伝子が、癌化により発現が抑制される場合、体外摘出試料において、該癌関連遺伝子の発現が確認されない、あるいは該癌関連遺伝子の発現量が正常域値より低ければ、癌陽性であると判定する。一方、指標とする癌関連遺伝子が、癌化により発現が増幅される場合、該癌関連遺伝子の発現量が正常域値より高ければ、癌陽性であると判定する。癌関連遺伝子の発現量の比較には、該遺伝子より発現されたmRNAの量又はタンパク質の量のいずれを用いてもよい。なお、本明細書における正常域値は、適当な検出方法により求めた複数の正常組織における癌関連遺伝子の発現量を基に以下の式で表わされる。
式1
〔正常域値〕
=〔正常組織における癌関連遺伝子発現量の平均値〕±2×〔標準偏差〕
上記正常域値には計算上、癌関連遺伝子発現量を測定した正常組織の95%が包含されることになる。
mRNAを利用した検出方法としては、例えば、RT−PCR法、RNaseプロテクションアッセイ法、あるいはノーザンハイブリダイゼーション法が挙げられる。
RT−PCR(Reverse transcribed−Polymerase chain reaction)法とは、mRNAを鋳型とし、逆転写酵素反応によりcDNAを合成後、PCRによる核酸増幅を行う方法[Kawasaki,E.S.,et al.,Amplification of RNA.In PCR Protocol,A Guide to methods AND applications,Academic Press,Inc.,SanDiego,21-27(1991)]であるが、本発明において、核酸増幅反応は特に限定されず、ストランド ディスプレースメント アンプリフィケーション(Strand Displacement Amplification)(SDA)法〔ウォーカーG.T.(Walker,G.T.)ら、ヌクレイック アシッズ リサーチ(Nucleic Acids Res.)、第20巻、第1691〜1696頁(1992)〕、ヌクレイック アシッド シークェンス−ベースド アンプリフィケーション(Nucleic Acid Sequense-Based Amplification)(NASBA)法〔コムプトンJ.(Compton,J.)、ネーチャー、第350巻、第91〜92頁(1991)〕等であってもよく、その反応条件も特に限定されない。また、癌関連遺伝子cDNAの増幅領域は、必ずしもcDNA全長である必要はなく、増幅産物の確認に支障が無ければ、該cDNAの一部領域であってもよい。核酸増幅反応に使用するプライマー対は、該cDNAのみを特異的に増幅するように設計するのが好ましいが、該領域の増幅産物の確認に支障が無ければ、検出対象以外のcDNAを増幅しても構わない。なお本明細書における「プライマー」とは、DNAポリメラーゼによるプライマー伸長生成物の合成が開始される条件、即ち、適切な緩衝溶液(緩衝溶液はpH、イオン強度、補因子等で決定される)中に4種類の異なるヌクレオチドトリフォスフェート及びDNAポリメラーゼの存在下、適切な温度において、鋳型核酸にハイブリダイズした場合に、DNA合成の開始点として作用する事が出来るオリゴヌクレオチドを指し、典型的には10〜30個のヌクレオチドを含む。例えば本明細書におけるCA11遺伝子の場合、前者のプライマー対として配列表の配列番号:20及び21で示されるDNAの組み合わせを例示する事が出来る。なお、本明細書における増幅産物の確認における支障とは、例えば、増幅DNA断片をアガロースゲル電気泳動に供した後、ゲルをエチジウムブロマイド(EtBr)染色し確認する場合、核酸増幅反応により、同程度の塩基数を有する増幅DNA断片が多数生じ、各増幅DNA断片の分離が不完全となり、検出対象となる癌関連遺伝子mRNAに対応する増幅DNA断片の存在量が確認できない場合が挙げられる。
増幅DNA量は、例えば、上記核酸増幅反応液をアガロースゲル電気泳動に供した後、目的増幅断片に特異的にハイブリダイズする標識プローブを用い、検出されるバンドの位置とそのシグナル強度により確認できる。したがって、体外摘出試料より抽出した一定量の粗RNA試料を用いて得られる該シグナル強度が強いほど、検出対象とした癌関連遺伝子の発現量が高いと判定できる。該プローブの標識は特に限定されず、例えば、32Pに代表される放射性物質のほか、フルオレセインに代表される蛍光物質を用いることができる。シグナル強度は、例えば上記方法により得られるオートラジオグラム或いは蛍光イメージ上のバンドのIODにより表す事ができる。
一方、十分量の増幅産物が得られる場合には、アガロースゲル電気泳動を行った後、ゲルをEtBr染色し、増幅DNA断片の位置とその蛍光強度により確認することも可能である。したがって、該蛍光強度が高いほど、検出対象とした癌関連遺伝子の発現量が高いと判断できる。また蛍光強度の代わりに蛍光イメージ上のバンドのIODにより癌関連遺伝子の発現量を判断してもよい。
より正確な判定を行うには、増幅の程度を数値化する必要がある。例えば、核酸増幅反応の段階において、定量的PCR法(特表平5−504886号)の適用により、その目的を達成することができる。代表的な方法は目的遺伝子の増幅に用いるプライマー塩基配列を両端に有し、内部配列や大きさが異なる既知量の核酸を内部標品として添加しPCR反応で増幅し、目的物の最終増幅量の内部標品の最終増幅量に照らして目的の遺伝子量を推定するものである。本発明において、内部標品は、外部よりの添加標品に限定されず、正常組織及び癌組織において同等に発現している遺伝子のmRNAを鋳型としたcDNAを用いても良い。このようなcDNAとして、例えば、細胞骨格の構成成分であるβ−アクチン遺伝子cDNAを挙げることができる。
例えば、胃癌組織細胞より抽出した粗RNA試料を用いたRT−PCR法において、配列表の配列番号:20及び21の塩基配列を有する合成オリゴヌクレオチドを核酸増幅反応用のプライマー対とした場合、第3図の(a)に示すように、本明細書におけるCA11遺伝子のcDNA塩基配列のうち配列表の配列番号:1において塩基番号46〜411で示される塩基配列領域のみを増幅することが可能である。
RNaseプロテクションアッセイによる癌関連遺伝子発現量の測定は、体外摘出試料より抽出された一定量の粗RNA試料に、検出対象となる癌関連遺伝子mRNA又はその一部と特異的にハイブリダイズする過剰量のRNAであるプローブを添加し、更にRNase消化した後の残存RNA量を測定することにより実施することができる。すなわち、該残存RNA量が多いほど、癌関連遺伝子の発現量が高いと判断できる。
なお、該方法で用いるプローブは、例えば、80%ホルムアミド、40mM Pipes(pH6.4)、400mM NaCl、1mM EDTAからなるハイブリダイゼーション緩衝液中45℃、20時間保温してハイブリダイズ可能であり、かつ、検出対象となる癌関連遺伝子mRNAに特異的な塩基配列に相補的な塩基配列を有しているRNAであれば特に限定されない。また、該プローブの標識も特に限定されず、例えば、32Pに代表される放射性物質のほか、フルオレセインに代表される蛍光物質を用いることができる。
ノーザンハイブリダイゼーション法による癌関連遺伝子発現量の測定は、試料組織より抽出された一定量の粗RNA試料を分子量等による分画後ナイロンフィルター等に固定し、検出対象となる癌関連遺伝子mRNAと過剰量の該遺伝子検出用プローブを接触させ、固定化されたRNAにハイブリダイズしたプローブより得られるシグナル強度を測定することにより実施することができる。すなわち、該シグナル強度が強いほど、癌関連遺伝子の発現量が高いと判断できる。
なお、該方法においてハイブリダイズするとは、例えば、50%ホルムアミド、0.65M NaCl、0.1Mナトリウム−Pipes、5×デンハート液、0.1%SDS、5mM EDTAからなるハイブリダイゼーション緩衝液中42℃、20時間保温してハイブリダイズ可能であることを指す。検出用プローブは、検出対象となる癌関連遺伝子mRNAに特異的な塩基配列に相補的な塩基配列を有する核酸であることが好ましいが、RNAの検出において数カ所にシグナルが得られるような塩基配列であっても、シグナル位置により検出対象mRNAを特定することができれば、特に限定されない。該プローブの標識も特に限定されず、例えば、32Pに代表される放射性物質のほか、フルオレセインに代表される蛍光物質を用いることができる。
第2図に、癌関連遺伝子mRNAの発現量の変化を、ノーザンハイブリダイゼーション法により検出した一例を示す。なお該図は、癌組織及び対照正常組織より得られたRNAを個別に電気泳動後、本明細書におけるCA11遺伝子mRNA検出用標識プローブをハイブリダイズさせることにより得られたオートラジオグラムを再現した写真である。
また、癌関連遺伝子の発現量の変化を、タンパク質を指標に確認する際には、該タンパク質の生物活性により確認することも可能であるが、本発明においては、その簡便さより、該タンパク質に対する抗体を用いた検出が好適である。
本発明における抗体とは、癌関連遺伝子にコードされるタンパク質に特異的に結合する抗体である。したがって、体外摘出試料より抽出した一定量の粗タンパク質に対し、該抗体の結合量が多ければ、該癌関連遺伝子の発現量が高いと判断できる。
該抗体を得るための抗原としてのタンパク質は、該遺伝子を発現している癌細胞より精製し得ることもできるが、遺伝子工学手法を用いることにより得ることもできる。例えば、該タンパク質をコードする核酸は、上記、DD法及び目的タンパク質を発現している細胞より調製したcDNAライブラリーのスクリーニングの組合せにより得ることができる。目的タンパク質は、得られたcDNAを適当な発現ベクターに組込み、適当な宿主中で発現させることにより得ることができる。更に、本タンパク質は、融合タンパク質として発現させてもよい。例えば、目的タンパク質の発現量を増加させるために他のタンパク質由来のN末端又はC末端に適当なペプチド鎖を付加して発現させ、このペプチド鎖に親和性を持つ担体を使用することにより目的タンパク質の精製を容易にすることができる。
また、抗体を得るための抗原は、必ずしも該タンパク質全体を用いなくともよく、抗体が認識可能な、該タンパク質に特異的なアミノ酸配列領域を有するペプチドであってもよい。
なお該抗体の取得法は、例えば、常法により、ペプチドをアジュバンドと共に動物に免疫させることにより、抗血清として得ることができる。また、ガルフレらの方法[Galfre,G.ら、ネーチャー、第266巻、第550〜552頁(1977)〕により、モノクローナル抗体として得ることもできる。
抗体を用いたタンパク質の検出方法としては、例えば、ウェスタンブロット法が挙げられる。
本方法は、細胞を界面活性剤で処理して細胞内タンパク質を溶解後、該タンパク質を、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動で分離させた後ニトロセルロース膜などに転写し特異抗体によって検出する方法である。タンパク質と結合した抗体は、例えば、25I−標識プロテインA、ペルオキシダーゼ結合抗IgG抗体などを用いて二次的に検出することができる。
本発明の第2の発明は、癌細胞検出用キットを提供する。すなわち、本発明の第1の発明である、癌細胞の検出方法を利用することにより、癌細胞検出用キットを提供することができる。具体的には、細胞内における、癌関連遺伝子の発現量の変化を検出する方法において、該遺伝子より発現されるmRNAの量あるいはタンパク質の量を指標に検出するキットが例示される。
mRNAの発現量を指標とし、上記癌細胞検出方法に記載の核酸増幅法を用いた検出方法により癌細胞を検出するためのキットの場合、配列表の配列番号:1〜16のいずれかに示される塩基配列を含有する塩基配列で示されるDNA又は配列表の配列番号:1〜16のいずれかに示されるDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAをcDNAとするmRNAを検出可能な、上記、癌細胞の検出方法で述べた性質を有するプライマー対を構成の必須要件とする。例えば、検出方法にRT−PCRを利用した本発明におけるキットは、上記プライマー対の他に、逆転写酵素、dNTP、耐熱性DNAポリメラーゼが組み込まれていてもよい。なお本キットにより検出される癌関連遺伝子の種類及びその数は特に限定されない。従って本キットを構成するプライマー対も特に限定されなく、検出対象とする癌関連遺伝子の種類及びその数により適宜選択すればよい。
本発明の癌関連遺伝子cDNAを鋳型とし、その一部領域のみを特異的に増幅させるプライマー対の一例を、表2に示す。各表のプライマー対において、アルファベットと数字を組合せた記号は、本発明におけるプライマー名称を、各記号に付した括弧内の数字は、各プライマーの塩基配列を示した、配列表の配列番号を示す。なお、表2に示したβ−アクチンは、体外摘出試料より抽出した粗RNA試料中の癌関連遺伝子mRNAの定量を目的とした内部標準として選択した遺伝子である。
一方、mRNAを指標とし、RNaseプロテクションアッセイやノーザンハイブリダイゼーション法を用いた検出方法により癌細胞を検出するためのキットの場合、cDNAが配列番号:1〜16のいずれかに示される塩基配列を含有する塩基配列で示されるDNA又は配列表の配列番号:1〜16のいずれかに示されるDNAがストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAである癌関連遺伝子のmRNAを検出可能な、上記、癌の検出方法で述べた性質を有するプローブを構成の必須要件とする。例えばRNaseプロテクションアッセイを利用したキットの場合、上記プローブの他、RNase、RNase用濃縮反応液などが組み込まれていてもよい。本キットにより検出される上記癌関連遺伝子の種類又は数は特に限定されない。従って本キットを構成するプローブも検出対象の癌関連遺伝子の種類及びその数により適宜選択すればよく特に限定されない。
一方、タンパク質を指標とし、抗体を用いた検出方法により癌細胞を検出するためのキットの場合、配列番号:1〜16のいずれかに示される塩基配列を含有する塩基配列で示されるDNA又は配列表の配列番号:1〜16のいずれかに示されるDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAの塩基配列を含有する塩基配列で示されるDNAにコードされるペプチドに対し、個別に特異的に結合する、上記癌細胞検出方法に記載の性質を有する抗体を構成の必須要件とする。本キットにより検出される癌関連遺伝子の種類及び数は特に限定されない。従って本キットを構成する抗体は、検出する癌関連遺伝子の種類及び数により適宜選択すればよく、特に限定されない。
かかるキットを用いることにより簡単に癌細胞を検出することができる。従って、該キットを用いて、癌関連遺伝子の発現量の測定に基づく癌の診断が可能となる。即ち該キットを用いた癌細胞の検出方法により癌細胞の存在が確認されたヒトは癌陽性であると判断する事ができる。
本発明の第3の発明は、癌関連遺伝子又は該遺伝子発現産物への特異的結合物を用いた癌細胞の増殖制御方法である。本明細書における特異的結合物とは、核酸、抗体、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)等を挙げることが出来る。
例えば、慢性骨髄性白血病によく検出されるbcr-ablキメラ蛋白質は高いチロシンキナーゼ活性を有し白血病の発生、増殖に重要な役割を演じている。本キメラ蛋白質をコードする遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドはin vivoで本遺伝子発現腫瘍の増殖を抑制することができる(Skorski,T.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91 4504 1994)。一方、従来から癌細胞に特異的に発現される蛋白質の癌特有なペプチドは、癌細胞に対するT細胞免疫応答の標的となることが知られており、この融合蛋白質の融合部近傍のペプチドで免疫することで本融合蛋白質に反応性のT細胞が得られる(Chen,W.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89,1468 1992)。その実施方法としては例えば以下の報告に述べられている技術が利用できる。すなわち、ヒトT細胞において第12番アミノ酸グリシンを他のアミノ酸に置換したrasペプチドに特異的に反応し、HLA-DRの拘束性を有するCD4+T細胞が分離され(Jung,S.J.Exp.Med.173,273 1991)、61番アミノ酸に変異をもつras蛋白質を産生できる組み替えワクシニアウイルスで免疫されたマウスから、その変異部位を含む8アミノ酸からなるペプチドに対するCTLを誘導できる(Skipper,J.J.Exp.Med.177,1493 1993)。さらに、遺伝子組み替えで作製した可溶性変異ras蛋白質で免疫したマウスでは同一変異を持った癌細胞のin vivoでの増殖が抑制され(Fenton,R.G.J.Natl.Cancer Inst.85,1294 1993)、変異rasペプチドで感作した脾臓細胞から、同一の変異rasを発現している癌細胞に細胞障害活性を示すCTLが得られる(Peace,D.J.J.Exp.Med.179,473 1994)。
従って、本発明において細胞の癌化と関連が認められた遺伝子についても同様のアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用する事により細胞増殖を制御出来る可能性がある。更に癌化により発現量が増加すると考えられる遺伝子にコードされる蛋白質に反応性のT細胞が得られれば、該蛋白質を高発現している細胞の増殖を抑制することが可能となる。
本発明の第4の発明は、癌検出に利用できる新規なペプチド及び該ペプチドをコードする核酸を提供する。本発明者らにより、明らかにされた癌関連遺伝子において、遺伝子の塩基配列情報を収録したデータベースを用いたホモロジー検索により、CA11、CA13、GG33、GC35、GC36、CA42を除くものは既に単離、同定された遺伝子であることが明らかとなった。すなわちCC24はチトクロームcオキシダーゼ サブユニットI遺伝子〔ホーライS.(Horai,S.)ら、プロシーディングズ オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ USA、第92巻、第532〜536頁(1995)〕、AG26はp190−B遺伝子〔バーベロP.D.(Burbelo,P.D.)ら、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(Journal of Biological Chemistry)、第270巻、第30919〜30926頁(1995)〕、GC31はチトクロームcオキシダーゼ サブユニットII遺伝子〔パワーM.D.(Power,M.D.)ら、ヌクレイック アシッズ リサーチ、第17巻、第6734頁(1989)〕、GC32はチトクロームb遺伝子〔アンダーソンS.(Anderson,S.)ら、ネーチャー、第290巻、第457〜465頁(1981)〕、GC33はインテグリン α 6 サブユニット遺伝子〔タムラR.N.(Tamura,R.N.)ら、ジャーナル オブ セル バイオロジー(Journal of Cell Biology)、第111巻、第1593〜1604頁(1990)〕、GG24はF1−ATPエース β サブユニット遺伝子〔オータS.(Ohta,S.)ら、ザ ジャーナル オブ バイオケミストリー(The Journal of Biochemistry)、第99巻、第135〜141頁(1986)〕、CC62はラクトフェリィン遺伝子〔レイM.W.(Rey,M.W.)ら、ヌクレイック アシッズ リサーチ、第18巻、第5288頁(1990)〕に相当しており、一方、CC34cDNAクローンは16SrRNAをコードするcDNAの塩基配列〔ホーライS.ら、プロシーディングズ オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ USA、第92巻、第532〜536頁(1995)〕の一部領域と7塩基が異なるクローンであった。なお、これらの遺伝子については発癌との関連は知られていない。
一方、CA11、CA13、GG33、GC35、GC36、CA42、の各遺伝子については、各遺伝子cDNAにおいて今回解析した領域その塩基配列、及びそこにコードされるアミノ酸配列と同一の配列、あるいはこれらとホモロジーのある配列も報告されていない。すなわちCA11、CA13、GG33、GC35、GC36、CA42の各遺伝子cDNAの塩基配列において、本発明により明らかにした塩基配列を有する核酸は、本発明者らによって始めて単離された新規な核酸である。
表1に示すように、配列表の配列番号:1、2、及び13に示す塩基配列からなる、本発明における新規な核酸にコードされるペプチドは、該塩基配列より、それぞれ配列表の配列番号:17、18、及び19に記載のアミノ酸配列からなると推定されるが、これらに限定されるものではない。すなわち、▲1▼配列表の配列番号:17〜19のいずれかに記載のアミノ酸配列の全部又は一部を含むペプチド、▲2▼配列表の配列番号:17〜19のいずれかに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が付加、欠失若しくは置換されており、かつ細胞の癌化により発現量が変化するペプチドも包含する。それは、以下の理由による。
天然に存在するタンパク質にはそれをコードする遺伝子の多型や変異のほか、生成後のタンパク質の生体内及び精製中の修飾反応などによってそのアミノ酸配列中にアミノ酸の欠失、挿入、付加、置換等の変異が起こりうる。しかしこのような変異が該タンパク質の活性や構造の保持に関して重要でない部分に存在する場合には、変異を有しないタンパク質と実質的に同等の生理、生物学的活性を示すものがあることが知られているからである。
また、人為的にタンパク質のアミノ酸配列に上記のような変異を導入した場合も同様であり、この場合には更に多種多様の変異体を作製することが可能である。例えば、ヒトインターロイキン2(IL−2)のアミノ酸配列中のあるシステイン残基をセリンに置換したポリペプチドがインターロイキン2活性を保持することが知られている〔ワングA.(Wang,A.)ら、サイエンス、第224巻、第1431〜1433頁(1984)〕。したがって、本発明によって開示されたアミノ酸配列に1若しくは数個のアミノ酸残基の欠失、挿入、付加、置換が生じたアミノ酸配列によって示されるものであっても、癌化による発現量の変化に差異が見られないものであれば本発明の範囲内に属するものである。
更に、ある種のタンパク質は、活性には必須でないペプチド領域を有していることが知られている。例えば細胞外に分泌されるタンパク質に存在するシグナルペプチドや、プロテアーゼの前駆体等に見られるプロ配列などがこれに当り、これらの領域のほとんどは翻訳後、あるいは活性型タンパク質への転換に際して除去される。このようなタンパク質は一次構造上は異なった形で存在しているが、最終的には同等の機能を発現するタンパク質である。
遺伝子工学的にタンパク質の生産を行う場合には、目的のタンパク質のアミノ末端、あるいはカルボキシル末端に該タンパク質の活性とは無関係のペプチド鎖が付加されることがある。例えば、目的のタンパク質の発現量を上げるために、使用される宿主中で高発現されているタンパク質のアミノ末端領域の一部を目的のタンパク質のアミノ末端に付加した融合タンパク質が作製されることがある。あるいは発現されたタンパク質の精製を容易にするために、特定の物質に親和性を有するペプチドを目的のタンパク質のアミノ末端、あるいはカルボキシル末端に付加することも行われている。これらの付加されたペプチドは目的タンパク質の活性に悪影響を及ぼさない場合には付加されたままであってもよく、また必要であれば適当な処理、例えばプロテアーゼによる限定分解などによって目的タンパク質から除去できるようにすることもできる。
上記したような、そのタンパク質の機能には必須でないペプチドを保持した、あるいは付加されたものであっても、同等の機能を発現できる限りにおいては本発明のタンパク質の範囲内に属するものである。なお、本明細書において「ペプチド」とは、2以上のアミノ酸がペプチド結合によってつながったものを示し、「タンパク質」として記載されているものを包含する。
本発明における新規な核酸の一部は、配列表の配列番号:17〜19のいずれかに記載のアミノ酸配列を有するペプチドをコードする核酸からなるものであり、その塩基配列は、表1に示すように、例えば、配列表の配列番号:1、2及び13のいずれかに記載の塩基配列が挙げられる。すなわち、配列表の配列番号:17に記載のアミノ酸配列を有するペプチドは、配列表の配列番号:1に示す塩基配列の塩基番号3〜584に、配列表の配列番号:18に記載のアミノ酸配列を有するペプチドは、配列表の配列番号:2に示す塩基配列の塩基番号1698〜1850に、配列表の配列番号:19に記載のアミノ酸配列を有するペプチドは、配列表の配列番号:13に示す塩基配列の塩基番号8〜196にそれぞれコードされているが、本発明における新規なペプチドをコードする核酸はこれらに限定されない。すなわち、▲1▼配列表の配列番号:17〜19にいずれかに記載のアミノ酸配列の全部又は一部を含むペプチドであって、癌細胞の検出に利用することができるペプチドをコードする核酸、▲2▼本発明の新規核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能な、細胞の癌化によってその発現量が変化するペプチドをコードする核酸、▲3▼配列表の配列番号:17〜19にいずれかに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が付加、欠失若しくは置換されており、かつ発現量の変化で癌細胞の検出に利用できるペプチドをコードする核酸等も本発明の範囲内である。
本明細書に記載の「アミノ酸配列をコードする核酸」なる用語について説明する。遺伝子上でアミノ酸を指定するコドン(3つの塩基の組合せ)はアミノ酸の種類ごとに1〜6種類ずつが存在することが知られている。したがって、あるアミノ酸配列をコードする核酸はそのアミノ酸配列にもよるが多数生存することができる。遺伝子は自然界において決して安定に存在しているものではなく、その塩基配列に変異が起こることはまれではない。遺伝子上に起こった変異がそこにコードされるアミノ酸配列には変化を与えない場合(サイレント変異と呼ばれる)もあり、この場合には同じアミノ酸配列をコードする異なる核酸が生じたといえる。したがって、ある特定のアミノ酸配列をコードする核酸が単離されても、それを含有する生物が継代されていくうちに同じアミノ酸配列をコードする多種類の核酸ができていく可能性は否定できない。更に同じアミノ酸配列をコードする多種類の核酸を人為的に作製することは種々の遺伝子工学的手法を用いれば困難なことではない。例えば遺伝子工学的なタンパク質の生産において、目的のタンパク質をコードする本来の核酸上で使用されているコドンが宿主中では使用頻度の低いものであった場合には、タンパク質の発現量が低いことがある。このような場合にはコードされているアミノ酸配列に変化を与えることなく、コドンを宿主で繁用されているものに人為的に変換することにより、目的タンパク質の高発現を図ることが行われている(例えば特公平7−102146号)。このように特定のアミノ酸配列をコードする多種類の核酸は人為的に作製可能なことはいうまでもなく、自然界においても生成されうるものである。したがって、本明細書中に開示された塩基配列と同一の核酸ではなくても、それが本明細書中に開示されたアミノ酸配列をコードする限り本発明に含有されるものである。
実際、本発明においても、塩基配列は若干異なるがコードされるアミノ酸配列は同一である核酸が得られている。CA13遺伝子cDNAの塩基配列に含有される、配列表の配列番号:2に示す塩基配列において、塩基番号1784のRがA、塩基番号1985のKがTであるが、配列表の配列番号:2に示す塩基配列において、塩基番号1784のRがG、塩基番号1985のKがTであるcDNAや、塩基番号1784のRがA、塩基番号1985のKがGである核酸も得られている。しかし、この2箇所の塩基配列の違いは、配列表の配列番号:2に示した塩基配列の塩基番号1698〜1850にコードされるアミノ酸配列には影響を与えず、上記3種の核酸にコードされるペプチドはいずれも、配列表の配列番号:18に示すアミノ酸配列を有する。
更に、本発明の新規な遺伝子のうちGG33、GC35、及びGC36遺伝子のcDNAは、それぞれ配列表の配列番号:9、11及び12、15、16に記載の塩基配列を有する。
更に、本発明の新規な核酸は、配列表の配列番号:9、11及び12、15、16のいずれかに記載の塩基配列で示される核酸がストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能であり、且つ細胞の癌化によって発現量が変化するmRNAの塩基配列に相補的な核酸も本発明に含有されるものである。実際、本発明においても上記性質を有する核酸が得られている。例えば、塩基配列は若干異なるがコードされるアミノ酸配列は同一である上記核酸、また本発明の新規核酸ではないが、CC34遺伝子cDNAは、配列表の配列番号:10に示す塩基配列を含有するが、配列表の配列番号:10に示す塩基配列の塩基番号935のTがAに置換され、3’末端のGTTAAGの配列からなる6塩基が欠失した別種の核酸が得られている。
また、本発明の第5の発明は、本発明における新規な核酸にコードされるペプチドに対する抗体を提供する。該抗体は、上記記載の癌細胞の検出に利用することができる。
以下、本発明を実施例をもって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものでない。
実施例1 癌関連遺伝子の解析
1)癌検出の指標となりうるmRNAの存在の確認
癌化により発現量の変化するmRNAが存在するか、以下に示す、胃の癌化病変組織部と対照正常組織部のmRNAの発現を比較するDD法により確認した。
まず、低分化腺癌の進行癌患者より摘出された胃の癌組織と対照正常組織よりそれぞれTRIzolTM試薬(ギブコBRL社製)を用いてRNAを抽出し、粗RNA試料とした。こうして得られた粗RNA試料のうち50μgを最終5mM MgCl2と20単位のRNase阻害剤(宝酒造社製)存在下で10単位のDNaseI(宝酒造社製)と37℃、30分間反応し、ゲノムDNAを除去した。本RNAを用いDifferential DisplayTM Kit(ディスプレイシステム社製)並びにEnzyme Set−DD(宝酒造社製)を用いキット添付の説明書記載の手順に従いRT−PCRを行った。
すなわち、逆転写反応は、1反応につき、上記DNase処理した粗RNA試料200ngと配列表の配列番号:56〜64に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのいずれか一種をプライマーとして混合後、70℃、10分間熱処理、急冷後、AMV逆転写酵素と55℃、30分反応を行った。他の下流プライマーについても個々に同様の反応を行い、合計9種類の一本鎖cDNAサンプルを作製した。
続くPCRによる核酸増幅反応は、上記、9種類の一本鎖cDNAを個別に鋳型とし、逆転写反応時と同一のオリゴ(dT)プライマーを下流プライマー、配列表の配列番号:50〜55に示す塩基配列を有するキット中の10merのオリゴヌクレオチドのいずれか一種を上流プライマーとしてPCRにて核酸増幅を行い、合計54種類の増幅DNAサンプルを作製した。
なお、PCR時のMgCl2濃度は3mM、基質としてdATP、dGTP、dCTP、dTTPを各々15μM、更に標識化合物として[α−33P]−dATP(アマシャム社製)を1.85kBq/ml添加し94℃で30秒、40℃で60秒、72℃で60秒からなる行程を1サイクルとし40サイクル反応した。反応終了後、等量の95%ホルムアルデヒドを添加し、90℃、2分間熱変性し電気泳動用サンプルとした。泳動は7M尿素変性5%ポリアクリルアミドゲルで行いオートラジオグラフィーにより多数のバンドよりなるフィンガープリントが得られ、癌組織を基に得られたオートラジオグラムと対照正常組織部試料を基に得られたオートラジオグラムでシグナル強度の異なるバンドが存在した。
一例として、下流プライマーとして配列表の配列番号:59に示す塩基配列を有するD4、上流プライマーとして配列表の配列番号:50に示す塩基配列を有するU1を用いた結果を、第1図に示す。すなわち第1図は、癌関連遺伝子をDD法にて検出した場合の、得られたDNA断片の電気泳動のパターンを示すオートラジオグラムを再現した写真である。なお、第1図において、1Nは低分化腺癌型胃癌患者の正常組織部より得られた粗RNA試料を鋳型として得られた増幅DNA断片を、1Tは同一低分化腺癌型胃癌患者の癌組織部より得られた粗RNA試料を鋳型として得られた増幅DNA断片を、それぞれアクリルアミドゲル上で泳動したレーンであることを示す。第1図の→で示した塩基数約750bpの位置に、癌組織試料を基に得られたオートラジオグラムに比べ、シグナル強度の強いバンドが、対照正常組織試料を基に得られたオートラジオグラムに存在した。本発明者らは、この強度差のあるバンドを生じさせるmRNAを発現する遺伝子をCA11と命名した。
表3に、DD法により本発明者らが検出し、命名した各遺伝子について、それぞれのmRNAの発現量の違いをDD法により検出するための上流プライマー及び下流プライマーの組合せ、増幅DNA断片のおおよそのサイズ、癌組織と対照正常組織試料を基にRT−PCRで得られた増幅DNA量の差を示した。なお、表3のプライマー欄において、アルファベットと数字を組合せた記号はプライマー名称を示し、各記号に付した括弧内の番号は、配列表において該プライマーの塩基配列を示した配列番号を示す。
2)癌検出の指標となるmRNAの同定
1)記載のDD法を用いて確認された、表3に記載の各遺伝子由来増幅DNA断片の鋳型となったmRNAの発現量の変化が、真に癌化に関連しているか検討した。
まず、ノーザンハイブリダイゼーション法による検討を行った。すなわち、癌組織及び対照正常組織において発現される癌関連遺伝子のmRNAの発現量の差を、1)記載の方法により得られた各増幅DNA断片をプローブとして検出できるか検討した。
検出用プローブは、以下のように作製した。すなわち、1)記載の、DD法により得られた増幅DNA断片を泳動したアクリルアミドゲルより、表3に示す各増幅DNA断片を含む領域を切り出し、100μlの水を加え熱抽出により、含まれるDNA断片を個別に回収した。これらのDNA断片を個々に鋳型とし、表3に示す各DNA断片を得るために用いた上流、下流プライマーの組合せによるPCRにて再増幅した。更に各増幅DNA断片約100ngをランダムプライマーDNAラベリングキット(宝酒造社製)により32P標識することにより、14種類の検出用プローブを作製した。これとは別に、各組織より抽出した粗RNA試料の陽性コントロールとして、β−アクチン遺伝子mRNAを選択し、配列表の配列番号:65に示す塩基配列を有する合成オリゴヌクレオチドを同様に32P標識し、β−アクチン遺伝子mRNA検出用プローブとした。次いで、前記検出用プローブを、個別に、ニシン精子DNAを100μg/mlになるように混合後、熱変性したものとともに、ハイブリダイゼーション緩衝液(50%ホルムアミド、0.65M NaCl、0.1Mナトリウム−Pipes、5×デンハート液、0.1%SDS、5mM EDTA)に加え、ノーザンハイブリダイゼーションにおける検出用プローブ液15種類を調製した。
ノーザンハイブリダイゼーションは、以下のように行った。まず、前述の方法により調製した胃癌患者の癌組織及び対照正常組織より抽出した粗RNA試料を、各々個別に1ウェルにつきそれぞれ20μgずつホルマリン変性1%アガロースゲルにて電気泳動後、ハイボンドN+メンブラン(アマシャム社製)にブロッティングした。次に、ハイブリバック(コスモ・バイオ社製)にブロッティングメンブランと、熱変性ニシン精子DNAを最終濃度100μg/mlになるように添加したハイブリダイゼーション緩衝液を加え、42℃、2hr放置後、緩衝液を捨て、プレハイブリダイゼーション処理メンブランを作製した。上記のメンブランを15枚作製後、個別に、前記15種類のノーザンハイブリダイゼーション用検出プローブ液を加え42℃、16hrハイブリダイゼーションを行った。次に各ブロッティングメンブランをハイブリバックより取り出し、洗浄液I(2×SSC、0.2%ピロリン酸ナトリウム、0.1%SDS)中42℃、20分洗浄後、洗浄液II(0.5×SSC、0.2%ピロリン酸ナトリウム、0.1%SDS)にて42℃、20分洗浄した。なお、この洗浄液IIによる洗浄は、洗浄液を交換しながら2回繰り返した。洗い終えたメンブランをラップに包み高感度X線フィルム(コダック社製)に一昼夜露光し、得られるオートラジオグラムにおけるシグナル強度より癌組織と対照正常組織での発現量を比較した。
一例として、第2図にCA11遺伝子mRNAを検出した結果を示す。第2図において、1Nは低分化腺癌型胃癌患者の正常組織より得られた粗RNA試料、1Tは同一低分化腺癌型胃癌患者の癌組織より得られた粗RNA試料を、アガロースゲル上で泳動したレーンに相当する領域であることを示す。(a)は、CA11検出用プローブ、(b)はβ−アクチン検出用プローブを用いた結果を示す。(b)に示したように1N及び1T共、β−アクチン検出用プローブでシグナルが得られていることから、両試料においてRNAが、過度の分解を受けず抽出されていることが明らかである。一方、(a)において、→で示した約1.1Kb付近に、レーン1Nのみ明瞭なシグナルが存在し、レーン1Tにはシグナルが存在しないことから、CA11は癌化により発現量の低下する遺伝子であることが判明した。同様に、CC62は約2.6Kb付近に、対照正常胃組織部より得られたオートラジオグラムにのみバンドが得られた。一方、GC31、GC32、CC34に関しては、それぞれ約1.0Kb付近、1.6Kb付近、1.7Kb付近にバンドが認められたが、いずれも胃癌組織より得られた粗RNA試料の方が、対照正常胃組織より調製した粗RNA試料より強いシグナルが得られた。なおシグナル強度はオートラジオグラムの各バンドをデンシトメーターにより測定した。次に該オートラジオグラムで得られた各バンドのIODをFMBIO−100(日立ソフトエンジニアリング社製)により計算し、下式により癌関連遺伝子であるかを判断するための指標値を計算した。
式2
〔指標値〕=(X×βY)/(Y×βX)
上式において各記号は以下の値を表す。
X:胃癌組織より得られた表3記載遺伝子mRNA由来バンドのIOD
Y:対照正常胃組織より得られた表3記載遺伝子mRNA由来バンドのIOD
βX:胃癌組織より得られたβ−アクチン遺伝子mRNA由来バンドのIOD
βY:対照正常胃組織より得られたβ−アクチン遺伝子mRNA由来バンドのIOD
ノーザンハイブリダイゼーションでシグナルが得られなかった、CA13、CC24、GG24、AG26、GC33、GG33、GC35、GC36、CA42、の各遺伝子に関してはRT−PCRにて発現量の比較を行うことにした。RT−PCRにおける核酸増幅反応用プライマーの設計のため、ノーザンハイブリダイゼーションにおいてプローブとして用いたDNA断片を、PCRによるダイレクトシークエンシング、又はTAクローニングにて各DNA断片をクローン化した後、ダイデオキシ法により、塩基配列を決定した。得られた塩基配列情報より設計し、各遺伝子由来mRNAを鋳型としたRT−PCRに用いたプライマーの塩基配列を、配列表の配列番号:22〜29、34〜37及び38〜43に示した。表2に、遺伝子と、その発現確認に使用したプライマーの対応を示す。
RT−PCRによるmRNAの発現量の変化の確認は、1)記載の方法で調製した胃癌患者の癌組織及び対照正常組織より得られた粗RNA試料をDNaseI処理後、それぞれ40ngを100μlの反応系でTaKaRa RNA PCR Kit Ver.2.1を用い、キット添付の説明書記載の手順に従いRT−PCRを行った。すなわち、鋳型として粗RNA試料40ng、下流プライマーとしてオリゴ(dT)プライマー(終濃度2.5μM)を用い、逆転写反応液(10mM トリス−HCl、pH8.3、50mM KCl、5mM MgCl2、1mM各dNTP、100単位RNaseインヒビター、25単位AMV逆転写酵素)を調製し、30℃で10分間、55℃で20分間、95℃で5分間逆転写反応を行った。上記逆転写反応液各10μlを、CA13、CC24、GG24、AG26、GC33、GG33、GC35、GC36、CA42、及びβ−アクチンの各遺伝子mRNA検出用のプライマー対(0.2μM)を個別に含む10種類のPCR反応液(終濃度10mM トリス−HCl、pH8.3、50mM KCl、2.5mM MgCl2、1.25単位TaKaRa Taq DNAポリメラーゼ)40μlに加え50μlとした。PCRにおける1サイクルは、まず94℃、2分のインキュベーションの後、94℃で30秒、55℃で60秒、72℃で60秒からなる行程とした。増幅DNA産物量の確認は、増幅DNA産物をアガロースゲル電気泳動したのち、ゲルをエチジウムブロマイド染色後、該蛍光イメージ上の各バンドのIODをFMBIO−100により計算し、前記式2により癌関連遺伝子であるか判断するための指標値を計算した。
上記、ノーザンハイブリダイゼーション法及びRT−PCR法の結果、及び該結果より明らかとなった各遺伝子の癌化による発現変化のパターンを表4に示した。なお、該表の発現変化のパターンの項において、癌化により発現が増幅される遺伝子は、↑、癌化により発現が抑制される遺伝子は、↓で示した。すなわち表4において指標値が1より大きい遺伝子は癌化により遺伝子発現量が増加する遺伝子、指標値が1より小さい遺伝子は癌化により遺伝子発現量が低下する遺伝子であると判断した。この結果、CA13、CC24、GG24、GC31、GC32、GC33、GG33、CC34、CA42遺伝子は癌化により発現量が増加する遺伝子、CA11、AG26、GC35、GC36、CC62各遺伝子は癌化により発現量が低下する遺伝子であることが明らかとなった。
3)癌関連遺伝子cDNAの取得
次にこれら該癌関連遺伝子のcDNA断片をクローニングした。まず、1)記載の方法により調製した、癌組織と正常組織の粗RNA試料より、mRNA精製キット(ファルマシア社製)を用い、オリゴ(dT)カラムでmRNAを分画し、ZAP−cDNA合成キット(ストラタジーン社製)を用い、キット添付のプロトコールに従い10cm×14cmの角プレートに1枚当り約40,000プラークとなるようファージと宿主菌XLI−Blue MRF’をプレーティングし、cDNAライブラリーを調製した。次に、ファージ粒子をハイボンドN+メンブランにトランスファーし、2)記載のノーザンハイブリダイゼーションの際と同一のプローブを用いプラークハイブリダイゼーションによりスクリーニングを行い、目的のcDNA遺伝子を含むUni−ZAP XRクローンを見出した。この組換えUni−ZAP XRクローンよりイン ビトロ エキシジョン(in vitro excision)法によりpBluescriptファージミドに変換した。この組換えファージミドに組込まれているDNA断片の塩基配列を蛍光DNAシークエンサー(ABI社製)を用いて決定した。ファージミドに組み込まれているDNA断片の塩基配列を基にしたウォーキング(Walking)によりcDNAライブラリーに含まれるcDNA断片を連結した結果得られた塩基配列を配列表の配列番号:1〜14に示す。なお、GC36遺伝子に関しては約2.6kbpのcDNAクローンが得られた。該cDNAクローンの5’末端側及び3’末端側から塩基配列を解析したところ、配列表の配列番号:15及び配列番号:16に示す塩基配列情報が得られた。
こうして得られた塩基配列を、BLASTプログラム〔アルトシュルS.F.(Altschul,S.F.)、ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー(Journal of Molecular Biology)、第215巻、第403〜410頁(1990)〕を用い、ジーンバンク(Genebank)に収められた既知遺伝子cDNAの塩基配列とホモロジーサーチを行った。その結果CA11、CA13、GG33、GC35、GC36、CA42、の各遺伝子cDNAについては相当する配列が報告されておらず、これらの遺伝子は新規遺伝子と判断された。更に、CA11、CA13、CA42、各遺伝子cDNAに含有される塩基配列より、遺伝子産物の読み取り枠(オープンリーディングフレイム)を検索したところ、CA11cDNAは、配列表の配列番号:17に示すアミノ酸配列を、CA13cDNAは、配列表の配列番号:18に示すアミノ酸配列を、CA42cDNAは、配列表の配列番号:19に示すアミノ酸配列を、それぞれコードしていると予想された。一方、CC24はチトクロームcオキシダーゼ サブユニットI遺伝子、AG26はp190−B遺伝子、GC31はチトクロームcオキシダーゼ サブユニットII遺伝子、GC32はチトクロームb遺伝子、GC33はインテグリン α 6 サブユニット遺伝子、GG24はF1−ATPエース β サブユニット遺伝子、CC62はラクトフェリィン遺伝子に相当していた。一方、CC34cDNAの配列表の配列番号:10に示す塩基配列領域は、ミトコンドリア16SrRNAをコードするcDNAの一部領域と7塩基の違いが認められた。
ところで、本実施例におけるCC34由来増幅DNA断片をプローブとして使用したcDNAライブラリィからのスクリーニングでは、配列表の配列番号:10に示す塩基配列を有するcDNAクローンのほかに、更に別種の陽性cDNAクローンが得られた。該cDNAの塩基配列は、配列表の配列番号:10に示す塩基配列における塩基番号935のTがAに置換し、更に3’末端のGTTAAG配列からなる6塩基が欠失した塩基配列を有しており、全塩基配列1546塩基中1540塩基がミトコンドリア16SrRNAをコードするcDNAの一部領域と同一配列を有することが明らかとなった。
実施例2 癌組織における遺伝子発現の変化の確認
実施例1で確認された癌関連遺伝子について、実施例1とは異なる癌組織を用い該遺伝子発現と細胞癌化との関連を調べた。
1)印環細胞型胃癌患者の癌組織における遺伝子発現の変化の確認
実施例1の1)及び2)で用いた組織の提供を受けた癌患者とは異なる、印環細胞型胃癌患者より摘出された癌組織と対照正常組織より実施例1の1)と同様に調製した粗RNA試料を用い、実施例1の2)記載のノーザンハイブリダイゼーション又はRT−PCRを行い、実施例1の3)で明らかとなった14種の癌関連遺伝子それぞれにつき癌組織と正常組織における発現量を、mRNAの発現量を指標に比較した。一例として、第3図にRT−PCR法によるCA11遺伝子mRNAの検出結果を示す。すなわち第3図は、癌関連遺伝子の発現量の変化を、RT−PCR法により検出した場合の、得られたDNA断片の電気泳動の蛍光イメージを示す写真である。RT−PCRの反応条件は、実施例1の2)記載の方法に従い、PCRのサイクル数は25、及び30の2通りを設定した。第3図において、(a)は癌関連遺伝子CA11の発現を、(b)は陽性コントロールとしてβ−アクチンの発現を検出した結果を示す。第3図において、2Tは印環細胞型胃癌患者の胃癌組織より抽出した粗RNA試料を鋳型として得られた増幅DNA断片を、2Nは印環細胞型胃癌患者の正常胃組織より抽出した粗RNA試料を鋳型として得られた増幅DNA断片であることを示す。また、第3図における25及び30は、RT−PCR法における核酸増幅サイクル数を示す。表5に第3図に示した蛍光イメージ上のバンドのIODを計算した結果を示す。なお表5における指標値は実施例1の2)に記した式2により計算した値である。
表5において蛍光イメージ上得られたβ−アクチン由来のバンドのIOD値はPCRサイクル数25及び30において2T及び2Nともほぼ同等の値が得られている事から、全ての試料においてRNAが抽出されていることが明らかとなった。しかし指標値はPCRサイクル、25及び30とも1より小さいことから、CA11は印環細胞型胃癌患者においても、癌化により発現量が低下する遺伝子であることが明らかとなった。なお、CA11以外の13種の癌関連遺伝子についても、実施例1の2)と同様の発現量の変化が認められ、実施例1の3)で明らかとなった14種の癌関連遺伝子の発現量の変化が実施例1の1)に用いた患者組織固有の変化でないことが明らかとなった。
実施例3
癌の検出キット構築
以下に示す構成成分を有する、RT−PCR法を利用した癌の検出キットを構築した。
すなわち、DNaseI、AMV逆転写酵素、RNaseインヒビター、10×RT−PCR緩衝液(100mM トリス−HCl、pH8.3、500mM KCl)、25mM MgCl2、各々2.5mMのdATP、dGTP、dCTP、dTTPから成る混合物、オリゴ(dT)プライマー、Taq、DNAポリメラーゼ、表2に示す各々の遺伝子に特異的なプライマー対及び陽性コントロールとしてのβ−アクチン遺伝子の増幅のためのプライマー対を含む。なお、表2のプライマー対欄において、アルファベットと数字の組合せの記号はプライマー名称を示し、該記号に付随する( )内の数字は、配列表における該プライマーの塩基配列を示した配列番号を示す。
産業上の利用可能性
本発明により癌を簡便かつ迅速に検出することが可能となる。また、癌に関連する新規な核酸の存在が明らかとなった。
均等物
当業者であれば、単なる日常的な実験手法によって、本明細書に記載された発明の具体的態様に対する多くの均等物を認識し、あるいは確認することができるであろう。そのような均等物は、下記クレームに記載されるような本発明の範疇に含まれるものである。
配列表
配列番号:1
配列の長さ:738
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:2
配列の長さ:2042
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:3
配列の長さ:1539
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:4
配列の長さ:1807
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:5
配列の長さ:4992
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:6
配列の長さ:708
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:7
配列の長さ:1140
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:8
配列の長さ:5629
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:9
配列の長さ:580
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:10
配列の長さ:1552
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:11
配列の長さ:2116
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:12
配列の長さ:173
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:13
配列の長さ:655
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:14
配列の長さ:2619
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:15
配列の長さ:892
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:16
配列の長さ:508
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
配列
配列番号:17
配列の長さ:194
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ペプチド
配列
配列番号:18
配列の長さ:51
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ペプチド
配列
配列番号:19
配列の長さ:63
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ペプチド
配列
配列番号:20
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:21
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:22
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:23
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:24
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:25
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:26
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:27
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:28
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:29
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:30
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:31
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:32
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:33
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:34
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:35
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:36
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:37
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:38
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:39
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:40
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:41
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:42
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:43
配列の長さ:19
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:44
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:45
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:46
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:47
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:48
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:49
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:50
配列の長さ:10
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:51
配列の長さ:10
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:52
配列の長さ:10
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:53
配列の長さ:10
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:54
配列の長さ:10
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:55
配列の長さ:10
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:56
配列の長さ:13
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:57
配列の長さ:13
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:58
配列の長さ:13
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鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:59
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配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:60
配列の長さ:13
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:61
配列の長さ:13
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鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:62
配列の長さ:13
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鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
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配列
配列番号:63
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配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:64
配列の長さ:13
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列
配列番号:65
配列の長さ:264
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
配列
Claims (15)
- 体外摘出試料における癌細胞を検出する方法において、配列表の配列番号:1に示される塩基配列を含有するDNAをcDNAとする癌関連遺伝子の発現量の変化を調べることを特徴とする、癌細胞の検出方法。
- 癌関連遺伝子の発現量の変化を、該遺伝子mRNAの発現量の変化により調べることを特徴とする請求項1に記載の検出方法。
- mRNAの発現量の変化を、該mRNA又はその一部を核酸増幅法を利用して検出することを特徴とする請求項2に記載の検出方法。
- 核酸増幅法がポリメラーゼ連鎖反応であることを特徴とする請求項3に記載の検出方法。
- mRNAの発現量の変化をノーザンハイブリダイゼーション法によって検出することを特徴とする請求項2に記載の検出方法。
- mRNAの発現量の変化をRNaseプロテクションアッセイ法によって検出することを特徴とする請求項2に記載の検出方法。
- 癌関連遺伝子の発現量の変化を、該遺伝子にコードされるタンパク質の発現量の変化により調べることを特徴とする請求項1に記載の検出方法。
- タンパク質の発現の変化を、該タンパク質を認識する抗体を利用し検出することを特徴とする請求項7に記載の検出方法。
- 請求項3記載の方法により癌を検出するためのキットであって、発現量の変化を調べようとするmRNA又は該mRNAの一部を増幅するためのプライマーを含むことを特徴とするキット。
- 請求項5又は6記載の方法により癌細胞を検出するためのキットであって、発現量の変化を調べようとするmRNAにハイブリダイズするプローブを含むことを特徴とするキット。
- 請求項8記載の方法により癌細胞を検出するためのキットであって、発現量の変化を調べようとするタンパク質を認識する抗体を含むことを特徴とするキット。
- 配列表の配列番号:17に示されるアミノ酸配列を含有するアミノ酸配列で示されることを特徴とする、癌細胞の検出に利用できるペプチド。
- 請求項12記載のペプチドをコードする核酸。
- 配列表の配列番号:1に示される塩基配列を含有する塩基配列で示されることを特徴とする請求項13記載の核酸。
- 請求項12記載のペプチドを認識する、癌細胞の検出に利用できる抗体。
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