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JP3680847B2 - 投写型表示装置 - Google Patents

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JP3680847B2
JP3680847B2 JP2003178271A JP2003178271A JP3680847B2 JP 3680847 B2 JP3680847 B2 JP 3680847B2 JP 2003178271 A JP2003178271 A JP 2003178271A JP 2003178271 A JP2003178271 A JP 2003178271A JP 3680847 B2 JP3680847 B2 JP 3680847B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶パネルなどの変調手段により形成された表示画像をスクリーン上に投写表示する投写型表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
変調手段として3枚の液晶パネルを用いた投写型表示装置(3板式の投写型表示装置)の代表的な構成例を図9(平面図)に示す。3板式の投写型表示装置900においては、光源部100からの光を波長選択性のある2枚のダイクロイックミラー401、402(色光分離手段)により赤光、緑光、青光の3原色の光束に分離した後、それぞれの色光に対応した液晶パネル411、412、413(変調手段)に照射し、それぞれの液晶パネルを透過してきた光をクロスダイクロイックプリズム450(色光合成手段)により合成して、投写レンズ460(投写光学系)によりスクリーン470上に投写表示する構成がとられている。
【0003】
ここで、色光合成手段として用いるクロスダイクロイックプリズム450は、ダイクロイック膜が形成されたプリズムをX字状に配置して構成されている。3板式の投写型表示装置の色光合成手段としては、上記のクロスダイクロイックプリズムに代えて、2枚のダイクロイックミラーを平行に配置状態で用いた構成によっても実現できるが、クロスダイクロイックプリズムを用いた構成では、2枚のダイクロイックミラーを用いた構成に比べて、液晶パネルと投写レンズとの間の距離を短くできるため、大口径の投写レンズを用いなくとも、明るい投写映像が得られる投写型表示装置を実現しやすいという特徴がある。そのため、投写型表示装置における色光合成手段としては、クロスダイクロイックプリズムを用いる場合が多い。
【0004】
ところで、小型の液晶パネルを用いた投写型表示装置において、より明るい投写映像を得るためには、アーク長の短いランプを光源に用いて、小型の液晶パネルを効率よく照明することが重要となる。なぜなら、ランプのアーク長が短くなる程、集光性を高めることができるためである。従って、近年、アーク長が極めて短いランプを搭載した投写型表示装置が開発されつつある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、色光合成手段としてクロスダイクロイックプリズムを用いた投写型表示装置では、明るい投写映像を得やすいという優れた特徴がある反面、クロスダイクロイックプリズムに起因する問題点が存在する。
【0006】
一般的なクロスダイクロイックプリズムの平面構造を模式的に図8に示す。図8に示すように、クロスダイクロイックプリズム450は波長選択性のあるダイクロイック膜452が形成されたプリズム451をX字状に配置し、それら4個のプリズム451をプリズムと屈折率がほぼ等しい光学接着剤453で一体化することにより形成されている。この時、光学接着剤の厚みは約数10μmあるため、クロスダイクロイックプリズムの中央部、即ちダイクロイック膜がX字状に交差する部分454では、ダイクロイック膜が繋がらない不連続な状態となる。この結果、ダイクロイック膜により反射され本来投写レンズに向かうはずの光がこの部分(ダイクロイック膜がX字状に交差する部分454)に入射した場合には、ダイクロイック膜が存在しないため投写レンズの方向には反射されないことになる(但し、緑色光はダイクロイック膜で反射されないため投写レンズに入射する)。また、4個のプリズムがX字状に密着するそれぞれのプリズムの稜線部分は、プリズムの機械的な加工精度上の限界から、完全な直角形状とはなっておらず、平滑性の悪い表面状態を有する極幅の狭い角面455となっている(図8では、この部分を誇張して描いてある)。この結果、この部分(極幅の狭い角面455)に入射した光は角面455の部分で散乱され、やはり投写レンズの方向には向かわないこととなる。即ち、クロスダイクロイックプリズムの中央部には一方向(この一方向は、投写画面の長手方向を横方向とした場合、横方向とは直角に交差する縦方向に相当するため、以下では縦方向と記す。)に細長く延びる光学的に不均質な領域456(図8では紙面に対して垂直な方向に存在する)が存在し、この領域は局部的に光が通り難い領域であるため、この光学的に不均質な領域456を通過する光は、これ以外の領域を通過する光に比べて、その光量が減少することになる。
【0007】
従って、クロスダイクロイックプリズムを色光合成手段として用いた投写型表示装置では、クロスダイクロイックプリズムの構造上の問題により、投写画面の中央部に暗い影(局部的に明るさが低下した領域で、画面中央部で縦方向に生じる)が生じ、視覚的に非常に目障りなものとなり、投写映像の表示品位を低下させる大きな要因の一つとなっていた。この暗い影の程度(暗い影の部分の明るさがその周辺の明るさよりも減少する度合い)は、光源に用いるランプのアーク長と強い相関関係がある。その理由は、アーク長が短くなる程、光源から出射される光の平行性と集光性が高まり、その結果、クロスダイクロイックプリズムの中央部に存在する光学的に不均質な領域を通過する光束の割合が増大するためである。従って、アーク長の長いランプを光源に用いた場合には、暗い影の存在はそれほど目立たず大きな問題とはならないが、近年のように、より明るい投写映像を得るためにアーク長が極めて短いランプを光源に用いた場合には、この暗い影の存在が非常に目立ち、投写映像の表示品位を低下させるという重大な問題を引き起こしていた。
【0008】
そこで、本発明は以上のような点に鑑みてなされたもので、本発明の課題は、変調手段により変調された複数の光束を1つに合成するための、多層膜をX字状に交差させて構成した色光合成手段を用いた投写型表示装置において、クロスダイクロイックプリズムの構造上の問題に起因する暗い影を目立たなくし、視覚的な障害のない高品位の映像を投写表示できる投写型表示装置を実現することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、
1)本発明の第1の投写型表示装置は、
光源と、
前記光源から出射される光束を集光し、互いに空間的に分離された複数の中間光束に変換する第1の光学要素と、
前記中間光束が収束する位置の付近に配置された第2の光学要素と、
前記第2の光学要素から出射された光束を3色の光束に分離する色光分離手段と、
前記色光分離手段により分離されたそれぞれの前記光束を変調する3つの変調手段と、
前記それぞれの変調手段により変調された複数の光束を1つに合成する多層膜をX字状に交差させた色光合成手段と、
前記色光合成手段により合成された光束を投写する投写手段とを有し、
前記第2の光学要素は、
それぞれの中間光束を重畳結合させる重畳結合手段を有し、
前記光源と前記変調手段の間の光路上に光散乱素子を配置したことを特徴とする。
また、前記第1の投写型表示装置において、
前記第2の光学要素は、
前記中間光束のそれぞれをP偏光光束とS偏光光束とに空間的に分離する偏光光束分離手段と、前記P偏光光束、S偏光光束のうちいずれか一方の偏光方向を他方の偏光光束の偏光方向と揃える偏光方向変換手段とを有する偏光発生装置を有することができる。
【0010】
上記の構成を採用することにより、先に説明した問題点を解決することができる。即ち、クロスダイクロイックプリズムを色光合成手段として用いた投写型表示装置において、あるいは同時にアーク長が極めて短いランプを光源に用いた場合でも、光散乱素子を光源と変調手段との間の光路上に配置することにより、クロスダイクロイックプリズムの構造上の問題に起因する暗い影の発生を防止し、視覚的な障害のない高品位の映像を投写表示できる効果がある。
【0011】
クロスダイクロイックプリズムに入射した光束を、クロスダイクロイックプリズムの中央部に存在する光学的に不均質な(局部的に光が通り難い)領域を避けながら、クロスダイクロイックプリズムから出射させると共に、その光束を投写レンズの入射瞳内に導くことができれば、クロスダイクロイックプリズムの構造上の問題に起因する暗い影の発生を防止することができる。そのためには、クロスダイクロイックプリズムに入射する光束に、ある特定の広がり(光散乱角T)を有する角度分布を持たせることが必要であり、それは光散乱素子を用いることにより実現することができる。
【0012】
ここで、上記の構成に用いる光散乱素子としては、光散乱現象を発現する一般的な光散乱板或いは光拡散板を用いることができる。図7を用いて、光散乱素子における光散乱現象について説明する。光散乱素子は、その表面或いは内部に屈折率変化を伴った微小且つ不規則な構造体を有するもので、光散乱素子10に入射した光20は、そのような構造体により散乱され、部分的にその進行方向を変え、出射方向にある広がり(光散乱角T21)をもって光散乱素子10から出射される(進行方向に沿って出射される光は、一般に前方散乱光と呼ばれる)。従って、光散乱素子10から出射された光束は、その出射方向にある角度分布22を有することとなり、この角度分布22は、光散乱素子に形成された構造体により自在に制御することが可能である。尚、一般的には、光散乱素子10から後方(光の入射側)に戻る光(後方散乱光23)も存在するが、光散乱素子に形成された構造体の大きさや形状及びその分布状態を制御することにより、この種の光をほとんど無くすことが可能である。従って、光吸収を伴わない材料で光散乱素子を形成すれば、光散乱素子に入射する光のほとんど全てを、特定の角度分布を有する光に変換して、出射することが可能である。
【0013】
従って、上記の構成によれば、光散乱素子の光散乱現象を利用して、クロスダイクロイックプリズムに入射する光束を、ある特定の広がり(光散乱角T)を持った角度分布を有する光束に変換し、クロスダイクロイックプリズムの中央部に存在する光学的に不均質な領域456に光束が集中することを避けながら、それらの光束を投写レンズの入射瞳内に導いているため、投写画面の中央部に暗い影は殆ど発生せず、高品位の映像を投写表示することができる。この時、光散乱素子を出射する光束の光散乱角Tを適当に設定することにより、光散乱素子を出射した光束のすべてを投写レンズの入射瞳内に導くように構成することができる。その結果、光散乱素子を用いることによる光損失をほとんど生じることなく、暗い影の発生のみを効果的に防止することができる。特に、平行性の高い光束を出射するアーク長が極めて短いランプを光源に用いた場合には、光束の集光性が高いためクロスダイクロイックプリズムの中央部に存在する光学的に不均質な領域に光束が集中する傾向が大きいが、その様な場合にも、光源と変調手段の間の光路上に光散乱素子を配置した上記の構成を採用することにより、クロスダイクロイックプリズムに入射する光束を分散させ、暗い影の発生を効果的に防止し、高品位の映像を投写表示することができる。
【0014】
尚、光散乱素子は、光源と変調手段との間の光路上であればどの位置に配置しても良いが、光散乱素子と投写レンズとの間の距離に応じて、光散乱素子の光散乱角Tを調整し、変調手段を通過した光束がすべて投写レンズの入射瞳に入射するように、光散乱素子を設定する必要がある。
【0015】
特に、上記の構成の場合には、光散乱素子を配置しない場合に複数箇所に生じる暗い影の発生をほぼ完全に防止できるため、視覚的な障害のない高品位の映像を投写表示できる効果がある。
【0016】
尚、上記の構成を採用した投写型表示装置では、変調手段を照明する光束がほぼ一種類の偏光光束となるため、光の利用効率が高く、明るく、明るさムラや色ムラのない高品位の映像を投写表示できる優れた特徴がある。
【0017】
2)前記第1の投写型表示装置において、
前記3つの変調手段毎に、前記変調手段の光束が入射する側の位置に光散乱素子をそれぞれ配置したことを特徴とする。
【0018】
前項1)で述べたように、光散乱素子は光源と変調手段の間の光路上であればどの位置に配置してもよいが、特に上記の構成のように、3つの光散乱素子を、それぞれの変調手段毎に、変調手段の光束が入射する側の位置に配置した場合には、前項1)の場合に比べて、光散乱素子と投写レンズとの間の距離が短くなるため、光散乱素子の光散乱角Tを大きく設定でき、クロスダイクロイックプリズムの中央部に存在する光学的に不均質な領域に光束が集中する状態をより効果的に回避できる。従って、投写画面の中央部に生じる暗い影の発生をより効果的に防止することができる。
【0019】
また、光散乱素子における光散乱特性は、光散乱素子に入射する光の波長により変化する場合が多いが、そのような場合には、それぞれの変調手段に入射する光束の波長に合わせてそれぞれの光散乱素子を最適化することができるため、暗い影の発生をいっそう効果的に防止することができる。
【0020】
3)前記第1の投写型表示装置において、
光散乱素子は1次元方向に光を散乱する1次元型の光散乱素子であることを特徴とする。
【0021】
暗い影の発生原因となる光学的に不均質な領域は、クロスダイクロイックプリズムの中央部において一方向(一般的には縦方向)に細長く延びた領域として存在するため、光散乱素子により入射する光束を散乱する方向は、光学的に不均質な領域が存在する方向とは直角に交差する一方向(クロスダイクロイックプリズム中に存在する光学的に不均質な領域の存在方向が縦方向とすれば、光散乱素子により光束を散乱する方向は横方向となる)に設定すればよい。従って、用いる光散乱素子としては、光の散乱方向が1次元方向である1次元型が最適である。
【0022】
4)前記第1の投写型表示装置において、
光散乱素子はホログラフィック型の光散乱素子であることを特徴とする。
【0023】
上記の光散乱素子はホログラフィー技術を用いて作製される素子であり、この技術を用いて光散乱素子を作製する場合には、光散乱角Tの大きさと散乱方向を自在に制御することが可能となる。特に、ホログラフィック型の光散乱素子では、後方散乱光をほとんど無くし、前方散乱光を非常に多くすることができるという優れた特徴を有する。従って、この形式の光散乱素子を用いた場合には、光散乱素子における光損失をほとんど生じることなく、投写画面の中央部に生じる暗い影の発生をより効果的に防止することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の各実施例について説明する。尚、以下の実施例においては、特にことわりのない限り、互いに直交する3つの方向をX方向、Y方向、Z方向とし、便宜上、X方向を横方向、Y方向を縦方向と呼び、液晶パネルの長手方向を横方向とする。
【0025】
(実施例1)
図1は、実施例1の投写型表示装置の光学系部分を平面的にみた概略構成図である。本例の投写型表示装置600は、変調手段として透過型の液晶パネルを使用したものであり、光源部100、1つの光散乱素子480、色光分離手段である2枚のダイクロイックミラー401、402、3原色の光束のそれぞれに対応させて配置された3つの液晶パネル411、412、413、波長選択性のある多層膜をX字状に交差させて構成した色光合成手段であるクロスダイクロイックプリズム450、及び合成された光束をスクリーン470上に拡大投写する投写光学系である投写レンズ460とから大略構成されている。
【0026】
光源部100は、光源ランプ110と放物面リフレクター120から大略構成されており、光源ランプ110から放射された光束は、放物面リフレクター120により一方向に反射されて、略平行な光束となって出射される。ここで、放物面リフレクターに代えて、楕円面リフレクター、球面リフレクターなども用いることができる。
【0027】
光源部100の出射側には、光の散乱方向が1次元方向であり、また、ホログラフィー技術を用いて作製された1次元型のホログラフィック型光散乱素子480が設置されている。光散乱素子に入射した光は、光散乱現象によりある特定の広がり(光散乱角T)を持った角度分布を有する光束に変換され、光散乱素子から出射される。尚、暗い影の発生原因となる光学的に不均質な領域は、クロスダイクロイックプリズムの中央部において縦方向に細長く延びた領域として存在するため、光散乱素子により入射する光束を散乱する方向は、光学的に不均質な領域が存在する方向とは直角に交差する横方向とすれば、最も効果的である。従って、光散乱素子480としては、光の散乱方向が1次元方向である1次元型の光散乱素子を用いている。
【0028】
光散乱素子480を出射した光束は、色光分離手段により、波長に応じて3つの光束に分離され、それぞれ対応する液晶パネルに達し、それぞれの液晶パネルを照明する。即ち、まず、青色光緑色光反射ダイクロイックミラー401において、赤色光が透過し、青色光及び緑色光が反射する。赤色光は、反射ミラー403で反射し、赤色光用液晶パネル411に達する。一方、青色光および緑色光のうち、緑色光は、緑色光反射ダイクロイックミラー402で反射し、緑色光用液晶パネル412に達する。更に、緑色光反射ダイクロイックミラー402を透過した青色光は2枚の反射ミラー435、436を経て、青色光用液晶パネル413に達する。
【0029】
ここで、赤色光用液晶パネル411、緑色光用液晶パネル412、青色光用液晶パネル413は、それぞれの色光を変調し、各色光に対応した表示情報を含ませた後に、変調した色光をクロスダイクロイックプリズム450へ入射し、クロスダイクロイックプリズム450においてそれぞれの変調光束は一つの光束に合成される。ここで使用するクロスダイクロイックプリズム450は、先に図8に示したように、その内部に赤色光反射の誘電体多層膜と青色光反射の誘電体多層膜とをX字状に配置したものであり、クロスダイクロイックプリズムの構造上の問題から、その内部に光学的に不均質な領域を有するものである。
【0030】
クロスダイクロイックプリズム450により合成された光束は、投写レンズ460を経てスクリーン470上に映像を形成する。
【0031】
以上のように構成した投写型表示装置600では、光源部100と色光分離手段である2枚のダイクロイックミラー401、402との間に設置された光散乱素子480により、それぞれの液晶パネル411、412、413を照明する光は、ある特定の広がり(光散乱角T)を持った角度分布を有する光束となっている。それぞれの液晶パネル上に形成された光学像は、クロスダイクロイックプリズム450内で合成されスクリーン470上にカラーの光学像(映像)を形成するが、この時、クロスダイクロイックプリズム450内を通過する光束も、やはり、ある特定の広がり(光散乱角T)を持った角度分布を有する光束である。従って、クロスダイクロイックプリズム450の中央部に存在する光学的に不均質な領域には光束が集中しないため、局部的な光損失をほとんど生じることなく、クロスダイクロイックプリズムを通過し、スクリーン上に光学像を形成することができ、投写画面の中央部に視覚的に目障りな暗い影(局部的に明るさが低下した領域)を生じることがない。
【0032】
また、光散乱素子の設計に際しては、光散乱素子を出射する光束の出射角度を適当に設定し、光散乱素子を出射した光束のすべてを投写レンズの入射瞳内に導くように構成しているため、光散乱素子の設置による明るさの低下はほとんど生じない。
【0033】
従って、本例の投写型表示装置においては、光散乱素子の効果的な使用により、投写映像の明るさをほとんど低下させることなく、クロスダイクロイックプリズムの構造上の問題により投写画面上に生じる暗い影の発生を効果的に防止し、高品位の投写映像を実現することができる。
【0034】
(実施例2)
上記の実施例1では、1つの光散乱素子を光源部と色光分離手段との間に配置した構成であったが、これに代えて、3つの光散乱素子を、それぞれの変調手段毎に、変調手段の光束が入射する側の位置に配置した構成としてもよい。
【0035】
3つの光散乱素子を備えた投写型表示装置700の構成を実施例2として説明する。図2は、実施例2の投写型表示装置700の光学系部分を平面的にみた概略構成図である。尚、この投写型表示装置700、及び以下に説明する各実施例では、基本的な構成が実施例1に係わる投写型表示装置600と同じであるため、同じ機能を有する部分には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0036】
図2から判るように、本例の投写型表示装置700では、変調手段である液晶パネル毎に、それぞれの液晶パネル411、412、413において光源部100からの照明光が入射する側の位置に、それぞれ光散乱素子491、492、493が設置されている。本例で使用した光散乱素子は、実施例1の場合と同じ1次元型のホログラフィック型光散乱素子である。さらに、それぞれの光散乱素子は、それぞれの光散乱素子に入射する光の波長に合わせて光散乱素子は最適化されている。即ち、赤色光用液晶パネル411の光源部側には赤色光用に最適化された赤色光用光散乱素子491が、緑色光用液晶パネル412の光源部側には緑色光用に最適化された緑色光用光散乱素子492が、青色光用液晶パネル413の光源部側には青色光用に最適化された青色光用光散乱素子493がそれぞれ配置されている。
【0037】
以上のように構成した投写型表示装置700では、光源部100からの照明光は、光散乱素子による光の散乱現象により、ある特定の広がり(光散乱角T)を持った角度分布を有する光束に変換される。これらの光でそれぞれの液晶パネル411、412、413を照明するため、クロスダイクロイックプリズム450の中央部に存在する光学的に不均質な領域には光束が集中せず、局部的な光損失をほとんど生じることなく、クロスダイクロイックプリズムを通過し、スクリーン上に光学像を形成することができ、投写画面の中央部に視覚的に目障りな暗い影(局部的に明るさが低下した領域)を生じることがない。
【0038】
また、本例の投写型表示装置700では、それぞれの液晶パネル毎に特性の異なる光散乱素子を配置している。そのため、光散乱素子と投写レンズとの間の距離が短くなり、光散乱素子による光束の光散乱角Tを大きく設定でき、また、光散乱素子に入射する光束の波長に合わせて光散乱素子の最適化を行えるため、投写画面の中央部に生じる暗い影の発生を効果的に防止することができる。
【0039】
従って、本例においても、光散乱素子の効果的な使用により、投写映像の明るさをほとんど低下させることなく、クロスダイクロイックプリズムの構造上の問題により投写画面上に生じる暗い影の発生を効果的に防止し、高品位の投写映像を実現することができる。
【0040】
(実施例3)
次に、偏光照明系を備えた投写型表示装置に光散乱素子を導入した実施例を示す。
【0041】
図3は、実施例3の投写型表示装置800の光学系部分を平面的にみた概略構成図である。本例の投写型表示装置800の基本的な構成は、先の実施例2の投写型表示装置700と同じであるが、明るさムラが少なく、ほぼ一種類の偏光状態を有する照明光を効率的に発生する均一偏光照明光学装置200と、その照明光を効率的に伝達するリレー光学装置430が搭載されている点が、投写型表示装置700とは異なる特徴である。
【0042】
そこで、まず、均一偏光照明光学装置200について説明する。
【0043】
均一偏光照明光学装置200の光学的構成は図4に示すように、主に光源部100、第1の光学要素210、及び第2の光学要素220から構成されている。
【0044】
光源部100は、実施例1の光源部と同じものであり、偏光方向がランダムな偏光光束(以下、ランダムな偏光光束と略す。)をほぼ一方向に略平行な状態で出射する。ここで、光源部100の光源光軸Rがシステム光軸Lに対して一定の距離DだけX方向に平行にシフトした状態となるように、光源部100は配置されている。
【0045】
第1の光学要素210は、その外観を図5に示すように、XY平面内において矩形状の外形形状を有する複数の光束分割レンズ211がマトリックス状に配列して構成されている。第1の光学要素210に入射した光は、光束分割レンズ211により複数の中間光束212に分割され、同時に光束分割レンズの集光作用により、システム光軸Lと垂直な平面内(図4ではXY平面)の中間光束が収束する位置に光束分割レンズの数と同数の集光像213を形成する。尚、光束分割レンズのXY平面上における外形形状は、照明領域290(本例の場合は液晶パネル411、412、413)の形状と相似形をなすように設定される。本例では、XY平面上でX方向に長い横長の液晶パネルを想定しているため、光束分割レンズ211のXY平面上における外形形状も横長である。さらに、第1の光学要素210を構成する光束分割レンズ211の配列様式については図5に示すような直交マトリックス状に限定されるわけではなく、例えば、デルタ配置のように、X方向に列ぶ光束分割レンズのレンズ列が、Y方向においてはそれそれの行間でずれた状態となるような配置様式であってもよい。但し、その場合には、光束分割レンズからの中間光束を効果的に受け入れられるように、後述する集光レンズ241、及び偏光分離ユニット231の配置様式も適当に変化させる必要がある。
【0046】
第2の光学要素220は、主に集光レンズアレイ240、偏光分離ユニットアレイ230、選択位相差板250及び出射側レンズ260から大略構成される複合体であり、第1の光学要素210による集光像213が形成される位置の近傍の、システム光軸Lに対して垂直な平面内(図4ではXY平面)に配置される。尚、第1の光学要素210に入射する光束の平行性が極めて良い場合には、第2の光学要素から集光レンズアレイ240を省略した構成としても良い。この第2の光学要素220は、中間光束212のそれぞれをP偏光光束とS偏光光束とに空間的に分離した後、一方の偏光光束の偏光方向と他方の偏光光束の偏光方向とを揃え、偏光方向がほぼ揃ったそれぞれの光束を一ヶ所の照明領域290に導くような機能を有している。
【0047】
集光レンズアレイ240は、第1の光学要素210とほぼ同様な構成となっており、即ち、第1の光学要素210を構成する光束分割レンズ211と同数の集光レンズ241をマトリックス状に複数配列したものであり、それぞれの中間光束を偏光分離ユニットアレイ230の特定の場所に集光しながら導く作用を有している。従って、第1の光学要素210により形成された中間光束212の特性に合わせて、また、偏光分離ユニットアレイ230に入射する光はその主光線の傾きがシステム光軸Lと平行であることが理想的である点を考慮して、各集光レンズのレンズ特性は各々最適化されることが望ましい。但し、一般的には、光学系の低コスト化及び設計の容易さを考慮して、第1の光学要素210と全く同じものを集光レンズアレイ230として用いるか、或いは、光束分割レンズ211とXY平面での形状が相似形である集光レンズを用いて構成した集光レンズアレイを用いてもよいことから、本例の場合には、第1の光学要素210を集光レンズアレイ240として用いている。
【0048】
次に、偏光分離ユニットアレイ230は、複数の偏光分離ユニット231がシステム光軸Lと垂直な平面内(図4ではXY平面)に配列した構成をなしている。
【0049】
偏光分離ユニット231は、内部に偏光分離面232と反射面233を備えた四角柱状の構造体であり、偏光分離ユニットに入射する中間光束212のそれぞれをP偏光光束とS偏光光束とに空間的に分離する作用を有している。偏光分離ユニット231のXY平面上における外形形状は、光束分割レンズ211のXY平面上における外形形状と相似形をなしており、即ち、横長の矩形形状である。従って、偏光分離面232と反射面233とは横方向(X方向)に並ぶように配置されている。ここで、偏光分離面232はシステム光軸Lに対して約45度の傾きをなし、且つ、反射面233は偏光分離面と平行な状態をなし、さらに、偏光分離面232がXY平面上に投影する断面積と反射面233がXY平面上に投影する断面積が等しくなるように、偏光分離面232と反射面233は設定されている。従って、本例では、偏光分離面232が存在する領域のXY平面上での横幅と反射面233が存在する領域のXY平面上での横幅とは等しくなり、且つ、それぞれが偏光分離ユニット231のXY平面上での横幅の半分になるように設定されている。尚、一般的に、偏光分離面232は誘電体多層膜で、また、反射面233はアルミニウム膜で形成することができる。
【0050】
偏光分離ユニット231に入射した光は、偏光分離面232において、進行方向を変えずに偏光分離面232を通過するP偏光光束と、偏光分離面232で反射され隣接する反射面233の方向に進行方向を変えるS偏光光束とに分離される。P偏光光束はそのまま偏光分離ユニットから出射され、S偏光光束は再び反射面233で進行方向を変え、P偏光光束とほぼ平行な状態となって、偏光分離ユニットから出射される。従って、偏光分離ユニット231に入射したランダムな偏光光束は偏光分離ユニットにより偏光方向が異なるP偏光光束とS偏光光束の二種類の偏光光束に分離され、偏光分離ユニットの異なる場所からほぼ同じ方向に向けて出射される。偏光分離ユニットは上記の様な作用を有することから、それぞれの偏光分離ユニット231の偏光分離面232が存在する領域にそれぞれの中間光束212を導く必要があり、そのため、偏光分離ユニット内の偏光分離面の中央部に中間光束が入射するように、それぞれの偏光分離ユニット231とそれぞれの集光レンズ241の位置関係やそれぞれの集光レンズ241のレンズ特性を調整しておく必要がある。本例の場合には、それぞれの偏光分離ユニット231内の偏光分離面232の中央部にそれぞれの集光レンズの中心軸が来るように配置するため、集光レンズアレイ240は、偏光分離ユニットの横幅の1/4に相当する距離(即ち距離Dに等しい)だけ、偏光分離ユニットアレイ230に対してX方向にずらした状態で配置されている。
【0051】
偏光分離ユニットアレイ230の出射面の側には、λ/2位相差板251が規則的に配置された選択位相差板250が設置されている。即ち、偏光分離ユニットアレイ230を構成する偏光分離ユニット231で、P偏光光束が出射される部分にのみλ/2位相差板251が配置され、S偏光光束が出射される部分にはλ/2位相差板251は設置されていない。この様なλ/2位相差板251の位置選択的な配置により、偏光分離ユニット231から出射されたP偏光光束は、λ/2位相差板251を通過する際に偏光方向の回転作用を受けS偏光光束へと変換される。一方、偏光分離ユニット231から出射されたS偏光光束はλ/2位相差板251を通過しないので、偏光方向は変化せず、S偏光光束のまま選択位相差板250を通過する。以上をまとめると、偏光分離ユニットアレイ230と選択位相差板250により、偏光方向がランダムな中間光束は一種類の偏光光束(この場合はS偏光光束)に変換されたことになる。尚、本例の場合には、偏光方向がランダムな中間光束をS偏光光束に揃える設定としているが、勿論、P偏光光束に揃える設定としても良い。
【0052】
選択位相差板250の出射面の側には、出射側レンズ260が配置されており、選択位相差板250によりS偏光光束に揃えられた光束は、出射側レンズ260により照明領域290(本例の場合には、液晶パネル411、412、413が配置される場所)へと導かれ、照明領域上で重畳結合される。ここで、出射側レンズ260は1つのレンズ体である必要はなく、第1の光学要素210のように、複数のレンズの集合体であってもよい。
【0053】
従って、第2の光学要素220の機能をまとめると、第1の光学要素210により分割された中間光束212(つまり、光束分割レンズ211により切り出されたイメージ面)は、第2の光学要素220により照明領域290(本例の場合は液晶パネル411、412、413)上で重畳結合される。これと同時に、途中の偏光分離ユニットアレイ230により、ランダムな偏光光束である中間光束は偏光方向が異なる二種類の偏光光束に空間的に分離され、選択位相差板250を通過する際に一種類の偏光光束に変換されて、殆どすべての光が照明領域290(本例の場合は液晶パネル411、412、413)へと達する。このため、照明領域290である液晶パネル411、412、413は殆ど一種類の偏光光束でほぼ均一に照明されることになる。
【0054】
次に、照明光を効率的に伝達するリレー光学装置430について、再び図3に基づいて説明する。上述したように、本例の投写型表示装置800に組み込まれている均一偏光照明光学装置200では、均一な照明光が得られる領域は光源部100からある特定の距離だけ離れた領域上に限定される。従って、均一偏光照明光学装置を備えた投写型表示装置では、光源部100とそれそれの液晶パネル411、412、413との間の光学的な距離が等しいことが要求される。しかし、投写型表示装置800における光源部100とそれそれの液晶パネル411、412、413との間のそれぞれの光路に着目すると、青色光だけが、他の2つの色光(赤色光と緑色光)に比べてその距離が長い。従って、青色光の光路中に光学的な距離を補正する導光手段を配置し、3つの色光の光学的な距離(光源部100とそれぞれの液晶パネルとの間の距離)を等しくする必要がある。
【0055】
以上の理由により、主に入射レンズ431、リレーレンズ432、及び出射レンズ433から構成されるリレー光学装置430が導光手段として、青色光の光路中に配置されている。従って、青色光は、緑光反射ダイクロイックミラー402を透過した後に、まず、入射レンズ431及び反射ミラー435を経て、リレーレンズ432に導かれ、このリレーレンズに集束された後、反射ミラー436によって出射レンズ433に導かれ、しかる後に、青色光用液晶パネル413に達する。
【0056】
次に、それぞれの液晶パネル411、412、413毎に、液晶パネルの光が入射する側の位置に設置されている3つの光散乱素子491、492、493について説明する。これらの光散乱素子は、先の実施例2の光散乱素子と同じ1次元型のホログラフィック型光散乱素子であり、入射する光の波長に合わせてそれぞれの光散乱素子は最適化されている。
【0057】
上記のように構成した投写型表示装置800では、均一偏光照明光学装置200を従来の一般的な光源部(例えば先の実施例2の光源部100)に代えて用いているため、従来の投写型表示装置(例えば従来の技術として説明した投写型表示装置900)に比べて、液晶パネル411、412、413を照明する照明光の光強度にはムラが少なく、さらに、液晶パネルの照明光として相応しいほぼ一種類の偏光状態を有する光のみを照明光として用いることができるため、液晶パネルの偏光板(図示せず)における光損失が少なく、明るい投写画面を実現できる特徴がある。
【0058】
しかし、一方で、均一偏光照明装置200には複数の光束分割レンズ211が存在するため、光束分割レンズ211が横方向に列ぶ数に応じて暗い影も複数箇所に生じる。その結果、この暗い影の存在は視覚的に非常に目障りなものとなり、投写映像の品位を大幅に低下させることとなる。
【0059】
そこで、3つの光散乱素子491、492、493をそれぞれの液晶パネル411、412、413毎に、液晶パネルの光が入射する側の位置に配置することにより、上記の不都合点を解消している。即ち、均一偏光照明装置200からの照明光は、光散乱素子491、492、493による光の散乱現象により、ある特定の広がり(光散乱角T)を持った角度分布を有する光束に変換され、これらの光でそれぞれの液晶パネル411、412、413を照明するため、クロスダイクロイックプリズム450の中央部に存在する光学的に不均質な領域には光束が集中せず、従って、クロスダイクロイックプリズム450を光が通過する際に、局部的な光損失をほとんど生じることない。その結果、クロスダイクロイックプリズムの構造上の問題に起因した視覚的に目障りな暗い影(局部的に明るさが低下した領域)は、投写画面の中央部に発生することがほとんどない。
【0060】
また、本例の投写型表示装置800においても、それぞれの液晶パネル毎に特性の異なる光散乱素子を配置しているため、光散乱素子と投写レンズとの間の距離が短くなり、光散乱素子の光散乱角Tを大きく設定でき、また、光散乱素子に入射する光束の波長に合わせて光散乱素子の最適化を行えるため、投写画面の中央部に生じる暗い影の発生を効果的に防止することができる。
【0061】
さらに、本例のように均一偏光照明装置200を備えた投写型表示装置では、均一偏光照明装置における照明効率を向上させるために、アーク長が極めて短いランプを光源ランプ110として用いる場合が多いが、そのような場合でも、光散乱素子を使用することにより、クロスダイクロイックプリズムの構造上の問題に起因して生じる暗い影の発生を効果的に防止し、視覚的な障害のない高品位の映像を投写表示できる効果がある。
【0062】
以上、光散乱素子の効果的な使用により、投写映像の明るさをほとんど低下させることなく、クロスダイクロイックプリズムの構造上の問題により投写画面上に生じる暗い影の発生を効果的に防止し、高品位の投写映像を実現することができる。
【0063】
尚、本例においては、それぞれ特性の異なる3つの光散乱素子を用いているが、先の実施例1の投写型表示装置600のように、1つの光散乱素子を均一偏光照明装置200と色光分離手段(ダイクロイックミラー401)との間に配置した構成としてもよい。
【0064】
(実施例4)
反射型の液晶パネルを変調手段として用いた投写型表示装置に光散乱素子を導入した実施例を示す。尚、本例において用いた光散乱素子480は、先の実施例1で用いたものと同じ光散乱素子である。
【0065】
図6は、実施例4の投写型表示装置850の光学系部分を平面的にみた概略構成図である。本例の投写型表示装置850は、主に、光源部100、光散乱素子480、偏光光束を選択的に分離する偏光ビームスプリッタ440、色光分離手段と色光合成手段を兼ねたクロスダイクロイックプリズム450、変調手段である3つの反射型液晶パネル414、415、416、及び投写光学系である投写レンズ460とから大略構成されている。
【0066】
光源部100から出射されたランダムな偏光光束は、光散乱素子480を経て偏光ビームスプリッタ440に入射し、偏光ビームスプリッタ440においてS偏光光束のみが選択的に分離される。即ち、偏光ビームスプリッタ440に入射したランダムな偏光光束のうち、S偏光光束のみが偏光分離面441で反射され、隣接するクロスダイクロイックプリズム450へ入射する。一方、P偏光光束は偏光分離面441をそのまま通過し偏光ビームスプリッタ440から出射される(このP偏光光束は液晶パネルを照明する照明光とはならない)。
【0067】
クロスダイクロイックプリズム450に入射したS偏光光束は、クロスダイクロイックプリズム450により波長に応じて赤色光、緑色光、及び青色光の3つの光束に分離され、それぞれ対応する反射型の赤色光用液晶パネル414、反射型の緑色光用液晶パネル415、及び反射型の青色光用液晶パネル416に達し、それぞれの液晶パネルを照明する。即ち、クロスダイクロイックプリズム450は液晶パネルを照明する照明光に対しては色光分離手段として作用している。
【0068】
ここで、本例で用いている液晶パネル414、415、416は反射型であるため、それぞれの液晶パネルでは、それぞれの色光を変調し、各色光に対応した外部からの表示情報を含ませると同時に、それぞれの液晶パネルから出射される光束の偏光方向を変化させつつ、光束の進行方向を略反転させている。従って、それぞれの液晶パネルからの反射光は表示情報に応じて部分的にP偏光状態となって出射される。それぞれの液晶パネル414、415、416から出射された変調光束は、再び、クロスダイクロイックプリズム450に入射し、一つの光学像に合成されて、隣接する偏光ビームスプリッタ440に入射する。即ち、クロスダイクロイックプリズム450は液晶パネルから出射される変調光束に対しては色光合成手段として作用している。
【0069】
偏光ビームスプリッタ440に入射した光束のうち、液晶パネル414、415、416で変調された光束はP偏光光束となっているため、偏光ビームスプリッタ440の偏光分離面441をそのまま通過し、投写レンズ460を経てスクリーン470上に映像を形成する。
【0070】
以上のように構成した投写型表示装置850では、光源部100と偏光ビームスプリッタ440との間に設置された光散乱素子480により、それぞれの反射型の液晶パネル414、415、416を照明する光は、ある特定の広がり(光散乱角T)を持った角度分布を有する光束となっている。それぞれの液晶パネル上に形成された光学像は、クロスダイクロイックプリズム450内で再び合成されスクリーン470上にカラーの光学像(映像)を形成するが、この時、クロスダイクロイックプリズム450内を通過する光束も、やはり、ある特定の広がり(光散乱角T)を持った角度分布を有する光束である。従って、液晶パネルを照明する照明光がクロスダイクロイックプリズム450内を通過する場合においても、また、液晶パネルによって変調された変調光束がクロスダイクロイックプリズム450内を通過する場合においても、何れの場合でも、クロスダイクロイックプリズム450の中央部に存在する光学的に不均質な領域には光束が集中しないため、局部的な光損失をほとんど生じることなく、クロスダイクロイックプリズムを通過し、スクリーン上に光学像を形成することができる。従って、投写画面の中央部に視覚的に目障りな暗い影(局部的に明るさが低下した領域)を生じることがない。
【0071】
また、光散乱素子の設計に際しては、光散乱素子を出射する光束の出射角度を適当に設定し、光散乱素子を出射した光束のすべてを投写レンズの入射瞳内に導くように構成しているため、光散乱素子の設置による明るさの低下はほとんど生じない。
【0072】
従って、本例のように反射型の液晶パネルを備えた投写型表示装置においても、透過型の液晶パネルを備えた投写型表示装置の場合と同様に、光散乱素子の効果的な使用により、投写映像の明るさをほとんど低下させることなく、クロスダイクロイックプリズムの構造上の問題により投写画面上に生じる暗い影の発生を効果的に防止し、高品位の投写映像を実現することができる。
【0073】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、クロスダイクロイックプリズムを色光合成手段として用いた投写型表示装置において、あるいは同時にアーク長が極めて短いランプを光源に用いた場合でも、光散乱素子を光源と変調手段との間の光路上に配置することにより、クロスダイクロイックプリズムの構造上の問題に起因する暗い影の発生を防止し、視覚的な障害のない高品位の映像を投写表示できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1に係わる投写型表示装置の光学系を示す概略構成図である。
【図2】 本発明の実施例2に係わる投写型表示装置の光学系を示す概略構成図である。
【図3】 本発明の実施例3に係わる投写型表示装置の光学系を示す概略構成図である。
【図4】 本発明の実施例3に係わる投写型表示装置に用いられた均一偏光照明光学系の構成と機能を説明するための説明図である。
【図5】 本発明の実施例3に係わる投写型表示装置に用いられた第1の光学要素を示す外観図である。
【図6】 本発明の実施例4に係わる投写型表示装置の光学系を示す概略構成図である。
【図7】 光散乱素子を通過した光の散乱状態を示す模式図である。
【図8】 クロスダイクロイックプリズムの一般的な構造を示す模式図である。
【図9】 従来の代表的な3板式投写型表示装置の光学系を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10・・・光散乱素子
20・・・光散乱素子に入射した光
21・・・光散乱角T
22・・・角度分布
23・・・後方散乱光
100・・・光源部
110・・・光源ランプ
120・・・放物面リフレクター
200・・・均一偏光照明装置
210・・・第1の光学要素
211・・・光束分割レンズ
212・・・中間光束
213・・・集光像
220・・・第2の光学要素
230・・・偏光分離ユニットアレイ
231・・・偏光分離ユニット
232・・・偏光分離面
233・・・反射面
240・・・集光レンズアレイ
241・・・集光レンズ
250・・・選択位相差板
251・・・λ/2位相差板
260・・・出射側レンズ
290・・・照明領域
401・・・青色光緑色光反射ダイクロイックミラー
402・・・緑色光反射ダイクロイックミラー
411・・・赤色光用液晶パネル(光透過型)
412・・・緑色光用液晶パネル(光透過型)
413・・・青色光用液晶パネル(光透過型)
414・・・赤色光用液晶パネル(光反射型)
415・・・緑色光用液晶パネル(光反射型)
416・・・青色光用液晶パネル(光反射型)
430・・・リレー光学装置
431・・・入射レンズ
432・・・リレーレンズ
433・・・出射レンズ
435、436・・・反射ミラー
440・・・偏光ビームスプリッタ
441・・・偏光分離面
450・・・クロスダイクロイックプリズム
451・・・プリズム
452・・・ダイクロイック膜
453・・・光学接着剤
454・・・ダイクロイック膜がX字状に交差する部分
455・・・角面
456・・・光学的に不均質な領域
460・・・投写レンズ
470・・・スクリーン
480・・・光散乱素子
491・・・赤色光用光散乱素子
492・・・緑色光用光散乱素子
493・・・青色光用光散乱素子
600、700、800、850、900・・・投写型表示装置

Claims (5)

  1. 光源と、
    前記光源から出射される光束を集光し、互いに空間的に分離された複数の中間光束に変換する第1の光学要素と、
    前記中間光束が収束する位置の付近に配置された第2の光学要素と、
    前記第2の光学要素から出射された光束を3色の光束に分離する色光分離手段と、
    前記色光分離手段により分離されたそれぞれの前記光束を変調する3つの変調手段と、
    前記それぞれの変調手段により変調された複数の光束を1つに合成する多層膜をX字状に交差させた色光合成手段と、
    前記色光合成手段により合成された光束を投写する投写手段とを有し、
    前記第2の光学要素は、
    それぞれの中間光束を重畳結合させる重畳結合手段を有し、
    前記光源と前記変調手段の間の光路上に光散乱素子を配置したことを特徴とする投写型表示装置。
  2. 請求項1において、
    前記第2の光学要素は、
    前記中間光束のそれぞれをP偏光光束とS偏光光束とに空間的に分離する偏光光束分離手段と、前記P偏光光束、S偏光光束のうちいずれか一方の偏光方向を他方の偏光光束の偏光方向と揃える偏光方向変換手段とを有する偏光発生装置を有することを特徴とする投写型表示装置。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記3つの変調手段毎に、前記変調手段の光束が入射する側の位置に光散乱素子をそれぞれ配置したことを特徴とする投写型表示装置。
  4. 請求項1乃至請求項3において、
    光散乱素子は1次元方向に光を散乱する1次元型の光散乱素子であることを特徴とする投写型表示装置。
  5. 請求項1乃至請求項4において、
    光散乱素子はホログラフィック型の光散乱素子であることを特徴とする投写型表示装置。
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