JP3676252B2 - 薬剤徐放性製剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、薬剤徐放性製剤および取り替え式物品に関し、特に、香料、抗菌剤、その他、同様の揮散性薬剤を長期間に亘って徐放させる製剤および取り替え式物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、芳香剤の香りなどの薬剤効果の持続性を得るために、揮散性の薬剤を徐放させる製剤として、パルプ、シリカゲルなどの繊維質、多孔質の物質を担体として、これらに薬剤を含浸させたもの、薬剤をシリカなどによってゾル化したもの、その他、ゲル化剤でゲル化したものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
含浸タイプやゾルタイプの薬剤徐放性製剤は、ゲルタイプのものに比べて、薬剤の保留効果が弱いため、薬剤中の揮散し易い成分が使用初期に際立って揮散し、薬剤の揮散速度が速くなる。その結果、望む期間に亘って薬剤を徐放させることができなかったり、揮散の初期と後期とで揮散成分が著しく変化するなど、長期間に亘って一定に徐放させることができない。
【0004】
従来のゲルタイプの薬剤徐放性製剤は、液状確認試験において流動性の全くないゲルで製剤化したものであるため、使用初期に揮散面より多量の薬剤が揮散し、揮散面だけが乾燥して揮散面が乾燥皮膜によって覆われ、薬剤を内部に保有したまま、揮散が終了してしまうと云う現象が生じる。このため、従来のゲルタイプの薬剤徐放性製剤では、薬剤を最後まで揮散させることができず、全ての薬剤を長期間に亘って一定に徐放させることが困難であり、しかも、薬剤徐放終了の見極めが極めて難しい。
【0005】
この発明は、上述の如き問題点を解消するためになされたもので、薬剤残量の視認性に優れた薬剤徐放性製剤および取り替え式物品を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明による薬剤徐放性製剤は、揮散性の薬剤を含有した内容物が、液状確認試験において30mmの移動時間が90秒〜24時間の流動性を有するゲルの形態を有する。
【0007】
この薬剤徐放性製剤によれば、薬剤を含有する内容物のレベルによって薬剤残量を容易に視認することができる。また薬剤徐放終了の見極めが容易である。
またこの薬剤徐放性製剤は好ましくは、香料等の揮散性薬剤を長期間に亘って一定の徐放量を維持できる。より詳細には、この薬剤徐放性製剤は流動性を有するゲルであるから、好ましくは薬剤の徐放に伴って揮散表面が移動し、揮散表面が乾燥することがなく、長期間に亘って一定量の薬剤を揮散できる。
この薬剤徐放性製剤は、後述の液状確認試験において、90秒〜12時間、より好ましく90秒〜30分のわずかな流動性を有するゲルであるのが好ましい。
このゲルは、オイルゲルであるのがさらに好ましい。
この薬剤徐放性製剤は、加熱揮散型芳香消臭剤として使用されうる。
【0008】
前記薬剤徐放性製剤は、透過性のポリマーフィルムを介して揮散させるのが好ましい。
これにより、薬剤揮散速度を、ポリマーフィルムの材質、密度、膜厚によって制御することができる。
前記薬剤徐放性製剤は加熱揮散させるのが好ましい。これにより長期間(例えば1.5ヶ月以上)の徐放が可能となる。
薬剤を加熱揮散させることが好ましい理由として、常温で揮散しづらい薬剤中の成分を効果的に揮散させること、ならびに薬剤を室内などの空間に素早くかつ効果的に揮散させることが出来ること、などが挙げられる。
【0009】
また、上述の目的を達成するために、この発明による取り替え式物品は、揮散性の薬剤を含有した内容物が流動性を有するゲルであり、少なくとも一部を透過性のポリマーフィルムで構成した容器に当該内容物が収容されているものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明による薬剤徐放性製剤は、揮散性薬剤をゲル化剤によって、わずかな流動性を有するオイルゲルにしたものであり、ゲル化剤は、液状確認試験において30mmの移動時間が90秒〜24時間、好ましくは90秒〜12時間、より好ましく90秒〜30分の流動性を有するゲルを調製できるものであればよい。なお、上記「オイルゲル」は、下記の二つの条件を満たすものをいう。第1に、その物質は、二つ以上の成分から構成され、その成分の一つが大量に存在する液体であり、その液体が有機溶剤で構成される。第2に、その物質は、柔軟物か固形物、あるいは固形物様の形状をしている。
【0011】
上述の要件を満たすゲル化剤としては、具体的には、ワックスでは、カスターワックス、カルナバワックス、硬化油脂など、脂肪酸誘導体および金属石けんでは、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アルミニウム、2−エチルヘキサン酸アルミニウム、12−ヒドロキシステアリン酸など、ポリマーでは、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、スチレンポリマー、ジビニルベンゼンポリマー、ポリ−1,2−ブタジエン、シリコーン樹脂など、アミノ酸誘導体ではN−ラウロイルグルタミン酸ジブチルアミドなど、粘土鉱物ではスメクタイト、モンモリロナイトなど、その他のゲル化剤では、ジベンジリデンソルビトール、ジアルキルリン酸アルミニウムが挙げられる。中でも2−エチルヘキサン酸アルミニウムが好ましい。
【0012】
また、揮散面を透過性のポリマーフィルムで覆うことで、薬剤の揮散速度を自在に調節することが可能である。ポリマーフィルムの材質は、ポリエチレンまたはポリプロピレンが好ましい。このポリマーフィルムは、必ずしも一層で形成する必要はなく、複数層で形成してもよい。また、揮散速度を調節するために、薬剤の透過性の低いアルミニウム、ポリエチレンテレフタレートなどの層を重ねてもよい。ポリマーフィルムの膜厚は、全体で10〜300μmぐらいが好ましい。
【0013】
また、ゲル化された薬剤を揮散面を開放した不透過性容器に入れることで、揮散方向を調節することが可能になる。不透過性容器の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、エチレンビニルアルコールコポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、アルミなどが好ましい。不透過性容器は、必ずしも一層で形成する必要はなく、複数層で形成してもよい。
【0014】
さらに、製剤の内容物を加熱することで、揮散速度を調節し、常温では揮散しづらい薬剤を揮散させることも可能である。加熱温度としては、35℃〜70℃ぐらいが好ましい。
【0015】
上記薬剤としては、香料、植物精油、揮散性消臭剤、抗菌性薬剤などがあり、常温ならびに加温したときに揮散性のあるものであれば、何でもよい。また揮散速度をコントロールするため、あるいは揮散性薬剤濃度を調整する目的で溶剤又は水を加えても良い。より詳細には、以下の通りである。
【0016】
香料は単体香料ならびに調合香料でもかまわない。具体的には、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、リナロール、ゲラニオール、α-ファルネセン、β-ファルネセン、α-グアイエン、d-グアイエン、α-カリオフィレン、β-カリオフィレン、d-カジネン、g-カジネン、α-ビザボレン、β-ビザボレン、g-ビザボレン、α-セドレン、β-セドレン、バレンセン、ツヨプセン、ファルネソール、ネロリドール、α−ビザボロール、β−カリオフィレンアルコール、α−サンタロール、β−サンタロール、ベチベロール、セドロール、エチルヘキサノエート、 ラクトンC−10ガンマ、シス−3−ヘキセノール、アルコールC−6、リナロール、リナリルアセテート、 ゲラニオール、ベンジルアルコール、ターピネオール、メチルヨノンなどがある。
植物精油では、セージオイル、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、レモンオイル、レモングラスオイル、オレンジオイル、ローズマリーオイル、ラベンダーオイル、バジルオイル、ベルガモットオイル、シトロネラオイル、クローブオイル、コリアンダーオイル、ユーカリオイル、ゼラニウムオイル、ジンジャーオイル、グレープフルーツオイル、ヒバオイル、ヒノキオイル、ラバンジンオイル、タイムオイル、イランイランオイル、ライムオイル、シナモンリーフオイル、ハッカハクユ、アニスオイル、プチグレンオイル、ローレルオイル、パインオイルなどがある。
【0017】
揮散性消臭剤では、特開平6−121822記載のピルビン酸エチル、ピルビン酸フェニルエチルなどのピルビン酸エステルがある。
抗菌性薬剤では、ヒノキチオール、アリルチオイソシアネートなどがある。
【0018】
また、有機溶剤では、灯油、軽油、パラフィン系炭化水素、イソパラフィン系炭化水素、芳香族炭化水素、芳香族アルコール、シリコンオイル、サラダ油、大豆油、ノルマルデカン、ノルマルトリデカン、ノルマルヘキサデカン、イソオクタン、イソドデカン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、オレイルアルコール、ベンジルアルコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、リノール酸などが挙げられる。
【0019】
図1、図2はこの発明による揮散性薬剤の取り替え式物品(カートリッジ又はリフィルとも称される。)を加熱揮散型芳香消臭剤の取り替え式物品として適用した実施の形態を示している。取り替え式物品10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の不透過性樹脂により構成された深皿形状の容器本体11と、容器本体11の開口部を塞ぐように容器本体11に貼り付けられた透過性のポリマーフィルム12と、ポリマーフィルム12の外表面に剥離可能に貼り合わせられたアルミニウム薄膜等の不透過性の保護シート13とにより構成され、ポリマーフィルム12により閉じられた容器本体11内に、揮散性の薬剤(調合香料)を含有した流動性を有するゲル組成物14が充填収容されている。
【0020】
加熱揮散型芳香消臭剤としてのゲル組成物14としては、配合組成(重量%)が、香料40.0%、イソパラフィン系炭化水素(溶剤)54.0%、2−エチルヘキサン酸アルミニウム(ゲル化剤)6.0%のものを使用できる。
【0021】
ゲル組成物14はポリマーフィルム12と接触し、ポリマーフィルム12がゲル組成物14の揮散面となっている。取り替え式物品10は、ポリマーフィルム12の外表面に貼り合わせられている不透過性の保護シート13が剥がされることにより、揮散開始状態になる。
【0022】
ポリマーフィルム12は、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等により構成され、保護シート13を剥がされた使用過程で、外側より内容物の残分を視認できるよう、透明若しくは半透明フィルムであることが好ましい。
なお、容器本体11は、球面形状等の減圧変形に強い底形状になっている。
【0023】
上述のゲル組成物14と、ゲル組成物14の揮散面をなすポリマーフィルム12との組み合わせにより、1ヶ月〜2ヶ月の長期間の徐放が可能になり、ゲル組成物14が流動性を有していることから、配合した薬剤を最後まで香調の変化を伴うことなく安定して揮散でき、しかも、残分を正確に視認できる。
なお、徐放条件としては、ゲル組成物5gをポリエチレンテレフタレート(PET)で成型した容器に入れ、揮散面(面積10cm2)を厚さ100μmの線状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムで覆い、容器を50℃に加熱した。
【0024】
また、ゲル組成物14は場合によっては、加熱されることにより、容器内で対流を生じ得る。この対流は容器内におけるゲル組成物14の移動を助長し、長期間の均一揮散性を保証し得る。
【0025】
図3は加熱揮散型芳香消臭剤の取り替え式物品10を使用するプラグイン式加熱芳香具の構成例を示している。プラグイン式加熱芳香具20は、取り替え式物品10を立てた姿勢で交換可能に収容する容器収容室21を画定した器具ケース22および表カバー23と、器具ケース22に取り付けられて取り替え式物品10を容器底部側から加熱するPTCヒータ24と、器具ケース22に取り付けられ、導体25等によりPTCヒータ24の電極と導通接続されたコンセントプラグ26とを有し、コンセントプラグ26によってコンセントに直接装着される。
【0026】
表カバー23には開口部27が形成されており、外部(前方)より容器収容室21内の取り替え式物品10のポリマーフィルム12の面が見えるようになっている。これにより、プラグイン式加熱芳香具20がコンセントに接続された状態で、透明なポリマーフィルム12を通して取り替え式物品10内のゲル組成物14の残量を視認することができる。
【0027】
【実施例】
本発明の薬剤徐放性製剤を次のようにして形成した。
【0028】
〈薬剤徐放性製剤の調製〉
(実施例1)
香料Aの20.0gとIPソルベント2028の26.5gとを混合し、均一な溶液にした後、TFA(2−エチルヘキサン酸アルミニウム)3.5gを攪拌しながら少量ずつ添加した。一晩放置し、流動性のあるゲル50.0gを得た(液状確認試験結果:300秒/30mm)。このうち5gをPETで成型した容器に入れ、揮散面(面積10cm2 )を厚さ100μmのLLDPEフィルムで覆い、容器を50℃に加熱して重量変化を測定した。さらに、におい強度ならびに香調の変化を官能評価によって確認した。これらの結果を表1〜3に示す(下記参照)。
【0029】
(実施例2)
香料Aの20.0gとIPソルベント2028の26.5gとを混合し、均一な溶液にした後、DAP(ジアルキルリン酸アルミニウム)3.5gを攪拌しながら少量ずつ添加した。一晩放置し、流動性のあるゲル50.0gを得た(液状確認試験結果:150秒/30mm)。このうち5gを実施例1と同様に製剤化し、実施例1と同一条件にて重量変化を測定した。さらに、におい強度ならびに香調の変化を官能評価によって確認した。これらの結果を表1〜3に示す(下記参照)。
【0030】
(比較例1)
香料Aの20.0gとIPソルベント2028の30.0gを混合し、均一な溶液50.0gを得た(液状確認試験結果:液体と判定)。このうちの5gを実施例1と同様に製剤化し、実施例1と同一条件にて重量変化を測定した。さらに、におい強度ならびに香調の変化を官能評価によって確認した。これらの結果を表1〜3に示す(下記参照)。
【0031】
(比較例2)
IPソルベント2028の26.0gに12−HSA(12−ヒドロキシステアリン酸)4.0gを加え、70℃まで加熱し12−HSAを溶解させ、均一な溶液を調製した。そこに香料A 20.0gを加えゲル50.0gを得た(液状確認試験結果:流動性なし)。このうちの5gを実施例1と同様に製剤化し、実施例1と同一条件にて重量変化を測定した。さらに、におい強度ならびに香調の変化を官能評価によって確認した。これらの結果を表1〜3に示す(下記参照)。
〈薬剤徐放性製剤に用いた成分〉
香料Aは、下表に示す調合香料1を60重量部、リモネンを40重量部混合したものである。
【0032】
前記TFA等の詳細は、以下の通りである。
TFA:大洋香料株式会社製商品の名称。2−エチルヘキサン酸アルミニウム。
DAP:アルキル基の炭素鎖数が16であるジアルキルリン酸アルミニウム。
12HSA:12−ヒドロキシステアリン酸(東京化成工業株式会社製)。
IPソルベント2028:出光石油化学株式会社製商品の名称。イソパラフィン系炭化水素。
【0033】
〈薬剤徐放性製剤に用いたポリマーフィルム、容器〉
LLDPE:無色透明の線状低密度ポリエチレン。
PET:無色透明のポリエチレンテレフタレート。
【0034】
〈液状確認試験方法〉
前記に於ける液状確認方法は、「消防法:危険物の規制に関する規則第六十九条の二」に記載されている手法に従う。
具体的には、垂直にした試験管(内径30mm、高さ120mmの平底円筒型のガラス製のものとする。以下「試験管」という。)に、物品を試験管の底からの高さが55mmとなるまで入れ、当該試験管を水平にした場合に、当該物品の移動面の先端が、試験管の底からの距離が85mmの部分を通過するまで時間を測定し記録する。この測定結果が90秒以内であるものを「液状」と判断する。なお、測定温度は20℃±0.1℃に設定する。
【0035】
〈におい強度評価〉
排気が可能であり、且つ十分空調設備が整った、横1.5m、縦2m、高さ2.5mの空間の中心に、評価する薬剤徐放性製剤を入れた加熱ヒータ付き温めホルダー(図3参照)を設置した。
【0036】
一定時間毎のにおいの強さを30歳代の男性5人及び女性5人のパネラーが直接においを嗅ぐ。そして、そのときの強度の感じ方を、悪臭防止法における基準値の設定のための評価尺度として使われる、下に示す六段階臭気強度尺度(「三訂版 ハンドブック 悪臭防止法」(悪臭法令研究会 編集;株式会社ぎょうせい 発行)p48参照)に基づき数値化し、平均点を求めた。
六段階臭気強度表示法
0:無臭
1:やっと感知できるにおい(検知閾値濃度)
2:何のにおいであるかがわかる弱いにおい(認知閾値濃度)
3:らくに感知できるにおい
4:強いにおい
5:強烈なにおい
【0037】
〈香調評価〉
上述したにおい強度評価時に香調の変化も同時に評価した。より詳細には香調評価のために、標準となる薬剤徐放性製剤を評価毎に調製した。そして、評価空間とは別の排気が可能であり、かつ十分空調設備が整った、横1.5m、縦2m、高さ2.5mの空間に中心に、標準となる薬剤徐放性製剤を入れた加熱ヒータ付き温めホルダーを設置し、評価する製剤と比較した。
【0038】
表1は、薬剤徐放性製剤の徐放性試験を加熱面温度50℃で行った時の、薬剤徐放性製剤の重量変化データとしての残存量(%)を示す。
【表1】
【0039】
表2は、前記徐放性試験における(薬剤徐放性製剤の)におい強度変化を示す。
【表2】
【0040】
表3は、前記徐放性試験における(薬剤徐放性製剤の)香調変化を示す。なお、○印は変化なし、△印はわずかな変化あり、×印は変化あり、−印は、におい強度が低いため確認不能を示している。
【表3】
【0041】
図4,図5は、表1,表2をグラフ化したものである。
図4に示すように、実施例1、2のわずかな流動性を持つゲル薬剤徐放性製剤では、重量変化がほぼ一定であり、揮散成分である香調が徐放されることが分かる(実施例1:○印、実施例2:△印)。
【0042】
また、図5に示すように、実施例1、2の薬剤徐放性製剤では、徐放日数に伴ってにおい強度が徐々に弱くなっているが、50日後も十分に香りが認知できる。
また、表3に示すように、徐放期間中の香調の変化も少ない。
【0043】
一方、図4に示すように、比較例1の液体状薬剤徐放性製剤の場合(*印)、上記徐放試験中の揮散速度が、実施例1、2と比べ速く、長期間香りを持たせることができない。また、図5に示すように、同製剤の場合、徐放初期の強度は強いが、10日過ぎより極端に強度が下がる。表3に示すように、これに伴って徐放期間中の香調も著しく変化する。
【0044】
また図4に示すように、比較例2に記載した流動性の無いゲル薬剤徐放性製剤(×印)では、20日辺りから重量減少速度が遅くなる。しかし、徐放性製剤の残分があるにもかかわらず、図5に示されているように、30日過ぎよりにおい強度が下がってくる。これは、揮散面からのみ薬剤を揮散、乾燥するため、徐放性製剤内部に取り込まれている薬剤を揮散し尽くすことができないからである。このような製剤の場合、揮散終点を視認することができない。
以上説明したように、この実施例の薬剤徐放性製剤によれば、ゲルの流動性を有するために、配合した薬剤を最後まで徐放でき、残存分を視認することができる。
また、この実施例の薬剤徐放性製剤によれば、その特有の配合組成及びポリマーフィルム構成により、揮散初期と終期との香調の変化を小さくすることができる。
また、この実施例の薬剤徐放性製剤によれば、揮散性の薬剤を長期間に亘って一定に徐放させることができる。より詳細には、この実施例の薬剤徐放性製剤によれば、その特有の配合組成及びポリマーフィルム構成並びに、加熱揮散の組み合わせにより、長期間(1.5ヶ月以上)の徐放を可能とすることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から理解される如く、この発明によれば、薬剤残量の視認性に優れた薬剤徐放性製剤および取り替え式物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による取り替え式物品の一つの実施の形態を示す斜視図である。
【図2】この発明による取り替え式物品の一つの実施の形態を示す断面図である。
【図3】この発明による取り替え式物品を使用するプラグイン式加熱芳香具の構成例を示す断面図である。
【図4】薬剤徐放性製剤の重量変化を示すグラフである。
【図5】薬剤徐放性製剤のにおい強度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
10 取り替え式物品
11 容器本体
12 ポリマーフィルム
13 保護シート
14 ゲル組成物
20 プラグイン式加熱芳香具
21 容器収容室
24 PTCヒータ
Claims (1)
- 揮散性の薬剤を含有する流動性を有するオイルゲルが、少なくとも一部を透過性のポリマーフィルムで構成した容器内に収容され、前記薬剤が前記ポリマーフィルムを介して加熱揮散される取り替え式物品にして、
前記オイルゲルは、液状確認試験において、30mmの移動時間が90秒〜24時間の流動性を有することを特徴とする取り替え式物品。
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